JP4821288B2 - スピーカシステムおよびスピーカエンクロージャー - Google Patents
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Description
本発明の好ましい態様においては、前記振動板の一端が固定される部材を設け、かつ、前記振動板の端面が振動によって前記部材に衝突することを回避させる衝突防止構造を前記部材に設けたことを特徴とする。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1の実施形態であるスピーカシステムの外観を示す斜視図である。図1において、10は、ボイスコイル、マグネット等を備えたスピーカであり、スピーカエンクロージャー50の前面に取り付けられている。スピーカエンクロージャー50は、直方体状の密閉型のエンクロージャーであり、6面とも板状の部材(例えば、木材、合成樹脂、金属もしくはそれらを張り合わせた合成材等)により形成されている。
また、「弾性」の度合いは、この振動板51が水平になるように置いたときに自重を支えてほぼ水平に保つことができる程度である。このような特性を満足させるために、振動板51(すなわちバッフル板50a)は、例えば薄い木の板、薄い合成樹脂、金属の板もしくはそれらを張り合わせた合成材等からなる。
また、振動板51の共振周波数は、振動板51の質量を大きくすることで下げることができる。すなわち、振動板51の大きさや材質などによっても調整が可能であり、振動板51に何らかの部材を貼り付けることによっても容易に調整が可能である。
ここで、
Re=ボイスコイル直流抵抗
Le,L2,R2=高域インピーダンス上昇要素
Cmes=スピーカ振動系の等価質量容量
Lces=スピーカ振動系の等価コンプライアンスインダクタンス
Res=スピーカ振動系のメカニカル制動抵抗
である。
図10は、従来のドローンコーンやヒンジ固定フラップなどのパッシブラジエターの等価回路である。図示のように、スピーカからボイスコイルのファクターを無くした回路構成を持つ。質量Cmepは、エッジの持つコンプライアンスLcepと制動抵抗Repで支えられている。
ここで、
Cmep=パッシブラジエターの等価質量容量
Lcep=パッシブラジエターの等価コンプライアンスインダクタンス
Rep=パッシブラジエターのメカニカル制動抵抗
である。図11は従来のパッシブラジエターシステムの等価回路である。信号電圧がスピーカを駆動し、スピーカの音響出力がスピーカエンクロージャー容積を介してパッシブラジエターを駆動する。
図12において、
Cmeb=振動板の等価質量容量
Lceb=振動板の等価コンプライアンスインダクタンス
Lcex=振動板エッジの等価コンプライアンスインダクタンス
Rex=振動板エッジのメカニカル制動抵抗
である。図13は本件発明におけるスピーカシステムの等価回路である。図11と比較した場合、スピーカとスピーカエンクロージャー容積を同じとすると、
Cmep=Cmeb
とすれば、低域の共振周波数も同じになる。この重量を支えるコンプライアンスも同等のものが必要になるが、図11ではLcepであり、図13ではLcex>>Lcebであるから、ほとんどLcebとなり、適切な設計をすればほぼ
Lcep=Lceb
となる。ここまでのファクターに大きな差異はない。しかし、ここまでの説明で明らかなように、
Rex>>Rep
となることが、本願発明の重要な特徴であり、これにより従来方式に較べてロスが大幅に少なくなり、低音再生が有利になることが分かる。
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。図14は、この発明の第2の実施形態の側面図である。図において、100は、スピーカエンクロージャー50を角度を調節および固定するための支持部材である。なお、図14におけるスピーカエンクロージャー50は、第1実施形態に示したものと同様であり、ここではその説明を省略する。
支持部材100の下部は、棚や机などの設置面Pに自立できる脚部となっている。支持部材100の上部は、支点101でスピーカエンクロージャー50を支持する構造になっている。支点101には孔が設けられており、ここにネジが貫通される構造になっている。一方、スピーカエンクロージャー50の支点101に対応する部分には、雌ねじが切られており、上述の孔を貫通したネジが螺合するようになっている。このため、ネジを締め付けたときは、支持部材100の上部がスピーカエンクロージャー50の側面を押さえ込むため、スピーカエンクロージャー50は固定される。一方、ネジを緩めた場合は、スピーカエンクロージャー50は、支点を中心にして垂直方向に回動自在となる。したがって、振動板51が取り付けられているバッフル板の角度を所望の角度にした状態でネジを締め付けることにより、その角度を保持することができる。すなわち、スピーカエンクロージャー50の振動板51の角度を調節することができる。振動板51の角度によっては、支点に対する自重のかかり方が変わるので、共振周波数を変更することができる。
次に、この発明の第3の実施形態を説明する。図15は、この発明の第3の実施形態であるスピーカシステムの外観を示す斜視図であり、図16(a)および(b)は、各々同実施形態の構成を示す側断面図および側面図である。図15において、スピーカ10はスピーカエンクロージャー20の前面に取り付けられている。また、図16(a)に示すようにスピーカエンクロージャー20の前面のバッフル板20aには薄い板状の振動板30が取り付けられている。振動板30はスピーカエンクロージャー20の前面と同じ大きさに形成され、スピーカエンクロージャー20の前面全体を覆っている。振動板30とバッフル板20aを貫通してスピーカ取付穴が設けられ、このスピーカ取付穴に前述したスピーカ10が挿入されている。この場合、スピーカ10の前面のフレームがネジにより振動板30およびバッフル板20aに固定されている。
上述したバッフル板20aの下端、傾斜部20gおよび前端部20eの上縁によって囲まれた空間は、開口部20bとなっている。上記構成においては、振動板30の上部は、バッフル板20aに固定されているが、振動板30の下部は開口部20bに対向しているため片持ち梁のように自由端になっており、振動板30の弾性によって自由に振動できるようになっている。なお、以下においては、振動板30の下部を振動部位30aという。
ここで、図17は、振動板30を取り外した状態のスピーカエンクロージャー20の正面図である。図17でハッチングを示した部分がエッジ40であり、このエッジ40においてスピーカエンクロージャー20の内部空間側に突出している部分が折れ部40aおよび40bである。また、図18はスピーカエンクロージャー20の底面図である。
