JP6394120B2 - エステル化合物 - Google Patents

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本発明は、種々のカルボン酸・カルボン酸エステルから、温和な反応条件下で容易に合成でき、かつ低融点で粘度指数・耐熱性・色数に優れたヒンダードポリオールエステル化合物に関する。
ポリオールエステル・エステル系合成油は粘度特性・熱安定性・酸化安定性・潤滑性・揮発性・低温特性などの様々な物性が鉱油に比べてバランスよく優れているために、高機能性が必要な潤滑分野に広く利用されている合成油である(非特許文献1)。
その中でもヒンダードポリオールエステルはエステルカルボニル基のβ位に水素を持たないことから擬環状中間体を経由する低活性型の低温分解反応が起こらず、従来のエステル系合成油の欠点である熱安定性・酸化安定性に優れ、耐熱性用途の潤滑剤・化粧料用途などに広く利用されてきた。
しかしながら、ジェットエンジン油・自動車エンジン油・空気圧縮機油・難燃性作動油など様々な分野で、近年の高性能化・使用環境の苛酷化・長寿命化などの要求によりさらに熱安定性・酸化安定性に優れた潤滑油が望まれ、また低温特性が要求される分野でも、オゾン層破壊といった環境からの要請により新たな特性を持つ冷凍機油が求められており、種々の分野でさらなる特性に優れたポリオールエステルの開発が望まれ、検討が行われてきた。
例えば耐熱用途の分野では、さらなる耐熱性の向上のために、ヒンダードカルボン酸とヒンダードポリオールのエステルが検討されてきた。耐熱性、粘度指数を改良したものとして、特許文献1に3級カルボン酸と多価アルコールの組み合わせが例示されている。特に、酸化安定性をあげるためには、よりヒンダードなカルボン酸とヒンダードアルコールの組み合わせが望ましいが、ヒンダードカルボン酸とヒンダードアルコールの組み合わせのエステル化反応は困難であることが知られている(特許文献2)。そのため、アルコールに酸塩化物を反応させる方法が一般によく使われている。また、酸塩化物を使わない場合は、触媒存在下反応温度を非常に高温にしなければならなかった。
一方、カーエアコンやビル空調、冷凍倉庫、冷蔵庫等の冷凍サイクルでは、冷媒を冷凍機油に溶解させた冷凍機油組成物が作動流体として使用されている。特にこれらの領域では、オゾン層破壊の問題からCFC(クロロフルオロカーボン)および、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が規制の対象となり、これらに代わってハイドロフルオロカーボン系冷媒が使用されつつあり、これら冷媒を溶解する冷凍機油にはポリオールエステルが使用されている(特許文献3)。特許文献4の明細書には低温用途へのポリオールエステルへの使用に関して、通常、アルコール1種類、脂肪酸1種類からなるポリオールエステル油は常温から低温で結晶化もしくは固化しやすいことが記載されており、一般に低温用途へのポリオールエステルの使用については結晶化を避けるために種々の脂肪酸を混合して使用することが知られている。
ポリオールエステルの結晶化の問題については、潤滑油・グリース・冷凍機基油の分野だけでなく、化粧料用原料の分野でもよく知られている。特許文献5には室温で結晶化しにくいポリオールエステル化合物が求められており、安息香酸の配合量が結晶化のため制限されていることが記載されている。
このように様々な分野で耐熱性や粘度特性に優れ、結晶化しにくいヒンダードポリオールエステルが望まれているにもかかわらず、実際に使用されているヒンダードポリオールは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールにほぼ限られており、これらの要求に適用可能な新規なヒンダードポリオールエステルを与えるポリオール骨格が広く望まれていた。
特許第3894983号公報 特表2009−501142号公報 特許2613526号公報 特開2013−133443号公報 特許第4801589号公報
平野二郎、油化学 、1980、vol.29、no.9、 p.627-635
これらの背景に加え、特に耐熱性ポリオールエステル系合成油の分野では、より耐熱性を上げるために、3級カルボン酸などのよりヒンダードなカルボン酸のエステルが求められていたが(特許文献1)、カルボン酸がヒンダードになるほど反応速度が遅くなり、合成の際に高温が必要になることが問題となっており、温和な条件下でヒンダードカルボン酸から容易にポリオールエステルが得られる、新たなヒンダードポリオール骨格が求められていた。これらの点をふまえ、本発明では、様々なカルボン酸・カルボン酸エステルから温和な反応条件下で容易に合成可能で、かつ難結晶性で粘度指数・耐熱性・色数に優れたヒンダードポリオールエステル化合物を提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討をした結果、特定の置換基を有する非対称型ポリオールを用いることにより、反応性に優れるとともに、粘度指数・酸化安定性・色数に優れかつ、難結晶性のエステルが得られることを見出し本発明に至ったものである。即ち本発明は以下の通りである。
[1]
一般式(1)で示されるエステル化合物
式中、R、Rはそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を表す。R、R、RおよびRはそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表す。かつ、RおよびRの組合せとRおよびRの組合せは異なる。
[2]
式(1)中R、Rは炭素数1〜20のアルキル基、R、R、R、Rが炭素数1〜6のアルキル基である[1]記載のエステル化合物。
[3]
式(1)中R、Rがメチル基である[1]乃至[2]記載のエステル化合物。
[4]
式(1)中RとRが等しく、炭素数1〜12のアルキル基である[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のエステル化合物
[5]
[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のエステルを含む潤滑油
[6]
[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のエステルを含む化粧料原料
[7]
[6]記載の化粧料原料を用いた化粧品
[8]
