JP2008025125A - 柱ユニットおよび柱ユニットを用いた建物の施工方法 - Google Patents

柱ユニットおよび柱ユニットを用いた建物の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 鉄筋コンクリート製柱と鉄骨製梁による複合構造の建物における柱梁接合部のコンクリートの打ち継ぎをなくすことが、簡易に実現できる柱ユニット1および柱ユニット1を用いた建物の施工方法を提供する。
【解決手段】 鉄骨製梁材2を交差させて組んで形成された仕口部梁組3と、仕口部の周方向に沿って該梁材2間に配置され、当該梁材2の側部に一体的に接合されてコンクリート打設空間5を形成する鋼板製の塞ぎ板4とから仕口部材6を構成し、上記仕口部材6を、フープ筋8が埋設された中空プレキャスト柱部材7の頂部に載置するとともに、上記中空プレキャスト柱部材7内方に上記仕口部材6にわたって貫通させて、柱の高さ方向にスライド自在に柱主筋9を配設する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄筋コンクリート製柱と、鉄骨製梁による複合構造の建物を施工する際に使用する柱ユニットおよび柱ユニットを用いた建物の施工方法に関する。
鉄筋コンクリート製柱と、鉄骨製梁による複合構造の建物における柱梁接合部に関する従来技術としては特許文献1、2が知られている。特許文献1における、複合構造の建物における柱梁接合部は、コンクリート打設が完了した鉄筋コンクリート製柱上部の仕口部に、交差した鉄骨製梁部材を載置し、鉄骨製梁部材の交差した部分を囲む塞ぎ板内部に、コンクリートを打設して、鉄筋コンクリート製柱と鉄骨製梁を一体としたものである。特許文献2における、複合構造の建物における柱梁接合部は、交差した鉄骨製梁部材と型枠兼用プレートからなる仕口構成体を、柱用鉄筋籠の梁接合位置に、柱主筋で支持して取り付け、仕口構成体内部と柱用鉄筋籠を囲む柱型枠へコンクリートを一体に打設して、鉄筋コンクリート製柱と鉄骨製梁を一体としたものである。
特開2005−188102号公報 特公平6−6818号公報
柱梁接合部は、柱および梁のそれぞれに発生した応力を伝達する部位であり、建物の架構を構成する上で最も重要な部位である。特に柱部分と梁部分の構成の異なる複合構造では、水平力やせん断力を確実に伝達するために、柱上部の柱梁接合部にコンクリートの打ち継ぎ部を設けるべきではない。
特許文献1の柱梁接合部では、鉄筋コンクリート製柱のコンクリート打設が完了していた部分と仕口部のコンクリートの間で、打ち継ぎが生じ構造上好ましくない。
特許文献2の柱梁接合部では、仕口構成体を柱主筋で支持するため施工効率が低い。具体的には、第1に、仕口構成体の柱主筋への取り付けには、取り付けフランジを使用している。この取り付けフランジは仕口構成体の型枠兼用プレートに設けられているため、型枠兼用プレートにも仕口構成体を支持できる剛性と強度が必要となり、仕口構成体全体の重量が増加する。また、仕口構成体は柱主筋のみで支持され、なおかつ複数層分を1ユニットとしていることから、水平剛性の低い柱主筋のみでは、ユニット上端部の揺れや下部柱主筋の座屈の可能性がある。このため、仕口構成体を支持する柱主筋の補強や、取り付けの労力の増加、揺れ止めブレースの設置等が必要であり、施工効率が低い。
第2に、仕口構成体の柱主筋への取り付けは、取り付けフランジの挿通孔へ挿入した柱主筋をナット等で締結して接続するため、接続部の強度が低い。このため、柱主筋で支持された仕口構成体への鉄骨製梁の取り付けや、鉄骨製梁への床型枠の施工、さらに柱から床スラブまで一体にコンクリート打設したりすることは、前記接続部の強度の観点から難しい。したがって、仕口構成体を含めた柱のコンクリートを打設した後に、鉄骨製梁の架設および床型枠からコンクリート打設までを行う施工手順としたり、仮設支持材を多用したりすることになり、コンクリート打設回数や仮設支持材の設置、解体の手間が増加し施工効率が低くなる。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、鉄筋コンクリート製柱と、鉄骨製梁による複合構造の建物における柱梁接合部のコンクリートの打ち継ぎをなくすことが可能で簡易な、柱ユニットおよび柱ユニットを用いた建物の施工方法を提供することを目的とする。
本発明に係る柱ユニットは、鉄骨製梁材を交差させて組んで形成された仕口部梁組と、仕口部の周方向に沿って該梁材間に配置され、当該梁材の側部に一体的に接合されてコンクリート打設空間を形成する鋼板製の塞ぎ板とから仕口部材を構成し、上記仕口部材を、フープ筋が埋設された中空プレキャスト柱部材の頂部に載置するとともに、上記中空プレキャスト柱部材内方に上記仕口部材にわたって貫通させて、柱の高さ方向にスライド自在に柱主筋を配設したことを特徴とする。
前記柱主筋の長さ寸法が、少なくとも建物2層分であることを特徴とする。
前記中空プレキャスト柱部材が、複数の中空プレキャスト柱部材を連結したものであることを特徴とする。
