JP2007149306A - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】400nm付近の光により情報の記録再生を行う光記録媒体として用いられたときに、十分な記録再生特性が得られる光記録媒体を提供すること。また、十分な記録再生特性が得られる光記録媒体を、光記録媒体の反りや基板の損傷の発生を十分に抑制しながら製造することが可能な光記録媒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】記録層3と、記録層3の一面側に設けられ、金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子が該粒子よりも熱伝導度が低い低熱伝導性材料中に分散している反射層6と、を備える光記録媒体1。
【選択図】図1
【解決手段】記録層3と、記録層3の一面側に設けられ、金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子が該粒子よりも熱伝導度が低い低熱伝導性材料中に分散している反射層6と、を備える光記録媒体1。
【選択図】図1
Description
本発明は、光の照射により情報を記録するための光記録媒体及びその製造方法に関する。
従来、DVD等の光記録媒体においては、適度な反射率を得る等の目的で、記録層の記録再生光が入射する側の反対側の面上に、反射層が設けられている。この反射層としては、一般に、スパッタリング等の蒸着によって形成された金属薄膜が用いられている(例えば、特許文献1〜4)。
国際公開第2002/21524号パンフレット
特開2005−100604号公報
特開2004−206882号公報
特開2005−190642号公報
近年、更なる高密度記録を実現するために、記録再生光の短波長化が試みられており、具体的には、400nm付近の波長を有する青色半導体レーザー光の使用が検討されている。
しかしながら、このような短波長の記録再生光に対応する光記録媒体において、従来のDVD等において用いられている反射層を適用すると、記録層において光が照射された部分以外の領域まで記録層の反射率の変化が進行する、記録マークのにじみが発生しやすくなり、その結果、情報の記録及びその再生を正常に行うための十分な記録再生特性が得られないことが、本発明者らの検討の結果明らかとなった。
そこで、本発明は、400nm付近の光により情報の記録再生を行う光記録媒体として用いられたときに、十分な記録再生特性が得られる光記録媒体を提供することを目的とする。
また、従来のように、光記録媒体における反射層をスパッタリング等の蒸着により形成する方法によって光記録媒体を製造する場合、基板が損傷したり、得られる光記録媒体に反りが多く発生したりするといった問題があった。
そこで、本発明はまた、400nm付近の光により情報の記録再生を行う光記録媒体として用いられたときに、十分な記録再生特性が得られる光記録媒体を、光記録媒体の反りや基板の損傷の発生を十分に抑制しながら製造することが可能な光記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは反射層の熱伝導度に着目して鋭意検討した結果、従来の反射層よりも熱伝導度を低下させるような材料で反射層を形成させることにより、光記録媒体の記録再生特性が改善されることを見出し、その知見に基づいて更なる検討を行った結果、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、記録層と、該記録層の一面側に設けられ、金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子が該粒子よりも熱伝導度が低い低熱伝導性材料中に分散している反射層と、を備える光記録媒体である。
本発明の光記録媒体は、反射層に適度な反射率を付与するための材料として金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる粒子を用い、更にこれに低熱伝導性材料を組み合わせた材料により反射層を形成させたものである。これにより、光が照射されたときに発生する熱の拡散が金属薄膜の場合と比較してある程度抑制される。その結果、記録層におけるにじみの発生が抑制されて、十分な記録再生特性が得られたものと考えられる。反射層の熱伝導度が過度に低くなると、光の照射によって発生した熱が拡散し難くなり、かえって記録再生特性の低下を招く可能性も考えられたが、本発明のように、金属粒子等を用いた場合には、低熱伝導性材料と組み合わせたときに反射層が適度な熱伝導度を有するものとなり、十分な記録再生特性を有する光記録媒体を得ることが可能となった。
