JP2008127627A - 銅の電解採取方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩化第1銅を含む酸性水溶液から電着銅を高電流効率で回収することができる電解採取方法を提供する。
【解決手段】陰極室7、陽極室8、及び前記両室を分離する隔膜9から構成される電解槽を用いる隔膜電解法により、該陰極室7に塩化第1銅を含む酸性水溶液3を給液し、一方該陽極室8に塩化鉄水溶液4を給液して、銅を電解採取する方法において、前記陰極室7の液面レベルを、前記陽極室8の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整するとともに、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室7からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】陰極室7、陽極室8、及び前記両室を分離する隔膜9から構成される電解槽を用いる隔膜電解法により、該陰極室7に塩化第1銅を含む酸性水溶液3を給液し、一方該陽極室8に塩化鉄水溶液4を給液して、銅を電解採取する方法において、前記陰極室7の液面レベルを、前記陽極室8の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整するとともに、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室7からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、銅の電解採取方法に関し、さらに詳しくは、塩化第1銅を含む酸性水溶液から電着銅を高電流効率で回収することができる電解採取方法に関する。これにより、硫化銅鉱物を含む銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式製錬法で銅を回収するプロセスにおいて、該溶媒抽出工程から産出される逆抽出生成液から、1価銅電解により効率的に銅を電解採取することができる。
銅の電解採取方法は、近年開発が要請されている湿式銅製錬プロセスにおいて、その実用上の効率性向上にとって重要な技術的課題のひとつである。
現在、世界の銅の大部分が、硫化銅精鉱を原料とした乾式溶錬法によって製造されている。黄銅鉱など硫化銅鉱物を含有する鉱石を浮遊選鉱などの物理分離手段によって硫化鉱物を濃集したものである硫化銅精鉱を原料とした乾式溶錬法では、まず高温雰囲気中で溶解して、原料に含まれる鉄分および脈石をスラグとして分離して、銅マットを製造する。次いで銅マットを酸素など酸化剤の存在下で鉄分をスラグとして、硫黄をSO2ガスとして除去して粗銅を得る方法が用いられる。
現在、世界の銅の大部分が、硫化銅精鉱を原料とした乾式溶錬法によって製造されている。黄銅鉱など硫化銅鉱物を含有する鉱石を浮遊選鉱などの物理分離手段によって硫化鉱物を濃集したものである硫化銅精鉱を原料とした乾式溶錬法では、まず高温雰囲気中で溶解して、原料に含まれる鉄分および脈石をスラグとして分離して、銅マットを製造する。次いで銅マットを酸素など酸化剤の存在下で鉄分をスラグとして、硫黄をSO2ガスとして除去して粗銅を得る方法が用いられる。
しかしながら、乾式溶錬法による銅製錬は、大量の鉱石を効率よく処理するのに適した方法であるが、通常は大型設備のため膨大な設備投資が必要であり、生成する大量のSO2ガスの処理が不可欠である。これら乾式溶錬法による銅製錬の課題を解決するために、近年、湿式法による製錬方法が研究されている。従来、湿式法による銅精錬としては、銅酸化鉱物を含有する銅鉱石を原料として、積み上げた鉱石に硫酸を散布して銅を浸出し、浸出生成液を溶媒抽出法で処理して銅濃度を上げて、電解採取する方法が工業的に広く用いられている。しかしながら、銅鉱石の大部分を占める硫化鉱の場合、含有鉱物として最も賦存量の多い黄銅鉱に関しては、硫酸による浸出反応がきわめて難しく銅浸出率が低く、かつ浸出速度が遅いので、乾式溶錬に匹敵する生産性を得ることは困難であると言われている。
そこで、黄銅鉱を始めとする硫化銅鉱物を含む銅原料の湿式製錬法において、原料中に共存する硫黄の酸化を抑制しながら、銅を完全に浸出して回収し、また同時に随伴する有価金属も回収して、浸出残渣などの廃棄物量を可能な限り減少し有効に活用することができる製錬方法が検討されている。例えば、塩素浸出工程、銅と鉄の分離工程、銅電解採取工程、及び鉄電解採取工程を有する塩化浴での湿式精錬プロセスで硫化銅鉱物を含有する原料を処理する方法では、乾式溶錬法の多くの基本的な課題(SO2ガスの発生防止)のほか、湿式製錬法としての課題(硫黄の酸化の抑制、黄銅鉱からの銅の高浸出率、及び随伴する有価金属の回収)が解決される。しかしながら、このプロセスを工業的に実施するためには、効率的な銅の電解採取方法の開発が望まれていた。
