JP2007326894A - ポリイミドシリコーン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)芳香族テトラカルボン酸化合物および脂環式テトラカルボン酸化合物より成る群から選ばれるテトラカルボン酸化合物と芳香族ジアミンとジアミノシロキサンとの反応生成物であるポリアミック酸、並びに、該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドシリコーンより成る群から選ばれるポリマー、(b)溶媒、および(c)フェノール性水酸基含有ビスイミド化合物に由来するイミド環とアルコキシシリル基等とを有する反応性シリル基含有ビスイミド化合物、を含有するポリイミドシリコーン系樹脂組成物ならびに該組成物からなる電極保護材。
【選択図】なし
Description
(a) 芳香族テトラカルボン酸化合物および脂環式テトラカルボン酸化合物より成る群から選ばれるテトラカルボン酸化合物と芳香族ジアミンとジアミノシロキサンとの反応生成物であるポリアミック酸、並びに、該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドシリコーンより成る群から選ばれるポリマー、
(b) 溶媒、および
(c) 下記構造式(1):
[(a)ポリマー]
本発明で使用される芳香族テトラカルボン酸化合物および脂環式テトラカルボン酸化合物から成る群より選ばれるテトラカルボン酸化合物には、テトラカルボン酸、およびその一無水物、二無水物、モノエステル、ジエステル等の誘導体が含まれる(以下、「テトラカルボン酸成分」という)。
本発明で使用される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、o-,m-,p-フェニレンジアミン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノキシレン、3,6-ジアミノジュレン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジエチル-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジエトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3'-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノ-5-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル、3,5-ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5-ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ビス(トリフルオロメチル)-5,5'-ジアミノビフェニル、1,4-ビス(4-アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4'-ビス(4-アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4'-ジアミノビナフチル、4,4'-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明で使用されるジアミノシロキサンの好ましい具体例としては、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ビス(4-アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等、および下記一般式(2):
H2N-Z-(SiR2O)m-SiR2-Z-NH2 (2)
(式中、Rは、独立に、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10、好ましくは、脂肪族不飽和基を除く炭素原子数1〜8の1価炭化水素基、または炭素原子数1〜8のアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはシクロアルコキシ基であり、Zは独立に、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の、鎖中にエーテル結合性酸素原子を含んでもよい2価炭化水素基であり、mは1〜100、好ましくは3〜60の整数である。)
で表されるものが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(b)成分の溶媒としては、ポリアミック酸等の合成に当たって通常採用される溶解力の大きい溶媒が採用される。好ましい溶媒としては、N-メチルピロリドン;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン類;プロピレンカーボネート等のカーボネート類;酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ブタノール、オクタノール、エチルセロソルブ等のアルコール類;ジメチルホルムアミド等の鎖状ないし環状のアミド系、尿素系、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド系、スルフォン系、トルエン等の炭化水素系、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明で使用される反応性シリル基含有ビスイミド化合物は、下記構造式(3):
(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の1価炭化水素基である。)
