以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置としてのステッピングモータの構成部品を示す分解斜視図である。図2は、組立完成状態におけるステッピングモータの軸方向の構造を示す断面図である。図3は、図2の矢視A−A線に沿うステッピングモータの構造を示す断面図である。
図1乃至図3において、ステッピングモータは、第1のマグネット11a、第2のマグネット11b、第1のステータヨーク12a、第2のステータヨーク12bを備えている。ステッピングモータは、更に、第1のコイル13a、第2のコイル13b、第1の軸受14a、第2の軸受14b、ロータヨーク15を備えている。
第1のマグネット11aを説明するために、まず、円筒状の第1の仮想マグネットを考える。第1の仮想マグネットは、内周面がn分割(n:4以上の偶数、本実施の形態では8分割)されると共にS極とN極が交互に着磁されている。また、第1の仮想マグネットの外周面は、内周面に比べ弱い着磁分布を有するか、あるいは全く着磁されていないか、あるいは内周面と逆の極性に着磁されているかの何れかである。第1の仮想マグネットを軸方向に沿って分割し半円筒形状に形成したものが、第1のマグネット11aである。分割した後の第1のマグネット11aの着磁パターンについては後述する。第1のマグネット11aは、磁極部11a1〜11a4を備える。
第2のマグネット11bは、第1のマグネット11aと同様に、内周面がS極とN極に交互に着磁された円筒状の第2の仮想マグネットを軸方向に沿って分割し半円筒形状に形成したものである。分割した後の第2のマグネット11bの着磁パターンについては後述する。第2のマグネット11bは、磁極部11b1〜11b4を備える。
第1のステータヨーク12aは、軟磁性材料から形成されており、半円筒状の磁極部12a1と円盤状の天板部12a2から構成されている。第1のステータヨーク12aの磁極部12a1は、内径が第1のマグネット11aの外径と略等しい寸法に形成され、図3に示すように第1のマグネット11aの外周を覆うように配置される。
第1のステータヨーク12aの天板部12a2は、磁極部12a1と略同じ外径に形成され、天板部12a2の中心には、第1の軸受14aを支持するための穴部が配設されている。第1のステータヨーク12aは、ロータヨーク15と共に第1のマグネット11aの着磁パターンの形成箇所を挟み込む位置に配置される。
第2のステータヨーク12bは、第1のステータヨーク12aと同じ材料で同じ形状に構成されている。即ち、第2のステータヨーク12bは、軟磁性材料から形成されており、半円筒状の磁極部12b1と円盤状の天板部12b2から構成されている。第2のステータヨーク12bの磁極部12b1は、内径が第2のマグネット11bの外径と略等しい寸法に形成され、図3に示すように第2のマグネット11bの外周を覆うように配置される。
第2のステータヨーク12bの天板部12b2は、磁極部12b1と略同じ外径に形成され、天板部12b2の中心には、第2の軸受14bを支持するための穴部が配設されている。第2のステータヨーク12bは、ロータヨーク15と共に第2のマグネット11bの着磁パターンの形成箇所を挟み込む位置に配置される。
第1のコイル13aは、ロータヨーク15の中心軸を中心として第1のボビン13a1に導線を多数回巻回することで構成されている。第1のコイル13aの外径は、第1のマグネット11a(第2のマグネット11b)の外径と略同じ寸法に形成されている。
第2のコイル13bは、第1のコイル13aと同様の形状、巻数、抵抗値を有する。即ち、第2のコイル13bは、ロータヨーク15の中心軸を中心として第2のボビン13b1に導線を多数回巻回することで構成されている。第2のコイル13bの外径は、第1のマグネット11a(第2のマグネット11b)の外径と略同じ寸法に形成されている。
第1の軸受14aは、円筒形状に構成されており、内径部によりロータヨーク15を回転可能に支持する。第1の軸受14aを軟磁性材料で形成することにより、第1の軸受14aを磁路の一部として利用することが望ましい。第1の軸受14aとして好ましくは鉄粉を利用した含油焼結軸受を用いることにより、軸摩擦を減少させながら磁束を通すことが可能である。
第2の軸受14bは、第1の軸受14aと同じ形状を有する。即ち、第2の軸受14bは、円筒形状に構成されており、内径部によりロータヨーク15を回転可能に支持する。第2の軸受14bを軟磁性材料で形成することにより、第2の軸受14bを磁路の一部として利用することが望ましい。第2の軸受14bとして好ましくは鉄粉を利用した含油焼結軸受を用いることにより、軸摩擦を減少させながら磁束を通すことが可能である。
ロータヨーク15は、シャフト部151と磁極部152から構成されている。ロータヨーク15のシャフト部151は、第1の軸受14a及び第2の軸受14bに嵌合可能であり、軟磁性材料により形成することが好ましい。これにより、シャフト部151を磁気回路の一部として利用することができる。ロータヨーク15の磁極部152は、略直方体状の凸極がシャフト部151の中心軸から径方向に延出した形状であり、シャフト部151の外周方向に等間隔で軸方向に沿って設けられている。
ロータヨーク15の磁極部152の本数は、第1の仮想マグネットの着磁極数nの半分(本実施の形態では4本)に設定されている。また、ロータヨーク15の磁極部152の外径は、第1の仮想マグネットの内径よりもやや小さく形成されている。
以上、第1のステータヨーク12aに、第1のコイル13a、第1のマグネット11a、第1の軸受14aを固定することで、第1のステータユニットを構成する。また、第2のステータヨーク12bに、第2のコイル13b、第2のマグネット11b、第2の軸受14bを固定することで、第2のステータユニットを構成する。
