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Description
本発明は、インジェクタ装置のための駆動回路に関する。特に、排他的ではないにしても、内燃機関のインジェクタ装置のための駆動回路に関しており、インジェクタ装置は、インジェクタ弁のニードル移動を制御する圧電アクチュエータを有するタイプのインジェクタを少なくとも1つ含む。
自動車エンジンは、一般的に、エンジンの個々のシリンダまたは吸気マニホルドの中へ燃料(例えばガソリンまたはディーゼル燃料)を噴射する燃料インジェクタを備えている。エンジン燃料インジェクタは、燃料供給システムによって供給される高圧燃料を含む燃料レールへ結合している。ディーゼルエンジンにおいて、通常、従来の燃料インジェクタは、燃料レールから計量されて、対応するエンジンシリンダまたは吸気マニホルドの中へ噴射される、流体燃料の量を制御するために開閉するように動く弁を使用する。
燃料の正確な計量を提供する燃料インジェクタの1つのタイプは、圧電燃料インジェクタである。圧電燃料インジェクタは、圧電要素のスタックから作られた圧電アクチュエータを使用する。圧電要素のスタックは、噴射弁を開閉してエンジンの中へ噴射する燃料を計量するために、機械的に連続して配置される。圧電燃料インジェクタの例は、米国特許第4,101,076号および第4,635,849号に開示されている。圧電燃料インジェクタを自動車エンジンで使用することは、公知である。
圧電燃料インジェクタを使用した燃料の計量は、一般的に、圧電要素に加えられる電位を制御し、それにより圧電要素の拡張量および収縮量を変化させることによって達成できる。圧電要素の拡張量および収縮量は、弁ピストンの移動距離を変化させ、したがって燃料インジェクタを通過する燃料の量を変化させる。圧電燃料インジェクタは、少量の燃料を正確に計量する能力を提供する。しかし、圧電燃料インジェクタは、一般的に、適切に機能するために比較的高い電圧(通常、数百ボルト)および大きい電流(数十アンペア)を必要とする。
圧電燃料インジェクタを制御する通常の駆動回路は、一般的に複雑であり、大きなエネルギーを必要とする。このエネルギーは、通常、専用電源、例えば変圧器によって提供される。この変圧器は、自動車のバッテリによって生成された電圧(例えば12ボルト)を高い電圧(例えば230ボルト)へ昇圧する。次に、昇圧された電圧は、各々の噴射に応じて1つまたは複数の燃料インジェクタを充電および放電するための大きな蓄積コンデンサへ加えられる。この専用電源は、エンジンのフル稼働負荷およびスピード範囲にわたって蓄積コンデンサの電圧を維持するのに十分なエネルギーを生成する。しかし、これだけの規模の専用電源を設ける欠点は、コストが増大することである。更なる欠点は、駆動回路を制御するために必要なコントローラが大規模でなければならないことである。
特開2003−111448号公報に対応するドイツ特許出願第DE10245135A1号(Nippon Soken,Inc.ら)には、複数の圧電燃料インジェクタを制御する駆動回路が記述されている。駆動回路は、自動車のバッテリによって生成された電圧を昇圧するDC/DC電圧コンバータ21を備える。昇圧された電圧は回路内のコンデンサへ加えられ、コンデンサは燃料インジェクタ圧電要素を充電するために使用される。駆動回路は、ある単一の電圧供給レールを備え、純粋に単一方向性を持ち(即ち、負の電圧を提供しない)、したがって負および正の電圧を両方必要とする双方向性燃料インジェクタを駆動するために使用することはできない。
自動車の製造業者は12ボルトの自動車バッテリを42ボルトの充電システムで置き換えようとしていることが提案されている。この変更は、機械および流体システムをエレクトロニクス(即ち、「配線による駆動」)で置き換える動きによって促進されており、燃料効率を改善し排気ガスを削減する方法を提供するであろう。現在の駆動回路に伴う他の問題は、より高い42ボルトの電源(または、より低い電源)が必要とされるときに、大きな蓄積コンデンサにかかる電圧の動的な制御が困難となることである。
したがって、本発明の目的は、インジェクタ装置について現在の駆動回路よりも少ない構成要素で済み、したがって現在の駆動回路よりも安価で制御し易い駆動回路を提供することである。本発明の他の目的は、供給電力の異なる電源と共に使用するのに適した駆動回路を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つのインジェクタを有するインジェクタ装置のための駆動回路が提供される。この駆動回路は、第1の電圧レベルにある第1の電圧レール(V0、Vsupply)と、第1の電圧レベルよりも高い第2の電圧レベルにある第2の電圧レール(V1)と、電圧供給手段(22、36)と、第1の電圧レール(V0、Vsupply)と第2の電圧レール(V1)とに接続されており、放電中に少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)と操作可能に接続され、インジェクタへ放電電流を流すことによって噴射を開始する第1の電荷蓄積手段(C2)と、充電中に少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)と操作可能に接続され、インジェクタへ充電電流を流すことによって噴射を終了する第2の電荷蓄積手段(C1)と、第1の電荷蓄積手段(C2)が少なくとも1つのインジェクタへ操作可能に接続されるか、第2の電荷蓄積手段(C1)が少なくとも1つのインジェクタへ操作可能に接続されるかを制御するスイッチ手段(Q1、Q2)と、充電段階の最後に動作可能であって、後続の放電段階の前にエネルギー蓄積デバイス(L1)を介して電圧供給手段から少なくとも第2の電荷蓄積手段へ電荷を転送する再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)とを備える。
好ましくは、第1の電荷蓄積手段は、第1の電圧レールおよびアース端子に接続されている。
本発明の第1の実施形態において、再生スイッチ手段は、好ましくは充電段階の終わりに、電圧供給手段から第1の電荷蓄積手段へ電荷を転送し、次に、エネルギー蓄積デバイスを介して第1の電荷蓄積手段から第2の電荷蓄積手段へ電荷を転送するように動作することができる。最も好ましくは、再生スイッチ手段は、電圧供給手段から第1および第2の電圧レールへ電荷を転送し、第1および第2の電荷蓄積手段にかかる電圧が増加するように使用される。この実施形態において、電圧供給手段は、有利なことに自動車バッテリと、自動車バッテリによって生み出された電圧を、第1の電荷蓄積手段へ加えるのに適したより高い電圧に昇圧する変圧器とを備える。本発明のこの実施形態の利点は、電圧供給手段が第1の電荷蓄積手段上の電荷を増やすためのみに使用されることであり、したがって公知の駆動回路よりも小さくて安価な電圧供給手段を使用できることである。本発明のこの実施形態の更なる利点は、もし電圧供給手段が42ボルトの充電システムを提供し、インジェクタが同じような電圧で動作可能であれば、変圧器は必要とされず、それによって電圧供給手段の規模およびコストが更に低減されることである。