従来、塩化浴での電解採取法として、隔膜電解法が用いられている。ここでは、隔膜で分割された陰極室と陽極室からなる電解槽を用いる。これは、陰極と陽極の間に隔膜を設置し、陽極で生成されたガスやイオン等が陰極付近に拡散したり、陰極で電析した金属に直接触れることを防止している。例えば、塩化銅、塩化鉄等を含む水溶液から銅を電解採取するとき、不溶性陽極の陽極反応で生成した第2銅イオンや第2鉄イオンのような酸化性の強いイオン又は塩素ガスが、陰極に電析した銅を溶解する反応を抑止するためである。
隔膜電解法による最も一般的な銅の電解採取方法としては、先ず陰極室へ塩化第2銅水溶液を給液し銅イオンを金属状態に還元し析出させる。ここで、給液中の銅イオンは1価イオンに、鉄イオンが共存する場合には2価の鉄イオンに還元される。電析により銅イオンが減少し、かつ1価銅イオン及び2価鉄イオンを含む液を、隔膜を通過させて陽極室に導く。陽極室では、陽極反応によって、これらのイオンは2価銅イオン又は3価鉄イオンに酸化され、さらに酸化反応が継続されると溶液中の塩素イオンが塩素ガスへ酸化される。この一般的な方法における大きな課題のひとつは、電流効率の改善である。すなわち、陰極室へ給液する塩化銅溶液中の銅イオンが2価の場合、陰極で2価イオンを金属銅にするためには1価イオンに比べ2倍の還元電力が必要となり、陰極での電流効率が悪くなる。
このため、電解に先立って2価銅イオンを1価銅イオンに還元し、その後銅電解を行う、1価銅電解による方法が提案されている。例えば、ニッケルの脱銅電解方法において、pHと酸化還元電位を調製し液中の2価銅イオンの大部分を1価銅イオンへ還元させた後、脱銅電解槽の陰極室に給液する方法(例えば、特許文献1参照。)、塩化鉄系エッチング廃液の再生方法において、銅等を含む塩化鉄系エッチング廃液を鉄置換処理して還元してから陰極室へ給液して銅あるいは鉄を電解析出させ、この液を陽極室へ導き、2価の鉄イオンを3価イオンへ酸化しエッチング液を再製する方法(例えば、特許文献2参照。)がある。これらの方法では、銅イオンが1価イオンに還元されているので、電流効率の改善が達成される。しかし、この方法を連続式の塩化銅水溶液の電解採取に適用した場合、陰極で電析しなかった1価銅イオンが陽極で酸化されるので、銅の予備的な還元の効果は大きく低下してしまう。また、安定した操業にとって、電解液の液量バランスの確保が重要な課題のひとつである。
これらの解決策として、硫化銅鉱物を含む銅原料の湿式製錬法として、に用いる隔膜電解法による電解槽において、陽極室への給液が隔膜を通じて該陰極室へ流入するのを防止するため、給液及び廃液が陰極室と陽極室のそれぞれで個別に行われ、陰極室に塩化第1銅を含む酸性水溶液を給液し、一方陽極室に塩化鉄水溶液を給液し、かつ陰極室の液面レベルを陽極室のそれよりも高くする構造にする方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。ところで、硫化銅鉱物を含む銅原料の湿式製錬法において、連続式の塩化銅水溶液の電解採取に適用した場合、銅を電解採取した後の廃液は浸出工程又は溶媒抽出工程に繰り返し、プロセス系内の液バランスを取ることが必要条件となる。その場合、浸出を促進するために酸化性を向上したり、或いは溶媒抽出で有機溶媒を酸化しないために還元性を維持したりといった液の酸化還元の調節が不可欠であるため、これらの提案では、十分な電流効率を安定的に得ることがむずかしかった。
このような状況下、陽極室への給液が隔膜を通じて該陰極室へ流入するのを完全に防止することのほか、さらに、電着銅の再溶解を防止することを強化するため、陰極室液中の2価銅イオンの濃度を管理することにより、一般的な粗銅の銅電解法と同等の電流効率(85〜95%)が得られる電解採取方法が求められている。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、塩化第1銅を含む酸性水溶液から電着銅を高電流効率で回収することができる電解採取方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、隔膜電解法により、該陰極室に塩化第1銅を含む酸性水溶液を給液し、一方該陽極室に塩化鉄水溶液を給液して、銅を電解採取する方法について、鋭意研究を重ねた結果、陰極室の液面レベルを、前記陽極室の液面レベルに対し、特定の距離を隔てた位置に調整するとともに、前記陰極室の給液(塩化第1銅を含む酸性水溶液)を特定の酸化還元電位に調整したところ、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することができ、これにより、塩化第1銅を含む酸性水溶液から電着銅を高電流効率で回収することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、陰極室、陽極室、及び前記両室を分離する隔膜から構成される電解槽を用いる隔膜電解法により、該陰極室に塩化第1銅を含む酸性水溶液を給液し、一方該陽極室に塩化鉄水溶液を給液して、銅を電解採取する方法において、
