JP2007336337A - スピーカシステムおよびスピーカエンクロージャー - Google Patents

スピーカシステムおよびスピーカエンクロージャー Download PDF

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Abstract

【課題】細長い形状のパッシブ振動板を用いた場合に良好な低音再生を可能にする。
【解決手段】スピーカ10が駆動されると、スピーカエンクロージャー30内部の空気が圧縮または膨張し、これに伴って振動板31、32が振動する。振動板31の下端と振動板32の上端とは連結部33によって連結されているから、振動板31の上端と振動板32の下端とを固定端として、振動板31と振動板32とが一体となって1次振動モードで振動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカシステムおよびスピーカエンクロージャーの技術に関する。
低音を増強するスピーカシステムとしてバスレフ式のスピーカシステムが知られている。バスレフ式スピーカシステムは、スピーカユニットを設けたエンクロージャーにエンクロージャーの内部空間と外部空間を結合する共鳴管を設け、ヘルムホルツ共鳴を利用して低音を増強するものである。しかしながら、このスピーカシステムにおいてエンクロージャーの容積が小さい場合、共振周波数を低くするためには、共鳴管を小型で細長くしなければならず、空気抵抗が大きくなって低音増強機能が著しく低下し、また、共鳴管を通過する空気の速度が非常に速くなるために笛のような風切り音が発生するという問題がある。
共鳴管の代わりにドローンコーンを用いることも考えられる。しかし、ドローンコーンを用いた場合、共振周波数を低くするためには、その質量を大きくしなければならない。そして、共振周波数を低くするためには、振動板を支持するエッジのコンプライアンスが大きくなければならないが、質量の大きな振動板を支持するためにはエッジのバネ性や強度は大きくなければならず、コンプライアンスと相反することになる。また、重い振動板が完全に平行に振動することは難しく、ローリングやロッキングと呼ばれる異常振動を伴い易い。この異常振動は、歪みを増加させ無駄なエネルギーを消費して、効率を低下させてしまう。
上述したドローンコーンの欠点を補うために、例えば、特許文献1で開示された技術などが提案されている。この方式によれば、ローリングやロッキングは防止することができる。しかし、振動板の重量をその周囲に設けられたエッジで支える構造であるため、エッジに強度が必要になり、その制動効果により振動のQが小さくなるという問題がある。
そこで、本出願人は、図16、図17に示すスピーカシステムを考案した。このスピーカシステムは、スピーカエンクロージャー20の一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板21が設けられている。さらに、振動板21が設けられた一面において、振動板21の振動部位に対応する位置に開口部が設けられており、振動板21と開口部の縁部との間に形成される空隙22を、振動板21の振動を可能にした状態で塞ぎ、スピーカエンクロージャー20の気密性を保持する密閉部材23が設けられている。このように構成された振動板21をパッシブ振動板と呼ぶ。
このスピーカシステムにおいてスピーカ10が駆動されると、スピーカ10のコーン紙の振動がスピーカエンクロージャー20内の空気に伝搬され、この空気の振動によって振動板21が振動する。このとき、密閉部材23で気密性を保持された状態で振動する振動板21は、振動したときにスピーカエンクロージャー20内の空気容積を圧縮または膨張させる。したがって、振動板21の弾性に加えてスピーカエンクロージャー20の空気バネも加わったコンプライアンス(機械的可とう性)と振動板21の等価質量との間で新たな共振周波数を持つようになる。この結果、振動板21の共振周波数を中心に再生される音が生じる。共振周波数は、容易に低音領域の所望値にすることができる。
特表2002−531036号公報
ところが、上記のスピーカシステムには以下に示す問題がある。振動板21は全体がうちわのようにしなりながら図18(a)に示すように1次モードの振動をする。同時に、図18(b)に示す2次モードや図18(c)に示す3次モードなどの高次モードの振動が発生する。2次モードや3次モードの振動が発生すると、振動板21の各部で振動の位相が異なっているため、振動板21の各部から発生する音波に打ち消しが生じ、音響変換効率が低下してしまう。
一般的には、振動板21の剛性を適度に設定することによって1次モードの振動を最も強く発生させることができる。しかし、スピーカエンクロージャー20を細長く設計した場合には、振動板21も細長くなる。しなりによる振動が可能な柔軟さを持った振動板21をそのまま細長くした場合、長手方向の見かけの曲げ剛性が低下して高次振動の成分が増加してしまい、良好な低音再生ができなくなってしまう。