本発明の第2の実施形態において、再生スイッチ手段は、後続の放電段階の前に、好ましくは充電段階の終わりに、電圧供給手段から第1の電荷蓄積手段へ電荷を転送し、更に、第2の電荷蓄積手段へ電荷を転送するように動作することができる。最も好ましくは、再生スイッチ手段は、電圧供給手段から第2の電圧レールへ電荷を転送し、第2の電荷蓄積手段にかかる電圧が大きくなるように使用される(第1の電圧レールは、電圧供給手段によって供給される)。好ましくは、電圧供給手段は自動車バッテリを備え、有利なことに、自動車バッテリによって生成された電圧を昇圧する変圧器は必要ではない。この実施形態の利点は、専用電源(例えば変圧器)を設ける必要がないことであり、これは従来技術であり公知である駆動回路よりも安価で制御し易い駆動回路を実現する。
もし約−12ボルトで動作可能なインジェクタが駆動回路において使用される場合、第1の電荷蓄積手段と第2の電荷蓄積手段の電気容量の割合は、好ましくは、インジェクタに必要な負の動作電圧が得られるように選択できる。
本発明の双方の実施形態において、駆動回路は更にスイッチ手段を備えている。このスイッチ手段は、充電を有効にするため閉止するように動作可能な第1のスイッチ(例えば「充電」スイッチ)と、放電を有効にするため閉止するように動作可能な第2のスイッチ(例えば「放電」スイッチ)とを含む。したがって、第1の実施形態において、再生スイッチ手段は、好ましくは、第2のスイッチの動作に応答して、電荷が電圧供給手段によって第1の電荷蓄積手段へ供給され、電圧供給手段から第2の電荷蓄積手段へ電荷を転送するように構成される。第2の実施形態において、再生スイッチ手段は、好ましくは、第2のスイッチの動作に応答して、電圧供給手段から第1および第2の電荷蓄積手段へ電荷を転送するように構成される。
再生スイッチ手段は、全ての噴射において動作可能である必要はなく、幾つかの噴射においてのみ選択的に動作可能であればよい。
好ましくは、第1および第2の電荷蓄積手段はコンデンサを備え、エネルギー蓄積デバイスはインダクタである。
好ましくは、駆動回路は第1および第2のインジェクタを含む。これらのインジェクタは、並べて配置され、第1または第2のインジェクタの独立した選択を制御し、放電中に選択されたインジェクタへ放電電流を供給して噴射を開始するための、スイッチ手段と、再生スイッチ手段と、更なるスイッチ手段とへ操作可能に接続される。
駆動回路は、好ましくは、中央回路分岐を有する半Hブリッジ回路(half H−bridge circuit)として構成され、第1および第2のインジェクタは中央回路分岐の中で並べて配置される。
駆動回路は、更に、選択されたインジェクタ(更に、もし望まれるならば、選択されないインジェクタも)にかかる電圧を検知する電圧検知手段と、検知された電圧を示す信号を受け取って、いったん所定の充電閾値電圧が検知されると、更なるスイッチ手段へ終了制御信号を提供して、選択されたインジェクタの充電を終了する制御手段とを含むことができる。制御手段は、更に、開始信号をスイッチ手段へ提供して、選択されたインジェクタの充電を開始するように構成することができる。制御手段は、更に、開始制御信号をスイッチ手段へ提供して、選択されたインジェクタの放電モードを開始し、いったん所定の放電閾値電圧が検知されると、終了制御信号をスイッチ手段へ提供して放電段階を終了するように構成することができる。
駆動回路は、更に、第1および第2のコンデンサ上の電圧を検知する検知手段を含むことができる。制御手段は、更に、開始信号を提供して回路の再生を開始し、終了信号を提供して再生を終了するように構成することができる。
制御手段は、更に、パルス幅変調信号を提供して、再生中に放電スイッチを交互に有効および無効にする(即ち、放電スイッチをオンおよびオフへ脈動する)ように構成できる。
放電スイッチを「動作可能」にするとは、再生電流が所定の電流レベル以下に降下することによる、パルス幅変調信号を介するマイクロプロセッサの直接制御、または任意の他の適切な方法によって、放電スイッチを有効に(即ち、閉止)する状態にすることを意味する。同様に、放電スイッチを「動作不能」にするとは、放電スイッチが、最初に有効化されなければ動作可能にならない状態にすることを意味する。
本発明の駆動回路は、少なくとも2つのインジェクタより成るバンク(bank)を制御するのに適している。各々のインジェクタは、関連した燃焼空間またはエンジンシリンダへ燃料を噴射するように構成される。バンクは任意の数のインジェクタを含むことができ、エンジンはエンジンシリンダの数に依存して複数のインジェクタ・バンクを有することができる。しかし、駆動回路は、ただ1つのインジェクタを制御するように一様に応用可能である。本発明の駆動回路は第1および第2の電圧レールを有するので、駆動回路は双方向形式で動作し、したがって動作に正および負の両方の電圧を必要とする双極性(bi−polar)燃料インジェクタを駆動するのに適している。
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つのインジェクタを有するインジェクタ装置を制御する方法が提供される。この方法は、放電中に少なくとも1つのインジェクタへ第1の電荷蓄積手段を操作可能に接続し、放電電流がインジェクタを流れるようにすることによって噴射を開始するステップと、充電中に少なくとも1つのインジェクタへ第2の電荷蓄積手段を操作可能に接続し、充電電流がインジェクタを流れるようにすることによって噴射を終了するステップと、後続の放電段階の前に、電荷が電圧供給手段からエネルギー蓄積デバイスへ転送され、エネルギー蓄積デバイスから少なくとも第2の電荷蓄積手段へ転送される再生段階を開始するために、充電段階の終わりに再生スイッチ手段を有効化するステップと、再生スイッチ手段を無効化して再生段階を終了するステップとを含む。
本発明の1つの実施形態において、有効化ステップの間、電荷は電圧供給手段からエネルギー蓄積デバイスへ転送され、続いてエネルギー蓄積デバイスから第1および第2の電荷蓄積手段へ転送される。本発明のこの態様の他の実施形態において、有効化ステップの間、電荷は電圧供給手段から第1の電荷蓄積手段へ転送され、続いて第1の電荷蓄積手段からエネルギー蓄積デバイスへ転送されて、第2の電荷蓄積手段へ転送される。
好ましくは、エネルギー蓄積デバイスとの間で電荷を転送するステップは、最も好ましくは、パルス幅変調(PWM)信号の制御のもとで、周期的に実行される。
燃料インジェクタの効率性は、どれくらいのエネルギーが第1および第2の電荷蓄積手段から除去されるかを決定し、また更に、第1および第2の電荷蓄積手段に蓄積される電荷を再生するためのある時間周期にわたるエネルギー蓄積デバイス内のピーク電流を決定する。言い換えれば、インジェクタの効率がよくなれば、エネルギー蓄積デバイス内の電流は小さくなり、必要な再生時間は短くなる。したがって、再生時間を制御できることは、本発明の好ましい特徴である。
