JP2008007641A - 有機無機感光性樹脂組成物 - Google Patents

有機無機感光性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品の製造用として有用な260℃リフロー耐熱性を有し、またそれ以外の密着性、伸度、耐温度衝撃性にも、優れた特性を有する感光性透明樹脂を用いたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子を提供する。
【解決手段】特定の組合せの3元素からなる有機シランを含む化合物を、触媒存在下で40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂を含有する感光性樹脂組成物、及びこれを用いたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、主に光用途を目的とした半導体デバイス、マイクロレンズ混載電子基板、液晶偏光板などの光学電気部品の製造用として有用な透明感光性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は260℃以上でのハンダリフロー等の温度に耐熱性が要求される用途での光通信用マイクロプラスチックレンズやCMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子用の材料、若しくは耐熱性が要求される液晶プロジェクター用の偏光板用光学素子の材料として好適である。さらに耐熱性透明樹脂にとって好適な製造方法に関するものである。
プラスチックレンズは、ガラスに較べて成形が容易であり、安価であることから各種の光学製品に広く用いられている。その材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどの熱可塑性プラスチックやポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの熱硬化性プラスチックなど、様々な透明材料が使用されている。
しかし、従来材料は特許文献1及び2に示されているとおり、耐熱性を改良しても200℃以下のものが殆どであり、260℃ハンダリフロー耐熱を保証するには至っていない。
Si−O構造を有するシロキサンポリマーは一般に耐熱性が高い。特許文献3及び4には、UV硬化型シロキサン樹脂が耐磨耗性ハードコート材料として紹介されているが、いずれも薄膜の被覆材に限定している。一般にシロキサン材料は耐熱性には優れるが、耐クラック性に劣るため、厚膜としての構造材料になりにくい問題点がある。
特許文献5には、Ba(OH)(水酸化バリウム)を合成触媒として重合可能基を有する有機シラン及び加水分解反応点を有する有機シランからなる、ドイツ国 Fraunhofer ISC社製のORMOCER ONEとして登録商標されている材料の開示がある。それは150℃低温キュア、300℃以上の耐熱性など優れた特性を有する。ところが、問題点としては異種材料との界面で結合形成し難いため、下地(金属、ガラス、シリコンなど)との密着性に劣ることである。シロキサン構造を有する感光性樹脂の密着力は10〜20Mpa程度しかない。
特許文献6、7、及び8には、液晶プロジェクター用のマイクロレンズアレイの形成方法の開示が有る。金属型と透明ガラス基板で紫外線硬化型透明樹脂を押圧し、ガラス基板側から紫外線硬化させてレンズ成形を行うが、樹脂の密着性が悪いと光硬化後の離型工程において、ガラス基板に樹脂パターンが形成されず、型に樹脂が残り易いのがこの方法の重大な問題点となっている。密着性改善にガラス基板との界面にシランカプラー処理を行う方法も行われているが、カプラー自身の耐熱性がプラスチックレンズ全体の耐熱性の支配因子となってしまう問題点がある。
特許文献9には、透明樹脂の密着性改良方法として、予めガラス基板面に薄く樹脂を塗布し、一度全面紫外線照射で硬化膜を形成する事を述べているが、紫外線硬化だけではメタクリル基とガラス基板界面での十分な化学結合を形成する事はできないため、密着力改善としては不十分である。
一方、型を用いないプラスチックレンズの形成方法としては、特許文献10に、マスクを用いた光露光方式及び熱溶融方式により耐熱性のマイクロレンズを固体撮像素子上に形成する方法の開示がある。しかしこの方法では樹脂材料にポジ型感光性樹脂しか使えないため、ポジ型材料の耐熱温度支配となり耐熱温度が200℃以下となる問題点がある。マスクを用いた光露光方式の別の例としては、特許文献11に、レンズ形状の光強度分布に
した半透明マスクを用いる方法の開示がある。この方法でも樹脂材料としてはポジ型感光性樹脂しか使えないため、形成されたレンズパターンの耐熱性は200℃以下であり、また耐熱性を高めるためには下地ガラス材料をドライエッチで加工する必要があり、レンズ成形プロセスが複雑になり、且つ高価な加工設備が必要となる問題点がある。
特開平09−31136号公報 特開2004−245867号公報 特開平03−281616号公報 国際公開 W02002/102907号 カナダ国特許第238756号公報 特開平10−253801号公報 特開2001−194508号公報 特開平01−257901号公報 特開平05−249302号公報 特開平06−138306号公報 特開2001−158022号公報
本発明は、ハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品の製造用として有用な260℃リフロー耐熱性を有し、またそれ以外の密着性、伸度、耐温度衝撃性にも、優れた特性を有する感光性透明樹脂を用いたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子成形物、及び製造方法を提供する。