反射層中の上記粒子は、金属酸化物を含む酸化物層が表層部に形成されている金属粒子を含むことが好ましい。金属粒子としてその表層部に金属酸化物層が形成されているものを用いることにより、光記録媒体の安定性が向上し、反射率等の特性の高温高湿下における経時変化が抑制される。
上記低熱伝導性材料は、樹脂を含むことが好ましい。これにより、記録再生特性が特に優れるとともに、光記録媒体が曲げ等の応力を受けたときに、反射層において応力が緩和されることにより、層間の剥離等が生じ難くなる。
あるいは、上記低熱伝導性材料は、アルコキシド、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩及びアセチルアセトン塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属化合物を含んでいてもよい。これらの材料は金属粒子及びセラミック粒子との親和性が高く、これらの粒子と混合したときに粒子を包み込むように作用するため、記録層中の粒子がより均一に分散し易くなると考えられる。これにより、水や酸素による粒子のマイグレーションや凝集が起こり難くなり、高温高湿下での反射率等の特性の経時変化が抑制される。
反射層は、低熱伝導性材料を、反射層全体に対して0.1〜20質量%含有することが好ましい。低熱伝導性材料をこのような特定範囲とすることにより、記録再生特性向上の効果がより顕著となる。また、反射層は溶媒を含有することが好ましい。
本発明の光記録媒体の製造方法は、金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子、並びに該粒子よりも熱伝導度が低い低熱伝導性材料を含有する液状組成物を塗布する工程を経て反射層を形成する反射層形成工程を備える。
この製造方法は、反射層を形成する方法として、スパッタリング等の蒸着に代えて、反射層を形成するための材料を含有する液状組成物を塗布する工程を経る方法を適用したことにより、400nm付近の光により情報の記録再生を行う光記録媒体として用いられたときに、十分な記録再生特性が得られる光記録媒体を、光記録媒体の反りや基板の損傷の発生を十分に抑制しながら製造することが可能となった。
本発明の光記録媒体は、反射層が適度な熱伝導度及び反射率を有していることにより、400nm付近の光により情報の記録再生を行う光記録媒体として用いられたときに、十分な記録再生特性が得られる。また、本発明の光記録媒体の製造方法によれば、400nm付近の光により情報の記録再生を行う光記録媒体として用いられたときに、十分な記録再生特性が得られる光記録媒体を、光記録媒体の反りや基板の損傷の発生を十分に抑制しながら製造することが可能である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明の光記録媒体に係る光記録ディスクの好適な一実施形態を示す断面図である。図1に示す光記録ディスク1は、基板2の一面上(図中下側)に、反射層6、記録層3、誘電体層4及び光透過層5がこの順で積層された積層構造を有する。光記録ディスク1は、追記型光記録ディスクであり、400〜420nmの光の照射によって情報を記録及び再生するために用いられる。光記録ディスク1は、特には、405nmの青色レーザー光により記録及び再生が行われる、所謂ブルーレイディスクとして知られる光記録媒体として好適に用いられる。
基板2は、直径が64〜200mm程度、厚さが0.3〜1.6mm、好ましくは0.5〜1.3mm程度のディスク状の形状を有する。記録層3の基板2と反対側、すなわち光透過層5側からの光照射により情報の記録及びその再生が行われる。そのため、基板2は必ずしも光学的に透明である必要はない。具体的には、基板2を形成する材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリオレフィン樹脂等の各種プラスチック材料等が好適に用いられる。あるいは、ガラス、セラミックス、金属等を用いてもよい。
