JP2008013546A - エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】品質を維持しつつ、反応時間を短縮して製造効率を高めることができるエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】多価アルコール(1)〔以下、成分(1)という〕と飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体(2)〔以下、成分(2)という〕とを反応させてエステルを製造するにあたり、成分(1)と成分(2)の反応中に、更に成分(2)を反応系に添加し、かつ仕込み時の成分(1)の量と、仕込み時の成分(2)の量と前記追加添加した成分(2)の量とに基づく当量比が特定範囲となるようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は、エステルの製造方法に関する。
従来、潤滑油用基油には入手が容易な鉱物油が用いられていた。しかし、近年、使用条件の過酷化や省エネルギー対応機器の増加、さらには環境中に拡散された場合の影響低減などの潤滑油への要求性能の高度化に対し、鉱物油は潤滑性・耐熱性・酸化安定性・低温流動性・生分解性などの性能が不十分となってきた。そのため鉱物油の代替品として、潤滑性・耐熱性・酸化安定性・低温流動性・生分解性に優れたPOE系(ポリオールエステル)と呼ばれるネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のヒンダードアルコールエステルが潤滑油用基油に用いられるようになった。
なかでも、冷凍機油用潤滑油は、冷凍機の冷媒が塩素を含まない水素含有フロン冷媒に移行していることに伴い、このような冷媒に対応できるものが要望されている。例えば、特許文献1には、炭素数15以下、3価以上の多価アルコールと炭素数2〜18の1価脂肪酸等とを原料として得たエステルを主成分とする水素含有フロン冷媒用潤滑油が開示されている。また、特許文献2には、着色度の低い冷凍機油用基油を得るために、原料としてモノペンタエリスリトール含有量の高いペンタエリスリトールを用いる方法が提案されている。更に、特許文献3には、吸着剤の使用量を低減しても吸着剤の使用量を低減しても十分な脱酸、脱色が達成される簡易な潤滑油用エステルの製造方法として、特定の工程(1)〜(4)を含む製造方法が開示されている。
特開平3−128992号公報 特開2001−107067号公報 特開2005−170998号公報
こうしたエステルを製造するにあたり、製造工程を短縮して製造効率を高めることは工業上有意義であるが、従来の方法では、品質を維持しつつ反応時間を短縮することは困難である。
本発明の課題は、品質を維持しつつ、反応時間を短縮して製造効率を高めることができるエステルの製造方法を提供することにある。
本発明は、多価アルコール(1)〔以下、成分(1)という〕と飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体(2)〔以下、成分(2)という〕とを反応させるエステルの製造方法であって、成分(1)と成分(2)とを反応系に仕込み、仕込んだ成分(1)と成分(2)の反応中に、更に成分(2)を反応系に添加〔以下、成分(2)の追加添加という〕し、仕込み時の成分(1)の量(I)と、仕込み時の成分(2)の量(IIa)と追加添加分の成分(2)の量(IIb)とに基づく当量比(I)/〔(IIa)+(IIb)〕が、1/1.1〜1/1.5である、エステルの製造方法に関する。
本発明によれば、品質を維持しつつ、反応時間を短縮して製造効率を高めることができるエステルの製造方法が提供される。本発明の製造方法により得られるエステルは、潤滑油用基油、特に、冷凍機油用潤滑油として好適である。
本発明では、多価アルコール〔成分(1)〕と飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体〔成分(2)〕とを反応させてエステルを含む反応生成物を得る。
成分(1)としては、具体的には、ネオペンチルグリコール、2 −エチル−2 −メチル−1,3 −プロパンジオール、2 −イソプロピル−2 −メチル−1,3 −プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3 −プロパンジオール、2 −n −ブチル−2 −エチル−1,3 −プロパンジオール、ジ(3-ヒドロキシ-2,2- ジメチルプロピル)エーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のヒンダードアルコール、あるいは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3 −プロパンジオール、1,2 −ブタンジオール、1,3 −ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3 −ブタンジオール、2 −メチル−1,2 −プロパンジオール、2 −メチル−1,3 −プロパンジオール、1,2 −ペンタンジオール、1,3 −ペンタンジオール、1,4 −ペンタンジオール、1,5 −ペンタンジオール、2,4 −ペンタンジオール、1,2 −へキサンジオール、1,5 −ヘキサンジオール、1,6 −ヘキサンジオール、2,5 −ヘキサンジオール、3,3 −ジメチル−1,2 −ブタンジオール、2-メチル-2,4- ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3- ブタンジオール、1,7 −ヘプタンジオール、2 −エチル−1,3 −ヘキサンジオール、2,4-ジメチル-2,4- ペンタンジオール、1,2 −オクタンジオール、1,8 −オクタンジオール、2,5-ジメチル-2,5- ヘキサンジオール、2,2,4 −トリメチル−1,3 −ペンタンジオール、1,9 −ノナンジオール、1,2 −デカンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、1,2,4 −ブタントリオール、1,2,6 −ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテトロール等の多価アルコールである。これらの多価アルコールの炭素数は、好ましくは2〜12、好ましくは2〜7である。ヒドロキシ基は2〜6個が好ましく、6個より多いと粘度が高くなりすぎ、また耐熱性の面から、ヒンダードアルコールが特に優れている。特に、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。成分(1)は、2種以上を併用することもできる。
成分(2)としては、炭素数が4〜12、更に炭素数5〜10のものが、低温流動性や金属に対する腐食性の観点から好ましい。成分(2)の具体例としては、酪酸、バレリン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸の直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸や、イソ酪酸、イソバレリン酸、ピバリン酸、2 −メチル酪酸、2 −メチルバレリン酸、3 −メチルバレリン酸、4 −メチルバレリン酸、2,2 −ジメチル酪酸、2 −エチル酪酸、tert−ブチル酢酸、シクロペンタンカルボン酸、2,2 −ジメチルペンタン酸、2,4 −ジメチルペンタン酸、2 −エチルペンタン酸、3 −エチルペンタン酸、2 −メチルヘキサン酸、3 −メチルヘキサン酸、4 −メチルヘキサン酸、5 −メチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンチル酢酸、2 −エチルヘキサン酸、3 −エチルヘキサン酸、3,5 −ジメチルヘキサン酸、2,4 −ジメチルヘキサン酸、3,4 −ジメチルヘキサン酸、4,5 −ジメチルヘキサン酸、2,2 −ジメチルヘキサン酸、2 −メチルヘプタン酸、3 −メチルヘプタン酸、4 −メチルヘプタン酸、5 −メチルヘプタン酸、6 −メチルヘプタン酸、2 −プロピルペンタン酸、シクロヘキシル酢酸、3 −シクロペンチルプロピオン酸、2,2 −ジメチルヘプタン酸、3,5,5 −トリメチルヘキサン酸、2 −メチルオクタン酸、2 −エチルヘプタン酸、3 −メチルオクタン酸、2-エチル−2,3,3 −トリメチル酪酸、2,2,4,4 −テトラメチルペンタン酸、2,2,3,3 −テトラメチルペンタン酸、2,2,3,4 −テトラメチルペンタン酸、2,2 −ジイソプロピルプロピオン酸等の分岐鎖飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。この内、カルボニル基のα位に分岐鎖を持つカルボン酸としては、イソ酪酸、ピバリン酸、2 −メチル酪酸、2 −メチルバレリン酸、2,2 −ジメチル酪酸、2 −エチル酪酸、シクロペンタンカルボン酸、2,2 −ジメチルペンタン酸、2,4 −ジメチルペンタン酸、2 −エチルペンタン酸、2 −メチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2 −エチルヘキサン酸、2,4 −ジメチルヘキサン酸、2,2 −ジメチルヘキサン酸、2 −メチルヘプタン酸、2 −プロピルペンタン酸、2,2 −ジメチルヘプタン酸、2 −メチルオクタン酸、2 −エチルヘプタン酸、2-エチル−2,3,3 −トリメチル酪酸、2,2,4,4 −テトラメチルペンタン酸、2,2,3,3 −テトラメチルペンタン酸、2,2,3,4 −テトラメチルペンタン酸、2,2 −ジイソプロピルプロピオン酸が挙げられる。さらに、カルボニル基のα位の分岐鎖の炭素数の合計が2以上であるカルボン酸としては、ピバリン酸、2,2 −ジメチル酪酸、2 −エチル酪酸、2,2 −ジメチルペンタン酸、2 −エチルペンタン酸、2 −エチルヘキサン酸、2,2 −ジメチルヘキサン酸、2 −プロピルペンタン酸、2,2 −ジメチルヘプタン酸、2 −エチルヘプタン酸、2-エチル−2,3,3 −トリメチル酪酸、2,2,4,4 −テトラメチルペンタン酸、2,2,3,3 −テトラメチルペンタン酸、2,2,3,4 −テトラメチルペンタン酸、2,2 −ジイソプロピルプロピオン酸等が挙げられる。耐熱性の面から不飽和結合を持つものは好ましくない。これらの誘導体としては、該カルボン酸のネオペンチルグリコールモノエステル、該カルボン酸のネオペンチルグリコールジエステル、該カルボン酸のトリメチロールプロパンモノエステル、該カルボン酸のトリメチロールプロパンジエステル、該カルボン酸のトリメチロールプロパントリエステル、該カルボン酸のペンタエリスリトールモノエステル、該カルボン酸のペンタエリスリトールジエステル、該カルボン酸のペンタエリスリトールトリエステル、該カルボン酸のペンタエリスリトールテトラエステル等が挙げられる。生成エステルの低温流動性と金属に対する腐食性の観点から、炭素原子数は4〜12のものが好ましく、5〜10のものが更に好ましい。耐加水分解性の観点からは分岐鎖を持つカルボン酸が好ましく、カルボニル基のα位に分岐鎖を持つカルボン酸(なかでも2−エチルヘキサン酸)と、3,5,5 −トリメチルヘキサン酸がより好ましい。成分(2)は2種以上を併用することもできる。成分(2)の沸点は、180〜380℃が好ましい。