一般式(2)で示されるポリオールと、一般式(3)および(4)のカルボン酸との脱水縮合反応により、一般式(1)で示されるエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法
ここで、一般式(2)中で、R、R、RおよびRはそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、かつRおよびRの組合せとRおよびRの組合せは異なり、
COOH (3)
COOH (4)
一般式(3)および(4)中で、R、Rはそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を表す。
一般式(1)中、R〜Rは上記の通りである。
[9]
脱水縮合反応での触媒が、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、硫酸、スルホン酸基を含有する固体酸触媒、塩酸、リン酸、チタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、ジオクチルスズオキシドおよびジブチルスズオキシドから選ばれる少なくとも一つである請求項8記載のエステル化合物の製造方法
[10]
一般式(2)で示されるポリオールと、一般式(5)および(6)のカルボン酸エステルとのエステル交換反応により、一般式(1)で示されるエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法
ここで、一般式(2)中で、R、R、RおよびRはそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、かつRおよびRの組合せとRおよびRの組合せは異なり、
COOR (5)
COOR (6)
一般式(5)および(6)中で、R、Rはそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。
一般式(1)中、R〜Rは上記の通りである。
[11]
エステル交換反応での触媒が硫酸、p−トルエンスルホン酸、チタン酸エステル、アセチルアセトン亜鉛、ジブチルスズオキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびナトリウムメトキシドから選ばれる少なくとも1つである[10]記載のエステル化合物の製造方法。
本発明の一般式(1)で表される様々な非対称型ポリオールエステルは簡便に合成可能である。そして得られた該ポリオールエステルは色数が小さく、粘度指数・耐酸化性に優れかつ難結晶性であって、潤滑油および化粧品等様々な分野に応用可能であり、本発明の工業的意義は大きいと考えられる。
実施例1で得たジピバリン酸 4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジイルのH−NMRチャート 実施例2で得たジピバリン酸 4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジイルのH−NMRチャート 実施例3で得たビス(2−エチルへキサン酸) 4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジイルのH−NMRチャート 実施例4で得たビス(2−エチルへキサン酸) 4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジイルのH−NMRチャート 実施例5で得たビス(3,5,5−トリメチルへキサン酸) 4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジイルのH−NMRチャート 実施例6で得たビス(3,5,5−トリメチルへキサン酸) 4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジイルのH−NMRチャート 比較例1で得たジピバリン酸 2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルのH−NMRチャート 比較例2で得たビス(2−エチルへキサン酸) 2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルのH−NMRチャート 比較例3で得たビス(3,5,5−トリメチルへキサン酸) 2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルのH−NMRチャート
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のエステル化合物は一般式(1)で表される。
式中、R、Rはそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を表す。R、R、RおよびRはそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表す。かつ、RおよびRの組合せとRおよびRの組合せは異なる。
一般式(1)で表されるエステルは原料入手の点で、R、R、RおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖アルキル基であると好ましく、さらに、R、Rが共にメチル基でR、Rのいずれか1つが炭素数2〜6の直鎖アルキル基で残りが炭素数1〜6の直鎖アルキル基であるとより好ましい。
また、R1およびRは等しく、炭素数1〜12のアルキル基であると好ましい。
この一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)に示すヒンダードポリオールとカルボン酸の脱水縮合反応もしくは、一般式(2)に示すヒンダードポリオールとカルボン酸エステルとのエステル交換反応によって合成される。
ここで、一般式(2)中で、R、R、RおよびRはそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、かつRおよびRの組合せとRおよびRの組合せは異なる。
一般式(2)に記載のジオールは、一般式(3)のアセタールを水素化還元することによって得ることができる。
ここで、一般式(3)中で、R、R、RおよびRはそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、かつRおよびRの組合せとRおよびRの組合せは異なる。
