JP2006150856A - 光記録材料及び光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光の照射により情報の記録を行う光記録媒体に用いられる光記録材料、並びに光記録媒体に関する。
光記録媒体としてはすでに、CD−R(追記型CD)やDVD−R(追記型DVD)等の光記録ディスクが広く普及しているが、記録密度のさらなる高密度化のため、その記録・再生光の短波長化が進められている。例えば、CD−Rの現行の記録・再生波長は780nmであるが、次世代のCD−RやDVD−Rでは635〜680nmまで短波長化される。このような短波長の光に対応するための光記録媒体として、例えば、スクワリリウム化合物を色素として含有する光記録材料で記録層を形成させたものが知られている(例えば、特許文献1〜4。)。
国際公開第01/44233号パンフレット
国際公開第01/44375号パンフレット
特開2002−234259号公報
特開2002−370452号公報
しかしながら、従来の光記録材料に用いられている色素は、汎用的な溶媒への溶解度が小さいという問題があった。溶媒への溶解度が低いと、基板上に記録層を形成する際に用いる塗布液中の色素の濃度を高めることができないため、光記録媒体の生産効率が低下する。
そこで、本発明は、溶媒への溶解度が大きく、高い生産効率を達成可能な光記録材料及びこれを用いた光記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、光の照射により情報の記録が可能な光記録媒体に用いられる光記録材料であって、下記一般式(1)で表されるスクワリリウム化合物の塩からなる色素を含有することを特徴とするものである。このような特定の構造を有する塩からなる色素は、溶媒への溶解度が大きく、これを用いて光記録媒体を製造する際に高い生産効率を達成できる。
式(1)中、Aは下記一般式(21)、(22)、(23)、(24)又は(25)で表される1価の基を示し、X−は活性水素が脱離して形成される1価の基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、Mは金属原子を示し、mは2又は3を示す。
式(21)、(22)、(23)、(24)及び(25)中、Q1、Q2、Q3、Q4及びQ5はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環を構成する原子群を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。
上記式(1)におけるX−は、−O−、−COO−、−SO3 −又は−PO3 −で表される1価の基であることが好ましい。これにより、金属との塩を形成することが容易で、また、溶媒への溶解性も特に優れる。
上記式(1)におけるAは、下記一般式(21a)又は(21b)で表される1価の基であることが好ましい。これにより、溶媒への溶解性がより一層優れる。
式(21a)及び(21b)中、R3及びR4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し、n1は0〜4の整数を示し、n2は0〜4の整数を示し、n3は0〜2の整数を示す。但し、同一分子中の複数のR6、R7及びR8はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
本発明の光記録媒体は、上記本発明の光記録材料を含んだ記録層を備え、光の照射により情報の記録が可能な光記録媒体である。この光記録媒体は、本発明の光記録材料を用いていることによって安価に製造することが可能であり、また、耐光性、信頼性、反射率及びジッタの何れについても高いレベルを達成できる。
本発明によれば、溶媒への溶解度が大きく、高い生産効率を達成可能な光記録材料及びこれを用いた光記録媒体が提供される。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当する要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
(光記録材料)
本発明の光記録材料は、スクワリリウム化合物と金属とで形成された塩であって、上記一般式(1)で表されるものを色素として含有する。
本発明の光記録材料は、スクワリリウム化合物と金属とで形成された塩であって、上記一般式(1)で表されるものを色素として含有する。
式(1)において、Aは上記一般式(21)、(22)、(23)、(24)又は(25)で表される1価の基を示す。上記式(21)、(22)、(23)、(24)及び(25)中、Q1、Q2、Q3、Q4及びQ5はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環を構成する原子群を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。
Q1、Q2、Q3、Q4及びQ5で表される芳香族環としては、いわゆる芳香族性を有する環状構造を構成するものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。あるいは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含む複素環又は縮合複素環であってもよい。また、これら芳香族環はアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
