JP2008019475A - 電着銅の脱塩素方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅中に含有される塩素を効率的に除去する方法を提供する。
【解決手段】酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅を、非酸化性ガス雰囲気下に500〜800℃の温度で加熱処理に付し、次いで硫酸洗浄処理に付すこと、さらに、前記硫酸洗浄処理の後に、水洗浄処理に付すこと、前記加熱処理に先だって、電着銅を希塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を用いた洗浄処理に付し、次いで水洗浄処理に付すことを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅を、非酸化性ガス雰囲気下に500〜800℃の温度で加熱処理に付し、次いで硫酸洗浄処理に付すこと、さらに、前記硫酸洗浄処理の後に、水洗浄処理に付すこと、前記加熱処理に先だって、電着銅を希塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を用いた洗浄処理に付し、次いで水洗浄処理に付すことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、電着銅の脱塩素方法に関し、さらに詳しくは、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅中に含有される塩素を効率的に除去する方法に関する。
現在、世界の銅の大部分が、銅精鉱を原料とした乾式溶錬法によって製造されている。前記乾式溶錬法による銅製錬は、溶錬炉、転炉、精製炉等を用いる一連の乾式製錬で銅精鉱を処理して得られた粗銅を電解精製する方法であり、大量の鉱石を効率よく処理するのに適した方法であるが、その反面、小型設備では反応効率が悪いので、大型設備のために膨大な設備投資が必要であること、また生成する大量のSO2ガスの回収が不可欠であること等の課題がある。このような状況下、近年、湿式法による精錬方法が研究されている。従来、湿式法による銅精錬としては、銅酸化鉱物を含有する銅鉱石を用いて、積み上げた鉱石に硫酸を散布して銅を浸出し、該浸出生成液の銅濃度を上げるために溶媒抽出法で処理した後、電解採取する方法が工業的に広く用いられている。しかし、銅鉱石の大部分を占める硫化鉱に前記方法を適用した場合、含有鉱物として最も賦存量の多い黄銅鉱では、硫酸による浸出速度が遅く、かつ銅浸出率が低い結果となるという問題があった。したがって、黄銅鉱を含む銅原料の湿式法による精錬方法では、乾式溶錬に匹敵する生産性を得ることは困難であった。
この解決策として、黄銅鉱の浸出を促進することができる酸性塩化浴で浸出を行う方法が提案されている。代表的な方法として、例えば、硫化銅鉱物を含む銅原料を塩素浸出する工程、浸出生成液を還元する工程、還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を濃縮した逆抽出生成液と鉄を濃縮した抽出残液とを得る工程、該逆抽出生成液中の銅イオンを電解採取する工程、該抽出残液から有価金属を分離回収する工程、及び処理後の抽出残液から鉄を回収する工程を含む一連のプロセスが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、鉱石を浸出する液として、硫酸をベースとする硫酸浴で浸出した場合には、銅イオンは二価の形態である。一方、塩化浴の場合には、浸出された銅イオンは一価と二価の両方の形態をとることができる。ここで、浸出液から銅イオンを電解法により電着銅として回収する際に、一価銅イオンは二価銅イオンの半分の電力で行えることから、事前に銅イオンを一価にした後に行なうことが、省エネルギーの効果が著しい。
ところが、硫酸浴からの電解では、平滑な電着物を得ることができるのに対し、塩化浴からの電解では、針状又は粒状の電着物となり、平滑な電着物は得られないことが知られている。ところで、現在の電気銅の市場では、板状のカソードの形として取引されるのが一般的であり、針状又は粒状の電着銅の場合には、缶に入れたり、或いは熔解して板状物にするため、その手間と費用が必要になる。さらに、塩化浴で得られた電着物には、電解液に起因する塩素の品位が高いという課題がある。すなわち、電着物中の塩素品位がある程度以上に上がると、熔解炉で電着物を熔解する際に、炉を損傷し易いという問題が生じる。
