JP2007336712A - 励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ディジタル保護リレー装置1は、停止時電圧位相を記憶して、現在の時刻からリレー判定時間または処理時間と投入時設定時間とを合計した時間の経過後に母線電圧または線路電圧の位相が最初に停止時電圧位相となる投入時刻を算出し、算出した投入時刻から現在の時刻を引くことにより残余時間を算出するとともに、算出した残余時間から投入時設定時間を引くことにより現在の時刻における待ち時間を算出する位相制御判定処理部32と、遮断器90の投入指示信号が入力された時刻に位相制御判定処理部32において算出された待ち時間だけ経過した時刻に、遮断器90の投入信号が出力されるように、出力信号を出力する位相制御SQ処理部42とを具備する。
【選択図】図1
Description
(1)変圧器の停止時のタイミングを制御することにより残留磁束を零にして、3相電源電圧の特定位相において変圧器を充電する第1の位相制御投入方式
(2)変圧器停止後の変圧器側の電圧やパルス電圧を印加することにより残留磁束を算出して、一定の電源電圧位相時に変圧器を充電する第2の位相制御投入方式
上記の特許文献4に開示された変圧器保護制御装置では、変圧器の端子に設けられた遮断器が開放された時点における変圧器の端子電圧位相と遮断器の再投入時の電源電圧位相とを一致させるので、たとえば配電用変圧器の上位系統での送電線事故による停電では、配電用変圧器の1次側遮断器は開放されないので、配電用変圧器の励磁突入電流を抑制することができないという問題がある。
上記特許文献5に開示された変圧器1次側遮断器の制御方法では、変圧器の1次側電圧波形から90°位相が遅れた変圧器の鉄心の磁束波形を算出する必要があるという問題がある。
ここで、前記位相制御シーケンス処理手段の出力信号に従って、前記遮断器の投入信号を出力する遮断器指令出力処理手段(43)と、該遮断器指令出力処理手段からの前記投入信号に基づいて、前記補助リレー動作時間だけ経過した時刻(t3)に、前記遮断器を投入させる遮断器投入信号を該遮断器の投入回路(92)に出力する出力手段(52)とをさらに具備してもよい。
前記位相制御判定処理手段が、前記変圧器停止時刻から前記変圧器の残留磁束が減衰するような時間が経過すると、前記停止時電圧位相の代わりに、前記変圧器の残留磁束の減衰特性を示す特性式を用いて前記変圧器停止時刻からの経過時間(tp)における前記母線電圧または前記線路電圧の位相である減衰対応電圧位相(θP)を算出し、該算出した減衰対応電圧位相を用いて前記待ち時間(T0)を算出してもよい。
前記変圧器が3相変圧器であり、前記遮断器が3相一括遮断器である場合には、前記位相制御判定処理手段が、前記減衰対応電圧位相の代わりに、停止時の前記変圧器の各相の残留磁束(φsR,φsS,φsT)と前記経過時間から算出した残留磁束(φtR,φtS,φtT)と前記遮断器を投入する際の各相の電圧位相における通常運転時の磁束との差分(DFR,DFS,DFT)の絶対値の和(SUM)が最小となる前記母線電圧または前記線路電圧の位相である最小電圧位相(θmin)を算出し、該算出した最小電圧位相を用いて前記待ち時間を算出してもよい。
アナログ入力信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてホールドするサンプリングホールド回路(14)と、該サンプリングホールド回路からのアナログ信号をディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器(16)とをさらに具備し、前記位相制御判定処理手段が、前記サンプリングホールド回路におけるサンプリング周期ごとに前記投入時刻、前記残余時間および前記待ち時間を算出してもよい。
前記変圧器の事故または該変圧器の停止操作により該変圧器が停止された場合には、前記遮断器投入信号により該変圧器の1次側遮断器(901)が投入されてもよい。
送電線の事故により前記変圧器が停止された場合には、前記遮断器投入信号により該変圧器の上位系統の受電端遮断器(902)が投入されてもよい。
上位系送電線の事故の場合には、前記遮断器投入信号により該変圧器の上位系統の送電端遮断器(903)が投入されてもよい。
(1)変圧器停止時のタイミングを予め制御するための制御回路や、変圧器停止後の残留磁束を検出するための検出装置および変圧器停止後の変圧器側の電圧やパルス電圧を印加するための電圧印加装置を設ける必要なく、変圧器の励磁突入電流を抑制することができる。
(2)たとえば配電用変圧器の上位系統での送電線事故による停電においても、配電用変圧器の励磁突入電流を抑制することができる。
