JP2007063436A - 色素、光記録材料、光記録媒体及び情報の記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、色素、光記録材料、光記録媒体及び情報の記録方法に関する。
従来のDVDよりも更に高密度の情報記録を可能とする次世代DVDメディアにおいては、405nmの半導体レーザー光のような短波長の光により記録及び再生が行われる。そのため、記録層は405nmの光に対して十分な熱分解特性を有することが必要とされる。これに対応するために、405nm付近の短波長の光を効率的に吸収する色素について検討が進められており、このような色素として、例えば、フタロシアニン誘導体が提案されいる(特許文献1)。
一方、従来のDVDメディアでの使用を想定した色素として、サブフタロシアニン誘導体が知られている(特許文献2)。サブフタロシアニン誘導体は、680nm付近にQ帯と呼ばれる強い吸収帯を有するとともに、405nmよりも更に短波長の領域にソーレ(Soret)帯と呼ばれる吸収帯を有することが知られている。したがって、サブフタロシアニン誘導体を405nm付近で大きな吸収を有するものとするためには、ソーレ帯を長波長側にシフトさせる必要がある。しかし、Q帯の波長領域をシフトさせる方法については従来から詳細に検討されているのに対して、ソーレ帯を長波長側にシフトさせることは一般に困難と考えられている(例えば、非特許文献1、2参照。)。
特開2003−191641号公報
特開平9−131968号公報
川岸洋司、磯田正二、古川雅夫、雀部博之他、「フタロシアニン−化学と機能」、アイ・ピー・シー、1997年2月28日、p.171
廣橋亮、坂本恵一、奥村咲子、「機能性色素としてのフタロシアニン」、アイ・ピー・シー、2004年7月20日、p.104、p.160〜161
ところで、光記録媒体は、一般に、色素を含有する光記録材料を溶媒に溶解した光記録材料溶液を基板上に塗布し、基板上の光記録材料溶液から溶媒を除去する工程を経て製造される。そのため、光記録媒体を効率的に製造する上で、色素の溶媒への溶解性が大きいことは極めて重要である。
しかし、従来、405nm付近の光に対して十分な吸収を有しながら、それと同時に、溶剤への十分な溶解性を有するものは知られていなかった。
そこで、本発明は、405nm付近の光に対する十分な吸収とともに、溶剤への十分な溶解性を有する色素及びこれを含有する光記録材料を提供することを目的とする。また、本発明は、405nm付近の光の照射による情報の記録により、高密度な情報の記録を可能とする光記録媒体及び情報の記録方法を提供することを目的とする。
本発明は、一般式(1):
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基を示し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。]
で表され、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基であり、光を照射することにより情報を記録するために用いられる色素である。
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基を示し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。]
で表され、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基であり、光を照射することにより情報を記録するために用いられる色素である。
本発明の色素は、式(1)で表されるような、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つの位置で水素原子以外の上記特定の置換基により置換されたサブフタロシアニン誘導体の構造を有している。上述のように、従来、サブフタロシアニン誘導体に405nm付近の吸収を持たせることは困難と考えられていたのに対して、本発明の色素によれば、上記特定の置換基を有していることにより、ソーレ帯が長波長側にシフトして、405nm付近の光に対しても十分な吸収を有するものとなった。そして更には、本発明の色素は、溶剤への十分な溶解性を有することが本発明者らの検討により明らかとなった。
本発明の光記録材料は、上記本発明の色素を含有するものである。本発明の光記録材料は、405nm付近の光に対する十分な吸収とともに、溶剤への十分な溶解性を有する。
本発明の光記録媒体は、上記一般式(1)で表される色素を含有する記録層を備え、400〜420nmの光の照射により情報を記録するための光記録媒体である。本発明の光記録媒体は、上記特定構造の色素を含有する記録層を備えていることにより、405nm付近の光の照射による情報の記録により、高密度な情報の記録が可能となった。
本発明の情報の記録方法は、上記一般式(1)で表される色素を含有する記録層に対して、400〜420nmの光の照射することにより情報を記録する、記録方法である。この方法は、上記特定構造の色素を含有する記録層に対して光を照射することにより、高密度な情報の記録を可能とする。
式(1)においては、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基又はニトロ基であることが好ましい。
本発明によれば、405nm付近の光に対する十分な吸収とともに、溶剤への十分な溶解性を有する色素及びこれを含有する光記録材料が提供される。本発明の光記録材料は、また、405nm付近の光の照射による情報の記録のために十分な熱分解特性を有する。