式(21)において、R3及びR4は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。特に、感度やジッタ等に優れる点から、R3及びR4のうち少なくとも一方が置換基を有していてもよいベンジル基であることが好ましく、R3及びR4の双方が置換基を有していてもよいベンジル基であることが更に好ましい。
式(1)において、X−は活性水素を有する置換基から1個の活性水素が脱離して形成される、負電荷を有する1価の基を示す。より具体的には、X−としては、水酸基(−OH)、カロボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)及びリン酸基(−PO3H)のような活性水素を有する基から、それぞれの活性水素が脱離して形成される−O−、−COO−、−SO3 −又は−PO3 −で表される1価の基が好ましい。
式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状若しくは分岐状で炭素数1〜6のアルキル基や、炭素数3〜8の環状アルキル基、あるいはこれらがアリール基で置換されたベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基等が挙げられる。
また、式(1)においてMとして表される金属原子としては、Al、Ni、Co、Cu、Zn、Fe、Cr、Mn、Ir、V等が挙げられ、これらの中でもAl、Ni、Co及びCuからなる群より選ばれるものが好ましい。スクワリリウム化合物の塩において、この金属原子は、m価(mは2又は3)のカチオンの状態でスクワリリウム化合物のアニオンとの塩を形成している。
式(1)におけるAは、上記一般式(21a)又は(21b)で表される1価の基であることがより好ましい。式(21a)及び(21b)において、R3、R4及びR5は式(21)について説明したのと同義であり、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し、n1は0〜4の整数を示し、n2は0〜4の整数を示し、n3は0〜2の整数を示す。
式(1)で表されるスクワリリウム化合物の塩は、例えば、スクワリリウム化合物(活性水素が脱離していない中性の化合物)と金属化合物とを、酢酸等の酸触媒の存在下、溶媒中で反応させることにより、得られる。この反応は室温で行ってもよいし、120度程度まで加熱しながら行ってもよい。また、反応時間は1〜15時間程度が好ましい。
塩の合成に用いる金属化合物としては、Al、Co、Ni、Cu等の金属を含有する金属化合物であって、これら金属とフッ素、臭素、塩素、ヨウ素等とのハロゲン塩、およびこれら金属と蟻酸、酢酸等とのカルボン酸塩等が挙げられる。また、塩の合成に用いる溶媒としては、アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒等が挙げられる。
塩の合成に用いるスクワリリウム化合物は、例えば上述した特許文献4に記載のような、従来公知の方法にしたがって合成することができる。例えば、式(1)で表され、Aが式(21)で表される1価の基である塩を形成するスクワリリウム化合物(下記一般式(8)で表されるスクワリリウム化合物(8))の場合、下記の反応式(S1)、(S2)及び(S3)にしたがって合成することができる。
反応式(S1)では、化合物(3)と、これの0.5〜2倍当量(モル)の化合物(4)とを、溶媒中、必要に応じて塩基触媒の存在下で、室温〜40℃で15時間反応させることで、中間体としての化合物(5)が生成する。塩基触媒としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基や、トリエチルアミン、ナトリウムメトキシド等の有機塩基を用いることができる。溶媒としては、メタノール、エタノール、ジメチフホルムアミド等が用いられる。
続いて、反応式(S2)に示すように、反応式(S1)で生成した化合物(5)を、塩基性又は酸性の溶媒中で、室温〜40℃で30分〜15時間反応させることで、化合物(6)を得る。塩基性の溶媒としては、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が、酸性の溶媒としては、塩酸及びジメチルホルムアミドからなる混合溶媒や、塩酸及びジメチルスルホキシドからなる混合溶媒等が用いられる。
更に、反応式(S3)に示すように、化合物(6)とこれの0.5〜2倍当量(モル)の化合物(7)とを反応させることで、スクワリリウム化合物(8)が得られる。この反応は、溶媒中、必要に応じて塩基触媒の存在下で、80〜120℃で1〜15時間の反応時間で好適に行うことができる。溶媒としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノール等のアルコール系溶媒と、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族系溶媒との混合溶媒が好適に用いられる。また、塩基触媒としては、キノリン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基を用いることができる。
また、上記のスクワリリウム化合物(8)以外のスクワリリウム化合物についても、例えば、反応式(S3)において、化合物(7)に代えて他の化合物を適宜選択して用い、反応条件を適正化することで合成できる。
本発明の光記録材料には、色素として上述のようなスクワリリウム化合物の塩のみを含有させてもよいし、シアニン色素のような他の色素あるいはクエンチャーを必要に応じて更に含有させてもよい。
以上のような本発明の光記録材料は、アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒等の安価な極性溶媒への溶解性が良好であり、以下に説明するような本発明の光記録媒体の記録層を形成させるために、好適に用いることができる。