前記陰極室の液面レベルを、前記陽極室の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整するとともに、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することを特徴とする銅の電解採取方法が提供される。
前記陰極室の液面レベルを、前記陽極室の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整するとともに、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することを特徴とする銅の電解採取方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、液面レベルの調整は、陰極室の廃液口の位置を陽極室のそれよりも高くする構造の電解槽を用い、かつ陰極室と陽極室のそれぞれの給液と廃液を個別に行うことによりなされることを特徴とする銅の電解採取方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記隔膜の通水度が、0.04〜0.15L/m2.sであることを特徴とする銅の電解採取方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液は、銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式製錬法で銅を回収するプロセスにおいて、該溶媒抽出工程から産出される逆抽出生成液であることを特徴とする銅の電解採取方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記塩化鉄水溶液は、銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式製錬法で銅を回収するプロセスにおいて、該鉄電解採取工程から産出される電解廃液であることを特徴とする銅の電解採取方法が提供される。
本発明の銅の電解採取方法は、塩化第1銅を含む酸性水溶液から電着銅を高電流効率で回収することができる電解採取方法であり、その工業的価値は極めて大きい。これにより、硫化銅鉱物を含む銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式製錬法で銅を回収するプロセスにおいて、該溶媒抽出工程から産出される逆抽出生成液を陰極給液として用いて、1価銅電解により効率的に銅を電解採取することができる。
以下、本発明の銅の電解採取方法を詳細に説明する。
本発明の銅の電解採取方法は、陰極室、陽極室、及び前記両室を分離する隔膜から構成される電解槽を用いる隔膜電解法により、該陰極室に塩化第1銅を含む酸性水溶液を給液し、一方該陽極室に塩化鉄水溶液を給液して、銅を電解採取する方法において、前記陰極室の液面レベルを、前記陽極室の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整するとともに、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することを特徴とする。
本発明の銅の電解採取方法は、陰極室、陽極室、及び前記両室を分離する隔膜から構成される電解槽を用いる隔膜電解法により、該陰極室に塩化第1銅を含む酸性水溶液を給液し、一方該陽極室に塩化鉄水溶液を給液して、銅を電解採取する方法において、前記陰極室の液面レベルを、前記陽極室の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整するとともに、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することを特徴とする。
本発明の銅の電解採取方法において、前記陰極室の液面レベルを、前記陽極室の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整すること、及び前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することの2点が特に重要である。
すなわち、陰極室の液面レベルを、陽極室の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整することにより、陽極室への給液が隔膜を通じて陰極室へ流入するのを極力抑えることができ、3価鉄イオンによる電着銅の再溶解を防止することができる。また、塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室液中の2価銅イオンの濃度を低い水準に管理することができるので、2価銅イオンによる電着銅の再溶解を防止することができる。これらにより、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することができ、これにより塩化第1銅を含む酸性水溶液から電着銅を高電流効率で回収することができる。
