JP2008019890A - 防振架台 - Google Patents

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Abstract

【課題】運搬時の輸送コストを低減でき、しかも、使用時(特に長期間の使用時)においてガタツキが生じない防振架台を提供する。
【解決手段】この発明では、固定ボルト46の先端をボルト固定部材30の螺子孔32にねじ込むと、ボルト固定部材30が固定ボルト46側に引き寄せられて撓み、このときに発生する撓み力がボルト固定部材30と固定ボルト46との『ゆるみ止め』として機能することとなる。したがって、防振架台10を長期間使用した場合であっても、振動発生源16の振動によって固定ボルト46が緩んでガタツキが生じるのを防止できる。また、下枠14ならびに上枠18は、固定ボルト46を緩めるだけで簡単に分解できるので、防振架台10の運搬時において従来のようなデッドスペースが生じることはなく、その分、運搬コストを低く抑えることができる。
【選択図】図6

Description

この発明は、床や設備取付台などの設置面と、機械装置などの振動発生源との間に介装され、振動発生源からの振動が設置面に伝達されることを防止する防振架台の改良に関する。
従来、振動発生源から発生する振動が設置面に伝わるのを防止するために、振動発生源と設置面との間に防振架台を介装することが一般に行われていた(例えば、特許文献1参照)。
この従来の防振架台は、設置面に据え付けられる矩形枠状の下枠と、振動発生源が取り付けられる矩形枠状の上枠と、下枠および上枠の間に配置された吸振体とで大略構成されている。
特開2001−304335号公報
前記従来の防振架台では、上枠や下枠が4本の枠構成材(角パイプ)を矩形枠状に組み合わせることによって構成されるが、各枠構成材同士が溶接によって接続されている場合には、防振架台の運搬時において中央部分の空間がデッドスペースとなり、輸送コストが嵩むという問題があった。
一方、各枠構成材同士がボルト・ナットなどの締結手段によって接続されている場合には、上枠や下枠を分解して搬送することが可能であるため上述した問題は解消されるが、長期間使用していると、振動発生源から生じる振動によってボルト・ナットが次第に緩み、ガタツキが生じるという問題があった。
それゆえに、本願発明の目的は、運搬時の輸送コストを低減でき、しかも、使用時、特に長期間の使用においてもガタツキが生じない防振架台を提供することである。
請求項1に記載の発明は、
(a) 設置面12に据え付けられる下枠14と、振動発生源16が取り付けられる上枠18と、下枠14と上枠18との間に配置されて振動発生源16から上枠18に伝わった振動を吸収する吸振体20とを備える防振架台10であって、
(b) 下枠14および上枠18は、隅部に配置されたコーナー部材24,50と、隣合うコーナー部材24,50同士を連結するパイプ状若しくは断面略U字状の枠構成材22,48とで構成されており、
(c) コーナー部材24,50は、一方の枠構成材22L,48Lの当接端面22a,48aと当接する第1当接板34,58と、他方の枠構成材22S,48Sの当接端面22a,48aと当接する第2当接板36,60とを有しており、
(d) 第1当接板34,58および第2当接板36,60には、固定ボルト孔40,64がそれぞれ形成されており、
(e) 各枠構成材22,48の互いに対向する側壁22Y,48Yには、その長手方向両側端部にボルト固定部材取付孔28が形成されており、
(f) 各枠構成材22,48の長手方向両側端部内には、固定ボルト孔40,64に対応して螺設された螺子孔32を有するボルト固定部材30が、その両側端部に設けられている係止爪30bをボルト固定部材取付孔28に係止することによって配設されており、
(g) コーナー部材24,50の固定ボルト孔40,64に挿通された固定ボルト30,46がボルト固定部材30の螺子孔32に螺着されてなる」ことを特徴とする防振架台10である。