本発明に係る柱ユニットを用いた建物の施工方法は、上記柱ユニットおよび該柱ユニットから前記柱主筋を除いた構成の第二柱ユニットを作製する第1工程と、次いで、上記柱ユニットを、柱主筋の下端が前記中空プレキャスト柱部材下端から突出するようにして、吊り上げて、上記柱主筋を、上記柱ユニットの設置面から突出する柱主筋に接合して、上記柱ユニットを吊り降ろして上記柱ユニットの設置面に設置する一方で、上記第二柱ユニットを、上記柱ユニットに隣接する当該第二柱ユニットの設置面から少なくとも建物1層分突出されている柱主筋に挿入して設置する第2工程と、次いで、上記柱ユニットの前記仕口部梁組の前記鉄骨製梁材と、上記第二柱ユニットの仕口部梁組の鉄骨製梁材との間に鉄骨製梁部材を架設して接合する第3工程と、その後、これら柱ユニットおよび第二柱ユニット内にそれらの前記仕口部材から前記中空プレキャスト柱部材内にわたって一体的に現場打ちコンクリートを打設する第4工程を備えることを特徴とする。
本発明に係る柱ユニットを用いた建物の施工方法は、前記施工方法において、第3工程と第4工程の間に、上記梁材および上記梁部材に床材を配置して、該床材上に床配筋を施工する床工程を備えたことを特徴とする。
本発明に係る柱ユニットおよび柱ユニットを用いた建物の施工方法にあっては、鉄筋コンクリート製柱と、鉄骨製梁による複合構造の建物における柱梁接合部のコンクリートの打ち継ぎをなくすことが、簡易に実現できる。
以下に、本発明に係る柱ユニットおよび柱ユニットを用いた建物の施工方法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる柱ユニット1は基本的には、図1から図8に示すように、鉄骨製梁材2を交差させて組んで形成された仕口部梁組3と、仕口部の周方向に沿って当該梁材2間に配置された鋼板製の塞ぎ板4とから仕口部材6を構成し、仕口部材6を、フープ筋8が埋設された中空プレキャスト柱部材7の頂部に載置するとともに、中空プレキャスト柱部材7内方に仕口部材6にわたって貫通させて、柱の高さ方向にスライド自在に柱主筋9を配設して構成されている。なお、本実施形態における「仕口部」とは、鉄筋コンクリート柱の柱梁接合部分、つまり、中空プレキャスト柱部材7上部の柱部分をいう。
また、本実施形態に係る第二柱ユニット100は、柱ユニット1の仕口部材6と同一の仕口部材60を、柱ユニット1の中空プレキャスト柱部材7と同一の中空プレキャスト柱部材70の頂部に載置して構成されている。
本実施形態における、柱ユニット1は、仕口部材6と、それを載置する中空プレキャスト柱部材7と、中空プレキャスト柱部材7に挿入される柱主筋9から構成されている。仕口部材6は、仕口部梁組3と鋼板製の塞ぎ板4により構成されている。仕口部梁組3は、鉄骨製梁材2で構成されている。鉄骨製梁材2は、建物における鉄骨製梁の一部を構成する鉄骨製の部材である。本実施形態における前記鉄骨製梁は、柱の各四側面に柱芯位置で接続している。鉄骨製梁材2として、断面形状が同一なH形鋼で、長さの寸法が異なる、第一鉄骨製梁材2aと第二鉄骨製梁材2bが使用される。第一鉄骨製梁材2aは、それらを含む仕口部材6が載置される中空プレキャスト柱部材7の、第一鉄骨製梁材2a方向の柱幅寸法の長さを有している。第二鉄骨製梁材2bは、それを含む仕口部材6が載置される中空プレキャスト柱部材7の、第二鉄骨製梁材2b方向の柱幅寸法の1/2以上の長さを有している。
仕口部梁組3は、第一鉄骨製梁材2aと第二鉄骨製梁材2bを交差させた構成である。二本の第二鉄骨製梁材2bを、第一鉄骨製梁材2aの中央部に両側から挟む形で、第一鉄骨製梁材2aの長さ方向に対し各々直角に、同一線上に配置して交差させ、X字状を形成している。両鉄骨製梁材2a,2bは上下フランジが面一となる高さで、加工し組み合わせて、溶接接合されている。仕口部梁組3のX字状の交差部は、中空プレキャスト柱部材7の外周部より内側において形成されていればよい。したがって、仕口部梁組3の各鉄骨製梁材2端部は、少なくとも仕口部材6を載置する中空プレキャスト柱部材7の外周面の位置まで達していればよい。本実施形態において、構成された仕口部梁組3の第一鉄骨製梁材2a、第二鉄骨製梁材2bの端部は、仕口部材6が中空プレキャスト柱部材7頂部に載置された状態で、中空プレキャスト柱部材7の外周より外側に位置するよう設定されている。
仕口部梁組3の上面には、仕口部材6を吊り上げるための、吊り金具22が取り付けられている。この吊り金具22は、矩形の金属プレートに孔を開けたものを、各鉄骨製梁材2上端フランジ上部に起立させ、溶接接合したものである。吊り金具22は、仕口部梁組3の中空プレキャスト柱部材7の外周より外側の位置に、柱主筋9を挟んで左右一対で、計二対設けられている。
また、仕口部梁組3の下面には、仕口部材6と中空プレキャスト柱部材7と連結するための仕口部連結金具23が設けられている。この仕口部連結金具23は、矩形の金属プレートに孔を開け、中空プレキャスト柱部材7の外周面に沿って、仕口部梁組3の各鉄骨製梁材2下端のフランジから垂下するように、溶接接合されている。仕口部連結金具23の孔は鉄骨製梁材2の中心線位置の両側に各一つ、計二つ設けられている。この金具は、仕口部材6を中空プレキャスト柱部材7に対して、水平方向の位置を固定し、上下方向に連結する機能を有している。また、仕口部材6を中空プレキャスト柱部材7の頂部に載置する際のガイドとしての機能も有している。
