JP2007327699A - 加熱調理器および電磁誘導加熱式調理器 - Google Patents

加熱調理器および電磁誘導加熱式調理器 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱調理器において調理物の内部に水分や油が十分に残るようにすること。
【解決手段】下面加熱手段5は調理開始から第1の所定時間までは、下面加熱手段5を調理物からの油が着火可能な第1温度で制御を行い、第1の所定時間から第2の所定時間までは少なくとも下面加熱手段5への入力を停止または断続的に入力を行い、第2の所定時間から調理終了までは下面加熱手段5を調理物からの油が発火しない第2温度以下で制御することにより、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るように調理時間を短くすることができる加熱調理器を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的な食材等の調理物の加熱調理を最適に行うための手段を有した加熱調理器および電磁誘導加熱式調理器に関するものである。
従来、この種の加熱調理器および電磁誘導加熱式調理器は、受け皿に溜まった油が発火しないように受け皿を冷却する構成としている(例えば、特許文献1参照)。
図11は、特許文献1に記載された従来の加熱調理器を示すものである。図11に示すように、従来の加熱調理器は調理室101内の上側に設けられた上ヒータ102と、調理室101内の下側に設けられた下ヒータ103と、各ヒータの間に設けられた焼き網104の上に調理物105が設置される。下ヒータ103の下には受け皿106が設置され、調理物105から調理とともに滴下される油を受ける構成としている。受け皿106の下部には空間が設けられ、冷却ファン107により吸気口108を通して外気が取り入れられ、側面の排気口109から排出される。
特許第3446436号公報
しかしながら、前記従来の構成では、受け皿温度が高くなることを防止するために受け皿を冷却するためのファンと冷却風を通す空間が必要であり、限られた空間では調理室が狭くなるという課題を有していた。
また、調理開始から調理終了まで、上面加熱手段と下面加熱手段は制御を行わずに連続で入力するため、調理途中で調理物からの油が下面加熱手段に滴下したときに瞬間的な発火が起こり、万一冷却ファンが止まれば受け皿温度が高くなるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、下面加熱手段の最適な制御を行い、受け皿温度が上がらないような制御を行うため、冷却ファンと冷却ファンを通す空間が無くても、受け皿に溜まった油の着火を防止するとともに、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るように調理時間を短くすることができる加熱調理器を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、受け皿を備えた焼き網上に載せた調理物を収容する調理室と、前記調理物の上面を加熱する上面加熱手段と、前記調理物の下面を前記焼き網の下から加熱する下面加熱手段とからなる加熱調理器であって、前記下面加熱手段は調理開始から第1の所定時間までは、前記下面加熱手段を前記調理物からの油が着火可能な第1温度で制御を行い、前記第1の所定時間から第2の所定時間までは少なくとも前記下面加熱手段への入力を停止または断続的に入力を行い、前記第2の所定時間から調理終了までは前記下面加熱手段を前記調理物からの油が発火しない第2温度で制御したものである。
本発明の加熱調理器は、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るように調理時間を短くすることができる加熱調理器を提供することができる。
第1の発明は、受け皿を備えた焼き網上に載せた調理物を収容する調理室と、前記調理物の上面を加熱する上面加熱手段と、前記調理物の下面を前記焼き網の下から加熱する下面加熱手段とからなる加熱調理器であって、前記下面加熱手段は調理開始から第1の所定時間までは、前記下面加熱手段を前記調理物からの油が着火可能な第1温度で制御を行い、前記第1の所定時間から第2の所定時間までは少なくとも前記下面加熱手段への入力を停止または断続的に入力を行い、前記第2の所定時間から調理終了までは前記下面加熱手段を前記調理物からの油が発火しない第2温度で制御した加熱調理器とすることにより、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るように調理時間を短くすることができる加熱調理器とすることができる。