本実施の形態のステッピングモータの固定子は、上記の第1のステータユニット及び第2のステータユニット同士をカバーを用いるなど不図示の方法で同心状に固定することで構成している。
ここで、上記の第1のマグネット11aと第2のマグネット11bの着磁パターン及び位置関係を図3を用いて説明する。
上述したように、第1のマグネット11aは、内周面をn分割(本実施の形態では8分割)すると共にS極とN極を交互に着磁した第1の仮想マグネットを軸方向に沿って分割したものである。第1のマグネット11aは、ロータヨーク15の中心軸を中心とし、中心角が180°の扇形を底面とする柱に収まるように分割される。
また、上述したように、第2のマグネット11bは、第1のマグネット11aと同じ形状を有する。第2のマグネット11bは、第1のマグネット11aと同じピッチ且つ同じ強さで周方向に沿って着磁され、図3に示すように第1のマグネット11aと所定の位相差をつけて配置される。
この場合、第1のマグネット11aと第2のマグネット11bの間には、図3に示すように、後述の第1の磁気回路と第2の磁気回路とが干渉しない程度の空隙を設けている。第1のマグネット11aと第2のマグネット11bにおける所定の位相差は、着磁ピッチPの1/4(電気角で90°、図3に(1/4)Pとして示す)を基本としている。但し、第1及び第2の磁気回路同士の干渉を低減させるために、上記電気角から数%ずらす場合もある。
第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bの内周の円弧部分の長さは、着磁ピッチの倍数となるとは限らず、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bのそれぞれの両端の磁極部は、他の磁極部に比べて小さくてもよい。本実施の形態では、第1のマグネット11aの磁極部11a4が、他の磁極部11a1〜11a3に比べて小さく構成されている。同様に、第2のマグネット11bの磁極部11b4が、他の磁極部11b1〜11b3に比べて小さく構成されている。
また、第1のステータヨーク12aの磁極部12a1は、第1のマグネット11aと略等しい中心角に設定されている。同様に、第2のステータヨーク12bの磁極部12b1は、第2のマグネット11bと略等しい中心角に設定されている。
また、本実施の形態のステッピングモータの回転子は、ロータヨーク15のシャフト部151を第1の軸受14a及び第2の軸受14bにより回転可能に支持することで構成している。このとき、ロータヨーク15の磁極部152は、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bの着磁面と対向する。
本実施の形態のステッピングモータでは、第1のマグネット11a、第1のコイル13a、第1のステータヨーク12a、第1の軸受14a、ロータヨーク15により、第1の磁気回路を構成している。また、第2のマグネット11b、第2のコイル13b、第2のステータヨーク12b、第2の軸受14b、ロータヨーク15により、第2の磁気回路を構成している。
次に、上記構成を有する本実施の形態のステッピングモータにおいて回転子を固定子に対して回転させる駆動原理について、図4乃至図9を参照しながら説明する。
図4は、ステッピングモータの磁気回路を示す図である。図5は、ステッピングモータのロータヨーク15における励磁領域を示す図である。
図4において、第1の磁気回路を構成する第1のマグネット11a、第1のコイル13a、第1のステータヨーク12a、第1の軸受14a、ロータヨーク15について、断面で示している。また、図5において、ロータヨーク15における第1のコイル13aが励磁する箇所である領域1と、第2のコイル13bが励磁する箇所である領域2を示している。
第1のコイル13aに逆通電を行うと、図4に示すように2つの磁路M1、M2が現れる。磁路M1は、第1のマグネット11a、第1のステータヨーク12aの磁極部12a1、天板部12a2、第1の軸受14a、ロータヨーク15のシャフト部151、磁極部152と、軟磁性材料で構成された部品内を一周するループを通る。これに対し、磁路M2には、磁気抵抗の大きい空気が多く存在する。
従って、第1のコイル13aにより発生した磁束は、大部分が磁路M1を通る。この結果、ロータヨーク15の磁極部152は、磁路M1の通る側のみが強く励磁される。即ち、第1のコイル13aにより、図5に示す領域1にあるロータヨーク15の磁極部152(第1のステータヨーク12aと対向する箇所)を励磁することができる。これに対し、領域2にある磁極部は励磁されない。ここで、領域1及び領域2は、第1のステータヨーク12a、第2のテータヨーク12bに対して不動のものである。
一方、第2のマグネット11b、第2のコイル13b、第2のステータヨーク12b、第2の軸受14b、ロータヨーク15により第2の磁気回路を構成する。図5に示す領域2にあるロータヨーク15の磁極部152と第2のマグネット11bの着磁部を対向させる。これに伴い、第2のコイル13bにより、領域2にあるロータヨーク15の磁極部152(第2のステータヨーク12bと対向する箇所)を励磁することができる。
図6乃至図9は、各通電状態におけるロータヨーク15と第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bとの角度位置の関係を示す図である。
図6は、第1のコイル13a(図2)に逆通電を行い、第2のコイル13b(図2)に正通電を行った状態を示している。第1のコイル13aへの通電により、ロータヨーク15の磁極部152の領域1にある箇所がS極に励磁される。また、第2のコイル13bへの通電により、ロータヨーク15の磁極部152の領域2にある箇所がN極に励磁される。このとき、励磁されたロータヨーク15の磁極部152と、第1のマグネット11a、第2のマグネット11bとの磁気的なバランスにより、ロータヨーク15は、図6に示す角度位置で安定する。
