JP2007317347A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】一方の面にハードコート層を形成した基板を用いても、基板の他方の面上に続けて形成される各膜の成膜レートが低下せず、高い生産性、耐擦傷性及び帯電防止性を有する光記録媒体を提供する。
【解決手段】光記録媒体Dは、一方の面にハードコート層1Hが形成された基板1を有する。基板1の他方の面には、少なくとも第1の誘電体膜2と記録膜3と反射膜5とからなる情報層が形成されている。ハードコート層1Hは、ハードコート剤とイオン性液体である帯電防止剤とを含む帯電防止性ハードコート剤を硬化させて形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板にハードコート剤が塗布された光記録媒体に係り、特に基板に帯電防止機能を有するハードコート剤が塗布された光記録媒体に関する。
近年、光によって情報が記録または再生される光記録媒体である、例えばDVD−RWのような光ディスクは、様々な分野で利用され広く普及している。これらの光ディスク用の基板材料としては、成形性,光学特性などを考慮してポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が一般に用いられている。ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂は、量産性及び成型加工性に優れていて安価である等の利点を有し、なかでも熱変形温度が比較的高いポリカーボネートは、光ディスク用基板材料として最も多く利用されている。しかしながら熱可塑性樹脂を用いた基板は表面硬度が低いために、取扱い時に傷がつきやすく、また帯電しやすいという欠点がある。
そのため、熱可塑性樹脂によって形成した基板を有する光ディスクを日常的に使用した場合、基板に取扱い傷ができたりゴミが帯電によって付着したりなどして、記録または再生時のエラー発生の原因となる。以上のことを改善する目的で、基板表面に比較的高い硬度のハードコートを形成し、基板表面を保護することが考えられる。
特開平07−182692号公報(特許文献1)には、基板の射出成型後にハードコート剤をスピンコート法で塗布して硬化させて基板の一方の面にハードコートを形成し、その後、真空成膜装置にてハードコートを形成した基板の一方の面とは反対の面上に誘電体膜や記録膜、反射膜などを形成した光ディスク及び光ディスク製造方法が記載されている。
特開平07−182692号公報
しかしながら、発明者が特許文献1と同様の方法で基板の一方の面にハードコートを形成して光ディスクを製造したところ、基板の他方の面上に誘電体膜や記録膜、反射膜などを形成する条件は同じだったにも関わらず、基板の一方の面にハードコートを設けずに製造された光ディスクと比較して誘電体膜の膜厚が薄くなった。
誘電体膜の膜厚は、必要とする膜厚(設計値)に対して±5%の誤差範囲を超えると、反射率、変調度やオーバライト特性などの要件を満たせなくなる。従って、設計値±5%の誤差範囲を超えることなく誘電体膜の膜厚が成膜されることが必要である。
一方の面にハードコートを形成した基板を用いることにより、誘電体膜の膜厚が減少する現象を防ぐ方法としては、誘電体膜を成膜した後に基板にハードコートを形成する方法や、必要な膜厚を得られるまで誘電体膜の成膜時間を延ばす方法が考えられる。しかし、誘電体膜を成膜した後に基板にハードコートを形成する方法では、成膜工程での基板への塵埃付着の影響によって、誘電体膜の成膜前に基板にハードコートを形成するよりも歩留りが低下し好ましくない。また、成膜時間を延長する方法では生産効率が低下するため、好ましくない。
以上のように、初めに一方の面にハードコートを形成した基板を用いて、基板の他方の面上に誘電体膜や記録膜、反射膜などを形成すると、誘電体膜の成膜レートが低下し、誘電体膜を成膜した後に基板にハードコートを形成すると歩留りが低下し、誘電体膜の成膜時間を延ばすと生産効率が低下するという問題がある。
そこで本発明は前記した問題を解決するために、一方の面にハードコートを形成した基板を用いても、基板の他方の面上に続けて形成される各膜の成膜レートが低下せず、高い生産性、耐擦傷性及び帯電防止性を有する光記録媒体を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために本発明は、次の(a)〜(c)を提供するものである。