第2の発明は、調理開始から第1の所定時間の間、加熱調理器は、最大出力を出力することを特徴とすることにより、調理物の表面だけが一層焼け始め調理物を構成する蛋白質成分が調理物の表面で薄い膜を作り内部に含まれる水分の蒸発を抑制することができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の第1の所定時間は、上面加熱手段および/または下面加熱手段で加熱しても調理物から油がでないまたは発火しない程度の油しかでないと推定した時間であるとすることにより、受け皿の油に引火することも無く、調理物を焦がすことがない加熱調理器とすることができる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の第2の温度を500℃以下とした加熱調理器とすることにより、第2の時間から調理終了まで下面加熱手段を500℃以下とした第2の温度で制御することにより、調理物の表面から内部に徐々に熱が浸透しながら調理が進行するので、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るように制御された加熱調理器とすることができる。また第2の温度で制御する第2の時間から調理終了までは、500℃以下で制御することにより、調理物から下面加熱手段に滴下する油に火が着くことはないため、調理初期から終了まで調理物を焦がすことがない加熱調理器とすることができる。
第5の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の第2の温度を400℃以上500℃以下とした加熱調理器とすることにより、第2の所定時間から調理終了まで下面加熱手段を400℃以上500℃以下とした第2の温度で制御することにより、調理物の表面から内部に徐々に熱が浸透しながら調理が進行しつつ、調理時間を短くすることができるので、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が一層十分に残るように制御された加熱調理器とすることができる。また第2の温度で制御する第2の所定時間から調理終了までは、400℃以上500℃以下で制御することにより、調理物から下面加熱手段に滴下する油に火が着くことはないため、調理初期から終了まで調理物を焦がすことがない加熱調理器とすることができる。さらに、熱手段の温度が400℃より低くなって加熱手段が被調理物に与える熱量が不足して被調理物の調理性能が低下するのを低減することができる。
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の第1の所定時間を6分以下とした加熱調理器とすることにより、第1の所定時間を6分以下とすることで、調理開始から連続入力により初期の調理が行われ、調理物の表面だけが焼け始め調理物を構成する蛋白質成分が調理物の表面で薄い膜を作り内部に含まれる水分の蒸発を一層抑制することができる。また下面加熱手段は第1の所定時間までは連続入力を行うが、6分以下とすることでその間は調理物から滴下する油の量は少なく、調理初期では受け皿に油が溜まっていないため、受け皿の油に引火することも無いため、調理物を焦がすことがない加熱調理器とすることができる。
第7の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の第1の所定温度は600℃以上700℃以下で、なおかつ第1の所定時間は3分以上4分以下とした加熱調理器とすることにより、第1の温度が600℃以上700℃以下であれば、第1の所定時間を3分以上4分以下とすれば、調理開始から連続入力による初期の調理で、調理物の表面だけが焼け始め調理物を構成する蛋白質成分が調理物の表面で薄い膜を作り内部に含まれる水分の蒸発を一層抑制することができる。また下面加熱手段は第1の温度が600℃以上700℃以下であれば、第1の所定時間が4分以下とすることで、その間は調理物から滴下する油の量は少なく、調理初期では受け皿に油が溜まっていないため、受け皿の油に引火することも無いため、調理物を焦がすことがない加熱調理器とすることができる。
第8の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の第1の温度は700℃以上800℃以下で、なおかつ第1の所定時間は2分以上3分以下とした加熱調理器とすることにより、第1の温度が700℃以上800℃以下であれば、第1の所定時間を2分以上3分以下とすれば、調理開始から連続入力による初期の調理で、調理物の表面だけが焼け始め調理物を構成する蛋白質成分が調理物の表面で薄い膜を作り内部に含まれる水分の蒸発を一層抑制することができる。また下面加熱手段は第1の温度が700℃以上800℃以下であれば、第1の所定時間が3分以下とすることで、その間は調理物から滴下する油の量は少なく、調理初期では受け皿に油が溜まっていないため、受け皿の油に引火することも無いため、調理物を焦がすことがない加熱調理器とすることができる。
第9の発明は、特に、第1〜9のいずれか1つの発明の加熱調理器を搭載した電磁誘導加熱式調理器とすることにより、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るように調理時間を短くすることができる加熱調理器とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の構成図を示すものである。