また一般式(3)に記載のアセタールは、式(4)に記載のように、2,2−ジ置換−3−ヒドロキシプロパナールと2,2−ジ置換−1,3−プロパンジオールのアセタール化により得ることができる。
ここで、一般式(4)中で、R、R、R、Rはそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、かつRおよびRの組合せとRおよびRの組合せは異なる。
また、一般式(1)で表される化合物を、該脱水縮合反応または該エステル交換反応によって合成するに際し、一般式(2)に示すポリオールを1種類用いても良いし、2種類以上を混合して使用してもよい。
脱水縮合反応に利用可能なカルボン酸は飽和および不飽和1級カルボン酸、2級カルボン酸並びに3級カルボン酸のいずれでもよい。
また、カルボン酸は直鎖および分岐のいずれでもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
飽和直鎖1級カルボン酸の例としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ベラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル、ベヘン酸、トリコシル酸およびリグノセリン酸などがあげられる。より好ましくは、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ベラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸およびラウリン酸があげられる。
また、分岐1級カルボン酸および2級カルボン酸はこれら飽和直鎖1級カルボン酸の構造異性体が包含される。例えば分岐1級カルボン酸の例としては、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、3−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸、5−メチルヘキサン酸、4−メチルオクタン酸、4−エチルオクタン酸、4−メチルノナン酸などがあげられる。より好ましくは、3,5,5−トリメチルヘキサン酸があげられる。
2級カルボン酸の例としては、2−メチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−プロピルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘプタン酸、2−プロピルヘプタン酸、2−メチルオクタン酸、2−エチルオクタン酸、2,4−ジメチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−メチルヘキサデカン酸、2−デシルドデカン酸、2−ヘキサデシルオクタデカン酸、イソミリスチン酸およびイソステアリン酸などがあげられる。より好ましくは、2−エチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘプタン酸および2−プロピルヘプタン酸が、さらに好ましくは、2−エチルヘキサン酸、2−エチルヘプタン酸および2−プロピルヘプタン酸があげられる。
不飽和1級カルボン酸の例としてはα−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモγ−リノレン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸およびネルボン酸などがあげられる。
3級カルボン酸の例としては、上記した飽和直鎖1級カルボン酸の構造異性体が包含され、例えば、ピバリン酸、2,2−ジイソプロピルプロピオン酸、2,2−ジメチル酪酸、2−メチル−2−エチル酪酸、2−エチル−2,3,3−トリメチル酪酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−メチル−2−エチルペンタン酸、2,2,3,3−テトラメチルペンタン酸、2,2,3,4−テトラメチルペンタン酸、2,2,4,4−テトラメチルペンタン酸、2,2−ジメチルへキサン酸、2,2−ジメチルヘプタン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2,2−ジメチルノナン酸、2,2−ジメチルデカン酸、2,2−ジメチルウンデカン酸、2,2−ジメチルドデカン酸、2,2−ジメチルトリデカン酸、2−メチル−2−エチルドデカン酸、2,2−ジメチルペンタデカン酸、2−メチル−2−エチルテトラデカン酸、2,2−ジエチルトリデカン酸、2−メチル−2−エチルオクタデカン酸、2,2−ジエチルヘプタデカン酸および2,2−ジエチルノナデカン酸などがあげられる。
またカルボン酸としてジオールに対して0.9当量以下のジカルボン酸を添加してもよい。ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸およびアゼライン酸、セバシン酸などがあげられる。また、これらのカルボン酸を一種類用いてもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
一般式(2)で表されるポリオールとカルボン酸の脱水縮合反応は、通常100−250℃で行われる。反応時間は反応のスケールや温度によっても変わるが 1−20時間で行われる。圧力は常圧もしくは減圧で行われ、減圧の場合、通常0.1−80kPaで行われる。
共沸溶媒を使用しても使用しなくてもよく、使用する場合は適切な沸点を持つ溶媒が選ばれ、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、デカリン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンおよびクロロベンゼンがあげられる。また溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。使用するジオールに対して、溶媒量は0.5−30質量倍であり、1−10質量倍が好ましい。
また、触媒を使用しても使用しなくても良く、触媒を使用する場合には0.01−4質量%が好ましい。触媒として、通常の有機酸、無機酸、ルイス酸が使用でき、また該有機酸にはアルカンスルホン酸、アリールスルホン酸が含まれる。