図7は、第1のコイル13aに逆通電を行い、第2のコイル13bに逆通電を行った状態を示している。ロータヨーク15の磁極部152の領域1にある箇所はS極に励磁され、領域2にある箇所はS極に励磁される。これにより、ロータヨーク15は、図6に示す状態から(1×180/n)°(本実施の形態では22.5°)回転した図7に示す角度位置で安定する。
図8は、第1のコイル13aに正通電を行い、第2のコイル13bに逆通電を行った状態を示している。ロータヨーク15の磁極部152の領域1にある箇所はN極に励磁され、領域2にある箇所はS極に励磁される。これにより、ロータヨーク15は、図6に示す状態から(2×180/n)°(本実施の形態では45°)回転した図8に示す角度位置で安定する。
図9は、第1のコイル13aに正通電を行い、第2のコイル13bに正通電を行った状態を示している。ロータヨーク15の磁極部152の領域1にある箇所はN極に励磁され、領域2にある箇所はN極に励磁される。これにより、ロータヨーク15は、図6に示す状態から(3×180/n)°(本実施の形態では67.5°)回転した図9に示す角度位置で安定する。
次に、再び第1のコイル13aに逆通電を行い、第2のコイル13bに正通電を行うと、ロータヨーク15の磁極部152の領域1にある箇所はS極に励磁され、領域2にある箇所はN極に励磁される。これにより、ロータヨーク15は、図6に示す状態から(4×180/n)°(本実施の形態では90°)回転した角度位置で安定する。このとき、ロータヨーク15と第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bとの角度位置の状態は図6と同じになるので省略する。
このように、第1のコイル13aと第2のコイル13bに対する通電方向を順次切り替えることにより、ロータヨーク15の回転方向の安定位置をずらしていくことができる。これにより、ロータヨーク15を第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bに対して回転させることができる。
次に、本実施の形態のステッピングモータの作用及び効果について説明する。
本実施の形態のステッピングモータは、第1のコイル13aへの通電により発生する磁束が通る第1の磁気回路と、第2のコイル13bへの通電により発生する磁束が通る第2の磁気回路の一部を周方向に並べて配置することができる。これにより、上記特許文献1〜3に挙げたような従来のステッピングモータのように第1の磁気回路と第2の磁気回路を軸方向に並べる場合に比べて、ステッピングモータの軸方向の寸法を短縮した短軸化を実現することが可能となる。このことに関して詳しく説明する。
第1の磁気回路と第2の磁気回路は、ある程度の空隙をおいて配置する必要がある。第1の磁気回路と第2の磁気回路を近づけ過ぎた場合、第1のコイルから発生した磁束が第2の磁気回路へ流れてしまったり、逆に第2のコイルから発生した磁束が第1の磁気回路へ流れてしまったりする。これは、ステッピングモータの回転精度の低下やコギングトルクの増大の原因となる。
ここで、本実施の形態のステッピングモータと従来のステッピングモータにおいて、マグネットの長さを等しくした場合の、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積について比較する。軸方向の長さに関しては、本実施の形態のステッピングモータでは(マグネットの長さ)であり、従来のステッピングモータでは(マグネットの長さ−空気間隔)/2である。そのため、本実施の形態のステッピングモータの方が2倍以上大きい。次に、周方向の長さに関しては、本実施の形態のステッピングモータでは(360−空気間隔)/2となり、従来のステッピングモータでは360°となる。そのため、逆に従来のステッピングモータの方が2倍以上大きい。
従って、マグネットの長さを等しくした場合、本実施の形態のステッピングモータと従来のステッピングモータとでは、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は略等しくなる。
この状態から、本実施の形態のステッピングモータと従来のステッピングモータにおいて、それぞれマグネットの長さを短くした場合を考える。この場合でも、空気間隔の長さは、マグネットの長さを短くする前と同じだけ必要である。従って、従来のステッピングモータでは、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は、マグネットの長さを短くした割合以上で少なくなり、トルクも落ちる。
これに対し、本実施の形態のステッピングモータでは、マグネットの長さを短くしても、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は、マグネットの長さを短くした割合で減少するだけである。これにより、本実施の形態のステッピングモータは、従来のステッピングモータに比べて高効率のモータとすることができる。
例えば元のマグネットの長さを10、必要な空気間隔を1とし、周方向の長さを10、必要な空気間隔を1とする。このときの第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は、本実施の形態のステッピングモータも従来のステッピングモータも(10−1)/2×10=45となる。ここから、マグネットの長さを20%短くすると、従来のステッピングモータでは、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は(8−1)/2×10=35となる。