図2は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の下面加熱手段の温度変化を示すグラフである。
図3は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の下面加熱手段に油を滴下したときに受け皿の油に着火する境界を示すグラフである。
図1において、本発明の加熱調理器9は、受け皿8を備えた焼き網2上に載せた調理物3を収容する調理室1内に、調理物3の上面を加熱する上面加熱手段4と、下面を加熱する下面加熱手段5と、調理室1の上部に排気口6を設け、排気口6から調理室1の上方を通る排気通路7からなる構成としている。
図2において、本発明の加熱調理器9における下面加熱手段5の調理経過時間における温度変化を示したもので、下面加熱手段5は調理開始点Sから第1の所定時間t1までは連続入力を行い、下面加熱手段の温度を油が着火可能な第1の温度T1に到達するように制御する。その後、第1の所定時間t1から第2の所定時間t2までは入力を停止し、下面加熱手段5を調理物からの油が発火しない第2温度T2に到達する。そして、第2の温度T2以下で制御を行い調理終了点Eになる。なお、本実施の形態では第1の所定時間t1から第2の所定時間t2までは入力を停止しているが、下面加熱手段5を断続的に入力して第2の温度T2の到達させてもかまわない。
ここで、第1の所定時間t1は、調理物を上面加熱手段4および下面加熱手段5で加熱しても油がでないまたは発火しない程度の油しかでないと推定する時間である。
図3において、本発明の加熱調理器9における下面加熱手段5に油を滴下したときに、受け皿8に溜まった油に着火する境界線を示したもので、例えば、下面加熱手段5が550℃以上であれば受け皿8が室温の20℃でも、下面加熱手段5に油が滴下した時に受け皿8に溜まった油に着火することを示している。もちろん、受け皿8に油が溜まっていなければ着火することはない。
なお、第1の所定時間t1は、調理物を上面加熱手段4または下面加熱手段5で加熱しても油がでないまたは発火しない程度の油しかでないと推定する時間であってもよい。
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
まず、焼き網2上に載せた調理物3は、上面加熱手段4と、下面加熱手段5からの加熱により調理される。下面加熱手段5の加熱条件は図2に示す通りであり、調理開始から第1の所定時間t1までは連続入力により初期の調理が行われ、調理物3から油が滴下する量は発火しない程度の量または滴下しないため、受け皿8に着火することは無い。
調理開始から第1の所定時間までは連続入力により初期の調理が行われ、調理物の表面だけが焼け始め調理物を構成する蛋白質成分が調理物の表面で薄い膜を作り内部に含まれる水分の蒸発を抑制することができる。
次に、第1の所定時間t1から第2の所定時間t2までは、下面加熱手段5の入力を停止することにより、下面加熱手段5の温度を低下させるが、この段階では調理物3全体から油成分が滴下し、下面加熱手段5に接触したときに一瞬火が着くことはあるが、受け皿8に溜まった油が少ないため、受け皿8に着火することはない。第1の所定時間から第2の所定時間までは、調理物の加熱温度は低下し余熱だけで調理が進行する。
そして第2の所定時間t2から調理終了までは第2の温度T2で制御するため、調理物3から下面加熱手段5に落ちる油に火が着くことはない。第2の時間から調理終了までは下面加熱手段を最適な加熱温度で制御することにより、調理物の表面から内部に徐々に熱が浸透しながら調理が進行するので、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るように制御される。
(実験1)
本発明の加熱調理器として、図1の加熱調理器を用いた。本発明の加熱調理器1Aは下面加熱手段の制御として第2の温度が500℃以下として、上面加熱手段と下面加熱手段としてシーズヒータを用いた。比較として従来例1は上面加熱手段と下面加熱手段を制御しない加熱調理器1Bを用いた。また従来例2は上面加熱手段と下面加熱手段を交互に制御する加熱調理器1Cを用いた。従来例1と従来例2の構成は図1と同様である。
加熱調理器1A、1Bについて以下の手段を用いて評価を行った。加熱調理器の調理室に秋刀魚4匹を入れ、それぞれの加熱調理器で同じ調理性能となるように秋刀魚の焼き具合を調整して調理時間を決めた。調理開始から経過時間ごとに調理終了まで、下面加熱手段の温度と受け皿の温度を測定し、また調理開始前後の秋刀魚の重量を測定し、4匹の重量減少率の平均を求めた。測定の結果を図4、図5、図6、表1に示す。
Figure 2007327699