各触媒を例示すると、アルカンスルホン酸としてはメタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸が上げられ、アリールスルホン酸としてはp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸が上げられ、無機酸としては、硫酸、塩酸およびリン酸が上げられ、ルイス酸としてはチタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、ジオクチルスズオキシドおよびジブチルスズオキシドなどが例として上げられる。また、触媒は上記から選ばれる2種以上を混合して用いることもできる。
特にp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸などのPKa2以下であるスルホン酸触媒の場合に反応加速が顕著である。
一般式(2)で表されるポリオールとカルボン酸のモル比は1.0:2.0〜4.0、好ましくは1.0:2.0〜3.0である。特に、p−トルエンスルホン酸などを触媒として用いる場合に、カルボン酸量を減らして反応することができる。
エステル交換反応に利用できるカルボン酸エステルは、飽和1級カルボン酸エステル、不飽和1級カルボン酸エステル、2級カルボン酸エステルおよび3級カルボン酸エステルから選ばれるいずれでもよい。またカルボン酸エステルは2種以上を用いることもできる。
飽和1級カルボン酸エステルの例としては、カプロン酸メチル、エナント酸メチル、カプリル酸メチル、ベラルゴン酸メチル、カプリン酸メチル、ウンデシル酸メチル、ラウリン酸メチル、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸メチル、ノナデシル酸メチル、アラキジン酸メチル、ヘンイコシルメチル、ベヘン酸メチル、トリコシル酸メチルおよびリグノセリン酸メチルなどがあげられる。より好ましくは、カプロン酸メチル、エナント酸メチル、カプリル酸メチル、ベラルゴン酸メチル、カプリン酸メチル、ウンデシル酸メチルおよびラウリン酸メチルがあげられる。飽和2級、3級カルボン酸エステルは上記した飽和1級カルボン酸エステルの構造異性体があげられる。
また、不飽和1級カルボン酸エステルとしては、α−リノレン酸メチル、ステアリドン酸メチル、エイコサペンタン酸メチル、ドコサペンタエン酸メチル、リノール酸メチル、γ−リノレン酸メチル、ジホモγ−リノレン酸メチル、アラキドン酸メチル、パルミトレイン酸メチル、バクセン酸メチル、パウリン酸メチル、オレイン酸メチル、エライジン酸メチル、エルカ酸メチルおよびネルボン酸メチルなどがあげられる。
一般式(2)で表されるポリオールとカルボン酸エステルとのエステル交換反応は、通常100−250℃で、生成するアルコールを反応系から取り除きながら行われる。反応時間は反応のスケールや温度によっても変わるが1−20時間で行われる。圧力は常圧もしくは減圧で行われ、減圧の場合、通常0.1−80kPaで行われる。エステル交換反応に利用される触媒は硫酸、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒、チタン酸エステル、酢酸亜鉛、アセチルアセトン亜鉛およびジブチルスズオキシドなどのルイス酸触媒、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒から選ばれるいずれでも良い。また触媒は2種以上を混合して用いることもできる。
また、触媒の使用量は0.1−4質量%が好ましい。
一般式(2)のアルコールを用いることにより、様々なカルボン酸との脱水縮合反応や様々なカルボン酸エステルとのエステル交換反応がネオペンチルグリコールを用いる場合に比べて速やかに、温和な条件で進行し、高収率で低融点かつ粘度指数・色数に優れたヒンダードポリオールエステルを得ることができる。
本発明のポリオールエステルは、通常用いられる、耐加重添加剤、油性剤、酸化防止剤、清浄分散剤、消泡剤、防錆剤、抗乳化剤、流動点降下剤、および粘度指数向上剤等から選ばれる少なくとも一つの各種添加剤を必要に応じて配合することが可能である。
また、その性能を低下させない範囲で必要に応じて、他の潤滑油基油、例えば、鉱物油、ポリαオレフィン、ポリブテン、アルキルベンゼン、動植物油、有機酸エステル、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、およびアルキルフェニルエーテルなどから選ばれる少なくとも一つを必要に応じて配合して使用することも可能である。
本発明のポリオールエステルを基油として、グリース、冷凍機油、絶縁油、油圧作動油、ギヤ作動システム用潤滑油、切削・研削加工油、変速機用潤滑油、風力発電用増速機油、内燃機関用潤滑油(エンジン油)、発電タービン用潤滑油、圧縮機用潤滑油および軸受け用潤滑油などの用途に適宜使用することができる。
また、本発明のポリオールエステルは化粧料原料として、口紅、アイシャドウ、頭髪化粧料、乳液、油中水系ハンドクリーム、クリーム状水中油型日焼け止め化粧料、美爪料、リップクリームおよびリップグロスなどに適宜配合して使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。
反応の分析はガスクロマトグラフィーによって行った。ガスクロマトグラフィーはAgilent Technologies社製6850を使用した。カラムはJ&W社製HP−1を使用した。カラム温度は100℃にて5分保持したのち10℃/分にて275℃まで昇温したのち20分間保持した。Injection温度は270℃、DetectorにはTCDを用い、290℃で使用した。キャリアガスにはヘリウムを使用した。
生成物の同定はH−NMRスペクトルによって行った。測定には日本電子社製JNM−ECA500を使用し、溶媒はCDClとし、内部標準にテトラメチルシランを用いた。
合成例1
2−(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールの合成
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパナール73.6g、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール111.8g、ベンゼン705gと粒状ナフィオン(商品名「NR−50」、シグマアルドリッチ社製)3.0gとを2Lの丸底フラスコに入れ、常圧下で生成する水をベンゼンと共沸させながら、ディーン・スターク装置を用いて系外に抜き出して水の留出が止まるまで反応させた。ろ過、濃縮後、減圧蒸留することにより、2−(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールを99%の収率で得た。
