JP3199940B2 - 変圧器保護リレー装置 - Google Patents
変圧器保護リレー装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変圧器の内部故障を検
出して、その外部接続回路を開放する変圧器保護リレー
装置に関する。
出して、その外部接続回路を開放する変圧器保護リレー
装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
変圧器保護リレー装置は、励磁突入電流に含まれる第2
次高調波の比率が、内部故障時の故障電流に含まれるそ
れよりも大きいことを利用して、励磁突入電流と故障電
流とを識別していた。しかるに地中送電線の増加等によ
って故障電流に含まれる第2次高調波も増大しつつあ
り、将来はこの識別方法では突入電流と故障電流との識
別が困難になると予想されている。以下、従来の識別方
法及びその問題点を詳しく説明する。
変圧器保護リレー装置は、励磁突入電流に含まれる第2
次高調波の比率が、内部故障時の故障電流に含まれるそ
れよりも大きいことを利用して、励磁突入電流と故障電
流とを識別していた。しかるに地中送電線の増加等によ
って故障電流に含まれる第2次高調波も増大しつつあ
り、将来はこの識別方法では突入電流と故障電流との識
別が困難になると予想されている。以下、従来の識別方
法及びその問題点を詳しく説明する。
【0003】変圧器の内部で短絡故障等が発生した場
合、これを放置するとアーク放電による変圧器の損傷
や、絶縁油による火災等につながる虞れがある。このた
め、できるだけ早く故障を検出し、しゃ断器によって電
力系統から故障した変圧器を切り離す必要がある。電力
用の変圧器においては、その検出装置として比率差動型
変圧器保護リレー装置が一般的に使用されている。この
装置の基本原理は、正常な変圧器の各巻線に外部から流
入する電流の和は、キルヒホッフの第1法則から測定誤
差分を除いてゼロに等しいので、流入電流の和を監視
し、この和が設定値以上になったとき内部故障と判断す
るものである。
合、これを放置するとアーク放電による変圧器の損傷
や、絶縁油による火災等につながる虞れがある。このた
め、できるだけ早く故障を検出し、しゃ断器によって電
力系統から故障した変圧器を切り離す必要がある。電力
用の変圧器においては、その検出装置として比率差動型
変圧器保護リレー装置が一般的に使用されている。この
装置の基本原理は、正常な変圧器の各巻線に外部から流
入する電流の和は、キルヒホッフの第1法則から測定誤
差分を除いてゼロに等しいので、流入電流の和を監視
し、この和が設定値以上になったとき内部故障と判断す
るものである。
【0004】換言すれば、変圧器の流入電流と流出電流
の差が大きくなった時に内部故障と判断するものであ
る。
の差が大きくなった時に内部故障と判断するものであ
る。
【0005】ところで、しゃ断器を投入して変圧器を電
力系統に接続した直後には、励磁突入電流と呼ばれる大
きな電流が変圧器に流入する。この現象は、変圧器が系
統から切り離されている状態でも鉄心に残留磁束がある
ため、電圧印加後しばらくの間は鉄心が飽和域に達して
通常よりもずっと大きな電流が流れるためである。
力系統に接続した直後には、励磁突入電流と呼ばれる大
きな電流が変圧器に流入する。この現象は、変圧器が系
統から切り離されている状態でも鉄心に残留磁束がある
ため、電圧印加後しばらくの間は鉄心が飽和域に達して
通常よりもずっと大きな電流が流れるためである。
【0006】比率差動型変圧器保護リレー装置において
は、この励磁突入電流による誤動作を防止するため、第
2次高調波による抑制方式を用いるのが一般的である。
この方式は、励磁突入電流に高調波電流が多く重畳して
いることを利用して、変圧器に流入する電流に電源の2
倍の周波数の電流が多く含まれていれば、保護リレーが
動作しないようにするものである。
は、この励磁突入電流による誤動作を防止するため、第
2次高調波による抑制方式を用いるのが一般的である。
この方式は、励磁突入電流に高調波電流が多く重畳して
いることを利用して、変圧器に流入する電流に電源の2
倍の周波数の電流が多く含まれていれば、保護リレーが
動作しないようにするものである。
【0007】図8はこれらの保護動作機能をディジタル
信号処理系に持たせた場合の処理手順を示すフローチャ
ートである。すなわち、ステップ101 にて変圧器の1次
側からの流入電流を、ステップ102 にて変圧器の2次側
からの流入電流をそれぞれ読取り、続いてステップ103
でその和電流を検出する一方、ステップ104 でこの和電
流中に含まれる第2次高調波成分を検出する。次に、ス
テップ105 にて和電流が整定値より大きいか否かを調
べ、大きくなければ正常と判断し、大きい場合にはさら
にステップ106 にて第2次高調波成分が整定値より大き
いか否かを調べ、大きい場合には励磁突入電流と判断
し、大きくないときには内部故障と判断して、しゃ断器
に対するしゃ断指令を出力する。
信号処理系に持たせた場合の処理手順を示すフローチャ
ートである。すなわち、ステップ101 にて変圧器の1次
側からの流入電流を、ステップ102 にて変圧器の2次側
からの流入電流をそれぞれ読取り、続いてステップ103
でその和電流を検出する一方、ステップ104 でこの和電
流中に含まれる第2次高調波成分を検出する。次に、ス
テップ105 にて和電流が整定値より大きいか否かを調
べ、大きくなければ正常と判断し、大きい場合にはさら
にステップ106 にて第2次高調波成分が整定値より大き
いか否かを調べ、大きい場合には励磁突入電流と判断
し、大きくないときには内部故障と判断して、しゃ断器
に対するしゃ断指令を出力する。
【0008】しかし、近年は、電力系統における送電の
高電圧化や、高電圧地中送電ケーブルの導入増加によっ
て、故障電流に含まれる低次高調波成分も増大しつつあ
る。また、この傾向は50万ボルト地中送電や、100
