JP2007326894A - ポリイミドシリコーン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極表面に腐食を生成せしめることがなく、基材との接着性に優れ、電極保護用途に適したポリイミドシリコーン系樹脂組成物および該組成物からなる電極保護材を提供する。
【解決手段】(a)芳香族テトラカルボン酸化合物および脂環式テトラカルボン酸化合物より成る群から選ばれるテトラカルボン酸化合物と芳香族ジアミンとジアミノシロキサンとの反応生成物であるポリアミック酸、並びに、該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドシリコーンより成る群から選ばれるポリマー、(b)溶媒、および(c)フェノール性水酸基含有ビスイミド化合物に由来するイミド環とアルコキシシリル基等とを有する反応性シリル基含有ビスイミド化合物、を含有するポリイミドシリコーン系樹脂組成物ならびに該組成物からなる電極保護材。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品の電極保護用途に適したポリイミドシリコーン系樹脂組成物および該組成物からなる電極保護材に関するものである。
従来から、電子部品等の絶縁保護膜用樹脂として、耐熱性および電気的・機械的特性に優れたポリイミド樹脂が利用されている。保護膜形成に際し、一般にポリイミド樹脂は有機溶媒に不溶であるために、その前駆体であるポリアミック酸の溶液を用い、これを基材に塗布した後、加熱して脱水縮合反応により閉環させて目的とするポリイミド樹脂被膜を形成する方法が採用されている。
しかし、このポリアミック酸の溶液を用いる方法においては、ポリアミック酸溶液の粘度が非常に高いため作業性に劣ること、脱水縮合工程において 300℃を超える高温とする必要があること、得られたポリイミド樹脂被膜はニッケル、アルミニウム、シリコン、シリコン酸化膜等の基材に対する接着性に劣ること等の問題があった。
こうした従来のポリイミドの問題点を改善するため、ポリイミドの原料であるジアミン成分の一部をシロキサン構造を含有するジアミンで置き換えて得られたポリイミドシリコーンを用いる方法(特許文献1、特許文献2参照)が知られている。ポリイミドシリコーンは、電子部品用の表面保護膜の形成材料や電子部品およびその他の耐熱部品の層間絶縁材料として、電子・電気工業において広く使用されている。ポリイミドシリコーンはコーティングまたはパターニングにより基材の表面を被覆するのに使われ、ポリイミド構造に由来する高耐熱性とシリコーン構造に由来する低弾性率とを兼ね備えた電子部品用材料であるが、シリコーン構造を含まないポリイミドに比べて透湿率が高いため、電極とポリイミドシリコーン界面に水分が到達し易く、イオン性の不純物が存在した場合に、電極の腐食等が発生して、信頼性に問題を生じる場合があった。また、基材との接着性についても更なる向上が望まれていた。
上記イオン性の不純物の存在により生じる問題に関して、アンダーコートレジンとしてのポリイミドシリコーン中にイオン交換樹脂またはキレート樹脂を配合することが提案されている(特許文献3参照)。これにより、オーバーコートレジンであるエポキシ樹脂層中の不純物イオンが捕捉され、半導体表面近傍にイオンが到達せず、高耐圧で低リーク電流を有する高耐圧ダイオードを安定に高歩留まりで生産できるとされている。しかし、耐久試験における高温条件下で、前記イオン交換樹脂またはキレート樹脂自体の分解が生じ、イオン種が電極表面に存在する結果、電極の腐食が生じるという問題点があることが明らかとなった。また、イオン交換樹脂は、溶媒により膨潤するため、後工程における溶媒除去が不十分となり、その結果、樹脂の機械的強度の低下や、電気的特性の劣化を生じることが明らかとなった。
特公昭43−27439号公報 特公昭59−7213号公報 特開平10−294319号公報
そこで、本発明の課題は、電極表面に腐食を生成せしめることがなく、基材との接着性に優れ、電極保護用途に適したポリイミドシリコーン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、イミド環とアルコキシシリル基等とを有する新規な反応性シリル基含有ビスイミド化合物が、室温硬化が可能で作業性に優れ、更に、耐熱性、機械的強度、電気的特性に優れたイミド環構造を有する硬化皮膜を形成することができ、該硬化皮膜は基材との接着性に優れているとともに、耐溶剤性にも優れているため電子部品等の保護膜の材料として好適に使用できることを見出した。
また、本発明者らは、前記反応性シリル基含有ビスイミド化合物をポリイミドシリコーン樹脂と組み合わせることにより、ポリイミドシリコーン系被膜の基材との接着性が向上し、電極表面に腐食を生成せしめることがないポリイミドシリコーン系樹脂組成物を得ることができることを見出し、該知見に基いて鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至ったものである。
即ち、本発明は、
(a) 芳香族テトラカルボン酸化合物および脂環式テトラカルボン酸化合物より成る群から選ばれるテトラカルボン酸化合物と芳香族ジアミンとジアミノシロキサンとの反応生成物であるポリアミック酸、並びに、該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドシリコーンより成る群から選ばれるポリマー、
(b) 溶媒、および
(c) 下記構造式(1):
Figure 2007326894
(1)