(光記録媒体)
図1は本発明の光記録媒体に係る光記録ディスクの好適な一実施形態を示す部分断面図である。図1に示した光記録ディスク1は、DVD規格に対応した追記型光記録コンパクトディスクであり、635〜680nmの短波長の光による記録・再生が可能なものである。
図1は本発明の光記録媒体に係る光記録ディスクの好適な一実施形態を示す部分断面図である。図1に示した光記録ディスク1は、DVD規格に対応した追記型光記録コンパクトディスクであり、635〜680nmの短波長の光による記録・再生が可能なものである。
光記録ディスク10は、その一側から見て、基板12、記録層13、反射層14、保護層15、接着層50、保護層25、反射層24、記録層23、基板22がこの順で積層された構造を有する。
基板12は、直径が64〜200mm程度、厚さが0.6mm程度のディスク状のものである。基板12の裏面側(記録層13と反対側)からの記録及び再生を可能とするために、基板12は記録光及び再生光に対して実質的に透明であることが好ましく、より具体的には、基板12の記録光及び再生光に対する透過率が88%以上であることが好ましい。基板12の材料としては、透過率に関する上記条件を満たす樹脂又はガラスが好ましく、中でも、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリエチレン、TPX、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂が特に好ましい。
また、基板12の記録層13と接する面及び基板23の記録層24と接する面にはそれぞれグルーブ123、223が形成される。グルーブ123、223は、スパイラル状の連続型グルーブであることが好ましく、深さが60〜200nmであり、幅が0.2〜0.5μmであり、グルーブピッチが0.6〜1.0μmであることが好ましい。これらのグルーブをこのような構成とすることにより、グルーブの反射レベルを低下させることなく、良好なトラッキング信号を得ることができる。グルーブ123は、例えば、上記樹脂を用いて射出成形等により基板12を成形する際に同時に形成可能であるが、基板12の製造後に2P法等によりグルーブ123を形成する樹脂層を基板12上に形成し、基板12とこの樹脂層との複合基板としてもよい。また、記録層13、23それぞれの厚さは50〜200nmであり、記録光に対する複素屈折率はn=1.8〜2.6、k=0.02〜0.20であると好ましい。
記録層13は、上述したようなスクワリリウム化合物の塩からなる色素を含有する。記録層13は、例えば、色素が溶解した塗布液を基板12上に塗布し、塗膜を乾燥させて形成することができる。塗布液に用いる溶媒としては、アルコール系溶媒(ケトアルコール系、エチレングリコールモノアルキルエーテル系等のアルコキシアルコール系を含む。)、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、アルコキシアルコール系、ケトアルコール系などが好ましい。アルコキシアルコール系溶媒は、アルコキシ部分の炭素原子数が1〜4であることが好ましく、かつアルコール部分の炭素原子数が1〜5、さらには2〜5であることが好ましく、総炭素原子数が3〜7であることが好ましい。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)やエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ、エトキシエタノールともいう)やブチルセロソルブ、2−イソプロポキシ−1−エタノール等のエチレングリコールモノアルキルエーテル(セロソルブ)系や1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、1−エトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。ケトアルコール系としてはジアセトンアルコール等が挙げられる。あるいは、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)などのフッ素化アルコールのような特殊な溶媒を用いてもよいが、上述の本発明の光記録材料の場合、より汎用的な溶媒であっても溶解度が比較的高いため、安価な溶媒を用いて製造コストをさらに抑制することも可能である。
脂肪族炭化水素系溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、n−オクタン、iso−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサンなどが好ましく、なかでもエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどが好ましい。
また、ケトン系としてはシクロヘキサノンなどが挙げられる。
本発明では、特にエチレングリコールモノアルキルエーテル系等のアルコキシアルコール系が好ましく、中でもエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール等が好ましい。溶媒は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上の混合溶媒であってもよい。例えばエチレングリコールモノエチルエーテルと1−メトキシ−2−ブタノールの混合溶媒が好適に使用される。
また、塗布液には、色素の他、バインダー、分散剤、安定剤などを適宜含有させてもよい。塗布液中の色素の含有量は、好ましくは0.05〜10質量%である。