好ましくは、本方法は、PWM信号の特性(例えば、デューティサイクル(duty−cycle)および変調周波数)を変更する更なるステップを含む。必要とされるデューティサイクルは、電圧供給手段の電圧に依存する場合がある。例えば、もし電圧供給手段の電圧が低ければ、必要なPWM有効時間は長くなり、逆に、もし電圧供給手段の電圧が高ければ、必要なPWM有効時間は短くなる。PWM信号のデューティサイクルおよび変調周波数、または、PWM信号のデューティサイクルまたは変調周波数は、例えば再生スイッチ手段を直接作動させるため、マイクロプロセッサによって任意に変更可能である。好ましくは、PWM信号の特性は、標準の放電を開始し、しかしインジェクタではなく再生スイッチ手段を選択することにより、エネルギー蓄積デバイス内の電流を駆動回路が検出できることによって制御できる。
本方法は、第1または第2の電荷蓄積手段がインジェクタへ操作可能に接続されることを制御する更なるステップを含むことができる。
本方法は、更に、再生開始信号を提供して再生スイッチ手段を有効化し、これにより再生段階を開始し、再生終了信号を提供して再生スイッチ手段を無効化し、これにより再生段階を終了するステップを含むことができる。
好ましくは、再生開始信号は、各々の噴射の後に提供することができる。また代替として、再生開始信号は、所定の数の噴射の後に提供することができる。即ち、再生段階は噴射の合間に実行することができる。有利なことに、再生段階は、第1および第2の電荷蓄積手段に一定の電荷を維持するのに必要な周期で実行できる。
本発明は、インジェクタが圧電アクチュエータを有するインジェクタシステムへ特に応用可能であるが、インジェクタが容量性といった特性を有する任意のシステム、例えばモータ駆動インジェクタへ同じように応用できることが分かる。
これから添付の図面を参照し、例を挙げて、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1を参照すると、例えば自動車のエンジン等のエンジン10は、一般的に、燃料を計量し、その燃料をエンジン10の個々のシリンダまたは吸気マニホルドへ噴射する第1および第2の圧電燃料インジェクタ12aおよび12bを有することが示されている。圧電燃料インジェクタ12aおよび12bは、エンジン10の各々の燃料噴射ストロークの間、燃料供給システムの燃料レールからエンジンの中へ噴射される流体(例えば液体)燃料の量を制御する。圧電燃料インジェクタ12aおよび12bは、ディーゼル燃料をエンジンの中へ噴射するためにディーゼルエンジンの中で使用でき、または、燃焼可能なガソリンをエンジンの中へ噴射するために火花点火式の内燃機関の中で使用できる。2つの圧電燃料インジェクタ12aおよび12bについて図1の実施形態で図示および説明するが、理解すべきは、エンジン10が、共通の駆動回路によって制御可能な複数の圧電燃料インジェクタを含むことができるということである。
エンジン10は、一般的に、エンジン制御モジュール(ECM)14によって制御される。ECM14は、一般的に、マイクロプロセッサおよびメモリ16を含む。マイクロプロセッサおよびメモリ16は、エンジン10の動作を制御する様々な制御ルーチンを実行する。制御の中には、燃料噴射の制御が含まれる。ECM14は、エンジンのスピードおよび負荷をモニタし、燃料をエンジンシリンダの中へ噴射するために燃料の量および噴射タイミングを制御することができる。更に、マイクロプロセッサおよびメモリ16の中には、パルス幅変調(PWM)信号26を生成するパルス幅変調信号生成器24が含まれる。その目的は、後で詳細に説明する。
本発明によれば、圧電半Hブリッジ駆動回路20aおよび20bが、エンジン制御モジュール14の中に組み込まれるように示されている。駆動回路20aおよび20bは、インジェクタ高圧側(high side)の電圧INJ1HIおよびINJ2HI、およびインジェクタ低圧側(low side)の電圧INJ1LOおよびINJ2LOをモニタおよび制御して圧電燃料インジェクタ12aおよび12bの動作を制御し、インジェクタを開閉するように構成されている。圧電駆動回路20aおよび20bは、図示されているようにエンジン制御モジュール14の中に組み込まれるか、そこから分離して設けることができる。マイクロプロセッサおよびメモリ16は、様々な制御信号18および26を駆動回路20aおよび20bへ提供する。
本明細書で図示および説明する圧電駆動回路20aおよび20bは、インジェクタ弁を開いて燃料を噴射するためインジェクタ12aおよび12bを放電する放電段階で動作し、また更に、インジェクタ弁を閉止して燃料噴射を停止するためインジェクタ12aおよび12bを充電する充電段階で動作する。この場合、インジェクタは負電荷変位(negative−charge displacement)タイプである。しかし、駆動回路20aおよび20bとインジェクタ12aおよび12bは、充電段階で開放し、放電段階で閉止するように構成可能である。この場合、インジェクタは正電荷変位(positive−charge displacement)タイプである。
本発明の第1の実施形態に従った圧電駆動回路20aは、図2aのブロック回路図で詳細に示されている。駆動回路20aは、第1および第2の電圧供給レールV0およびV1を含み、一般的に、双方向電流パスとして働く中央回路電流パス32を有する半Hブリッジとして構成される。中央回路分岐32は、インダクタL1と、電流検知および制御手段34とを含む。これらインダクタL1と、電流検知および制御手段34とは、インジェクタ12aおよび12bと、関連した切替回路との並列接続に直列に結合されている。各々のインジェクタ12aおよび12bは、コンデンサの電気特性を有し、その圧電アクチュエータ・スタックは、インジェクタ12aおよび12bの充電(+)端子と放電(−)端子との電位差である電圧を保持するように充電可能である。各々のインジェクタ12aおよび12bの充電および放電は、マイクロプロセッサ16により双方向電流パス32を通る電流を制御することによって達成できる。
駆動回路20aは、更に、インジェクタ12aおよび12b、または、インジェクタ12aまたは12bの充電および放電動作を制御する第1および第2のスイッチQ1およびQ2を含む。スイッチQ1およびQ2の各々は、nチャネルの絶縁ゲート双極性トランジスタ(insulated gate bi−polar transistor)(IGBT)を含む。IGBTは、コレクタからエミッタへの電流を制御するゲートを有する。スイッチQ1およびQ2の各々は、オンにされたとき、コレクタからエミッタへの単方向電流を可能にし、オフにされたとき、電流を止める。各々のスイッチQ1およびQ2は、この後で詳細に説明するように、回路動作のエネルギー回復または再循環段階の間、および再生段階の間に、再循環電流が、エネルギー蓄積コンデンサC1およびC2の形態をとる第2および第1の電荷蓄積手段へ戻されることを可能にするために、スイッチQ1およびQ2に接続された再循環ダイオードD1およびD2を有する。第2のエネルギー蓄積コンデンサC1は、第1および第2の電圧供給レールV0およびV1 に接続され、第1のエネルギー蓄積コンデンサC2は第1の電圧供給レールV0とアース端子とに接続されている。
駆動回路20aは、更に、自動車のバッテリ等の電源22を含む。しかし、インジェクタ装置の既知の駆動回路とは異なり、本発明の第1の実施形態の駆動回路20aは、第1および第2のエネルギー蓄積コンデンサC1およびC2へエネルギーを供給する専用電源、例えば図2aの点線85によって示されるものを含まない。