本発明の銅の電解採取方法を図面を用いて説明する。図1は、本発明で用いる隔膜電解槽の構造の一例を表す概要図である。
図1において、隔膜電解槽は、陰極室7と陽極室8とに隔膜9により分割されている。陰極室7には、陰極1が設置され、陰極給液3が供給され、陰極廃液口5を通じて陰極廃液10がオーバーフロー方式で排出され、液面レベルが所定の高さに維持される。また、陽極室8には、陽極2が設置され、陽極給液4が供給され、廃液口6を通じて陽極廃液11がオーバーフロー方式で排出され、液面レベルが所定の高さに維持される。ここで、陰極室7の液面レベルを陽極室8の液面レベルよりも、所定の距離を隔てた高い位置に調整することが肝要である。
図1において、隔膜電解槽は、陰極室7と陽極室8とに隔膜9により分割されている。陰極室7には、陰極1が設置され、陰極給液3が供給され、陰極廃液口5を通じて陰極廃液10がオーバーフロー方式で排出され、液面レベルが所定の高さに維持される。また、陽極室8には、陽極2が設置され、陽極給液4が供給され、廃液口6を通じて陽極廃液11がオーバーフロー方式で排出され、液面レベルが所定の高さに維持される。ここで、陰極室7の液面レベルを陽極室8の液面レベルよりも、所定の距離を隔てた高い位置に調整することが肝要である。
上記陰極室と陽極室の液面レベルの距離の差としては、陽極室深さの1〜3.5%が用いられる。すなわち、距離の差が陽極室深さの1%未満では、水頭圧が低すぎて、陰極室液と陽極室液が行き来してしまい、陰極で析出した銅の再溶解がおこる。一方、距離の差陽極室深さの3.5%を超えると、陰極室液の陽極室への漏出量が無視できなくなり、液バランスが狂ってしまうことになるので好ましくない。したがって、適正な液面差を付けて、その水頭圧で陽極室の塩素ガスや塩素ガスを含んだ液が陰極室に入り込まないようにすることが重要である。
上記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、200〜290mV、好ましくは200〜210mVに調整される。すなわち、給液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が290mVを超えると、陰極側で電流が2価銅イオンの還元に使用される部分が発生し、電流効率の悪化に繋がってしまう。一方、給液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が200mV未満では、陰極液が塩化第1銅の飽和状態となり、塩化第1銅の沈殿を生成することがあり、配管閉塞又は電着銅中の塩素の上昇に繋がってしまう。したがって、前記酸性水溶液の酸化還元電位を事前に所定値に調整してから給液することにより、陰極室へ供給される1価と2価の銅イオンの濃度が管理される。この酸性水溶液の酸化還元電位の調整方法としては、特に限定されるものではなく、場合に応じて、金属銅、亜硫酸ガス等の還元剤又は塩素ガス等の酸化剤の使用により行える。
これらにより、上記陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、300mV以下になるように制御される。さらに、前記酸化還元電位としては、好ましくは200〜300mVになるように制御されるのが望ましいが、加熱又は空気酸化により、250〜300mVで制御される。すなわち、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が300mVを超えると、陽極室液の流入による陰極で析出した銅の再溶解がおこる。ところで、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が300mVを超える場合には、液レベルの差が確保できている状態であれば、隔膜の劣化、破れ等による隔膜からの洩れが考えられるので、交換して、陰極室からの廃液の酸化還元電位を所定値に制御する。このように、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を制御することにより、陽極室液が隔膜を通じて陰極室へ流入することを監視することができる。
上記陰極としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属銅、チタン、ステンレス等が用いられる。また、上記陽極としては、特に限定されるものではなく、食塩電解等を行い際に、塩化物水溶液から塩素ガス発生用に用いる不溶性電極、例えば、商品名DSE(ペルメレック電極(株)製)等の市販の電極が用いられる。
上記隔膜としては、特に限定されるものではなく、例えば濾布又は固体電解質膜が用いられるが、この中で、目が細かく通水度が低くなるように織られた濾布が好ましい。なお、固体電解質膜は、濾布と比べてコストが高く、また不純物に弱い。すなわち、上記隔膜電解槽では、陽極室への給液が隔膜を通じて陰極室へ流入するのを防止する構造とするため、陰極室液と陽極室液とが分離されるが、隔膜を通してイオン及び電気が通過する必要があるので、陰極室液と陽極室液を厳格に分割するものではない。したがって、陰極室に酸化された陽極室液が自由に流入しない構造であればよく、イオン及び水の通過を完全に停止するものである必要はない。