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、細長い形状のパッシブ振動板を用いた場合に良好な低音再生を可能にすることができるスピーカシステムを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明は、内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能な第1の振動板と、前記一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能であり、該他端が前記第1の振動板の他端と対向するように設けられた第2の振動板と、弾性を有し、前記第1の振動板の他端と前記第2の振動板の他端とを連結する連結部と、前記一面において、前記第1および第2の振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、前記第1および第2の振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記第1および第2の振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材とを具備することを特徴とするスピーカシステムを提供する。
上記の構成において、スピーカが駆動されると、スピーカエンクロージャー内部の空気が圧縮または膨張し、これに伴って第1および第2の振動板が振動する。第1の振動板の他端と第2の振動板の他端とは連結部によって連結されているから、第1の振動板の一端と第2の振動板の一端とを固定端として、第1の振動板と第2の振動板とが一体となって1次振動モードで振動する。
これはあたかも、図19(a)に示すように、1枚の細長い振動板の両端がスピーカエンクロージャーに対して完全に固定され、固定された両端を除く縁部とスピーカエンクロージャーとが柔軟なエッジで結合され、両持ち振動板として1次モードで振動しているのと等価であるとみなすことができる。大型のトールボーイ型のスピーカ(エンクロージャーが縦長であり、幅に対する高さの比が大きいもの)の場合でも、振動板の剛性と質量のバランスを調整することによって、このような単純な構造で十分な低音を再生することが可能となる。
しかしながら、このような単純な構造の場合、両持ち振動板の振動可能振幅は振動板の長手方向の伸びに依存する。十分な振動を得るために伸び易い柔軟な振動板を用いると、振動板の曲げ剛性が低下し、これによって図19(b)に示す2次モードや図19(c)に示す3次モード等の高次振動が発生し、その結果、十分な低音再生ができなくなってしまう。
そこで、本発明では、1枚の両持ち振動板を2枚の片持ち振動板で置き換え、共振周波数の調整や高次振動の抑制は個々の振動板の質量や剛性を調整することによって行い、振動可能振幅は2枚の振動板の連結部の柔軟性で決定できるようにした。すなわち、2枚の片持ち振動板はそれぞれ1次モードで同位相にて振動する。2枚の振動板と連結部とを1枚の振動板と見なした場合、両持ちの1次モードで振動することになる。
また、本発明は、内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動できる振動板と、弾性を有し、前記振動板の他端と前記スピーカエンクロージャーとを連結する連結部と、前記振動板と前記連結部とが設けられた面において、前記振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、前記振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材とを具備することを特徴とするスピーカシステムを提供する。
上記の構成において、スピーカが駆動されると、スピーカエンクロージャー内部の空気が圧縮または膨張し、これに伴って振動板が振動する。振動板の他端とスピーカエンクロージャーの一面とは連結部によって連結されているから、振動板の一端と他端とを固定端としたのに近似した状態となり、振動板が1次振動モードで振動する。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の外観を表す斜視図である。図2は、図1のA−A’線における断面図である。スピーカエンクロージャー30は直方体状のエンクロージャーであり、6面とも板状の部材(例えば、木材、合成樹脂、金属もしくはそれらを貼り合わせた合成材等)により形成されている。
前面のバッフル板30aの上部および下部には、ボイスコイル、マグネット等を備えたスピーカ10が取り付けられている。