本発明によれば、405nm付近の光の照射による情報の記録により、高密度な情報の記録を可能とする光記録媒体及び情報の記録方法が提供される。本発明の光記録媒体は、高密度に記録された情報を良好な信号品質で再生することが可能である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の色素は、上記一般式(1)で表される構造を有する、いわゆるサブフタロシアニン誘導体である。式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基若しくはニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基を示す。
式(1)のR1〜R12がハロゲン原子である場合、フッ素原子又は塩素原子であることが好ましい。
R1〜R12が置換基を有していてもよいアルキル基である場合、各置換基の炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜10であること更に好ましい。アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよいが、分岐状であることが好ましい。分岐アルキル基であるとき、その総炭素数は3〜8であることが好ましい。あるいは、R1〜R12はシクロアルキル基であってもよい。アルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子や、メトキシ基及びエトキシ基のようなアルコキシ基で置換されていてもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピルブチル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポシキエチル基、ブトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基s、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキエシエチル基、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基が特に好ましい。
R1〜R12が置換基を有していてもよいアルコキシ基である場合、そのアルキル部分の総炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、3〜12であることが更に好ましい。アルキル部分は、総炭素数3〜8の分岐アルキル基、又は、置換基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基)を有するシクロアルキル基であることがより好ましい。このシクロアルキル基は、特に、オキシ基と結合する炭素原子と隣接する位置に置換基(好ましくは総炭素数3〜6の分岐アルキル基)を有することが好ましい。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、3−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロポキシ基、2−エチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ基、2−t−ブチル−6−メチルシクロヘキシルオキシ基及び2,6−ジメチルシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。これらの中でも、メトキシ基が特に好ましい。
R1〜R12が置換基を有していてもよいアルキルチオ基である場合、そのアルキル部分としては、上記アルコキシ基のアルキル部分として挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、シクロヘキシルチオ基及び2−t−ブチルシクロヘキシルチオ基が挙げられる。これらの中でも、iso−プロピルチオ基、iso−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基及び2−t−ブチルシクロヘキシルチオ基が好ましい。
R1〜R12が置換基を有していてもよいアリール基である場合、フェニル基が好ましい。
R1〜R12が置換基を有していてもよいアリールオキシ基である場合、そのアリール部分の総炭素数は6〜14であることが好ましい。アリール部分は単環であっても、縮合多環であっても、環縮合であってもよい。アリール部分の具体例としては、フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基が挙げられる。アリールオキシ基は、ハロゲン原子及びアルキル基等の置換基を有していてもよい。特に、オキシ基との結合位に対してオルト位に置換基を有するフェニル基が好ましい。アリール部分が有する置換基としては、総炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基が好ましい。
アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、o−トリルオキシ基、2−エチルフェニルオキシ基、2−n−プロピルフェニルオキシ基、2−iso−プロピルフェニルオキシ基、2−n−ブチルフェニルオキシ基、2−iso−ブチルフェニルオキシ基、2−s−ブチルフェニルオキシ基、2−t−ブチルフェニルオキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシ基、2−t−ブチル−6−メチルフェニルオキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェニルオキシ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルオキシ基、2−t−ブチル−4−クロロ−5−メチルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−t−ブチルフェニルオキシ基、3−iso−プロピルフェニルオキシ基、4−t−ブチルフェニルオキシ基、2−ブロモフェニルオキシ基及び2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。これらの中でも、2−iso−プロピルフェニルオキシ基、2−iso−ブチルフェニルオキシ基、2−iso−ブチルフェニルオキシ基、2−s−ブチルフェニルオキシ基、2−t−ブチルフェニルオキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシ基、2−t−ブチル−6−メチルフェニルオキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェニルオキシ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルオキシ基、2−t−ブチル−4−クロロ−5−メチルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−t−ブチルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−t−ブチルフェニルオキシ基、3−iso−プロピルフェニルオキシ基及び4−t−ブチルフェニルオキシ基が好ましい。
R1〜R12が置換基を有していてもよいアリールチオ基である場合、そのアリール部分としては、上記アリールオキシ基のアリール部分として挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、o−トリルチオ基、2−エチルフェニルチオ基、2−n−プロピルフェニルチオ基、2−iso−プロピルフェニルチオ基、2−n−ブチルフェニルチオ基、2−iso−ブチルフェニルチオ基、2−s−ブチルフェニルチオ基、2−t−ブチルフェニルチオ基及び2,4−ジ−t−ブチルフェニルチオ基などが挙げられる。これらの中でも、2−iso−プロピルフェニルチオ基、2−iso−ブチルフェニルチオ基、2−s−ブチルフェニルチオ基、2−t−ブチルフェニルチオ基及び2,4−ジ−t−ブチルフェニルチオ基が好ましい。
R1〜R12が置換基を有していてもよいアミノ基である場合、アミノ基が有する置換基としてはアルキル基が好ましい。この場合のアルキル基の好適な具体例としては、R1〜R12が置換基を有していてもよいアルキル基である場合についての上記説明において挙げたものと同様のもの挙げられる。
R1〜R12が、隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基である場合、すなわち、R1及びR2、R2及びR3、R3及びR4、R5及びR6、R6及びR7、R7及びR8、R9及びR10、R10及びR11、並びにR11及びR12から選ばれるいずれかの組み合わせにおける2つの置換基が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成している場合、環としては炭化水素環(好ましくはベンゼン環)又は含窒素複素環(好ましくはイミダゾール環)が好ましい。この環は、サブフタロシアニンの母体骨格中のベンゼン環とともに縮合環を形成していることが好ましい。
R1〜R12は互いに同一でも異なっていてもよいが、これらのうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基若しくはニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基である。特に、R1〜R12が何れも水素原子である無置換体と比較したときの溶解性の向上効果がより大きくなる傾向があることから、R1〜R12のうちの少なくとも1つが、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基又はニトロ基であることが好ましい。R1〜R12の好適な組み合わせの具体例を、表1に示す。
式(1)において、Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。
Xがハロゲン原子である場合、臭素原子が好ましい。Xがアルコキシ基である場合、そのアルキル部分は総炭素数1〜8であることが好ましく、直鎖状であっても分岐状であってもよい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、s−ブトキシ基及びt−ブトキシ基が好ましい。Xがフェノキシ基である場合、パラ位にアルキル基が置換したものであることが好ましい。
式(1)の色素は、例えば、所定の置換基を有するフタロシアニンを塩化ホウ素と反応させる方法等の従来公知の方法に従って、当業者であれば容易に合成することが可能である。式(1)の色素は単独で、又はその他の成分と適宜組み合わせて、400〜420nmの光の照射により情報を記録するための光記録材料として好適に用いられる。