これに対し、本実施の形態のステッピングモータでは、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は8×(10−1)/2=36となる。これにより、本実施の形態のステッピングモータの方が有利となる。
今度は、本実施の形態のステッピングモータと従来のステッピングモータにおいて、マグネットの長さを等しくし、ステッピングモータの径を例えば20%大きくした場合を考える。この場合は、従来のステッピングモータでは、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は20%増加する。
これに対し、本実施の形態のステッピングモータでは、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は20%以上増加する。これにより、本実施の形態のステッピングモータは、従来のステッピングモータに比べて高効率のモータとすることができる。これは、流れる磁束が同じ程度であれば同じ程度の空隙があれば十分なため、ステッピングモータを大径化することで、二つの磁気回路の空隙の占める角度を減少させることができるからである。
上記と同様に例を挙げると、従来のステッピングモータの径を20%大きくすると、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は(10−1) ×12/2=54となる。
これに対し、本実施の形態のステッピングモータでは、第1の磁気回路が励磁する磁極部とマグネットとの対向する面積は10×(12−1)/2=55となる。これにより、本実施の形態のステッピングモータの方が有利となる。
以上のように、本実施の形態のステッピングモータの方が短軸化及び高効率を実現する上で有利であるといえる。
次に、ステッピングモータのマグネットの着磁極数について説明する。本実施の形態では、第1の磁気回路と第2の磁気回路の間の磁気干渉を防止するために、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bに空隙(非着磁部)を周方向に設けている。第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bの空隙の部分に対向するロータヨーク15の磁極部152は、コイルに通電しても励磁されることはなく、トルクの発生に寄与しない。
従って、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bの空隙とロータヨーク15の磁極部152とが対向する角度位置(例えば図6の状態)と、それ以外の角度位置では、ロータヨーク15の励磁される磁極の本数が変わる。そのため、ステッピングモータにおけるトルクの発生にむらが出る恐れがある。この現象は特にロータヨークの磁極数が少ない場合に顕著である。
しかし、ロータヨークの励磁されない磁極本数はマグネットの空隙の数以上にはならないため、ロータヨークの磁極数が多い場合には励磁されない磁極の割合が減り、問題にならない。従って、本実施の形態のステッピングモータは、ロータヨークの磁極本数が多い場合、即ち、マグネットの着磁極数が多い場合において特に有効である。
次に、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bを半円筒形状に形成した場合の利点について説明する。円筒形状のマグネットの内周面を着磁する場合、マグネットの内周側に着磁ヨークと着磁コイルを設置する必要がある。しかし、着磁ヨークや着磁コイルの小型化には限界があるため、マグネットを小径化していくと、その内周側に着磁ヨークと着磁コイルを設置することができない。従って、ある一定以下の径のマグネットを内周着磁することは不可能である。
これに対し、本実施の形態では、磁石を2つのマグネットに分割する構造(2体化)としているため、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bの形状を半円筒形状にすることができる。これにより、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bの開放された側(内周側)に着磁ヨークと着磁コイルを設置することができる。即ち、円筒形状のマグネットでは着磁できない小径の第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bを実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ステッピングモータにおいて第1の磁気回路の一部と第2の磁気回路の一部を周方向に並べて配置することが可能となる。これにより、従来例のように第1及び第2の磁気回路を軸方向に並べて配置する構成に比べて、ステッピングモータの軸方向の寸法を短縮した短軸化を実現することができる。
[第2の実施の形態]
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置としてのステッピングモータの構成部品を示す分解斜視図である。図11は、組立完成状態におけるステッピングモータの中心軸に垂直な断面を示す断面図である。
図10及び図11において、ステッピングモータは、マグネット21、第1のステータヨーク22a、第2のステータヨーク22bを備えている。ステッピングモータは、更に、第1のコイル13a、第2のコイル13b、第1の軸受14a、第2の軸受14b、ロータヨーク25を備えている。
