JP2008013223A - 包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電子レンジで加熱調理することで、高まる内部圧力を自動的に形成された開封口からスムーズに逃がすことができる包装袋を提供することである。
【解決手段】 基材層と熱接着性樹脂からなる内層とを少なくとも備えた積層体を製袋して端縁熱接着部で密封した包装袋の前記端縁熱接着部の内側周縁部を基端として包装袋の内側に張り出して熱接着された張出熱接着部を少なくとも1箇所形成すると共に前記張出熱接着部内に加熱時における内部圧力を逃がすための切目もしくは切欠が形成された包装袋であって、前記張出熱接着部の先端側において前記張出熱接着部を構成する対向する前記積層体の一方の積層体の前記基材層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記張出熱接着部に少なくともその一部が掛かる導電性発熱層が形成されていることを特徴とする包装袋。
【選択図】 図2

Description

本発明は、密封した包装袋内に食品等の内容物を収納した状態で電子レンジを用いて内容物を加熱調理する際に、食品等の内容物から発生する蒸気を放出するための開封口が包装袋に自動的に形成され、この開封口から蒸気を放出して内容物の吹き出しや包装袋の破裂を防止することができる電子レンジ用包装袋に関するものである。
食品等の内容物を収納した状態で電子レンジを用いて加熱調理することができる食品等の内容物が包装袋に収納されて市販されている。この種の電子レンジ用包装袋は、電子レンジを用いて加熱調理すると、内容物から発生する蒸気により包装袋内の内圧が高まり、ついには破裂し、内容物が電子レンジ庫内に飛散し、庫内を汚すという問題があり、これを防止するための色々な工夫がなされている。
たとえば、シーラント層を対向するように配置してヒートシールすることにより製袋した袋であって、袋のヒートシール部の一部を、シーラント層間に薄膜(イージーピールテープ等)を介在させた状態の薄膜介在シール部に形成すると共に、その薄膜介在シール部のヒートシール強度が薄膜非介在シール部のヒートシール強度よりも小になるようにし、さらに、上記薄膜介在シール部の一部をヒートシール幅の狭い幅狭シール部に形成する包装袋が提案されている(たとえば、特許文献1参照)し、また、密封のためのヒートシール部の一部に強度の弱い部分を設けることにより、電子レンジで加熱調理すると内容物から生じる蒸気によって包装袋内の内圧が上昇し、前記ヒートシール部の強度の弱い部分が剥離して包装袋の内部と外部が繋がる孔が生じ、蒸気を外部に逃がす包装袋が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された包装袋は、ヒートシール面上に薄膜(イージーピールテープ等)を介在させた状態で、薄膜介在シール部の一部を、ヒートシール幅の狭い幅狭シール部に形成する包装袋であり、上記の薄膜は、もともと剥離し易くするために形成されているものであるため、通常の輸送時や保管時に加わる圧力や衝撃によってヒートシール面から剥離する虞があるし、また、製造工程が煩雑になると共にコストアップになるという問題がある。
また、特許文献2に開示された包装袋は、密封用シール部の一部に強度の弱い部分を設ける包装袋であるため、特許文献1の包装袋と同様に、通常の輸送時や保管時に加わる圧力や衝撃によってヒートシール面から剥離する虞がある。
また、本出願人は、先に、包装体の熱接着部の内側周縁部の前記熱接着部に連接して前記包装体の内側に張り出して熱接着された張出部を少なくとも1箇所有し、前記張出部に切刃もしくは切欠が形成されている包装袋(たとえば、特許文献3参照)、あるいは、前記張出部に未接着部を有し、該未接着部に切刃もしくは切欠が形成されている包装袋(たとえば、特許文献4参照)を提案した。
特許文献3、4に示した包装体は、張出部を設け、該張出部に切刃もしくは切欠、あるいは、張出部内にさらに未接着部を設け、該未接着部に切刃もしくは切欠を設けることにより、電子レンジで加熱調理すると、内容物から発生する水蒸気等により内部圧力が高まり、この内部圧力により前記張出部から先に内層間が剥離し出し、この剥離が切刃もしくは切欠あるいは未接着部に到達した時点で内部圧力を切刃もしくは切欠から逃がすことができ、包装体の破裂や変形を防止することができるという効果を奏するものであり、社会にとって極めて価値のある技術である。