本発明者は、前記課題を解決するために、シロキサンを含む感光性樹脂を研究するうち、特定の少なくとも3種類のシラン化合物を混合し、縮重合させ、光重合開始剤を添加することによって耐熱性と耐温度衝撃性に優れた感光性樹脂組成物が得られる事を見出し、さらにエチレンオキサイドジメタクリレート樹脂を添加した感光性樹脂組成物とすることで、優れた伸度を有することを見出し、さらに該感光性樹脂組成物をガラス基板やシリコン基板上にコート後、紫外線露光前に加熱する事で、優れた密着力を見出し、さらに、ネガ型である該感光性樹脂組成物の特性を用いて、複数枚の同心円パターンを使って、現像膜削れ量を制御する方法を発明し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
1.a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物、及びc)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物をb)の化合物100モルに対して、a)の化合物を10〜60モル、c)の化合物を40〜90モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られることを特徴とする樹脂である。
2.a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物、及びc)(C
O)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−CH=CH(ここで、X=1又2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を10〜60モル、c)の化合物を40〜90モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合することを特徴とする樹脂の製造方法である。
3.上記1.に記載の樹脂、及び光重合開始剤を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物である。
4.ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレート、ポリエチレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物を、上記a)とb)とc)を重縮合して得られる樹脂に対して、1〜30重量%含有することを特徴とする上記3.に記載の感光性樹脂組成物である。
5.上記3.又は4.に記載の感光性樹脂組成物をガラス基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板を得るステップと、該感光性樹脂組成物付着ガラス基板の該感光性樹脂組成物面に、別に用意した上記3.又は4.記載の感光性樹脂組成物を満たしたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子成形物用の型の開口部を押し当てるステップと、ガラス基板側から露光するステップと、マイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子成形物用の型をガラス基板から剥離するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法である。
6.上記3.又は4.に記載の感光性樹脂組成物を、ガラス基板又はシリコン基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板又はシリコン基板を得るステップと、マイクロプラスチックレンズの同心円パターンからなる複数枚のマスクを使い、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、同心円直径の小さいマスクから順に同心円に重ねて露光するステップと、露光後に現像するステップと、現像後150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法である。
本発明によると、260℃のハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品の製造用として有用な耐熱性、密着性、伸度、高温でもクラックや剥がれが生じないという耐温度衝撃性に優れた特性を有する感光性樹脂を得ることができる。さらに該樹脂を用いて、耐熱性が要求されるマイクロプラスチックレンズやプロジェクター向け液晶偏光板用光学素子を得ることができる。また型成形し難いLSIウエハ上にも、複数枚マスク露光と現像削れによって、耐熱性マイクロプラスチックレンズを形成する事ができる。
(1)感光性樹脂組成物について
本発明における感光性樹脂組成物は、
a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物と、c)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)
−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物とを混合し、触媒の存在下で、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られる樹脂、並びに光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物であって、光重合開始剤を添加するタイミングで、さらに、耐温度衝撃用及び伸度向上を目的としてビスフェノールを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレート、ポリエチレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物を含んでも良い。