万ボルト送電の導入が計画されていることから、今後ま
すます顕著になってくると予想される。このため、第2
次高調波抑制方式の比率差動型保護リレー装置では、変
圧器の内部故障に基づく電流をも励磁突入電流と判断し
て動作しないことがあり得ることになり、これにより故
障変圧器の切り離しが遅れて事故の拡大につながる虞れ
がある。
高電圧化や、高電圧地中送電ケーブルの導入増加によっ
て、故障電流に含まれる低次高調波成分も増大しつつあ
る。また、この傾向は50万ボルト地中送電や、100
万ボルト送電の導入が計画されていることから、今後ま
すます顕著になってくると予想される。このため、第2
次高調波抑制方式の比率差動型保護リレー装置では、変
圧器の内部故障に基づく電流をも励磁突入電流と判断し
て動作しないことがあり得ることになり、これにより故
障変圧器の切り離しが遅れて事故の拡大につながる虞れ
がある。
【0009】そこで、第2次高調波抑制方式以外の方式
によって、変圧器の内部故障電流と励磁突入電流とを識
別する保護リレー装置の開発が待たれている。しかし、
変圧器には鉄心の磁化特性に基づく非線形性とヒステリ
シス特性があり、残留磁束についても予め知っておくこ
とが難しいため、励磁突入電流波形を予想することは困
難である。また、内部故障についても、故障の様相や、
変圧器が接続される電力系統の特性を予め明確にするこ
とは困難であるため、故障電流波形の予測も難しい。さ
らにまた、変圧器を電力系統と接続して電圧が印加され
た直後に内部故障が発生することも十分に考えられるた
め、励磁突入電流と内部故障電流とが同時に流れること
も想定する必要がある。従って、内部故障があるか否か
を正確に判別することは難しい状況にあった。
によって、変圧器の内部故障電流と励磁突入電流とを識
別する保護リレー装置の開発が待たれている。しかし、
変圧器には鉄心の磁化特性に基づく非線形性とヒステリ
シス特性があり、残留磁束についても予め知っておくこ
とが難しいため、励磁突入電流波形を予想することは困
難である。また、内部故障についても、故障の様相や、
変圧器が接続される電力系統の特性を予め明確にするこ
とは困難であるため、故障電流波形の予測も難しい。さ
らにまた、変圧器を電力系統と接続して電圧が印加され
た直後に内部故障が発生することも十分に考えられるた
め、励磁突入電流と内部故障電流とが同時に流れること
も想定する必要がある。従って、内部故障があるか否か
を正確に判別することは難しい状況にあった。
【0010】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたもので、変圧器に接続される電力系統の特性とは
関係なく、変圧器の内部故障を励磁突入電流が流れただ
けの正常状態と区別して判別することができ、これによ
って信頼性の高い変圧器保護リレー装置を得ることを目
的とする。
されたもので、変圧器に接続される電力系統の特性とは
関係なく、変圧器の内部故障を励磁突入電流が流れただ
けの正常状態と区別して判別することができ、これによ
って信頼性の高い変圧器保護リレー装置を得ることを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の変圧器保護リレ
ー装置は、変圧器の各巻線の電圧及び電流の検出値に基
いて変圧器に流入する電力及び変圧器の銅損を演算する
と共に、流入電力から銅損を差引いた値を積分し、1周
期分の積分値が予め整定された閾値を超えたときに変圧
器の内部故障と判定して外部接続回路を開放するための
しゃ断指令を出力するように講じたものである。
ー装置は、変圧器の各巻線の電圧及び電流の検出値に基
いて変圧器に流入する電力及び変圧器の銅損を演算する
と共に、流入電力から銅損を差引いた値を積分し、1周
期分の積分値が予め整定された閾値を超えたときに変圧
器の内部故障と判定して外部接続回路を開放するための
しゃ断指令を出力するように講じたものである。
【0012】また、更に信頼性を高めるためには、各巻
線に流入する電流の和が予め整定された閾値を超えたこ
とを内部故障判定の基準に付加する。
線に流入する電流の和が予め整定された閾値を超えたこ
とを内部故障判定の基準に付加する。
【0013】さらに、保護動作機能をディジタル信号処
理系に持たせることを前提として、電流及び電圧の検出
値をサンプリングし、サンプル値に基いて変圧器に流入
する電力及び変圧器の銅損の瞬時値を演算し、流入電力
から銅損を差引いた値に対する1周期分の加算値が予め
整定された閾値を超えたときにしゃ断指令を出力する。
理系に持たせることを前提として、電流及び電圧の検出
値をサンプリングし、サンプル値に基いて変圧器に流入
する電力及び変圧器の銅損の瞬時値を演算し、流入電力
から銅損を差引いた値に対する1周期分の加算値が予め
整定された閾値を超えたときにしゃ断指令を出力する。
【0014】また、この時更に信頼性を高めるために
は、各巻線に流入する電流のサンプル値の和が予め整定
された閾値を超えたことを内部故障判定の基準に付加す
る。
は、各巻線に流入する電流のサンプル値の和が予め整定
された閾値を超えたことを内部故障判定の基準に付加す
る。
【0015】
【作用】以下、本発明の原理を説明した後で、その作用
を説明する。励磁突入電流の位相は、電圧に対してほぼ
90度の遅れとなるので、電流と電圧との積、すなわ
ち、瞬時の電力は振動するけれども、その積分値、すな
わち、平均電力はほぼゼロである。正確には、巻線抵抗
による損失分によってゼロより大きくなるが、変圧器の
定格容量と比較すればその値は非常に小さい。
を説明する。励磁突入電流の位相は、電圧に対してほぼ
90度の遅れとなるので、電流と電圧との積、すなわ
ち、瞬時の電力は振動するけれども、その積分値、すな
わち、平均電力はほぼゼロである。正確には、巻線抵抗
による損失分によってゼロより大きくなるが、変圧器の
定格容量と比較すればその値は非常に小さい。
【0016】これに対して、変圧器の内部で短絡、地絡
事故が発生した場合には、故障の部位や様相及び接続さ