インジェクタ12aおよび12bの各々は、関連したセレクタ・スイッチQ3およびQ4と直列に接続されている。各々のセレクタ・スイッチQ3およびQ4は、通常IGBTの形式を取る。このIGBTは、バイアス電源入力で電力供給されるゲート・ドライブへ結合されたゲートを有する。例えば、第1のインジェクタ12aに関連したセレクタ・スイッチQ3が有効化されると(即ち、オンに切り換えられると)、電流(IDISCHARGE)が、選択されたインジェクタを放電方向へ流れる。ダイオードD3はセレクタ・スイッチQ3と並列に接続され、回路動作の充電段階の間、電流(ICHARGE)が充電方向へ流れることを可能にする。同様に、ダイオードD4は第2のインジェクタ12bのためにセレクタ・スイッチQ4と並列に接続されている。
再生スイッチQ5は、回路20の中で、バッテリを第1および第2のコンデンサC1およびC2へ接続する(または切り離す)ため、インダクタL1と自動車バッテリ22との間に置かれる。再生スイッチQ5は、通常IGBTの形式を取る。このIGBTは、バイアス電源入力により電力を供給されるゲートドライブへ結合されたゲートを有する。ダイオードD5は、電流が充電中に流れないように、再生スイッチQ5と直列に接続されている。
電流検知および制御手段34は、パス32の電流を検知し、検知された電流を所定の電流閾値IPおよびIRと比較し、出力信号を生成するように構成されている。ここでIPはピーク電流閾値であり、IRは再循環電流閾値である。IPおよびIRの所定値は、充電電圧閾値(VCHARGE)および放電電圧閾値(VDISCHARGE)と一緒に、マイクロプロセッサおよびメモリ16の中に記憶されている。再生段階の終了時点を決定するための、コンデンサC1およびC2にかかる所定の電圧レベルVgc1およびVgc2もマイクロプロセッサおよびメモリ16の中に記憶することができる。もし必要であれば、電流閾値IPおよびIR、電圧閾値VCHARGEおよびVDISCHARGE、および電圧レベルVgc1およびVgc2は調整可能であってもよい。
噴射のために選択されるインジェクタ12aおよび12bにかかる電圧VSENSEを検知するため、電圧検知手段(図示されず)も設けられている。電圧検知手段は、更に、第1のおよび第2のコンデンサC1およびC2にかかる電圧VC1およびVC2、および自動車バッテリ22の電圧を検知するためにも使用することができる。マイクロプロセッサおよびメモリ16は、更に、充電、放電信号C/D(これらはスイッチを有効化および無効化するために使用できる)と、放電中にインジェクタの1つを選択するインジェクタ・セレクタと、再生スイッチQ5とを活性化する制御信号を提供する。
駆動回路20aは、更に、電流検知および制御手段34の出力と、インジェクタ12aおよび12bの正の端子(+)からの検知電圧VSENSEと、マイクロプロセッサおよびメモリ16からの様々な出力信号とを受け取る制御回路30を含む。制御回路30は、様々な入力を処理して、充電、放電スイッチQ1およびQ2、セレクタ・スイッチQ3およびQ4、および再生スイッチQ5の各々のために制御信号を生成するように、マイクロプロセッサおよびメモリ16によって実行できるソフトウェアを含むことができる。
駆動回路20aが動作している間、駆動パルス(または電圧波形)が燃料インジェクタ12aおよび12bの圧電アクチュエータへ加えられる。駆動パルスは、充電電圧VCHARGEと放電電圧VDISCHARGEとの間で変化する。インジェクタ12aが非噴射状態にあるとき、噴射の前に、駆動パルスはVCHARGEにあり、したがって比較的高い電圧が圧電アクチュエータへかかる。通常、VCHARGEは約200〜300ボルトである。噴射の開始が必要であるとき、駆動パルスは、通常約−100ボルトのVDISCHARGEへ低減される。噴射を終了するためには、駆動パルスの電圧が、その充電電圧レベルVCHARGEへ再び増加する。
駆動回路20aは、一般的に、3つの段階で動作する。即ち、(1)燃料インジェクタ12aおよび12bの選択された一方を開放する放電段階と、(2)燃料インジェクタ12aおよび12bを閉止する充電段階と、(3)回路20a内のエネルギー蓄積デバイスC1およびC2へ再びエネルギーを与えて専用電源を不要にする再生段階とである。これらの段階の各々を今から詳細に説明する。
放電段階の間、放電スイッチQ2が有効化され(即ち、閉止され)、セレクタ・スイッチQ3およびQ4の一方が有効化されて、噴射のためにインジェクタ12aおよび12bの一方が選択される。したがって、例えば、もし第1のインジェクタ12aで噴射する必要があれば、セレクタ・スイッチQ3が閉止される。第2のインジェクタ12bの他のセレクタ・スイッチQ4は、無効化されたままである。なぜなら、第2のインジェクタ12bで噴射する必要はないからである。
第1のインジェクタ12aを使用した噴射が求められていると仮定すれば、放電スイッチQ2が有効化されると、電流は、コンデンサC2の正の端子からセレクタ・スイッチQ3を通って、選択されたインジェクタ12aの対応する負の側へ流れる。放電電流IDISCHARGEは、インジェクタ12aのインジェクタ負荷により、電流検知および制御手段34と、インダクタL1と、閉止された放電スイッチQ2とを通って、コンデンサC2の負の端子へ戻る。セレクタ・スイッチQ4は開放されたままであり、ダイオードD4が存在するので、実質的に電流は、第2のインジェクタ12bを通ってインジェクタ12bの負の側へ流れることはない。
電流検知および制御手段34は、双方向電流パス32を通って電流が増加するとき、その電流をモニタし、ピーク電流閾値IPに達すると、直ちに出力信号が生成され、放電スイッチQ2の無効化(即ち、開放)が開始される。この時点で、インダクタL1において増加された電流は、充電スイッチQ1に関連したダイオードD1を通って再循環する。その結果、インダクタL1およびインジェクタ12aおよび12bの選択された1つを通る電流の方向は変化しない。これは、駆動回路20aの動作である放電段階の「再循環段階」として知られている。
再循環段階の間、電流は、コンデンサC1の負の側から、選択されたスイッチQ3と、選択されたインジェクタ12aと、電流検知および制御手段34と、インダクタL1と、最終的にダイオードD1とを通って、コンデンサC1の正の側へ直接流れる。この再循環段階の間、インダクタL1と、圧電インジェクタ12aまたは12bの選択された1つとからのエネルギーは、コンデンサC1へ転送され、エネルギーとして蓄積される。
電流検知および制御手段34は再循環電流をモニタし、再循環電流が再循環電流閾値IR以下に降下したとき、放電スイッチQ2を再有効化する信号が生成され、それによって放電動作が継続する。選択されたインジェクタ12aまたは12bにかかる電圧Vinj1またはVinj2も電圧検知手段(図示されず)によってモニタされ、電流増加および再循環のサイクルは、適切な放電電圧レベル(閾値VDISCHARGE)が達成できるまで継続する。
この放電サイクルにおいて、コンデンサC2はエネルギーを提供し、コンデンサC1はエネルギーを受け取って蓄積する。いったん、適切な放電電圧閾値VDISCHARGEが達成できると、半Hブリッジ駆動回路20aは、充電サイクルが開始されるまで無効化される。
第1のインジェクタ12aを充電(即ち、閉止)するためには、充電スイッチQ1が有効化され、これにより充電電流ICHARGEは、電流パス32を通って第1のインジェクタ12aへ流れる。