仕口部材6は、仕口部梁組3の各鉄骨製梁材2側部に、鋼板製の塞ぎ板4が一体に取り付けられて、構成されている。鋼板製の塞ぎ板4は、仕口部の周方向に沿って各鉄骨製梁材2間に配置されている。仕口部の周方向は、すなわち中空プレキャスト柱部材7の外周方向を意味する。したがって、鋼板製の塞ぎ板4の水平断面形状は、各鉄骨製梁材2間に位置する、中空プレキャスト柱部材7の外周形状と同一である。本実施形態における鋼板製の塞ぎ板4は、ロ字状の中空プレキャスト柱部材7外周形状を、仕口部梁組3で上下左右に十字型に四分割した、L字状の部材として形成されている。塞ぎ板4の高さは、鉄骨製梁材2の梁せいと同じ寸法を有している。
鋼板製の塞ぎ板4は、その端面を鉄骨製梁材2のウェブとフランジの側面および上フランジの下端面と下フランジの上端面へ当接して溶接接合されている。塞ぎ板4の各鉄骨製梁材2への接合位置は、仕口部材6を中空プレキャスト柱部材7頂部に載置した際の、中空プレキャスト柱部材7の外周と各鉄骨製梁材2との交差部である。また、塞ぎ板4自体も柱部材7の隅角部位置で鋼板を溶接接合して構成されている。このようなL字状の鋼板製の塞ぎ板4が、各鉄骨製梁材2の間に計四つ設けられ、その四つが組み合わされて中空プレキャスト柱部材7の外周形状と同じ、ロ字状のコンクリート打設空間5が形成されている。コンクリート打設空間5は、鋼板製の塞ぎ板4により外部と仕切られ、上下方向に開放された空間である。鋼板製の塞ぎ板4は、仕口部のせん断補強材としての機能とコンファインド効果によって仕口部のコンクリートを拘束する機能、およびコンクリート打設空間5に対するコンクリート型枠の機能を有している。鋼板製の塞ぎ板4は、これらの機能を充足する、部材厚さと強度、接合部強度を有している。なお、中空プレキャスト柱部材7のコンクリート強度が中空部に打設されるコンクリート強度よりも高い場合、柱部分にもコンファインド効果が期待できる。
仕口部梁組3と鋼板製塞ぎ板4により、仕口部材6が構成されている。本実施形態における、仕口部材6は、X字状の仕口部梁組3と、L字状鋼板製の塞ぎ板4四枚とにより田の字状とされ、内側の十字状を外へ延長した断面形状を有している。仕口部材6は中空プレキャスト柱部材7の頂部に載置されている。本実施形態における中空プレキャスト柱部材7は、その頂部に仕口部材6を載置した状態で、柱ユニット1の設置面である床のコンクリート天端から、上階の床コンクリート下端までの高さとなる寸法に設定されている。中空プレキャスト柱部材7は、工場または現場で事前に製作された矩形の中空のコンクリート製部材であり、そのコンクリート製外殻部(以下「外殻」という)には、スパイラル状のフープ筋8が埋設されている。
また、中空プレキャスト柱部材7の各側面上部には、柱部連結金具24が埋設されている。柱部連結金具24はナット部を有する部材であり、仕口部材6を中空プレキャスト柱部材7頂部の所定位置に載置した際の仕口部連結金具23の孔位置と合致する位置に、中空プレキャスト柱部材7の外周に面して埋め込まれている。
仕口部材6は、中空プレキャスト柱部材7の外殻上端部に載置され、中空プレキャスト柱部材7と仕口部連結金具23、柱部連結金具24を使用して連結されている。仕口部材6と中空プレキャスト柱部材7が連結された部材の高さは、設置面である床のコンクリート天端から、上階の床コンクリート下端までの寸法と等しく設定されている。仕口部材6と中空プレキャスト柱部材7が連結された状態において、鋼板製の塞ぎ板4の外側面は中空プレキャスト柱部材7の外周面とほぼ面一の状態となる。本実施形態における、連結方法は、中空プレキャスト柱部材7の前記柱部連結金具24のナット位置に、前記仕口部連結金具23の孔位置を合わせ、ボルト29を仕口部連結金具23を貫通して柱部連結金具24に螺合する方式である。前記連結は、中空プレキャスト柱部材7と仕口部材6の仮止めであり、中空プレキャスト柱部材7と仕口部材6は内部にコンクリートが打設されることにより一体的に連結される。
柱ユニット1は、柱主筋9を、上記中空プレキャスト柱部材7内方に上記仕口部材6にわたって貫通させて、柱の高さ方向にスライド自在に配設して構成されている。本実施形態において、柱主筋9は、各柱主筋用鉄筋20の集合体として構成され、建物の2層分の長さを有している。各柱主筋用鉄筋20には、ねじ鉄筋が使用されている。各柱主筋用鉄筋20の一方の端部を、柱における各柱主筋用鉄筋20同士の位置関係を保持するための仮設部材(以下「柱主筋形成部材21」という)に固定することにより柱主筋9が形成されている。柱主筋形成部材21は、柱主筋用鉄筋20の配置に合わせて、山形鋼をロ字状に組み、山形鋼の、各柱主筋用鉄筋20の位置に柱主筋用鉄筋20を挿入するための孔を開けたものである。また、柱主筋形成部材21は、柱主筋9を吊り上げる際の吊り金具としての機能も有している。
本実施形態においては、柱主筋9を貫通させる仕口部材6が、その仕口部梁組3により、四つの区画に分割されているため、柱主筋9は、柱主筋形成部材21により、柱主筋用鉄筋20の四つのグループとして形成されている。柱主筋用鉄筋20の一方の端部を前記孔へ挿通し、ねじ鉄筋の挿通部にナットを取り付け、柱主筋用鉄筋20が柱主筋形成部材21の孔から抜けないように固定されている。
このような柱主筋9を中空プレキャスト柱部材7内部に挿入して、柱ユニット1が構成されている。柱主筋9の挿入による柱ユニット1の組立は、起立させた状態の中空プレキャスト柱部材7頂部の仕口部材6から、柱主筋9を柱主筋形成部材21を利用して吊り降ろして、中空プレキャスト柱部材7へ挿入することで行なわれる。組み上がった柱ユニット1では、仕口部材6および中空プレキャスト柱部材7と柱主筋9とは接続されていないため、仕口部材6および中空プレキャスト柱部材7は柱主筋9の長さ方向、すなわち柱の高さ方向、にスライド自在な状況となっている。柱ユニット1を扱う際は、柱主筋9と仕口部材6および中空プレキャスト柱部材7の挿入関係を崩さないように共吊りする。