しかしながら、本技術は主に内部圧力という一つの因子で内層間を剥離するというものであり、電子レンジで加熱調理した際に包装体はパンパンに膨れ上がり、内圧が切刃もしくは切欠から逃げるまでの間は、加熱調理する消費者にとっては、多少なりの恐怖感があることは否めず、この恐怖感を少なくする方法を種々研究した結果、他の因子を包装体に付加することにより、加熱調理することができると共に、より短い時間で内部圧力を逃がすことができるために加熱調理する際の恐怖感を少なくすることができることを見出して本発明を完成させたものである。
特開平10−59433号公報 特開平10−59431号公報 特開2004−210407号公報 特開2004−168429号公報
そこで本発明は、電子レンジで加熱調理することで、高まる内部圧力を逃がすための開封口が適度な加熱調理時間で自動的に形成され、開封口から内部圧力をスムーズに逃がすことができて加熱調理する消費者に与える恐怖感を軽減することができる包装袋を提供することである。また、通常の輸送時や保管時等に加わる不可抗力的な圧力や衝撃によって破袋することがない包装袋を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、基材層と熱接着性樹脂からなる内層とを少なくとも備えた積層体を製袋して端縁熱接着部で密封した包装袋の前記端縁熱接着部の内側周縁部を基端として包装袋の内側に張り出して熱接着された張出熱接着部を少なくとも1箇所形成すると共に前記張出熱接着部内に加熱時における内部圧力を逃がすための切目もしくは切欠が形成された包装袋であって、前記張出熱接着部の先端側において前記張出熱接着部を構成する対向する前記積層体の一方の積層体の前記基材層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記張出熱接着部に少なくともその一部が掛かる導電性発熱層が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の包装袋において、前記導電性発熱層が前記切目もしくは切欠に少なくともその一部が掛かるように形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載の包装袋において、前記張出熱接着部を構成する前記一方の積層体の前記導電性発熱層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記導電性発熱層および前記切目もしくは前記切欠に少なくともその一部が掛かるラミネート強度調整層が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4記載の本発明は、基材層と熱接着性樹脂からなる内層とを少なくとも備えた積層体を製袋して端縁熱接着部で密封した包装袋の前記端縁熱接着部の内側周縁部を基端として前記包装袋の内側に張り出して熱接着された張出熱接着部を少なくとも1箇所形成し、さらに前記張出熱接着部内に未接着部が形成されると共に該未接着部に加熱時における内部圧力を逃がすための切目もしくは切欠が形成された包装袋であって、前記張出熱接着部の先端側において前記張出熱接着部を構成する対向する前記積層体の一方の前記積層体の前記基材層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記張出熱接着部に少なくともその一部が掛かる導電性発熱層が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5記載の本発明は、請求項4記載の包装袋において、前記導電性発熱層が前記未接着部に少なくともその一部が掛かるように形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項6記載の本発明は、請求項4、5のいずれかに記載の包装袋において、前記張出熱接着部を構成する前記一方の積層体の前記導電性発熱層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記導電性発熱層および前記未接着部に少なくともその一部が掛かるラミネート強度調整層が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項7記載の本発明は、請求項1、4のいずれかに記載の包装袋において、前記切目もしくは切欠が前記張出熱接着部を構成する積層体を貫通して形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項8記