(a)光によって情報が記録または再生される光記録媒体(D)において、基板(1)と、前記基板の一方の面に形成されたハードコート層(1H)と、前記基板の他方の面に形成された、少なくとも誘電体膜(2)と記録膜(3)と反射膜(5)とからなる情報層を備え、前記ハードコート層は、ハードコート剤とイオン性液体である帯電防止剤とを含む帯電防止性ハードコート剤を硬化させたものであることを特徴とする光記録媒体。
(b)前記ハードコート剤の水分含有率は0.05重量%以下であることを特徴とする(a)記載の光記録媒体。
(c)前記帯電防止剤は、前記帯電防止性ハードコート剤に対して0.5重量%から6重量%の含有率で含有されていることを特徴とする(b)記載の光記録媒体。
本発明によれば、基板の一方の面にハードコート層を形成し、続けて基板の他方の面上に各膜を形成しても各膜の成膜レートが低下することを最小限に抑えられ、高い生産性、耐擦傷性及び帯電防止性を有する光記録媒体が得られる。
図1は、本発明の一実施形態である光記録媒体Dを示す拡大断面図である。光記録媒体Dには、基板1の一方の面に透光性の無機化合物を用いた第1の誘電体膜2、相変化材料であるAgInSbTe合金等を用いた記録膜3、透光性の無機化合物を用いた第2の誘電体膜4とAlやAg合金等からなる反射膜5とから構成された情報層が形成されている。更に情報層の上には、保護膜6、接着膜7、レーベル印刷面8Bを有する基板8が形成されている。基板1の他方の面は、ハードコート層1Hにより被覆されている。
ハードコート層1Hは、基板1を成型した後、例えばスピンコート法によりハードコート剤を塗布し、紫外線照射によってハードコート剤を硬化させて形成する。ハードコート剤は、基板1の成型後あまり時間をおかず、できるだけ早く塗布することで、塵埃付着による塗布欠陥を減らすことができて好ましい。またハードコート剤を硬化させるには、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射する硬化方法があるが、なかでも紫外線を用いる硬化方法は、設備コストが抑えられ、記録膜あるいは他の膜への悪影響がなく好ましい。
本実施形態において用いたハードコート剤は樹脂材料と重合開始剤を含み、その性能を損なわない範囲で重合禁止剤、粘度調整剤や酸化防止剤等、その他の添加剤を更に加えても良い。本実施形態のようにハードコート剤を紫外線照射により硬化させる場合、1ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン等の重合開始剤を用いる。重合開始剤の量は、紫外線照射量や樹脂材料によって適宜設定すればよい。
また、ハードコート層1Hが帯電することを防止するために、帯電防止剤(導電剤)としてイオン性液体をハードコート剤に適宜添加することが好ましい。イオン性液体とは、イオンのみで構成された化合物であり、室温で液体であるという特性を有する。イオン性液体を常温溶融塩とも言う。イオン性液体は導電効果、相溶性、保存安定性などを考慮して適宜選択することが可能であるが、光記録媒体の使用・保存環境を考慮し、具体的には、脂肪族系イオン性液体、イミダゾリウム系イオン性液体などが好ましい。
ここで、本実施形態のハードコート剤の水分含有率が光記録媒体Dを構成する第1の誘電体膜2の成膜レートに及ぼす影響を調べた。
本実施形態のハードコート剤を構成する樹脂材料の組成は、ペンタエリスリトールトリアクリレートを62重量%、イソステアリルメタクリレートを21重量%、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートを10重量%とした。更に、光重合開始剤としてイルガキュア500(日本チバガイギー株式会社製)を6.5重量%、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノンを0.5重量%添加して、40℃で充分に攪拌して混合調整したものを、本実施形態のハードコート剤とした。ハードコート剤を構成するそれぞれの材料の割合(重量%)は、ハードコート剤全体の重量に対するそれぞれの含有率を示すものである。なお、樹脂材料自体にわずかながら水分が含まれているため、ハードコート剤は0.02重量%の水分を含有する。イルガキュアは、チバスペシャルティケミカルズホールディングインコーポレーテッドの登録商標である。
光記録媒体Dは次のように作製したものを用いた。基板1に、ハードコート剤をスピンコート法により毎分8000回転の回転速度において3秒間塗布し、紫外線照射により硬化させ、厚さ3.5μmのハードコート層1Hを形成した。このときの紫外線の積算照射量は1000mj/cm2であった。
