JP2008011727A - 蛋白組織化物の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、よりジューシー感やソフト感を有し、加工肉製品や惣菜ににジューシー感やソフト感を付与できる蛋白組織化物を目的とした。
【解決手段】
蛋白原料、ヒドロキシプロピル化澱粉及び水を加圧加熱下に押し出して膨化させて蛋白組織化物を製造する。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、加工肉製品や惣菜に利用したとき、ジューシー感やソフト感を付与できる蛋白組織化物を提供するものである。
従来から脱脂大豆のような大豆蛋白原料を主成分として、これを水系下に加圧加熱して押し出して膨化させて製造した組織状大豆蛋白は、主にハンバーグやミートボールのような加工済み挽肉製品に、肉粒感の付与、肉汁の流出抑制、加熱歩留り向上等の目的で使用されてきた。
しかしながら、これら組織状大豆蛋白は吸水が低く、硬い食感であるため、加工肉製品に使用した場合には、ジューシー感付与効果は不十分であり、より高吸水で軟らかい食感を有し加工肉製品に使用した場合にジューシー感を付与できる蛋白組織化物が求められていた。
ところで、組織状大豆蛋白に関して、大豆蛋白原料に澱粉原料を併用することが、特許文献1や特許文献2に開示されている。これらの方法により得られた組織状大豆蛋白は、しなやかな食感、喉ごしの良さ等の食感改良効果を謳っている。しかし本発明のようなジューシーでソフトなことは開示していない。
これらの製造法においては、、澱粉配合量が多い場合は、水戻し時に澱粉が溶出してしまい、ベチャベチャとした粘性を感じる食感になってしまう。また、使用している澱粉は、コーンスターチ、α化コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉であり、本発明に用いるヒドロキシプロピル化澱粉の有効性についてはなんら教示していない。
ところで、近年、冷凍食品市場の拡大、女性の社会進出、核家族化等の社会環境の変化により、食肉を主原料とする加工肉製品または惣菜の利用が盛んになっている。加工肉製品または惣菜として、一般的にハンバーグ、ミートボール、ギョーザ、肉まん、シューマイ等がある。これら加工肉製品の好ましい食感及び風味として、食べた時のソフト感、適度な弾力性、ジューシー感が求められている。しかし、機械的に大量生産される加工済み挽肉製品は、原料を錬る工程、加熱工程、真空包装工程、冷蔵・冷凍・解凍工程、流通工程を経ることにより、硬く締まったり、ジューシー感が失われるという問題があった。
これらの問題を解決するために、これまで様々な取組みがなされてきたが、十分な解決には至っていない。
例えば、特許文献3では、ジューシー感付与のため乳タンパク質濃縮物を用いており、ジューシー感付与効果は認められるものの、風味的に強い乳臭を感じ不良である。
また、特許文献4では、ジューシー感付与のため、ハイドロコロイド、油、水を乳化させたのち、加熱し、切断したものを生地に加えるという煩雑な工程が必要で作業性が悪く問題であるばかりか、ジューシー感付与効果が十分ではなかった。
また、本出願人は特許文献5に大豆蛋白とカゼインを併用して膨化させることによりジューシー感を出す発明を開示しているが、特定の澱粉を用いることは示唆していない。
(参考文献)
特開平6−217704号公報 特開昭63−133949号公報 特開平11−103826号公報 特開2001−000118号公報 特開2003−235461号公報
本発明は、従来の組織状蛋白よりも、よりジューシー感やソフト感を加工肉製品や惣菜に付与できる蛋白組織化物を目的とした。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究するなかで特定の加工澱粉即ちヒドロキシプロピル化澱粉を利用することにより従来の組織状蛋白とは異なり水戻しするとジューシーでソフトな食感を有する蛋白組織化物を得ることが出来る知見を得た。そしてこの蛋白組織化物を用いる事により、従来の組織状蛋白よりも、よりジューシー感やソフト感を付与できる知見を得て本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、蛋白原料、ヒドロキシプロピル化澱粉及び水を加圧加熱下に押し出して膨化させることを特徴とする蛋白組織化物の製造法である。
本発明において、蛋白組織化物の製造に用いる全原料(乾燥固形分)中の粗蛋白質含量は33重量%以上が好ましい。
