JP2007336337A - スピーカシステムおよびスピーカエンクロージャー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スピーカ10が駆動されると、スピーカエンクロージャー30内部の空気が圧縮または膨張し、これに伴って振動板31、32が振動する。振動板31の下端と振動板32の上端とは連結部33によって連結されているから、振動板31の上端と振動板32の下端とを固定端として、振動板31と振動板32とが一体となって1次振動モードで振動する。
【選択図】図1
Description
一般的には、振動板21の剛性を適度に設定することによって1次モードの振動を最も強く発生させることができる。しかし、スピーカエンクロージャー20を細長く設計した場合には、振動板21も細長くなる。しなりによる振動が可能な柔軟さを持った振動板21をそのまま細長くした場合、長手方向の見かけの曲げ剛性が低下して高次振動の成分が増加してしまい、良好な低音再生ができなくなってしまう。
これはあたかも、図19(a)に示すように、1枚の細長い振動板の両端がスピーカエンクロージャーに対して完全に固定され、固定された両端を除く縁部とスピーカエンクロージャーとが柔軟なエッジで結合され、両持ち振動板として1次モードで振動しているのと等価であるとみなすことができる。大型のトールボーイ型のスピーカ(エンクロージャーが縦長であり、幅に対する高さの比が大きいもの)の場合でも、振動板の剛性と質量のバランスを調整することによって、このような単純な構造で十分な低音を再生することが可能となる。
そこで、本発明では、1枚の両持ち振動板を2枚の片持ち振動板で置き換え、共振周波数の調整や高次振動の抑制は個々の振動板の質量や剛性を調整することによって行い、振動可能振幅は2枚の振動板の連結部の柔軟性で決定できるようにした。すなわち、2枚の片持ち振動板はそれぞれ1次モードで同位相にて振動する。2枚の振動板と連結部とを1枚の振動板と見なした場合、両持ちの1次モードで振動することになる。
上記の構成において、スピーカが駆動されると、スピーカエンクロージャー内部の空気が圧縮または膨張し、これに伴って振動板が振動する。振動板の他端とスピーカエンクロージャーの一面とは連結部によって連結されているから、振動板の一端と他端とを固定端としたのに近似した状態となり、振動板が1次振動モードで振動する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の外観を表す斜視図である。図2は、図1のA−A’線における断面図である。スピーカエンクロージャー30は直方体状のエンクロージャーであり、6面とも板状の部材(例えば、木材、合成樹脂、金属もしくはそれらを貼り合わせた合成材等)により形成されている。
前面のバッフル板30aの上部および下部には、ボイスコイル、マグネット等を備えたスピーカ10が取り付けられている。
連結部33は、振動板31、32と一体に形成されていてもよいし、これらと別に作成された連結部33を振動板31、32に接合させてもよい。
また、「弾性」の度合いは、振動板31、32の一辺を固定して水平に置いたときに自重を支えてほぼ水平に保つことができる程度である。このような特性を満足させるために、振動板31、32は、例えば薄い木の板、薄い合成樹脂、金属の板もしくはそれらを張り合わせた合成材等からなる。
図4は、バッフル板30aの背面を表す図である。エッジ35は、開口部34をその形状に沿って覆っている。
エッジ35は振動板31、32の重量を支える必要がなく、気密性を保つ機能のみを持てばよい。従って、柔らかい材料を使うことができ、振動板31、32の振動を抑制しない動き易い状態を作ることができる。
なお、エッジ35をバッフル板30aの前面に設けるようにしてもよい。
また、振動板31、32の共振周波数は、振動板31、32の質量を大きくすることで下げることができる。すなわち、振動板31、32の大きさや材質などによっても調整が可能であり、振動板31、32に何らかの部材を貼り付けることによっても容易に調整が可能である。
図6は、本発明の第2実施形態の外観を表す斜視図である。図7は、図6のD−D’線における断面図である。スピーカエンクロージャー40は直方体状のエンクロージャーであり、6面とも板状の部材(例えば、木材、合成樹脂、金属もしくはそれらを貼り合わせた合成材等)により形成されている。
前面のバッフル板40aには、ボイスコイル、マグネット等を備えたスピーカ10が取り付けられている。
上記の状態にある振動板41は、第1実施形態で示したのと同様に、スピーカエンクロージャー40内部の空気によって駆動されるため、1次モードの振動が最も強く発生し、高次モードの振動の発生レベルは小さい。また、振動板41、連結部42の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