れている電力系統の状態によって大きさや位相の異なる
故障電流が流れる。この時、変圧器の内部で消費する電
力は損失分にアークによる損傷分が加わるので、大きな
故障になるほど電圧と同位相分の電流が増え、変圧器の
外部から内部に流入する電力は増加する。特に、迅速な
検出を必要とする大きな故障の場合、流入電力の大きさ
は常時の損失と比較して非常に大きくなる。そこで、流
入する電力の波形又は、その積分値に注目すれば、故障
による電流と、正常状態の突入電流との識別が可能とな
る。
事故が発生した場合には、故障の部位や様相及び接続さ
れている電力系統の状態によって大きさや位相の異なる
故障電流が流れる。この時、変圧器の内部で消費する電
力は損失分にアークによる損傷分が加わるので、大きな
故障になるほど電圧と同位相分の電流が増え、変圧器の
外部から内部に流入する電力は増加する。特に、迅速な
検出を必要とする大きな故障の場合、流入電力の大きさ
は常時の損失と比較して非常に大きくなる。そこで、流
入する電力の波形又は、その積分値に注目すれば、故障
による電流と、正常状態の突入電流との識別が可能とな
る。
【0017】換言すれば、変圧器へ流入する電力と変圧
器から流出する電力の差に着目することにより、変圧器
内の故障による損傷エネルギー消費があるかないかを判
別できる。
器から流出する電力の差に着目することにより、変圧器
内の故障による損傷エネルギー消費があるかないかを判
別できる。
【0018】図6は2巻線変圧器を保護対象とする本発
明の概略構成を示したもので、変圧器1の一次巻線が、
しゃ断器2を介して、1次側母線3に接続され、二次巻
線が、しゃ断器4を介して、2次側母線5に接続されて
いる時、変圧器1に入力される1次側電流と、1次側母
線の電圧すなわち1次側電圧と、変圧器1に入力される
2次側電流と、2次側母線の電圧すなわち2次側電圧と
を変圧器保護リレー装置6に取込み、そこで、変圧器保
護リレー装置6はこれらの値に基いて変圧器1の内部故
障と判別したときにしゃ断器2及び4にしゃ断指令を出
力する構成になっている。
明の概略構成を示したもので、変圧器1の一次巻線が、
しゃ断器2を介して、1次側母線3に接続され、二次巻
線が、しゃ断器4を介して、2次側母線5に接続されて
いる時、変圧器1に入力される1次側電流と、1次側母
線の電圧すなわち1次側電圧と、変圧器1に入力される
2次側電流と、2次側母線の電圧すなわち2次側電圧と
を変圧器保護リレー装置6に取込み、そこで、変圧器保
護リレー装置6はこれらの値に基いて変圧器1の内部故
障と判別したときにしゃ断器2及び4にしゃ断指令を出
力する構成になっている。
【0019】この変圧器保護リレー装置6の内部故障の
判別原理を、図7の等価回路図を用いて以下に説明す
る。2巻線変圧器において、1次、2次の電圧をV1 ,
V2 、電流をI1 ,I2 、巻線抵抗をR1 ,R2 、漏れ
インダクタンスをL1 ,L2 、鉄心のヒステリシス特性
の影響を受ける分の抵抗とインダクタンスをRm ,Lm
とするとこれらの間に次式が成立する。
判別原理を、図7の等価回路図を用いて以下に説明す
る。2巻線変圧器において、1次、2次の電圧をV1 ,
V2 、電流をI1 ,I2 、巻線抵抗をR1 ,R2 、漏れ
インダクタンスをL1 ,L2 、鉄心のヒステリシス特性
の影響を受ける分の抵抗とインダクタンスをRm ,Lm
とするとこれらの間に次式が成立する。
【0020】
【数1】 従って、1次側から流入する電力と、2次側から流入す
る有効電力との和は次式によって表される。
る有効電力との和は次式によって表される。
【0021】
【数2】 ここで、I=I1 +I2 とすれば、次式が得られる。
【0022】
【数3】 この(4) 式中、巻線抵抗R1 ,R2 は測定可能な一定値
であるので、変圧器に流入する電力から銅損を差し引い
た電力Po に注目すると次式のようになる。
であるので、変圧器に流入する電力から銅損を差し引い
た電力Po に注目すると次式のようになる。
【0023】
【数4】 この(5) 式は、鉄損と、インダクタンスに蓄積されるエ
ネルギーの和に相当する。特に、後者は瞬時的に出入り
しているだけで1周期分を積分すればゼロとなる。
ネルギーの和に相当する。特に、後者は瞬時的に出入り
しているだけで1周期分を積分すればゼロとなる。
【0024】周知の如く、鉄損は、ヒステリシス損Ph
と、鉄心中の渦電流損Pe とでなり、このうち、ヒステ
リシス損Ph はB−H曲線内で(H,B)の軌跡が1周
期毎に囲む面積、すなわち、
と、鉄心中の渦電流損Pe とでなり、このうち、ヒステ
リシス損Ph はB−H曲線内で(H,B)の軌跡が1周
期毎に囲む面積、すなわち、
【0025】
【数5】 に等しく、渦電流損Pe は磁束の変化幅、すなわち、鉄
心内に誘起される電圧に比例する。
心内に誘起される電圧に比例する。
【0026】突入電流が流れる時、銅損は定常時より増
加するが、鉄損については、電圧が一定ならば磁束の変
化幅も一定であるため、渦電流損Pe は一定で、ヒステ
リシス損Ph は鉄心が磁束の飽和領域に入ればむしろ減
少する。そこで、流入電力から銅損を差し引いた電力P
o の1周期分の積分値Wo は、突入電流が流れる時でも
定常時と比べて増加しない。
加するが、鉄損については、電圧が一定ならば磁束の変
化幅も一定であるため、渦電流損Pe は一定で、ヒステ
リシス損Ph は鉄心が磁束の飽和領域に入ればむしろ減
少する。そこで、流入電力から銅損を差し引いた電力P
o の1周期分の積分値Wo は、突入電流が流れる時でも
定常時と比べて増加しない。
【0027】ところが、変圧器の内部で短絡事故が発生
すると、アーク抵抗Ra に対して総流入電流I=I1 +
I2 から励磁電流分を除いた事故電流If が流れ込み、
機器に損傷を与える電力Pf =Ra ・If 2 が消費され
る。そこで、流入する電力から銅損を差し引いた電力P
o の1周期分の積分値Wo も内部事故時は定常時より増