マグネット21は、円筒形状に構成されており、その内周部にそれぞれ約90°ずつ、2箇所の第1の着磁パターン21a1、21a2と、2箇所の第2の着磁パターン21b1、21b2が形成されている。マグネット21の2箇所の第1の着磁パターン21a1、21a2は、ロータヨーク25の中心軸を中心として向かい合うように配置される。マグネット21の2箇所の第2の着磁パターン21b1、21b2は、第1の着磁パターン21a1、21a2の間に位置し、ロータヨーク25の中心軸を中心として向かい合うように配置される。
ここで、第1の着磁パターン21a1、21a2は、円筒状の仮想マグネットの内周面をn分割(本実施の形態では16分割)すると共にS極とN極を交互に着磁したものの一部である。第2の着磁パターン21b1、21b2は、第1の着磁パターン21a1、21a2と同じピッチ且つ同じ強さで周方向に沿って着磁したものである。第2の着磁パターン21b1、21b2は、第1の着磁パターン21a1、21a2に対し着磁ピッチの1/4だけ(電気角で90°)位相差をつけたものである。
マグネット21の第1の着磁パターン21a1、21a2と第2の着磁パターン21b1、21b2との間には、磁気回路同士の干渉を避けるための非着磁部213が適宜設けられている。本実施の形態では、4箇所の非着磁部213が設けられている。
第1のステータヨーク22aは、マグネット21に2箇所の第1の着磁パターン21a1、21a2が設けられていることに対応し、ロータヨーク25を介して向かい合う2箇所の磁極部を備えている。第1のステータヨーク22aは、ロータヨーク25と共にマグネット21の第1の着磁パターン21a1、21a2の形成箇所を挟み込む位置に配置される。
第2のステータヨーク22bも、第1のステータヨーク22aと同じ形状に構成されている。即ち、第2のステータヨーク22bは、マグネット21に2箇所の第2の着磁パターン21b1、21b2が設けられていることに対応し、ロータヨーク25を介して向かい合う2箇所の磁極部を備えている。第2のステータヨーク22bは、ロータヨーク25と共にマグネット21の第2の着磁パターン21b1、21b2の形成箇所を挟み込む位置に配置される。
ロータヨーク25は、シャフト部251と磁極部252から構成されている。ロータヨーク25のシャフト部251は、第1の軸受14a及び第2の軸受14bに嵌合可能である。ロータヨーク25の磁極部252は、略直方体状の凸極がシャフト部251の中心軸から径方向に延出した形状であり、シャフト部251の外周方向に等間隔で軸方向に沿って設けられている。ロータヨーク25の磁極部152の本数は、本実施の形態では8本に設定されている。
第1のコイル13a、第2のコイル13b、第1の軸受14a、第2の軸受14bは、上記第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
本実施の形態のステッピングモータの固定子は、マグネット21、第1のステータヨーク22a、第1のコイル13a、第1の軸受14a、第2のステータヨーク22b、第2のコイル13b、第2の軸受14bを同心状に固定することで構成している。
また、本実施の形態のステッピングモータの回転子は、ロータヨーク25のシャフト部251を第1の軸受14a及び第2の軸受14bにより回転可能に支持することで構成している。
本実施の形態のステッピングモータでは、マグネット21における第1の着磁パターン形成箇所を含む部分、第1のコイル13a、第1のステータヨーク22a、第1の軸受14a、ロータヨーク25により、第1の磁気回路を構成している。また、マグネット21における第2の着磁パターン形成箇所を含む部分、第2のコイル13b、第2のステータヨーク22b、第2の軸受14b、ロータヨーク25により、第2の磁気回路を構成している。
次に、本実施の形態のステッピングモータの作用及び効果について説明する。
上記第1の実施の形態では、第1のマグネット11a及び第2のマグネット11bにそれぞれ着磁パターンを1箇所ずつ設けている。これに伴い、第1のコイル13aに通電したときにロータヨーク15に発生する力は、ロータヨーク15の1箇所のみに作用する。このため、力のバランスが悪く、摩擦の増大やロータヨーク15の振動につながる。特にこの問題は1相駆動(一方のコイルにのみ通電した状態での駆動)で大きい。
これに対し、本実施の形態では、マグネット21に2箇所の第1の着磁パターンと、2箇所の第2の着磁パターンを設けると共に、ロータヨーク25の中心軸を中心として均等に配置している。これに伴い、第1のコイル13aに通電したときに発生する力は、ロータヨーク25の中心軸を中心として複数作用することになり、ロータヨーク25に対して偶力として働く。これにより、ロータヨーク25の中心軸に余計な負荷をかけることなく、円滑な回転が可能となる。
尚、マグネット21に設ける第1の着磁パターン及び第2の着磁パターンはそれぞれ3箇所以上とすることも可能であるが、3箇所以上の場合は、回転トルク発生に寄与しない非着磁部213の個数が増加するという側面がある。従って、偶力を発生させながら非着磁部の個数を最小にするためには、マグネット21に設ける第1の着磁パターン及び第2の着磁パターンはそれぞれ2箇所ずつとすることが望ましい。
次に、マグネット21を一体で作った場合の効果について述べる。第1の磁気回路と第2の磁気回路の位相差が所定の角度から少しでもずれると、コギングトルクが増大するなど、ステッピングモータの性能を著しく低下させる。
本実施の形態では、マグネット21を一体化構造(単一の円筒形状)としているため、第1の磁気回路と第2の磁気回路の位相差をマグネット21の着磁パターンのみで決めることができる。これにより、組み立て誤差などに左右されることがなく、品質の良いステッピングモータを実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ステッピングモータにおいて第1の磁気回路の一部と第2の磁気回路の一部を周方向に並べて配置することが可能となる。これにより、従来例のように第1及び第2の磁気回路を軸方向に並べて配置する構成に比べて、ステッピングモータの軸方向の寸法を短縮した短軸化を実現することができる。