この発明は、枠構成材22,48の長手方向両側端部内に配設されたボルト固定部材30の両側端部の係止爪30bが枠構成材22,48の固定部材取付孔28に係止され、この状態でコーナー部材24,50の固定ボルト孔40,64に挿通された固定ボルト46を螺子孔32に締め込んで螺着するので、ボルト固定部材30は、締め込んだ時の固定ボルト46の張力によって固定ボルト46の頭部側に引き寄せられて若干撓み、このときに発生する反力がボルト固定部材30と固定ボルト46との『ゆるみ止め』として機能する。したがって、防振架台10を長期間使用した場合であっても、振動発生源16の振動によって固定ボルト46が緩んでガタツキが生じるのを防止できるのである。
一方、固定ボルト46を緩めれば、下枠14ならびに上枠18を簡単に分解してコンパクトに収納することができるので、防振架台10の運搬時において従来のようなデッドスペースが生じることはなく、その分、運搬コストを低く抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、「第1当接板34,58および第2当接板36,60における枠構成材22,48との当接面には、各枠構成材22,48の当接端部の内面形状より若干小さくて嵌合可能な外形を有する位置決めプレート90が更に取り付けられている」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、下枠14や上枠18を組み立てる際、位置決め用プレート90を枠構成材22,48の当接端部に嵌め込むことによってコーナー部材24,50と枠構成材22,48とを位置決めできるので、下枠14や上枠18の組立作業の作業効率を大幅に高めることができるし、コーナー部材24,50と上・下枠14,18のズレ、特に長期間の使用においてもズレの発生もない。
本願発明によれば、運搬時の輸送コストを低減でき、しかも使用時、特に長期間の使用においてもガタツキやズレが生じない防振架台を提供できる。
以下、本願発明を図面に従って説明する。防振架台10は、図1に示すように、マンションの床面や機器の据え付け面のような設置面12に据え付けられる下枠14と、振動発生源16が取り付けられる上枠18と、下枠14と上枠18との間に配置される吸振体20とを備えている。
下枠14は、図2に示すように4本の枠構成材22(2本の長い枠構成材22Lと2本の短い枠構成材22S)と、枠構成材22同士をコーナー部で接合する4個のコーナー部材24とによって、平面視略四角形に構成されている。
各枠構成材22は、隣合うコーナー部材24同士を接続するために設けられる断面略四角形状のパイプ状部材であり、鉄等のような高剛性材料によって強固に形成されている。そして、各枠構成材22の上下面には、基礎ボルト25(図1)を挿通するための複数(本実施例では2個)の基礎ボルト孔26が形成されている。なお、本実施例では、4本の枠構成材22のうち、長辺側の枠構成材22にのみ基礎ボルト孔26が形成されているが、短辺側の枠構成材22にのみ基礎ボルト孔26を形成するようにしてもよいし、4本の枠構成材22全てに基礎ボルト孔26を形成するようにしてもよい。また、その数も適宜設定可能である。
各枠構成材22の2つの側壁22Yには、その長手方向両側端部にボルト固定部材係止孔28(図1,図5)がそれぞれ形成されており、このボルト固定部材取付孔28には、ボルト固定部材30が取り付けられている(図6)。
各ボルト固定部材取付孔28(図5)は、後述するボルト固定部材30を枠構成材22の長手方向両側端部に係止により取り付けるために設けられる孔であり、本実施例1では、枠構成材22の当接端面22aから遠い側が丸孔部28a(勿論、丸孔でなく、角孔でもよく、孔の形状は問わない。)で、当接端面に近い側が嵌着用切欠部28b(ここでは角孔となっている。)であり、いわゆる、本実施例では「だるま孔」と呼ばれる形状に形成されている。なお、丸孔部28aの直径をx1とし、嵌着用切欠部28bの高さをx2とするとx1>x2ということになる。