加することになり、これにより内部事故の判別が可能と
なる。なお、外部事故の際は流入電流I1 ,I2 の絶対
値の増加により銅損は増加するが、積分値Woは変化せ
ず、誤判別することはない。
すると、アーク抵抗Ra に対して総流入電流I=I1 +
I2 から励磁電流分を除いた事故電流If が流れ込み、
機器に損傷を与える電力Pf =Ra ・If 2 が消費され
る。そこで、流入する電力から銅損を差し引いた電力P
o の1周期分の積分値Wo も内部事故時は定常時より増
加することになり、これにより内部事故の判別が可能と
なる。なお、外部事故の際は流入電流I1 ,I2 の絶対
値の増加により銅損は増加するが、積分値Woは変化せ
ず、誤判別することはない。
【0028】この積分値Wo は次式によって表現され
る。
る。
【0029】
【数6】 ここで、Tは電源周波数によって決まる周期であり、例
えば、50Hz では0.02秒(s)である。
えば、50Hz では0.02秒(s)である。
【0030】励磁突入電流は、変圧器に電圧を印加した
直後に発生し、その大きさは変圧器の定格電流程度か、
その数倍程度であることが実測されている。しかし、こ
の励磁突入電流は抵抗分によって次第に減衰し、非常に
小さな定常時の励磁電流に変わっていく。その波形を実
測したところ、減衰定数は1秒程度以上であった。
直後に発生し、その大きさは変圧器の定格電流程度か、
その数倍程度であることが実測されている。しかし、こ
の励磁突入電流は抵抗分によって次第に減衰し、非常に
小さな定常時の励磁電流に変わっていく。その波形を実
測したところ、減衰定数は1秒程度以上であった。
【0031】つまり、流入電流I1 ,I2 の振動振幅は
次第に減衰してゆくが、その時定数はかなり大きいの
で、1周期、例えば、0.02秒(s)程度では振幅の
等しい振動が繰返されると考えても良い。
次第に減衰してゆくが、その時定数はかなり大きいの
で、1周期、例えば、0.02秒(s)程度では振幅の
等しい振動が繰返されると考えても良い。
【0032】そこで、(7) 式中のI1 (T) =I1 (0) ,
I2 (T) =I2 (0) と見做すことができるから、[ ]
内はゼロとなり、結局、積分値Wo は次式で表現され
る。
I2 (T) =I2 (0) と見做すことができるから、[ ]
内はゼロとなり、結局、積分値Wo は次式で表現され
る。
【0033】
【数7】 この(8) 式は、鉄損と、鉄心中の蓄積エネルギーとの和
に相当する。上述の関係は積分範囲を任意の時間tから
t+Tまでとしても成立するので、次式で表現すること
ができる。
に相当する。上述の関係は積分範囲を任意の時間tから
t+Tまでとしても成立するので、次式で表現すること
ができる。
【0034】
【数8】 一方、変圧器の内部で故障があった場合には、常時の積
分値Wo に次式で表される機器損傷エネルギーWf
分値Wo に次式で表される機器損傷エネルギーWf
【0035】
【数9】 が追加される。そこで、次式で示す積分電力W
【0036】
【数10】 を常時監視し、Wo +αを閾値として下式 W≦Wo +α …(12) が成立する場合には、励磁突入電流が流れる場合を含め
て正常と判別し、下式 W>Wo +α …(13) が成立する場合には変圧器の内部故障と判別することが
できる。但し、積分電力Wは1周期分の計算が必要であ
るため、突入電流の最初の1周期は、内部事故と判別し
てしまう虞れがある。そこで、最初の1周期については
変圧器の内部故障と判別する動作を抑制する等の対策が
必要となる。
て正常と判別し、下式 W>Wo +α …(13) が成立する場合には変圧器の内部故障と判別することが
できる。但し、積分電力Wは1周期分の計算が必要であ
るため、突入電流の最初の1周期は、内部事故と判別し
てしまう虞れがある。そこで、最初の1周期については
変圧器の内部故障と判別する動作を抑制する等の対策が
必要となる。
【0037】実際的な手法としては、アナログ値を積分
処理する代わりに、通常のディジタル型保護リレー装置
で用いられるように、1周期を12個に分けた各時刻の
サンプル値を使い、台形則で積分値を近似したり、ある
いは、簡単には次式によっても近似可能である。
処理する代わりに、通常のディジタル型保護リレー装置
で用いられるように、1周期を12個に分けた各時刻の
サンプル値を使い、台形則で積分値を近似したり、ある
いは、簡単には次式によっても近似可能である。
【0038】
【数11】 すなわち、50Hz の電源周波数においては、1周期2
0ミリ秒(msec)を12分割した1.67ミリ秒(mse
c)毎に、変圧器の各巻線の電圧と電流との積の和から
各巻線の銅損分の和を差引いた値を、その直前の11回
分の同様な値と加え合わせた値をWとし、この値Wが閾
値を超えるか否かによって、内部故障か、励磁突入電流
かの判別が可能である。
0ミリ秒(msec)を12分割した1.67ミリ秒(mse
c)毎に、変圧器の各巻線の電圧と電流との積の和から
各巻線の銅損分の和を差引いた値を、その直前の11回
分の同様な値と加え合わせた値をWとし、この値Wが閾
値を超えるか否かによって、内部故障か、励磁突入電流
かの判別が可能である。
【0039】なお、上記の説明は2巻線変圧器を対象と
したが、3次回路を有する単巻変圧器及び3巻線変圧器
に対しても同様の原理が成立する。すなわち、3次の電
圧をV3 、電流をI3 、巻線抵抗をR3 とすると、流入
電力から銅損を差し引いた電力の1周期分の積分値をW
として、(11)式の代わりに次式を採用すれば、同じ結果
が得られる。
したが、3次回路を有する単巻変圧器及び3巻線変圧器
に対しても同様の原理が成立する。すなわち、3次の電
圧をV3 、電流をI3 、巻線抵抗をR3 とすると、流入
電力から銅損を差し引いた電力の1周期分の積分値をW
として、(11)式の代わりに次式を採用すれば、同じ結果
が得られる。
【0040】
【数12】 また、サンプル値を用いる場合は式(14)の代わりに