本発明の製造方法は、成分(1)と成分(2)とを反応させる工程(以下、エステル化工程という)を有する。エステル化工程での成分(1)と成分(2)の反応は、反応系に仕込んだ成分(1)と成分(2)の反応中に、更に成分(2)を追加添加して行う。そして、仕込み時の成分(1)の量(I)と、仕込み時の成分(2)の量(IIa)と追加添加分の成分(2)の量(IIb)とに基づく当量比(I)/〔(IIa)+(IIb)〕が、1/1.1〜1/1.5、好ましくは1/1.15〜1/1.4であり、仕込み時の成分(1)の量(I)と仕込み時の成分(2)の量(IIa)とに基づく当量比は、(I)/(IIa)=1/0.9〜1/1.1、更に1/0.95〜1/1.05が好ましい。このような当量比となるように、仕込み量及び追加添加量を調整する。なお、この当量比は、成分(1)〔複数の場合、全成分(1)〕の水酸基1個(1当量)あたりの成分(2)〔複数の場合、全成分(2)〕のカルボキシル基の個数(当量)である。
本発明では、成分(1)と成分(2)とを、好ましくは190℃以上の温度で、好ましくは2〜10時間反応させるエステル化工程を行う。エステル化工程の反応時間は2〜6時間の範囲から選択されることが、より好ましい。
エステル化工程は190℃以上で行われるのが好ましいが、本発明では、一定温度で一定時間、成分(1)と成分(2)とを反応させることが好ましい。
本発明では、成分(2)の追加添加を、エステル化反応の時間を短縮する観点から、反応系の水酸基価(OHV)が100mgKOH/g以下、更に90mgKOH/g以下、更に80mgKOH/g以下、更に70mgKOH/g以下で、40mgKOH/g以上、更に50mgKOH/g以上である間に行うことが好ましく、40〜100mgKOH/g、更に40〜90mgKOH/g、50〜80mgKOH/g、50〜75mgKOH/gで行うことが好ましい。反応系のOHVが100mgKOH/g以下では、エステル化反応がある程度進行していて、成分(1)を基準として相対的に系中の水は増えないため、成分(2)が共沸しにくく、脱水と共に反応系外に排出される成分(2)の量も低減できるため、成分(1)と成分(2)との反応効率が維持できる。一般に、反応に供する原料化合物の特性に応じて適宜設定されるエステル化工程の設定温度に、最初に到達した時点で反応系の水酸基価(OHV)はかなり低下しているため、当該設定温度に到達した時点で、成分(2)の追加添加を行うこともできる。
また、本発明では、成分(2)の追加添加を0.5〜5時間、更に0.5〜4.5時間、特に1〜4時間かけて行うことが、追加する成分(2)による反応温度低下防止の観点から好ましい。
また、成分(2)の追加添加は、成分(2)を含有する液体成分の反応系への滴下により行うことが好ましい。成分(2)が取り扱い温度において液状であればそのまま使用することができ、また、適当な液体(溶剤等)との混合物を滴下してもよいが、好ましくは液状の成分(2)をそのまま滴下することである。
エステル化工程においては、反応水と共に留出した成分(2)を水と分離して環流により循環使用することが好ましい。
本発明では、エステル化工程の終了時に反応系の水分量が、反応系1kgあたり200mg以下となるように水分を低減することを行うことが好ましい。
本発明では、エステル化反応が実質的に進行しなくなったときをエステル化工程の終了時とする。例えば、エステル化反応を、水酸基価を指標にして監視する場合は、目標とする水酸基価に到達した後、その水酸基価が一定になるように反応系の条件を設定したときは、エステル化反応が実質的に進行しなくなるため、この時点でエステル化工程が終了したとすることができる。潤滑油用基油のような高純度を要求されるエステルの製造においては、エステルの水酸基価が好ましくは15mgKOH、より好ましくは10mgKOH、更に好ましくは5mgKOHに到達したときをエステル化工程の終了時としてよい。
本発明の製造方法により得られるエステルの水酸基価は、耐吸湿性と潤滑剤としての耐摩耗性の観点から、好ましくは15mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下、とくに好ましくは5mgKOH/g以下である。該水酸基価は、JIS K0070 7.2に基づいて測定することができる。エステルの水酸基価を低減するには、エステル化工程において、温度を上げる、窒素置換量を増大する、反応時間を延ばす等により、エステル化工程の終了時の反応生成物(エステル)の水酸基価が20mgKOH/g以下、更に15mgKOH/g以下、更に10mgKOH/g以下、更に5mgKOH/g以下、更に4mgKOH/g以下、更に2mgKOH/g以下とすることが好ましい。エステル化工程の終了をこのような反応生成物の水酸基価を指標にして決めてもよい。