第二柱ユニット100は、仕口部材60および中空プレキャスト柱部材70により構成されている。
仕口部材60は、柱ユニット1の仕口部材6と同一の部材である。したがって、仕口部材60は、第一鉄骨製梁材2aと第二鉄骨製梁材2bを交差させたX字状の仕口部梁組3と、第一鉄骨製梁材2aと各第二鉄骨製梁材2b間に、一体的に溶接接合され、コンクリート打設空間を構成する、L字状鋼板製の塞ぎ板4四枚とによる田字状の部材である。また、仕口部材60は、仕口部材6と同様の、柱部連結金具24、吊り金具22を有している。
また、中空プレキャスト柱部材70は柱ユニット1の中空プレキャスト柱部材7と同一の部材である。したがって、中空プレキャスト柱部材70の外殻にはスパイラル状のフープ筋8が埋設されている。また、中空プレキャスト柱部材7と同様に、各側面上部には柱部連結金具24が埋設されている。
第二柱ユニット100は、柱ユニット1から柱主筋9を除いた形態のユニットである。第二柱ユニット100は、仕口部材60を中空プレキャスト柱部材70の頂部に載置し、仕口部材60の鋼板製の塞ぎ板4の外側面は中空プレキャスト柱部材70の外周面とほぼ面一の状態となっている。第二柱ユニット100の高さ寸法は、柱ユニット1と同一の高さ寸法である。したがって、設置面である床のコンクリート天端から、上階の床コンクリート下端までの寸法となっている。両者の連結方法も柱ユニット1の場合と同様の方法であるため、説明は省略する。
本実施形態に係る柱ユニット1および第二柱ユニット100を用いた建物の施工方法は基本的には、図4から図8に示すように、上記柱ユニット1と、第二柱ユニット100を互いに隣接して配置する施工方法であり、上記柱ユニット1を作製し、次いで、柱ユニット1の前記柱主筋9を、その下端が前記中空プレキャスト柱部材7下端から突出するようにして、該柱ユニット1とともに共吊りし、次いで、柱主筋9を、柱ユニット1の設置面である床面から突出する柱主筋10に接合し、次いで、柱ユニット1を吊り降ろして柱ユニット1の設置面である床面に設置する。並行して、第二柱ユニット100に、設置面から上階の床上まで建物1層分以上突出されている柱主筋110を挿入し、第二柱ユニット100を設置面である床面に設置する。次いで、柱ユニット1の仕口部梁組3の鉄骨製梁材2に、隣接する第二柱ユニット100の仕口部梁組3との間に架設される鉄骨製梁部材11を接合し、次いで、上記梁材2および梁部材11に床材13を配置して、該床材13上に床配筋14を施工し、その後、上記床から上記柱ユニット1の前記仕口部材6および第二柱ユニット100の前記仕口部材60を介して上記中空プレキャスト柱部材7、70内にわたって、一体的に現場打ちコンクリートを打設する工程からなる。
事前準備として、中空プレキャスト柱部材7、70を工場等で製作する。中空プレキャスト柱部材7と中空プレキャスト柱部材70は、柱ユニット1に用いるか、第二柱ユニット100に用いるかの相違であり、中空プレキャスト柱部材自体は同一である。具体的には、中空プレキャスト柱部材7、70に、スパイラル状のフープ筋8を外殻に埋設し、また柱部連結金具24としてナット部材を、外殻の外周面に接するよう埋設しておく。
次の事前準備として、仕口部材6、60を組み立てる。仕口部材6と、仕口部材60は、柱ユニット1に用いるか、第二柱ユニット100に用いるかの相違であり、仕口部材自体は同一である。具体的には、第一鉄骨製梁材2aの中央部に第二鉄骨製梁材2bを直交方向に溶接してX字状の仕口部梁組3を組み立てる。また、各鉄骨製梁材2に吊り金具22および仕口部連結金具23を取り付ける。組み上がった仕口部梁組3の各鉄骨製梁材2間に、中空プレキャスト柱部材7の外周形状および位置に合わせて、各鉄骨製梁材2側面に溶接で鋼板製の塞ぎ板4を取り付け、仕口部材6、60として組み立てる。
施工方法としては、第1工程として、まず、柱ユニット1を組み立てる。具体的には、事前準備で組み上げてある仕口部材6を、起立させた中空プレキャスト柱部材7の頂部に載せ、仕口部材6の仕口部連結金具23にボルト29を貫通させて、中空プレキャスト柱部材7の柱部連結金具24に、ボルト29を螺合して、仕口部材6と中空プレキャスト柱部材7を連結する。
これらの作業に並行して柱主筋用鉄筋20の端部を柱主筋形成部材21へ固定して柱主筋9を組み立てる。組み上がった柱主筋9を、柱主筋形成部材21を利用して吊り上げ、仕口部材6上部から中空プレキャスト柱部材7内へ挿入し、柱ユニット1として組み立てる。
柱ユニット1の組み立てに並行して、第二柱ユニット100も組み立てる。具体的には、事前準備で組み上げてある仕口部材60を、中空プレキャスト柱部材70の頂部に載置し連結して組み立てる。連結方法は柱ユニット1における、仕口部材6と中空プレキャスト柱部材7の連結方法と同様である。