[第3の実施の形態]
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る駆動装置としてのステッピングモータの構成部品を示す分解斜視図である。図13は、組立完成状態におけるステッピングモータの軸方向の構造を示す断面図である。図14は、図13の矢視B−B線に沿うステッピングモータの構造を示す断面図である。
図12乃至図14において、ステッピングモータは、第1のマグネット31a、第2のマグネット31b、第1のステータヨーク32a、第2のステータヨーク32bを備えている。ステッピングモータは、更に、第1のコイル33a、第2のコイル33b、第1の軸受34a、第2の軸受34b、ロータヨーク35を備えている。
上記第1及び第2の実施の形態では、マグネットの内周部を着磁し、マグネットの内周側に配置したロータヨークを回転させる構成とした。
これに対し、本実施の形態では、第1のマグネット31a及び第2のマグネット31bの外周部を着磁し、第1のマグネット31a及び第2のマグネット31bの外周側に配置したロータヨーク35を回転させる構成としている。また、本実施の形態では、ステッピングモータを、軸方向に連通した空間部(開口部)を有する円筒状のステータヨーク35を備えた中空円筒形状に構成している。
第1のマグネット31aは、外周面をn分割(本実施の形態では16分割)すると共にS極とN極を交互に着磁した仮想マグネットを軸方向に沿って分割したものである。第1のマグネット31aは、ロータヨーク35の中心軸を中心とし、中心角が180°の扇形を底面とする柱に収まるように分割される。
第2のマグネット31bは、第1のマグネット31aと同じ形状に構成されている。第2のマグネット31bの着磁パターンは、第1のマグネット31aと同じピッチ且つ同じ強さで周方向に沿って着磁され、第1のマグネット31aに着磁ピッチの1/4だけ(電気角で90°)位相差をつけて配置される。
この場合、第1のマグネット31aと第2のマグネット31bの間には、図14に示すように、後述の第1の磁気回路と第2の磁気回路とが干渉しない程度の空隙を設けている。
第1のステータヨーク32aは、軟磁性材料から形成されており、半円筒状の磁極部32a1と円盤状の天板部32a2から構成されている。第1のステータヨーク32aの磁極部32a1の外径は、第1のマグネット31aの内径と略等しく、また、磁極部32a1の外径の弧の長さは、第1のマグネット31aの内径の弧の長さと略等しく設定されている。これにより、第1のステータヨーク32aを第1のマグネット31aの内周を覆うように配置することができる。
第2のステータヨーク32bは、第1のステータヨーク32aと同じ形状に構成されている。即ち、第2のステータヨーク32bは、軟磁性材料から形成されており、半円筒状の磁極部32b1と円盤状の天板部32b2から構成されている。第2のステータヨーク32bの磁極部32b1の外径は、第2のマグネット31bの内径と略等しく、また、磁極部32b1の外径の弧の長さは、第2のマグネット31bの内径の弧の長さと略等しく設定されている。これにより、第2のステータヨーク32bを第2のマグネット31bの内周を覆うように配置することができる。
第1のコイル33aは、ロータヨーク35の中心軸を中心として導線を多数回巻回することで構成されている。第2のコイル33bは、第1のコイル33aと同様の形状、巻数、抵抗値を有する。
第1の軸受34aは、円環形状に構成されており、外径部によりロータヨーク35を回転可能に支持する。第2の軸受34bは、第1の軸受と同じ形状に構成されている。即ち、第2の軸受34bは、円環形状に構成されており、外径部によりロータヨーク35を回転可能に支持する。
ロータヨーク35は、軟磁性材料から形成されており、円筒形状に構成されると共に、複数の磁極部351を備えている。即ち、ロータヨーク35の周壁部において軸方向に延出されたスリットを円周方向に周期的(所定間隔)に設けることで、磁極部351として機能させている。ロータヨーク35の磁極部351の本数は、上述した仮想マグネットの磁極数nの半分(本実施の形態では8本)に設定されている。
以上、第1のステータヨーク32aに、第1のコイル33a、第1のマグネット31a、第1の軸受34aを固定することで、第1のステータユニットを構成する。また、第2のステータヨーク32bに、第2のコイル33b、第2のマグネット31b、第2の軸受34bを固定することで、第2のステータユニットを構成する。
本実施の形態のステッピングモータの固定子は、上記の第1のステータユニット及び第2のステータユニット同士をカバーを用いるなど不図示の方法で同心状に固定することで構成している。
また、本実施の形態のステッピングモータの回転子は、ロータヨーク35を、第1の軸受34aと第2の軸受34bにより回転可能に支持することで構成している。このとき、ロータヨーク35の磁極部351は、第1のマグネット31a及び第2のマグネット31bの着磁面と対向する。
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、第1のコイル33aに通電することで発生した磁束が、第1のマグネット31a、第1のステータヨーク32a、第1の軸受34a、ロータヨーク35と一周する第1の磁気回路を構成する。また、第2のコイル33bに通電することで発生した磁束が、第2のマグネット31b、第2のステータヨーク32b、第2の軸受34b、ロータヨーク35と一周する第2の磁気回路を構成する。