基板2の記録層3側の面には、溝状のグルーブGと、隣り合うグルーブG同士の間で相対的に高くなっている(光透過層5側の光記録媒体表面に近くなっている)部分であるランドLとを含む微細な凹凸パターンが形成されている。グルーブGは、通常、スパイラル状に延びた溝として形成されている。グルーブGの深さGd(ランドLの光透過層5側に最も突き出た部分からの深さ)は、好ましくは40〜150nmであり、より好ましくは60〜120nmである。グルーブGの深さGdをこのような範囲とすることによって、十分なトラッキング制御が可能となり、クロストークを抑制できる。グルーブGの深さGdが40nm未満であると、トラック追従のために必要なトラッキングエラー信号が小さくなる他、クロストークが大きくなったり、ウォブル信号のようなプリフォーマット信号が小さくなったりする傾向がある。一方、深さGdが150nmを超えると、ランドL及びグルーブGを高精度で形成することが難しくなるために、反射信号の低下や感度の低下を招き得る。
グルーブ幅Gw(グルーブGの底から深さGdの1/2の高さにおけるグルーブGの幅)は、好ましくは110〜210nmであり、より好ましくは130〜190nmである。グルーブピッチGp(隣り合うグルーブG同士の間隔、例えば、隣り合うグルーブGの幅Gw方向における中心同士の間隔)は、例えば290〜350nmであり、好ましくは310〜330nmである。このような構成とすることによって、クロストークが十分に抑制される。
上記のような凹凸パターンが形成された基板2は、プラスチック材料を用いる場合には、射出成形により作製できる。プラスチック材料以外の材料を用いる場合には、例えば、フォトポリマー法(2P法)によって基板2が成形される。
記録層3の基板2側の面上、すなわち、記録層3に記録再生光が入射する側と反対側の面上には、反射層6が設けられている。反射層6は、金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子と、該粒子よりも熱伝導度が低い低熱伝導性材料と、を含有している。反射層6においては、上記粒子が低熱伝導性材料中に分散している。反射層6の厚さは0.1〜100μmであることが好ましい。
金属粒子及びセラミックス粒子は、高い反射率を示すとともに、熱伝導度も高い。そのため、これらの粒子より熱伝導性の低い材料と組み合わせて反射層を形成したときに、反射層が適度な反射率及び熱伝導度を有するものとなる。
金属粒子としては、Ag又はこれと同等以上の反射率及び熱伝導度を有する金属を主成分とするものが好適に用いられる。具体的には、金属粒子としては、Ag、Au、Al、W、Cu、Be、Mg及びMoからなる群より選ばれる少なくも1種の金属を含む粒子が好ましい。セラミックス粒子としては、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiNx)、硫化亜鉛−酸化ケイ素(ZnS−SiO2)又は酸化タンタル(Ta2O3)を含む粒子が好ましい。特に、反射層を構成する粒子としては、Agを主成分とするAg粒子が好ましい。これらの粒子の平均粒径は、1nm〜10μmであることが好ましい。
金属粒子は、金属酸化物を含む酸化物層で覆われているものであってもよい。すなわち、金属粒子は金属酸化物を含む酸化物層が表層部に形成されているものであってもよい。酸化物層は金属粒子中の金属部分が実質的に露出しないように形成されていることが好ましいが、金属部分の一部が露出していてもよい。酸化物層が形成されている金属粒子は、例えば、上述の金属粒子を酸化処理することによって容易に得られる。
反射層6を構成する低熱伝導性材料としては、上記粒子よりも熱伝導度の低い材料が用いられる。ここで、上記粒子の熱伝導度は、粒子を構成する材料を板状に成形した試料について測定することにより、求められる。例えば、厚さ1mの板状の試験片の両面に1Kの温度差があるときに、試験片を1秒間に流れる1m2当りの熱量を、熱伝導度として求めることができる。表1に粒子を構成する材料の熱伝導度の値を示す。
低熱伝導性材料の熱伝導度も、上記と同様の方法によって測定することができる。低熱伝導性材料としては樹脂が好ましく、樹脂の中でも、加熱により架橋して架橋構造を形成する熱硬化性樹脂が好ましい。すなわち、反射層6における低熱伝導性材料は、架橋構造を有している樹脂であることが好ましい。一般に、樹脂の熱伝導度は金属やセラミックスよりも熱伝導度が小さく、また、金属粒子等を分散する結着剤としても好適に機能する。熱硬化性樹脂は、架橋構造を形成することにより反射層の耐熱性や耐溶剤性が向上し、信頼性がより高い光記録媒体が得られる。