(式中、Xは4価の有機基であり、R1およびR2はおのおの、同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、mは1〜20の整数である)
で示される反応性シリル基含有ビスイミド化合物
を含有するポリイミドシリコーン系樹脂組成物を提供する。
また、本発明は該組成物からなる電極保護材を提供する。
本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物は、反応性シリル基含有ビスイミド化合物が配合されていることにより、形成される被膜の基材に対する接着強度が良好であり、ポリイミドシリコーン系樹脂被膜と電極の界面での腐食を防止でき、また、電圧印加条件下の耐久試験においても電極表面に腐食を生成させることがないので、電極保護材等の電極保護用途に適したものである。
以下、本発明について詳述する。
[(a)ポリマー]
[テトラカルボン酸化合物]
本発明で使用される芳香族テトラカルボン酸化合物および脂環式テトラカルボン酸化合物から成る群より選ばれるテトラカルボン酸化合物には、テトラカルボン酸、およびその一無水物、二無水物、モノエステル、ジエステル等の誘導体が含まれる(以下、「テトラカルボン酸成分」という)。
このテトラカルボン酸成分の好ましい具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3,-テトラメチルジシロキサン二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、3,3',4,4'-(2,2-ジフェニルプロパン)テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-(2,2-ジフェニルヘキサフルオロプロパン)テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、1,1-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]エタン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等;および、これらのテトラカルボン酸二無水物に対応するテトラカルボン酸、そのエステル、ジエステル等の反応性誘導体が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
[芳香族ジアミン]
本発明で使用される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、o-,m-,p-フェニレンジアミン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノキシレン、3,6-ジアミノジュレン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジエチル-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジエトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3'-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノ-5-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル、3,5-ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5-ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ビス(トリフルオロメチル)-5,5'-ジアミノビフェニル、1,4-ビス(4-アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4'-ビス(4-アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4'-ジアミノビナフチル、4,4'-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
[ジアミノシロキサン]
本発明で使用されるジアミノシロキサンの好ましい具体例としては、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ビス(4-アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等、および下記一般式(2):
2N-Z-(SiR2O)-SiR2-Z-NH2 (2)
(式中、Rは、独立に、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10、好ましくは、脂肪族不飽和基を除く炭素原子数1〜8の1価炭化水素基、または炭素原子数1〜8のアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはシクロアルコキシ基であり、Zは独立に、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の、鎖中にエーテル結合性酸素原子を含んでもよい2価炭化水素基であり、mは1〜100、好ましくは3〜60の整数である。)
で表されるものが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記一般式(2)中、Rが1価炭化水素基である場合、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等のアラルキル基;および、これらの炭化水素基の水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、3-フルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4-フルオロフェニル基、2-シアノエチル基等が挙げられる。
また、Rがアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはシクロアルキルオキシ基である場合、Rとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクトキシ基、ビニロキシ基、アリロキシ基、プロペニノキシ基、イソプロペニノキシ基等が挙げられる。
上記一般式(2)中、Zで表わされる鎖中にエーテル結合性酸素原子を含んでもよい2個の2価炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基)、メチルエチレン基(但し、上記2個の該基に対して、アミノ基は、2-アミノ-1-メチルエチル基を形成するように結合するか、或いは、上記2個の該基に対して、アミノ基は、2-アミノプロピル基を形成するように結合する)、テトラメチレン基、2-メチルプロピレン基、1-メチルプロピレン基(但し、上記2個の該基に対して、アミノ基は、3-アミノ-1-メチルプロピル基を形成するように結合するか、或いは、上記2個の該基に対して、アミノ基は、3-アミノブチル基を形成するように結合する)、エチルエチレン基(但し、上記2個の該基に対して、アミノ基は、1-(アミノメチル)プロピル基を形成するように結合するか、或いは、上記2個の該基に対して、アミノ基は、2-アミノブチル基を形成するように結合する)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基;o-,m-,p-フェニレン基、トリレン基等のアリーレン基;下式で示されるエーテル結合性酸素原子を含んでもよいアルキレン・アリーレン基等が挙げられる。
Figure 2007326894
Figure 2007326894
Figure 2007326894