ボルト固定部材30は、枠構成材22の内面形状よりも小さく嵌合可能な外形を有する細長板状のボルト固定部材本体30aと、ボルト固定部材本体30aの長手方向両端部に突設された係止爪30bとを備えており、ボルト固定部材本体30aの中央部分には、後述する固定ボルト孔40に対応して複数(本実施例では2個)の螺子孔32がその幅方向に並んで形成されている。螺子孔32の数は、下枠14を構成する枠構成材22とコーナー部材24との接合強度に応じて適宜設定すればよく3個以上設けるようにしてもよい。螺子孔32の数を2個以上設けた場合、枠構成材22のコーナー部材24に対する回転を止めることが出来る。
なお、本実施例では、係止爪30bの断面形状が略矩形状となっているが、例えば、図13に示す他の実施例のように断面円形状としてもよい(この場合、固定部材取付孔28の形状は、単なる長孔とすることが可能である。)。
ここで、ボルト固定部材30と枠構成材22との関係について説明すると、図5〜6を参照して、ボルト固定部材30のボルト固定部材本体30aは、枠構成材22の内部を閉塞するような状態で収容される必要があるから、ボルト固定部材本体30aの長手方向の長さ(y1)は、枠構成材22の横方向の内幅(z1)よりも短く設定されており、また、ボルト固定部材本体30aの短手方向の長さ(y2)は、枠構成材22の高さ方向の内幅(z2)よりも短く設定されている。
一方、ボルト固定部材30とボルト固定部材取付孔28との関係について説明すると、ボルト固定部材取付孔28には、横向きに倒した状態のボルト固定部材30(図5参照)が挿入されることから、ボルト固定部材取付孔28の長軸方向の長さ(x3)は、ボルト固定部材30の短手方向の長さ(y2)よりも長く設定されている。
また、ボルト固定部材取付孔28の丸孔部28aでは、後述するように、係止爪30bを中心にしてボルト固定部材30を回転させる必要があることから、ボルト固定部材取付孔28の丸孔部28aの内面形状は、係止爪30bの断面形状よりも大きく形成されている。
さらに、ボルト固定部材取付孔28の嵌着用切欠部28bでは、後述するように、縦向きにしたボルト固定部材30の係止爪30bをスライドさせて係止する必要があることから、係止爪30bが嵌着用切欠部28bで回転しない程度でその高さ(x2)が係止爪30bの幅y3よりも若干大きく設定されている。
各コーナー部材24は、下枠14の隅部に配置され、互いに直交する2本の枠構成材22を接合するための部材であり、図6に示すように、一方の枠構成材22Lの当接端面22aと当接する第1当接板34と、他方の枠構成材22Sの当接端面22aと当接する第2当接板36と、第1当接板34と第2当接板36とに直交してこれらを連結する連結板38とを有し、これらが1つの部材として一体的に形成されている(つまり、所定形状に形成された1枚の板状部材を折曲形成(或いはこれらの部材34,36,38を溶接)することによって各コーナー部材24が形成される。)。なお、前者の場合、第1当接板34と第2当接板36との直交突き合せ部分は溶接されており、これにより、各コーナー部材24の基材強度向上が図られている。
第1当接板34および第2当接板36には、複数(本実施例では2個)の固定ボルト孔40がボルト固定部材30の螺子孔32と対応する位置に形成されている。また、連結板38の中央部分には、連結ボルト42(図9)を挿通するための下側連結ボルト孔44が形成されている。なお、本実施例では、連結ボルト42としていわゆる角根ボルトが用いられているため、下側連結ボルト孔44の断面形状が連結ボルト42の角根部分42aの外周形状に合わせて略四角形状に形成されている。
下枠14を組み立てる際には、隅部に配置されるコーナー部材24のうち、隣合うコーナー部材24同士が枠構成材22によって接合される。