バッフル板30aにおける2つのスピーカ10間の部分には上下方向に細長く切り欠かれた開口部34が設けられている。2つの開口部34に挟まれた部分は、振動板31、32、連結部33から構成される。振動板31の上端および振動板32の下端はバッフル板30aと一体であり、振動板31、32はそれ以外の部分よりも薄く形成されている。振動板31はその上端が固定された状態で弾性により自由に振動可能である。同様に、振動板32はその下端が固定された状態で弾性により自由に振動可能である。
振動板31の下端と振動板32の上端とは連結部33によって連結されている。連結部33は、振動板31の下端と振動板32の上端とが離れる方向に弾性により変形可能となっている。連結部33がこのように変形することによって、振動板31の下端と振動板32の上端とが互いに離れる方向に変位する。連結部33を変形させた外力が取り除かれると、連結部33は元の形状に戻り、振動板31の下端と振動板32の上端は元の位置に戻る。このように構成されていることによって、振動板31の下端と振動板32の上端とが対向した状態が常に維持される。
連結部33は、振動板31、32と一体に形成されていてもよいし、これらと別に作成された連結部33を振動板31、32に接合させてもよい。
振動板31、32は、音響的に十分な強度と弾性とを併せ持つ部材で形成されている。ここで、「音響的に十分な強度」とは、空気を通さず、空気よりも十分大きな密度をもち、振動したときに音波を発生する強度と弾性を持つことを意味する。また、振動板31、32は、それ自体で音波をある程度遮断できる性質を有する。
また、「弾性」の度合いは、振動板31、32の一辺を固定して水平に置いたときに自重を支えてほぼ水平に保つことができる程度である。このような特性を満足させるために、振動板31、32は、例えば薄い木の板、薄い合成樹脂、金属の板もしくはそれらを張り合わせた合成材等からなる。
図3の(a)、(b)は、それぞれ図1のB−B’線における断面図、図1のC−C’線における断面図である。これらの図に示すように、開口部34は断面がU字状のエッジ35によって、スピーカエンクロージャー30の内側から覆われ、これによってスピーカエンクロージャー30の気密性が保持されている。
図4は、バッフル板30aの背面を表す図である。エッジ35は、開口部34をその形状に沿って覆っている。
エッジ35は振動板31、32の重量を支える必要がなく、気密性を保つ機能のみを持てばよい。従って、柔らかい材料を使うことができ、振動板31、32の振動を抑制しない動き易い状態を作ることができる。
なお、エッジ35をバッフル板30aの前面に設けるようにしてもよい。
上述した構成において、スピーカ10が駆動されると、スピーカ10のコーン紙の振動がスピーカエンクロージャー30内の空気に伝搬され、この空気の振動によって振動板31、32が振動する。このとき、エッジ35によって気密性を保持された状態で振動する振動板31、32は、振動したときにスピーカエンクロージャー30内の空気容積を圧縮または膨張させる。従って、振動板31、32の弾性に加えてスピーカエンクロージャー30の空気バネも加わったコンプライアンス(機械的可とう性)と振動板31、32の等価質量との間で新たな共振周波数を持つようになる。この結果、振動板31、32の共振周波数を中心に再生される音が生じる。
ここで空気バネと振動板31、32の弾性は、等価的に2つのバネが並列に接続されているように機能するが、空気バネの方が振動板31、32のバネよりもコンプライアンスが小さいので、スピーカシステムとしての振動板31、32の共振周波数はほぼ空気のコンプライアンスと振動板31、32の等価質量で決まる。
以上のようにして決定される共振周波数は、容易に低音領域の所望値にすることができる。例えば、スピーカ10に有効直径8cm、最低共振周波数70z、Q=0.35のスピーカを用い、スピーカエンクロージャー30の内容量を7リッターとした場合に、振動板31、32の質量を135グラムとすると振動板の共振周波数を50Hzとすることができる。
図5(a)は、上述した具体例の場合のスピーカ10の周波数特性であり、図5(b)は振動板31、32の周波数特性である。この図で明らかなように、本実施形態において上述の数値を設定した場合は、50Hz付近が強調された低音を強く出力することができる。このように、本実施形態においては、振動板31,32の曲げ振動を利用することによって、ドローンコーンのようなパッシブラジエターとしての作用が得られる。
また、振動板31、32は連結部33によって連結されているため、振動板31、連結部33および振動板32からなる部位は、振動板31の上端と振動板32の下端とを固定端として振動する。この振動は1次振動モードを主体とする振動である。なぜなら、当該部位には、2次、3次あるいはそれ以上の高次振動モードも存在するが、スピーカエンクロージャー30内部の空気によって振動板31、32が駆動されるため、1次モードの振動が最も強く発生し、高次モードの振動の発生レベルは小さいからである。また、振動板31、32、連結部33の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。これによって、良好な特性の低音成分を出力することができるようになる。