(但し、アミノ基は、上記3つの式中のベンゼン環に結合する)
上記一般式(2)で表わされるジアミノシロキサンの具体例としては、下記の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2007326894
Figure 2007326894
Figure 2007326894
Figure 2007326894
Figure 2007326894

(mは、3〜60の整数)
Figure 2007326894

(mは、3〜60の整数)
Figure 2007326894
Figure 2007326894
Figure 2007326894
Figure 2007326894
ジアミノシロキサンの使用量は、ポリアミック酸またはその閉環誘導体であるポリイミドシリコーン中における前記ジアミノシロキサンに基づく構造(即ち、テトラカルボン酸化合物とジアミノシロキサンとの反応によって生成するポリアミック酸またはそれを閉環したポリイミド単位)が、ポリアミック酸またはポリイミドシリコーンを構成する全繰り返し単位中の1〜60モル%となる量が好ましく、より好ましくは5〜60モル%、更に好ましくは10〜50モル%となる量である。該使用量がこの範囲内にあると、可撓性の付与効果が十分となりやすく、透湿性の上昇を抑えやすく、耐熱性を維持しやすい。このためには、上記芳香族ジアミンと該ジアミノシロキサンとの合計モル数に対して、好ましくは1〜60モル%、より好ましくは5〜60モル%、更に好ましくは10〜50モル%のジアミノシロキサンを使用すればよい。
[(b)溶媒]
(b)成分の溶媒としては、ポリアミック酸等の合成に当たって通常採用される溶解力の大きい溶媒が採用される。好ましい溶媒としては、N-メチルピロリドン;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン類;プロピレンカーボネート等のカーボネート類;酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ブタノール、オクタノール、エチルセロソルブ等のアルコール類;ジメチルホルムアミド等の鎖状ないし環状のアミド系、尿素系、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド系、スルフォン系、トルエン等の炭化水素系、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
この溶媒の使用量は、特に制限されず、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物の安定性に影響を及ぼさない範囲の量であればよいが、(a)成分100質量部に対して、好ましくは、50〜1900質量部、より好ましくは 100〜900量部程度である。
[(c)反応性シリル基含有ビスイミド化合物]
本発明で使用される反応性シリル基含有ビスイミド化合物は、下記構造式(3):
Figure 2007326894
(3)

(式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の1価炭化水素基である。)
で表されるフェノール性水酸基含有アニリンと、下記構造式(4):
Figure 2007326894
(4)

(式中、Xは、4価の有機基であり、好ましくは芳香環構造を有する4価の有機基であり、具体的には
Figure 2007326894

で示される4価の有機基からなる群より選ばれる4価の有機基である)
で表される2官能性酸無水物とを反応させて、
下記構造式(5):
Figure 2007326894
(5)

(式中、XおよびR1は上記のとおりである。)
で示されるフェノール性水酸基含有ビスイミド化合物を得て、次いで、得られたフェノール性水酸基含有ビスイミド化合物と、下記一般式(6):
Figure 2007326894
(6)

(式中、R2は同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の1価炭化水素基であり、mは1〜20、好ましくは1〜12の整数である)
で表され、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を有する有機シラン化合物とを脱アルコール反応により縮合させることにより、下記一般式(1):
Figure 2007326894
(1)

(式中、X、R1、R2およびmは上記のとおりである)
で表される化合物として得ることができる。
上記反応性シリル基含有ビスイミド化合物の原料、製法等について、更に詳細に説明する。
<フェノール性水酸基含有アニリン>
下記構造式(3):
Figure 2007326894
(3)