(3)変圧器の残留磁束の減衰が生じても、減衰対応電圧位相を用いて待ち時間を算出することにより、変圧器の励磁突入電流を抑制することができる。
ディジタル保護リレー装置1は、図1に示すように、アナログ入力部10と、整定・表示部20と、演算処理部30と、シーケンス部40と、入出力部50とを具備する。なお、アナログ入力部10と整定・表示部20と演算処理部30とシーケンス部40と入出力部50とはバスを介して接続されている。
(1)送配電線のa相,b相およびc相の電流値をそれぞれ示す第1乃至第3のアナログ電流信号ia,ib,ic
(2)零相電流値を示すアナログ零相電流信号i0
(3)母線のa相,b相およびc相の電圧値をそれぞれ示す第1乃至第3のアナログ母線電圧信号vBa,vBb,vBc
(4)送配電線のa相,b相およびc相の電圧値をそれぞれ示す第1乃至第3のアナログ線路電圧信号vLa,vLb,vLc
(5)送配電線の代表相の電圧値を示すアナログ線路電圧信号vL
(6)零相電圧を示すアナログ零相電圧信号v0。
S/H回路14は、所定のサンプリング周波数(たとえば、商用周波数60Hzの場合には5,760Hz(電気角3.75°))でBPF12の出力信号をサンプリングしてホールドする。
MPX回路15は、S/H回路14の出力信号を切り換えてA/D変換器16に出力する。
A/D変換器16は、MPX回路15から出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換する。
リレー整定部21は、アナログ入力部10から入力されるディジタル零相電流信号I0およびディジタル零相電圧信号V0などに基づいて所定のリレー整定処理を行う。
位相制御整定部22は、後述する位相制御を行う際に用いられる投入時設定時間T2を設定する。
表示回路23は、リレー整定部21におけるリレー整定処理結果や、位相制御整定部22において設定された投入時設定時間T2などを外部の表示装置(不図示)に表示させる。
リレー判定処理部31は、アナログ入力部10から入力されるディジタル信号(たとえば、ディジタル零相電流信号I0やディジタル零相電圧信号V0)に対して所定の演算処理を行う。
位相制御判定処理部32は、アナログ入力部10のS/H回路14におけるサンプリング周期ごとに、後述する待ち時間T0を算出する。
リレーSQ処理部41は、演算処理部30のリレー判定処理部31における演算処理結果に基づいて所定のシーケンス処理を行って地絡事故や短絡事故などの事故の発生を検出すると事故発生信号を出力する。また、リレーSQ処理部41は、他の保護リレー装置または制御装置(以下、「他の保護リレー装置・制御装置」と称する。)70の入指令回路71または監視制御装置80の入指令回路81から入出力部50の入力回路51を介して入力される入指令信号に基づいて所定のシーケンス処理を行って、投入指示信号を出力する。さらに、リレーSQ処理部41は、他の保護リレー装置・制御装置70の切指令回路72または監視制御装置80の切指令回路82から入出力部50の入力回路51を介して入力される切指令信号に基づいて所定のシーケンス処理を行って、遮断指示信号を出力する。
位相制御SQ処理部42は、リレーSQ処理部41から投入指示信号を受け取ると、その時刻から演算処理部30の位相制御判定処理部32において算出された待ち時間T0(待ち時間T01)だけ経過した後に遮断器90の投入信号が出力されるように、出力信号をCB指令出力処理部43に出力する。
CB指令出力処理部43は、リレーSQ処理部41からの事故発生信号または遮断指示信号に従って遮断器90の遮断信号を出力したり、位相制御SQ処理部42からの投入指示信号に従って遮断器90の投入信号を出力したりする。
入力回路51は、他の保護リレー装置・制御装置70の入指令回路71および監視制御装置80の入指令回路71からの入指令信号や、他の保護リレー装置・制御装置70の切指令回路72および監視制御装置80の切指令回路82からの切指令信号を受け取る。
出力回路52は、シーケンス部40のCB指令出力処理部43からの遮断信号および投入信号に基づいて、所定の補助リレー動作時間の経過後に、遮断器90を遮断させる遮断器遮断信号(トリップ信号)および遮断器90を投入させる遮断器投入信号(開閉装置投入信号)を遮断器90の遮断回路91および投入回路92にそれぞれ出力する。
まず、遮断器90が単相変圧器用の1次側遮断器であり、残留磁束が減衰しない短時間に監視制御装置80から遮断器90を投入(再投入)する場合のディジタル保護リレー装置1の動作について、図3を参照して説明する。
シーケンス部40の位相制御SQ処理部42は、リレーSQ処理部41から投入指示信号を受け取ると、時刻t1に位相制御判定処理部32において算出された待ち時間T01だけ経過した時刻t2に送配電線のa相用の遮断器90の投入信号が出力されるように、出力信号をCB指令出力処理部43に出力する。