表1から明らかなように、本発明の加熱調理器1Aの方が、従来の加熱調理器1B、1Cよりも重量減少率が低く、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残っていることがわかる。また図4から明らかなように、本発明の加熱調理器1Aは14分で調理が終了するが、図3に示す油の発火領域に入るのは調理開始初期だけであり、調理開始初期には受け皿に油が無いまたは少量の油しかないため、受け皿に着火することは無い。一方、図5から明らかなように、従来の加熱調理器1Bは14分で調理が終了するが、調理中盤以降でも図3に示す油の発火領域に入っており、受け皿に溜まった油に着火し調理物が焦げた。また図6から明らかなように、従来の加熱調理器1Cは調理終了までに25分かかり、調理中盤以降は図3に示す油の発火領域に入っておらず、受け皿への着火は無いが、調理時間が長すぎるため調理物が乾燥し調理物の内部に水分や油が十分に残らない。
これにより本発明の加熱調理器は、下面加熱手段の最適な制御を行うことにより、従来の加熱調理器よりも調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るよう調理され、受け皿の油に引火することも無いため、調理初期から終了まで調理物を焦がすことがなく調理できることがわかる。
(実験2)
本発明の加熱調理器として、図1の加熱調理器を用いた。加熱調理器2Aは下面加熱手段の制御として第2の温度が400℃〜500℃の範囲の中で最も低い400℃付近として、上面加熱手段と下面加熱手段としてシーズヒータを用いた。
加熱調理器2Aについて以下の手段を用いて評価を行った。加熱調理器の調理室に秋刀魚4匹を入れ、実験1と同じ調理性能となるように秋刀魚の焼き具合を調整して調理時間を決めた。調理開始から経過時間ごとに調理終了まで、下面加熱手段の温度と受け皿の温度を測定し、また調理開始前後の秋刀魚の重量を測定し、4匹の重量減少率の平均を求めた。測定の結果を図7に示す。
本発明の加熱調理器2Aでは秋刀魚の重量減少率は20.4%で、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残っていることがわかる。また図7から明らかなように、本発明の加熱調理器2Aは15分で調理が終了するが、図3に示す油の発火領域に入るのは第1の所定時間である調理開始初期だけであり、第1の所定時間には受け皿に油が無いまたは油が発火しない程度の少量であるため受け皿に着火することは無い。これにより本発明の加熱調理器は、下面加熱手段の最適な制御を行うことにより、従来の加熱調理器よりも調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るよう調理され、受け皿の油に引火することも無いため、調理初期から終了まで調理物を焦がすことがなく調理できることがわかる。
(実験3)
本発明の加熱調理器として、図1の加熱調理器を用いた。加熱調理器3Aは下面加熱手段の制御として第1の温度が600〜700℃の範囲の中で最も低い600℃付近とし、第1の所定時間が4分として、上面加熱手段と下面加熱手段としてシーズヒータを用いた。また、加熱調理器3Bは下面加熱手段の制御として第1の温度が600〜700℃の範囲の中で最も高い700℃付近とし、第1の所定時間が3分とした。
加熱調理器3A、3Bについて以下の手段を用いて評価を行った。加熱調理器の調理室に秋刀魚4匹を入れ、実験1と同じ調理性能となるように秋刀魚の焼き具合を調整して調理時間を決めた。調理開始から経過時間ごとに調理終了まで、下面加熱手段の温度と受け皿の温度を測定し、また調理開始前後の秋刀魚の重量を測定し、4匹の重量減少率の平均を求めた。測定の結果を図8、図9に示す。
本発明の加熱調理器3Aでは秋刀魚の重量減少率は22.6%で、加熱調理器3Bでは秋刀魚の重量減少率は22.9%で、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残っていることがわかる。また図8から明らかなように、本発明の加熱調理器3Aは14分で調理が終了するが、図3に示す油の発火領域に入るのは第1の所定時間である調理開始初期だけであり、第1の所定時間には受け皿に油が無いまたは油が発火しない程度の少量であるため受け皿に着火することは無い。また図9から明らかなように、本発明の加熱調理器3Bは14分で調理が終了するが、図3に示す油の発火領域に入るのは第1の所定時間である調理開始初期だけであり、第1の所定時間には受け皿に油が無いまたは油が発火しない程度の少量であるため受け皿に着火することは無い。これにより本発明の加熱調理器は、下面加熱手段の最適な制御を行うことにより、従来の加熱調理器よりも調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るよう調理され、受け皿の油に引火することも無いため、調理初期から終了まで調理物を焦がすことがなく調理できることがわかる。
(実験4)
本発明の加熱調理器として、図1の加熱調理器を用いた。加熱調理器4Aは下面加熱手段の制御として第1の温度が700〜800℃の中で最も高い800℃付近とし、第1の所定時間が2分20秒として、上面加熱手段と下面加熱手段としてシーズヒータを用いた。なお第1の温度が700〜800℃の中で最も低い700℃付近の実験は加熱調理器3Bで行った通りである。