なお、本実施形態においては、振動板31、32は、自重を十分支えられる程度の弾性を持っているので、振動板31、32を水平に置いてもそれ自身で水平を保持できる。また、振動板31、32自身の弾性が自由共振のコンプライアンスになるが、弾性を持った振動板31、32の内部損失は同じ弾性を持たせたエッジ35の内部損失より遥かに小さいため振動時の損失は十分小さい。
また、本実施形態におけるエッジ35は、従来のドローンコーン等に用いられるエッジに較べ柔らかな材質とすることができ、また、機械的な強度も必要ない。従来のドローンコーン等のパッシブラジエターにおいては、剛体の振動板をエッジで支えるという構造が必要であるため、エッジは振動板の支持と気密性の確保という2つの機能を持っていた。しかし、本実施形態においては、振動板31、32の支持機能を振動板31、32自体に持たせているので、エッジ35に支持機能は必要でない。そのため、エッジ35は、スピーカエンクロージャー30内の気密性を保持できれば足りるから、従来にない柔らかな材料を用いることができ、振動板31、32の振動を阻害しない状況を作ることができ、振動のQを大きくすることができる。
また、振動板31、32の共振周波数は、振動板31、32の質量を大きくすることで下げることができる。すなわち、振動板31、32の大きさや材質などによっても調整が可能であり、振動板31、32に何らかの部材を貼り付けることによっても容易に調整が可能である。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態の外観を表す斜視図である。図7は、図6のD−D’線における断面図である。スピーカエンクロージャー40は直方体状のエンクロージャーであり、6面とも板状の部材(例えば、木材、合成樹脂、金属もしくはそれらを貼り合わせた合成材等)により形成されている。
前面のバッフル板40aには、ボイスコイル、マグネット等を備えたスピーカ10が取り付けられている。
バッフル板40aの中央部から水平方向に細長く切り欠かれた開口部43が設けられている。この開口部43はスピーカエンクロージャー40の右側面板40bまで回り込むように設けられている。バッフル板40aにおいて2つの開口部43に挟まれた部分は、振動板41である。振動板41の左端はバッフル板40aと一体であり、振動板41はそれ以外の部分よりも薄く形成されている。スピーカエンクロージャー40の右側面板40bにおいて2つの開口部43に挟まれた部分は、連結部42である。連結部42の右端は右側面板40bと一体であり、連結部42はそれ以外の部分よりも薄く形成されている。このように形成された振動板41および連結部42は弾性により振動可能となっている。
図8は、図6のE−E’線における断面図である。同図に示すように、開口部43は断面がU字状のエッジ44によって、スピーカエンクロージャー40の内側から覆われ、これによってスピーカエンクロージャー40の気密性が保持されている。エッジ44は振動板41の重量を支える必要がなく、気密性を保つ機能のみを持てばよい。従って、柔らかい材料を使うことができ、振動板41の振動を抑制しない動き易い状態を作ることができる。
上述した構成において、スピーカ10が駆動されると、スピーカ10のコーン紙の振動がスピーカエンクロージャー40内の空気に伝搬され、この空気の振動によって振動板41が振動する。このとき、エッジ44で気密性を保持された状態で振動する振動板41は、振動したときにスピーカエンクロージャー40内の空気容積を圧縮または膨張させる。これによって、第1実施形態と同様に、振動板41の共振周波数を中心に再生される音が生じる。この共振周波数を低音領域の所望値にすることによって、低音成分を増強することができる。
また、連結部42を設けたことによって、図7において振動板41右端の上下方向の移動が規制される。一方、連結部42が弾性により曲げ変形することによって、振動板41右端は左端に近づく方向(図中矢印方向)に移動しやすい状態となっている。そのため、振動板41は、図中の破線で示した弓なりの形状に変形しやすい状態となっている。この状態は、振動板41の両端を固定端とした状態に近似している。
上記の状態にある振動板41は、第1実施形態で示したのと同様に、スピーカエンクロージャー40内部の空気によって駆動されるため、1次モードの振動が最も強く発生し、高次モードの振動の発生レベルは小さい。また、振動板41、連結部42の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
よって、良好な特性の低音成分を出力することができる。
<変形例>
以上説明した形態に限らず、本発明は種々の形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形した形態でも実施可能である。