ハードコート層1Hが形成された基板1の面と反対の面に、第1の誘電体膜2をZnS・SiO2を用いてスパッタ法によって膜厚80nmで成膜した。続いて同様の方法で、記録膜3をAgInSbTe合金を用いて膜厚20nmで成膜し、第2の誘電体膜4をZnS・SiO2を用いて膜厚20nmで成膜し、反射膜5をAlを用いて膜厚750nmで成膜した。第1の誘電体膜2から反射膜5までを情報層とする。
更に、反射膜5の上にスピンコート法によって、ソニーケミカル株式会社製の紫外線硬化樹脂(SK5110)を4μmの厚さで塗布し、積算光量1000mj/cm2の紫外線を照射し硬化させて保護膜6を形成した。接着膜7を用いて、基板1と同様に形成された基板8のレーベル面8Bが形成された面とは反対の面と保護膜6とを対向させて貼り合わせる。
本実施形態で用いた全ての光記録媒体Dは、基板1、情報層、保護膜6、接着膜7と基板8を上記した条件で形成した。
各膜は、ユナクシス社製の成膜装置(型式名:DVD−スプリンター)を使用して成膜し、タクトタイムは4秒に設定した。成膜した第1の誘電体膜2の膜厚の測定にはステアグ社製の膜厚測定器(型式名:η)を用い、ハードコート剤の水分含有率の測定には株式会社エー・アンド・デイ製の水分計(形式名:MS−70)を用いた。
表1に、ハードコート剤の水分含有率を変化させた場合における、第1の誘電体膜2の成膜された膜厚を示す。また、図2に表1を基にしてハードコート剤の水分含有率に対する第1の誘電体膜2の成膜レートを示す。ハードコート剤の水分含有率は、上述した組成で作製した本実施形態のハードコート剤150gにマイクロシリンジを用いて水を添加して変化させた。
ハードコート剤に一切水を添加しない場合の水分含有率は0.02重量%であり、これはハードコート剤を構成する樹脂材料自体に含有されている水分の量である。ハードコート剤に45μlの水を添加すると、水分含有率は0.05重量%となり、80μlの水を添加すると水分含有率は0.07重量%である。更に、125μlの水を添加すると水分含有率は0.10重量%であり、280μlの水を添加すると水分含有率は0.20重量%である。なお、本実施形態のハードコート層1Hは、上記したように基板1に塗布したハードコート剤に紫外線を照射し硬化させて形成されているため、紫外線照射による水分の減少はほとんどない。従って、ハードコート層1Hは使用したハードコート剤とほぼ同じ水分含有率で水分を含有している。
第1の誘電体膜2の成膜レートは、所望の膜厚(設計値)である80nmに対する実際に成膜された第1の誘電体膜2の膜厚の割合である。すなわち、第1の誘電体膜2が膜厚80nmで成膜されていれば、成膜レートは100%である。
表1と図2より、ハードコート剤の水分含有率が0.05重量%以下であれば、第1の誘電体膜2の成膜レートは96%以上であるため、上記した設計値に対する誤差を±5%の範囲に抑えることができる。水分含有率が0.07重量%以上であると、第1の誘電体膜2の成膜レートは89%以下となり、設計値に対する誤差が大きくなってしまう。
従って、ハードコート剤の水分含有率を0.05重量%以下に抑えると、一方の面にハードコート層1Hを形成した基板1の他方の面に成膜された第1の誘電体膜2は、所望の膜厚に対して±5%の誤差範囲の膜厚を得られるので、反射率、変調度やオーバライト特性などを良好にできる。
次に、本実施形態のハードコート剤に帯電防止剤としてイオン性液体を添加して、ハードコート層1Hの帯電防止効果を評価した。イオン性液体の定義は、上述の通りである。帯電防止効果は、ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1や、表面を拭取った後のハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R2を評価することで判断した。いずれの抵抗値(R1,R2)も一般的に1×1014Ω以下になると帯電防止効果が得られる。
実施例1〜実施例4及び比較例1において、ハードコート剤に添加する帯電防止剤の種類を変化させてハードコート層1Hを基板1の一方の面に形成した光記録媒体Dを用いて、それぞれのハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1及び表面を拭取った後の電気抵抗値R2を調べた。ハードコート層1Hの表面の拭取りは、水とアルコールを50対50で混合した混合液を用いて10回行った。
更に、それぞれ形成した光記録媒体Dを、温度が80℃で湿度が85%である高温多湿環境(以下、80℃85%環境とする)のもとで96時間保存して、光記録媒体Dの外観変化A1を観察した。80℃85%環境のもとで1000時間保存した後の光記録媒体Dの外観変化A2も観察した。