すなわち、まず、図5に示すように、横向きにしたボルト固定部材30を係止爪30bが先頭となるようにして一方の枠構成材22のボルト固定部材取付孔28に挿入し、丸孔部28a内で係止爪30bを中心にしてボルト固定部材30を90度回転させ、ボルト固定部材30を縦向きにし、この状態でボルト固定部材30をボルト固定孔28の嵌着用切欠部28b側にスライドさせ、ボルト固定部材30の両端の係止爪30bを枠構成材22の両側壁22Yの嵌着用切欠部28bにそれぞれ係止することによりボルト固定部材30の枠構成材22への取り付けが完了する(図6)。このとき、ボルト固定部材30は、係止爪30bが嵌着用切欠部28bの係止端部28cと当接して枠構成材22の当接端面22aから離れた箇所に位置決めされるので、枠構成材22の当接端面22aとの間には隙間Kが設けられることになる。
なお、本実施例では、係止爪30bが断面矩形状に形成されているので、ボルト固定部材取付孔28の嵌着用切欠部28bに取り付けられているボルト固定部材30が勝手に回転することはない。
次に、図6に示すように、コーナー部材24の第1当接板34に一方の枠構成材22Lの当接端面22aを当接させる。そして、第1当接板34に設けられた固定ボルト孔40に固定ボルト46を挿通し、この固定ボルト46の先端をボルト固定部材30の螺子孔32にねじ込むことにより、第1当接板34と一方の枠構成材22Lとが連結される。そして、他方の枠構成材22Sと第2当接板36についても上述と同様の作業を行えば、各コーナー部において直交する2本の枠構成材22とコーナー部材24とが接合される。このようにして、全てのコーナー部において、直交する2本の枠構成材22をコーナー部材24を介して互いに接合することにより下枠14が完成する。なお、固定ボルト46の先端が、このような状態で枠構成材22,48に取り付けられたボルト固定部材30の螺子孔32に螺着された状態に付いては後で詳述する。
上枠18は、図3に示すように、4本の枠構成材48(2本の長い枠構成材48Lと2本の短い枠構成材48S)と、枠構成材48同士をコーナー部で接合する4個のコーナー部材50(図7)とによって、平面視略四角形に構成されている。
上枠18を構成している各枠構成材48は、下枠14を構成している枠構成材22と同様、断面略四角形状のパイプ状部材であり、鉄等のような高剛性材料によって強固に形成されている。各枠構成材48の上下面には、振動発生源16である機器を上枠18に固定するための固定ボルト52(図1)を挿通するための複数(本実施例では2個)の固定ボルト孔54が形成されている。なお、本実施例では、4本の枠構成材48のうち、長辺側の枠構成材48Lにのみ固定ボルト孔54が形成されているが、短辺側の枠構成材48Sにのみ固定ボルト孔54を形成するようにしてもよいし、4本の枠構成材48全てに固定ボルト孔54を形成するようにしてもよい。また、その数も適宜設定可能である。
各枠構成材48の2つの側壁48Yには、その長手方向両側端部に前記下枠22と同じボルト固定部材取付孔28(図1)がそれぞれ形成されている。
各コーナー部材50は、図7に示すように、一方の枠構成材48Lの当接端面48aと当接する第1当接板58と、他方の枠構成材48Sの当接端面48aと当接する第2当接板60と、第1当接板58と第2当接板60とに直交してこれらを連結する連結板62とを有し、前記下枠22用のコーナー部材22と同様にこれらが1つの部材として一体的に形成されている。また、各コーナー部材50の上端部には、各コーナー部材50の基材強度を高めるための略三角形状の補強板63が第1当接板58と第2当接板60とに直交して溶接されている。
第1当接板58および第2当接板60には、複数(本実施例では2個)の固定ボルト孔64がボルト固定部材30の螺子孔32と対応する位置に形成されている。また、連結板62の中央部分には、連結ボルト42(図9)を挿通するための上側連結ボルト孔66が形成されている。
そして、上枠18を組み立てる際には、下枠14を組み立てたのと同様、コーナー部材50の第1当接板58に一方の枠構成材48Lの当接端面48aを当接させる。そして、第1当接板58に設けられた固定ボルト孔64に固定ボルト46を挿通し、この固定ボルト46の先端をボルト固定部材30の螺子孔32にねじ込む。これにより、第1当接板58と一方の枠構成材48Lとが連結される。