載の本発明は、請求項1、4のいずれかに記載の包装袋において、前記切目もしくは切欠が前記導電性発熱層を形成した前記一方の積層体に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項9記載の本発明は、請求項2、5のいずれかに記載の包装袋において、前記導電性発熱層がカーボンブラックを少なくとも含有するインキにより印刷形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項10記載の本葉発明は、請求項3、6のいずれかに記載の包装袋において、前記ラミネート強度調整層が、60〜90℃の融点を有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、ポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂のいずれか1種を主体とする樹脂からなることを特徴とするものである。
本発明の包装袋は、電子レンジで加熱調理することで、高まる内部圧力を逃がすための開封口が適度な加熱調理時間で自動的に形成され、開封口から内部圧力をスムーズに逃がすことができて加熱調理する消費者に与える恐怖感を軽減することができるという効果を奏し、また、通常の輸送時や保管時等に加わる不可抗力的な圧力や衝撃によって破袋することがないという効果を奏するものである。
上記の本発明について図面等を用いて詳しく説明する。最初に、本願発明でいうところの「端縁熱接着部」について説明する。「端縁熱接着部」とは、ピロータイプ包装袋、三方タイプ包装袋、四方タイプ包装袋、スタンディングタイプ包装袋、ガセットタイプ包装袋等の包装袋において食品等の内容物を収納して密封するために設けられる熱接着部すべてを意味するものである。また、本発明の切目もしくは切欠、あるいは、未接着部は張出熱接着部内に設けるものであり、前記切目もしくは切欠、あるいは、未接着部が端縁熱接着部の内側周縁部よりも包装袋の内側に全体が存在することが最も好ましいものであるが、少なくともこれらの一部が端縁熱接着部の内側周縁部よりも包装袋の内側に存在すればよいものである。
図1は本発明にかかる包装袋の第1実施形態を示す一部透視要部平面図、図2は図1のX−X線の断面を図解的に示す拡大断面図、図3は本発明にかかる包装袋の第2実施形態を示す図2に対応する図、図4は張出熱接着部における導電性発熱層と切欠との必要十分な位置関係を図解的に示す図1に対応する図、図5は張出熱接着部における導電性発熱層とラミネート強度調整層と切欠との必要十分な位置関係を図解的に示す図1に対応する図、図6は本発明にかかる包装袋の第3実施形態を示す一部透視要部平面図、図7は図6のY−Y線の断面を図解的に示す拡大断面図、図8は本発明にかかる包装袋の第4実施形態を示す図7に対応する図、図9は張出熱接着部における導電性発熱層と未接着部との必要十分な位置関係を図解的に示す図6に対応する図、図10は張出熱接着部における導電性発熱層とラミネート強度調整層と未接着部との必要十分な位置関係を図解的に示す図6に対応する図であり、図中の1,1’,1”,1’’’は包装袋、2は基材層、3は導電性発熱層、4はラミネート強度調整層、5は内層、10は端縁熱接着部、11は張出熱接着部、12は切欠、13は未接着部、A,Bは積層体をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかる包装袋の第1実施形態を示す一部透視要部平面図、図2は図1のX−X線の断面を図解的に示す拡大断面図であって、包装袋1は端縁熱接着部10で密封された包装袋である。前記端縁熱接着部10は少なくとも基材層2と熱接着性樹脂からなる内層5とを備えた積層体Aと積層体Bとの前記内層5同士を対向させて熱接着され、そして前記端縁熱接着部10の内側周縁部を基端として包装袋の内側に張り出して熱接着された略半円状の張出熱接着部11が形成され、かつ、前記張出熱接着部11内に加熱時における内部圧力を逃がすための円形状の切欠12が前記積層体Aに形成されると共に、前記積層体Aの前記基材層2と前記内層5との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記張出熱接着部11を包含する矩形状の導電性発熱層3が形成されている。なお、前記端縁熱接着部10および前記張出熱接着部11を構成する前記積層体A、Bは二枚の別々の積層体であってもよいし、一枚の積層体から構成されたものであってよく、包装袋のタイプや要求品質により適宜決めればよいものである。