次式を採用すれば良い。
次式を採用すれば良い。
【0041】
【数13】 また、3相変圧器の場合にも、各相について上述の原理
が成立する。
が成立する。
【0042】本発明は上述した内部故障検出原理に基づ
いて変圧器の内部故障を判定しているので、変圧器に接
続される電力系統の特性と関係なく、変圧器の内部故障
を励磁突入電流が流れただけの正常状態と区別して判別
することができ、これによって信頼性を高めることがで
きる。また、各巻線に流入する電流の和を内部故障判定
の基準に付加して、さらに信頼性が高められる。また、
保護動作機能をディジタル信号処理系に持たせることに
よって、極めて容易に実施することができる。
いて変圧器の内部故障を判定しているので、変圧器に接
続される電力系統の特性と関係なく、変圧器の内部故障
を励磁突入電流が流れただけの正常状態と区別して判別
することができ、これによって信頼性を高めることがで
きる。また、各巻線に流入する電流の和を内部故障判定
の基準に付加して、さらに信頼性が高められる。また、
保護動作機能をディジタル信号処理系に持たせることに
よって、極めて容易に実施することができる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例によって詳
細に説明する。図1はこの発明の一実施例の構成を示す
ブロック図である。これは2巻線変圧器を保護対象とし
たもので、CTでなる1次側電流検出器7A、2次側電流
検出器7B、PTでなる1次側電圧検出器7C、2次側電流
検出器7Dが、それぞれ入力用変圧器でなる入力変換器8
A,8B,8C,8Dを介して、入力部10に接続されている。
入力部10は、入力変換器8A,8B,8C,8Dを介して入力さ
れる信号のノイズ分を除去するフィルタ11A ,11B ,11
C ,11D と、ノイズ分が除去された信号のうち予め定め
られた瞬時値を検出し記憶するサンプルホールド回路
(以下、S/H回路と言う)12A ,12B ,12C ,12D
と、記憶された値を順次読出すマルチプレクサ13と、読
出されたアナログ信号をディジタルデータに変換するA
/D変換器14と、これらのディジタルデータを一時的に
記憶するバッファ15とを備えている。また、バッファ15
には、演算処理部20、設定部30、及び出力部40がバス接
続されている。このうち、演算処理部20はマイクロプロ
セッサユニット(以下、MPUと言う)21と、MPU21
の演算処理上のワーキングエリア又は入出力のバッファ
として用いられるRAM22と、MPU21の演算処理に必
要な制御手順及び固定データを予め書込み、必要に応じ
てMPU21に提供するROM23とで構成されている。整
定部30は閾値等を入力する整定パネル31と、その出力を
MPU21に入力する形に変換するインタフェース32とで
なっている。さらに、出力部40は演算処理部20から出力
されたしゃ断指令を図示省略のしゃ断器に供給する形に
変換するインタフェースで構成されている。
細に説明する。図1はこの発明の一実施例の構成を示す
ブロック図である。これは2巻線変圧器を保護対象とし
たもので、CTでなる1次側電流検出器7A、2次側電流
検出器7B、PTでなる1次側電圧検出器7C、2次側電流
検出器7Dが、それぞれ入力用変圧器でなる入力変換器8
A,8B,8C,8Dを介して、入力部10に接続されている。
入力部10は、入力変換器8A,8B,8C,8Dを介して入力さ
れる信号のノイズ分を除去するフィルタ11A ,11B ,11
C ,11D と、ノイズ分が除去された信号のうち予め定め
られた瞬時値を検出し記憶するサンプルホールド回路
(以下、S/H回路と言う)12A ,12B ,12C ,12D
と、記憶された値を順次読出すマルチプレクサ13と、読
出されたアナログ信号をディジタルデータに変換するA
/D変換器14と、これらのディジタルデータを一時的に
記憶するバッファ15とを備えている。また、バッファ15
には、演算処理部20、設定部30、及び出力部40がバス接
続されている。このうち、演算処理部20はマイクロプロ
セッサユニット(以下、MPUと言う)21と、MPU21
の演算処理上のワーキングエリア又は入出力のバッファ
として用いられるRAM22と、MPU21の演算処理に必
要な制御手順及び固定データを予め書込み、必要に応じ
てMPU21に提供するROM23とで構成されている。整
定部30は閾値等を入力する整定パネル31と、その出力を
MPU21に入力する形に変換するインタフェース32とで
なっている。さらに、出力部40は演算処理部20から出力
されたしゃ断指令を図示省略のしゃ断器に供給する形に
変換するインタフェースで構成されている。
【0044】上記のように構成された本実施例の動作に
ついて以下に説明する。1次側電流検出器7A、2次側電
流検出器7B、1次側電圧検出器7C及び2次側電圧検出器
7Dの各検出値が、対応する入力変換器8A,8B,8C,8Dに
よってそれぞれ処理し易い大きさに変換され、入力部10
に取込まれる。
ついて以下に説明する。1次側電流検出器7A、2次側電
流検出器7B、1次側電圧検出器7C及び2次側電圧検出器
7Dの各検出値が、対応する入力変換器8A,8B,8C,8Dに
よってそれぞれ処理し易い大きさに変換され、入力部10
に取込まれる。
【0045】入力部10においては、ここに取込まれた検
出値を、それぞれフィルタ11A ,11B ,11C ,11D を通
してノイズ分を除去し、次いで、S/H回路12A ,12B
,12C ,12D によって、1周期20ミリ秒(msec)を
12等分した1.67ミリ秒(msec)毎に、その瞬時値
が検出、記憶される。マルチプレクサ13はそれぞれ記憶
された瞬時値を順次読出してA/D変換器14に与える。
A/D変換器14はこれらの値をディジタルデータに変換
してバッファ15に記憶させる。
出値を、それぞれフィルタ11A ,11B ,11C ,11D を通
してノイズ分を除去し、次いで、S/H回路12A ,12B