a)、b)、及びc)の化合物の混合割合は、
b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を10〜60モル、c)の化合物を40〜90モルの割合が好ましく、
より好ましくは、b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を15〜25モル、c)の化合物を75〜85モルの割合、
最も好ましくは、
b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を20モル、c)の化合物を80モルの割合である。
a)の化合物は、(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物であって、このうち、最も好ましくは、次式の3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MEMOと表示する場合もある)である。
Figure 2008007641
b)の化合物は、(C−Si−(OH)、つまり、ジフェニルシランジオール(以下、DPDという場合もある)である。
c)の化合物は、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物であって、このうち、最も好ましくは、次式の3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(以下、MEDMOと表示する場合もある)である。
Figure 2008007641
上記ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレートとしては、次式の日本油脂(株)製の耐熱性ブレンマーPDBE− 200, 250, 450, 1300が例として挙げられる。
Figure 2008007641

上記ポリエチレンオキサイドジメタクリレートとしては、次式の日本油脂(株)製のブレンマーPDT650が例として挙げられる。
Figure 2008007641
上記ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレート、ポリエチレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物の添加量は、a)とb)とc)を重縮合して得られる樹脂に対して、1〜30重量%である。
好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは7〜14重量%である。30重量%以下であれば、樹脂液の安定性が高く、品質バラツキが少ないため、好ましい。
a)とb)とc)を含む化合物を混合し、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合するときに用いられる触媒としては、Ba(OH)、Ti(O−CH(CH、Ti(O−C(CHが用いられる。中でも、得られる樹脂の透明性の観点より、Ti(O−CH(CHが好ましく用いられる。触媒添加量は、a)とb)とc)の総モル%に対して、1〜10モル%が好ましく、1〜3モル%がより好ましい。
また、a)とb)とc)を含む化合物を混合する際に、他のシラン化合物、例えば、(CHO)−Si−(C)−CH=CH、(CO)−Si−(C)−CH=CH等を添加しても良い。
本願における光重合開始剤としては、2−benzyl−2−dimethylamino−4’−morpholinobutyrophenone(IRGACURE369)等、365nmに吸収を持つ公知の光重合開始剤であれば好適に用いられる。公知の開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエイト)、9−フェニルアクリジン、等などが挙げられる。添加量は上記a)とb)とc)を重縮合して得られる樹脂に対して、0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜3重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%である。
本発明の感光性樹脂組成物は、種種の溶媒、例えば、γ―ブチロラクトン、NMP、THF、炭素数1〜6程度のアルコール類などに溶解する。
(2)型を利用したマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子の製造方法
本発明のシロキサン構造を有する透明感光性樹脂組成物を密着性良くガラス基板に金属型を使用して形成する方法を以下に述べる。マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子は、型の大きさ、種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。