で表されるフェノール性水酸基含有アニリンと、下記構造式(4):
(式中、R2は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の1価炭化水素基であり、mは1〜20、好ましくは1〜12の整数である)
で表され、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を有する有機シラン化合物とを脱アルコール反応により縮合させることにより、下記一般式(1):
下記構造式(3):
(式中、R1は上記のとおりである)
で表されるフェノール性水酸基含有アニリンにおいて、フェノール性水酸基は、上記式(3)中のベンゼン環骨格の炭素原子に結合した水素原子のいずれと置換されていてもよい。また、該フェノール性水酸基含有アニリンは、1種単独でも、前記フェノール性水酸基の置換位置が異なる2種以上の異性体の組み合わせであっても差し支えない。
下記構造式(4):
テトラカルボン酸とジアミン化合物からポリアミック酸を調製し、次いで閉環させてポリイミドを得る周知の合成方法と同様にして、上記フェノール性水酸基含有アニリンと上記2官能性酸無水物とを有機溶媒中で反応させて、下記構造式:
上記フェノール性水酸基含有ビスイミド化合物と、下記一般式(6):
(式中、R2およびmは上記のとおりである)
で表されるケイ素原子に結合したアルコキシ基を有する有機シラン化合物とを、常法により、トルエン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン等の溶媒中において、縮合反応触媒の存在下で脱アルコール反応させることにより、フェノール性水酸基とケイ素原子に結合したアルコキシ基とが脱アルコール反応により縮合し、下記一般式(1):
(a)成分のポリアミック酸あるいは該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドシリコーンの合成は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分が実質的に当モル量となるように反応器に仕込み、溶媒中で加熱して反応させることにより行う。好ましくは、反応容器中でジアミン成分を溶媒に分散または溶解させ、テトラカルボン酸成分を溶媒に溶解または分散させて低温で滴下攪拌後に加熱する。
加熱反応温度条件としては、ポリアミック酸を得る場合には、5〜100℃、好ましくは 20〜80℃の範囲内の温度で、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分の合計量 100gに対して、1〜24時間程度である。また、実質的に完全にイミド化したポリイミドシリコーンを得る場合は、120〜200℃、好ましくは 140〜180℃の範囲の温度で、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分の合計量 100gに対して、1〜24時間程度加熱すればよい。120℃以下では転化速度が遅く、200℃以上であっても良いが特に利益はない。
なお、(c)成分である反応性シリル基含有ビスイミド化合物は、上記加熱反応の終了後に、配合される。
H2N-Z-(SiR2O)m-SiR2-Z-NH2 (2)
(式中、R、Zおよびmは、上記のとおりである。)
で表されるジアミノシロキサン 10〜15モル%およびビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン 85〜90モル%から成るジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物 50〜80モル%およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 20〜50モル%から成るテトラカルボン酸成分とを、実質的に当モル量で、樹脂固形分が30〜45質量%となる量のシクロヘキサノン、γ-ブチロラクトンまたはN-メチルピロリドン溶媒中で反応させ、実質的にイミド化が完結したポリイミドシリコーンを生成させること、そして、前記反応終了後に、(c)成分である反応性シリル基含有ビスイミド化合物を配合することである。
本発明の組成物には、上記(a)〜(c)成分に加えて、本発明の組成物の特性を損なわない範囲において、更に他の成分を使用することは任意である。
本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物は、基材上にコーティングした後、脱溶媒するのみで製膜、架橋および硬化させることができる。脱溶媒の条件としては、コーティング膜厚により異なるが、空気中または窒素等の不活性雰囲気下で、オーブン、ホットプレート等を用いて、通常、20〜150℃で1〜150分間程度加熱して行う。前記温度条件については、処理時間の全体に亘って一定としてもよく、前記温度範囲内で徐々に昇温させながら行ってもよい。
なお、上記脱溶媒および製膜工程における条件、更に焼成条件下において、(c)成分の反応性シリル基含有ビスイミド化合物は、前記成分同士の縮合反応によって架橋および硬化する。
本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物の具体的な応用例としては、シリコンウェハ、ガリウム砒素等からなる基材上のモノリシックIC、例えばDRAM、SRAM、CPU等;セラミック基材、ガラス基材等の上に形成されるハイブリッドIC、サーマルヘッド、イメージセンサー、マルチチップ高密度実装基板等のデバイス;TABテープ、フレキシブル基材、リジッド配線板等の各種配線板等の層間絶縁膜、表面保護膜、α線遮蔽を始め各種の目的を有する保護膜等への適用を挙げることができる。