ところが、硫酸浴からの電解では、平滑な電着物を得ることができるのに対し、塩化浴からの電解では、針状又は粒状の電着物となり、平滑な電着物は得られないことが知られている。ところで、現在の電気銅の市場では、板状のカソードの形として取引されるのが一般的であり、針状又は粒状の電着銅の場合には、缶に入れたり、或いは熔解して板状物にするため、その手間と費用が必要になる。さらに、塩化浴で得られた電着物には、電解液に起因する塩素の品位が高いという課題がある。すなわち、電着物中の塩素品位がある程度以上に上がると、熔解炉で電着物を熔解する際に、炉を損傷し易いという問題が生じる。
この対策として、電着物中に含まれる塩素分を除去するために、銅の一部も溶解されるが、電着物に付着した塩素分を酸を用いて洗浄する方法が用いられる。しかしながら、この方法では、電着物が粉状又は粒状である場合には、その表面積も大きいので、少量の酸で表面部分に付着された塩素分を効率的に除去することは困難である。そのため、酸濃度を高めると、同時に銅の溶解が促進され、銅収率が低下するという問題があった。
このような状況から、電着銅中に含有される塩素を効率的に除去する方法が求められている。
特開2005−60813号公報(第1〜3頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅中に含有される塩素を効率的に除去する方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅中に含有される塩素を除去する方法について、鋭意研究を重ねた結果、塩素を含有する電着銅を特定の条件での処理に付したところ、該電着銅中に含有される塩素を効率的に除去することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅を、非酸化性ガス雰囲気下に500〜800℃の温度で加熱処理に付し、次いで硫酸洗浄処理に付すことを特徴とする電着銅の脱塩素方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記加熱処理の時間は、1〜5時間であることを特徴とする電着銅の脱塩素方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記硫酸洗浄処理に用いる硫酸の濃度は、5〜10重量%であることを特徴とする電着銅の脱塩素方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、さらに、前記硫酸洗浄処理の後に、水洗浄処理に付すことを特徴とする電着銅の脱塩素方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4いずれかの発明において、前記加熱処理に先だって、電着銅を、希塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を用いた洗浄処理に付し、次いで水洗浄処理に付すことを特徴とする電着銅の脱塩素方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5いずれかの発明において、脱塩素後の電着銅の塩素品位は、30ppm以下であることを特徴とする電着銅の脱塩素方法が提供される。
本発明の電着銅の脱塩素方法は、電着銅中に含有される塩素を、熔解炉で電着物を熔解する際に問題とならないレベルまで効率的に除去することができる方法であり、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の電着銅の脱塩素方法を詳細に説明する。
本発明の電着銅の脱塩素方法は、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅を、非酸化性ガス雰囲気下に500〜800℃の温度で加熱処理に付し、次いで硫酸洗浄処理に付すことを特徴とする。
本発明の電着銅の脱塩素方法は、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅を、非酸化性ガス雰囲気下に500〜800℃の温度で加熱処理に付し、次いで硫酸洗浄処理に付すことを特徴とする。
本発明において、硫酸洗浄処理に付す際に、それに先だって、所定の条件で加熱処理に付すことが重要である。これによって、加熱処理により、電解により得られた電着銅を構成する微細組織が、再結晶して粗大化し表面積が低下するので、結晶粒の外に追い出された塩素分が効率的に洗浄処理される。
すなわち、一般に、塩化浴で得られた電着物は、硫酸浴のような平滑な板状の電着物とは異なり、粒状又は粉状となる。ここで、個々の粒子は、複雑な形状であるためその隙間等に電解液を巻き込み、この巻き込みによる微小区画の隙間に入り込んでいる塩素分が電着物中に含有される塩素分の残留の主原因となる。この巻き込みを、単なる洗浄処理により除去することはきわめて困難である。これに対して、本発明の方法では、銅が再結晶する際に、粒状又は粉状の電着銅の結晶粒界に存在する塩素分等の不純物が、結晶粒の粗大化に伴って粒の外周部に移行し、後工程での酸との接触機会が増加する作用が効果的に行なわれる。