図1は本発明の光記録媒体に係る光記録ディスクの好適な一実施形態を示す断面図である。図1に示す光記録ディスク1は、基板2の一面上(図中下側)に、反射層6、記録層3、誘電体層4及び光透過層5がこの順で積層された積層構造を有する。光記録ディスク1は、追記型光記録ディスクであり、400〜420nmの短波長の光によって情報を記録及び再生するためのものである。光記録ディスク1は、特には、405nmの青色レーザー光により記録及び再生が行われる、所謂ブルーレイディスクとして知られる光記録媒体として好適に用いられる。
基板2は、直径が64〜200mm程度、厚さが0.3〜1.6mm、好ましくは0.5〜1.3mm程度のディスク状の形状を有する。記録層3の基板2と反対側、すなわち光透過層5側からの光照射により情報の記録及びその再生が行われる。そのため、基板2は必ずしも光学的に透明である必要はない。具体的には、基板2を形成する材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリオレフィン樹脂等の各種プラスチック材料等が好適に用いられる。あるいは、ガラス、セラミックス、金属等を用いてもよい。
基板2の記録層3側の面には、溝状のグルーブGと、隣り合うグルーブG同士の間で相対的に高くなっている(光透過層5側の光記録媒体表面に近くなっている)部分であるランドLとを含む微細な凹凸パターンが形成されている。グルーブGは、通常、スパイラル状に延びた溝として形成されている。グルーブGの深さGd(ランドLの光透過層5側に最も突き出た部分からの深さ)は、好ましくは40〜150nmであり、より好ましくは60〜120nmである。グルーブGの深さGdをこのような範囲とすることによって、十分なトラッキング制御が可能となり、クロストークを抑制できる。グルーブGの深さGdが40nm未満であると、トラック追従のために必要なトラッキングエラー信号が小さくなる他、クロストークが大きくなったり、ウォブル信号のようなプリフォーマット信号が小さくなったりする傾向がある。一方、深さGdが150nmを超えると、ランドL及びグルーブGを高精度で形成することが難しくなるために、反射信号の低下や感度の低下を招き得る。
グルーブ幅Gw(グルーブGの底から深さGdの1/2の高さにおけるグルーブGの幅)は、好ましくは110〜210nmであり、より好ましくは130〜190nmである。グルーブピッチGp(隣り合うグルーブG同士の間隔、例えば、隣り合うグルーブGの幅Gw方向における中心同士の間隔)は、例えば290〜350nmであり、好ましくは310〜330nmである。このような構成とすることによって、クロストークが十分に抑制される。
上記のような凹凸パターンが形成された基板2は、プラスチック材料を用いる場合には、射出成形することにより作製できる。プラスチック材料以外の材料を用いる場合には、例えば、フォトポリマー法(2P法)によって基板2が成形される。
基板2と記録層3との間に設けられている反射層6は、高反射率の金属又は合金から形成されることが好ましい。反射層6は、具体的には、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)又はこれらの少なくとも1種を含む合金から形成されることが好ましい。特に、Ag又はAgを含む合金、例えば、AIS(Ag−In−Sn)を用いることが、適切な反射率が得られるため好ましい。反射率を適切な数値とするために、反射層6の厚さは0〜200nmであることが好ましい。すなわち、基板2と記録層3との組合せのみで充分な反射率が得られるならば、反射層を設ける必要はない。反射層6は、例えば、蒸着、スパッタ等の気相成長法を用いて形成することができる。
記録層3は、上述の色素を含有する光記録材料で形成されている。記録層3は、例えば、光記録材料を溶媒に溶解した光記録材料溶液を用いて形成される。光記録材料溶液液の溶媒としては、アルコール、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、アルコール又は脂肪族炭化水素系溶媒を含む溶媒が好ましい。
アルコールとしては、フッ素化アルコール、アルコキシアルコール又はケトアルコールが好ましい。特に、ポリカーボネート基板上に記録層を形成する場合、フッ素化アルコールが好適である。
フッ素化アルコールとしては、1又は2以上のフッ素で置換されたアルキルアルコールが好ましく、特に、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(OFP)が好ましい。これらフッ素化アルコールは単独で又は複数種組み合わせて用いられる。また、他のアルコールと併用してもよい。
アルコキシアルコールは、アルコキシ部分の炭素数が1〜4であることが好ましく、かつ、アルコール部分の炭素数が1〜5、さらには2〜5であることが好ましい。また、アルコキシアルコールの総炭素数は3〜7であることが好ましい。アルコキシアルコールの具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)やエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ、エトキシエタノールともいう)やブチルセロソルブ、2−イソプロポキシ−1−エタノール等のエチレングリコールモノアルキルエーテル(セロソルブ)や1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、1−エトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。ケトアルコールとしてはジアセトンアルコール等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、n−オクタン、iso−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサンが好ましく、なかでもエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンが好ましい。また、ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどが挙げられる。