塗布液の塗布方法としては、スピンコーティング法、グラビア塗布法、スプレーコート
法、ディップコート法などが適用可能であり、中でもスピンコート法が好ましい。
法、ディップコート法などが適用可能であり、中でもスピンコート法が好ましい。
このようにして形成される記録層13の厚さは、乾燥膜厚で、30〜300nmとすることが好ましい。この範囲外では、反射率が低下して、DVD規格に対応した再生を行うことが困難となる。
また、記録層13の記録光及び再生光に対する消衰係数(複素屈折率の虚部k)は、0〜0.20であることが好ましい。消衰係数が0.20を超えると十分な反射率が得られない傾向にある。また、記録層13の屈折率(複素屈折率の実部n)は1.8以上であることが好ましい。屈折率が1.8未満の場合、信号の変調度が小さくなる傾向にある。なお、屈折率の上限は特に制限されないが、有機色素の合成上の都合から、通常2.6程度である。
記録層13の消衰係数及び屈折率は以下の手順に従い求めることができる。まず、所定の透明基板上に記録層を40〜100nm程度に設けて測定用サンプルを作製し、次いで、この測定用サンプルの基板を通しての反射率あるいは記録層側からの反射率を測定することによって求められる。この場合、反射率は、記録・再生光の波長を用いて鏡面反射(5°程度)にて測定する。さらに、サンプルの透過率を測定する。そして、これらの測定値から、例えば共立全書「光学」、石黒浩三、第168〜178ページに記載の方法に準じ、消衰係数及び屈折率を算出することができる。
記録層13上には、反射層14が記録層13に密着して設けられる。反射層14は、高反射率の金属又は合金を用いて蒸着、スパッタ等を行うことにより形成可能である。金属及び合金としては、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)及びこれらの合金が挙げられる。このようにして形成される反射層14の厚さは50〜120nmであることが好ましい。
反射層14上には、保護層15が反射層14に密着して設けられる。保護層15は層状であってもシート状であってもよく、例えば、紫外線硬化樹脂などの材料を含む塗布液を反射層14上に塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより形成可能である。塗布の際には、スピンコート法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディップコート法などが適用可能である。このようにして形成される保護層15の厚さは0.5〜100μmであることが好ましい。
また、光記録ディスク10は、図2に示すように、保護層15上にダミー基板16が保護層15に密着するように設けられ、記録層として記録層15の1層のみを有する構成であってもよい。この場合、ダミー基板16は基板12と同様の材質及び厚さとすることができる。
接着層50の材料としては、熱硬化性樹脂を含有する接着剤が好ましく用いられる、接着層50の厚さは10〜200μm程度である。
光記録ディスク10に記録又は追記を行う際には、所定波長を有する記録光を、基板12の裏面からパルス状に照射し、照射部の光反射率を変化させる。このとき、上述したスクワリリウム化合物の塩からなる色素を含む記録層13が設けられた光記録ディスク10によれば、短波長の記録・再生光により情報の記録・再生を行う場合であっても、記録層の成膜性、耐光性及び記録再生特性を高水準でバランスよく達成することができる。
以上、本発明の光記録媒体の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、保護層と別に接着層を設けず、保護層を接着層として機能させたような構成を有する光記録ディスクであってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<溶解性>
下記式(1a)で表されるスクワリリウム化合物の塩1aについて、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)への溶解性を確認するため、TFPに対して1質量%の量の塩1aの溶解を試みたところ、塩1aは完全に溶解して色素溶液となることを確認した。
<溶解性>
下記式(1a)で表されるスクワリリウム化合物の塩1aについて、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)への溶解性を確認するため、TFPに対して1質量%の量の塩1aの溶解を試みたところ、塩1aは完全に溶解して色素溶液となることを確認した。
<光記録媒体の作製>
一側にプリグルーブ(溝深さ140nm、幅0.33μm、グルーブピッチ0.74μm)を有する直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基板を準備した。一方、上記塩1aを、その含有率が1質量%となるように、テトラフルオロプロパノール(TFP)に加えて記録層形成用の塗布液を調製した。
一側にプリグルーブ(溝深さ140nm、幅0.33μm、グルーブピッチ0.74μm)を有する直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基板を準備した。一方、上記塩1aを、その含有率が1質量%となるように、テトラフルオロプロパノール(TFP)に加えて記録層形成用の塗布液を調製した。