上記方法に用いる加熱処理としては、非酸化性ガス雰囲気下に500〜800℃、好ましくは600〜800℃の温度で行なう。すなわち、加熱処理においては、電着銅の酸化を防止しながら銅結晶の粗大化を図ることが、後工程での硫酸洗浄処理における銅の溶解を抑制するため肝要である。したがって、加熱処理での雰囲気ガスとしては、窒素ガス、不活性ガス等が用いられる。また、純粋な銅の再結晶温度としては、概ね200℃温度前後であることが知られているが、工業的に実用性が高い処理時間で十分な銅結晶の粗大化を得るためには、200℃の温度では不充分であり、500℃以上の温度が必要とされる。すなわち、加熱処理の温度が500℃未満では、塩素の除去が十分に進まない。一方、加熱処理の温度が800℃を超えると、粒子同士の焼結が進むため、その後のハンドリング上の問題が生じる。
ここで、加熱処理での温度の影響について、図を用いて説明する。
図1は、酸性塩化浴で電解採取された電着銅粉を温度を変えて加熱処理した際の、硫酸洗浄後の銅粉の塩素濃度の変化を示す。なお、ここで塩素濃度は、元サンプルの塩素濃度を100%とした場合の蛍光X線分析法での強度の相対値で示した。
また、このときの加熱処理と硫酸洗浄処理としては、以下の条件にて行なった。まず、電着銅粉の各25gを石英製ボートに載せ、直径50mm、及び長さ1000mmのサイズの管状炉に装入し、温度を200℃から800℃にわたって変化させて加熱処理した。ここで、所定温度に昇温後1時間保持した。また、加熱処理中は窒素ガスを毎分0.8リットルで流した。また、所定時間経過後、ガスを流したまま、室温まで冷却した。次いで、加熱処理後の銅粉を炉から取り出し、濃度5重量%の硫酸溶液150mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌し、さらに純水100mLでの洗浄を2回繰返した後、乾燥して塩素濃度を蛍光X線にて分析した。なお、加熱処理を行わずに直接硫酸洗浄処理し水洗浄処理したものを温度0℃に基準として図示した。
図1より、400℃を超えた温度から600℃にかけて、処理後の銅粉中の塩素濃度が大きく低下し、600〜800℃で脱塩素効果が大きいことが分かる。なお、各温度での溶出された銅量は、いずれの場合にも8%前後であり、加熱処理による増加は見られなかった。
図1は、酸性塩化浴で電解採取された電着銅粉を温度を変えて加熱処理した際の、硫酸洗浄後の銅粉の塩素濃度の変化を示す。なお、ここで塩素濃度は、元サンプルの塩素濃度を100%とした場合の蛍光X線分析法での強度の相対値で示した。
また、このときの加熱処理と硫酸洗浄処理としては、以下の条件にて行なった。まず、電着銅粉の各25gを石英製ボートに載せ、直径50mm、及び長さ1000mmのサイズの管状炉に装入し、温度を200℃から800℃にわたって変化させて加熱処理した。ここで、所定温度に昇温後1時間保持した。また、加熱処理中は窒素ガスを毎分0.8リットルで流した。また、所定時間経過後、ガスを流したまま、室温まで冷却した。次いで、加熱処理後の銅粉を炉から取り出し、濃度5重量%の硫酸溶液150mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌し、さらに純水100mLでの洗浄を2回繰返した後、乾燥して塩素濃度を蛍光X線にて分析した。なお、加熱処理を行わずに直接硫酸洗浄処理し水洗浄処理したものを温度0℃に基準として図示した。
図1より、400℃を超えた温度から600℃にかけて、処理後の銅粉中の塩素濃度が大きく低下し、600〜800℃で脱塩素効果が大きいことが分かる。なお、各温度での溶出された銅量は、いずれの場合にも8%前後であり、加熱処理による増加は見られなかった。
また、図2〜4は、それぞれ加熱処理を行わずに直接硫酸洗浄処理し水洗浄処理して得られた銅粉、加熱処理温度が400℃の場合に得られた銅粉、及び加熱処理温度が600℃の場合に得られた銅粉の断面組織のEPMA観察の結果を示す。これらの組織を比較すると、加熱処理を行わない場合(図2)では微細組織であること、加熱処理が400℃の場合(図3)には、粗大化しつつあるものの微細な組織も残っており、再結晶が不十分であること、及び加熱処理が600℃の場合(図4)には、再結晶により粗大化していることが分かる。これより、加熱処理が不十分であると、微細な組織によって洗浄による塩素の除去が十分に行なわれないことが示される。