光記録材料溶液は、溶媒中に光記録材料を投入し、必要に応じて加熱しながら、超音波処理等してこれを溶解することにより、調製できる。光記録材料溶液における光記録材料の濃度は、光記録材料溶液全体を基準として0.1〜10質量%であることが好ましい。光記録材料溶液は、光記録材料及び溶媒の他、必要に応じて、バインダー、分散剤、安定剤などを含有していてもよい。
光記録材料溶液を用いて記録層3を形成させる場合、光記録材料溶液からなる溶液層を基板2上に形成する工程の後、溶液層中の溶媒を除去して、光記録材料を含有する記録層3を形成させる。すなわち、光記録ディスク1は、色素を含有する光記録材料を溶媒に溶解した光記録材料溶液からなる溶液層を基板2上に形成させる工程と、溶液層中の溶媒を除去して記録層3を形成させる工程とを備える製造方法によって製造することができる。この製造方法によれば、色素が溶解性に優れるために高い生産効率で光記録媒体を製造できる。溶液層は、スピンコーティング法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディップコート法などの方法で基板2上に塗布することにより形成される。これらの中でも、スピンコート法が好ましい。
そして、溶液層を室温で放置するか又は必要に応じて加熱して乾燥することにより、溶媒の一部が除去される。このとき、記録層3中には、記録層3全体の3質量%以下程度(好ましくは0.05〜2質量%)のフッ素化アルコール等の溶媒を残存させるように加熱することが好ましい。上記の範囲で、記録層3中にフッ素化アルコール等の溶媒を残存させることにより、記録層3が適度な粘性(流動性)を有するものとなる。これにより、光記録媒体を取り扱う際に生じる微小な曲がりとともに記録層3が変形しても、記録層3は光記録媒体の曲がりが回復した際に粘性によって自己回復し、記録機能が維持される。記録層3全体の3質量%以上の溶媒が残留していた場合、色素の分子が移動しやすくなり、部分的な結晶化が生じやすくなる傾向にある。また、記録層3中からフッ素化アルコール等の溶媒が完全に除去された場合、記録層3の粘性が著しく低くなり、上記の自己回復機能が損なわれる傾向にある。
記録層3の厚さは、5〜100nmであることが好ましい。特に30〜70nmとすると、変調度と反射率とのバランスが良くなるため、より好ましい。この範囲外では、反射率が低下して、再生を行うことが困難となる傾向にある。また、グルーブ23に隣接する部分における記録層3の膜厚を100nm以上とすると、変調度と反射率とのバランスが悪化する傾向にある。
記録層3の記録光及び再生光に対する消衰係数(複素屈折率の虚部k)は、0〜0.20であることが好ましい。消衰係数が0.20を超えると十分な反射率が得られない傾向にある。また、記録層3の屈折率(複素屈折率の実部n)は1.8以上であることが好ましい。屈折率が1.8未満の場合、信号の変調度が小さくなる傾向にある。
記録層3上には、誘電体層4が記録層3に密着して設けられている。誘電体層4は、記録層3を機械的、化学的に保護する保護層としての機能とともに、光学特性を調整する干渉層としての機能を有する。誘電体層4は記録層3の記録光及び再生光が入射する側に位置するため、400〜420nmの波長の記録再生レーザー光を透過させることが必要である。
誘電体層4に用いられる材料としては、例えば、Si、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Zn、Sn、Ca、Ce、V、Cu、Fe及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物又はこれらの複合物が好適に用いられる。特に、光透過能の観点から、ZnS−SiO2、AlN、Ta2O3等が好ましい。これら誘電体層4は単層であってもよいし、複数の層を有していてもよい。誘電体層4は、例えば、イオンビームスパッタリング法、リアクティブスパッタリング法、RFスパッタリング法等の気相成長法によって形成することができる。
誘電体層4の厚さは、1〜100nm程度が好ましく、2〜10nmがより好ましい。誘電体層4の厚さが1nm未満であると、光透過層5中の成分が誘電体層4を透過して記録層3を侵す傾向があり、一方、100nmを超えると記録感度が低下する傾向がある。
誘電体層4上には、光透過層5が誘電体層4に密着して設けられている。光透過層5は単層であってもよいし、多層構造を有していてもよい。光透過層5は、記録光及び再生光に対して、光学的に透明で、反射が少なく、複屈折が小さい材料から形成されることが好ましい。具体的には、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化型樹脂などが好適に用いられる。光透過層5は、例えば、紫外線硬化樹脂などの材料を含む塗布液を反射層4上に塗布してから塗膜を乾燥し、更に必要に応じて樹脂を硬化させることにより形成可能である。塗布の際には、スピンコート法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディップコート法などが適用可能である。このようにして形成される光透過層5の厚さはその材質に応じて適宜選択されるが、光透過能の観点からは、一般に1〜150μmであることが好ましい。