合成例2
2−(5−メチル−5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールは合成例1の2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールに代えることにより合成した。
アセタールの水素添加に使用する触媒は以下のように合成した。
担体調製
金属成分の担体として用いた酸化ジルコニウムを下記の方法で調製した。
酸化ジルコニウム(ZrO)換算で25質量%の濃度のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液505gに、撹拌しながら28%アンモニア水15.5gを滴下することにより白色沈殿物を得た。これを濾過し、イオン交換水で洗浄した後に、110℃、10時間乾燥して含水酸化ジルコニウムを得た。これを磁製坩堝に収容し、電気炉を用いて空気中で400℃、3時間の焼成処理を行った後、メノウ乳鉢で粉砕して粉末状酸化ジルコニウム(以下、「担体A」と表記する。)を得た。担体AのBET比表面積(窒素吸着法により測定。)は102.7m/gであった。
触媒調製
パラジウムを特定金属成分とする触媒を下記の方法で調製した。
50gの担体Aに0.66質量%塩化パラジウム−0.44質量%塩化ナトリウム水溶液を添加し、担体上に金属成分を吸着させた。そこにホルムアルデヒド−水酸化ナトリウム水溶液を注加して吸着した金属成分を瞬時に還元した。その後、イオン交換水により触媒を洗浄し、乾燥することにより1.0質量%パラジウム担持酸化ジルコニウム触媒(以下、「触媒A」と表記する。)を調製した。
合成例3
4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオールの合成
500mLのSUS製反応器内に、触媒A3.0g、2−(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール60.0g、及び1,4−ジオキサン240gを入れ、反応器内を窒素ガスで置換した。その後、反応器内に水素ガスを8.5MPa充填し、反応温度である230℃へ昇温して水素圧を13MPaに保ちながら5時間反応させた。その後に冷却して反応器の内容物をろ過して触媒を分離した後に、減圧蒸留精製することにより、目的物を得た。
合成例4
4−オキサ−2−メチル−2−プロピル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオールは合成例3の2−(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールを2−(5−メチル−5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールに代えることにより合成した。
実施例1
ジピバリン酸 4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジイルの合成
4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオール(24.66g,100mmol)とピバリン酸(23.51g,230mmol,2.3eq)のm−キシレン(20.04g)溶液に、室温でp−トルエンスルホン酸1水和物(578.7mg,3.04mmol,3mol%)を加えた。その後窒素下で内温が155−160℃になるように加熱し、m−キシレンとの共沸により水を系内より除去した。14時間加熱後冷却したところGC分析でジエステルが99.5Area%であった。
5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、活性炭処理することにより、目的物を38.6g,収率93%で得た。目的物のAPHAは28であった。また、反応の経時変化をGCで追跡した。
H−NMR
δ(ppm):0.80(t,3H,J=7.6Hz,C CH),0.86(t,3H,J=7.2Hz,C CH),0.91(s,6H,2XC ),1.196(s,9H,C(C ),1.204(s,9H,C(C ),1.14−1.38(m,8H,C CHCH CH),3.12(s,2H,OC ),3.17(s,2H,OC ),3.84(s,2H,C OCO).3.89(s,2H,C OCO)
実施例2
ジピバリン酸 4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジイルの合成
4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジオール(32.76g,150mmol)とピバリン酸(36.0g,352mmol,2.3eq)のm−キシレン(20.68g)溶液に、室温でp−トルエンスルホン酸1水和物(859.1mg,4.52mmol,3mol%)を加えた。実施例1と同条件で反応を行い、m−キシレンとの共沸により水を系内より除去した。15時間加熱後冷却したところGC分析でジエステルが99.9Area%であった。
5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、活性炭処理することにより、57.3g,収率99%で目的物を得た。また得られた目的物のAPHAは27であった。
H−NMR
δ(ppm):0.86−0.90(m,6H,C CH+C ),0.92(s,6H,2XC ),1.20(s,9H,C(C ),1.21(s,9H,C(C ),1.23−1.28(m,4H,C CH), 3.13(s,2H,OC ),3.15(d,1H,J=8.9Hz,OC の1H),3.18(d,1H,J=8.9Hz,OC の1H),3.85(s,2H,C OCO),3.87(s,1H,C OCOの1H),3.88(s,1H,C OCOの1H)
実施例3
ビス(2−エチルへキサン酸) 4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジイルの合成
