JP4160081B2 - エステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エステルの製造方法に関する。
従来、潤滑油用基油には入手が容易な鉱物油が用いられていた。しかし、近年、使用条件の過酷化や省エネルギー対応機器の増加、さらには環境中に拡散された場合の影響低減などの潤滑油への要求性能の高度化に対し、鉱物油は潤滑性・耐熱性・酸化安定性・低温流動性・生分解性などの性能が不十分となってきた。そのため鉱物油の代替品として、潤滑性・耐熱性・酸化安定性・低温流動性・生分解性に優れたPOE系(ポリオールエステル)と呼ばれるネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のヒンダードアルコールエステルが潤滑油用基油に用いられるようになった。
なかでも、冷凍機油用潤滑油は、冷凍機の冷媒が塩素を含まない水素含有フロン冷媒に移行していることに伴い、このような冷媒に対応できるものが要望されている。例えば、特許文献1には、炭素数15以下、3価以上の多価アルコールと炭素数2〜18の1価脂肪酸等とを原料として得たエステルを主成分とする水素含有フロン冷媒用潤滑油が開示されている。また、特許文献2には、着色度の低い冷凍機油用基油を得るために、原料としてモノペンタエリスリトール含有量の高いペンタエリスリトールを用いる方法が提案されている。更に、特許文献3には、吸着剤の使用量を低減しても吸着剤の使用量を低減しても十分な脱酸、脱色が達成される簡易な潤滑油用エステルの製造方法として、特定の工程(1)〜(4)を含む製造方法が開示されている。
特開平3−128992号公報 特開2001−107067号公報 特開2005−170998号公報
こうしたエステルを製造するにあたり、製造工程を短縮して製造効率を高めることは工業上有意義であるが、単に反応時間を短縮しただけでは品質を維持しつつエステルを製造することは困難となる。
本発明の課題は、品質を維持しつつ、反応時間を短縮して製造効率を高めることができるエステルの製造方法を提供することにある。
本発明は、多価アルコールと飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体とを、190℃以上の温度で反応させる工程(以下、エステル化工程という)を有するエステルの製造方法であって、エステル化工程の終了時に反応系の水分量が、反応系1kgあたり200mg以下となるように水分を低減することを行う、エステルの製造方法に関する。
本発明によれば、品質を維持しつつ、反応時間を短縮して製造効率を高めることができるエステルの製造方法を提供される。本発明の製造方法により得られるエステルは、潤滑油用基油、特に、冷凍機油用潤滑油として好適である。
本発明では、多価アルコール〔以下、(A)成分という〕と飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体〔以下、(B)成分という〕とを反応させてエステルを含む反応生成物を得る。
(A)成分としては、具体的には、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジ(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)エーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリトリメチロールエタン、トリトリメチロールプロパン、トリペンタエリスリトール等のヒンダード多価アルコール、あるいは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。これらの多価アルコールの炭素原子数は、生成エステルの粘度の観点から2〜18が好ましく、2〜7がさらに好ましい。また、分子中のヒドロキシ基によっても生成エステルの粘度を調整でき、この観点から分子中にヒドロキシ基を2〜8個含むことが好ましい。さらに、耐熱性の観点からはヒンダード多価アルコールが優れており、とくに、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。(A)成分は、2種以上を併用することもできる。