図3は本発明にかかる包装袋の第2実施形態を示す図2に対応する図であって、包装袋1’は前記導電性発熱層3と略一致するように、かつ、略同じ大きさのラミネート強度調整層4が前記導電性発熱層3に当接して前記内層5側に形成されたものであって、これ以外は第1実施形態の包装袋1と同じである。
なお、第1実施形態の包装袋1においては前記導電性発熱層3を前記張出熱接着部11を包含するように形成したが、前記導電性発熱層3は前記張出熱接着部11において包装袋の内側から外側に向かってその一部が前記張出熱接着部11に掛かるように形成されていればよく、さらに図4に示すように前記切欠12に少なくともその一部が掛かるように形成されていれば一層好ましいものである。また、実施例においては、前記導電性発熱層3を矩形状としたが、これは代表的な形状を示したものであって、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範疇において色々な形状を採ることができる。
また、第2実施形態の包装袋1’においては前記ラミネート強度調整層4を前記導電性発熱層3と略一致するように、かつ、略同じ大きさとしたが、前記ラミネート強度調整層4は前記張出熱接着部11において図5に示すように包装袋の内側から外側に向かって前記導電性発熱層3および前記切欠12に少なくともその一部が掛かるように形成されていれば好ましいものである。また、実施例においては、前記ラミネート強度調整層4を矩形状としたが、これは代表的な形状を示したものであって、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範疇において色々な形状を採ることができるが、少なくとも前記導電性発熱層3を包含するように形成するのが最も好ましい態様である。
図6は本発明にかかる包装袋の第3実施形態を示す一部透視要部平面図、図7は図6のY−Y線の断面を図解的に示す拡大断面図であって、包装袋1”は端縁熱接着部10で密封された包装袋である。前記端縁熱接着部10は少なくとも基材層2と熱接着性樹脂からなる内層5とを備えた積層体Aと積層体Bとの前記内層5同士を対向させて熱接着され、そして前記端縁熱接着部10の内側周縁部を基端として包装袋の内側に張り出して熱接着された略半円状の張出熱接着部11が形成され、かつ、前記張出熱接着部11内に円形状の未接着部13が形成され、さらに該未接着部13に加熱時における内部圧力を逃がすための円形状の切欠12が前記積層体Aに形成されると共に、前記積層体Aの前記基材層2と前記内層5との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記張出熱接着部11を包含する矩形状の導電性発熱層3が形成されている。なお、前記端縁熱接着部10および前記張出熱接着部11を構成する前記積層体A、Bは、第1、第2実施形態と同様に、二枚の別々の積層体であってもよいし、一枚の積層体から構成されたものであってよく、包装袋のタイプや要求品質により適宜決めればよいものである。
図8は本発明にかかる包装袋の第4実施形態を示す図6に対応する図であって、包装袋1’’’は前記導電性発熱層3と略一致するように、かつ、略同じ大きさのラミネート強度調整層4が前記導電性発熱層に当接して前記内層5側に形成されたものであって、これ以外は第3実施形態の包装袋1”と同じである。
なお、第3実施形態の包装袋1”においては前記導電性発熱層3を前記張出熱接着部11を包含するように形成したが、前記導電性発熱層3は前記張出熱接着部11において包装袋の内側から外側に向かってその一部が前記張出熱接着部11に掛かるように形成されていればよく、さらに図9に示すように前記未接着部13に少なくともその一部が掛かるように形成されていれば一層好ましいものである。また、実施例においては、前記導電性発熱層3を矩形状としたが、これは代表的な形状を示したものであって、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範疇において色々な形状を採ることができる。
また、第4実施形態の包装袋1’’’においては前記ラミネート強度調整層4を前記導電性発熱層3と略一致するように、かつ、略同じ大きさとしたが、前記ラミネート強度調整層4は前記張出熱接着部11において図10に示すように包装袋の内側から外側に向かって前記導電性発熱層3および前記未接着部13に少なくともその一部が掛かるように形成されていれば好ましいものである。また、実施例においては、前記ラミネート強度調整層4を矩形状としたが、これは代表的な形状を示したものであって、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範疇において色々な形状を採ることができるが、少なくとも前記導電性発熱層3を包含するように形成するのが最も好ましい態様である。