次いで第2工程として、まず、柱ユニット1の柱主筋9を、その下端が中空プレキャスト柱部材7下端から突出するように、中空プレキャスト柱部材7と共吊りして、吊り上げる。共吊りは、柱主筋9上端の柱主筋形成部材21からの吊りワイヤ26と、仕口部材6の吊り金具22からの吊りワイヤ27とを、同一の吊り用治具25へ接続して行う。同一の吊り用治具25を使用することにより、柱主筋9と仕口部材6に連結された中空プレキャスト柱部材7との共吊りが可能となり、両者の挿入状態を崩さず柱ユニット1として扱うことが出来る。
この際、柱主筋形成部材21から吊り用治具25までのワイヤの長さおよび仕口部材6の吊り金具22から吊り用治具25までのワイヤの長さは、吊り用治具25を吊り上げた際、まず、仕口部材6と連結された中空プレキャスト柱部材7が、柱主筋9に沿ってスライド上昇し、遅れて柱主筋9が吊り上がり、中空プレキャスト柱部材7下端から柱主筋9が突出した状態での共吊り状態となるように設定する。
次いで、柱ユニット1の柱主筋9を、設置面に突出している既設の柱主筋10に接続する。具体的には、図4の(a)、(b)に示すように、吊り上げた柱ユニット1を、既設の柱主筋10が突出している柱ユニット1の設置面、すなわち施工済みの床面(あるいは、吹き抜けなど床がない場合は施工済みの柱ユニット1の仕口部材6の上面)の上方へ移動し、降下させ、柱ユニット1下端から突出している柱主筋9に、設置面から突出している柱主筋10を、機械式継手12を用いて接続する。
次いで、柱ユニット1を設置面へ設置する。具体的には、図4の(b)、(c)に示すように、柱ユニット1をさらに降下させて、中空プレキャスト柱部材7の取り付け位置を調整し、設置面である床面に仮固定する。最終的には、コンクリート打設により取り付け位置が確定される。
柱ユニット1の設置に並行して、第二柱ユニット100を設置する。具体的には、設置面から建物1層分以上突出されている、既設の柱主筋110に、第二柱ユニット100を挿入し、中空プレキャスト柱部材70の取り付け位置を調整し、設置面である床面に仮固定する。中空プレキャスト柱部材7と同様、最終的には、コンクリート打設により取り付け位置が確定される。
次いで、第3工程として、柱ユニット1と第二柱ユニット100間の鉄骨製梁部材11を架設する。具体的には、仮固定された柱ユニット1の仕口部梁組3の鉄骨製梁材2と、隣接する第二柱ユニット100の仕口部梁組3の鉄骨製梁材2との間に、鉄骨製梁部材11を架設して、建物の鉄骨製梁を構築する。
本実施形態においては、第3工程に続けて、床材13を配置し、床配筋14を行う。具体的には、構築された鉄骨製梁へ床材13として床型枠のデッキプレートを配置し、その上に床配筋14を行う。
その後、第4工程として、柱および床のコンクリート打設を行う。具体的には、床材13から仕口部材6、60を介して中空プレキャスト柱部材7、70の内部の範囲にコンクリートを一体に、所定の床コンクリート天端まで打設する。打設手順は、施工階の中空プレキャスト柱部材7、70の内部から仕口部材6、60までコンクリートを充填し、引き続き、施工階の床コンクリートの打設を行う。打設されたコンクリート15により中空プレキャスト柱部材7、70と仕口部材6、60および床とが一体に構築され、床と鉄骨製梁との一体性も確保される。
その後、床コンクリート15の打設が完了した上階の床面において、柱ユニット1および、第二柱ユニット100を設置し、前述の施工手順を繰り返す。
具体的な、上階の床面における施工手順を図8に示す。床コンクリートの打設が完了した上階の床面には、該上階の床面から、さらに上階の床面まで突出する柱ユニット1の柱主筋9と、設置面から建物1層分以上突出されている柱主筋110が、互に隣接して位置している。
上階床面の柱主筋110の柱位置には、改めて柱ユニット1の取り付けを行う。該上階床面から、さらに上階の床面上まで延びる、施工済み柱ユニット1の柱主筋9の柱位置に対しては、柱主筋9上部の柱主筋形成材21を取り外した後、第二柱ユニット100を挿入して、中空プレキャスト柱部材70を床に仮固定する。その後、柱ユニット1および第二柱ユニット100の仕口部材6、60間に鉄骨製梁部材11を架設し、既に述べた施工手順を繰り返す。
以上述べたように、互いに隣接する柱位置に対して、柱ユニット1と第二柱ユニット100を、施工階ごとに交互に繰り返し用いて、建物全体を施工していく。
以上説明した本実施形態に係る柱ユニット1および柱ユニット1を使用した建物の施工方法にあっては、中空プレキャスト柱部材7と仕口部材6を一体にしている。このため、中空プレキャスト柱部材7内部のコンクリートと仕口部材6内部のコンクリートを打ち継ぎなく一体とすることができ、構造的に不利となる、柱梁接合部のコンクリートの打ち継ぎをなくすことができる。
中空プレキャスト柱部材7内部のコンクリートと仕口部材6内部のコンクリートおよび床のコンクリートを1回のコンクリート打設で行なう。このため、施工効率が向上し、さらに、構造的に不利な、柱梁接合部のコンクリートの打ち継ぎ、および、柱上端部と床とのコンクリートの打ち継ぎ部をなくすことが出来る。
H形鋼梁部材が、ウェブおよびフランジを有した鉄骨製梁形状で柱上部の仕口部を横断しており、仕口部材6の仕口部梁組3は鉄骨製梁材2が交差したX字状になっている。このため、本柱ユニット1内部のコンクリート打設により鉄骨製梁が鉄筋コンクリート製柱に一体に埋設され、仕口部における鉄筋コンクリート製柱と鉄骨製梁の接合部の耐力が確保しやすい。加えて、側柱や隅柱のように梁が柱の一部の方向にのみ接続される場合であっても、基本的な構成を変更することなく対応できる。