(B)成分としては、具体的には、酪酸、バレリン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸や、イソ酪酸、イソバレリン酸、ピバリン酸、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、シクロヘキシル酢酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、2−メチルオクタン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分岐鎖飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられ、これらの誘導体としては、該脂肪酸のネオペンチルグリコールモノエステル、該脂肪酸のネオペンチルグリコールジエステル、該脂肪酸のトリメチロールプロパンモノエステル、該脂肪酸のトリメチロールプロパンジエステル、該脂肪酸のトリメチロールプロパントリエステル、該脂肪酸のペンタエリスリトールモノエステル、該脂肪酸のペンタエリスリトールジエステル、該脂肪酸のペンタエリスリトールトリエステル、該脂肪酸のペンタエリスリトールテトラエステル等が挙げられる。生成エステルの低温流動性と金属に対する腐食性の観点から、炭素原子数は4〜12のものが好ましく、5〜10のものが更に好ましい。耐加水分解性の観点からは2−エチルヘキサン酸等のカルボニル基のα位に分岐鎖を持つカルボン酸が好ましい。(B)成分は2種以上を併用することもできる。(B)成分の沸点は、180〜380℃が好ましい。
本発明では、エステル化工程での(A)成分と(B)成分の反応は、(B)成分が(A)成分に対して過剰となる条件で行うことが好ましく、具体的には、(A)と(B)とを、(B)/(A)=1.05〜1.4、更に1.1〜1.3の当量比で反応させることが、エステル化の反応速度を上げる観点から好ましい。なお、この当量比は、(A)成分〔複数の場合、全(A)成分〕の水酸基1個あたりの(B)成分〔複数の場合、全(B)成分〕のカルボキシル基の個数である。このように(B)成分を過剰に用いることで、(B)成分を循環使用する際に有利となる。
本発明では、(A)成分と(B)成分とを、190℃以上の温度で、好ましくは2〜10時間反応させるエステル化工程を行う。エステル化工程の反応時間は2〜6時間の範囲から選択されることが、より好ましい。
エステル化工程は190℃以上で行われるが、本発明では、一定温度で一定時間、(A)成分と(B)成分とを反応させることが好ましいので、(A)成分、(B)成分の種類や仕込み比率などを考慮して決定された設定温度Xからの温度変動が少ないことが好ましい。設定温度Xは、190〜270℃の範囲から選択されることが好ましい。
本発明では、特に、エステル工程において、温度勾配0〜10℃の期間(以下、フラット期間という)が存在すること好適である。ここで、温度勾配は、ある時点の反応系の温度をT(℃)とし、その時点から1時間後の反応系の温度がT’(℃)であるとき、T−T’で求まる温度差ΔTの絶対値(|ΔT|)として算出される。本発明では、反応系の温度が190℃以上となったエステル化工程において、この範囲の温度勾配を満たす期間が存在することが好ましい。なお、任意の時点からのエステル化工程の残り時間が1時間未満の場合は、その間の温度変化が0〜10℃であれば、この温度勾配を満たすものとする。通常、反応に供する原料化合物の特性に応じて適宜設定される190℃以上の設定温度Xに最初に到達した時点を基準にして、その時点からの温度勾配が0〜10℃になるように制御される。一方、設定される温度に最初に到達する前の昇温時には、この温度勾配は10℃を超える。本発明では、エステル化工程の少なくとも一部にこのようなフラット期間が存在することが好ましいが、フラット期間がエステル化工程の終了まで継続することが、より好ましい。また、最初のフラット期間が開始する時点Y1での反応系の温度をX1としたときに、設定温度Xと温度X1とが一致することが好ましい。
また、フラット期間の長さはエステル化工程の50〜85%(時間基準)を占めることが好ましく、具体的にはフラット期間の時間は2〜10時間、更に2〜6時間の範囲から選択されることが好ましい。なお、本発明では、エステルの製造工程の全域にわたる温度挙動を監視して、190℃以上において温度勾配が0〜10℃となる期間をフラット期間としてもよい。その場合、最初に温度勾配が0〜10℃となる時点での温度をX1とできる。
温度勾配の測定は、複数回行うことが好ましく、0.5〜1時間から選ばれる一定時間ごとに測定を行うことが好ましい。通常、エステル化反応の設定温度Xは、反応に供する原料化合物の特性に応じて適宜設定されるので、反応槽に熱電対等の温度センサーを設置し、温度を連続的に測定し、エステル化工程において温度勾配が好ましくは0℃〜10℃となるフラット期間が存在するように制御される。フラット期間における温度勾配は、0℃〜5℃、更に0℃〜2℃が好ましい。