1)ガラス基板へのコート及び加熱ステップ:本発明の感光性樹脂組成物を、NMPなどの溶剤を使って希釈し、例えばスピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布するか、スプレーコーター等で噴霧塗布する方法により基板上にコートし、感光性樹脂組成物の薄膜形成する。感光性樹脂組成物の厚みは0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5〜5μm、さらに好ましくは1〜3μmである。加熱は、コートしたガラス基板の感光性樹脂組成物の薄膜形成面を上にして行う。用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができ、ガラス基板と感光性樹脂組成物の密着性を高める観点から、中でもホットプレートが好ましい。加熱は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間行う。
2)型を押し当てるステップ:別途、本発明の感光性樹脂組成物をマイクロプラスチックレンズの型又は液晶偏光板用光学素子の型に満たし、型の開口部を、1)ステップで得られたガラス基板の薄膜形成面に押し当て密着させる。型に満たす方法としてはスポイトやディスペンサーなどで滴下する。型の材質には、ゴム、ガラス、プラスチック、金属等が用いられる。金属型の場合は、ニッケル製が好ましい。
3)露光ステップ:ガラス基板と金属型で感光性樹脂を挟んだ状態で、ガラス基板側から紫外線照射する。光硬化型樹脂としてのパターンの解像度及び取扱い性の点で、露光光源波長はi線が好ましく、装置としては近接露光タイプのプロジェクションアライナーが好ましい。
4)型剥離ステップ:紫外線硬化後、金属型をガラス基板から剥離する。
5)最終加熱ステップ:150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する事で、残存メタクリル基を結合させ、耐熱性に優れたマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子を得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンにより行うことが出来る。加熱変換させる際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。
(3)マスクを使用してのマイクロプラスチックレンズ製造方法について
本発明のシロキサン構造を有する透明感光性樹脂組成物を密着性良くガラス基板またはシリコン基板にマスクを使用してマイクロプラスチックレンズを形成する方法を以下に述べる。
1)基板へのコート及び加熱ステップ:本発明の感光性樹脂組成物を、NMPなどの溶剤を使って希釈し、例えばスピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布するか、スプレーコーター等で噴霧塗布する方法に
より基板上にコートし、感光性樹脂組成物の薄膜形成する。感光性樹脂膜の厚みは1〜30μmが好ましく、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜6μmである。
加熱は、コートしたガラス基板の感光性樹脂組成物の薄膜形成面を上にして行う。用いる装置としては、オーブン、遠赤外線炉、ホットプレートなど、加熱できる装置であれば公知のものを用いることができ、基板と感光性樹脂組成物の密着性を高める観点から、中でもホットプレートが好ましい。加熱は、50℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲で1分〜30分間、好ましくは5分〜10分間行う。
2)複数回露光ステップ:マイクロプラスチックレンズの同心円パターンからなる複数枚のマスクを使い、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、同心円直径の小さいマスクから順に同心円に重ねて紫外線露光する。例えば該ネガ型透明感光樹脂を3枚マスクでマイクロプラスチックレンズ形状に露光形成するには、現像後の残膜が飽和する最低露光量÷マスク枚数(例90mJ/cm÷3=30mJ/cmの露光量)で、パターンの小さいマスクから同じ露光量で、アライメントマークを使って順に重ねて露光する。
3)現像ステップ:現像は、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法などの中から任意の方法を選んで行うことができる。
使用される現像液としては、前記のポリマー前駆体に対する良溶媒と貧溶媒の組み合わせが好ましい。この良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトンなどが、また、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び水などが用いられる。良溶媒に対する貧溶媒の割合はシロキサン構造を有する感光性樹脂の溶解性により調整される。各溶媒を組み合わせて用いることもできる。
4)最終加熱ステップ:150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱する事で、残存メタクリル基を結合させ、耐熱性に優れたマイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子を得ることができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンにより行うことが出来る。加熱変換させる際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。
尚、上記現像削れ後の残膜飽和最低露光量とは以下のことを意味する。
ネガ型レジストは、露光量によって現像後の残膜率が異なる。
残膜飽和最低露光量の決定方法は、表1のグラフから行う。