そして、他方の枠構成材48Sと第2当接板60についても上述と同様の作業を行えば、各コーナー部において直交する2本の枠構成材48とコーナー部材50とが接合され(図10)、全てのコーナー部において直交する2本の枠構成材48を互いに接合すれば、上枠18が完成する。
吸振体20は、振動発生源16から上枠18に伝わった振動を吸収して下枠22への振動の伝達を遮断するものであり、図8に示すように、下枠14における枠構成材22の上部に跨設片77にて跨設するように装着される装着部68と、下端が装着部68の上面に固定された弾性体70と、下端部が装着部68に取り付けられ、弾性体70の側面および上面を覆う逆カップ状のケーシング72と、弾性体70の内周面にその鰭部分が接触するように配設され、弾性体70のサージングを防止するための粘弾性部材75とで大略構成されている。なお、ケーシング72は、ゴムなどの可撓性材料からなり、その側面は蛇腹状に形成されている。したがって、弾性体70が上下方向或いは水平方向に変形すると、この弾性体70の動きに応じてケーシング72が変形できる。
防振架台10を組み立てる際には、まず、下枠14における枠構成材22の上に跨設片77にて跨設するようにして吸振体20が装着され、この吸振体20の上に上枠18が載置される。そして、図9に示すように、下枠14を構成するコーナー部材24の下側連結ボルト孔44(図6)と、上枠18を構成するコーナー部材50の上側連結ボルト孔66(図7)とに連結ボルト42が挿通される。このとき、この連結ボルト42は、その根元部分(角根部分42a)が下側連結ボルト孔44に嵌め込まれており、座金74ならびにナット76によってコーナー部材24の連結板38に固定される。
また、連結ボルト42の先端は、コーナー部材50の上側連結ボルト孔66に摺動自在に挿通されており、コーナー部材50の上下両面側に螺着されたナット78およびダブルナット状のナット80によってコーナー部材50の上下方向への変位量が規制される。さらに、コーナー部材50の上面から上側連結ボルト孔66の内周にかけての部分には、連結ボルト42の脚42bとコーナー部材50の連結ボルト孔66とが直接衝突するのを防止するために緩衝材82が配置されている。
防振架台10を使用する際には、防振架台10をマンションの床面や機器の据え付け面である設置面12に据え付ける(勿論、下枠22を先に設置面12に据え付け、それから組み立てるようにしてもよい。)。この時、設置面12に埋め込まれている基礎ボルト25(図1)を下枠14における枠構成材22の基礎ボルト孔26に挿通し、枠構成材22の上部に突出した基礎ボルト25の頭部にナット84をねじ込んで防振架台10を設置面12に固定する。そして、上枠18の上面にポンプなどの振動発生源16が載置され、この振動発生源16が各枠構成材48の固定ボルト孔54に挿通された固定ボルト52とナット88とによって上枠18に固定される。
振動発生源16の駆動時には、振動発生源16の振動が上枠18に伝達されるが、この振動は、吸振体20によって吸収されるので、下枠14への伝達が抑制される。この間、連結ボルト42は上側連結ボルト孔66に接触していないので、この部分から振動が下枠14に伝達されることはない。このような設置状況下において、地震のような大きな揺れに襲われた時、上側連結ボルト孔66が緩衝材82を介して連結ボルト42に衝突して上枠18の移動量を規制することになり、下枠14に対する上枠18の大幅な位置ずれが防止されると同時に、連結ボルト42に螺着されたナット78、ナット80によってコーナー部材50の上下方向の移動に対する規制がなされることになるので、振動発生源16と共に上枠18が下枠14から脱落・転倒するというようなこともない。
次に、係止爪30bとボルト固定部材取付孔28との関係について説明する。本実施例では、前述のようにボルト固定部材30を枠構成材22(48)のボルト固定部材取付孔28に挿入し、係止爪30bをボルト固定部材取付孔28(48)における嵌着用切欠部28bの係止端部28cに当接することにより、ボルト固定部材30が枠構成材22(48)の当接端面22a(48a)から離れた箇所に固定される。このとき、ボルト固定部材30の外面と枠構成材22(48)の当接端面22a(48a)との間には隙間Kが存在することとなる。また、ボルト固定部材30における係止爪30b以外の外側面は、枠構成材22(48)の内側面と接触しておらず、フリーな状態となっている。