,12C ,12D によって、1周期20ミリ秒(msec)を
12等分した1.67ミリ秒(msec)毎に、その瞬時値
が検出、記憶される。マルチプレクサ13はそれぞれ記憶
された瞬時値を順次読出してA/D変換器14に与える。
A/D変換器14はこれらの値をディジタルデータに変換
してバッファ15に記憶させる。
【0046】一方、整定部30の整定パネル31を用いて保
護対象の2巻線変圧器の銅損計算に必要な定数、故障と
判定するための和電流及び電力積算値に対する閾値を整
定すると、これらの整定値がインタフェース32を介して
演算処理部20に送り込まれる。
護対象の2巻線変圧器の銅損計算に必要な定数、故障と
判定するための和電流及び電力積算値に対する閾値を整
定すると、これらの整定値がインタフェース32を介して
演算処理部20に送り込まれる。
【0047】演算処理部20においては、MPU21が入力
部10のバッファ15に記憶された1次側,2次側の各電流
データ及び電圧データを取込んでRAM22に記憶させる
と共に、整定部30から送り込まれたデータをRAM22に
記憶させる。続いて、MPU21はROM23に予め書き込
まれた制御手順及び固定データに従って内部故障の判断
処理を実行し、さらに、内部故障と判断した場合には、
しゃ断器に対するしゃ断指令を出力部40を介して出力す
る。
部10のバッファ15に記憶された1次側,2次側の各電流
データ及び電圧データを取込んでRAM22に記憶させる
と共に、整定部30から送り込まれたデータをRAM22に
記憶させる。続いて、MPU21はROM23に予め書き込
まれた制御手順及び固定データに従って内部故障の判断
処理を実行し、さらに、内部故障と判断した場合には、
しゃ断器に対するしゃ断指令を出力部40を介して出力す
る。
【0048】以下、図2のフローチャートに従ってMP
U21の処理手順を説明する。先ず、ステップ201 〜204
にて1次側電圧、電流、2次側電圧、電流を読取り、続
いて、ステップ205 にて一時側流入電流と2次側流入電
流の和電流を検出し、ステップ206 にて和電流が設定さ
れた閾値を超えるか否かを判定し、超えていなければ正
常と判断し、超えていた場合にはステップ215 の処理に
移る。
U21の処理手順を説明する。先ず、ステップ201 〜204
にて1次側電圧、電流、2次側電圧、電流を読取り、続
いて、ステップ205 にて一時側流入電流と2次側流入電
流の和電流を検出し、ステップ206 にて和電流が設定さ
れた閾値を超えるか否かを判定し、超えていなければ正
常と判断し、超えていた場合にはステップ215 の処理に
移る。
【0049】次に、ステップ207 においては1次側流入
電流に基づいて銅損を計算し、ステップ208 にて1次側
電圧と1次側流入電流とを乗算して瞬時電力を求め、ま
た、ステップ209 でこの瞬時電力から銅損分を差引く演
算を実行する。
電流に基づいて銅損を計算し、ステップ208 にて1次側
電圧と1次側流入電流とを乗算して瞬時電力を求め、ま
た、ステップ209 でこの瞬時電力から銅損分を差引く演
算を実行する。
【0050】一方、ステップ210 では2次側流入電流に
基づいて銅損を計算し、ステップ211 にて2次側電圧と
2次側流入電流とを乗算して瞬時電力を求め、また、ス
テップ212 でこの瞬時電力から銅損分を差引く演算を実
行する。
基づいて銅損を計算し、ステップ211 にて2次側電圧と
2次側流入電流とを乗算して瞬時電力を求め、また、ス
テップ212 でこの瞬時電力から銅損分を差引く演算を実
行する。
【0051】次に、ステップ213 においてはステップ20
9 で求めた値とステップ212 で求めた値とを加算するこ
とにより、変圧器に流入する電力から銅損分を差引いた
電力P(t) を演算する。因みにこの電力P(t) は次式の
演算結果に対応する。
9 で求めた値とステップ212 で求めた値とを加算するこ
とにより、変圧器に流入する電力から銅損分を差引いた
電力P(t) を演算する。因みにこの電力P(t) は次式の
演算結果に対応する。
【0052】 P(t) =V1 (t) I1 (t) −R1 I1 (t) 2+V2 (t)
I2 (t) −R2 I2 (t) 2…(17) 次に、ステップ214 においては、上記電力P(t) と、過
去に遡った11回分の値を積算して積算電力W(t) を求め
る。つまり、次式の演算を実行する。
I2 (t) −R2 I2 (t) 2…(17) 次に、ステップ214 においては、上記電力P(t) と、過
去に遡った11回分の値を積算して積算電力W(t) を求め
る。つまり、次式の演算を実行する。
【0053】
【数14】 次に、ステップ215においては、前述した流入電流の
和が整定値つまり閾値を超えていることを条件にして、
積算電力W(t)が故障判断のための整定値つまり閾値
を超えるか否かを調べ、整定値を超えていなければ励磁
突入電流と判断し、整定値を超えておれば内部故障と判
断してしゃ断指令を出力する。
和が整定値つまり閾値を超えていることを条件にして、
積算電力W(t)が故障判断のための整定値つまり閾値
を超えるか否かを調べ、整定値を超えていなければ励磁
突入電流と判断し、整定値を超えておれば内部故障と判
断してしゃ断指令を出力する。
【0054】なお、上述した処理は、演算時間や必要精
度の面から見て、現状のディジタル保護リレー装置の技
術を基にして十分に実現可能である。
度の面から見て、現状のディジタル保護リレー装置の技
術を基にして十分に実現可能である。
【0055】上述した流入電力サンプル値の和による内
部故障判断の有効性を確認するべく、励磁突入電流及び
内部故障時の各電流波形を想定してシミュレーションし
た結果を以下に示す。先ず、励磁突入電流については、
コンピュータ上で変圧器鉄心モデルを作り、実測におい
ても観測される図3の如き半波整流波形に近いものが得
られた。次に、故障電流については、低次の高調波を多