低熱伝導性材料として用いることのできる樹脂の具体例としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、架橋性官能基としてアクリル基を有する熱硬化性樹脂である、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂であるアクリル樹脂が特に好ましい。表2に、上記金属粒子等と好適に組み合わせることのできる低熱伝導性材料の例として、数種の樹脂の熱伝導度を示す。なお、金属粒子又はセラミックス粒子として複数種の粒子を用いる場合には、それらの中で最も熱伝導度の低い粒子よりも熱伝導度の低い材料が低熱伝導性材料として用いられる。
低熱伝導性材料は、アルコキシド、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩及びアセチルアセトン塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属化合物を含んでいてもよい。これら金属化合物は、一般に、金属粒子及びセラミックス粒子よりも低い熱伝導度を有する。カルボン酸塩としては酢酸塩、プロピオン酸等が挙げられ、アルコキシドとしてはメトキシド、エトキシド、プロポキシド等が挙げられる。これら金属化合物中の金属としては、Ag、Al、Pt、In、Sn、Ni、Fe等が挙げられる。これら金属化合物と樹脂とを低熱伝導性材料として併用してもよい。
光記録媒体中の反射層を構成する低熱伝導性材料の種類は、例えば、FT−IRにより反射層についての全反射スペクトルを測定し、そのスペクトルパターンから同定することが可能である。あるいは、反射層を高温に加熱したときに発生する分解ガスをGC−MSで分析し、樹脂の分解生成物を検出する方法によって同定することも可能である。この場合、例えば、反射層を露出させた光記録媒体を590℃程度まで急速加熱し、発生した分解ガスをGC−MSで分析する。
本発明による効果をより顕著なものとするため、低熱伝導性材料の熱伝導度の値は、上記粒子の熱伝導度の値に対して1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。この比率の下限に特に制限はないが、通常0.01%程度である。
反射層6は、低熱伝導性材料を反射層6全体に対して0.1〜20質量%含有することが好ましく、1〜10質量%含有することがより好ましい。低熱伝導性材料の割合が0.1質量%未満であるか又は20質量%を超えると、記録再生特性向上の効果が低下する傾向にある。
反射層6は、溶媒を含有することが好ましい。これにより、光記録媒体が応力を受けたときに反射層6において応力が緩和されやすくなり、界面剥離等の問題が生じ難くなる。反射層6に対する溶媒の添加量は、12cm径ディスク1枚当たり5〜500μgとなる量が好ましい。反射層6が溶媒を含有していることは、例えば、反射層を露出させた光記録媒体を150℃程度に加熱したときに発生するガスをGC−MSで分析して溶媒を検出することにより、確認することができる。
反射層6は、例えば、金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子、並びに上記低熱伝導性材料を含有する液状組成物を基板2上に塗布する工程を経て、好適に形成される。
液状組成物は、容易に塗布することが可能な程度の流動性を有するものとなるように、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、基板を溶解しないものであって、記録層3中の色素を溶解しないものであることが好ましい。具体的には、ベンゼン、キシレン等のトルエン系の溶媒が好適に用いられる。低熱伝導性材料として上述の金属化合物を用いる場合、液状組成物に溶媒を含有させるときには、均質性の高い記録層を形成させるために、当該溶媒に溶解する金属化合物を用いることが好ましい。液状組成物の塗布は、スピンコーティング法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディップコート法などの方法により行うことができる。
低熱伝導性材料として熱硬化性樹脂を用いる場合、塗布された液状組成物を加熱することにより、熱硬化性樹脂を架橋することが好ましい。また、液状組成物が溶媒を含有する場合には、この加熱により溶媒を除去することが好ましい。すなわち、反射層6は、液状組成物を塗布する工程と、塗布された液状組成物を加熱することにより熱硬化性樹脂を架橋するとともに溶媒を除去する工程とを経て形成されることが好ましい。これにより、より高い生産効率で光記録媒体の製造が可能になるとともに、得られる光記録媒体の信頼性もより高いものとなる。この場合の加熱温度は、100℃以下とすることが好ましく、20〜100℃とすることがより好ましい。加熱温度が20℃未満であると架橋を進行させたり、溶媒を効率的に除去することが困難となる傾向にあり、100℃を超えると基板が劣化し易くなる傾向にある。