上記隔膜の通水度としては、特に限定されるものではないが、0.04〜0.15L/m2.sが好ましい。すなわち、通水度が0.04L/m2.s未満では、液の移動が少ないため槽電圧が上昇し、また濾布のコストも上昇する。一方、通水度が0.15L/m2.sを超えると、液の移動の増加により陰極室で電着した銅が再溶解するなどして銅収率が低下する。
上記液面レベルの調整の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、図1に表すように、陰極室の廃液口の位置を陽極室のそれよりも高くする構造の電解槽を用い、かつ陰極室と陽極室のそれぞれの給液と廃液を個別に行うことにより、好適に行われることができる。すなわち、陽極室液が陰極室側に流入しないようにするために陰極室液の水頭を陽極室液より高く保つため、例えば、陰極室の廃液口を陽極室のそれよりも高めとし、液面差を付けてその圧力で陽極室の塩素ガスや塩素ガスを含んだ液が陰極室に入り込まないようにすることができる。この際、陰極廃液及び陽極廃液の排出方法としては、各室の液面を一定に保つことができればよく、それぞれの室の液面レベルに合わせた廃液口を設け、自動的にオーバーフロー方式で排出される機構とするのが簡便な方法である。
上記方法で用いる塩化第1銅を含む酸性水溶液としては、特に限定されるものではないが、1価銅電解に付すため、種々の原料から湿式製錬法で銅を回収するプロセスから産出される銅の大部分を塩化第1銅として含む酸性水溶液が用いられる。ここで、鉄等の銅よりも卑な元素を不純物として含有する液も用いることができる。
また、上記方法で用いる塩化鉄水溶液としては、特に限定されるものではなく、例えば、エッチング、鉄電解等から産出される廃液も用いられるが、種々の原料から湿式製錬法で銅を回収するプロセスから産出される塩化鉄を含む酸性水溶液が用いられる。
また、上記方法で用いる塩化鉄水溶液としては、特に限定されるものではなく、例えば、エッチング、鉄電解等から産出される廃液も用いられるが、種々の原料から湿式製錬法で銅を回収するプロセスから産出される塩化鉄を含む酸性水溶液が用いられる。
上記銅を回収するプロセスとしては、特に限定されるものではないが、例えば銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式銅製錬法が挙げられ、この場合、上記塩化第1銅を含む酸性水溶液としては、上記溶媒抽出工程から産出される逆抽出生成液、また、上記塩化鉄水溶液としては、鉄電解採取工程から産出される鉄電解廃液が好ましく用いられる。
上記湿式銅製錬法を図面を用いて説明する。図2は、硫化銅鉱物を含む銅原料から銅と鉄を回収するプロセス工程図の一例を表す。ここで、銅電解採取工程において、溶媒抽出工程から産出される逆抽出生成液が塩化第1銅を含む酸性水溶液として陰極給液に、また、鉄電解採取工程から産出される鉄電解廃液が塩化鉄水溶液として陽極給液に好ましく用いられる。
図2において、銅原料19は、最初に塩素浸出工程12に付され、銅、鉄等を含有する浸出生成液と硫黄含有残渣とに分離される。浸出生成液は、銅イオン還元処理工程13に付され、浸出生成液中の銅イオンは還元され、1価の銅イオンを含む還元生成液が得られる。ここで、還元剤として硫化銅鉱物を含む銅原料を用いる場合は、この残渣は塩素浸出工程12へ循環される。還元生成液は、溶媒抽出工程14に付され、溶媒抽出及び逆抽出により1価の銅イオンを含有する逆抽出生成液と抽出残液に分離される。逆抽出生成液は、銅電解採取工程15に付され、銅は電着銅20として回収される。
図2において、銅原料19は、最初に塩素浸出工程12に付され、銅、鉄等を含有する浸出生成液と硫黄含有残渣とに分離される。浸出生成液は、銅イオン還元処理工程13に付され、浸出生成液中の銅イオンは還元され、1価の銅イオンを含む還元生成液が得られる。ここで、還元剤として硫化銅鉱物を含む銅原料を用いる場合は、この残渣は塩素浸出工程12へ循環される。還元生成液は、溶媒抽出工程14に付され、溶媒抽出及び逆抽出により1価の銅イオンを含有する逆抽出生成液と抽出残液に分離される。逆抽出生成液は、銅電解採取工程15に付され、銅は電着銅20として回収される。
また、製錬処理の原料の種類にもよるが、通常硫化銅鉱物を含む銅鉱石は、銅とほぼ同量に近い鉄を含有しており、前記溶媒抽出工程14における抽出残液には、多量の鉄イオンが含まれる。したがって、溶媒抽出工程14における抽出残液は、必要に応じて浄液工程16に付され、鉄イオン含有精製液と鉄以外の有価金属固形物とに分離される。鉄イオン含有精製液は、鉄電解採取工程17に付され、鉄は電着鉄21として回収される。
また、塩素浸出工程12で分離された硫黄含有残渣は浸出残渣処理工程18に付され、元素状硫黄が回収される。さらに、銅電解採取工程15で分離された電解廃液は、陰極廃液が逆抽出給液として溶媒抽出工程14に、陽極廃液が浸出液として塩素浸出工程12に再循環される。また、鉄電解採取工程17で得られる電解廃液は陽極給液として銅電解採取工程15へ送られる。