(式中、R1は上記のとおりである)
で表されるフェノール性水酸基含有アニリンにおいて、フェノール性水酸基は、上記式(3)中のベンゼン環骨格の炭素原子に結合した水素原子のいずれと置換されていてもよい。また、該フェノール性水酸基含有アニリンは、1種単独でも、前記フェノール性水酸基の置換位置が異なる2種以上の異性体の組み合わせであっても差し支えない。
<2官能性酸無水物>
下記構造式(4):
Figure 2007326894
(4)

(式中、Xは4価の有機基である)
で表される2官能性酸無水物において、Xは、好ましくは芳香環構造を有する4価の有機基である。該有機基の具体例を、以下に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2007326894
また、他の2官能性酸無水物としては、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3,-テトラメチルジシロキサン二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、3,3',4,4'-(2,2-ジフェニルプロパン)テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-(2,2-ジフェニルヘキサフルオロプロパン)テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、1,1-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]エタン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
<フェノール性水酸基含有ビスイミド化合物の調製>
テトラカルボン酸とジアミン化合物からポリアミック酸を調製し、次いで閉環させてポリイミドを得る周知の合成方法と同様にして、上記フェノール性水酸基含有アニリンと上記2官能性酸無水物とを有機溶媒中で反応させて、下記構造式:
Figure 2007326894

(式中、XおよびR1は上記のとおりである。)
で表される中間体を得て、引き続き、この中間体を加熱条件下で脱水縮合して閉環させることにより、下記構造式(5):
Figure 2007326894
(5)

(式中、XおよびR1は上記のとおりである。)
で示されるフェノール性水酸基含有ビスイミド化合物を得ることができる。
<反応性シリル基含有ビスイミド化合物の調製>
上記フェノール性水酸基含有ビスイミド化合物と、下記一般式(6):
Figure 2007326894
(6)

(式中、R2およびmは上記のとおりである)
で表されるケイ素原子に結合したアルコキシ基を有する有機シラン化合物とを、常法により、トルエン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン等の溶媒中において、縮合反応触媒の存在下で脱アルコール反応させることにより、フェノール性水酸基とケイ素原子に結合したアルコキシ基とが脱アルコール反応により縮合し、下記一般式(1):
Figure 2007326894
(1)