(実施例1)
97重量%のハードコート剤と、帯電防止剤として3重量%のイオン性液体であるNNジエチルNメチル(2メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下導電剤1と称する)とを充分に混合し、イオン性液体を3重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%であり、イオン性液体を添加したことによる水分含有率の増加はない。
なお、本実施形態において、ハードコート剤及び導電剤の割合(重量%)は、帯電防止性ハードコート剤全体の重量に対するそれぞれの含有率を示すものである。更に、本実施形態のハードコート層1Hは、上記したように基板1に塗布した帯電防止性ハードコート剤に紫外線を照射し硬化させて形成されているため、紫外線照射による水分の減少はほとんどない。従ってハードコート層1Hは、使用した帯電防止性ハードコート剤とほぼ同じ水分含有率で水分を含有し、ハードコート剤及び導電剤の含有率もほぼ同じである。
帯電防止性ハードコート剤を用いたハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1は6.5×1010Ωであり、上記した混合液を用いて10回表面をふき取ったあとの電気抵抗値R2は6.8×1010Ωであった。R1、R2いずれの抵抗値も1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境のもとで96時間保存した光記録媒体Dの外観変化A1及び、80℃85%環境のもとで1000時間保存した光記録媒体Dの外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
表2に上記した結果を示す。なお、以下で説明する実施例2〜実施例9及び比較例1〜比較例4の結果についても同様に表2に示す。
(実施例2)
ハードコート剤を97重量%、イオン性液体のトリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下導電剤2と称する)を3重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(実施例3)
ハードコート剤を97重量%、イオン性液体の1エチル3メチルイミダゾリウムテトラフルオロメタンスルフォネート(以下導電剤3と称する)を3重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(実施例4)
ハードコート剤を97重量%、イオン性液体のトリオクチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(以下導電剤4と称する)を3重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(比較例1)
97重量%のハードコート剤に対し、4級アンモニウム塩であるNNジメチルアミノプロピルアクリルアミド(以下導電剤5と称する)を3重量%加えて充分に混合し、4級アンモニウム塩を3重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.15重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1は1×1014Ωより小さかったものの、拭取り後の電気抵抗値R2は1×1014Ωより大きく、帯電防止効果が得られなかった。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察した。図3に示す外観変化A1、図4に示す外観変化A2共に大きいシミ状の析出物(ブリード)が観察された。
表2より、実施例1〜4及び比較例1で用いた導電剤1〜5を3重量%加えた各帯電防止性ハードコート剤を比較すると、導電剤1〜4を3重量%加えた各帯電防止性ハードコート剤は、帯電防止効果を発現するのに充分な表面電気抵抗値R1を得られた。なかでも、導電剤2を加えたハードコート剤を用いてハードコート層1Hを形成すると、一番小さいハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1及び拭取り後の電気抵抗値R2を得られた。
続いて実施例5〜9及び比較例2〜4では、電気抵抗値R1及び拭取り後の電気抵抗値R2が一番小さかった導電剤2を用い、ハードコート剤に添加する帯電防止剤(導電剤2)の添加量を変化させて帯電防止性ハードコート剤を作成した。それぞれの帯電防止性ハードコート剤を用いてハードコート層1Hを基板1の一方の面に形成し、他方の面には既述した条件で情報層、保護膜6、接着膜7と基板8を形成した光記録媒体Dを用いた。