そして、このような状態で枠構成材22,48に取り付けられたボルト固定部材30の螺子孔32に固定ボルト46の先端部分が強力に締め込まれて螺着されているので、ボルト固定部材30は、固定ボルト46の張力によって固定ボルト46の頭部側に引き寄せられて若干撓み、このときに発生する撓み力の反力がボルト固定部材30と固定ボルト46との『ゆるみ止め』として機能することとなる。従って、防振架台10の使用時(特に長期間の使用時)において、振動発生源16の振動によって固定ボルト46が緩むことはなく、下枠14や上枠18のガタツキ発生を防止できる。
一方、上枠14ならびに下枠18は、固定ボルト46による現場組み立てが可能である(或いは固定ボルト46を緩めるだけで簡単に分解できる)ので、防振架台10の運搬時に分解状態で運ぶことができる。したがって、従来のようなデッドスペースが生じることはなく、その分大量輸送が可能となり、運搬コストを低く抑えることができる。
なお、上述の実施例において、各コーナー部材24,50の第1当接板34,58および第2当接板36,60における枠構成材22,48との当接面に位置決め用プレート90を取り付けて、枠構成材22,48の開口部に嵌り込む嵌合凸部を構成するようにしてもよい(図11参照)。
ここで、位置決め用プレート90は、枠構成材22,48の内面形状よりも若干小さく嵌合可能な外形を有する板状部材であり、その角部および長辺中央部は切り欠かれている。なお、このような切り欠きを設けるのは、位置決め用プレート90を各コーナー部材24,50に溶接する際の溶接時の隅肉ビード用のスペースを確保するためである。また、切り欠きを設けることにより、枠構成材22,48の内側面と位置決め用プレート90の外周面との接触面積を少なくして位置決め用プレート90の枠構成材22,48への嵌合作業を容易にするという効果もある。というのも、枠構成材22,48の内面はフラットではなく、継ぎ目(溶接シーム)部分や塗装・メッキムラ等に起因する凹凸が存在するのが通常であり、位置決め用プレート90の外周面に切り欠きを設けない場合には、位置決め用プレート90を枠構成材22,48に嵌合させる際、位置決め用プレート90の長辺が枠構成材22,48内部の突出部分に引っ掛かり、その嵌合作業が困難になるからである。
また、位置決め用プレート90の中央部分には、固定ボルト孔40,64と対応する位置に複数(本実施例では、固定ボルト孔40,64の数に合わせて2個)の連結ボルト孔92が穿設されている。なお、位置決め用プレート90の第1当接板34ならびに第2当接板36への取り付けは、上述したように溶接等の手段が採用される。位置決め用プレート90の板厚やボルト固定部材取り付け孔28の位置は、下枠14や上枠18の組み立て時において、位置決め用プレート90とボルト固定部材30との間にすきまK’(図10)が形成されるよう、適宜設定される。
本実施例によれば、下枠14や上枠18を組み立てる際、位置決め用プレート90を枠構成材22に嵌め込むことによってコーナー部材24,50と枠構成材22,48とを容易に位置決めすることができるので、下枠14や上枠18を組み立てる際の作業効率を大幅に高めることができる。
なお、これは上述実施例の全てに言えることであるが、下枠14や上枠18を構成している枠構成材22,48は、互いに対向する2つの側壁の間にボルト固定部材30を収容するための空間が存在すれば、パイプ状に限定されるものではない。
たとえば、枠構成材22,48を断面略U字状(断面略コ字状をも含む概念である。)の部材にて構成してもよい(図12参照)。なお、図12では、下枠14を構成する枠構成材22を断面略U字状に形成した例を図示した。
発明者らは、本願発明にかかる防振架台の強度を以下の実験により確認した。
[実施例1]