露光装置での露光設定値を横軸にとり、そのときの現像後の残膜厚みを縦軸に取ると、残膜厚が2.5μm付近で飽和していることがわかる。
この時の最低露光量が表1のグラフより100mJ/cmと分かる。
この様な最低露光量(例えば、「100mJ/cm」)を現像削れ後の残膜飽和最低露光量という。
Figure 2008007641
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本願発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1] 感光性樹脂組成物
500mlのナス型フラスコ中にb)の化合物:DPD 0.1モル(21.62g)、a)の化合物:MEMO 0.02モル(4.97g)、c)の化合物:MEDMO0.08モル(18.59g)、触媒として、テトラターシャルブトキシチタン0.0022モル(0.625g)を仕込み、冷却器をナスフラスコに取り付けた状態でオイルバスで室温から85℃まで、徐々に昇温し、85℃で発生メタノールによるリフラックス確認後、1時間同温度でリフラック継続させたのち、冷却気をとり除き、同じ温度でメタノールを真空引きで除去する。突沸が起こらないように徐々に真空度を上げ1〜3torr程度になったら、80℃で攪拌しながら真空引きを継続し、最後に常圧に戻しメタノールを除去し終了する。得られた透明な重縮合樹脂を室温に冷却後、光ラジカル重合開始剤IRGACURE369 1重量%を添加し(チバガイギー社製)、0.2μmのフィルターでろ過し、感光性樹脂組成物とする。この最終粘度は30ポイズである。
[実施例2] 感光性樹脂組成物
実施例1の感光性樹脂組成物を室温に冷却後、光ラジカル重合開始剤を添加するのと同じタイミングで、ポリエチレンオキサイドビスフェノールAジメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名;耐熱性ブレンマーPDBE450)を10重量%添加する。以降は実施例1と同じくフィルターろ過し、感光性樹脂組成物とする。
[実施例3]マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子の製造方法
マイクロプラスチックレンズ及び液晶偏光板用光学素子は金属型の種類が異なるだけであり、製造方法は同じである。
1)ガラス基板へのコート及び加熱ステップ:コーニング製無アルカリガラス基板(10cm正方形、厚み0.7mm)上に、実施例2で得られる感光性樹脂組成物をNMP溶剤で70重量%添加し希釈したのち、スピンコーターで塗布する(2500rpm30秒)。コートしたガラス基板面を上にしてホットプレート上で120℃で5分間加熱する。NMP乾燥除去後の感光性樹脂組成物の厚みは1μmである。
2)型を押し当てるステップ:実施例2で得られた感光性樹脂組成物をNi金属製のマ
イクロプラスチックレンズ様型又は液晶偏光板用光学素子の型にスポイトで5滴滴下し、加熱処理後冷却したガラスの樹脂コート面を下にして、型内の滴下樹脂に押し当て密着させる。
露光ステップ:ガラス基板と金属型で感光性樹脂を挟んだ状態で、ガラス基板側からCANON製近接露光装置ミラープロジェクションアライナーを使って、紫外線を全面マスク無しで照射する。i線波長(365nm)での照射量は400mJ/cmである。
3)型剥離ステップ:紫外線硬化後、金属型をガラス基板から剥離する。
4)最終加熱ステップ:キュアオーブンを使って、N中250℃の温度で2時間加熱する。
[実施例4] マスクを使用してのマイクロプラスチックレンズ製造方法
1)基板へのコート及び加熱ステップ:実施例2で得られる感光性樹脂組成物にNMPを40重量%添加混合して希釈した後、シリコン基板上に滴下し、スピンコーター(2500rpm30秒)をつかってコートする。:コートしたシリコン基板面を上にしてホットプレート上で120℃で5分間加熱する。NMP乾燥除去後の感光性樹脂の厚みは6μmである。
2)複数回露光ステップ:マイクロプラスチックレンズの同心円パターンからなる3枚のマスクを予め準備する。Siウエハ上でのレンズ寸法が、直径2μm、4μm、6μmのネガ型感光レジスト用パターンのレンズアレイ(縦横5個、計25個)をCADにて作成し、マスクとする。現像削れ後の残膜飽和値が3μmであり、この時の必要最低露光量が90mJ/cmであるため、90÷3=30mJ/cmの一定光量で、同心円直径の小さい2μmのマスクから順に同心円に重ねて紫外線露光する。
3)現像ステップ:回転スプレー法で現像する。使用される現像液としてはシクロヘキサノンを用いて、20秒間スプレー現像し、リンス液としてイソプロピルアルコールを用いて、10秒間リンスする。
4)最終加熱ステップ:キュアオーブンを使って、N2中250℃の温度で2時間加熱する。
[比較例1]
実施例1の化合物混合系において、c)MEDMOを使用しない以外は、同様に行い、感光性樹脂を得た。
[性能比較結果]
実施例1、2及び比較例1で得た樹脂の性能を下記表2に示す。
なお、下記表2の「密着力評価」及び「破断点伸度」の測定は以下のようにして行った。また、耐温度衝撃性(クラック、剥れ)の評価は、実施例3又は4の250℃での最終加熱ステップ後でのガラス基板上に成膜した樹脂に発生したクラックの有無と膜剥れの有無を目視にて検査した。
耐熱性(耐熱温度)はガラス基板上250℃での最終熱硬化後、樹脂膜をサンプリングし、5%重量減少温度(TGA装置:昇温速度5℃/min.N流量40ml/min.)で評価した。
密着力評価方法(密着性)