また、本発明では、エステル化工程のフラット期間における反応温度の変化量が10℃以内であること、すなわち、フラット期間が開始する時点Y1での温度X1に対して、フラット期間が終了するまでX1±10℃の温度範囲である(ただし、X1±10℃は190℃以上である)ことが好ましい。
エステル化工程において、最初のフラット期間が開始する時点Y1での反応系中の水分量W1としては、反応系1kgあたり1000mg以下、更に700mg以下、更に500mg以下、更に400mg以下、更に300mg以下、更に好ましくは200mg以下とすることができる。また、W1が、反応系1kgあたり250〜1000mgである場合は、後述するように、フラット期間において反応系からの水分の単位時間当たりの低減量を少なくとも1回増加させることが、エステル化工程の終了時の反応系中の水分量を反応系1kg当たり200mg以下にする上で有効である。W1は、仕込み温度から温度X1に最初に到達するまでに水分を除去することで調整できる。
本発明では、エステル化反応が実質的に進行しなくなったときをエステル化工程の終了時とする。例えば、エステル化反応を、水酸基価を指標にして監視する場合は、目標とする水酸基価に到達した後、その水酸基価が一定になるように反応系の条件を設定したときは、エステル化反応が実質的に進行しなくなるため、この時点でエステル化工程が終了したとすることができる。潤滑油用基油のような高純度を要求されるエステルの製造においては、エステルの水酸基価が好ましくは15mgKOH、より好ましくは10mgKOH、更に好ましくは5mgKOHに到達したときをエステル化工程の終了時としてよい。
本発明では、好ましくはエステル化工程、より好ましくはフラット期間で反応系の水分量が、反応系1kgあたり200mg以下、好ましくは150mg以下、より好ましくは100mg以下、更に好ましくは70mg以下、特に好ましくは50mg以下になるように水分を低減することを行う。反応系の水分量の低減は、エステル化工程、好ましくはフラット期間において行うことができる。また、エステル化工程の前、又は後に行うこともできる。例えば、エステル化工程の前に反応系の水分量の低減を行う場合、設定温度に到達するまでの昇温速度を変える、反応系内への不活性気体の導入量を変える、設定温度を高く設定する、などにより行うことができる。また、エステル化工程の後に反応系の水分量の低減を行う場合、設定温度よりも高い温度で熟成工程を行う、反応槽内を減圧する、反応系内への不活性気体の導入量を更に増加する、などにより行うことができる。
フラット期間において水分を低減する場合は、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を少なくとも1回増加させることが好ましい。その場合、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を連続的に増加させてもよいし、段階的に増加あせてもよいが、段階的に増加することが好ましい。すなわち、反応系の温度をより高くする、反応系への不活性ガスの導入量を増加する、(B)成分の循環量を増加する等の、水分をより低減する操作を複数行い、水分の単位時間当りの低減量が、連続的及び/又は段階的に増加する(反応系中の水分量が連続的及び/又は段階的に減少する)ようにすることが好ましい。
フラット期間において水分を低減する場合は、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を少なくとも1回増加させる場合、最初に温度X1に到達した時点から、Yt×T〔Ytはフラット期間の時間、Tは0超0.9以下〕時間以内に、前記低減量の最初の増加を行うことができる。前記低減量の最初の増加を行う時点Y2での水分量W2が、反応系1kgあたり250〜1000mgであることが好ましい。
反応系からの水分の単位時間当りの低減量を段階的に増加する場合、前記低減量の最初の増加を行った時点Y2からエステル化工程の残り時間が1時間以上ある場合、該Y2から1時間後の、下記式で定義される水分低減率が10%以上であることが好ましい。
水分低減率(%)=〔(W2−W3)/W2〕×100
W2:低減量の最初の増加を行う時点Y2での水分量
W3:低減量の最初の増加を行った時点Y2から1時間後の反応系1kgあたりの水分量
なお、Y2からのエステル化工程の残り時間が1時間未満である場合は、上記のW3を「エステル化工程終了時点での反応系1kgあたりの水分量」と置き換えて水分低減率を算出するものとする。