それぞれの帯電防止性ハードコート剤について、上記と同様の方法で電気抵抗値R1及び拭取り後の電気抵抗値R2を調べ、外観変化A1及び外観変化A2を観察した。結果を表2に示す。
なお、本実施形態では、導電剤1〜4を3重量%加えた帯電防止性ハードコート剤を用いて基板1にハードコート層1Hを形成すると、帯電防止効果を発現するのに充分な表面電気抵抗値R1が得られる事から、導電剤1〜4はハードコート用帯電防止剤として有効である。
(実施例5)
98重量%のハードコート剤に対し導電剤2を2重量%加えて充分に混合し、イオン性液体を2重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(実施例6)
99重量%のハードコート剤に対し導電剤2を1重量%加えて充分に混合し、イオン性液体を1重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(実施例7)
99.5重量%のハードコート剤に対し導電剤2を0.5重量%加えて充分に混合し、イオン性液体を0.5重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(実施例8)
96重量%のハードコート剤に対し導電剤2を4重量%加えて充分に混合し、イオン性液体を4重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(実施例9)
94重量%のハードコート剤に対し導電剤2を6重量%加えて充分に混合し、イオン性液体を6重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察した。図5に示すように外観変化A1は特に変化がなかったが、外観変化A2は図6に示すように小さいシミ状の析出物(ブリード)が観察された。
(比較例2)
92重量%のハードコート剤に対し導電剤2を8重量%加えて充分に混合し、イオン性液体を8重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ω以下であり、帯電防止効果が得られた。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察した。図7に示すように外観変化A1は大きいシミ状の析出物(ブリード)が、図8に示すように外観変化A2は同様の小さい析出物が観察された。
(比較例3)
帯電防止剤を添加せず、ハードコート剤のみでハードコート層1Hを形成した。ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ωより大きく、帯電防止効果が得られなかった。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
(比較例4)
99.75重量%のハードコート剤に対し導電剤2を0.25重量%加えて充分に混合し、イオン性液体を0.25重量%含有する帯電防止性ハードコート剤を作成し、ハードコート層1Hを形成した。調整した帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.02重量%である。
ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2はいずれも1×1014Ωより大きく、帯電防止効果が得られなかった。
更に、80℃85%環境における光記録媒体Dの外観変化A1、外観変化A2を観察したが、特に変化はなかった。
以上の実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例4より求めた結果に基づき、それぞれの帯電防止性ハードコート剤に含有されている導電剤の含有率に対する、ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1を図9に示した。
図9より、イオン性液体である導電剤2の含有率が0.5重量%より小さくなると、電気抵抗値R1は1×1014Ωより大きくなることがわかる。従って比較例3及び4のように、帯電防止性ハードコート剤に含有されている導電剤2の含有率が0.5重量%未満であると、ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2が1×1014Ωより大きくなり、帯電を防止する効果が望めない。