シーケンス部40の位相制御SQ処理部42は、リレーSQ処理部41から投入指示信号を受け取ると、時刻t1に位相制御判定処理部32において算出された待ち時間T01だけ経過した時刻t2に送配電線のa相用の遮断器90の投入信号が出力されるように、出力信号をCB指令出力処理部43に出力する。
φsR =φn×sin(θR−90)
φsS =φn×sin(θS−90)
φsT =φn×sin(θT−90)
φtR =φsR×(1−tp/1000)
φtS =φsS×(1−tp/1000)
φtT =φsT×(1−tp/1000)
SUM=|DFR|+|DFS|+|DFT|
電力系統においては送電線事故が最も多く、停電は変圧器100(配電用変圧器)の上位系統での事故が一般的である。このような事故の場合には、変圧器100の1次側遮断器901はめったに開放されないため、上記の特許文献4に開示された変圧器保護制御装置では変圧器100の励磁突入電流を抑制することは難しい。しかしながら、本発明によるディジタル保護リレー装置1を用いて1次側遮断器901、受電端遮断器902および送電端遮断器903を以下のように投入することにより、変圧器100の励磁突入電流を抑制することができる。
この場合には、図5(a)に示すように1次側遮断器901のみが開放されるため、ディジタル保護リレー装置1を用いて上述した位相制御処理を行って1次側遮断器901を投入する。
(ケース2)送電線事故の場合
この場合には、図5(b)に示すように受電端遮断器902および送電端遮断器903がともに開放されるが、ディジタル保護リレー装置1を用いて上述した位相制御処理を行って受電端遮断器902を投入する。
なお、送電端遮断器93は、送電線の事故相を最低の電圧で投入する。
(ケース3)上位系送電線事故の場合
この場合には、図5(c)に示すように送電端遮断器903のみが開放されるため、ディジタル保護リレー装置1を用いて上述した位相制御処理を行って送電端遮断器903を投入する。
また、図1に示したようにBPF12をサンプリングホールド回路14の前に設けたが、ディジタル回路で構成されたバンドパスフィルタ(BPF)をA/D変換器16の後に設けてもよい。
さらに、シーケンス部40のリレーSQ処理部41が演算処理部30のリレー判定処理部31における演算処理結果に基づいて所定のシーケンス処理を行って時刻t0(以下、「再閉路投入時刻t0」と称する。)に遮断器90の再閉路投入をする場合には、リレーSQ処理部41は、図6に示すように、再閉路投入時刻t0からリレー判定時間TRYだけ経過した時刻t1に投入指示信号を出力してもよい。
さらに、線路電圧検出用の計器用変成器(PT,PD)が送配電線の各相に設けられている場合には上述したように第1乃至第3のアナログ線路電圧信号vLa,vLb,vLc(第1乃至第3のディジタル線路電圧信号VLa,VLb,VLc)を用いるが、計器用変成器が送配電線の1相(代表相)にしか設けられていない場合にはこの代表相のアナログ線路電圧信号vL(ディジタル線路電圧信号VL)を用いればよい。
10 アナログ入力部
11 入力変換器
12 バンドパスフィルタ(BPF)
14 サンプリングホールド回路(S/H回路)
15 マルチプレクサ回路(MPX回路)
16 アナログ/ディジタル変換器(A/D変換器)
20 整定・表示部
21 リレー整定部
22 位相制御整定部
23 表示回路
30 演算処理部
31 リレー判定処理部
32 位相制御判定処理部
40 シーケンス部
41 リレーシーケンス処理部(リレーSQ処理部)
42 位相制御シーケンス処理部(位相制御SQ処理部)
43 遮断器指令出力処理部(CB指令出力処理部)
50 入出力部
51 入力回路
52 出力回路
70 他の保護リレー装置・制御装置
71 入指令回路
72 切指令回路
80 監視制御装置
81 入指令回路
82 切指令回路
90 遮断器
901 1次側遮断器
902 受電端遮断器
903 送電端遮断器
91 遮断回路
92 投入回路
100 変圧器
T 残余時間
T01 待ち時間
T2 投入時設定時間
TPR 処理時間
TRY リレー判定時間
VBa 第1のディジタル母線電圧信号
tOFF,t0〜t3,tON 時刻
tp 経過時間
θOFF,θp,θmin 位相
Claims (8)
- 変圧器(100)を直接充電する可能性がある遮断器(90)を遮断および投入させるのに用いられる励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置(1)であって、
補助リレー動作時間と前記遮断器の投入時間とを合計した投入時設定時間(T2)を事前に設定する位相制御整定手段(22)と、