4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオール(24.64g,100mmol)と2−エチルヘキサン酸(30.29g,210mmol,2.1eq)のm−キシレン(20.07g)溶液に、室温でp−トルエンスルホン酸1水和物(565.9mg,2.97mmol,3mol%)を加えた。その後窒素下で内温が160−165℃になるように加熱し、m−キシレンとの共沸により水を系内より除去した。10時間後にはGC分析でジエステル99.5Area%以上となり、13時間加熱後冷却したところGC分析でジエステルが99.9Area%以上であった。
5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、活性炭処理することにより、目的物を48.79g,収率98%で得た。
また、反応の経時変化をGCで追跡した。
H−NMR
δ(ppm):0.80(t,3H,J=7.4Hz,C CH),0.85−0.93(m,21H,2XC CH+2XC CH+C CH+2XC ),1.11−1.39(m,16H,2XC CH+C CH+C CH),1.42−1.68(m,8H,2XOCOCH(C CH)C ),2.23−2.31(m,2H,2XOCOC),3.12(s,2H,OC ),3.17(s,2H,OC ),3.87(s,2H,C OCO),3.91(s,2H,C OCO)
実施例4
ビス(2−エチルへキサン酸) 4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジイルの合成
4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジオール(21.91g,100mmol)と2−エチルヘキサン酸(33.28g,231mmol,2.3eq)のm−キシレン(22.38g)溶液に、室温でp−トルエンスルホン酸1水和物(570.4mg,3.00mmol,3mol%)を加えた。実施例3と同条件で反応を行い、m−キシレンとの共沸により水を系内より除去した。14時間加熱後冷却したところGC分析でジエステルが99.9Area%であった。
5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、活性炭処理することにより、目的物を定量的に得た。APHAは22であった。
H−NMR
δ(ppm):0.85−0.96(m,24H,2XC CH+2XC CH+2XC +C CH+C ),1.21−1.38(m,12H,2XC CH+C CH),1.41−1.68(m,8H,2XOCOCH(C CH)C ),2.24−2.33(m,2H,2XOCOC),3.11−3.22(m,4H,2XOC ),3.85−3.94(m,4H,2XC OCO)
実施例5
ビス(3,5,5−トリメチルへキサン酸) 4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジイルの合成
4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチル−1,7−ヘプタンジオール(24.73g,100mmol)と3,5,5−トリメチルヘキサン酸(33.30g,210mmol,2.1eq)のトルエン(20.03g)溶液に、室温で硫酸(104.7mg,1.07mmol,1mol%)を加えた。その後窒素下で内温が135℃になるように加熱し、トルエンとの共沸により水を系内より除去した。14時間加熱後冷却したところGC分析でジエステルが99.9Area%以上であった。
5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、活性炭処理することにより、目的物を49.25g,収率93%で得た。

H−NMR
δ(ppm):0.80(t,3H,J=7.6Hz,C CH),0.86−0.93(m,27H,2XC +C CH+2XC(C ),0.96−1.00(m,6H,2XC CH),1.09−1.38(m,12H,C CH+C CH+2XC C(CH),2.00−2.08(m,2H,2XCCH),2.08−2.15(m,2H,2XC COOの1H),2.32(dd,1H,J=5.7,14.3Hz,2XC COOの1H),3.11(s,2H,OC ),3.16(s,2H,OC ),3.81−3.95(m,4H,2XC OCO)
実施例6
ビス(3,5,5−トリメチルへキサン酸) 4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチルヘプタン−1,7−ジイルの合成
4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオール(22.16g,101mmol)と3,5,5−トリメチルヘキサン酸(34.03g,215mmol,2.1eq)のトルエン(23.31g)溶液に、室温でp−トルエンスルホン酸1水和物(568.9mg,2.99mmol,3mol%)を加えた。実施例5と同条件で反応を行い、トルエンとの共沸により水を系内より除去した。7時間加熱後冷却した。GC分析でジエステル99.8Area%であった。5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、活性炭処理することにより、目的物を50.0g,収率99%で得た。
H−NMR
δ(ppm):0.86−0.93(m,30H,2XC +C CH+C +2XC(C ),0.98(d,6H,J=6.6Hz,2XC CH),1.12(dd,2H,J=6.3,14.0Hz,2XC C(CHの1H),1.22−1.28(m,6H,C CH+2XC C(CHの1H),2.00−2.08(m,2H,2XCCH),2.09−2.15(m,2H,2XC COOの1H),2.32(dd,1H,J=5.7,14.3Hz,2XC COOの1H),3.11−3.19(m,4H,2XOC ),3.82−3.93(m,4H,2XC OCO)
実施例7
ジオクタン酸 4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジイルの生成速度の追跡
4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオール(24.65g,100.0mmol)とオクタン酸メチル(39.58g,250mmol,2.5eq)の混合溶液に、室温でオルトチタン酸テトライソプロポキシド(291.9mg,1.03mmol,1mol%)を加えた。その後窒素下で140〜145℃に加熱し、GCにより反応進行度を追跡した。