仕口部材6、60は、中空プレキャスト柱部材7、70の各辺の外殻に、X字状の仕口部梁組3の各鉄骨製梁材2のフランジ部分を載せて支持されている。このため、載置し連結するだけの簡単な構造であっても、鉛直荷重に強くかつ揺れや座屈等もなく安定し、仮設支持材も少なくできる。
本実施形態における、中空プレキャスト柱部材7、70は、矩形断面の中空のコンクリート製部材である。このため、中空プレキャスト柱部材7、70の頂部に、仕口部材6、60を載せても、安定して床上に自立でき、変形も少ない。また、図5に示すように、中空プレキャスト柱部材7内方の柱主筋9は、その上部は仕口部材6を貫通し、下部は床から立ち上がる鉄筋10と接続されている。同様に、中空プレキャスト柱部材70に挿入される柱主筋110も、その上部は仕口部材60を貫通し、下部は床コンクリートに埋設されている。このため、柱主筋9、110は安定しており、仕口部材6、60を頂部に載せた中空プレキャスト柱部材7、70の転倒防止機能を果たし、施工上の安全性を確保しやすくなる。したがって、鉄骨製梁部材11の取り付けを、多大な仮設設備を設けなくても安全に行うことができる。
さらに、各仕口部材6、60間に鉄骨製梁部材11を架設することにより、施工階の柱梁が一体の架構となり、中空プレキャスト柱部材7、70の取り付け位置が安定する。これにより、床部材13の取り付けや床配筋14、さらに柱床一体のコンクリート打設等の施工時にも、躯体精度が確保される。
これらから、中空プレキャスト柱部材7、70内部へのコンクリート打設前でも、少数の仮設支持材で鉄骨製梁部材11の取り付や床の施工が可能となる。加えて、コンクリートを中空プレキャスト柱部材7、70の内部から仕口部材6、60、床まで一体に打設することも可能となる。これにより建物の打ち継ぎ部を減らすことが出来、施工手順も簡略化される。塞ぎ板4には、仕口部材6、60を中空プレキャスト柱部材7、70へ載置する際の荷重や、仕口部材6、60の吊り金具22で中空プレキャスト柱部材7、70を吊ったときの荷重がかからない。このため、塞ぎ板4の鋼板を薄くして、仕口部材6を軽量化、簡素化することが可能となる。これにより、中空プレキャスト柱部材7への荷重負担も軽減され部材の補強が不要となる。また、仕口部材6、60の中空プレキャスト柱部材7、70への設置作業も容易に行うことができる。塞ぎ板4が鋼板製であるため、同じ鋼製品である鉄骨製梁材2との接合が容易で、柱のせん断補強材としての機能を確保しやすい。
中空プレキャスト柱部材7、70にフープ筋8が埋設され、また、仕口部材6、60の塞ぎ板4が、仕口部における、せん断補強部材となっている。このため柱主筋9、110自体にフープ筋を取り付ける必要がなく、柱ユニット1では仕口部材6のX字状の仕口部梁組3の間に、柱の高さ方向へスライド自在に柱主筋9を配置でき同時に、中空プレキャスト柱部材7に対する同様の動きも確保されている。本実施形態の柱主筋9の、仕口部材6上端からの突出長さは、建物1層分以上であるため、一の柱ユニット1の施工で、2層分の柱主筋9を施工でき施工効率が向上する。建物2層分の長さの柱主筋9が突出させた場合、3層分の柱主筋9を先行施工でき施工効率が向上する。
本実施形態の施工方法においては、図8に示すように、柱主筋の長さが建物2層分である。柱ユニット1と第二柱ユニット100の高さが、設置面である床のコンクリート天端から、上階の床コンクリート下端までの寸法と等しく設定され、互に隣接して用いられている。このため、各施工階単位で、柱主筋1と柱ユニット1の柱主筋9との接合作業が必要な柱ユニット1の使用箇所と、柱主筋の接続作業のない第二柱ユニット100の箇所の数をほぼ等しくでき、柱主筋1と柱ユニット1の柱主筋9との接合作業を、ほぼ半分に軽減でき作業量が安定的になる。
これにより、建物の躯体施工期間にわたり、工事にかかる手間と時間を各施工階で平均化できる。より具体的には、各施工階共通で、調達すべき資材の定量化、確保すべき技術者数の低減、施工期間の短縮等が可能となる。
中空プレキャスト柱部材7、70に埋設されているスパイラル状のフープ筋8により、中空プレキャスト柱部材7、70に特別な補強をしなくても、中空プレキャスト柱部材7、70上部の柱部連結金具24で中空プレキャスト柱部材7、70全体を吊り上げることができ、部材の製作の省力化、部材自体の軽量化が図れる。吊り金具22および仕口部連結金具23は、仕口部材6、60の仕口部梁組3に設けられている。このため、中空プレキャスト柱部材7、70と仕口部材6、60の連結、吊り上げに際し、塞ぎ板4に荷重がかからず、塞ぎ板4の軽量化が可能となっている。仕口部連結金具23は、仕口部材6、60と中空プレキャスト柱部材7、70との横方向のずれ防止だけでなく、上下方向の連結機能を有している。このため、仕口部材6、60を吊ることで、同時に中空プレキャスト柱部材7、70を吊リ上げることができ、両者を容易に一体的に扱うことができる。したがって、柱ユニット1または第二柱ユニット100の上部からでも、仕口部材6下部の中空プレキャスト柱部材7は、柱主筋9に対しスライド自在にすることができる。
さらに、柱部分は中空プレキャスト7、仕口部分は塞ぎ板4が型枠を兼用し、梁部分は鉄骨であり、床材13は床型枠のデッキプレートを使用しているため、建物の躯体工事における型枠が不要になり、工期短縮やコストの低減が可能となる。