フラット期間での水分の低減は、反応系中の水分の低減に寄与する条件(以下、減水条件という)を、より低減量が大きくなるよう変化させることで行うことが好ましい。ここで、反応系中の水分の低減に寄与する条件としては、反応圧力、反応成分の接触状態などが挙げられ、具体的には、反応系を減圧する、不活性ガスを反応系(反応液)中に導入する、等の方法により、減水条件を、より低減量が大きくなるよう変化させることができる。なお、フラット期間で減水条件を変化させたことにより、水分の低減以外の効果が得られることがあってもよい。
本発明の製造方法により得られるエステルの水酸基価は、耐吸湿性と潤滑剤としての耐摩耗性の観点から、好ましくは15mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下、とくに好ましくは5mgKOH/g以下である。該水酸基価は、JIS K0070 7.2に基づいて測定することができる。エステルの水酸基価を低減するには、エステル化工程、好ましくはフラット期間において、温度を上げる、窒素置換量を増大する、反応時間を延ばす等により、エステル化工程の終了時の反応生成物(エステル)の水酸基価が20mgKOH/g以下、更に15mgKOH/g以下、更に10mgKOH/g以下、更に5mgKOH/g以下、更に4mgKOH/g以下とすることが好ましい。エステル化工程の終了をこのような反応生成物の水酸基価を指標にして決めてもよい。エステル反応終了後では、酸吸着剤による吸着処理の後でカチオン吸着剤による吸着処理を行うことで調整できる。
エステル化工程における(A)成分と(B)成分の反応の一例を挙げれば、(A)成分と(B)成分の当量比が上記範囲である場合に、反応温度(設定温度)200〜260℃、反応時間2〜6時間、反応圧力13〜101kPaであり、該温度を基準として温度勾配が0〜10℃の期間が存在することである。例えば、(A)成分がペンタエリスリトールの場合、窒素気流下、常圧で230〜260℃で2〜4時間反応させ、水酸基価が4mgKOH/g以下となるまで反応を行うことが挙げられる。
エステル化工程の後、脱酸、水洗、及び吸着(脱色)処理などの一般の精製工程により該エステルを精製することができる。着色度をさらに下げたい場合は、例えば活性白土吸着剤及び濾過助剤などの吸着剤を目的の水準に応じてエステルに加えて混合、濾過することが可能である。
本発明では、エステル化工程により得られた反応生成物から、未反応の(B)成分を除去することが好ましい。具体的には、反応生成物を減圧処理して(B)成分を反応生成物から除去することが挙げられる。除去した(B)成分は、回収してエステル化工程の反応原料として再利用することができる。なお、(B)成分を吸着し得る吸着剤により(B)成分を除去してもよいが、減圧処理の方が除去効率や(B)成分の再利用の点で好ましい。
反応生成物からの未反応の(B)成分の除去は、反応生成物中の酸価を目安に行うことができ、好ましくは反応生成物の酸価が0.3mgKOH/g以下、より好ましくは0.2mgKOH/g以下、更に好ましくは0.1mgKOH/g以下となるまで脱酸、好ましくは減圧処理を行うことである。
また、本発明では、上記エステル化工程の後、未反応の(B)成分を除去された反応生成物を脱色することが好ましい。脱色は、色素の吸着能を有する吸着剤(以下、脱色吸着剤という)を反応生成物と接触させることにより行うのが好ましい。
脱色吸着剤としては、活性炭、活性白土等が挙げられる。これら脱色吸着剤は、反応生成物の着色度に応じて、反応生成物に対して0.1〜1.5重量%使用されるのが好ましい。
また、脱色は、反応生成物であるエステルの着色度がAPHA100以下となるまで行うことが好ましい。このAPHAは、JIS K−0071−1に基づいて測定することができる。
本発明の製造方法により得られるエステルの酸価は、金属への腐食防止の観点から低い程良く、好ましくは0.1mgKOH/g以下、更に好ましくは0.05mgKOH/g以下、特に好ましくは0.03mgKOH/g以下である。エステル化反応後、過剰の酸を減圧下除去し、更に吸着剤で吸着除去し、酸価を下げることができる。該酸価は、JIS K0070 3.1に基づいて測定することができる。エステルの酸価は、例えば酸吸着剤の使用量を既エステルに対し0.01〜5重量%に制御することで調整できる。また、酸吸着剤量による吸着処理の実施回数を1回〜5回行うことでも調整できる。
本発明の製造方法により得られるエステルは、潤滑油用基油として好適に使用することができる。たとえば、冷凍機油、グリース油、作動油油、エンジン油などの潤滑油用の基油として用いることができ、とくに冷凍機油に適する。基油としての該エステルに、酸化防止剤、防錆剤等の添加剤を適宜配合することにより、潤滑油、特に冷凍機油を製造することができる。