比較例1
ジピバリン酸 2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルの合成
実施例1の4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオールにかえて2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールを用い、実施例1と同条件で反応を行い、m−キシレンとの共沸により水を系内より除去した。14時間加熱後冷却したところGC分析でジエステルは59.6Area%であった。5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーでモノエステルと分離精製することにより、目的物を得た。
H−NMR
δ(ppm):0.99(s,6H,2XC ),1.21(s,18H,2XC(C ),3.88(s,4H,2XC OCO)
比較例2
ビス(2−エチルへキサン酸) 2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルの合成
実施例3の4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオールにかえて2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールを用い、実施例3と同条件で9時間反応を行い、m−キシレンとの共沸により水を系内より除去した。またこの間、反応の経時変化をGCで追跡した。9時間後GC分析でジエステル60.8Area%であったので、その後200℃に昇温して15時間加熱後冷却し5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、目的物を得た。
H−NMR
δ(ppm):0.86−0.91(m,12H,2XC CH+2XC CH),0.99(s,6H,2XC ),1.20−1.35(m,8H,2XC CH),1.42−1.66(m,8H,2XOCOCH(C CH)C CH),2.25−2.32(m,2H,2XCCOO),3.894(s,2H,2XC OCOの1H),3.896(s,2H,2XC OCOの1H)
比較例3
ビス(3,5,5−トリメチルへキサン酸) 2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルの合成
実施例6の4−オキサ−2−プロピル−2,6,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオールにかえて2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールを用い、実施例6と同条件で反応を行い、トルエンとの共沸により水を系内より除去した。5時間加熱後冷却し、5%水酸化カリウムで洗浄後、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。酸を減圧下で留去後、活性炭処理することにより、目的物を得た。
H−NMR
δ(ppm):0.91(s,18H,2XC(C ),0.98(s,6H,2XC ),0.98(d,6H,J=6.6Hz,2XC CH),1.13(dd,2H,J=6.3,14.0Hz,2XC C(CHの1H),1.24(dd,2H,J=4.0,14.0Hz,2XC C(CHの1H),1.99−2.08(m,2H,2XCCH),2.14(dd,2H,J=8.3,14.5Hz,2XC COOの1H),2.33(dd,2H,J=5.7,14.5Hz,2XC COOの1H),3.861(d,1H,J=10.9Hz,C OCO),3.866(d,1H,J=10.9Hz,C OCO),3.899(d,1H,J=10.9Hz,C OCO),3.905(d,1H,J=10.9Hz,C OCO)
比較例4
ジオクタン酸 2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルの生成速度の追跡
実施例7の4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオールにかえて2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールを用い、実施例7と同条件で反応を行い、GCにより反応進行度を追跡した。
実施例8及び比較例5
実施例1及び比較例1のジピバリン酸エステル生成速度をガスクロマトグラフィーにより追跡し、10時間後のジエステルのGC面積比の比較を行った。なお、ジエステルの面積比は
100X(ジエステルの面積)/(ジエステルの面積+モノエステルの面積+ジオールの面積)
より求めた。
実施例9及び比較例6
実施例3及び比較例2のビス(2−エチルへキサン酸)エステル生成速度をガスクロマトグラフィーにより追跡し、7.5時間後のジエステルのGC面積比の比較を行った。なお、ジエステルの面積比は
100X(ジエステルの面積)/(ジエステルの面積+モノエステルの面積+ジオールの面積)
より求めた。
表1、表2に示すように、汎用的に用いられる2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(ネオペンチルグリコール)と3級・2級カルボン酸との酸触媒を用いる脱水縮合反応では、10時間後、7.5時間後もジエステルは56%, 59%のGC面積比であったのに対して、驚くべきことに、実施例8、9に示すように、4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオール等のジオールでは、非常に温和な条件で反応が高収率で進行した。
実施例10及び比較例7
実施例7及び比較例4のエステル交換反応におけるジオクタン酸エステル生成速度をガスクロマトグラフィーにより追跡し、18時間後のジエステルのGC面積比の比較を行った。なお、ジエステルの面積比は
100X(ジエステルの面積)/(ジエステルの面積+モノエステルの面積+ジオールの面積)
より求めた。
表3に示すように、エステル合成によく利用されるオルトチタン酸テトライソプロポキシドを触媒とするエステル化交換反応では、汎用的に用いられる2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールとカルボン酸エステルとの反応は比較例4のように全くエステル体が生成しないのに対して、驚くべきことに、実施例10に示すように、4−オキサ−2−ブチル−2−エチル−6,6−ジメチルヘプタン−1,7−ジオール等のジオールでは、非常に温和な条件で反応が進行した。