記録層3は、色素を含有する光記録材料で形成されている。色素としては、400〜420nmの光の照射によって情報を記録することが可能なものであれば、特に制限なく用いられる。本実施形態において好適に用いられる色素の具体例としては、モノメチンシアニン、トリメチンシアニン、金属アゾ、オキソノール、ホルマザン、ポルフィリン、フタロシアニン、クマリンや、その他光記録媒体の記録材料として用いられる金属錯体等が挙げられる。
記録層3は、例えば、光記録材料を溶媒に溶解した光記録材料溶液を用いて形成される。光記録材料溶液の溶媒としては、アルコール、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、アルコール又は脂肪族炭化水素系溶媒を含む溶媒が好ましい。
アルコールとしては、フッ素化アルコール、アルコキシアルコール又はケトアルコールが好ましい。特に、ポリカーボネート基板上に記録層を形成する場合、フッ素化アルコールが好適である。
光記録材料溶液は、溶媒中に光記録材料を投入し、必要に応じて加熱しながら、超音波処理等してこれを溶解することにより、調製できる。光記録材料溶液における光記録材料の濃度は、光記録材料溶液全体を基準として0.1〜10質量%であることが好ましい。光記録材料溶液は、光記録材料及び溶媒の他、必要に応じて、バインダー、分散剤、安定剤などを含有していてもよい。
光記録材料溶液を用いて記録層3を形成させる場合、光記録材料溶液からなる溶液層を反射層6上に形成する工程の後、溶液層中の溶媒を除去して、光記録材料を含有する記録層3を形成させる。すなわち、光記録ディスク1は、色素を含有する光記録材料を溶媒に溶解した光記録材料溶液からなる溶液層を基板2上に形成させる工程と、溶液層中の溶媒を除去して記録層3を形成させる工程とを備える製造方法によって製造することができる。溶液層は、スピンコーティング法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディップコート法などの方法で反射層6上に塗布することにより形成される。これらの中でも、スピンコート法が好ましい。
そして、溶液層を室温で放置するか又は必要に応じて加熱して乾燥することにより、溶媒の一部が除去される。このとき、記録層3中には、記録層3全体の3質量%以下程度(好ましくは0.05〜2質量%)のフッ素化アルコール等の溶媒を残存させるように加熱することが好ましい。上記の範囲で、記録層3中にフッ素化アルコール等の溶媒を残存させることにより、記録層3が適度な粘性(流動性)を有するものとなる。これにより、光記録媒体を取り扱う際に生じる微小な曲がりとともに記録層3が変形しても、記録層3は光記録媒体の曲がりが回復した際に粘性によって自己回復し、記録機能が維持される。記録層3全体の3質量%以上の溶媒が残留していた場合、色素の分子が移動しやすくなり、部分的な結晶化が生じやすくなる傾向にある。また、記録層3中からフッ素化アルコール等の溶媒が完全に除去された場合、記録層3の粘性が著しく低くなり、上記の自己回復機能が損なわれる傾向にある。
記録層3の厚さは、5〜100nmであることが好ましい。特に30〜70nmとすると、変調度と反射率とのバランスが良くなるため、より好ましい。この範囲外では、反射率が低下して、再生を行うことが困難となる傾向にある。また、グルーブ23に隣接する部分における記録層3の膜厚を100nm以上とすると、変調度と反射率とのバランスが悪化する傾向にある。
記録層3の記録光及び再生光に対する消衰係数(複素屈折率の虚部k)は、0〜0.60であることが好ましい。消衰係数が0.60を超えると十分な反射率が得られない傾向にある。また、記録層3の屈折率(複素屈折率の実部n)は1.8以上又は1.6以下であることが好ましい。屈折率が1.6を超えて1.8未満の場合、信号の変調度が小さくなる傾向にある。
記録層3上には、誘電体層4が記録層3に密着して設けられている。誘電体層4は、記録層3を機械的、化学的に保護する保護層としての機能とともに、光学特性を調整する干渉層としての機能を有する。誘電体層4は記録層3の記録光及び再生光が入射する側に位置するため、400〜420nmの波長の記録再生レーザー光を透過させることが必要である。