枠構成材とコーナー部材とをボルト固定部材ならびに固定ボルトを用いて接合することにより下枠ならびに上枠を形成した。そして、下枠の上に吸振体を装着し、この吸振体の上部に上枠を載置し、下枠と上枠とを連結ボルト等を用いて連結することにより防振架台を完成させた。
そして、以上のようにして完成させた防振架台について強度試験を行なった。具体的には、防振架台の下枠を設置面に据え付け、上枠の上面にロードセルを取り付けた。そして、ロードセルを引き上げ、ロードセルに加わる荷重を測定した。
また、防振架台に生じた変形量の測定も併せて行なった。具体的には、下枠と設置面との間に生じた隙間を隙間ゲージを用いて測定した。これらの測定結果を図14に示す。
[比較例1]
枠構成材とコーナー部材とを溶接により接合して下枠ならびに上枠を形成した以外は実施例1と同様の方法にて防振架台を完成させ、上述の強度試験ならびに変形量の測定を行なった。その結果を図14に示す。
図14からわかるように、耐荷重(AとBとを比較)については、実施例1が比較例1に比べて1.5倍高いことが分かった。また、実施例1では、荷重を完全に除荷したときの変形量(残留変形量:aとbとを比較)が比較例1に比べて小さく、約5分の1であることも分かった。
このような結果の違いが出た理由について、発明者らは、枠構成材とコーナー部材とを連結しているボルト固定部材や固定ボルトが撓むことにより荷重が分散されることが要因と分析している。
本発明にかかる防振架台を示す正面図である。 図1実施例の平面図である。 図1実施例の底面図である。 下枠用のコーナー部材を示す斜視図である。 枠構成材のだるま孔にボルト固定部材を挿入する様子を示す図である。 コーナー部材と枠構成材とを接合する様子を示す図である。 上枠用のコーナー部材を示す斜視図である。 吸振体を示す図である。 防振架台の部分拡大図である。 図9におけるA−A線断面図である。 本発明にかかる第2実施例を示す図である。 枠構成材の変形例を示す図である。 ボルト固定部材およびボルト固定部材取付孔の変形例を示す図である。 強度試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
10…防振架台
12…設置面
14…下枠
16…振動発生源
18…上枠
20…吸振体
22,48…枠構成材
24,50…コーナー部材
28…ボルト固定部材係止孔
30…ボルト固定部材
32…螺子孔
46…固定ボルト
90…位置決め用プレート

Claims (2)

  1. (a) 設置面に据え付けられる下枠と、振動発生源が取り付けられる上枠と、前記下枠と前記上枠との間に配置されて前記振動発生源から前記上枠に伝わった振動を吸収する吸振体とを備える防振架台であって、
    (b) 前記下枠および前記上枠は、隅部に配置されたコーナー部材と、前記隣合うコーナー部材同士を連結するパイプ状若しくは断面略U字状の枠構成材とで構成されており、
    (c) 前記コーナー部材は、前記一方の枠構成材の当接端面と当接する第1当接板と、前記他方の枠構成材の当接端面と当接する第2当接板とを有しており、
    (d) 前記第1当接板および前記第2当接板には、固定ボルト孔がそれぞれ形成されており、
    (e) 前記各枠構成材の互いに対向する側壁には、その長手方向両側端部にボルト固定部材取付孔が形成されており、
    (f) 前記各枠構成材の長手方向両側端部内には、螺子孔を有するボルト固定部材が、その両側端部に設けられている係止爪を前記ボルト固定部材取付孔に係止することによって配設されており、
    (g) 前記固定ボルト孔に挿通された固定ボルトが前記ボルト固定部材の螺子孔に螺着されてなることを特徴とする防振架台。
  2. 前記第1当接板および前記第2当接板における前記枠構成材との当接面には、前記各枠構成材の当接端部の内面形状より若干小さくて嵌合可能な外形を有する位置決めプレートが更に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の防振架台。
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