上記湿式製錬法の原料としては、特に限定されるものではなく、例えば、硫化銅鉱物を含む銅原料、また、銅メッキ被覆鉄系材料、自動車、家電製品等のシュレッダー処理産出物等のリサイクル工程から産出する合金など銅及び鉄を含む銅原料が用いられる。硫化銅鉱物を含む銅原料としては、黄銅鉱(CuFeS2)、輝銅鉱(Cu2S)、斑銅鉱(Cu5FeS4)などの硫化銅鉱物を含む銅鉱石、硫化銅鉱物を含む鉱石から浮遊選鉱法などによって硫化銅鉱物を濃集した銅精鉱および銅精鉱など濃集物から乾式溶錬法で得られる銅マットが含まれ、さらには、これらと同時処理される硫化物状、酸化物状、金属状の各種含銅原料がある場合も含まれる。
上記塩素浸出工程は、硫化銅鉱物を含む銅原料を塩化第2銅、塩化第2鉄などを含む酸性塩化物水溶液中に懸濁させ、塩素を吹きこんで主に硫化銅鉱物を浸出して銅、鉄等を溶出させ、銅イオン、鉄イオンを含む浸出生成液と元素状硫黄を含む残渣とを形成する工程である。
上記銅イオン還元処理工程は、2価銅イオン、2価鉄イオン及び3価鉄イオン等を含有する浸出生成液に還元剤を添加してイオンの還元処理を行い、浸出生成液に含有される2価銅イオンを1価銅イオンに還元し、同時に3価鉄イオンも2価鉄イオンに還元する。
上記溶媒抽出工程は、還元生成液から1価銅イオンのみを選択的に有機溶媒に抽出し、溶媒抽出液から逆抽出により逆抽出生成液として塩化第1銅を含む酸性水溶液を得るとともに鉄イオンを含有する抽出残液を得る工程である。この抽出剤は、トリブチルフォスフェイトなどの中性抽出剤が好ましい。
上記溶媒抽出工程は、還元生成液から1価銅イオンのみを選択的に有機溶媒に抽出し、溶媒抽出液から逆抽出により逆抽出生成液として塩化第1銅を含む酸性水溶液を得るとともに鉄イオンを含有する抽出残液を得る工程である。この抽出剤は、トリブチルフォスフェイトなどの中性抽出剤が好ましい。
上記鉄電解採取工程は、溶媒抽出工程の抽出残液から鉄を電解採取して、陰極に析出された電着鉄と銅電解採取工程に好適な陽極給液を形成する工程である。鉄の電解採取方法は、特に限定されるものではないが、例えば、通常の隔膜電解法を用いて前記溶媒抽出工程の抽出残液を鉄電解給液として電解槽の陰極給液とし、陽極室から陽極廃液を得る。
以上のように、湿式銅製錬法で本発明の銅の電解採取方法を用いた銅電解採取工程においては、溶媒抽出工程の逆抽出生成液は、銅電解採取工程に付され銅は電着銅として回収される。さらに、銅電解採取工程で分離された電解廃液は、陰極廃液が逆抽出給液として溶媒抽出工程に再循環される。また、鉄電解採取工程で得られる電解廃液は陽極給液として銅電解採取工程へ送られ、この陽極廃液が浸出液として塩素浸出工程に再循環される。
このように、銅電解採取工程では、効率的に1価銅イオンの電解採取が行われるので高電流効率が達成される。また、そこで得られる陰極廃液は還元性であるので溶媒抽出工程の逆抽出液として反応的に安定かつ好適な性状であり、かつ陽極廃液は強い酸化性であるので塩化浸出工程の浸出液として好適な性状である。さらに、これらの液を循環することによって、循環される工程を含むプロセス全体の液量バランスをとることができる。
このように、銅電解採取工程では、効率的に1価銅イオンの電解採取が行われるので高電流効率が達成される。また、そこで得られる陰極廃液は還元性であるので溶媒抽出工程の逆抽出液として反応的に安定かつ好適な性状であり、かつ陽極廃液は強い酸化性であるので塩化浸出工程の浸出液として好適な性状である。さらに、これらの液を循環することによって、循環される工程を含むプロセス全体の液量バランスをとることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析方法及び電流効率の測定方法は以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)電流効率の測定方法:電着した銅の重量から電流効率を求めた。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)電流効率の測定方法:電着した銅の重量から電流効率を求めた。
(実施例1)
図1に示す構造の隔膜電解槽を用いて電解採取を行い、電着銅と電解廃液を得て評価した。
ここで、陽極室の液深(陽極室深さ)が90mmとなるようにオーバーフロー口を設置した。また、陰極室の液面レベルを陽極室の液面レベルよりも陽極室深さに対し3%高くするため、陰極室のオーバーフローレベルを陽極室のそれよりも3mm高い位置に設置した。隔膜電解槽の陽極は、55mm×64.5mmの不溶性電極(商品名DSE、ペルメレック電極(株)製)である。また、陰極は、55mm×64.5mmのチタン板である。また、隔膜は、目が細かい通水度の低いテトロン製の濾布(通水度0.06L/m2.s)である。
図1に示す構造の隔膜電解槽を用いて電解採取を行い、電着銅と電解廃液を得て評価した。