エステル化工程における成分(1)と成分(2)の反応の一例を挙げれば、成分(1)と成分(2)の当量比(I)/(IIa)が仕込み時基準で上記範囲である場合に、反応温度(設定温度)200〜260℃、反応時間2〜6時間、反応圧力13〜101kPaであり、該温度を基準として温度勾配が0〜10℃の期間が存在することである。ここで、温度勾配は、ある時点の反応系の温度をT(℃)とし、その時点から1時間後の反応系の温度がT’(℃)であるとき、T−T’で求まる温度差ΔTの絶対値(|ΔT|)として算出される。そして、成分(2)を、当量比(I)/〔(IIa)+(IIb)〕が上記範囲の当量比となるように、反応系中の水酸基価が100mgKOH/g以下になった時点(好ましくは設定温度に到達した時点)で、反応系に滴下して追加添加する。例えば、成分(1)がペンタエリスリトールの場合、窒素気流下、常圧で230〜260℃で2〜4時間反応させ、水酸基価が4mgKOH/g以下となるまで反応を行うことが挙げられる。以下に、より詳細に説明する。
この本発明では、特に、エステル工程において、温度勾配0〜10℃の期間(以下、フラット期間という)が存在することが好適である。この温度勾配は上記の意味である。本発明において、成分(2)の追加添加をフラット期間で行うことが好適である。本発明では、反応系の温度が190℃以上となったエステル化工程において、フラット期間が存在することが好ましい。なお、任意の時点からのエステル化工程の残り時間が1時間未満の場合は、その間の温度変化が0〜10℃であれば、この温度勾配を満たすものとする。通常、反応に供する原料化合物の特性に応じて適宜設定される190℃以上の設定温度Xに最初に到達した時点を基準にして、その時点からの温度勾配が0〜10℃になるように制御される。一方、設定される温度に最初に到達する前の昇温時には、この温度勾配は10℃を超える。本発明では、エステル化工程の少なくとも一部にこのようなフラット期間が存在することが好ましいが、フラット期間がエステル化工程の終了まで継続することが、より好ましい。また、最初のフラット期間が開始する時点Y1での反応系の温度をX1としたときに、設定温度Xと温度X1とが一致することが好ましい。
また、フラット期間の長さはエステル化工程の50〜85%(時間基準)を占めることが好ましく、具体的にはフラット期間の時間は2〜10時間、更に2〜6時間の範囲から選択されることが好ましい。なお、本発明では、エステルの製造工程の全域にわたる温度挙動を監視して、190℃以上において温度勾配が0〜10℃となる期間をフラット期間としてもよい。その場合、最初に温度勾配が0〜10℃となる時点での温度をX1とすることができる。
温度勾配の測定は、複数回行うことが好ましく、0.5〜1時間から選ばれる一定時間ごとに測定を行うことが好ましい。通常、エステル化反応の設定温度Xは、反応に供する原料化合物の特性に応じて適宜設定されるので、反応槽に熱電対等の温度センサーを設置し、温度を連続的に測定し、エステル化工程において温度勾配が好ましくは0〜10℃となるフラット期間が存在するように制御される。フラット期間における温度勾配は、0〜5℃、更に0〜2℃が好ましい。
また、本発明では、エステル化工程のフラット期間における反応温度の変化量が10℃以内であること、すなわち、フラット期間が開始する時点Y1での温度X1に対して、フラット期間が終了するまでX1±10℃の温度範囲である(ただし、X1±10℃は190℃以上である)ことが好ましい。
エステル化工程において、最初のフラット期間が開始する時点Y1での反応系中の水分量W1としては、反応系1kgあたり1000mg以下、更に700mg以下、更に500mg以下、更に400mg以下、更に300mg以下、更に好ましくは200mg以下とすることができる。また、W1が、反応系1kgあたり250〜1000mgである場合は、後述するように、フラット期間において反応系からの水分の単位時間当たりの低減量を少なくとも1回増加させることが、エステル化工程の終了時の反応系中の水分量を反応系1kg当たり200mg以下にする上で有効である。W1は、仕込み温度から温度X1に最初に到達するまでに水分を除去することで調整できる。
本発明では、好ましくはエステル化工程、より好ましくはフラット期間で反応系の水分量が、反応系1kgあたり200mg以下、好ましくは150mg以下、より好ましくは100mg以下、更に好ましくは70mg以下、特に好ましくは50mg以下になるように水分を低減することを行うことが好ましい。反応系の水分量の低減は、エステル化工程、好ましくはフラット期間において行うことができる。また、エステル化工程の前、又は後に行うこともできる。例えば、エステル化工程の前に反応系の水分量の低減を行う場合、設定温度に到達するまでの昇温速度を変える、反応系内への不活性気体の導入量を変える、設定温度を高く設定する、などにより行うことができる。また、エステル化工程の後に反応系の水分量の低減を行う場合、設定温度よりも高い温度で熟成工程を行う、反応槽内を減圧する、反応系内への不活性気体の導入量を更に増加する、などにより行うことができる。