これは、駆動回路20aの動作である充電段階として知られている。充電段階の間、充電電流ICHARGEの大部分は、前に放電されたインジェクタ(即ち、第1のインジェクタ12a)を通って流れる。前に放電されなかった第2のインジェクタ12bは、もしそれにかかる対応する電圧Vinj2が充電電圧閾値VCHARGE以下に降下していれば電流を受け取る。
電流検知および制御手段34は電流の増加をモニタし、ピーク電流閾値IPに達すると、直ちに制御回路30は充電スイッチQ1を開放する制御信号を生成する。この時点で、インダクタL1の中で増加された電流は、(開放されている)放電スイッチQ2に関連したダイオードD2を通って再循環する。これは、駆動回路26の動作である充電段階のうちの再循環段階である。このように、インダクタL1と、インジェクタ12aと、インジェクタ12bとを通る電流の方向は変化しない。
再循環段階の間、電流は、第2のコンデンサC2の負の側から、放電スイッチQ2に関連したダイオードD2と、インダクタL1と、電流検知および制御手段34と、インジェクタ12aおよび12bと、ダイオードD3およびD4とを通って、エネルギー蓄積コンデンサC2の正の側へ流れる。この再循環段階の間、インダクタL1と、圧電インジェクタ12aおよび12bとからのエネルギーは、エネルギー蓄積コンデンサC2へ転送される。電流検知および制御手段34は、再循環電流をモニタし、再循環電流が再循環電流閾値IR以下に降下したとき、充電プロセスを継続するため充電スイッチQ1を再有効化する信号が生成される。選択されたインジェクタ12aにかかる電圧がモニタされ、電流の増加および再循環のサイクルは、適切な充電電圧レベル(閾値VCHARGE)が達成できるまで継続する。この充電段階において、エネルギー蓄積コンデンサC1はエネルギーを提供し、エネルギー蓄積コンデンサC2はエネルギーを受け取って蓄積する。いったん適切な充電電圧閾値VCHARGEが達成できると、半Hブリッジ駆動回路20aは、放電サイクルが開始されるまで無効化される。
充電段階に続いて、噴射の終わりに、再生段階が続く。再生段階の間、再生スイッチQ5(これは、充電および放電段階の間、無効化されたままである)が有効化され、放電スイッチQ2は、第1および第2のコンデンサC1およびC2が所定のレベル(即ち、それぞれ図3aおよび図3bのVgc1およびVgc2)に達するまで、パルス幅変調信号26の制御のもとで開放および閉止される。
図2bを参照して、再生スイッチQ5が有効化されると、放電スイッチQ2がオンに切り換えられている間、電流が、自動車バッテリ22から引き出され、点線の矢印87によって示されているように、インダクタL1および放電スイッチQ2を通る。放電スイッチQ2がオフに切り換えられるとき、電流は、自動車バッテリ22から、インダクタL1と、充電スイッチQ1に関連したダイオードD1とを通って流れ、コンデンサC1およびC2を(正から負へ)通るので、コンデンサC1およびC2にかかる電圧VC1およびVC2は増加し、そこに蓄積されたエネルギーは増加する。したがって、再生段階の間、インダクタL1は、バッテリ電圧を上昇させて第1および第2の電圧供給レール上の電圧V0およびV1を増加させるので、コンデンサC1およびC2にかかる電圧も増加する(即ち、インダクタL1は電源手段として働く)。再生段階の間の電流パスは、図2bの実線の矢印89によって示されている。
図3aおよび図3bを参照すると、放電、充電、再生段階の間にコンデンサC1およびC2に蓄積されるエネルギーEC1およびEC2が示されている。
コンデンサC1に蓄積されたエネルギーEC1(図3aの線40Aによって示されている)は、放電中にスパイク(spike)46Aを有する波形42Aのように増加し、充電中にスパイク48Aを有する波形44Aのように減少するように示されている。波形50Aは、コンデンサC1に蓄えられているエネルギーを示す。このエネルギーは、放電スイッチQ2がオンおよびオフへ脈動する間に再生段階で増加する。スパイク52Aも示されている。これは、放電スイッチQ2が有効化(閉止)状態と無効化(開放)状態との間で切り替えられる度に、エネルギーが第1のコンデンサC1へ転送されることを示している。
コンデンサC2に蓄積されたエネルギーEC2(図3bの線40Bによって示されている)は、放電中にスパイク46Bを有する波形42Bのように減少し、充電中にスパイク48Bを有する波形44Bのように増加するように示されている。波形50BはコンデンサC2に蓄積されたエネルギーを示す。このエネルギーは、放電スイッチQ2がオンおよびオフへ脈動する間に再生段階で増加する。スパイク52Bも示されている。これは、放電スイッチQ2が有効化(閉止)状態と無効化(開放)状態との間で切り替えられる度に、エネルギーが第2のコンデンサC2へ転送されることを示している。
図3cは、充電、放電、再生段階の間の、インダクタL1を通る電流IL1と、放電スイッチQ2のオンおよびオフへの切り替えと、再生スイッチQ5のオンおよびオフへの切り替えとを示している。
誘導電流IL1(線50によって示されている)は、波形52のスパイク56によって示されているように、電流増加の間に約−20Aに降下し、放電段階の再循環段階の間に約−5Aに戻る。充電段階において、誘導電流IL1は、波形54のスパイク58で示されているように、電流増加の間に約0アンペアから約20アンペアに増加し、再循環段階の間に約5アンペアに戻る。電流IL1のスパイク56および58は、図3dで示されているように、電圧VC2またはVC1がインジェクタ電圧Vinj1を放電または充電するように加えられている間に起こる。波形70は、再生段階で放電スイッチQ2が脈動する間(即ち、点線78で示されているように、再生スイッチQ5が有効化されているとき)、約0アンペアから約−15Aに周期的に減少する誘導電流IL1を示している。波形72は、スイッチを有効化および無効化するため放電スイッチQ2へ加えられている制御信号を表す。したがって、例えば、波形74は、放電段階における再循環段階の放電スイッチQ2の脈動を示し、波形76は、回路動作の再生段階における放電スイッチQ2のパルス幅で変調された脈動を表している。
図3dは、充電、放電、再生段階の間のインジェクタ12aにかかる充電、放電電圧Vinj1を示している。図3dの線60で示されているインジェクタ電圧Vinj1は、放電中に波形62のように減少し、充電中に波形64のように増加する、第1のインジェクタ12aの電圧Vinj1を示している。線66は、回路動作の再生段階の間、ほぼ一定のままである第1のインジェクタ12aの電圧Vinj1を示している。
要約すると、選択されたインジェクタ(例えば第1のインジェクタ12a)を使用して噴射する必要があるとき、第1のインジェクタの放電スイッチQ2およびセレクタ・スイッチQ3の双方が閉止される。後続の放電および再生段階の間、選択されたインジェクタ12aにかかる電圧が、適切な電圧放電レベル(即ち、図3dで示されているVDISCHARGE)へ減少して噴射を開始するまで、放電スイッチQ2は自動的に開閉する。噴射が必要な所定の時間が経過すると、充電電流が第1および第2のインジェクタ12aおよび12bを通って流れるように動作する充電スイッチQ1の閉止によって、インジェクタ12aは閉止される。後続の充電および再循環段階の間、適切な充電電圧レベル(即ち、図3dで示されているVCHARGE)が達成できるまで、充電スイッチQ1は継続して開閉する。再生段階の間、再生スイッチQ5が有効化され、放電スイッチQ2は、第1および第2のコンデンサC1およびC2が所定のレベル(即ち、図3aおよび図3bのVgc1およびVgc2)に達するまで、パルス幅変調信号26の制御のもとで周期的に開閉する。