よって、良好な特性の低音成分を出力することができる。
以上説明した形態に限らず、本発明は種々の形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形した形態でも実施可能である。
図9は、第1実施形態の変形例を表す斜視図である。図10は、図9のF−F’線における断面図である。本実施形態では、第1実施形態の連結部33に相当する部材は設けられておらず、振動板51の下端と振動板52の上端の間に開口部54が設けられている。
図11は、バッフル板50aの背面を表す図である。バッフル板50aの背面には開口部53および54をその形状に沿って覆うエッジ55が設けられている。
この構成によれば、振動板51、52はエッジ55によって連結されているため、振動板51、52およびエッジ55からなる部位は、全体として振動板51の上端と振動板52の下端とを固定端として振動する。この振動は1次モードを主体とする振動である。また、振動板51、52、エッジ55の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
図12は、第1実施形態の別の変形例を表す斜視図である。図13は、図12のG−G’線における断面図である。本実施形態では、第1実施形態の連結部33の代わりに中間版63が設けられており、振動板61の下端の一部と中間板63の上端の一部とが一体に形成され、振動板62の上端の一部と中間板63の下端の一部とが一体に形成されている。そして、振動板61と中間版63の間、振動板62と中間版63の間にそれぞれ開口部65、66が設けられている。
図14は、バッフル板60aの背面を表す図である。バッフル板60aの背面には開口部64、65、66をその形状に沿って覆うエッジ67が設けられている。
この構成によれば、振動板61、62は中間板63およびエッジ67によって連結されているため、振動板61、62、中間板63およびエッジ67からなる部位は、全体として振動板61の上端と振動板62の下端とを固定端として振動する。この振動は1次振動モードを主体とする振動である。また、振動板61、62、中間板63、エッジ67の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
図15は、第2実施形態の変形例を表し、図7と同じ位置における断面図である。本変形例では、第2実施形態の連結部42に相当する部材は設けられておらず、振動板71の右端とスピーカエンクロージャー70aの右側面板70bとが連結部72によって連結されている。連結部72は、弾性により変形可能である。連結部72は振動板71と一体に形成されていてもよいし、振動板71と別に作成された連結部72を振動板71に接合させてもよい。
連結部72を設けたことによって、図15において振動板71右端の上下方向の移動が規制される。一方、連結部72が弾性により曲げ変形することによって、振動板71右端は左端に近づく方向(図中矢印方向)に移動しやすい状態となっている。そのため、振動板71は、図中の破線で示した弓なりの形状に変形しやすい状態となっている。この状態は、振動板71の両端を固定端とした状態に近似している。
上記の状態にある振動板71は、第1実施形態で示したのと同様に、スピーカエンクロージャー70内部の空気によって駆動されるため、1次モードの振動が最も強く発生し、高次モードの振動の発生レベルは小さい。また、振動板71、連結部72の材質や厚さを調整することによって、高次モードの振動を所望のレベルに抑えることが可能である。
図20は、第2実施形態の別の変形例を表す斜視図である。図21は、図20のH−H’線における断面図である。
バッフル板80aの上部と下部にはスピーカ10が取り付けられている。2つのスピーカ10に挟まれた部分は、長手方向の中央付近が背面側に向かって窪みを形成するように折れ曲がっている。また、2つのスピーカ10に挟まれた部分には長手方向に細長く切り欠かれた開口部83が設けられている。2つの開口部83に挟まれた部分は、振動板81、82である。振動板81の上端および振動板82の下端はバッフル板80aと一体であり、振動板81、82はそれ以外の部分よりも薄く形成されている。振動板81はその上端が固定された状態で弾性により自由に振動可能である。同様に、振動板82はその下部が固定された状態で弾性により自由に振動可能である。そして、振動板81の下端と振動板82の上端とが連結されることによって振動板81、82は一体となっている。
図22はバッフル板80aの背面を表す図である。開口部83に対応する位置には開口部83を塞ぐように柔軟なエッジ84が設けられており、これによってスピーカエンクロージャー80の機密性が保たれる。
なお、スピーカ10は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、スピーカ10は振動板81、82と別々の面に設けるようにしてもよい。