<変形例1>
図9は、第1実施形態の変形例を表す斜視図である。図10は、図9のF−F’線における断面図である。本実施形態では、第1実施形態の連結部33に相当する部材は設けられておらず、振動板51の下端と振動板52の上端の間に開口部54が設けられている。
図11は、バッフル板50aの背面を表す図である。バッフル板50aの背面には開口部53および54をその形状に沿って覆うエッジ55が設けられている。
この構成によれば、振動板51、52はエッジ55によって連結されているため、振動板51、52およびエッジ55からなる部位は、全体として振動板51の上端と振動板52の下端とを固定端として振動する。この振動は1次モードを主体とする振動である。また、振動板51、52、エッジ55の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
<変形例2>
図12は、第1実施形態の別の変形例を表す斜視図である。図13は、図12のG−G’線における断面図である。本実施形態では、第1実施形態の連結部33の代わりに中間版63が設けられており、振動板61の下端の一部と中間板63の上端の一部とが一体に形成され、振動板62の上端の一部と中間板63の下端の一部とが一体に形成されている。そして、振動板61と中間版63の間、振動板62と中間版63の間にそれぞれ開口部65、66が設けられている。
図14は、バッフル板60aの背面を表す図である。バッフル板60aの背面には開口部64、65、66をその形状に沿って覆うエッジ67が設けられている。
この構成によれば、振動板61、62は中間板63およびエッジ67によって連結されているため、振動板61、62、中間板63およびエッジ67からなる部位は、全体として振動板61の上端と振動板62の下端とを固定端として振動する。この振動は1次振動モードを主体とする振動である。また、振動板61、62、中間板63、エッジ67の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
<変形例3>
図15は、第2実施形態の変形例を表し、図7と同じ位置における断面図である。本変形例では、第2実施形態の連結部42に相当する部材は設けられておらず、振動板71の右端とスピーカエンクロージャー70aの右側面板70bとが連結部72によって連結されている。連結部72は、弾性により変形可能である。連結部72は振動板71と一体に形成されていてもよいし、振動板71と別に作成された連結部72を振動板71に接合させてもよい。
連結部72を設けたことによって、図15において振動板71右端の上下方向の移動が規制される。一方、連結部72が弾性により曲げ変形することによって、振動板71右端は左端に近づく方向(図中矢印方向)に移動しやすい状態となっている。そのため、振動板71は、図中の破線で示した弓なりの形状に変形しやすい状態となっている。この状態は、振動板71の両端を固定端とした状態に近似している。
上記の状態にある振動板71は、第1実施形態で示したのと同様に、スピーカエンクロージャー70内部の空気によって駆動されるため、1次モードの振動が最も強く発生し、高次モードの振動の発生レベルは小さい。また、振動板71、連結部72の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
<変形例4>
図20は、第2実施形態の別の変形例を表す斜視図である。図21は、図20のH−H’線における断面図である。
バッフル板80aの上部と下部にはスピーカ10が取り付けられている。2つのスピーカ10に挟まれた部分は、長手方向の中央付近が背面側に向かって窪みを形成するように折れ曲がっている。また、2つのスピーカ10に挟まれた部分には長手方向に細長く切り欠かれた開口部83が設けられている。2つの開口部83に挟まれた部分は、振動板81、82である。振動板81の上端および振動板82の下端はバッフル板80aと一体であり、振動板81、82はそれ以外の部分よりも薄く形成されている。振動板81はその上端が固定された状態で弾性により自由に振動可能である。同様に、振動板82はその下部が固定された状態で弾性により自由に振動可能である。そして、振動板81の下端と振動板82の上端とが連結されることによって振動板81、82は一体となっている。
図22はバッフル板80aの背面を表す図である。開口部83に対応する位置には開口部83を塞ぐように柔軟なエッジ84が設けられており、これによってスピーカエンクロージャー80の機密性が保たれる。