得られた塗布液を上記ポリカーボネート樹脂基板のプリグルーブが形成された面上に塗布し、乾燥させて記録層(厚さ90nm)を形成した。次いで、この記録層上に、スパッタ法によりAg反射層(厚さ150nm)を形成し、さらに、Ag反射層上に紫外線硬化方のアクリル樹脂からなる透明な保護層(厚さ3μm)を形成して積層構造体を得た。この積層構造体を2枚作製し、それらの保護層が内側となるように接着剤で張り合わせて、図2に示すものと同様の構成を有する光記録ディスクを得た。
(実施例2)
<溶解性>
下記式(1b)で表されるスクワリリウム化合物の塩1bについて、実施例1と同様に、TFPに対して1質量%の量の塩1bの溶解を試みたところ、塩1bは完全に溶解して色素溶液となることを確認した。
<溶解性>
下記式(1b)で表されるスクワリリウム化合物の塩1bについて、実施例1と同様に、TFPに対して1質量%の量の塩1bの溶解を試みたところ、塩1bは完全に溶解して色素溶液となることを確認した。
<光記録媒体の作製>
塩1aに代えて、塩1bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。
塩1aに代えて、塩1bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。
(実施例3)
<溶解性>
下記式(1c)で表されるスクワリリウム化合物の塩1cについて、実施例1と同様に、TFPに対して1質量%の量の塩1cの溶解を試みたところ、塩1cは完全に溶解して色素溶液となることを確認した。
<溶解性>
下記式(1c)で表されるスクワリリウム化合物の塩1cについて、実施例1と同様に、TFPに対して1質量%の量の塩1cの溶解を試みたところ、塩1cは完全に溶解して色素溶液となることを確認した。
<光記録媒体の作製>
塩1aに代えて、塩1cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。
塩1aに代えて、塩1cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。
(比較例1)
<溶解性>
下記式(8a)で表されるスクワリリウム化合物8aについて、実施例1と同様にTFPに対する溶解性を評価したところ、その溶解度は0.1質量%以下であり、実施例1〜3の塩よりも溶解性が低かった。
<溶解性>
下記式(8a)で表されるスクワリリウム化合物8aについて、実施例1と同様にTFPに対する溶解性を評価したところ、その溶解度は0.1質量%以下であり、実施例1〜3の塩よりも溶解性が低かった。
<光記録媒体の作製>
塩1aに代えて、スクワリリウム化合物8aを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。ただし、色素の溶解性が低いために得られた光記録ディスクの状態が悪く、ジッター等の評価が困難又は不能であった。
塩1aに代えて、スクワリリウム化合物8aを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。ただし、色素の溶解性が低いために得られた光記録ディスクの状態が悪く、ジッター等の評価が困難又は不能であった。
(比較例2)
<溶解性>
下記式(8b)で表されるスクワリリウム化合物8bについて、実施例1と同様にTFPに対する溶解性を評価したところ、その溶解度は0.1質量%以下であり、実施例1〜3の塩よりも溶解性が低かった。ただし、色素の溶解性が低いために得られた光記録ディスクの状態が悪く、ジッター等の評価が困難又は不能であった。
<溶解性>
下記式(8b)で表されるスクワリリウム化合物8bについて、実施例1と同様にTFPに対する溶解性を評価したところ、その溶解度は0.1質量%以下であり、実施例1〜3の塩よりも溶解性が低かった。ただし、色素の溶解性が低いために得られた光記録ディスクの状態が悪く、ジッター等の評価が困難又は不能であった。
<光記録媒体の作製>
塩1aに代えて、スクワリリウム化合物8bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。
(比較例3)
塩1aに代えて、スクワリリウム化合物8bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。
(比較例3)
<溶解性>
下記式(8c)で表されるスクワリリウム化合物8cについて、実施例1と同様にTFPに対する溶解性を評価したところ、その溶解度は0.1質量%以下であり、実施例1〜3の塩よりも溶解性が低かった。
下記式(8c)で表されるスクワリリウム化合物8cについて、実施例1と同様にTFPに対する溶解性を評価したところ、その溶解度は0.1質量%以下であり、実施例1〜3の塩よりも溶解性が低かった。
<光記録媒体の作製>
塩1aに代えて、スクワリリウム化合物8cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。ただし、色素の溶解性が低いために得られた光記録ディスクの状態が悪く、ジッター等の評価が困難又は不能であった。
塩1aに代えて、スクワリリウム化合物8cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。ただし、色素の溶解性が低いために得られた光記録ディスクの状態が悪く、ジッター等の評価が困難又は不能であった。
[記録・再生特性の評価]
実施例1〜3及び比較例1〜3の各光記録ディスクに対し、波長655nmのレーザー光を用いて線速14m/秒で信号を記録した後、波長655nmのレーザー光を用いて線速3.5m/秒で再生したときの反射率(Rtop)及び変調度(Mod.)を初期値として測定した。なお、レンズ孔径NAは0.6であった。結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3の各光記録ディスクに対し、波長655nmのレーザー光を用いて線速14m/秒で信号を記録した後、波長655nmのレーザー光を用いて線速3.5m/秒で再生したときの反射率(Rtop)及び変調度(Mod.)を初期値として測定した。なお、レンズ孔径NAは0.6であった。結果を表1に示す。