ところで、今まで説明した実施形態においては、前記張出熱接着部11を略半円状としたが、これに限るものではなく、たとえば、略楕円形状、あるいは、三角形状や四角形状等の多角形状であってもよいし、前記張出熱接着部11の個数についても1個に限ることはなく、一つの端縁熱接着部10に複数個設けてもよいし、複数の端縁熱接着部10に1個ないし複数個設けてもよいものであるし、前記張出熱接着部11を端縁熱接着部の内側角部周縁部に設けてもよいものである。また、前記切欠12についても、略円形状に限ることはなく、たとえば、略半円状、あるいは、三角形状や四角形状等の多角形状であってよいし、また、前記未接着部13についても、円形状に限ることはなく、たとえば、略楕円形状、略半円状、あるいは、三角形状や四角形状等の多角形状であってよいものであるし、また、図示はしないが、前記切欠12に代えて、たとえば、I字形状、円弧形状、十字形状等に代表されるような切目を設けてもよいものであるし、その個数についても1個に限ることはなく、複数個であってもよいものである。また、今まで説明した実施形態においては、前記切欠12の形成を前記張出熱接着部11を形成する一方の積層体(図においては積層体A)としたが、両方の積層体(図においては積層体A、B)を貫通するように形成してもよいものであるし、同様に図示はしないが上記したI字形状、円弧形状、十字形状等に代表されるような切目についても両方の積層体を貫通するように形成してもよいものである。要するに、前記張出熱接着部11、前記切欠12、前記未接着部13、あるいは、前記切目等については本発明の趣旨を逸脱しない範疇のものはすべて本発明に含まれるものである。また、前記導電性発熱層3、あるいは、前記ラミネート強度調整層4の形状やその位置関係についても、第1〜第4実施形態で示したものに限ることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範疇のものはすべて本発明に含まれるものである。
次に、包装袋1,1’,1”,1’’’を構成する諸材料について説明する。基材層2としては、流通段階において冷蔵や冷凍で保存されると共に、使用時に電子レンジで加熱調理され、また、必要に応じて裏面に印刷層が設けられるなどの包装袋1,1’,1”,1’’’の基材となる層であり、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリアセタール系等の樹脂、あるいは、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等からなるフィルムを用いることができ、未延伸フィルム、あるいは、一軸ないし二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができ、フィルムの厚さとしては基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、コストなどを勘案して決めればよいが、印刷適性等を考慮すると一軸ないし二軸方向に延伸した延伸フィルムが好適である。
また、前記基材層2としては、要求される物性、たとえば、酸素や水蒸気等のガスバリアー性を付与してもよいのであって、上記した合成樹脂製フィルムにポリ塩化ビニリデンを塗布したものや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層を形成したものを用いてもよいものである。
また、前記基材層2としては、上記した合成樹脂製フィルムやガスバリアー性を付与した合成樹脂製フィルムのみから構成してもよいが、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等においてより高い機能が求められる場合には、上記したフィルムの中から2種以上のフィルムを適宜選択して積層したものとしてもよいものである。
また、内層としては、包装袋1,1’,1”,1’’’に要求される物性により適宜選択して用いればよく、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂で成形したものを用いることができるし、単層であっても、複層であってもよいものである。