く含む波形例を合成することによって図4に示す如き波
形が得られた。この故障電流波形について、基本波成分
に対する直流分及び高調波分の含有率を調べると次のと
おりであった。
部故障判断の有効性を確認するべく、励磁突入電流及び
内部故障時の各電流波形を想定してシミュレーションし
た結果を以下に示す。先ず、励磁突入電流については、
コンピュータ上で変圧器鉄心モデルを作り、実測におい
ても観測される図3の如き半波整流波形に近いものが得
られた。次に、故障電流については、低次の高調波を多
く含む波形例を合成することによって図4に示す如き波
形が得られた。この故障電流波形について、基本波成分
に対する直流分及び高調波分の含有率を調べると次のと
おりであった。
【0056】直流分 :64% 第2次高調波分:32% 第3次高調波分:23% 第4次高調波分:39% 現在使用されている比率差動型変圧器保護リレー装置に
おいては、例えば、第2次高調波が15%以上含まれる
場合に、励磁突入電流と判別するので、図4に示す如き
故障電流波形の場合、保護リレー装置は動作しない。
おいては、例えば、第2次高調波が15%以上含まれる
場合に、励磁突入電流と判別するので、図4に示す如き
故障電流波形の場合、保護リレー装置は動作しない。
【0057】ここで、図3に示した励磁突入電流波形と
図4に示した故障電流波形について、変圧器への流入電
力の12回分のサンプル値の和を求めると図5に示すと
おりであった。なお、図5中の実線は励磁突入電流に対
応するもの、破線が故障電流に対応するものであり、こ
の両者を1周期程度の短時間にて容易に判別することが
可能である。また、励磁突入電流については、実測によ
り流入電力の値を把握しておくことは容易にできるの
で、内部故障と判別するための閾値を設定することは容
易である。
図4に示した故障電流波形について、変圧器への流入電
力の12回分のサンプル値の和を求めると図5に示すと
おりであった。なお、図5中の実線は励磁突入電流に対
応するもの、破線が故障電流に対応するものであり、こ
の両者を1周期程度の短時間にて容易に判別することが
可能である。また、励磁突入電流については、実測によ
り流入電力の値を把握しておくことは容易にできるの
で、内部故障と判別するための閾値を設定することは容
易である。
【0058】かくして、この実施例によれば、変圧器に
接続される電力系統の特性と関係なく、変圧器の内部故
障を励磁突入電流が流れただけの正常状態と区別して判
別することができる。
接続される電力系統の特性と関係なく、変圧器の内部故
障を励磁突入電流が流れただけの正常状態と区別して判
別することができる。
【0059】なお、上記実施例では、単相2巻線形の変
圧器を保護対象として説明したが、本発明はこれに適用
を限定されるものではなく、単巻変圧器や3巻線以上の
多巻線変圧器及び3相用の変圧器についても、流入電力
の瞬時値から銅損分を差引いた値の1周期分の積算値が
予め設定した閾値を超えるか否かにより、内部故障と励
磁突入電流が流れただけの正常状態とを判別することが
できる。
圧器を保護対象として説明したが、本発明はこれに適用
を限定されるものではなく、単巻変圧器や3巻線以上の
多巻線変圧器及び3相用の変圧器についても、流入電力
の瞬時値から銅損分を差引いた値の1周期分の積算値が
予め設定した閾値を超えるか否かにより、内部故障と励
磁突入電流が流れただけの正常状態とを判別することが
できる。
【0060】また、従来装置で採用した内部故障判定の
一つの条件、すなわち、流入電流の和が予め設定した閾
値を超えたことの条件を付加することによって、信頼性
を一層高めることができる。
一つの条件、すなわち、流入電流の和が予め設定した閾
値を超えたことの条件を付加することによって、信頼性
を一層高めることができる。
【0061】さらに、上記実施例にあっては、現在使用
されているディジタル型保護リレー装置の手法を採用し
て1周期12回のサンプル値を用いると共に、MPUを
構成要素としているが、図2のフローチャートを用いて
説明したと同様な処理を実行し得るものであれば、アナ
ログ信号を上記(11)式に従ってそのまま処理するように
構成しても良い。
されているディジタル型保護リレー装置の手法を採用し
て1周期12回のサンプル値を用いると共に、MPUを
構成要素としているが、図2のフローチャートを用いて
説明したと同様な処理を実行し得るものであれば、アナ
ログ信号を上記(11)式に従ってそのまま処理するように
構成しても良い。
【0062】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本
発明によれば、変圧器に接続される電力系統の特性とは
関係なく、変圧器の内部故障を励磁突入電流が流れただ
けの正常状態と区別して判別することができ、これによ
って信頼性の高い変圧器保護リレー装置を提供すること
ができる。
発明によれば、変圧器に接続される電力系統の特性とは
関係なく、変圧器の内部故障を励磁突入電流が流れただ
けの正常状態と区別して判別することができ、これによ
って信頼性の高い変圧器保護リレー装置を提供すること
ができる。
【0063】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例の主要な構成要素の処理手順
を示すフローチャート。
を示すフローチャート。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明するための励磁
突入電流の波形図。
突入電流の波形図。
【図4】本発明の一実施例の動作を説明するための内部
故障電流の波形図。
故障電流の波形図。
【図5】本発明の一実施例の動作を説明するために、変
圧器の流入電力と時間との関係を示す線図。
圧器の流入電力と時間との関係を示す線図。
【図6】本発明の概略構成を説明するための説明図。
【図7】本発明の原理を説明ための変圧器の等価回路
図。
図。
【図8】従来の変圧器保護リレー装置の主要な構成要素
の処理手順を示すフローチャート。