第1の磁気回路により、ロータヨーク35が第1のマグネット31aの着磁パターンと対向する箇所を励磁する。第2の磁気回路により、ロータヨーク35が第2のマグネット31bの着磁パターンと対向する箇所を励磁する。従って、第1のコイル33aと第2のコイル33bに対する通電方向を順次切り替えることにより、ロータヨーク35の回転方向の安定位置をずらしていくことができる。これにより、ロータヨーク35を第1のマグネット31a及び第2のマグネット31bに対して回転させることができる。
次に、本実施の形態のステッピングモータの作用及び効果について説明する。
本実施の形態では、ステッピングモータを、軸方向に連通した空間部(開口部)を有する円筒状のステータヨーク35を備えた中空円筒形状に構成している。これにより、ステータヨーク35の空間部を、レンズの光路、流体の流路、電気の配線などに利用することができる。
また、本実施の形態では、外周面を着磁した第1のマグネット31a及び第2のマグネット31bを用いている。ここで、マグネットを着磁する際、マグネットの内周面を着磁する場合は、マグネットの内側に着磁ヨークと着磁コイルを設置しなければならい。そのため、着磁ヨークと着磁コイルを設置できない大きさまでマグネットを小径化することができない。これに対し、マグネットの外周面を着磁する場合は、マグネットの外側に着磁ヨークと着磁コイルを設置する。従って、マグネットを小径化した場合でも着磁ヨークと着磁コイルを設置することができる。
また、マグネットの外周面を着磁する場合は、マグネットの内周面を着磁する場合と比べ太い着磁コイルを用いることができ、マグネットの内周面を着磁する場合よりも強力な着磁を行うことができる。即ち、外周面を着磁したマグネットを利用する構成をとることで、ステッピングモータの小型化及び高効率化が可能となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ステッピングモータにおいて第1の磁気回路の一部と第2の磁気回路の一部を周方向に並べて配置することが可能となる。これにより、従来例のように第1及び第2の磁気回路を軸方向に並べて配置する構成に比べて、ステッピングモータの軸方向の寸法を短縮した短軸化を実現することができる。
[第4の実施の形態]
図15は、本発明の第4の実施の形態に係る駆動装置としてのステッピングモータの構成部品を示す分解斜視図である。図16は、組立完成状態におけるステッピングモータの軸方向の構造を示す断面図である。図17は、図16の矢視C−C線に沿うステッピングモータの構造を示す断面図である。
図15乃至図17において、ステッピングモータは、第1のマグネット41a、第2のマグネット41b、第1のステータヨーク42a、第2のステータヨーク42bを備えている。ステッピングモータは、更に、第1のコイル43a、第2のコイル43b、第1の軸受44a、第2の軸受44b、ロータヨーク45、ステータヨーク連結部材46を備えている。
上記第1乃至第3の実施の形態では、マグネット、コイル、ステータヨークを固定子として用い、ロータヨークを回転子として用いる構成とした。
これに対し、本実施の形態では、第1のマグネット41a、第2のマグネット41b、第1のステータヨーク42a、第2のステータヨーク42bを回転子として用い、ロータヨーク45、第1のコイル43a、第2のコイル43bを固定子として用いる構成としている。本構成は、上記第1乃至第3の実施の形態と同様の磁気回路により実現することが可能である。
尚、本実施の形態の部品名称の「ロータヨーク」、「ステータヨーク」は、それぞれマグネットに対して「回転する」、「固定する」という意味から名づけている。しかし、実用上の観点からすると、コイルを固定子側に配置させた方が給電を行いやすいため、コイル側を固定子と呼んでいる。本実施の形態においては、コイルはマグネット側だけでなくロータヨーク側に固定する構成も可能である。以下では、コイルと一体に構成されたロータヨークが固定子、コイルに対し回転可能に構成されたステータヨークが回転子として配置される。
第1のマグネット41aは、外周面をn分割(本実施の形態では16分割)すると共にS極とN極を交互に着磁した仮想マグネットを軸方向に沿って分割したものである。第1のマグネット41aは、ロータヨーク45の中心軸を中心とし、中心角が180°の扇形を底面とする柱に収まるように分割される。
第2のマグネット41bは、第1のマグネット41aと同じ形状に構成されている。第2のマグネット41bの着磁パターンは、第1のマグネット41aと同じピッチ且つ同じ強さで周方向に沿って着磁され、第1のマグネット41aに着磁ピッチの1/4だけ(電気角で90°)位相差をつけて配置される。
第1のステータヨーク42aは、軟磁性材料から形成されており、半円筒状の磁極部42a1とシャフト部42a2から構成されている。第1のステータヨーク42aの磁極部42a1の外径は、第1のマグネット41aの内径と略等しく、また、磁極部42a1の外径の弧の長さは、第1のマグネット41aの内径の弧の長さと略等しく設定されている。これにより、第1のステータヨーク42aを第1のマグネット41aの内周を覆うように配置することができる。
第2のステータヨーク42bは、第1のステータヨーク42aと同じ形状に構成されている。即ち、第2のステータヨーク42bは、軟磁性材料から形成されており、半円筒状の磁極部42b1とシャフト部42b2から構成されている。第2のステータヨーク42bの磁極部42b1の外径は、第2のマグネット41bの内径と略等しく、また、磁極部42b1の外径の弧の長さは、第2のマグネット41bの内径の弧の長さと略等しく設定されている。これにより、第2のステータヨーク42bを第2のマグネット41bの内周を覆うように配置することができる。