次に、前記導電性発熱層3について説明する。前記導電性発熱層3としては、マイクロ波を吸収して発熱する物質であればよいのであって、特に限定するものではないが、インキ化するということを考慮すると、カーボンブラック、銀、アルミニウム、ITO(酸化インジウム)等々が適当であり、容易に印刷用インキとすることができる点からカーボンブラックが好適である。表面抵抗率としては、10Ω/□以上107Ω/□以下が望ましい。この理由としては、10Ω/□未満ではマイクロ波が反射するために発熱量が低下し、107Ω/□超では抵抗が大きすぎて発熱量が低下するためである。前記導電性発熱層3の形成は、前記基材層2の裏面に印刷層が設けられることが一般的であり、この印刷層の形成と同時に印刷層と見当を合せてパターン状に形成される。前記導電性発熱層3の膜厚としては概ね2〜3μmである。このように構成することにより、電子レンジで加熱調理すると導電性発熱層3が発熱するためにこの導電性発熱層3を設けた部分のヒートシール強度が低下し、この結果として内層5間が内部圧力により剥離し、この剥離が切目もしくは切欠、あるいは、未接着部に達した時点で、高まる内部圧力を切目もしくは切欠からスムーズに逃がすことができる。
次に、前記ラミネート強度調整層4について説明する。前記ラミネート強度調整層4としては、室温以下の環境温度下では所定の強度を有するが、高温の環境温度下ではその強度が低下する性質を有するものである。なお、室温とは30℃を意味する。
所定の強度を有する室温以下の環境温度下とは、通常、内容物を包装する包装工程の環境温度や、内容物を包装した包装袋を冷蔵や冷凍にする工程の環境温度や、冷蔵や冷凍した状態で輸送や保管する流通段階での環境温度などである。したがって、前記ラミネート強度調整層4は、上記した環境温度下では、所定の強度が保持されることとなる。また、他方、所定の強度が低下する高温の環境下とは、内容物を密封包装した包装袋を電子レンジで加熱調理する際に加わる温度であり、こうした高い環境温度下では前記ラミネート強度調整層4の強度が低下することになる。
このような性質を有する前記ラミネート強度調整層4としては、60〜90℃の融点を有する材料、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、ポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂のいずれか1種を主体とする樹脂を挙げることができる。融点が60〜90℃の樹脂を用いることにより、電子レンジで加熱調理した際に、前記ラミネート強度調整層4の層間に凝集剥離を生じ易くさせることができる。
前記ラミネート強度調整層4の形成は、前記導電性発熱層3と同様に、印刷層の形成と同時に前記印刷層と見当を合せてパターン状に形成される。前記ラミネート強度層4の膜厚としては、1μm以上5μm以下である。膜厚が1μm未満では電子レンジで加熱調理した際に、前記ラミネート強度調整層4の層間で凝集剥離が起こり難く、また、膜厚が5μm超では包装袋とする前は通常ロール状態で供給され、製袋機にて袋状に製袋されるが、ロール状態において前記ラミネート強度調整層4を設けた個所が盛り上がり、結果としてその個所が伸びるために製袋不良が発生して歩留まり低下を来たしたり、袋状とした際の仕上がり外観が見栄えの悪いものとなる等の不具合が生じる。
前記ラミネート強度調整層4の存在する個所のラミネート強度(基材層2と内層5間のラミネート強度)は、室温以下の環境温度下では0.3N/15mm巾以上5.0N/15mm巾以下であり、高い環境温度下(90℃以上の環境温度下)では2.0N/15mm巾以下であり、また、前記ラミネート強度調整層4の存在しない個所のラミネート強度(基材層2と内層5間のラミネート強度)は、室温以下の環境温度下では3.0N/15mm巾以上であり、高い環境温度下(90℃以上の環境温度下)では0.5N/15mm巾以上である。ちなみに、内層5として直鎖状(線状)低密度ポリエチレンフィルム(30μm厚さ)を用いた場合の前記ラミネート強度調整層4の存在する個所のヒートシール強度は、室温以下の環境温度下では20.0N/15mm巾以上であり、高い環境温度下(90℃以上の環境温度下)では15.0N/15mm巾以下であり、また、前記ラミネート強度調整層4の存在しない個所のヒートシール強度は、室温以下の環境温度下では40.0N/15mm巾以上であり、高い環境温度下(90℃以上の環境温度下)では20.0N/15mm巾以上であり、高い環境温度下(90℃以上の環境温度下)において、前記ラミネート強度調整層4の存在しない個所のヒートシール強度が前記ラミネート強度調整層4の存在する個所のヒートシール強度に比べて5.0N/15mm巾以上となるように設計することが肝要である。