(式中、X、R1、R2およびmは上記のとおりである)
で表される、本発明の(c)成分である反応性シリル基含有ビスイミド化合物を得ることができる。
上記一般式(1)で表される有機シラン化合物中の、上記R1およびR2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル、3-クロロプロピル基、3-フルオロクロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられ、これらの中でも、脂肪族不飽和結合を有しないものが好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。
上記脱アルコール反応自体は、当該技術分野において周知であり、縮合反応触媒の使用量、反応条件等についても、通常のとおりで差し支えない。縮合反応触媒としては、例えば、従来から公知の縮合反応触媒が挙げられ、その具体例としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、チタンビスアセチルアセトナ−ト、チタンキレ−ト化合物等のチタン含有有機化合物;テトラメチルグアニジン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等の強塩基類;オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ジブチル錫ジアセテ−ト、ジブチル錫ジラクテ−ト、ジブチル錫ジオクテ−ト、オクタン酸第一錫、ナフテン酸亜鉛、オクタン酸第一鉄等のカルボン酸金属塩が挙げられ、中でも錫系触媒が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、本発明の(c)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
この(c)成分の使用量は、(a)成分100質量部に対して、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは 10〜100質量部程度である。前記使用量がこの範囲内にあると、本発明組成物から得られる被膜は、脆くなりにくく、基材に対する接着性が十分となりやすいので、硬い基材の電極保護材としてのみならず、フレキシブルな基材の電極保護材としても好適に使用することができる。
[組成物の調製等]
(a)成分のポリアミック酸あるいは該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドシリコーンの合成は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分が実質的に当モル量となるように反応器に仕込み、溶媒中で加熱して反応させることにより行う。好ましくは、反応容器中でジアミン成分を溶媒に分散または溶解させ、テトラカルボン酸成分を溶媒に溶解または分散させて低温で滴下攪拌後に加熱する。
加熱反応温度条件としては、ポリアミック酸を得る場合には、5〜100℃、好ましくは 20〜80℃の範囲内の温度で、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分の合計量 100gに対して、1〜24時間程度である。また、実質的に完全にイミド化したポリイミドシリコーンを得る場合は、120〜200℃、好ましくは 140〜180℃の範囲の温度で、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分の合計量 100gに対して、1〜24時間程度加熱すればよい。120℃以下では転化速度が遅く、200℃以上であっても良いが特に利益はない。
なお、(c)成分である反応性シリル基含有ビスイミド化合物は、上記加熱反応の終了後に、配合される。
好ましい実施態様としては、後記する実施例の具体例の他に、上記一般式(2):
2N-Z-(SiR2O)-SiR2-Z-NH2 (2)
(式中、R、Zおよびmは、上記のとおりである。)
で表されるジアミノシロキサン 10〜15モル%およびビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン 85〜90モル%から成るジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物 50〜80モル%およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 20〜50モル%から成るテトラカルボン酸成分とを、実質的に当モル量で、樹脂固形分が30〜45質量%となる量のシクロヘキサノン、γ-ブチロラクトンまたはN-メチルピロリドン溶媒中で反応させ、実質的にイミド化が完結したポリイミドシリコーンを生成させること、そして、前記反応終了後に、(c)成分である反応性シリル基含有ビスイミド化合物を配合することである。
[その他の成分]
本発明の組成物には、上記(a)〜(c)成分に加えて、本発明の組成物の特性を損なわない範囲において、更に他の成分を使用することは任意である。
本発明の(c)成分である反応性シリル基含有ビスイミド化合物は、両末端にアルコキシ基、アルケノキシ基等の縮合反応性の基を有していることから、(c)成分同士の縮合反応による硬化を促進させることを目的として、従来から公知の縮合反応触媒を配合することが望ましい。この縮合反応触媒としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、チタンビスアセチルアセトナ−ト、チタンキレ−ト化合物等のチタン含有有機化合物;テトラメチルグアニジン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等の強塩基類;オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ジブチル錫ジアセテ−ト、ジブチル錫ジラクテ−ト、ジブチル錫ジオクテ−ト、オクタン酸第一錫、ナフテン酸亜鉛、オクタン酸第一鉄等のカルボン酸金属塩が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この縮合反応触媒を使用する場合、その配合量は、触媒としての有効量であればよく、特に制限されないが、上記(c)成分 100質量部に対して、好ましくは0.01〜6.0質量部、より好ましくは 0.05〜5.0質量部程度である。