ここで、陽極室の液深(陽極室深さ)が90mmとなるようにオーバーフロー口を設置した。また、陰極室の液面レベルを陽極室の液面レベルよりも陽極室深さに対し3%高くするため、陰極室のオーバーフローレベルを陽極室のそれよりも3mm高い位置に設置した。隔膜電解槽の陽極は、55mm×64.5mmの不溶性電極(商品名DSE、ペルメレック電極(株)製)である。また、陰極は、55mm×64.5mmのチタン板である。また、隔膜は、目が細かい通水度の低いテトロン製の濾布(通水度0.06L/m2.s)である。
電解条件としては、陰極室に、銅濃度40g/L、及び酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)250mVの塩化第1銅水溶液を3.13mL/minの給液量で供給し、一方、陽極室に、鉄濃度80g/Lの2価と3価の鉄イオンを含む塩化物水溶液からなる鉄電解廃液を供給しながら、約1.775Aで通電し、電流密度500A/m2で行った。通電時間は、5時間とした。そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。結果を表1に示す。
なお、この間、陰極廃液の酸化還元電位は、300mVを超えなかった。また、10分間の陰極室への給液31.3mLに対して、陰極室からの廃液量は31.1mLであり、陰極室液の回収率は99%となった。これより、陰極室液が陽極室へ少量移動し、陽極室液の陰極室への流入はないと判断、陰極に供給した液の殆どを銅イオン量が減った状態で回収することができ、陰極廃液は溶媒抽出工程の逆抽出液として好適である。また、陽極では、酸化反応によって塩素ガスが発生し、陽極廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は1000mV以上の強酸化液となったので、塩素浸出工程の給液として好都合である。
なお、この間、陰極廃液の酸化還元電位は、300mVを超えなかった。また、10分間の陰極室への給液31.3mLに対して、陰極室からの廃液量は31.1mLであり、陰極室液の回収率は99%となった。これより、陰極室液が陽極室へ少量移動し、陽極室液の陰極室への流入はないと判断、陰極に供給した液の殆どを銅イオン量が減った状態で回収することができ、陰極廃液は溶媒抽出工程の逆抽出液として好適である。また、陽極では、酸化反応によって塩素ガスが発生し、陽極廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は1000mV以上の強酸化液となったので、塩素浸出工程の給液として好都合である。
(実施例2)
陰極室への給液(塩化第1銅水溶液)の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が206mVであったこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。なお、この間、陰極廃液の酸化還元電位は、300mVを超えなかった。結果を表1に示す。
陰極室への給液(塩化第1銅水溶液)の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が206mVであったこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。なお、この間、陰極廃液の酸化還元電位は、300mVを超えなかった。結果を表1に示す。
(比較例1)
陰極室への給液(塩化第1銅水溶液)の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が300mVであったこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。結果を表1に示す。
陰極室への給液(塩化第1銅水溶液)の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が300mVであったこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例2)
陰極室への給液(塩化第1銅水溶液)の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が350mVであったこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。結果を表1に示す。
陰極室への給液(塩化第1銅水溶液)の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が350mVであったこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例3)
陰極室のオーバーフローレベルを陽極室のそれよりも1mm低い位置に設置したこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。結果を表1に示す。