充電、放電、再生段階における回路20aの動作について、充電および放電スイッチQ1およびQ2の有効化を参照しながら説明したが、実際には、インジェクタ12aおよび12bの充電、放電、再生は、多数の方法で制御可能である。第1に、これらの段階における回路20aの動作は、充電スイッチQ1または放電スイッチQ2を動作可能にし、ピーク電流閾値IPおよび再循環電流閾値IRを使用して充電スイッチまたは放電スイッチの有効化および無効化を制御することによって実行可能である(モード1)。または、充電Q1または放電Q2スイッチの有効化および無効化の双方は、充電、放電信号C/Dを脈動することによって、マイクロプロセッサ16の直接制御のもとで実行可能である(モード2)。代替として、充電スイッチまたは放電スイッチを動作可能にすることは、マイクロプロセッサ16の直接制御のもとで実行でき、充電スイッチまたは放電スイッチの無効化は、双方向パス32を流れる電流が、減少した再循環電流閾値IR以下に降下するときに行われる(モード3)。
前述したモードは図3eに示されている。そこでは、プロット(a)は、最初に、放電中に第1のインジェクタ12aを流れる電流IINJ1を示している(もっとも、プロットは、動作の充電段階にも一様に適用できる)。双方向パス32を流れる電流は、ピーク電流閾値IPと再循環電流閾値IRとの間で振動することが分かる。プロット(b)は、低(動作不能)から高(動作可能)へ変化して、放電中に放電スイッチQ2を動作可能にするC/D信号を示している。プロット(c)は、電流がIPに達するときオンに切り換えられ、電流がIR以下に降下するときオフに切り換えられる、放電スイッチQ2を示している。モード2は、プロット(d)および(e)で示されている。その場合、C/D信号(プロット(d)で示されている)は、放電スイッチQ2を動作可能および動作不能にするように脈動する(プロット(e)で示されている)。
本発明の第2の実施形態に従った駆動回路20bは、図4に示されている。駆動回路20bは、一般的に、本発明の第1の実施形態の駆動回路20aと同じように構成され、同様の構成要素は同一の参照符号を有する。第1の駆動回路20aと同じように、第2の駆動回路20bは、第1および第2の電圧供給レールVsupplyおよびV1を有し、一般的に、双方向電流パスとして利用できる中央回路パス32を有する半Hブリッジとして構成されている。駆動回路20bは、更に、インジェクタ12aおよび12bの並列接続と直列に接続されたインダクタL1と、電流検知および制御手段34とを含む。第2の駆動回路20bは、さらに、半Hブリッジ配置の対角に第1の(充電)スイッチQ1および第2の(放電)スイッチQ2を備えている。各々のスイッチは、それに接続されている再循環ダイオードD1およびD2を有し、再循環電流が再循環段階の間に第1および第2のエネルギー蓄積コンデンサC1およびC2へ戻ることを可能にし、再生電流Iregenが再生段階の間にエネルギー蓄積コンデンサへ流れることを可能にする。
第2の駆動回路20bは、さらに、自動車バッテリ等の電源22を含んでいる。電源22は、任意の電源ユニット(PSU)36へ接続することができる。電源ユニット36(もし必要であれば)は、アース端子と電圧レールVsupply(これは低い電圧レールである)との間に接続され、第1のエネルギー蓄積コンデンサC2へエネルギーを供給するように構成されている。第2のエネルギー蓄積コンデンサC1は、第1および第2の電圧供給レールVsupplyとV1 に接続され、第1のエネルギー蓄積コンデンサC2は、第1の電圧供給レールVsupplyとアース端子に接続されている。
インジェクタ12aおよび12bの各々は、関連したセレクタ・スイッチQ3およびQ4と直列に接続され、各々のセレクタ・スイッチは、関連したダイオードD3およびD4を有する。セレクタ・スイッチおよび関連ダイオードの機能は、第1の駆動回路20aについて説明したとおりである。
再生スイッチQ5は、第2のエネルギー蓄積コンデンサC2をインダクタL1へ接続するため、第1のインジェクタ12aおよび第2のインジェクタ12bと並列して回路20bに含まれている。再生スイッチQ5は、通常、IGBTの形式を取る。このIGBTは、バイアス電源入力で電力を供給されるゲートドライブへ結合されたゲートを有する。再生スイッチQ5は、それと並列に接続される関連した保護ダイオードD5を有する。充電中、再生スイッチQ5に電流が流れるのを防止するため、更なるダイオードD6が再生スイッチQ5と直列に接続されている。
中央回路パス32内に置かれている電流検知および制御手段34は、第1の回路20aにあるものと同じ機能を有するので、説明を省略する。前述したように、電圧検知手段(図示されず)も設けられている。
第2の駆動回路20bの動作は、一般的に、第1の駆動回路20aについて説明したとおりであるが、回路のVsupplyレールへ接続されている電源22(および任意のPSU36)が存在するため、回路動作の再生段階の間において一部異なっている。
本発明の第1の実施形態と同じように、再生段階は、噴射の終わりの充電段階の後に続く。再生段階の間に、再生スイッチQ5(これは、充電および放電段階の間、無効である)が有効化され、放電スイッチQ2は、第1のC1コンデンサ上のエネルギーが所定のレベル(即ち、図5aのEC1)に達するまで、パルス幅変調信号26の制御のもとで開閉する。本発明の第1の実施形態と同じように、放電スイッチQ2は、前述した方法で再生段階(および充電、放電段階)の間に動作可能である。
図4を再び参照すると、再生スイッチQ5が有効化されると、放電スイッチQ2がオンの間に、電流は、自動車バッテリ22(またはPSU36)から取り出されて、再生スイッチQ5と、ダイオードD6と、インダクタL1と、放電スイッチQ2と、第2のエネルギー蓄積コンデンサC2とを通り(点線の矢印線で示されているように)、第2のコンデンサC2上のエネルギーが減少する。放電スイッチQ2がオフに切り替えられたとき、電流は、第1のコンデンサC1から、再生スイッチQ5と、ダイオードD6と、インダクタL1と、充電スイッチQ1に関連したダイオードD1とを通って流れ、第1のコンデンサC1上のエネルギーが増加する(太い矢印で示されている)。したがって、本発明の第2の実施形態における再生段階の間、インダクタL1は、第2のエネルギー蓄積コンデンサC2から第1のエネルギー蓄積コンデンサC1へエネルギーを転送し、自動車バッテリ22(またはPSU36)は、C2上の電圧を維持する。このようにして、第2の電圧供給レールV1へバッテリ電圧を転送するように再生段階が使用され、第1のエネルギー蓄積コンデンサC1にかかる電圧は増加する。
ここで図5aおよび図5bを参照すると、放電、充電、再生段階で第1および第2のコンデンサC1およびC2に蓄積されるエネルギーEC1およびEC2が示されている。