スピーカ10が駆動されると、スピーカ10のコーン紙の振動がスピーカエンクロージャー80内の空気に伝搬され、この空気の振動によって振動板81、82が振動する。図23は、振動板81、82の振動の様子を表す図である。本変形例では、2枚の振動板の端部同士を連結することによって一方の振動板が他方の振動板に対して第2実施形態における連結部42の役目を果たすようになっている。図23は、振動板81、82に1次モードの振動が発生した場合の変位の様子を表している。図示のとおり、振動板81の中央であるJ点、振動板82の中央であるK点と比べて、振動板81と振動板82との連結点であるL点の変位は小さい。図24は、スピーカエンクロージャー80内の内圧の変化を表す図である。横軸は時間、縦軸は内圧である。図25は図24のように内圧が変化した場合のL点の変位を表す図である。横軸は時間、縦軸は変位量である。振動板81、82は両端を固定された振動板として振動し、内圧の変化に伴ってL点は図25のように振動する。また、各振動板の剛性を調整することによって、各振動板が主に1次モードで振動するようにすることができる。また、各振動板の質量を調整することによって、各振動板の共振周波数を調整することができる。
なお、スピーカ10は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、スピーカ10は振動板81、82と別々の面に設けるようにしてもよい。
<変形例5>
図26は、第2実施形態の別の変形例であるスピーカエンクロージャー90の正面を表す図である。図27は、図26のR−R’線における断面図である。図28はスピーカエンクロージャー90の背面を表す図である。スピーカエンクロージャー90の特徴を一言で表せば、変形例4における振動板81と振動板82との挟み角度を極端に小さくしたものである。スピーカエンクロージャー90の正面板90bには長円形の開口部93が設けられている。振動板91、92の一端はそれぞれ開口部93の上縁、下縁に取り付けられ、振動板91、92の他端はスピーカエンクロージャー90内部で連結されている。
図29は、図27のP−P’線における断面図、図30は、図27のQ−Q’線における断面図である。図32は、振動板91、92の連結された状態を表す斜視図である。図33は、エッジ94を表す斜視図である。スピーカエンクロージャー90と振動板91、92との間にできる空隙は、柔軟な材料で作成されたエッジ94によって塞がれる。エッジ94は、ポケットのような形状であり、図27、図29に示すように、振動板91と振動板92に挟まれた空間に挿入された場合に振動板91、92と密着するように形成されている。エッジ94は、接着、溶着等の手段でスピーカエンクロージャー90の開口部93の縁部、振動板91、92に取り付けられ、スピーカエンクロージャー90の気密性が保たれる。
スピーカ10が駆動されると、スピーカ10のコーン紙の振動がスピーカエンクロージャー90内の空気に伝搬され、この空気の振動によって振動板91、92が振動する。図31は、振動板91、92の振動の様子を表す図である。振動板91の中央であるS点、振動板92の中央であるT点、振動板91、92の連結点であるU点は、それぞれ図23におけるJ点、K点、L点と同様に変位する。
なお、以下に示すようなエッジを用いても良い。図34は、図29と同じ位置におけるエッジの断面を示す図である。図34(a)は振動板91、92の側端部間をU字状の断面を持つエッジ95で塞いだ例、図34(b)はV字状に折れ曲がったエッジ96で塞いだ例、図34(c)は振動板91、92で挟まれた空間の内部へ向かって折れ曲がったエッジ97で塞いだ例である。
第1実施形態の外観を表す斜視図である。 A−A’線における断面図である。 B−B’線における断面図、C−C’線における断面図である。 バッフル板30aの背面を表す図である。 スピーカ10、振動板31、32の周波数特性を表す図である。 第2実施形態の外観を表す斜視図である。 D−D’線における断面図である。 E−E’ 線における断面図である。 第1実施形態の変形例を表す斜視図である。 F−F’ 線における断面図である。 バッフル板50aの背面を表す図である。 第1実施形態の別の変形例を表す斜視図である。 G−G’ 線における断面図である。 バッフル板60aの背面を表す図である。 第2実施形態の変形例を表す断面図である。 スピーカシステムの例を示す図である。 スピーカシステムの例を示す図である。 振動板の振動の様子を示す図である。 振動板の振動の様子を示す図である。 第2実施形態の別の変形例を表す斜視図である。 H−H’ 線における断面図である。 バッフル板80aの背面を表す図である。 振動板81、82の振動の様子を表す図である。 スピーカエンクロージャー80内の内圧の変化を表す図である。 内圧が変化した場合のL点の変位を表す図である。 スピーカエンクロージャー90の正面を表す図である。 R−R’ 線における断面図である。 背面を表す図である。 P−P’ 線における断面図である。 Q−Q’ 線における断面図である。 振動板91、92の振動の様子を表す図である。 振動板91、92の連結された状態を表す斜視図である。 エッジ93を表す斜視図である。 エッジ93の断面を示す図である。