フラット期間において水分を低減する場合は、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を少なくとも1回増加させることができる。その場合、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を連続的に増加させてもよいし、段階的に増加させてもよいが、段階的に増加することができる。すなわち、反応系の温度をより高くする、反応系への不活性ガスの導入量を増加する、成分(2)の循環量を増加する等の、水分をより低減する操作を複数行い、水分の単位時間当りの低減量が、連続的及び/又は段階的に増加する(反応系中の水分量が連続的及び/又は段階的に減少する)ようにすることができる。
フラット期間において反応系から水分を低減する場合、〔(W1−W’)/W1〕×100で算出される水分低減率A(%)が10%以上、更に30%以上、更に40%以上、より更に50%以上であることが好ましい。ここで、W1は前記の通りであり、W’は設定温度X1に到達してから1時間後の水分量である。後述のように、フラット期間において反応系からの水分の単位時間当たりの低減量を増加させる場合も、上記のような水分低減率Aを満たすことが好ましい。
フラット期間において水分を低減する場合は、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を少なくとも1回増加させる場合、最初に温度X1に到達した時点から、Yt×T〔Ytはフラット期間の時間、Tは0超0.9以下〕時間以内に、前記低減量の最初の増加を行うことができる。前記低減量の最初の増加を行う時点Y2での水分量W2が、反応系1kgあたり250〜1000mgであることが好ましい。
反応系からの水分の単位時間当りの低減量を段階的に増加する場合、前記低減量の最初の増加を行った時点Y2からエステル化工程の残り時間が1時間以上ある場合、該Y2から1時間後の、下記式で定義される水分低減率Bが10%以上であることが好ましい。
水分低減率B(%)=〔(W2−W3)/W2〕×100
W2:低減量の最初の増加を行う時点Y2での水分量
W3:低減量の最初の増加を行った時点Y2から1時間後の反応系1kgあたりの水分量
なお、Y2からのエステル化工程の残り時間が1時間未満である場合は、上記のW3を「エステル化工程終了時点での反応系1kgあたりの水分量」と置き換えて水分低減率Bを算出するものとする。
フラット期間での水分の低減は、反応系中の水分の低減に寄与する条件(以下、減水条件という)を、より低減量が大きくなるよう変化させることで行うことが好ましい。ここで、反応系中の水分の低減に寄与する条件としては、反応圧力、反応成分の接触状態などが挙げられ、具体的には、反応系を減圧する、不活性ガスを反応系(反応液)中に導入する、等の方法により、減水条件を、より低減量が大きくなるよう変化させることができる。なお、フラット期間で減水条件を変化させたことにより、水分の低減以外の効果が得られることがあってもよい。
エステル化工程の後、脱酸、水洗、及び吸着(脱色)処理などの一般の精製工程により該エステルを精製することができる。着色度をさらに下げたい場合は、例えば活性白土等の吸着剤及び濾過助剤などを目的の水準に応じてエステルに加えて混合、濾過することが可能である。
本発明では、エステル化工程により得られた反応生成物から、未反応の成分(2)を除去することが好ましい。具体的には、反応生成物を減圧処理して成分(2)を反応生成物から除去することが挙げられる。除去した成分(2)は、回収してエステル化工程の反応原料として再利用することができる。なお、成分(2)を吸着し得る吸着剤により成分(2)を除去してもよいが、減圧処理の方が除去効率や成分(2)の再利用の点で好ましい。
反応生成物からの未反応の成分(2)の除去は、反応生成物中の酸価を目安に行うことができ、好ましくは反応生成物の酸価が0.3mgKOH/g以下、より好ましくは0.2mgKOH/g以下、更に好ましくは0.1mgKOH/g以下となるまで脱酸、好ましくは減圧処理を行うことである。
また、本発明では、上記エステル化工程の後、未反応の成分(2)を除去された反応生成物を脱色することが好ましい。脱色は、色素の吸着能を有する吸着剤(以下、脱色吸着剤という)を反応生成物と接触させることにより行うのが好ましい。
脱色吸着剤としては、活性炭、活性白土等が挙げられる。これら脱色吸着剤は、反応生成物の着色度に応じて、反応生成物に対して0.1〜1.5重量%使用されるのが好ましい。
また、脱色は、反応生成物であるエステルの着色度がAPHA100以下となるまで行うことが好ましい。このAPHAは、JIS K−0071−1に基づいて測定することができる。
本発明の製造方法により得られるエステルの酸価は、金属への腐食防止の観点から低い程良く、好ましくは0.1mgKOH/g以下、更に好ましくは0.05mgKOH/g以下、特に好ましくは0.03mgKOH/g以下である。エステル化反応後、過剰の酸を減圧下除去し、更に吸着剤で吸着除去し、酸価を下げることができる。該酸価は、JIS K0070 3.1に基づいて測定することができる。エステルの酸価は、例えば酸吸着剤の使用量を既エステルに対し0.01〜5重量%に制御することで調整できる。また、酸吸着剤量による吸着処理の実施回数を1回〜5回行うことでも調整できる。