加熱調理器4Aについて以下の手段を用いて評価を行った。加熱調理器の調理室に秋刀魚4匹を入れ、実験1と同じ調理性能となるように秋刀魚の焼き具合を調整して調理時間を決めた。調理開始から経過時間ごとに調理終了まで、下面加熱手段の温度と受け皿の温度を測定し、また調理開始前後の秋刀魚の重量を測定し、4匹の重量減少率の平均を求めた。測定の結果を図10に示す。
本発明の加熱調理器4Aでは秋刀魚の重量減少率は23.5%で、調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残っていることがわかる。また図10から明らかなように、本発明の加熱調理器4Aは13分で調理が終了するが、図3に示す油の発火領域に入るのは第1の所定時間である調理開始初期だけであり、第1の所定時間には受け皿に油が無いまたは油が発火しない程度の少量であるため受け皿に着火することは無い。これにより本発明の加熱調理器は、下面加熱手段の最適な制御を行うことにより、従来の加熱調理器よりも調理物の内部に旨み成分を含んだ水分や油が十分に残るよう調理され、受け皿の油に引火することも無いため、調理初期から終了まで調理物を焦がすことがなく調理できることがわかる。
なお、調理開始から第1の所定時間の間、加熱調理器は、出力できる最大出力を出力するようにしてもよいし、本実施の形態の加熱調理器を電磁誘導加熱式調理器に搭載してもよい。
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、焼き網上に載せた調理物を収容する調理室と、調理物の上面を加熱する上面加熱手段と、調理物の下面を焼き網の下から加熱する下面加熱手段とで調理物を加熱する構成をとっており、下面加熱手段が調理開始から調理終了まで最適な制御により調理を行う手段を備えた構成としている。このような構成であれば、特に調理器の方式に関係なく適用することができ、また大型の調理器にも適用することができる。
本発明の実施の形態1における加熱調理器の構成を示す構成図 本発明の実施の形態1における加熱調理器の下面加熱手段の温度変化を示すグラフ 本発明の実施の形態1における加熱調理器の下面加熱手段に油を滴下したときに受け皿の油に着火する境界を示すグラフ 本発明の実施の形態1における加熱調理器1Aの下面加熱手段と受け皿の温度変化を示すグラフ 従来の加熱調理器1Bの下面加熱手段と受け皿の温度変化を示すグラフ 従来の加熱調理器1Cの下面加熱手段と受け皿の温度変化を示すグラフ 本発明の実施の形態1における加熱調理器2Aの下面加熱手段と受け皿の温度変化を示すグラフ 本発明の実施の形態1における加熱調理器3Aの下面加熱手段と受け皿の温度変化を示すグラフ 本発明の実施の形態1における加熱調理器3Bの下面加熱手段と受け皿の温度変化を示すグラフ 本発明の実施の形態1における加熱調理器4Aの下面加熱手段と受け皿の温度変化を示すグラフ 従来の加熱調理器の構成を示す構成図
符号の説明
1 調理室
2 焼き網
3 調理物
4 上面加熱手段
5 下面加熱手段
6 排気口
7 排気通路
8 受け皿
9 加熱調理器

Claims (9)

  1. 受け皿を備えた焼き網上に載せた調理物を収容する調理室と、前記調理物の上面を加熱する上面加熱手段と、前記調理物の下面を前記焼き網の下から加熱する下面加熱手段とからなる加熱調理器であって、前記下面加熱手段は調理開始から第1の所定時間までは、前記下面加熱手段を前記調理物からの油が着火可能な第1温度で制御を行い、前記第1の所定時間から第2の所定時間までは少なくとも前記下面加熱手段への入力を停止または断続的に入力を行い、前記第2の所定時間から調理終了までは前記下面加熱手段を前記調理物からの油が発火しない第2温度で制御した加熱調理器。
  2. 調理開始から第1の所定時間の間、加熱調理器は最大出力で出力することを特徴とした請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 第1の所定時間は、上面加熱手段および/または下面加熱手段で加熱しても調理物から油がでないまたは発火しない程度の油しかでないと推定した時間である請求項1または2に記載の加熱調理器。
  4. 第2温度は、500℃以下とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  5. 第2温度は、400℃以上500℃以下とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  6. 第1の所定時間は、6分以下とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  7. 第1温度は600℃以上700℃以下で、かつ第1の所定時間は3分以上4分以下とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  8. 第1温度は700℃以上800℃以下で、かつ第1の所定時間は2分以上3分以下とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の加熱調理器を搭載した電磁誘導加熱式調理器。
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