上記加熱処理の時間は、特に限定されるものではなく、所望の塩素品位が得られるように任意に選ばれるが、上記加熱温度においては、1〜5時間、好ましくは1〜3時間が用いられる。ここで、より高温度では、短時間で行なわれる。例えば、500℃では、3〜5時間で、また800℃では1時間程度で所望の塩素品位が得られる。
上記方法に用いる硫酸洗浄処理としては、特に限定されるものではなく、所望の濃度の硫酸溶液を用いて行なわれるが、この中で、特に5〜10重量%が好ましい。すなわち、
硫酸の濃度が5重量%未満では、洗浄処理の効果が小さく、一方、硫酸の濃度が10重量%を超えると、銅の溶解が過剰に進む。
硫酸の濃度が5重量%未満では、洗浄処理の効果が小さく、一方、硫酸の濃度が10重量%を超えると、銅の溶解が過剰に進む。
上記硫酸洗浄処理の温度としては、特に限定されるものではなく、処理後の銅粉の塩素品位が所望のレベルまで低下するように選ばれるが、例えば、50〜70℃が好ましい。すなわち、50℃未満では、硫酸洗浄処理の速度が遅く処理時間がかかり、70℃を超えると、銅の溶解が過剰に進む。また、上記硫酸洗浄処理の時間としては、特に限定されるものではなく、処理後の銅粉の塩素品位が所望のレベルまで低下するように選ばれる。
上記方法において、さらに、前記硫酸洗浄処理の後に、水洗浄処理、好ましくは70〜80℃の温水を用いる洗浄処理に付すことができる。これにより、塩素を含む付着硫酸溶液を除去する作用がある。
上記方法において、さらに、加熱処理に先だって、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅を、希塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を用いた洗浄処理に付し、次いで水洗浄処理に付すことができる。ここで、塩化銅の晶出を抑制できる程度の濃度の希塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を用いて、電着銅の表面に付着した易溶性部分を事前に除去する。例えば、濃度200g/Lの塩化ナトリウム水溶液を用いて、電解時と略同温度である60℃で、スラリー濃度を概ね200g/Lに調整して10分間程度軽く攪拌し、その後に室温の水で洗浄する。
本発明の方法により、脱塩素後の電着銅の塩素品位としては、30ppm以下が達成される。すなわち、脱塩素後の電着銅の塩素品位が30ppm以下であれば、電着銅の熔解に際しての炉の損傷などの問題は解消される。ちなみに、硫酸浴で工業的に電解精製により得られる厚さ約1mmの銅板では、塩素品位は16〜20ppmの値である。
以下、本発明の実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた塩素の分析方法としては、液体試料はそのまま、固形試料は酸溶解して、ICP発光分析法で行った。
また、実施例及び比較例で用いた電着銅は、下記の電解採取法により得られたものである。
また、実施例及び比較例で用いた電着銅は、下記の電解採取法により得られたものである。
[電解採取法と得られた電着銅]
電解液は、試薬1級の塩化第1銅を銅濃度が40g/Lになるように純水に溶解し、PHが概ね1になるように塩酸で調整し、塩素濃度で200g/Lになるように試薬1級の塩化ナトリウムを添加して調製した。
電解槽の大きさは、長さ60mm、横幅90mm、及び深さ160mmで、塩化ビニールで製作した。電槽の長さ方向をアノード側で20mmで、カソード側で40mmとなる位置で濾布で仕切った。排液口を、それぞれアノード側で電槽上部から15mm、及びカソード側で10mmとなる位置に取り付けた。アノードとしては、ペルメレック電極(株)製の不溶性アノードを用いた。この電極面積は、65×120mmとした。また、カソードには、厚さ3mmのチタン板を電極面積がアノードと同じようになるようにテープでマスキングしたものを使用した。ここで、アノードとカソードを各1枚、極間の距離が60mmとなるように電解槽に装入し固定した。また、電極の裏面はいずれも全面をマスキングした。電極面から電解槽の槽底までの距離は、それぞれアノード側で25mm、及びカソード側で30mmとなる。また、電解液の給液温度は60℃とした。
電解条件として電流密度が300A/m2となるように、電流2.34Aで16時間通電した。通電終了後、カソード表面上、及びカソードから剥離して電解槽の底に沈んでいる銅粉を回収し、電解液と同じ組成の液に浸漬して保管した。得られた電着銅粉を固液分離して未洗浄の状態で分析すると、塩素品位は0.7重量%であった。
電解液は、試薬1級の塩化第1銅を銅濃度が40g/Lになるように純水に溶解し、PHが概ね1になるように塩酸で調整し、塩素濃度で200g/Lになるように試薬1級の塩化ナトリウムを添加して調製した。