熱電対、攪拌装置および還流コンデンサーを具えたガラス製4ツ口セパラブルフラスコに、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分が当モル量となるように、3,3'4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)19.45g(テトラカルボン酸成分とジアミン成分との各質量部の総計を 100モル%とした場合のモル%:25モル%(以下に記載の「モル%」も同様の意味を有する。))、3,3',4,4'-(2,2-ジフェニルヘキサフルオロプロパン)テトラカルボン酸二無水物(6FDA)24.11g(25モル%)、下記式(8):
H2N-CH2CH2CH2-[Si(CH3)2O]9-Si(CH3)2-CH2CH2CH2-NH2 (8)
で表されるジアミノポリシロキサン(KF-8010(商品名)、信越化学工業社製)36.55g(20モル%)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)13.37g(15モル%)、および、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)6.52g(15モル%)を仕込み、300gのシクロヘキサノンを加え 180℃で4時間攪拌して、ポリイミドシリコーンおよび溶媒からなる組成物を得た。表1にジアミン成分およびテトラカルボン酸成分の組成および使用量(単位はgである。かっこ内にモル%を併記した。以下、同じ)を示す。
表1に示すように、上記合成例1に記載のジアミン成分およびテトラカルボン酸成分の組成および使用量を変更したこと以外は、合成例1と同様にして、ポリイミドシリコーンおよび溶媒からなる組成物を得た。
(1)撹拌器、温度計および窒素置換装置を具備したフラスコ内に、4,4-オキシジフタル酸無水物 31.02g(0.1モル)、溶媒としてシクロヘキサノン 132.13gを仕込み、攪拌しながら、p−アミノフェノール21.83g(0.2モル)、溶媒としてシクロヘキサノン 132.13gを徐々に滴下した。滴下終了後、更に室温で 4時間撹拌し、次に、前記フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、トルエン 26.43gを加え、反応系を 160℃に昇温して、その温度を2時間保持した。更に、温度を 175℃まで昇温させて、その温度を4時間保持した。この反応によって生成した水分の量は 3.6gであった。
上記操作によって得られた赤褐色反応溶液を室温まで冷却後、減圧下でストリップして溶媒を除去することにより、下記のビスイミド化合物を得た。
表2に示すように、上記合成例6に記載の各成分の組成および使用量を変更したこと以外は、合成例6と同様にして、メトキシシリル基含有ビスイミド化合物を合成した。
上記合成例1〜5で得られたポリイミドシリコーンおよび溶媒からなる組成物と、上記合成例6〜8で得られたメトキシシリル基含有ビスイミド化合物と、縮合反応触媒としてテトライソプロピルチタネート:Ti(O-iPr)4とを、表3および表4に記載した組成および使用量(質量部)で混合し、その後十分に攪拌して、本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物を調製した。
ガラス板上に、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物を塗布し、23℃および湿度 60%の条件で 72時間放置して、溶媒を蒸発させて除去し、10mm×150mmおよび膜厚が平均 50μmのテープ形状のフィルムを作製した。
上記フィルムの長手方向の片端部を、ガラス板に対して平行かつ180度の角度の方向に、300mm/分の速度で引っ張って、ピール引き剥がし強度(g/cm)を測定した。測定結果を表3および表4の「接着強度」の欄に表示した。
10μmの線幅および 10μmの線間で、サイズが 10mm×5mmのAlくし形電極を作製した。この電極表面上に、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物を塗布し、23℃および湿度 60%の条件で 72時間放置して、平均 50μmの厚さの被膜を形成して被覆した。
反応性シリル基含有ビスイミド化合物を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物の調製、製膜等および上記性能評価試験を行った。混合組成と結果を表5に示す。電極腐食試験では168時間未満でAl電極が腐食し、断線が発生した。
反応性シリル基含有ビスイミド化合物を使用しないこと、メルカプト基含有アルコキシシラン加水分解縮合物:KBM-803P(商品名、信越化学工業社製)またはヒドロシリル基含有アルコキシシラン:03MS(商品名、信越化学工業社製)、およびテトライソプロピルチタネートを表5に記載した組成および使用量(質量部)で用いること以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物の調製、製膜等および上記性能評価試験を行った。結果を表5に示す。電極腐食試験では168時間未満でAl電極が腐食し、断線が発生した。
Claims (5)
- 前記(a)成分のポリマー中の前記ジアミノシロキサンに基づく構造の含有量が1〜60モル%である請求項1に係る組成物。
- 前記Xが芳香環構造を有する4価の有機基である請求項1または2に係る組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミドシリコーン系樹脂組成物からなる電極保護材。
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