[コーティング膜]
本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物は、基材上にコーティングした後、脱溶媒するのみで製膜、架橋および硬化させることができる。脱溶媒の条件としては、コーティング膜厚により異なるが、空気中または窒素等の不活性雰囲気下で、オーブン、ホットプレート等を用いて、通常、20〜150℃で1〜150分間程度加熱して行う。前記温度条件については、処理時間の全体に亘って一定としてもよく、前記温度範囲内で徐々に昇温させながら行ってもよい。
また、(a)成分がポリアミック酸である場合、またはイミド化が不十分なポリイミドシリコーンである場合には、製膜後、焼成することにより、閉環反応により実質的に完全にイミド化したポリイミドシリコーンとする。焼成条件としては、膜厚により異なるが、オーブン、ホットプレート等を用いて、通常、150〜400℃の温度範囲で、10分〜5時間、好ましくは 20分〜3時間程度とすればよい。
なお、上記脱溶媒および製膜工程における条件、更に焼成条件下において、(c)成分の反応性シリル基含有ビスイミド化合物は、前記成分同士の縮合反応によって架橋および硬化する。
こうして得られるポリイミドシリコーン系被膜の膜厚は、好ましくは5〜250μm、より好ましくは5〜200μm、更により好ましくは 10〜100μmとすることがよい。
基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミド、BTレジン等からなる有機基材;アルミニウム、銅、シリコンもしくはこれらの合金またはステンレス鋼等の金属;アルミナ、ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英、ジルコニア、ムライト、窒化珪素等のセラミックス;チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタル、ガリウム砒素、インジウム燐等の半導体材料等を挙げることができる。また、これらの基材の表面に、更に、ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレン、ポリキシリレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリキナゾリンジオン、ポリベンゾオキサジノン等の耐熱性高分子化合物を被覆した基材に対して本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物をコーティングしてもよい。
[用途]
本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物の具体的な応用例としては、シリコンウェハ、ガリウム砒素等からなる基材上のモノリシックIC、例えばDRAM、SRAM、CPU等;セラミック基材、ガラス基材等の上に形成されるハイブリッドIC、サーマルヘッド、イメージセンサー、マルチチップ高密度実装基板等のデバイス;TABテープ、フレキシブル基材、リジッド配線板等の各種配線板等の層間絶縁膜、表面保護膜、α線遮蔽を始め各種の目的を有する保護膜等への適用を挙げることができる。
以下に、合成例、実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
〔合成例1〕
熱電対、攪拌装置および還流コンデンサーを具えたガラス製4ツ口セパラブルフラスコに、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分が当モル量となるように、3,3'4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)19.45g(テトラカルボン酸成分とジアミン成分との各質量部の総計を 100モル%とした場合のモル%:25モル%(以下に記載の「モル%」も同様の意味を有する。))、3,3',4,4'-(2,2-ジフェニルヘキサフルオロプロパン)テトラカルボン酸二無水物(6FDA)24.11g(25モル%)、下記式(8):
H2N-CH2CH2CH2-[Si(CH3)2O]9-Si(CH3)2-CH2CH2CH2-NH2 (8)
で表されるジアミノポリシロキサン(KF-8010(商品名)、信越化学工業社製)36.55g(20モル%)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)13.37g(15モル%)、および、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)6.52g(15モル%)を仕込み、300gのシクロヘキサノンを加え 180℃で4時間攪拌して、ポリイミドシリコーンおよび溶媒からなる組成物を得た。表1にジアミン成分およびテトラカルボン酸成分の組成および使用量(単位はgである。かっこ内にモル%を併記した。以下、同じ)を示す。
〔合成例2−5〕
表1に示すように、上記合成例1に記載のジアミン成分およびテトラカルボン酸成分の組成および使用量を変更したこと以外は、合成例1と同様にして、ポリイミドシリコーンおよび溶媒からなる組成物を得た。
Figure 2007326894
〔合成例6〕
(1)撹拌器、温度計および窒素置換装置を具備したフラスコ内に、4,4-オキシジフタル酸無水物 31.02g(0.1モル)、溶媒としてシクロヘキサノン 132.13gを仕込み、攪拌しながら、p−アミノフェノール21.83g(0.2モル)、溶媒としてシクロヘキサノン 132.13gを徐々に滴下した。滴下終了後、更に室温で 4時間撹拌し、次に、前記フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、トルエン 26.43gを加え、反応系を 160℃に昇温して、その温度を2時間保持した。更に、温度を 175℃まで昇温させて、その温度を4時間保持した。この反応によって生成した水分の量は 3.6gであった。
上記操作によって得られた赤褐色反応溶液を室温まで冷却後、減圧下でストリップして溶媒を除去することにより、下記のビスイミド化合物を得た。
Figure 2007326894