柱主筋形成材21は、各柱主筋用鉄筋20の位置を保持しながら、まとめて柱主筋9として組み上げるための保持具となり、同時に柱主筋9の吊り治具ともなっている。このため、中空プレキャスト柱部材7に対し、柱主筋9を容易にスライド操作できる。
図9には、柱ユニット1の変形例が示されている。2つの中空プレキャスト柱部材を連結用仮設部材28にて連結して、柱ユニット1の中空プレキャスト柱部材7とし、仕口部材6上部に柱主筋9を建物1層分以上の長さ突出させた、他の柱ユニット1の実施形態を示す。
図9に示す変形例における中空プレキャスト柱部材7は、中空プレキャスト柱部材7a、7bを連結して構成されている。この場合、連結される各中空プレキャスト柱部材7の数や、長さ寸法に限定はない。これにより、上記実施形態の作用効果を損なうことなく、あらゆる高さの柱ユニット1を組み立てることが可能となり広範囲の建物に使用できる。すなわち、建物の階高や、柱の高さ、プレキャスト成型の限界、搬送の時の長さ制限等に左右されずに適用できる。
また、図9の上側の中空プレキャスト柱部材7aは、柱ユニット1を用いる対象建物の標準的な施工階における中空プレキャスト柱部材の寸法、すなわち、その頂部に仕口部材6を載置した場合に、設置面から上階の床コンクリート下端まで達する寸法に設定されている。一方、下側の中空プレキャスト柱部材7bは、その上端を2階床コンクリート天端までの特殊な長さの寸法とされている。したがって、図9の中空プレキャスト柱部材7の構成では、下側の中空プレキャスト柱部材7bのみが特殊形状のものとなり、上側の中空プレキャスト柱部材7aは標準的な寸法となる。
これにより、特殊な形状の中空プレキャスト柱部材を、接続される一方のみとすることができ、特殊な形状の中空プレキャスト柱部材の数量を減らすことができる。また、この特殊な形状の中空プレキャスト柱部材7bは切断することにより、標準的な長さ寸法の中空プレキャスト柱部材7aとして転用でき、中空プレキャスト柱部材の利用効率が向上する。
なお、図9の変形例における柱主筋9の長さは、柱ユニット1を用いる対象建物の、標準的な柱ユニット1が設置される面における柱主筋10の突出長さと同程度の長さ分、仕口部材6の上端から突出する寸法に設定してもよい。
本実施形態における、柱主筋9は、柱ユニット1の取り付け完了状態において、仕口部材6上端から柱主筋9が突出する長さを有していればよい。本実施形態における柱主筋9は、建物2層分の長さ寸法を有しているため、柱ユニット1としては、柱主筋9が、中空プレキャスト柱部材7の高さ寸法よりも、建物1層分以上の長さ分、中空プレキャスト柱部材7から突出する形態であるが、この突出長さに限定されない。例えば、柱主筋9を建物2層分の長さ以上突出させてもよいし、0.5層分としてもよい。柱主筋9は途中で柱主筋用鉄筋20を接続して全体で本柱ユニット1の柱主筋9としてもよい。これにより、柱主筋9の長さは施工状況に応じて自由に変えることができ、施工の自由度が向上する。また、1つの柱ユニット1により、複数階分の柱主筋の先行施工が可能となり、施工効率がさらに向上する。
本実施形態における、柱ユニット1の仕口部梁組3の鉄骨製梁材2は、鉄骨製梁が柱の四側面に柱芯位置で接続している場合の形態であるが、これに限定されない。すなわち、仕口部梁組3の鉄骨製梁材2を中空プレキャスト柱部材7の四側面位置より延長し、仕口部材6の全体形状として田の字状の、内側の十字状を四方向、外側へ延長した形態であるが、これに限定されない。例えば、柱に接続される梁の方向と本数により、鉄骨製梁材2を延長する方向を、図10,11に示すような2方向とし、仕口部材6の全体形状をL字状やI字状にしてもよい。また、図示していないが3方向にし、T字状に仕口部材6を形成してもよい。
また、柱ユニット1の鉄骨製梁部材2を構成する、第一鉄骨製梁材2a、各第二鉄骨製梁材2bを中空プレキャスト柱部材7の柱芯から偏芯させた位置で、仕口部梁組3を組んでもよい。さらに、第一鉄骨製梁材2aを挟む両第二鉄骨製梁材2bは、同一線上に設けなくてもよい。両第二鉄骨製梁材2bは、第一鉄骨製梁材2aに対し直角でなくてもよい。また、第一鉄骨製梁材2aおよび各第二鉄骨製梁材2bは、同一の断面形状でなくても良く、それぞれの接続位置についても制限はない。
本実施形態における、第一鉄骨製梁材2aは、単一部材である必要はなく、また複数部材とした場合でも、同一線上に配置しなくてもよい。例えば、仕口部梁組3を柱幅の1/2以上の長さを有する4本の鉄骨製梁材2を直角に交差させて組み、X字状を構成してもよい。この場合、4本を一点でX字状に交差させなくてもよい。すなわち、本実施形態において、「交差して」とは各鉄骨製梁材2が、一方に対し他方が突出するように、相互に構造的に接続されていることを意味する。
鋼板製の塞ぎ板4の鉄骨製梁材2の側部への接合は、溶接に限定されない。柱のせん断補強材およびコンクリート打設空間5に対する型枠の機能を果たせる接合であればよい。鋼板製の塞ぎ板4の高さ寸法は、梁せいと同一である必要はない。例えば、梁せい寸法より大きくし、鉄骨製梁材2の下端より下方に突出させて取り付けてもよい。その場合、鋼板製の塞ぎ板4の取り付け位置は、中空プレキャスト柱部材7、70の外周面より外側にし、中空プレキャスト柱部材7、70の側面を囲むようにする。これにより、仕口部材6、60の荷重が、鋼板製の塞ぎ板4にかからなくなる。