第1のコンデンサ上に蓄積されるエネルギーEC1(図5aの線40Aで示されている)は、放電中にスパイク46Aを有する波形42Aのように増加し、充電中にスパイク48Aを有する波形44Aのように減少することが示されている。波形50Aは、第1のコンデンサC1上に蓄積されたエネルギーを示している。このエネルギーは、放電スイッチQ2がオンおよびオフへ脈動する間に再生段階で増加する。スパイク52Aも示されており、これは、放電スイッチQ2がその有効(閉止)状態と無効(開放)状態との間で切り替えられる度に、エネルギーが第1のコンデンサC1へ転送されることを示している。
第2のコンデンサC2上に蓄積されたエネルギーEC2(図5bの線40Bで示されている)は、放電中にスパイク46Bを有する波形42Bのように減少し、充電中にスパイク48Bを有する波形44Bのように増加することが示されている。波形50Bは、第2のコンデンサ上に蓄積されたエネルギーを示している。このエネルギーは、放電スイッチQ2がオンおよびオフへ脈動する間に再生段階で減少する。スパイク52Bは、放電スイッチQ2が有効(閉止)状態と無効(開放)状態との間で切り替えられる度に、第2のコンデンサC2から(および第1のコンデンサC1へ)転送されることを示している。
図5cは、充電、放電、再生段階の間にインダクタL1を通る電流IL1と、インジェクタ12aにかかる充電、放電電圧Vinj1とを示している。
波形52のスパイクによって示されているように、誘導電流IL1(線50によって示されている)は、電流増加の間に約−25Aへ降下し、放電段階の再循環段階の間に約−5Aへ戻るように示されている。波形54のスパイクによって示されているように、充電段階の間、誘導電流IL1は、電流増加の間に約0アンペアから約25アンペアへ増加し、再循環段階の間に約5アンペアへ戻る。電流IL1のスパイクは、インジェクタ電圧Vinj1を放電または充電するように電圧が加えられている間に起こる。波形70は、再生段階の間に、放電スイッチQ2が脈動するとき約0アンペアから約−15Aへ周期的に減少する誘導電流IL1を示している。
インジェクタ電圧Vinj1(線60によって示されている)は、放電中に波形62のように減少し、充電中に波形64のように増加する第1のインジェクタ12aの電圧を示している。線66は、再生段階の間ほぼ一定に維持される電圧Vinj1を示している。
本発明の好ましい実施形態を説明したが、問題とした実施形態は単なる例であって、添付の特許請求の範囲に記述される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって案出される変形および修正が行われることを理解すべきである。
例えば、本明細書で説明した圧電インジェクタ12aおよび12bは、燃料を噴射するためインジェクタを放電してインジェクタ弁を開放する放電モードで動作し、また更に、燃料の噴射を停止するため、インジェクタを充電してインジェクタ弁を閉止する充電モードで動作する。この場合、インジェクタは負電荷変位タイプである。しかし、本明細書で説明した駆動回路20aおよび20bは、反対に正電荷変位タイプのインジェクタにより、充電モードの間に開放し、放電モードの間に閉止するように構成できる。
本発明の駆動回路20aおよび20bに関して、2つの圧電燃料インジェクタ12aおよび12bを図示および説明したが、エンジン10は、1つまたは複数の燃料インジェクタを備えることができることを理解すべきである。それら燃料インジェクタは、全て駆動回路20aおよび20bによって制御可能である。
本明細書で説明された駆動回路20aおよび20bは、エンジン制御モジュール14の中に組み込まれるか、または、それとは別個に設けることができる。
Claims (26)
- 第1の電圧レベルにある第1の電圧レール(V0、Vsupply)と、
前記第1の電圧レベルよりも高い第2の電圧レベルにある第2の電圧レール(V1)と、
電圧供給手段(22、36)と、
前記第1の電圧レール(V0、Vsupply)とアース端子とに接続されており、放電段階の間に少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)と操作可能に接続され、インジェクタへ放電電流を流すことによって噴射を開始させる第1の電荷蓄積手段(C2)と、
前記第1の電圧レール(V 0 、V supply )と前記第2の電圧レール(V 1 )とに接続されており、充電段階の間に前記少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)と操作可能に接続され、インジェクタへ充電電流を流すことによって前記噴射を終了させる第2の電荷蓄積手段(C1)と、
前記第1の電荷蓄積手段(C2)が前記少なくとも1つのインジェクタへ操作可能に接続されるか、または前記第2の電荷蓄積手段(C1)が前記少なくとも1つのインジェクタへ操作可能に接続されるかを制御するスイッチ手段(Q1、Q2)と、
充電段階の終わりに動作可能であって、後続の放電段階の前にエネルギー蓄積デバイス(L1)を介して前記電圧供給手段から少なくとも前記第2の電荷蓄積手段へ電荷を転送する再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)と
を備える、前記少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)を有するインジェクタ装置のための駆動回路(20a、20b)。 - 前記充電段階を有効化するため閉止するように動作可能な第1のスイッチ(Q1)と、前記放電段階を有効化するため閉止するように動作可能な第2のスイッチ(Q2)とを含むスイッチ手段をさらに備える、請求項1に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 前記再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)が、前記充電段階の終わりに、前記電圧供給手段(22)から前記第1の電荷蓄積手段(C2)および前記第2の電荷蓄積手段(C1)へ電荷を転送するように動作可能である、請求項1または2に記載の駆動回路(20a)。
- 前記再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)が、前記充電段階の終わりに、前記電圧供給手段から前記第1の電荷蓄積手段(C2)へ電荷を転送し、前記エネルギー蓄積デバイス(L1)を介して前記第1の電荷蓄積手段(C2)から前記第2の電荷蓄積手段(C1)へ電荷を転送するように動作可能である、請求項1または2に記載の駆動回路(20b)。
- 前記再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)が、前記再生段階の間に、前記第2のスイッチ(Q2)の動作に応答して、前記電圧供給手段(22)から前記第1の電荷蓄積手段(C2)および前記第2の電荷蓄積手段(C1)へ電荷を転送するように動作可能である、請求項3に記載の駆動回路(20a)。