陰極室のオーバーフローレベルを陽極室のそれよりも1mm低い位置に設置したこと以外は、実施例1と同様に行い、そのときの、陰極廃液及び陽極廃液の酸化還元電位、並びに得られた電着銅から電流効率を求めた。結果を表1に示す。
表1より、実施例1、2では、陰極室と陽極室の液面レベルを、所定の条件に調整し、かつ塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が300mV以下に制御され、本発明の方法に従って行われたので、一般的な銅電解と同等の電流効率(85〜95%)が得られることが分かる。
これに対して、比較例1〜3では、陰極室からの廃液の酸化還元電位、或いは陰極室と陽極室の液面レベルの差のいずれかがこれらの条件に合わないので、陰極廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が300mVを超え、電流効率において満足すべき結果が得られないことが分かる。
これに対して、比較例1〜3では、陰極室からの廃液の酸化還元電位、或いは陰極室と陽極室の液面レベルの差のいずれかがこれらの条件に合わないので、陰極廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が300mVを超え、電流効率において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の銅の電解採取方法は、高電流効率が得られ1価銅電解方法として、好適である。さらに、特に、銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式銅製錬法における銅電解採取工程として用いる際に、より有用である。
1 陰極
2 陽極
3 陰極給液
4 陽極給液
5 陰極廃液口
6 陽極廃液口
7 陰極室
8 陽極室
9 隔膜
10 陰極廃液
11 陽極廃液
12 塩素浸出工程
13 銅イオン還元処理工程
14 溶媒抽出工程
15 銅電解採取工程
16 浄液工程
17 鉄電解採取工程
18 浸出残渣処理工程
19 銅原料
20 電着銅
21 電着鉄
2 陽極
3 陰極給液
4 陽極給液
5 陰極廃液口
6 陽極廃液口
7 陰極室
8 陽極室
9 隔膜
10 陰極廃液
11 陽極廃液
12 塩素浸出工程
13 銅イオン還元処理工程
14 溶媒抽出工程
15 銅電解採取工程
16 浄液工程
17 鉄電解採取工程
18 浸出残渣処理工程
19 銅原料
20 電着銅
21 電着鉄
Claims (5)
- 陰極室、陽極室、及び前記両室を分離する隔膜から構成される電解槽を用いる隔膜電解法により、該陰極室に塩化第1銅を含む酸性水溶液を給液し、一方該陽極室に塩化鉄水溶液を給液して、銅を電解採取する方法において、
前記陰極室の液面レベルを、前記陽極室の液面レベルに対し、陽極室深さの1〜3.5%の距離を隔てた高い位置に調整するとともに、前記塩化第1銅を含む酸性水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を200〜290mVに調整することにより、陰極室からの廃液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を300mV以下に制御することを特徴とする銅の電解採取方法。 - 液面レベルの調整は、陰極室の廃液口の位置を陽極室のそれよりも高くする構造の電解槽を用い、かつ陰極室と陽極室のそれぞれの給液と廃液を個別に行うことによりなされることを特徴とする請求項1に記載の銅の電解採取方法。
- 前記隔膜の通水度が、0.04〜0.15L/m2.sであることを特徴とする請求項1に記載の銅の電解採取方法。
- 前記塩化第1銅を含む酸性水溶液は、銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式製錬法で銅を回収するプロセスにおいて、該溶媒抽出工程から産出される逆抽出生成液であることを特徴とする請求項1に記載の銅の電解採取方法。
- 前記塩化鉄水溶液は、銅原料から、銅イオンを含む浸出生成液を得る塩素浸出工程、該浸出生成液を還元して1価の銅イオンを含む還元生成液を得る銅イオン還元処理工程、該還元生成液を溶媒抽出に付し、銅を含む逆抽出生成液と抽出残液とを得る溶媒抽出工程、該逆抽出生成液を電解採取に付し、電着銅を得る銅電解採取工程、及び該溶媒抽出工程で得られる抽出残液を鉄電解採取に付し、電着鉄を得る鉄電解採取工程を含む湿式製錬法で銅を回収するプロセスにおいて、該鉄電解採取工程から産出される電解廃液であることを特徴とする請求項1に記載の銅の電解採取方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2006
- 2006-11-21 JP JP2006313821A patent/JP2008127627A/ja active Pending
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