誘電体層4に用いられる材料としては、例えば、Si、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Zn、Sn、Ca、Ce、V、Cu、Fe及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物又はこれらの複合物が好適に用いられる。特に、光透過能の観点から、ZnS−SiO2、AlN、Ta2O3等が好ましい。これら誘電体層4は単層であってもよいし、複数の層を有していてもよい。誘電体層4は、例えば、イオンビームスパッタリング法、リアクティブスパッタリング法、RFスパッタリング法等の気相成長法や、塗布法によって形成することができる。
誘電体層4上には、光透過層5が誘電体層4に密着して設けられている。光透過層5は単層であってもよいし、多層構造を有していてもよい。光透過層5は、記録光及び再生光に対して、光学的に透明で、反射が少なく、複屈折が小さい材料から形成されることが好ましい。具体的には、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化型樹脂などが好適に用いられる。光透過層5は、例えば、紫外線硬化樹脂などの材料を含む塗布液を誘電体層4上に塗布してから塗膜を乾燥し、更に必要に応じて樹脂を硬化させることにより形成可能である。塗布の際には、スピンコート法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディップコート法などが適用可能である。このようにして形成される光透過層5の厚さはその材質に応じて適宜選択されるが、光透過能の観点からは、一般に1〜150μmであることが好ましい。
光記録ディスク1の記録層3に対して、400〜420nmの記録光を光透過層5側からパルス状に照射することにより、情報を高密度に記録することが可能である。特に、記録層3のグルーブGに沿った部分に集光して情報の記録及び再生を行う、いわゆるin−groove方式で情報の記録及び再生を行うことが好ましい。
本発明の光記録媒体は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の光記録媒体は、所謂HD−DVDとして知られる光記録媒体においても同様に用いることができる。この場合、光記録媒体は従来公知のDVDに相当する構成を適用すればよい。例えば、図1の光透過層5に相当する基板を用意し、これの一面上に直接記録層3を形成し、更にその上に反射層6及び基板2をこの順で積層した構成とすることができる。このような構成の光記録媒体において、記録及び再生を光透過層5に相当する基板の側から行う場合には、図1の実施形態におけるランドLがグルーブとして機能し、グルーブGがランドとして機能することになる。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(光記録媒体の作製)
表3に示す粒子及び低熱伝導性材料を、表中に示す質量比でトルエンに加えて、ペースト状の液状組成物を調製した。この液状組成物を、深さ120nmのグルーブを有する基板上に塗布した。そして、全体を80℃に加熱することにより、液状組成物から大部分の溶媒を除去して、反射層を形成させた。なお、実施例1〜14では、液状組成物から大部分の溶媒を除去するとともに、低熱伝導性材料として用いた熱硬化性樹脂の架橋を進行させた。この反射層上に記録層、誘電体層及び光透過層をこの順で形成させて、図1に示す光記録媒体と同様の構成を有する光記録ディスクを得た。
表3に示す粒子及び低熱伝導性材料を、表中に示す質量比でトルエンに加えて、ペースト状の液状組成物を調製した。この液状組成物を、深さ120nmのグルーブを有する基板上に塗布した。そして、全体を80℃に加熱することにより、液状組成物から大部分の溶媒を除去して、反射層を形成させた。なお、実施例1〜14では、液状組成物から大部分の溶媒を除去するとともに、低熱伝導性材料として用いた熱硬化性樹脂の架橋を進行させた。この反射層上に記録層、誘電体層及び光透過層をこの順で形成させて、図1に示す光記録媒体と同様の構成を有する光記録ディスクを得た。