- 前記再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)が、前記再生段階の間に、前記第2のスイッチ(Q2)の動作に応答して、前記電圧供給手段(22、36)から前記第1の電荷蓄積手段(C2)へ電荷を転送するように動作可能である、請求項4に記載の駆動回路(20b)。
- 前記第1の電荷蓄積手段(C2)および前記第2の電荷蓄積手段(C1)がコンデンサを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 更に、第1のインジェクタ(12a)および第2のインジェクタ(12b)を備え、これらのインジェクタが並列に配置され、前記第1のインジェクタ(12a)または前記第2のインジェクタ(12b)の独立した選択を制御して、放電段階の間に、選択されたインジェクタ(12a、12b)へ放電電流を供給して噴射を開始させるための前記スイッチ手段(Q1、Q2)と、前記再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)と、更なるスイッチ手段(Q3、Q4)とへ操作可能に接続される、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 実質的に中央回路分岐(32)を有する半Hブリッジ回路として構成され、前記第1のインジェクタ(12a)および前記第2のインジェクタ(12b)が、前記中央回路分岐において並列に配置されている、請求項8に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 更に、各々のインジェクタ(12a、12b)にかかる電圧を検知する電圧検知手段と、検知された電圧を示す信号を受け取る制御手段とを備える、請求項8または9に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 前記制御手段が、更に、開始信号を前記スイッチ手段(Q1)へ提供して、前記選択されたインジェクタの前記充電段階を開始するように構成されている、請求項10に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 前記制御手段が、更に、前記再生スイッチ手段(Q5、Q2、L1)へ開始信号を提供して前記再生段階を開始し、前記再生スイッチ手段へ終了信号を提供して前記再生段階を終了するように構成されている、請求項10または11に記載の駆動回路(20a、20b)。
- いったん所定の放電閾値電圧(VDISCHARGE)が検知されると、前記更なるスイッチ手段(Q3、Q4)へ終了制御信号を提供して、前記選択されたインジェクタの前記放電段階を終了するように、更に前記制御手段が構成されている、請求項10から12のいずれか一項に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 前記制御手段が、更に、前記スイッチ手段(Q1、Q2)へ開始制御信号を提供して、前記選択されたインジェクタの前記放電段階を開始するように構成されている、請求項13に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 前記制御手段が、パルス幅変調信号を提供し、前記再生段階の間に前記スイッチ手段(Q2)へ動作可能信号および動作不能信号を交互に提供することによって、前記エネルギー蓄積デバイス(L1)との間でエネルギーを転送するように構成されている、請求項10から14のいずれか一項に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 前記少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)が圧電アクチュエータを備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の駆動回路(20a、20b)。
- 放電段階の間に少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)へ第1の電荷蓄積手段(C2)を操作可能に接続し、放電電流をインジェクタに流すことによって噴射を開始するステップであって、前記第1の電荷蓄積手段(C2)は、第1の電圧レール(V 0 、V supply )とアース端子とに接続されるものであり、前記第1の電圧レール(V 0 、V supply )は第1の電圧レベルにある、ステップと、
充電段階の間に前記少なくとも1つのインジェクタと第2の電荷蓄積手段(C1)とを操作可能に接続し、充電電流をインジェクタに流すことによって前記噴射を終了するステップであって、前記第2の電荷蓄積手段(C1)は、前記第1の電圧レール(V 0 、V supply )と第2の電圧レール(V 1 )とに接続されるものであり、前記第2の電圧レール(V 1 )は前記第1の電圧レベルよりも高い第2の電圧レベルにある、ステップと、
後続の前記放電段階の前に、電荷が電圧供給手段(22、36)からエネルギー蓄積デバイス(L1)へ転送され、前記エネルギー蓄積デバイス(L1)から少なくとも前記第2の電荷蓄積手段(C1)へ転送される再生段階を開始するために、前記充電段階の終わりに再生スイッチ手段(Q5、Q2)を有効化するステップと、
前記再生スイッチ手段を無効化して、前記再生段階を終了するステップと
を含む、前記少なくとも1つのインジェクタを有するインジェクタ装置のための制御方法。 - 前記有効化するステップの間、電荷が前記電圧供給手段(22)から前記エネルギー蓄積デバイス(L1)へ転送され、続いて前記エネルギー蓄積デバイス(L1)から前記第1の電荷蓄積手段(C2)および前記第2の電荷蓄積手段(C1)へ転送される、請求項17に記載の制御方法。
- 前記有効化するステップの間、電荷が前記電圧供給手段(22)から前記第1の電荷蓄積手段(C2)へ転送され、続いて前記第1の電荷蓄積手段(C2)から前記エネルギー蓄積デバイス(L1)へ転送されて、前記第2の電荷蓄積手段(C1)へ転送される、請求項17に記載の制御方法。
- 前記エネルギー蓄積デバイス(L1)との間で電荷を転送するステップが、周期的に実行される、請求項17から19のいずれか一項に記載の制御方法。
- 前記エネルギー蓄積デバイス(L1)との間で電荷を転送するステップが、パルス幅変調信号の制御のもとで実行される、請求項20に記載の制御方法。
- 前記パルス幅変調信号のデューティサイクルを変化させる更なるステップを含む、請求項21に記載の制御方法。
- 前記第1の電荷蓄積手段(C2)または前記第2の電荷蓄積手段(C1)のいずれかが、前記少なくとも1つのインジェクタ(12a、12b)へ操作可能に接続されるかどうかを制御する更なるステップを含む、請求項17から22のいずれか一項に記載の制御方法。
- 再生開始信号を提供して前記再生スイッチ手段(Q5、Q2)を有効化し、前記再生段階を開始する、更なるステップを含む、請求項17から23のいずれか一項に記載の制御方法。
- 再生終了信号を提供して前記再生スイッチ手段(Q5、Q2)を無効化し、前記再生段階を終了する、更なるステップを含む請求項24に記載の制御方法。
- 前記再生開始信号が、所定数の噴射の後に提供される、請求項24に記載の制御方法。
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