符号の説明
10…スピーカ、30…スピーカエンクロージャー、30a…バッフル板、31、32…振動板、33…連結部、34…開口部、35…エッジ、40…スピーカエンクロージャー、40a…バッフル板、40b…右側面板、41…振動板、42…連結部、43…開口部、44…エッジ。

Claims (4)

  1. 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
    前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
    前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能な第1の振動板と、
    前記一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能であり、該他端が前記第1の振動板の他端と対向するように設けられた第2の振動板と、
    弾性を有し、前記第1の振動板の他端と前記第2の振動板の他端とを連結する連結部と、
    前記一面において、前記第1および第2の振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
    前記第1および第2の振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記第1および第2の振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
    を具備することを特徴とするスピーカシステム。
  2. 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
    前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
    前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動できる振動板と、
    弾性を有し、前記振動板の他端と前記スピーカエンクロージャーとを連結する連結部と、
    前記振動板と前記連結部とが設けられた面において、前記振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
    前記振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
    を具備することを特徴とするスピーカシステム。
  3. スピーカが取り付けられるスピーカ取付穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
    前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能な第1の振動板と、
    前記一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能であり、該他端が前記第1の振動板の他端と対向するように設けられた第2の振動板と、
    弾性を有し、前記第1の振動板の他端と前記第2の振動板の他端とを連結する連結部と、
    前記一面において、前記第1および第2の振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
    前記第1および第2の振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記第1および第2の振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
    を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。
  4. スピーカが取り付けられるスピーカ取付穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
    前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動できる振動板と、
    弾性を有し、前記振動板の他端と前記スピーカエンクロージャーとを連結する連結部と
    前記振動板と前記連結部とが設けられた面において、前記振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
    前記振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
    を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。
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