前記変圧器が設置された送配電線の該変圧器が停止された変圧器停止時刻(tOFF)における母線電圧または線路電圧の位相である停止時電圧位相(θOFF)を記憶して、所定の時間ごとに、現在の時刻(t)からリレー判定時間(TRY)または処理時間(TPR)と前記投入時設定時間とを合計した時間の経過後に前記母線電圧または前記線路電圧の位相が最初に前記停止時電圧位相となる投入時刻(tON)を算出し、該算出した投入時刻から現在の時刻を引くことにより残余時間(T)を算出するとともに、該算出した残余時間から前記投入時設定時間を引くことにより現在の時刻における待ち時間(T0)を算出する位相制御判定処理手段(32)と、
前記遮断器の投入指示信号が入力されると、該投入指示信号が入力された時刻(t1)に前記位相制御判定処理手段において算出された待ち時間(T01)だけ経過した時刻(t2)に、該遮断器の投入信号が出力されるように、出力信号を出力する位相制御シーケンス処理手段(42)と、
を具備することを特徴とする、励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。 - 前記位相制御シーケンス処理手段の出力信号に従って、前記遮断器の投入信号を出力する遮断器指令出力処理手段(43)と、
該遮断器指令出力処理手段からの前記投入信号に基づいて、前記補助リレー動作時間だけ経過した時刻(t3)に、前記遮断器を投入させる遮断器投入信号を該遮断器の投入回路(92)に出力する出力手段(52)と、
をさらに具備することを特徴とする、請求項1記載の励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。 - 前記位相制御判定処理手段が、前記変圧器停止時刻から前記変圧器の残留磁束が減衰するような時間が経過すると、前記停止時電圧位相の代わりに、前記変圧器の残留磁束の減衰特性を示す特性式を用いて前記変圧器停止時刻からの経過時間(tp)における前記母線電圧または前記線路電圧の位相である減衰対応電圧位相(θP)を算出し、該算出した減衰対応電圧位相を用いて前記待ち時間(T0)を算出することを特徴とする、請求項1または2記載の励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。
- 前記変圧器が3相変圧器であり、前記遮断器が3相一括遮断器である場合には、前記位相制御判定処理手段が、前記減衰対応電圧位相の代わりに、停止時の前記変圧器の各相の残留磁束(φsR,φsS,φsT)と前記経過時間から算出した残留磁束(φtR,φtS,φtT)と前記遮断器を投入する際の各相の電圧位相における通常運転時の磁束との差分(DFR,DFS,DFT)の絶対値の和(SUM)が最小となる前記母線電圧または前記線路電圧の位相である最小電圧位相(θmin)を算出し、該算出した最小電圧位相を用いて前記待ち時間を算出することを特徴とする、請求項3記載の励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。
- アナログ入力信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてホールドするサンプリングホールド回路(14)と、
該サンプリングホールド回路からのアナログ信号をディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器(16)とをさらに具備し、
前記位相制御判定処理手段が、前記サンプリングホールド回路におけるサンプリング周期ごとに前記投入時刻、前記残余時間および前記待ち時間を算出する、
ことを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。 - 前記変圧器の事故または該変圧器の停止操作により該変圧器が停止された場合には、前記遮断器投入信号により該変圧器の1次側遮断器(901)が投入されることを特徴とする、請求項2乃至5いずれかに記載の励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。
- 送電線の事故により前記変圧器が停止された場合には、前記遮断器投入信号により該変圧器の上位系統の受電端遮断器(902)が投入されることを特徴とする、請求項2乃至5いずれかに記載の励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。
- 上位系送電線の事故の場合には、前記遮断器投入信号により該変圧器の上位系統の送電端遮断器(903)が投入されることを特徴とする、請求項2乃至5いずれかに記載の励磁突入電流制御機能内蔵ディジタル保護リレー装置。
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