このように構成することにより、電子レンジで加熱調理すると導電性発熱層3が一方において発熱すると共に、他方においては導電性発熱層3の熱と加熱調理の熱によりラミネート強度調整層4が凝集剥離を起こしてラミネート強度が低下し、ラミネート強度調整層4の存在する張出熱接着部11の端縁部で亀裂が生じ易くなり、遂には内部圧力に耐え切れずに前記張出熱接着部11の端縁部で前記内層5が切断し、この切断個所から内部圧力により凝集剥離を起こしている前記ラミネート強度調整層4に剥離が進行し、この剥離が切目もしくは切欠、あるいは、未接着部に達した時点で、高まる内部圧力を切目もしくは切欠からスムーズに逃がすことができる。
また、本発明の包装袋包装袋1,1’,1”,1’’’の少なくとも基材層2と内層5との積層方法は、接着剤層として、たとえば、ポリオール成分とイソシアネート成分とからなるウレタン系のアンカーコート剤やウレタン系の接着剤を用いて、Tダイ押出法で前記内層5を積層してもよいし、サンドイッチラミネーション法でシート状の内層7を積層してもよいし、また、ドライラミネーション法でシート状の内層5を積層してもよいものである。なお、積層方法により、必要な面にコロナ放電処理等の易接着処理を施してもよいものである。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
12μm厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと呼称する)のコロナ放電処理面に1液硬化型ウレタン系白インキを用いてグラビア印刷法でベタ柄印刷層を形成し、該ベタ柄印刷層面に表1に示す配合のグラビアインキを用いてグラビア印刷法で40mm(PETフィルムのMD方向)×35mm(PETフィルムのTD方向)の矩形状の導電性発熱層を乾燥後に2μm厚さとなるように印刷した後、前記導電性発熱層を設けた面全面に2液硬化型ウレタン系接着剤(ポリオール成分とイソシアネート成分とからなる2液硬化型樹脂)を乾燥後に3.5g/m2となるように塗布・乾燥すると共に、30μm厚さの低密度ポリエチレンフィルム(以下、LDPEと呼称する)をドライラミネーション法で積層し、本発明に供する積層体を作製した。前記積層体を外寸が130mm(PETフィルムのTD方向)×170mm(PETフィルムのMD方向)で、各10mm幅の端縁熱接着部と、一方の短辺の縁熱接着部の略中央部に端縁熱接着部に連接して半径10mmの半円状の張出熱接着部とが図1に示すような導電性発熱層との位置関係となるように形成すると共に前記張出熱接着部の略中央部に直径5mmφの貫通する切欠を設け、略90gの「冷凍うなぎ」を収納した四方シールタイプの包装袋を20袋作製した。
Figure 2008013223
導電性発熱層上に略同じ大きさのラミネート強度調整層をポリアミド−硝化綿系樹脂(融点:83℃)で乾燥後に3μm厚さとなるようにグラビア印刷法で形成した以外は実施例1と同様にして、略90gの「冷凍うなぎ」を収納した四方シールタイプの包装袋を20袋作製した。
[比較例1]
導電性発熱層を設けなかった以外は実施例1と同様にして略90gの「冷凍うなぎ」を収納した四方シールタイプの包装袋を20袋作製した。
上記で作製した実施例1、2、および、比較例1の四方シールタイプの包装袋各20袋を電子レンジ(600W)で加熱調理し、内部圧力が切欠から逃げる状態を目視にて確認(評価結果1)すると共に内部圧力が切欠から逃げるまでの加熱調理時間(評価結果2)を表2に纏めて示した。
Figure 2008013223
表2からも明らかなように、実施例1、2の包装袋は、導電性発熱層、あるいは、導電性発熱層とラミネート強度調整層を基材層と内層との間に設けた効果により、比較例に比べて短い加熱調理時間で内部圧力を切欠から逃がすことができるために、加熱調理時に消費者に与える恐怖感を軽減することができる。