次に、この発明の第4の実施形態を説明する。図20は、この発明の第4の実施形態であるスピーカシステムの外観を示す斜視図である。このスピーカシステムが第3実施形態で示したスピーカシステムと異なる点は、ストッパ部材とストッパとを備えることに代えて、フック303(図20に図示)を備えている点である。フック303は、スピーカエンクロージャー20の傾斜部20gに回動自在に固定され、その先端が振動板30の下部の側面に設けられたリング304に係合できるようになっている。フック303がリング304に係合することにより、振動板30をスピーカエンクロージャー20本体に固定することができる。これによって、運搬時等における振動板30の不要な振動を押さえることができ、破損を防ぐことができる。
または、第1実施形態で示したような、バッフル板に切欠部を設けて振動板を形成するスピーカシステムにおいては、例えば、図22に示すように、留め金機構305を設けて、振動板51をスピーカエンクロージャー50に固定するようにしてもよい。この留め金機構305は、振動板51側に設けられたアーチ状の部材305aと、バッフル板側に設けられたアーチ状の部材305bに細長い板状の貫通部材305cを通すことによって、振動板51を固定する。
次に、この発明の第5の実施形態を説明する。図23(a)は、この発明の第5の実施形態であるスピーカシステムの外観を示す斜視図であり、(b)および(c)は、各々同実施形態の側断面図および横断面図である。図示のように、スピーカエンクロージャー80のバッフル板80aには長方形の開口部が設けられている。また、図23(b)に示すように、バッフル板80aの開口部の上部の内側には、水平方向に伸びる支持材83が設けられており、振動板82は支持材83に固定されている。この場合の固定方法は、両面テープあるいは接着剤によって、両者の接触面の前面が強固に接着されるように固定する。また、バッフル板80aの開口部の周囲と振動板82とをエッジ81が覆っており、このエッジ81によってスピーカエンクロージャー80の気密性が確保されている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)上述した第1実施形態においては、スピーカエンクロージャーのスピーカが設けられている面に切欠部を設けて振動板を形成するようにしたが、振動板を形成する(切欠部を設ける)位置はこれに限定されるものではなく、スピーカエンクロージャーの一面であればどのような位置であってもよい。例えば、バッフル板と対向する面、すなわちスピーカエンクロージャーの背面に切欠部を設けるようにしてもよい。
Claims (10)
- 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と、
前記振動板の固定された側の一部を前記一面に固定し、前記振動板の振動の支点位置を変更する支点位置変更部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と、
前記スピーカエンクロージャーを前記一面に隣接する面と該面に対面する面とから支持するとともに、支持状態において前記一面の垂直方向の角度が変更可能な支持部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と、
前記振動板の振動領域に突出して前記振動板が衝突する位置に設けられ、前記振動板の振れ量が所定値以上にならないように規制するストッパ部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と、
前記振動板に対して着脱自在に構成され、前記振動板に装着されたときは前記振動板の動きを拘束して固定する固定部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材とを備え、
前記振動板の振動部位の先端は、前記一面より前記スピーカエンクロージャーの内部に位置し、前記先端は振れ量が所定値以上になると前記一面に衝突することを特徴とするスピーカシステム。 - 前記振動板の一端が固定される部材を設け、かつ、前記振動板の端面が振動によって前記部材に衝突することを回避させる衝突防止構造を前記部材に設けたことを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のスピーカシステム。
- スピーカが取り付けられるスピーカ取り付け穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面に一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と、
前記振動板の固定された側の一部を前記一面に固定し、前記振動板の振動の支点位置を変更する支点位置変更部材と
を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。 - スピーカが取り付けられるスピーカ取り付け穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面に一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と、
前記振動板の振動領域に突出して前記振動板が衝突する位置に設けられ、前記振動板の振れ量が所定値以上にならないように規制するストッパ部材と
を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。 - スピーカが取り付けられるスピーカ取り付け穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面に一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と、
前記振動板に対して着脱自在に構成され、前記振動板に装着されたときは前記振動板の動きを拘束して固定する固定部材と
を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。 - スピーカが取り付けられるスピーカ取り付け穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面に一端が固定された状態で弾性により振動可能な振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材とを備え、
前記振動板の振動部位の先端は、前記一面より前記スピーカエンクロージャーの内部に位置し、前記先端は振れ量が所定値以上になると前記一面に衝突することを特徴とするスピーカエンクロージャー。
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