ステータヨーク連結部材46は、非磁性材料から形成されており、円柱形状に構成されると共に、2箇所の位置決め部461を備えている。ステータヨーク連結部材46の位置決め部461は、ステータヨーク連結部材46の外周部から径方向に延出されている。これにより、ステータヨーク連結部材46の位置決め部461は、第1のステータヨーク42aと第2のステータヨーク42bを同軸に所定の位相差で固定することができる。
ステータヨーク連結部材46の位置決め部461は、図17に示すように第1のステータヨーク42aと第2のステータヨーク42bの外側にまで延出されている。これにより、ステータヨーク連結部材46の位置決め部461は、第1のマグネット41aと第2のマグネット41bを同軸に所定の位相差で固定することができる。
第1のコイル43aは、ステータヨーク45の中心軸を中心として導線を多数回巻回することで構成されている。第2のコイル43bは、第1のコイル43aと同様の形状、巻数、抵抗値を有する。
第1の軸受44aは、軟磁性材料から形成されており、円盤形状に構成されている。第1の軸受44aの外径は、ロータヨーク45の内径と略同じ寸法に設定されている。また、第1の軸受44aは、中心に第1のステータヨーク42aのシャフト部42a2を回転可能に支持する穴部を有する。
第2の軸受44bは、第1の軸受44aと同じ形状に構成されている。即ち、第2の軸受44bは、軟磁性材料から形成されており、円盤形状に構成されている。第2の軸受44bの外径は、ロータヨーク45の内径と略同じ寸法に設定されている。また、第2の軸受44bは、中心に第2のステータヨーク42bのシャフト部42b2を回転可能に支持する穴部を有する。
ロータヨーク45は、軟磁性材料から形成されており、円筒形状に構成されると共に、複数の磁極部451を備えている。即ち、ロータヨーク45の周壁部において軸方向に延出されたスリットを円周方向に周期的(所定間隔)に設けることで、磁極部451として機能させている。ロータヨーク45の磁極部451の本数は、上述した仮想マグネットの磁極数nの半分(本実施の形態では8本)に設定されている。
本実施の形態のステッピングモータの固定子は、ロータヨーク45に、第1のコイル43a、第1の軸受44a、第2のコイル43b、第2の軸受44bを固定することで構成している。
また、本実施の形態のステッピングモータの回転子は、ステータヨーク連結部材46に、第1のステータヨーク42a、第2のステータヨーク42b、第1のマグネット41a、第2のマグネット41bを同軸に固定することで構成している。
ステッピングモータの回転子は、固定子に対して回転可能に支持され、ロータヨーク45の磁極部451は、第1のマグネット41a及び第2のマグネット41bの着磁面と対向する。
本実施の形態のステッピングモータでは、第1のコイル43aに通電することで発生する磁束は、第1のステータヨーク42aの磁極部42a1、シャフト部42a2、第1の軸受44a、ロータヨーク45と一周する第1の磁気回路を構成する。また、第2のコイル43bに通電することで発生する磁束は、第2のステータヨーク42bの磁極部42b1、シャフト部42b2、第2の軸受44b、ロータヨーク45と一周する第2の磁気回路を構成する。
第1の磁気回路により、ロータヨーク45における第1のマグネット41aの着磁パターンと対向する箇所を励磁し、第2の磁気回路により、ロータヨーク45における第2のマグネット41bの着磁パターンと対向する箇所を励磁することができる。
従って、第1のコイル43aと第2のコイル43bに対する通電方向を順次切り替えることにより、ロータヨーク45の回転方向の安定位置を(180/n)°ずつずらしていくことができる。これにより、第1のマグネット41a及び第2のマグネット41bで構成される回転子を、ロータヨーク45で構成される固定子に対して回転させることができる。その様子を、図17乃至図20に示す。
このように、本実施の形態では、第1及び第2のコイル43a、43bをロータヨーク45側に固定し、第1及び第2のマグネット41a、41bと第1及び第2のステータヨーク42a、42bを回転子とする構成としている。
次に、本実施の形態のステッピングモータの作用及び効果について説明する。
本実施の形態では、ステッピングモータを上記構成とすることで、外周面を着磁したマグネットを利用することができる。これにより、上記第3の実施の形態と同様に、内周面を着磁したマグネットに比べてマグネットの小径化が可能となると共に、より強力な着磁を行うことができるという利点がある。
また、上記第1の実施の形態では、ステッピングモータの力の発生箇所がマグネットの内周部とロータヨークの外周部の間となるように構成した。
これに対し、本実施の形態では、ステッピングモータの力の発生箇所が第1のマグネット41a及び第2のマグネット41bの外周部とロータヨーク45の間となるように構成している。このため、ステッピングモータの外径を等しくした場合、本実施の形態の構成の方が力の発生する箇所の、中心軸からの径が大きくなる。これにより、本実施の形態の構成の方がより大きなトルクを発生することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ステッピングモータにおいて第1の磁気回路の一部と第2の磁気回路の一部を周方向に並べて配置することが可能となる。これにより、従来例のように第1及び第2の磁気回路を軸方向に並べて配置する構成に比べて、ステッピングモータの軸方向の寸法を短縮した短軸化を実現することができる。
[他の実施の形態]
上記第1乃至第4の実施の形態では、ステッピングモータ単体について説明したが、ステッピングモータを撮像装置に搭載して駆動源として用いるなど、各種の応用が可能である。