の処理手順を示すフローチャート。
1 変圧器 2,4 しゃ断器 3 1次側母線 5 2次側母線 6 変圧器保護リレー装置 7A,7B,7C,7D 検出器 8A,8B,8C,8D 入力変換器 10 入力部 20 演算処理部 30 整定部 40 出力部
Claims (4)
- 【請求項1】変圧器の内部故障を検出し、該変圧器の外
部接続回路を開放する変圧器保護リレー装置において、 前記変圧器の各巻線の電圧及び電流の検出値に基いて前
記変圧器に流入する電力及び前記変圧器の銅損を演算す
ると共に、前記流入電力から前記銅損を差引いた値を積
分し、1周期分の積分値が予め整定された閾値を超えた
ときに前記外部接続回路を開放するためのしゃ断指令を
出力する演算処理手段を備えたことを特徴とする変圧器
保護リレー装置。 - 【請求項2】変圧器の内部故障を検出し、該変圧器の外
部接続回路を開放する変圧器保護リレー装置において、 前記変圧器の各巻線の電圧及び電流の検出値に基いて、
前記変圧器の各巻線に流入する電流の和と、前記変圧器
に流入する電力及び前記変圧器の銅損とを演算すると共
に、前記流入電力から前記銅損を差引いた値を積分演算
し、前記和電流が予め整定された第1の閾値を超え、か
つ、1周期分の積分値が予め整定された第2の閾値を超
えたときに前記外部接続回路を開放するためのしゃ断指
令を出力する演算処理手段を備えたことを特徴とする変
圧器保護リレー装置。 - 【請求項3】変圧器の内部故障を検出し、該変圧器の外
部接続回路を開放する変圧器保護リレー装置において、 前記変圧器の各巻線の電圧及び電流の各検出値をサンプ
リングしそのサンプル値に基いて前記変圧器に流入する
電力及び前記変圧器の銅損の瞬時値を演算すると共に、
前記流入電力から前記銅損を差引いた値を加算し、1周
期分の加算値が予め整定された閾値を超えたときに前記
外部接続回路を開放するためのしゃ断指令を出力する演
算処理手段を備えたことを特徴とする変圧器保護リレー
装置。 - 【請求項4】変圧器の内部故障を検出し、該変圧器の外
部接続回路を開放する変圧器保護リレー装置において、 前記変圧器の各巻線の電圧及び電流の検出値をサンプリ
ングしそのサンプル値に基いて、前記変圧器の各巻線に
流入する電流の和の瞬時値と、前記変圧器に流入する電
力及び前記変圧器の銅損の瞬時値とを演算すると共に、
前記流入電力から前記銅損を差引いた値を加算し、前記
和電流が予め整定された第1の閾値を超え、かつ、1周
期分の加算値が予め整定された第2の閾値を超えたとき
に前記外部接続回路を開放するためのしゃ断指令を出力
する演算処理手段を備えたことを特徴とする変圧器保護
リレー装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33154893A JP3199940B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 変圧器保護リレー装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33154893A JP3199940B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 変圧器保護リレー装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07193987A JPH07193987A (ja) | 1995-07-28 |
JP3199940B2 true JP3199940B2 (ja) | 2001-08-20 |
Family
ID=18244905
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33154893A Expired - Fee Related JP3199940B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 変圧器保護リレー装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3199940B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103500249A (zh) * | 2013-09-25 | 2014-01-08 | 重庆大学 | 可视化继电保护整定计算系统及方法 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6958894B2 (en) * | 2001-05-17 | 2005-10-25 | Yong Cheol Kang | Relaying method for protecting a transformer using a difference of current |
JP5268557B2 (ja) * | 2008-10-20 | 2013-08-21 | 中国電力株式会社 | 停電情報通報システム |
JP6840618B2 (ja) * | 2017-05-17 | 2021-03-10 | 日置電機株式会社 | トランス損失測定装置およびトランス損失測定方法 |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP33154893A patent/JP3199940B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103500249A (zh) * | 2013-09-25 | 2014-01-08 | 重庆大学 | 可视化继电保护整定计算系统及方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07193987A (ja) | 1995-07-28 |
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