(耐光性の評価)
実施例1〜3の各光記録ディスクに対して、5万ルックスのキセノンランプ(島津社製キセノンフェードメーター)を80時間連続照射する条件で耐光テストを行った。耐光テスト後の光記録ディスクについて、上記と同様にして反射率(Rtop)及び変調度(Mod.)を測定した。
実施例1〜3の各光記録ディスクに対して、5万ルックスのキセノンランプ(島津社製キセノンフェードメーター)を80時間連続照射する条件で耐光テストを行った。耐光テスト後の光記録ディスクについて、上記と同様にして反射率(Rtop)及び変調度(Mod.)を測定した。
(信頼性の評価)
実施例1〜3の各光記録ディスクを、80℃、80%RHの環境下、200時間放置する条件で保存テストを行った。保存テスト後の光記録ディスクについて、上記と同様にして反射率(Rtop)及び変調度(Mod.)を測定した。なお、DVDの規格値は、反射率45%以上、変調度60%以上、ジッタ−8%以下である。
実施例1〜3の各光記録ディスクを、80℃、80%RHの環境下、200時間放置する条件で保存テストを行った。保存テスト後の光記録ディスクについて、上記と同様にして反射率(Rtop)及び変調度(Mod.)を測定した。なお、DVDの規格値は、反射率45%以上、変調度60%以上、ジッタ−8%以下である。
表1に示すように、実施例1〜3の光記録ディスクは、塩を形成していないスクワリリウム化合物を色素として用いた比較例1〜3と比較して、反射率、変調度、ジッターといった記録・再生特性に優れ、更に、耐光性及び保存安定性(耐候性)にも優れるものであった。なお、表1中「−]は評価不能であったことを示す。
10…光記録ディスク、12、22…基板、13、23…記録層、14、24…反射層、15、25…保護層、16…ダミー基板、123、223…グルーブ、50…接着層。
Claims (4)
- 光の照射により情報の記録が可能な光記録媒体に用いられる光記録材料であって、
下記一般式(1)で表されるスクワリリウム化合物の塩からなる色素を含有する光記録材料。
- 前記X−が、−O−、−COO−、−SO3 −又は−PO3 −で表される1価の基である、請求項1に記載の光記録材料。
- 前記Aが下記一般式(21a)又は(21b)で表される1価の基である、請求項1又は2に記載の光記録材料。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の光記録材料を含んだ記録層を備え、光の照射により情報の記録が可能な光記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004347531A JP2006150856A (ja) | 2004-11-30 | 2004-11-30 | 光記録材料及び光記録媒体 |
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JP2004347531A JP2006150856A (ja) | 2004-11-30 | 2004-11-30 | 光記録材料及び光記録媒体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007097381A1 (en) * | 2006-02-21 | 2007-08-30 | Ricoh Company, Ltd. | Optical recording medium and method for manufacturing the same |
WO2008035724A1 (en) * | 2006-09-19 | 2008-03-27 | Ricoh Company, Ltd. | Squarylium compound, optical recording medium using the same, recording/reproduction method and optical recording apparatus |
-
2004
- 2004-11-30 JP JP2004347531A patent/JP2006150856A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007097381A1 (en) * | 2006-02-21 | 2007-08-30 | Ricoh Company, Ltd. | Optical recording medium and method for manufacturing the same |
US8927082B2 (en) | 2006-02-21 | 2015-01-06 | Ricoh Company, Ltd. | Optical recording medium and method for manufacturing the same |
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JP2008074904A (ja) * | 2006-09-19 | 2008-04-03 | Ricoh Co Ltd | スクアリリウム化合物・金属錯体とそれを用いた光記録媒体、記録再生方法および光記録装置 |
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