中空プレキャスト柱部材7、70のフープ筋8は、スパイラル状のフープ筋8に限定されず、通常のフープ筋を配置してもよい。ただし、この場合、フープ筋同士を柱主筋方向で連結する連結部材を取り付ける方が好ましい。また、炭素繊維等をフープ筋の代わりに用いてもよい。
仕口部材6、60と中空プレキャスト柱部材7、70の連結手段は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、鉄骨製梁材2と中空プレキャスト柱部材7、70をワイヤ等の線条材で固定してもよい。また、中空プレキャスト柱部材7、70の各側面に鉤形の部材を、鉄骨製梁材2のフランジ幅の間隔で一対ずつ回動自在に取り付け、鉤形の部材を鉄骨製梁材2下端フランジの両端へ係合させて一体としてもよい。
柱主筋形成部材21の材料部材は、山形鋼に限定されるものではなく、各柱主筋9の位置関係をある程度保持しながら、吊り上げることができるものであればよい。柱主筋形成部材21は柱主筋9を仕口部材6から中空プレキャスト柱部材7に挿入する際に、障害とならない部分に複数設けてもよい。柱主筋9の柱主筋用鉄筋20は、ねじ鉄筋に限らず、他の形状の鉄筋としてもよい。柱主筋どうしの接合部は、ねじ切り加工してナット止め可能としても、通常の圧接にしてもよい。床材13は、ハーフプレキャスト床版やデッキプレート、従来工法の型枠でもよい。また、フルプレキャスト床版などのように、コンクリートを打設しない床を、柱ユニット内へのコンクリート打設前もしくは打設後に設置してもよい。
本発明に係る柱ユニットの好適な一実施形態を示す斜視図である。 図1に示した柱ユニットの平面図である。 図1に示した柱ユニット上部の縦断面図である。 本発明に係る柱ユニットを用いた建物の施工方法の好適な一実施形態における柱ユニット取り付け手順を示す側面図である。 本発明に係る柱ユニットを用いた建物の施工方法の好適な一実施形態における鉄骨製梁材取り付け手順を示す側面図である。 本発明に係る柱ユニットを用いた建物の施工方法の好適な一実施形態における床材配置および配筋の手順を示す側面図である。 本発明に係る柱ユニットを用いた建物の施工方法の好適な一実施形態におけるコンクリート打設手順を示す側面図である。 本発明に係る柱ユニットを用いた建物の施工方法の好適な一実施形態におけるコンクリート打設後の柱ユニットおよび第二柱ユニットの取り付け手順を示す側面図である。 本発明に係る柱ユニットの変形例を示す、取り付け状況の側面図である。 本発明に係る柱ユニットの他の変形例の平面図である。 本発明に係る柱ユニットのさらに他の変形例の平面図である。
符号の説明
1 柱ユニット
2 鉄骨製梁材
3 仕口部梁組
4 鋼板製の塞ぎ板
5 コンクリート打設空間
6 仕口部材
7 中空プレキャスト柱部材
8 フープ筋
9 柱主筋
10 設置面から突出する柱主筋
11 仕口部間の鉄骨製梁部材
13 床材
14 床配筋
15 打設したコンクリート
60 第二柱ユニットの仕口部材
70 第二柱ユニットの中空プレキャスト柱部材
100 第二柱ユニット
110 設置面から建物1層分以上突出されている柱主筋

Claims (5)

  1. 鉄骨製梁材を交差させて組んで形成された仕口部梁組と、仕口部の周方向に沿って該梁材間に配置され、当該梁材の側部に一体的に接合されてコンクリート打設空間を形成する鋼板製の塞ぎ板とから仕口部材を構成し、
    上記仕口部材を、フープ筋が埋設された中空プレキャスト柱部材の頂部に載置するとともに、
    上記中空プレキャスト柱部材内方に上記仕口部材にわたって貫通させて、柱の高さ方向にスライド自在に柱主筋を配設したことを特徴とする柱ユニット。
  2. 前記柱主筋の長さ寸法が、少なくとも建物2層分であることを特徴とする請求項1に記載の柱ユニット。
  3. 前記中空プレキャスト柱部材が、複数の中空プレキャスト柱部材を連結したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の柱ユニット。
  4. 請求項1に記載の柱ユニットおよび該柱ユニットから前記柱主筋を除いた構成の第二柱ユニットを作製する第1工程と、
    次いで、上記柱ユニットを、柱主筋の下端が前記中空プレキャスト柱部材下端から突出するようにして吊り上げて、上記柱主筋を、上記柱ユニットの設置面から突出する柱主筋に接合して、上記柱ユニットを吊り降ろして上記柱ユニットの設置面に設置する一方で、上記第二柱ユニットを、上記柱ユニットに隣接する当該第二柱ユニットの設置面から少なくとも建物1層分突出されている柱主筋に挿入して設置する第2工程と、
    次いで、上記柱ユニットの前記仕口部梁組の前記鉄骨製梁材と、上記第二柱ユニットの仕口部梁組の鉄骨製梁材との間に鉄骨製梁部材を架設して接合する第3工程と、
    その後、これら柱ユニットおよび第二柱ユニット内にそれらの前記仕口部材から前記中空プレキャスト柱部材内にわたって一体的に現場打ちコンクリートを打設する第4工程を備えることを特徴とする柱ユニットを用いた建物の施工方法。
  5. 請求項4に記載の施工方法において、第3工程と第4工程の間に、上記梁材および上記梁部材に床材を配置して、該床材上に床配筋を施工する床工程を備えたことを特徴とする柱ユニットを用いた建物の施工方法。
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