融点:ジエステルを低温にて固化させた後、温度上昇させて融解開始温度と融解終了温度から融点を求めた。
動粘度:ウベローデ粘度計を用い、JIS K2283に従い動粘度を求めた。
粘度指数:40℃、100℃動粘度からJIS K2283に従い求めた。
実施例11〜14及び比較例8〜9
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られたジエステルについて融点を測定した。なお、−78℃のバスに1晩放置後も結晶化しなかったものについては便宜上融点を−60℃以下とした。
表4に示すように、比較例のカルボン酸エステルは容易に結晶化するのに対して、驚くべきことに実施例1〜4のカルボン酸エステルは−78℃のバスで終夜放置しても、全く結晶化せず難結晶性であった。
実施例15〜18及び比較例10〜11
実施例3〜6及び比較例2〜3で得られたジエステルについて動粘度を測定し、粘度指数を求めた。
表5、表6に示すように、様々なカルボン酸とのエステルにおいて、対応する汎用の2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールのエステルに比べて粘度指数が大きくなっており、改善が見られた。
本発明のポリオールと様々なカルボン酸・カルボン酸エステルより合成されるエステル化合物は、グリース、冷凍機油、絶縁油、油圧作動油、ギヤ作動システム用潤滑油、切削・研削加工油、変速機用潤滑油、風力発電用増速機油、内燃機関用潤滑油(エンジン油)、発電タービン用潤滑油、圧縮機用潤滑油、軸受け用潤滑油および化粧料原料として種々の化粧品などの幅広い用途に使用することができる。

Claims (11)

  1. 一般式(1)で示されるエステル化合物
    式中、R1、R6はそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R2、R3、R4およびR5はそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表す。かつ、R2およびR3の組合せとR4およびR5の組合せは異なる。
  2. 式(1)中1、R6は炭素数1〜20のアルキル基、R2、R3、R4、R5が炭素数1〜6のアルキル基である請求項1記載のエステル化合物。
  3. 式(1)中2、R3がメチル基である請求項1または2記載のエステル化合物。
  4. 式(1)中1とR6が等しく、炭素数1〜12のアルキル基である請求項1乃至3のいずれか1に記載のエステル化合物
  5. 請求項1乃至4のいずれか1に記載のエステル化合物を含む潤滑油
  6. 請求項1乃至4のいずれか1に記載のエステル化合物を含む化粧料原料
  7. 請求項6記載の化粧料原料を用いた化粧品
  8. 一般式(2)で示されるポリオールと、一般式(3)および/または(4)のカルボン酸との脱水縮合反応により、一般式(1)で示されるエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法
    ここで、一般式(2)中で、R2、R3、R4およびR5はそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、かつR2およびR3の組合せとR4およびR5の組合せは異なり、
    1COOH (3)
    6COOH (4)
    一般式(3)および(4)中で、R1、R6はそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。
    式中、R 1 、R 6 はそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 はそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表す。かつ、R 2 およびR 3 の組合せとR 4 およびR 5 の組合せは異なる。
  9. 脱水縮合反応での触媒が、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、硫酸、スルホン酸基を含有する固体酸触媒、塩酸、リン酸、チタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、ジオクチルスズオキシドおよびジブチルスズオキシドから選ばれる少なくとも一つである請求項8記載のエステル化合物の製造方法
  10. 一般式(2)で示されるポリオールと、一般式(5)および/または(6)のカルボン酸エステルとのエステル交換反応により、一般式(1)で示されるエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法
    ここで、一般式(2)中で、R2、R3、R4およびR5はそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表し、かつR2およびR3の組合せとR4およびR5の組合せは異なり、
    1COOR7 (5)
    6COOR8 (6)
    一般式(5)および(6)中で、R1、R6はそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R7、R8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    式中、R 1 、R 6 はそれぞれが独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R 2 、R 3 、R 4 およびR 5 はそれぞれが独立に炭素数1〜10のアルキル基を表す。かつ、R 2 およびR 3 の組合せとR 4 およびR 5 の組合せは異なる。
  11. エステル交換反応での触媒が硫酸、p−トルエンスルホン酸、チタン酸エステル、アセチルアセトン亜鉛、ジブチルスズオキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびナトリウムメトキシドから選ばれる少なくとも1つである請求項10記載のエステル化合物の製造方法。
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