10cm平方のガラス基板上に実施例3の1)と同様にして、スピンコート法(100rpm30秒)で厚み10μmの膜を成膜後、加熱、露光、最終硬化過熱した後、碁盤目テープ剥離試験(JIS K5400)にて、クロスカットガイド1.0を用いて、1mm角の正方形100個が出来るようにカッターナイフで傷を付け、上からセロハンテープを貼り付けた後剥離し、セロハンテープに付着せず基板上に残った正方形の数を数えることにより、密着性を評価した。この場合、100個残った場合60Mpa、50個付近の場合30Mpa、10個以下の場合10Mpaに相当する。
破断点伸度評価方法
Alスパッタ膜付きSiウエハ上に、上記密着力評価方法におけるサンプル形成方法と同じ方法で成膜後、ダイシングソー(ディスコ製型式名DAD−2H/6T)を用いて3.0mm幅にカットし、10%塩酸水に浸漬してシリコンウエハ上から剥離し、短冊状のフィルムサンプルとした。引張り破断ひずみ試験(JIS K7161)にて測定装置(ORIENTEC製テンシロン 型式UTM−II−20)にセットし、チャック間距離50mm、引張り速度40mm/分で測定した。
Figure 2008007641
本発明により、260℃のハンダリフロー工程を必要とする固体撮像素子や電子部品一体型製品の製造用として有用な耐熱性感光性透明樹脂を得ることができるため、耐熱性が要求されるプラスチックレンズやプロジェクター向け液晶偏光板用光学素子を得ることができる。また型成形し難いLSIウエハ上にも、複数枚マスク露光と現像削れ方式で、耐熱性マイクロプラスチックレンズアレイを形成する事ができるため極めて有用である。

Claims (6)

  1. a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物、及びc)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−CH=CH(ここで、X=1又は2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物をb)の化合物100モルに対して、a)の化合物を10〜60モル、c)の化合物を40〜90モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合して得られることを特徴とする樹脂。
  2. a)(CHO)−Si−(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si−(CH−O−CO−CH=CH、及び(CHO)−Si−(CH−CH=CH(ここで、X=1又2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物と、b)(C−Si−(OH)で表される化合物、及びc)(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−C(CH)=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−O−CO−CH=CH、(CHO)−Si(CH)(CH−CH=CH(ここで、X=1又2)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、b)の化合物100モルに対して、a)の化合物を10〜60モル、c)の化合物を40〜90モルの割合で混合し、触媒の存在下、40℃〜150℃以下の温度で0.1〜10時間重縮合することを特徴とする樹脂の製造方法。
  3. 請求項1に記載の樹脂、及び光重合開始剤を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
  4. ビスフェノールAを主鎖に含むポリエチレンオキサイドジメタクリレート、ポリエチレンオキサイドジメタクリレートからなる群より選ばれる一種以上の化合物を、上記a)とb)とc)を重縮合して得られる樹脂に対して、1〜30重量%含有することを特徴とする請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 請求項3又は4に記載の感光性樹脂組成物をガラス基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板を得るステップと、該感光性樹脂組成物付着ガラス基板の該感光性樹脂組成物面に、別に用意した請求項3又は4記載の感光性樹脂組成物を満たしたマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子成形物用の型の開口部を押し当てるステップと、ガラス基板側から露光するステップと、マイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子成形物用の型をガラス基板から剥離するステップと、150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
  6. 請求項3又は4に記載の感光性樹脂組成物を、ガラス基板又はシリコン基板にコートし、50〜150℃で1分〜30分間加熱して感光性樹脂組成物付着ガラス基板又はシリコン基板を得るステップと、マイクロプラスチックレンズの同心円パターンからなる複数枚のマスクを使い、現像削れ後の残膜飽和最低露光量÷マスク枚数の一定光量で、同心円直径の小さいマスクから順に同心円に重ねて露光するステップと、露光後に現像するステップと、現像後150℃〜250℃の温度で0.5時間〜2時間加熱するステップとを順次行うことを特徴とするマイクロプラスチックレンズ又は液晶偏光板用光学素子の製造方法。
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