本発明の製造方法により得られるエステルは、潤滑油用基油として好適に使用することができる。たとえば、冷凍機油、グリース油、作動油油、エンジン油などの潤滑油用の基油として用いることができ、とくに冷凍機油に適する。基油としての該エステルに、酸化防止剤、防錆剤等の添加剤を適宜配合することにより、潤滑油、特に冷凍機油を製造することができる。
実施例1
攪拌棒、窒素ガス吹き込み管、温度計および冷却器付き水分分離器を備えた5リットルの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール544g(4モル)、2−エチルヘキサン酸2304g(16モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。250℃到達後、滴下ロートに入った2−エチルヘキサン酸576g(4モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が0.25当量)を1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後6時間で1.7mgKOH/g、250℃到達後7時間で0.7mgKOH/gとなったため、反応を終了した。反応液の水酸基価が1mgKOH/g以下が反応の終点の目安となる。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例2
実施例1と同様の装置を用い、ペンタエリスリトール544g(4モル)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸2528g(16モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。250℃到達後、滴下ロートに入った3,5,5−トリメチルヘキサン酸632g(4モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が0.25当量)を1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後5時間で1.5mgKOH/g、250℃到達後6時間で0.6mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例3
実施例1と同様の装置を用い、ペンタエリスリトール544g(4モル)、2−エチルヘキサン酸1152g(8モル)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸1264g(8モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記2種の脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。250℃到達後、同一の滴下ロートに入った2−エチルヘキサン酸288g(2モル)と3,5,5−トリメチルヘキサン酸316g(2モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記2種の脂肪酸のカルボキシル基が0.25当量)とを1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後5時間で1.8mgKOH/g、250℃到達後6時間で0.7mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例4
攪拌棒、窒素ガス吹き込み管、温度計および冷却器付き水分分離器を備えた5リットルの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール544g(4モル)、ノルマルヘプタン酸2080g(16モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、240℃まで昇温した。240℃到達後、滴下ロートに入ったノルマルヘプタン520g(4モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が0.25当量)を1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(240℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、230℃到達後4時間で1.3mgKOH/g、240℃到達後6時間で0.6mgKOH/gとなったため、反応を終了した。反応液の水酸基価が1mgKOH/g以下が反応の終点の目安となる。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例5
実施例1と同様の装置を用い、トリメチロールプロパン805g(6モル)、ノルマルオクタン酸1440g(10モル)、ノルマルデカン酸1376g(8モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記の2種の脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、240℃まで昇温した。240℃到達後、滴下ロートに入ったノルマルオクタン酸288g(2モル)ノルマルデカン酸257g(1.6モル)(トリメチロールプロパンの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が0.2当量)を1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(240℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、240℃到達後4時間で1.8mgKOH/g、240℃到達後6時間で0.5mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例6