また本発明の蛋白組織化物の製造に用いる全原料中の粗蛋白/ヒドロキシプロピル化澱粉(乾燥重量比)の割合は95/5〜38/62が好ましい。
また本発明の蛋白原料は大豆蛋白原料が好ましい。
また本発明にはさらに炭酸化合物を併用することが好ましい。炭酸化合物は炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムが好ましい。この場合、蛋白組織化物の製造に用いる全原料の乾燥固形分に対して炭酸化合物を0.08〜1.29重量%併用することが好ましい。
また本発明により得られる蛋白組織化物の膨化の程度は、蛋白組織化物の乾燥物に対して、吸水倍率5倍以上が好ましい。
本発明により高い吸水倍率を有しジューシーでソフトな食感を有する蛋白組織化物を得ることができたものである。そしてこの蛋白組織化物をハンバーグ等の加工肉製品や惣菜に利用した場合、加工肉製品や惣菜にジューシー感とソフト感を付与できるようになったものである。
本発明は、蛋白原料、ヒドロキシプロピル化澱粉及び水を高温高圧加熱し押し出して膨化させることを特徴とする蛋白組織化物の製造法である。
本発明に用いる蛋白原料について説明する。
本発明の蛋白原料とは、卵や乳などの動物、大豆や小麦、とうもろこしなどの植物、酵母などの微生物由来の蛋白あるいはその混合物からなる群から選ぶことが出来る。
蛋白原料としては大豆蛋白原料が好ましい。大豆蛋白原料としては、全脂大豆、脱脂大豆、豆乳粉末、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、オカラ等、あるいはこれらの1種或いは2種以上の混合物からなる群から選ぶことが出来るが、その中でも特に分離大豆蛋白を用いることが好ましい。分離大豆蛋白は粗蛋白含量も高く風味も優れヒドロキシプロピル化澱粉と組み合わせて大きく膨化してしっかりした組織を維持できる。
蛋白組織化物の製造に用いる全原料(乾燥固形分)中の粗蛋白質含量が33重量%以上(33〜80重量%)、好ましくは75〜37重量%、より好ましくは67〜42重量%が適当である。
用いる澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉の量にもよるが、例えば、蛋白含量の低い脱脂大豆(乾燥固形分の粗蛋白含量が約53%)を用い蛋白組織化物の製造に用いる全原料(乾燥固形分)の粗蛋白が33%未満になる場合、組織化物中の澱粉が溶け出してしまい、形状を保持できず、ベチャベチャとした粘性を感じる食感になることがある。
次に本発明に用いるヒドロキシプロピル化澱粉について説明する。
本発明の澱粉質原料としては、ヒドロキシプロピル化処理を施した加工澱粉が好適であり、ヒドロキシプロピル化処理を施した澱粉であれば、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、えんどう豆澱粉等を使用できる。さらに、これら澱粉に架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理等の化学的又は物理的処理を組み合わせても良い。
蛋白組織化物の製造に用いる全原料の粗蛋白/ヒドロキシプロピル化澱粉(乾燥重量比)の割合は95/5〜38/62、好ましくは89/11〜43/57、より好ましくは79/21〜48/52が適当である。
ヒドロキシプロピル化澱粉の割合が小さいと得られる蛋白組織化物の吸水が低く、食感面では硬く組織的な食感が残る傾向になる。ヒドロキシプロピル化澱粉の割合が大きいと組織化しても湯戻ししたとき澱粉が溶出することがある。
(水)
本発明に用いる水は特に制限するものではなく、膨化、風味等に影響のない範囲で水溶性成分を含む水性溶媒を用いることができる。
本発明において、押出機に供給される原料中の水分が、10〜60重量%となるような範囲で水を添加することができる。
水分が不足すると膨化は十分にしているが、焦げの発生などがあるため風味的に好ましくない。水分が多過ぎると膨化に必要なエネルギーが不足して殆ど膨化しないので、目的の蛋白組織化物を得ることは困難となる。
本発明は、蛋白原料、ヒドロキシプロピル化澱粉及び水を必須要件とするが、炭酸化合物を併用することが好ましい。例えば、炭酸アルカリ金属塩または炭酸アンモニウムが適当である。
炭酸アルカリ金属塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることができるが炭酸ナトリウムが最も吸水向上効果が高く好ましい。また、炭酸水素アルカリ金属塩または炭酸水素アンモニウムも適当である。炭酸水素アルカリ金属塩としては、炭酸水素ナトリウムが吸水向上効果が高く好ましい。