電解槽の大きさは、長さ60mm、横幅90mm、及び深さ160mmで、塩化ビニールで製作した。電槽の長さ方向をアノード側で20mmで、カソード側で40mmとなる位置で濾布で仕切った。排液口を、それぞれアノード側で電槽上部から15mm、及びカソード側で10mmとなる位置に取り付けた。アノードとしては、ペルメレック電極(株)製の不溶性アノードを用いた。この電極面積は、65×120mmとした。また、カソードには、厚さ3mmのチタン板を電極面積がアノードと同じようになるようにテープでマスキングしたものを使用した。ここで、アノードとカソードを各1枚、極間の距離が60mmとなるように電解槽に装入し固定した。また、電極の裏面はいずれも全面をマスキングした。電極面から電解槽の槽底までの距離は、それぞれアノード側で25mm、及びカソード側で30mmとなる。また、電解液の給液温度は60℃とした。
電解条件として電流密度が300A/m2となるように、電流2.34Aで16時間通電した。通電終了後、カソード表面上、及びカソードから剥離して電解槽の底に沈んでいる銅粉を回収し、電解液と同じ組成の液に浸漬して保管した。得られた電着銅粉を固液分離して未洗浄の状態で分析すると、塩素品位は0.7重量%であった。
(実施例1)
上記電着銅粉25gを石英製ボートに載せ、直径50mm、及び長さ1000mmのサイズの管状炉に装入し、600℃で加熱処理した。ここで、600℃に昇温後3時間保持した。また、加熱処理中は窒素ガスを毎分0.8リットルで流した。また、所定時間経過後、ガスを流したまま、室温まで冷却した。次いで、加熱処理後の銅粉を炉から取り出し、濃度5重量%の硫酸溶液150mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌し、さらに純水100mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌する洗浄処理を2回繰返した後、乾燥して得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表1に示す。
上記電着銅粉25gを石英製ボートに載せ、直径50mm、及び長さ1000mmのサイズの管状炉に装入し、600℃で加熱処理した。ここで、600℃に昇温後3時間保持した。また、加熱処理中は窒素ガスを毎分0.8リットルで流した。また、所定時間経過後、ガスを流したまま、室温まで冷却した。次いで、加熱処理後の銅粉を炉から取り出し、濃度5重量%の硫酸溶液150mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌し、さらに純水100mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌する洗浄処理を2回繰返した後、乾燥して得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表1に示す。
(比較例1)
加熱処理の温度が400℃であったこと、及び昇温後1時間保持したこと以外は、実施例1と同様に行ない、得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表1に示す。
加熱処理の温度が400℃であったこと、及び昇温後1時間保持したこと以外は、実施例1と同様に行ない、得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表1に示す。
表1より、実施例1では、加熱処理の温度が600℃であり、本発明の方法に従って行なわれたので、処理後の銅粉の塩素濃度が30ppm以下にまで除去されることが分かる。これに対して、比較例1では、加熱処理の温度が、これらの条件に合わないため、処理後の銅粉の塩素濃度において満足すべき結果が得られないことが分かる。
(実施例2)
まず、上記電着銅粉11.8gを、濃度200g/Lの塩化ナトリウム水溶液を用いて、60℃で、スラリー濃度を200g/Lに調整して10分程度軽く攪拌し、その後に室温の水で洗浄した。なお、乾燥後得られた銅粉の塩素品位は、320ppmであった。
次いで、上記銅粉を石英製ボートに載せ、直径50mm、及び長さ1000mmのサイズの管状炉に装入し、800℃で加熱処理した。ここで、800℃に昇温後1時間保持した。また、加熱処理中は窒素ガスを毎分0.8リットルで流した。また、所定時間経過後、ガスを流したまま、室温まで冷却した。次いで、加熱処理後の銅粉を炉から取り出し、硫酸洗浄処理では、濃度10重量%の硫酸溶液100mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌し、さらに純水100mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌する洗浄処理を2回繰返した後、乾燥して得られた銅粉の塩素品位を分析した。。結果を表2に示す。