また図9より、導電剤2の含有率が0.5重量%以上であれば、ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1、R2は1×1014Ωより小さくなり、帯電防止効果が得られる。
しかし、比較例2のように導電剤2の含有率が8重量%と大きくなると、光記録媒体Dを80℃85%環境のもとで保存した場合の外観に変化が観察される。比較例2では図8に示すように、80℃85%環境のもとで1000時間保存した場合(外観変化A2)に、大きなシミ状の析出物(ブリード)が観察された。析出物が発生すると、エラーレートの増加やトラッキングはずれの原因となり、記録・再生が困難になる。
なお、導電剤の含有率が6重量%である帯電防止性ハードコート剤を用いた実施例9では、図6に示すように外観変化A2において小さいシミ状の析出物が観察されたが、記録再生への影響は極めて小さい。
また、比較例1のように従来から導電剤として用いられている4級アンモニウム塩を含有した帯電防止性ハードコート剤を使用すると、4級アンモニウム塩はイオン性液体と比べて吸湿性が強いため、帯電防止性ハードコート剤の水分含有率は0.15重量%となり、0.05重量%を大きく上回る。更に、表2に示すように第1の誘電体膜2の成膜レートは78.8%であり、所望の膜厚(80nm)に対して±5%の誤差範囲に収まらない。比較例1では図3、4に示すように、80℃85%環境のもとで96時間保存した場合の外観変化A1においても、1000時間保存した場合の外観変化A2においても、大きなシミ状の析出物(ブリード)が観察された。
以上より、本実施形態の帯電防止性ハードコート剤は、帯電防止剤(導電剤)であるイオン性液体を、帯電防止性ハードコート剤の全体の重量に対して0.5重量%以上6重量%以下の含有率で含ませると、ハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1及び表面を拭取った後のハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R2が1×1014以下となり、帯電防止効果が得られる。更に、80℃85%環境のもとで96時間保存した光記録媒体Dの外観変化A1及び、80℃85%環境のもとで1000時間保存した光記録媒体Dの外観変化A2も、シミ状の析出物が観察されずよい。
本実施形態の光記録媒体Dは記録膜3に相変化材料を使用した書換型光記録媒体であるが、光記録媒体Dの形態はこれに限られるものではなく、色素材料を使用して形成する追記型の記録膜を有する光記録媒体や、再生専用の記録膜を有する光記録媒体にも、本実施形態のハードコート剤を適用できる。
本発明の一実施形態である光ディスクDの積層構造を示す図である。 本実施形態のハードコート剤の水分含有率に対する、第1の誘電体膜2の成膜レートを示す図である。 比較例1における光記録媒体Dの外観変化A1を示す図面代用写真である。 比較例1における光記録媒体Dの外観変化A2を示す図面代用写真である。 実施例9における光記録媒体Dの外観変化A1を示す図面代用写真である。 実施例9における光記録媒体Dの外観変化A2を示す図面代用写真である。 比較例2における光記録媒体Dの外観変化A1を示す図面代用写真である。 比較例2における光記録媒体Dの外観変化A2を示す図面代用写真である。 本実施形態のハードコート剤に含有されている導電剤の含有率に対するハードコート層1Hの表面における電気抵抗値R1を示す図である。
符号の説明
1 基板
1H ハードコート層
2 第1の誘電体膜
3 記録膜
4 第2の誘電体膜
5 反射膜
6 保護膜
7 接着膜
8 基板
8B レーベル印刷面

Claims (3)

  1. 光によって情報が記録または再生される光記録媒体において、
    基板と、
    前記基板の一方の面に形成されたハードコート層と、
    前記基板の他方の面に形成された、少なくとも誘電体膜と記録膜と反射膜とからなる情報層を備え、
    前記ハードコート層は、ハードコート剤とイオン性液体である帯電防止剤とを含む帯電防止性ハードコート剤を硬化させたものであることを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記ハードコート剤の水分含有率は0.05重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 前記帯電防止剤は、前記帯電防止性ハードコート剤に対して0.5重量%から6重量%の含有率で含有されていることを特徴とする請求項2記載の光記録媒体。
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