以下の実施例及び比較例では、設定温度Xにおける温度勾配(温度Xに達してから1時間後の温度の変化)は、3.0℃以下であった。また、何れも、エステル化工程の終了までフラット期間は継続していた。
実施例1〜3及び比較例1
2L容の四つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹込管、および冷却器付きの脱水管を取り付けた。原料のペンタエリスリトール230gと3,5,5−トリメチルヘキサン酸1340gとを前記四つ口フラスコに入れ、0.03NL/m/kgの窒素ガス吹込下、温度Xを250℃と設定し、250℃まで昇温を行い、250℃〜255℃でエステル化反応を行った。次に表1記載の条件で四つ口フラスコ内の水分を低減させながら水酸基価が3mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を行った。その後、冷却器付きの脱水管を脱酸管及び受器に付け替え、未反応の3,5,5−トリメチルヘキサン酸を0.7kPaの減圧下で酸価が0.1mgKOH/g以下になるまで脱酸し、ペンタエリスリトールテトラエステルを得た。なお、最初に温度Xに到達してから2.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は2.0℃であった。更に、最初に温度Xに到達してから3.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は1.0℃であった。その結果、フラット期間が開始する時点での温度X1は250℃であることがわかる。
実施例4及び比較例2
3L容の四つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹き込み管、および冷却器付きの脱水管を取り付けた。原料のペンタエリスリトール470gとノルマル吉草酸1750gとを前記四つ口フラスコに入れ、0.03NL/m/kgの窒素ガス吹込下、温度Xを210℃と設定し、210℃まで昇温を行い、210℃〜215℃でエステル化反応を行った。次に表1記載の条件で四つ口フラスコ内の水分を低減させながら水酸基価が3mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を行った。その後、冷却器付きの脱水管を脱酸管及び受器に付け替え、未反応のノルマル吉草酸を0.7kPaの減圧下で酸価が0.1mgKOH/g以下になるまで脱酸し、ペンタエリスリトールテトラエステルを得た。なお、最初に温度Xに到達してから2.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は2.5℃であった。更に、最初に温度Xに到達してから4.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は1.5℃であった。その結果、フラット期間が開始する時点での温度X1は210℃であることがわかる。
実施例5〜6及び比較例3
5L容の四つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹き込み管、および冷却器付きの脱水管を取り付けた。原料のペンタエリスリトール380gとイソステアリン酸3700gとを前記四つ口フラスコに入れ、0.03NL/m/kgの窒素ガス吹込下、温度Xを260℃と設定し、260℃まで昇温を行い、260℃〜265℃でエステル化反応を行った。次に表1記載の条件で四つ口フラスコ内の水分を低減させながら水酸基価が3mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を行った。その後、冷却器付きの脱水管を脱酸管及び受器に付け替え、未反応のイソステアリン酸を0.7kPaの減圧下で酸価が0.1mgKOH/g以下になるまで脱酸し、ペンタエリスリトールテトラエステルを得た。なお、最初に温度Xに到達してから1.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は1.5℃であった。更に、最初に温度Xに到達してから2.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は1.0℃であった。その結果、フラット期間が開始する時点での温度X1は260℃であることがわかる。
実施例7〜10及び比較例4