以上より、炭酸化合物としては炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムが好ましい。
該蛋白組織化物原料の乾燥固形分に対して炭酸化合物を0.08〜1.29重量%、より好ましくは0.16〜0.97重量%併用することが好ましい。炭酸化合物の割合が低いと吸水倍率向上効果が小さく該割合が高いと強い渋味及び舌を刺すような刺激的な味が発言することがある。
本発明において前記以外にその他の原料を併用することは妨げられず、その他の原料として食用油脂、ヒドロキシプロピル化澱粉以外の澱粉、調味料、炭水化物、食物繊維、ゲル化剤、ガム質、その他公知の添加剤を任意に用いる事が出来る。
加圧加熱して押し出す手段としては、押出機(エクストルーダー)を利用することができる。
(押出機)
本発明に用いる押出機としては、公知の押出機が使用出来、一軸押出機でも良いが、混練が強く安定的に組織化しやすい二軸以上の軸を有する押出機を用いる方が好ましい。
押出機は、原料供給口、バレル内をスクリューにおいて原料送り、混合、圧縮、温度調節機構を有し、更に先端バレルに装着されたダイを有するものであれば利用出来る。
(加圧加熱)
押出機に原料を供給し加水しながら膨化する条件を調整しながら運転することができる。通常組織化温度は、先端バレル温度120〜220℃、好ましくは140〜200℃が適当である。かかる温度は押出機のスクリューの圧縮熱やバレル外のジャケットに熱媒体を通すなどして得ることができる。原料やスクリューの送りなどによるが加圧はスクリューの圧縮、ダイの背圧などにより温度に応じてかかってくる。加熱温度が低いと膨化が不十分であり、温度が高すぎても焦げることがある。
通常、押出機のダイから押し出され膨化した蛋白組織化物はダイに敷設のカッターで好みのサイズにカットすることができる。或いは、組織状蛋白を更に、カッターもしくは粉砕機等で適当な大きさに切断することもできる。
また、蛋白組織化物は必要により乾燥することができる。すぐに加工食品などに用いる場合は乾燥しなくてもよいが、保存性の観点より通常水分15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下に、例えば流動層乾燥機等を用いて乾燥することができる。
本発明の蛋白組織化物は従来の組織状蛋白に比べて膨化が大きく吸水性に優れそれでいて組織を維持できるのでジューシーでソフトな食感を有することが特徴である。澱粉を主原料として単に膨化が大きいだけの菓子類、スナック類は組織化していなかったり、吸水すると溶けて組織を維持できない。
本発明の蛋白組織化物の膨化の程度を表す指標として、乾燥膨化物に対して、吸水倍率5倍以上、より好ましくは7倍以上が適当である。製造条件にもよるが通常15倍程度の吸水倍率でも組織を維持しジューシーでソフトな食感を維持することができる。
このようにして得られた本発明の蛋白組織化物は、組織状構造を有し従来の組織状蛋白より膨化して大きな給水率を有志、乾燥固形分あたり粗蛋白(CP)が80〜33重量%、より好ましくは75〜37重量%、さらに好ましくは67〜42重量%乾燥固形分あたりヒドロキシプロピル化澱粉含量が4〜54重量%、より好ましくは9〜49重量%、さらに好ましくは18〜45重量%である。
かかる物性が加工食品や素材に用いたときに該加工食品や素材にジューシーでソフトな食感を付与できるものである。
以下実施例により本発明の実施態様を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によってその技術範囲が限定されるものではない。
■実施例1
脱脂大豆(不二製油(株)製)及び粉末状大豆蛋白「フジプロ−R」(不二製油(株)製)に次に示す各澱粉を、下記配合(表1)及び製造条件にて二軸エクストルーダーを用いて組織化し粉砕した。
澱粉は以下のものを用いた。
・ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉は日澱化学製「G800」を用いた。
・低アセチル化タピオカ澱粉は日澱化学製「Z100」を用いた。
・リン酸架橋タピオカ澱粉は日澱化学製「PB-2000」を用いた。
・α化タピオカ澱粉は王子コーンスターチ製「ふうりん500」を用いた。
・リン酸架橋ヒドロキシプロピル化馬鈴薯澱粉は王子コーンスターチ製「ミクロリス56」を用いた。