ビスイミド化合物の赤外吸収スペクトルを観測したところ、イミド結合に由来する吸収が 1768 cm-1に、また、フェノール性水酸基に由来する吸収が 1360 cm-1に、それぞれ観測された。また、NMRスペクトルから、フェノール性水酸基に由来するピ−クが 9.3 ppmに観測された。
(2)上記ビスイミド化合物50g(0.095モル)をメチルイソブチルケトン 200gに再度溶解し、昇温させて共沸脱水を行った。この溶液に更にポリ(テトラメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「MS−51」、平均繰り返し単位数4)43gと触媒としてジブチル錫ラウレート0.1gを加え、窒素気流下にて、100℃で1時間、分水器を用いて脱メタノール反応を行った。その後、分水器を還流管に替え、更に100℃で3時間反応させることによって、メトキシシリル基含有ビスイミド化合物を得た。
Figure 2007326894
このメトキシシリル基含有ビスイミド化合物の赤外吸収スペクトル観測したところ、SiO結合に由来する吸収が 1086 cm-1に観測され、フェノール性水酸基に由来する吸収( 1360 cm-1)が消失していることが観測された。また、NMRスペクトルからフェノール性水酸基に由来するピーク( 9.3 ppm)が消失していることも観測された。
〔合成例7-8〕
表2に示すように、上記合成例6に記載の各成分の組成および使用量を変更したこと以外は、合成例6と同様にして、メトキシシリル基含有ビスイミド化合物を合成した。
Figure 2007326894
<実施例1〜10>
上記合成例1〜5で得られたポリイミドシリコーンおよび溶媒からなる組成物と、上記合成例6〜8で得られたメトキシシリル基含有ビスイミド化合物と、縮合反応触媒としてテトライソプロピルチタネート:Ti(O-iPr)4とを、表3および表4に記載した組成および使用量(質量部)で混合し、その後十分に攪拌して、本発明のポリイミドシリコーン系樹脂組成物を調製した。
次いで、実施例1〜10の各ポリイミドシリコーン系樹脂組成物について、下記のとおりにして性能評価試験を行った。
[接着強度測定]
ガラス板上に、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物を塗布し、23℃および湿度 60%の条件で 72時間放置して、溶媒を蒸発させて除去し、10mm×150mmおよび膜厚が平均 50μmのテープ形状のフィルムを作製した。
上記フィルムの長手方向の片端部を、ガラス板に対して平行かつ180度の角度の方向に、300mm/分の速度で引っ張って、ピール引き剥がし強度(g/cm)を測定した。測定結果を表3および表4の「接着強度」の欄に表示した。
[定電圧印加Al電極腐食試験]
10μmの線幅および 10μmの線間で、サイズが 10mm×5mmのAlくし形電極を作製した。この電極表面上に、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物を塗布し、23℃および湿度 60%の条件で 72時間放置して、平均 50μmの厚さの被膜を形成して被覆した。
得られたAlくし形電極に対して、温度60℃、相対湿度 90%、および 7.5Vの定電圧印加という条件下で導通試験を行った。Al電極の腐食が発生するまでの時間(単位は時間)を顕微鏡観察により測定した。導通試験は最長で168時間行った。測定結果を表3および表4の「電極腐食試験」の欄に表示した。表中、「>168」は、導通試験を168時間行っても腐食が発生しなかったことを表す。
Figure 2007326894
Figure 2007326894
〔比較例1〕
反応性シリル基含有ビスイミド化合物を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物の調製、製膜等および上記性能評価試験を行った。混合組成と結果を表5に示す。電極腐食試験では168時間未満でAl電極が腐食し、断線が発生した。
〔比較例2〜5〕
反応性シリル基含有ビスイミド化合物を使用しないこと、メルカプト基含有アルコキシシラン加水分解縮合物:KBM-803P(商品名、信越化学工業社製)またはヒドロシリル基含有アルコキシシラン:03MS(商品名、信越化学工業社製)、およびテトライソプロピルチタネートを表5に記載した組成および使用量(質量部)で用いること以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドシリコーン系樹脂組成物の調製、製膜等および上記性能評価試験を行った。結果を表5に示す。電極腐食試験では168時間未満でAl電極が腐食し、断線が発生した。
Figure 2007326894

Claims (5)

  1. (a) 芳香族テトラカルボン酸化合物および脂環式テトラカルボン酸化合物より成る群から選ばれるテトラカルボン酸化合物と芳香族ジアミンとジアミノシロキサンとの反応生成物であるポリアミック酸、並びに、該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドシリコーンより成る群から選ばれるポリマー、
    (b) 溶媒、および
    (c) 下記構造式(1):
    Figure 2007326894
    (1)

    (式中、Xは4価の有機基であり、R1およびR2はおのおの、同一または異種の非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、mは1〜20の整数である)
    で示される反応性シリル基含有ビスイミド化合物
    を含有するポリイミドシリコーン系樹脂組成物。
  2. 前記(a)成分のポリマー中の前記ジアミノシロキサンに基づく構造の含有量が1〜60モル%である請求項1に係る組成物。
  3. 前記Xが芳香環構造を有する4価の有機基である請求項1または2に係る組成物。
  4. 前記Xが
    Figure 2007326894

    で示される4価の有機基からなる群より選ばれる4価の有機基である請求項1〜3のいずれか一項に係る組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミドシリコーン系樹脂組成物からなる電極保護材。
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