まず、上記電着銅粉11.8gを、濃度200g/Lの塩化ナトリウム水溶液を用いて、60℃で、スラリー濃度を200g/Lに調整して10分程度軽く攪拌し、その後に室温の水で洗浄した。なお、乾燥後得られた銅粉の塩素品位は、320ppmであった。
次いで、上記銅粉を石英製ボートに載せ、直径50mm、及び長さ1000mmのサイズの管状炉に装入し、800℃で加熱処理した。ここで、800℃に昇温後1時間保持した。また、加熱処理中は窒素ガスを毎分0.8リットルで流した。また、所定時間経過後、ガスを流したまま、室温まで冷却した。次いで、加熱処理後の銅粉を炉から取り出し、硫酸洗浄処理では、濃度10重量%の硫酸溶液100mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌し、さらに純水100mL中に投入し、80℃の温度でスターラーを用いて1時間攪拌する洗浄処理を2回繰返した後、乾燥して得られた銅粉の塩素品位を分析した。。結果を表2に示す。
(比較例2)
加熱処理後の銅粉の洗浄処理が、硫酸溶液を用いずに、80℃の温水で行なったこと以外は、実施例2と同様に行ない、得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表2に示す。
加熱処理後の銅粉の洗浄処理が、硫酸溶液を用いずに、80℃の温水で行なったこと以外は、実施例2と同様に行ない、得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表2に示す。
(比較例3)
加熱処理を行なわずに、硫酸洗浄処理を行なった後、さらに純水による洗浄処理が80℃の温水で15分間撹拌したこと以外は、実施例2と同様に行ない、得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表2に示す。
加熱処理を行なわずに、硫酸洗浄処理を行なった後、さらに純水による洗浄処理が80℃の温水で15分間撹拌したこと以外は、実施例2と同様に行ない、得られた銅粉の塩素品位を分析した。結果を表2に示す。
表2より、実施例2では、加熱処理の温度が800℃であり、本発明の方法に従って行なわれたので、処理後の銅粉の塩素濃度が30ppm以下にまで除去されることが分かる。これに対して、比較例2又は3では、加熱処理又は硫酸洗浄処理のいずれかが行なわれなかったのでこれらの条件に合わないため、処理後の銅粉の塩素濃度において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の電着銅の脱塩素方法は、酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅中に含有される塩素を除去することができるので、湿式銅製錬から得られる電着銅の精製方法として好適である。
Claims (6)
- 酸性塩化浴から電解精製又は電解採取によって得られる電着銅を、非酸化性ガス雰囲気下に500〜800℃の温度で加熱処理に付し、次いで硫酸洗浄処理に付すことを特徴とする電着銅の脱塩素方法。
- 前記加熱処理の時間は、1〜5時間であることを特徴とする請求項1に記載の電着銅の脱塩素方法。
- 前記硫酸洗浄処理に用いる硫酸の濃度は、5〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電着銅の脱塩素方法。
- さらに、前記硫酸洗浄処理の後に、水洗浄処理に付すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電着銅の脱塩素方法。
- 前記加熱処理に先だって、電着銅を、希塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を用いた洗浄処理に付し、次いで水洗浄処理に付すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電着銅の脱塩素方法。
- 脱塩素後の電着銅の塩素品位は、30ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電着銅の脱塩素方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006191477A JP2008019475A (ja) | 2006-07-12 | 2006-07-12 | 電着銅の脱塩素方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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