5L容の四つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹き込み管、および冷却器付きの脱水管を取り付けた。原料のペンタエリスリトール570gと2−エチルヘキサン酸1550gと3,5,5−トリメチルヘキサン酸1610gとを前記四つ口フラスコに入れ、0.03NL/m/kgの窒素ガス吹込下、温度Xを250℃と設定し、250℃まで昇温を行い、250℃〜255℃でエステル化反応を行った。次に表1記載の条件で四つ口フラスコ内の水分を低減させながら水酸基価が3mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を行った。その後、冷却器付きの脱水管を脱酸管及び受器に付け替え、未反応の2−ヘチルヘキサン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸とを0.7kPaの減圧下で酸価が0.1mgKOH/g以下になるまで脱酸し、ペンタエリスリトールテトラエステルを得た。なお、最初に温度Xに到達してから2.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は1.5℃であった。更に、最初に温度Xに到達してから4.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は1.0℃であった。その結果、フラット期間が開始する時点での温度X1は250℃であることがわかる。
実施例11
エステル化工程を265℃〜268℃で行う以外は、実施例7等と同様にしてペンタエリスリトールテトラエステルを得た。なお、反応原料の仕込み後、温度Xは265℃とし、窒素ガスの吹き込み開始から265℃に到達するまでに要する時間は、実施例7等と同じとした。なお、最初に温度Xに到達してから1.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は2.0℃であった。更に、最初に温度Xに到達してから2.0時間後とそこから1時間後の間では、温度勾配は1.0℃であった。その結果、フラット期間が開始する時点での温度X1は265℃であることがわかる。
Figure 0004160081
表中の記号は以下の意味である。
・3,5,5TMHA:3,5,5−トリメチルヘキサン酸
・2−EHA:2−ヘチルヘキサン酸
・Y3:エステル化工程終了の時点
・W4:エステル化工程終了時の反応系1kgあたりの水分量

Claims (11)

  1. 多価アルコールと飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体とを、190℃以上の温度で反応させる工程(以下、エステル化工程という)を有するエステルの製造方法であって、エステル化工程において温度勾配0〜5℃の期間(以下、フラット期間という)が存在し、エステル化工程の終了時に反応系の水分量が、反応系1kgあたり200mg以下となるように水分を低減することを行う、エステルの製造方法。
  2. エステル化工程の終了時の反応生成物の水酸基価が0.92mgKOH/g以下である請求項1記載のエステルの製造方法。
  3. 最初のフラット期間が開始する時点Y1での反応系中の水分量W1が、反応系1kgあたり1000mg以下である、請求項1記載のエステルの製造方法。
  4. 前記水分量W1が、反応系1kgあたり250〜1000mgである、請求項3記載のエステルの製造方法。
  5. 反応系の水分量の低減を、前記フラット期間で行う、請求項1〜4の何れか1項記載のエステルの製造方法。
  6. 前記フラット期間において、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を少なくとも1回増加させる、請求項5記載のエステルの製造方法。
  7. 前記フラット期間において、反応系からの水分の単位時間当りの低減量を段階的に増加する、請求項6記載のエステルの製造方法。
  8. 前記低減量の最初の増加を行う時点Y2での水分量W2が、反応系1kgあたり250〜1000mgである請求項6又は7記載のエステルの製造方法。
  9. 前記フラット期間における反応温度の変化量が10℃以内である請求項1〜8の何れか1項記載のエステルの製造方法。
  10. 飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体の沸点が、180〜380℃である、請求項1〜9の何れか1項記載のエステルの製造方法。
  11. エステルが、潤滑油用基油として使用される請求項1〜10の何れか1項記載のエステルの製造方法。
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