なお、アクリル樹脂は旭化成工業株式会社製の「デルペット」(商品名)を、アクリルウレタン樹脂は日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネート」(商品名)を、ポリエステル樹脂は住友ベークライト社製の「スミコン」(商品名)を、ポリオレフィン樹脂は三井住友ポリオレフィン社製の「ネオゼックス」(商品名)を、それぞれ用いた。実施例14では、酸化物層で覆われている金属粒子として、Ag粒子を酸化処理したもの(表中「酸化処理Ag」と表記)を用いた。また、表中、Fe(acac)3はFeのアセチルアセトン塩を示す。
また、比較例として、反射層をスパッタリングにより形成したAg薄膜とした他は実施例と同様にして、光記録媒体を作製した。
作製した光記録ディスクについて、波長407nmのレーザー光を用いて線速9.83m/sで信号を記録した。そして、信号が記録された光記録ディスクに対して、パルステック社製DDU−1000を用いて、最短マークである2T信号のCNR(Carrier to Noise Ratio、単位:dB)を測定した。得られた値を初期の2TCNRとした。この値が大きいほど、記録層に記録された信号を明瞭に読み出すことができることを示している。さらに、一部の実施例に係る光記録ディスクについては、80℃、80%RHの環境下に50時間放置する高温高湿試験後の2T CNRを測定した。
表3に示すように、金属粒子又はセラミックス粒子がこれよりも熱伝導度の低い樹脂中に分散した材料により形成された反射層を備える実施例の光記録ディスクは、良好な記録再生特性(2T CNR)を示した。これに対して、金属薄膜を反射層として備える比較例の光記録ディスクの場合、十分な記録再生特性が得られなかった。
特に、酸化物層で覆われている金属粒子を用いた実施例14や、金属硝酸塩等の金属化合物を用いた実施例15〜21の光記録ディスクは、高温高湿試験後の記録再生特性が他の実施例と比較してより優れていた。
1…光記録ディスク、2…基板、3…記録層、4…誘電体層、5…光透過層、6…反射層、G…グルーブ、L…ランド。
Claims (7)
- 記録層と、
該記録層の一面側に設けられ、金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子が該粒子よりも熱伝導度が低い低熱伝導性材料中に分散している反射層と、
を備える光記録媒体。 - 前記粒子が、金属酸化物を含む酸化物層が表層部に形成されている前記金属粒子を含む、請求項1記載の光記録媒体。
- 前記低熱伝導性材料が樹脂を含む、請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 前記低熱伝導性材料がアルコキシド、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩及びアセチルアセトン塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光記録媒体。
- 前記反射層が、前記低熱伝導性材料を反射層全体に対して0.1〜20質量%含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光記録媒体。
- 前記反射層が溶媒を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光記録媒体。
- 金属粒子及びセラミックス粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子、並びに該粒子よりも熱伝導度が低い低熱伝導性材料を含有する液状組成物を塗布する工程を経て反射層を形成する反射層形成工程を備える、光記録媒体の製造方法。
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JP2006023534A JP2007149306A (ja) | 2005-10-27 | 2006-01-31 | 光記録媒体及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014154178A (ja) * | 2013-02-05 | 2014-08-25 | Fujifilm Corp | 塗布型磁気記録媒体、磁気記録装置、および磁気記録方法 |
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2006
- 2006-01-31 JP JP2006023534A patent/JP2007149306A/ja not_active Withdrawn
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