実施例1と同様の装置を用い、トリメチロールプロパン805g(6モル)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸2844g(18モル)(トリメチロールプロパンの水酸基1当量に対して前記の脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。250℃到達後、同一の滴下ロートに入った3,5,5−トリメチルヘキサン酸711g(4.5モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記2種の脂肪酸のカルボキシル基が0.25当量)とを1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後5時間で1.9mgKOH/g、250℃到達後7時間で0.6mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例7
実施例1と同様の装置を用い、ネオペンチルグリコール839.2g(8モル)、ノルマルオクタン酸2304g(16モル)(ネオペンチルグリコールの水酸基1当量に対して脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、240℃まで昇温した。240℃到達後、同一の滴下ロートに入ったノルマルオクタン酸474g(4モル)(ネオペンチルグリコールの水酸基1当量に対して前記の脂肪酸のカルボキシル基が0.25当量)とを1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(240℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、240℃到達後4時間で1.5mgKOH/g、240℃到達後6時間で0.7mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例8
実施例1と同様の装置を用い、ネオペンチルグリコール839.2g(8モル)、2−エチルヘキサン酸2304g(16モル)(ネオペンチルグリコールの水酸基1当量に対して脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。250℃到達後、同一の滴下ロートに入った2−エチルヘキサン酸576g(4モル)(ネオペンチルグリコールの水酸基1当量に対して前記の脂肪酸のカルボキシル基が0.25当量)とを1時間かけて反応液に滴下した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後5時間で1.9mgKOH/g、250℃到達後6時間で0.8mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
実施例9、10
ペンタエリスリトール〔成分(1)〕と2−エチルヘキサン酸〔成分(2)〕の当量比を表2の通りとした以外は実施例1と同様にしてエステルの製造を行った。
比較例1
実施例1と同様の装置を用い、ペンタエリスリトール544g(4モル)、2−エチルヘキサン酸2304g(16モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後12時間で29mgKOH/gであり、その後反応を継続したが、250℃到達後24時間でも水酸基価は1mgKOH/g以下にはならなかっった。なお、反応は留出する水を除去して行った。
比較例2
実施例1と同様の装置を用い、ペンタエリスリトール544g(4モル)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸2528g(16モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が1当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後12時間で25mgKOH/gであり、その後反応を継続したが、250℃到達後24時間でも水酸基価は1mgKOH/g以下にはならなかった。なお、反応は留出する水を除去して行った。
比較例3
実施例1と同様の装置を用い、ペンタエリスリトール544g(4モル)、2−エチルヘキサン酸2304g(20モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が1.25当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後12時間で1.7mgKOH/g、250℃到達後14時間で0.8mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
比較例4