図26は、第2実施形態の別の変形例であるスピーカエンクロージャー90の正面を表す図である。図27は、図26のR−R’線における断面図である。図28はスピーカエンクロージャー90の背面を表す図である。スピーカエンクロージャー90の特徴を一言で表せば、変形例4における振動板81と振動板82との挟み角度を極端に小さくしたものである。スピーカエンクロージャー90の正面板90bには長円形の開口部93が設けられている。振動板91、92の一端はそれぞれ開口部93の上縁、下縁に取り付けられ、振動板91、92の他端はスピーカエンクロージャー90内部で連結されている。
図29は、図27のP−P’線における断面図、図30は、図27のQ−Q’線における断面図である。図32は、振動板91、92の連結された状態を表す斜視図である。図33は、エッジ94を表す斜視図である。スピーカエンクロージャー90と振動板91、92との間にできる空隙は、柔軟な材料で作成されたエッジ94によって塞がれる。エッジ94は、ポケットのような形状であり、図27、図29に示すように、振動板91と振動板92に挟まれた空間に挿入された場合に振動板91、92と密着するように形成されている。エッジ94は、接着、溶着等の手段でスピーカエンクロージャー90の開口部93の縁部、振動板91、92に取り付けられ、スピーカエンクロージャー90の気密性が保たれる。
なお、以下に示すようなエッジを用いても良い。図34は、図29と同じ位置におけるエッジの断面を示す図である。図34(a)は振動板91、92の側端部間をU字状の断面を持つエッジ95で塞いだ例、図34(b)はV字状に折れ曲がったエッジ96で塞いだ例、図34(c)は振動板91、92で挟まれた空間の内部へ向かって折れ曲がったエッジ97で塞いだ例である。
Claims (4)
- 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能な第1の振動板と、
前記一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能であり、該他端が前記第1の振動板の他端と対向するように設けられた第2の振動板と、
弾性を有し、前記第1の振動板の他端と前記第2の振動板の他端とを連結する連結部と、
前記一面において、前記第1および第2の振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
前記第1および第2の振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記第1および第2の振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動できる振動板と、
弾性を有し、前記振動板の他端と前記スピーカエンクロージャーとを連結する連結部と、
前記振動板と前記連結部とが設けられた面において、前記振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
前記振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - スピーカが取り付けられるスピーカ取付穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能な第1の振動板と、
前記一面において一端が固定され、他端が自由に振動可能であり、該他端が前記第1の振動板の他端と対向するように設けられた第2の振動板と、
弾性を有し、前記第1の振動板の他端と前記第2の振動板の他端とを連結する連結部と、
前記一面において、前記第1および第2の振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
前記第1および第2の振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記第1および第2の振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。 - スピーカが取り付けられるスピーカ取付穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定され、他端が自由に振動できる振動板と、
弾性を有し、前記振動板の他端と前記スピーカエンクロージャーとを連結する連結部と
前記振動板と前記連結部とが設けられた面において、前記振動板の振動部位と前記連結部とに対応する位置に設けられ、前記スピーカエンクロージャーの内部空間が露出する開口構造と、
前記振動板と前記連結部と前記開口構造の縁部との間に取り付けられ、前記開口構造によって露出する空間を前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。
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