本発明にかかる包装袋の第1実施形態を示す一部透視要部平面図である。 図1のX−X線の断面を図解的に示す拡大断面図である。 本発明にかかる包装袋の第2実施形態を示す図2に対応する図である。 張出熱接着部における導電性発熱層と切欠との必要十分な位置関係を図解的に示す図1に対応する図である。 張出熱接着部における導電性発熱層とラミネート強度調整層と切欠との必要十分な位置関係を図解的に示す図1に対応する図である。 本発明にかかる包装袋の第3実施形態を示す一部透視要部平面図である。 図6のY−Y線の断面を図解的に示す拡大断面図である。 本発明にかかる包装袋の第4実施形態を示す図7に対応する図である。 張出熱接着部における導電性発熱層と未接着部との必要十分な位置関係を図解的に示す図6に対応する図である。 張出熱接着部における導電性発熱層とラミネート強度調整層と未接着部との必要十分な位置関係を図解的に示す図6に対応する図である。
符号の説明
1,1’,1”,1’’’ 包装袋
2 基材層
3 導電性発熱層
4 ラミネート強度調整層
5 内層
10 端縁熱接着部
11 張出熱接着部
12 切欠
13 未接着部
A,B 積層体

Claims (10)

  1. 基材層と熱接着性樹脂からなる内層とを少なくとも備えた積層体を製袋して端縁熱接着部で密封した包装袋の前記端縁熱接着部の内側周縁部を基端として包装袋の内側に張り出して熱接着された張出熱接着部を少なくとも1箇所形成すると共に前記張出熱接着部内に加熱時における内部圧力を逃がすための切目もしくは切欠が形成された包装袋であって、前記張出熱接着部の先端側において前記張出熱接着部を構成する対向する前記積層体の一方の積層体の前記基材層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記張出熱接着部に少なくともその一部が掛かる導電性発熱層が形成されていることを特徴とする包装袋。
  2. 前記導電性発熱層が前記切目もしくは切欠に少なくともその一部が掛かるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
  3. 前記張出熱接着部を構成する前記一方の積層体の前記導電性発熱層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記導電性発熱層および前記切目もしくは前記切欠に少なくともその一部が掛かるラミネート強度調整層が形成されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の包装袋。
  4. 基材層と熱接着性樹脂からなる内層とを少なくとも備えた積層体を製袋して端縁熱接着部で密封した包装袋の前記端縁熱接着部の内側周縁部を基端として前記包装袋の内側に張り出して熱接着された張出熱接着部を少なくとも1箇所形成し、さらに前記張出熱接着部内に未接着部が形成されると共に該未接着部に加熱時における内部圧力を逃がすための切目もしくは切欠が形成された包装袋であって、前記張出熱接着部の先端側において前記張出熱接着部を構成する対向する前記積層体の一方の前記積層体の前記基材層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記張出熱接着部に少なくともその一部が掛かる導電性発熱層が形成されていることを特徴とする包装袋。
  5. 前記導電性発熱層が前記未接着部に少なくともその一部が掛かるように形成されていることを特徴とする請求項4記載の包装袋。
  6. 前記張出熱接着部を構成する前記一方の積層体の前記導電性発熱層と前記内層との間に、包装袋の内側から外側に向かって前記導電性発熱層および前記未接着部に少なくともその一部が掛かるラミネート強度調整層が形成されていることを特徴とする請求項4、5のいずれかに記載の包装袋。
  7. 前記切目もしくは切欠が前記張出熱接着部を構成する積層体を貫通して形成されていることを特徴とする請求項1、4のいずれかに記載の包装袋。
  8. 前記切目もしくは切欠が前記導電性発熱層を形成した前記一方の積層体に形成されていることを特徴とする請求項1、4のいずれかに記載の包装袋。
  9. 前記導電性発熱層がカーボンブラックを少なくとも含有するインキにより印刷形成されていることを特徴とする請求項2、5のいずれかに記載の包装袋。
  10. 前記ラミネート強度調整層が、60〜90℃の融点を有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、ポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂のいずれか1種を主体とする樹脂からなることを特徴とする請求項3、6のいずれかに記載の包装袋。

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