実施例1と同様の装置を用い、ペンタエリスリトール544g(4モル)、2−エチルヘキサン酸1440g(10モル)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸1580g(10モル)(ペンタエリスリトールの水酸基1当量に対して前記脂肪酸のカルボキシル基が1.25当量)を仕込む。
次に、攪拌下フラスコ内に、窒素ガスを1L/分の割合で吹き込みながら、250℃まで昇温した。昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後10時間で1.4mgKOH/g、250℃到達後12時間で0.8mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
比較例5
実施例1と同様の装置を用い、トリメチロールプロパン805g(6モル)、ノルマルオクタン酸1728g(12モル)、ノルマルデカン酸1651.2g(9.6モル)(トリメチロールプロパンの水酸基1当量に対して前記2種の脂肪酸のカルボキシル基が1.2当量)を仕込む。
昇温過程及び定温(240℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、240℃到達後7時間で1.7mgKOH/g、240℃到達後12時間で0.7mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
比較例6
実施例1と同様の装置を用い、トリメチロールプロパン805g(6モル)、2−エチルヘキサン酸3240g(22.5モル)(トリメチロールプロパンの水酸基1当量に対して前記の脂肪酸のカルボキシル基が1.2当量)を仕込む。
昇温過程及び定温(250℃)到達後以降に留出する水を除去し、反応を進めた。1時間ごとに反応系の水酸基価を測定したところ、250℃到達後8時間で1.9mgKOH/g、240℃到達後12時間で0.9mgKOH/gとなったため、反応を終了した。なお、反応は留出する水を除去して行った。
比較例7
ペンタエリスリトール〔成分(1)〕と2−エチルヘキサン酸〔成分(2)〕の当量比を表2の通りとした以外は実施例1と同様にしてエステルの製造を行った。
上記実施例及び比較例の詳細、全仕込み成分に対するエステルの収率(%)を表1、2にまとめた。
Figure 2008013546
いずれも実施例及び比較例でもフラット期間中、反応系から水分を除去する操作を行ったが、水分の単位時間あたりの低減量は変化させなかった。また、いずれも、仕込みはフラット期間の前に行い、成分(2)の追加添加はフラット期間で行った。また、W’は温度X1に到達してから1時間後の水分量であり、水分低減率(%)は、〔(W1−W’)/W1〕×100で算出した。また、W’’はエステル化工程終了時の反応系1kgあたりの水分量である。
Figure 2008013546
表2中、成分(2)/成分(1)当量比で、「仕込み時」は、仕込み時の成分(1)の量(I)と仕込み時の成分(2)の量(IIa)とに基づく当量比(IIa)/(I)であり、「追加添加分」は、仕込み時の成分(1)の量(I)と追加添加分の成分(2)の量(IIb)とに基づく当量比(IIb)/(I)であり、「合計」は、仕込み時の成分(1)の量(I)と、仕込み時の成分(2)の量(IIa)と追加添加分の成分(2)の量(IIb)とに基づく当量比〔(IIa)+(IIb)〕/(I)である。また、実施例3と比較例4における2−ヘチルヘキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸の当量比は1:1であり、実施例5と比較例5におけるノルマルヘプタン酸とノルマルオクタン酸の当量比は1:1である。また、「水酸基価(1)」は、設定温度に到達した時点での反応系の水酸基価である。

Claims (6)

  1. 多価アルコール(1)〔以下、成分(1)という〕と飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体(2)〔以下、成分(2)という〕とを反応させるエステルの製造方法であって、成分(1)と成分(2)とを反応系に仕込み、仕込んだ成分(1)と成分(2)の反応中に、更に成分(2)を反応系に添加〔以下、成分(2)の追加添加という〕し、仕込み時の成分(1)の量(I)と、仕込み時の成分(2)の量(IIa)と追加添加分の成分(2)の量(IIb)とに基づく当量比(I)/〔(IIa)+(IIb)〕が、1/1.1〜1/1.5である、エステルの製造方法。
  2. 反応系の水酸基価(OHV)が40〜100mgKOH/gになった時点で、成分(2)の追加添加を行う、請求項1記載のエステルの製造方法。
  3. 仕込み時の成分(1)の量(I)と仕込み時の成分(2)の量(IIa)とに基づく当量比が、(I)/(IIa)=1/0.9〜1/1.1である、請求項1又は2記載のエステルの製造方法。
  4. 成分(2)の追加添加を0.5〜5時間かけて行う、請求項1〜3の何れか1項記載のエステルの製造方法。
  5. 成分(2)の追加添加を、成分(2)を含有する液体成分の滴下により行う、請求項1〜4の何れか1項記載のエステルの製造方法。
  6. エステルが、潤滑油用基油として使用される請求項1〜5の何れか1項記載のエステルの製造方法。
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