・リン酸架橋ヒドロキシプロピル化小麦澱粉は王子コーンスターチ製「オパセット2056」を用いた。
Figure 2008011727
(製造条件)
水の添加量はダイから押し出される組織化物が膨化するようにバルブを調整した。原料中の水分は約12〜40重量%の間で調整した。
エクストルーダーは幸和工業(株)社製の押出機を用いた。
スクリュー回転数は200r.p.m.とした。
先端バレル温度は170℃であった。
先端バレルの圧力は25〜40kg/cm2の間で変化した。
得られた組織化物は、長さ1cm程度となるようダイス出口直後にカッターで切断、さらに粉砕機にて下記粒度に粉砕後、タバイ(株)社製ESPEC PV-221乾燥機にて水分8重量%となるよう90℃の熱風で乾燥を行った。
−組織化物の粒度分布:JIS標準篩−
─────────────────────────────
3.5メッシュon (目開き5.6mm) 0%
4 メッシュon (目開き4.75mm)40%
6 メッシュon (目開き3.36mm)35%
10 メッシュon (目開き1.70mm)22%
10 メッシュpass (目開き1.70mm) 3%
─────────────────────────────
以上より、粒度が異なると吸水倍率も異なるので、各試作品は同じ粒度に揃えた。
以下の実施例では粒度4メッシュ〜10メッシュパスの粒度の全体を用いた。
得られた組織化物を、25℃10分間水戻し、吸水値(倍)を測定した。
(吸水能力測定条件)
評価用サンプルの吸水倍率測定は、下記手法により行った。
30gの乾燥評価用サンプルを500mlビーカーにとり、450gの25℃の水を加え、10分放置後、30メッシュ(目開き500um)の篩いを用い、1分間ざるきりした後の篩い上の組織化物水戻し品の重量(W)を測定した。
吸水倍率(X)を下記数式により算出した。
X=(W−30)/30。
結果を下記表2に示す。
Figure 2008011727
なお、食感は次のようにして測定した。
(食感の評価条件)
組織化物水戻し品は、組織化物に、各々の吸水能力に応じた量(例えば吸水能力が3倍であれば、組織化物1重量部に対し3重量部)の25℃の水を加え、完全に組織化物が吸水するよう10分以上放置することにより作製した。得られた組織化物水戻し品は、10名の専門パネラーにより10点法で、食感について試食評価を行った。
食感については、もっとも柔らかい(ソフト)ものを10点とし、硬く感じられるものほど、点数を低くした。
また、CP含量はケルダール法により以下の方法で測定した。
(CP含量の測定方法)
分解助剤(1000KjeltabsCQ/1.5、1.5g硫酸カリウム及び0.15g硫酸銅5水和物を含む、フォス・ジャパン製)約10g、サンプル約0.3gを精秤しケルダールチューブに入れる。濃硫酸(キシダ化学製)約15mlを入れ420℃、2時間30分間分解反応する。ケールダール法に準拠したケルテックオート(フォス・ジャパン(株)製)を用いて試料中の全窒素量を定量し、下記数式により粗蛋白量を求める。
・全窒素量(%)=試料中の全窒素量÷試料中の重量(g)×100÷1000÷回収率
・粗蛋白(無水換算)(%)=全窒素(%)÷(100−水分(%))×6.25×100
A-5のヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉は、A-1〜4に比べ吸水倍率が大きく向上していた。同じタピオカ澱粉同士での比較においても、A-2〜4に比べて、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉が最も高い吸水倍率を示した。ま た、タピオカ澱粉以外のヒドロキシプロピル化澱粉においても、馬鈴薯澱粉(A-6)、小麦澱粉(A-7)で認められるように高い吸水倍率を示した。
■実施例2(澱粉配合量の検討)
下記の各原料配合を押出機に供し、実施例1と同様にして蛋白組織化物を得た。
吸水倍率及び食感も併せて下記表3に示す。
Figure 2008011727
澱粉未配合のA−8は食感がゴワゴワと硬く、吸水倍率も低く不適であった。
澱粉配合量が10%の場合は、硬く組織的な食感があるが澱粉未配合の場合に比べるとソフト感あり、吸水倍率の向上も認められ、許容範囲内であった。
澱粉配合量が20%の場合は、若干硬く組織的な食感があるが、澱粉配合量10%の時よりも吸水倍率が高く、ソフト感が増していた。
澱粉配合量が30%の場合は、高い吸水倍率を示し、ソフトな食感であり好ましい。
澱粉配合量が40%の場合は、吸水倍率8.7倍と最も高い値を示し、ネチャツキの少ないソフトな食感であり好ましかった。
澱粉配合量が50%の場合は、澱粉配合量40%の時よりも若干吸水倍率下がるものの十分に高い吸水倍率を維持しており、食感はややネチャツキ感じるが合格レベルであった。
澱粉配合量が60%の場合は、澱粉配合量50%の時よりも吸水倍率が若干下がり、澱粉特有のネチャつきあるが、ギリギリの許容範囲内であった。
■実施例3(膨化助剤の影響)
下記の各原料配合を押出機に供し、実施例1と同様にして蛋白組織化物を得た。
吸水倍率と併せて下記表4に示す。
Figure 2008011727
炭酸水素ナトリウムが0.16重量%の場合は、炭酸水素ナトリウム無添加区に比べて若干の吸水倍率の向上が認められた。
炭酸水素ナトリウムが0.32重量%の場合は、吸水倍率9.4倍を示し、風味的には問題は無かった。
炭酸水素ナトリウムが0.65重量%の場合は、吸水倍率11.8倍と高い値を示し、風味的にも炭酸水素ナトリウムを高配合した時の渋味等が無く、特に好ましかった。
炭酸水素ナトリウムが0.97重量%の場合は、吸水倍率12倍と高い値を示し、風味の点では若干の渋味を感じたが許容範囲内であった。
炭酸水素ナトリウムが1.60重量%の場合は、吸水倍率の向上が認められるが、強い渋味及び舌を刺すような刺激的な味があり好ましくなかった。
一方、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウム添加区は、炭酸水素ナトリウム添加区のような顕著な吸水倍率の向上は認められなかった。
■実施例4
粒状大豆蛋白「ニューフジニック51」(不二製油(株)製)と実施例3の組織化物A-16について、実際にハンバーグに添加した時の効果検証を行なった。
生地の配合中に用いる組織化物水戻し品は、組織化物に、各々の吸水能力に応じた量の25℃の水を加え、完全に組織化物が吸水するよう10分以上放置することにより作製した。粒状大豆蛋白ニューフジニック51も同様に水戻しをした。下記ハンバーグ配合(表5)の通り、各素材をケンウッドミキサーにて90秒混合し、ハンバーグ生地を調製した。このハンバーグ生地を90gづつ計量し、小判状に成型し、オーブンで200℃8分間(中心温度80℃)焼き蒸し加熱を行いハンバーグを製造した。
Figure 2008011727
得られたハンバーグについて官能評価を行った。官能評価は、10名の専門パネラーにより5点法により、食感、風味について試食評価を行った。点数は5点が最も良好である。食感については、最もジューシー感があるものを5点とし、ジューシー感が少なくなりパサつきを強く感じられるほど点数を低くした。
結果を表6に示す。
Figure 2008011727
組織化物A-16を使用したハンバーグH-2の方が、粒状大豆蛋白「ニューフジニック51」を使用したH-1よりも有意にジューシー感及びソフト感が改善されていた。
本発明により高い吸水倍率を有しジューシーでソフトな食感を有する蛋白組織化物が可能になった。
そしてこの蛋白組織化物を用いることによりジューシー感とソフト感を有するハンバーグ等の加工肉製品や惣菜が可能になったものである。
これら加工肉製品や惣菜がチルド或いは冷凍流通され、消費者が解凍し加熱して食する場合にもジューシー感とソフト感が失われないようになったものである。

Claims (8)

  1. 蛋白原料、ヒドロキシプロピル化澱粉及び水を加圧加熱下に押し出して膨化させることを特徴とする蛋白組織化物の製造法。
  2. 蛋白組織化物の製造に用いる全原料(乾燥固形分)中の粗蛋白質含量が33重量%以上である請求項1記載の製造法。
  3. 蛋白組織化物の製造に用いる全原料中の粗蛋白/ヒドロキシプロピル化澱粉(乾燥重量比)の割合が95/5〜38/62である請求項1または請求項2記載の製造法。
  4. 蛋白原料が大豆蛋白原料である請求項1〜3記載のいずれかの製造法。
  5. さらに炭酸化合物を併用する請求項1〜4記載のいずれかの製造法。
  6. 炭酸化合物が炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムである請求項5記載の製造法。
  7. 蛋白組織化物の製造に用いる全原料の乾燥固形分に対して炭酸化合物を0.08〜1.29重量%併用する請求項5記載の製造法。
  8. 膨化の程度が蛋白組織化物の乾燥物に対して、吸水倍率5倍以上である請求項1〜7記載のいずれかの製造法。
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