光記録ディスク1の記録層3に対して、400〜420nmの記録光を基板2の光透過層5が形成された面からパルス状に照射することにより、情報を高密度に記録することが可能である。特に、記録層3のグルーブGに沿った部分に集光して情報の記録及び再生を行う、いわゆるin−groove方式で情報の記録及び再生を行うことが好ましい。
本発明の光記録媒体は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の光記録媒体は、所謂HD−DVDとして知られる光記録媒体においても同様に用いることができる。この場合、光記録媒体は従来公知のDVDに相当する構成を適用すればよい。例えば、図1の光透過層5に相当する基板を用意し、これの一面上に直接記録層3を形成し、更にその上に反射層6及び基板2をこの順で積層した構成とすることができる。このような構成の光記録媒体において、記録及び再生を光透過層5に相当する基板の側から行う場合には、図1の実施形態におけるランドLがグルーブとして機能し、グルーブGがランドとして機能することになる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.色素の合成例
1.色素の合成例
(実施例1)
4−ニトロフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR3、R7及びR11がニトロ基であり、R1、R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
4−ニトロフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR3、R7及びR11がニトロ基であり、R1、R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
(実施例2)
4−アミノフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR3、R7及びR11がアミノ基であり、R1、R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
4−アミノフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR3、R7及びR11がアミノ基であり、R1、R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
(実施例3)
テトラクロロフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12が塩素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
テトラクロロフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12が塩素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
(実施例4)
テトラフルオロフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12がフッ素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
テトラフルオロフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12がフッ素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
(実施例5)
4−メチルフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR3、R7及びR11がメチル基であり、R1、R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
4−メチルフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR3、R7及びR11がメチル基であり、R1、R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
(実施例6)
ジメトキシフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR2、R3、R6、R7、R10及びR11がメトキシ基であり、R1、R4、R5、R8、R9及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
ジメトキシフタロニトリルをクロロナフタレンに溶解し、十分に混合した反応液に、塩化ホウ素のn−ヘキサン溶液(1M溶液)を室温にて30分間かけて滴下した。その後、反応液をゆっくりと180℃まで昇温し、この温度で2時間攪拌した。そして、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)により精製して、式(1)においてR2、R3、R6、R7、R10及びR11がメトキシ基であり、R1、R4、R5、R8、R9及びR12が水素原子であり、Xが塩素原子である色素を得た。
(実施例7)
実施例2で得た色素を酢酸エチルに溶解し、十分に混合した反応液に、ヨウ化メチルを室温にて10分間かけて滴下した。その後、水酸化ナトリウムを加えた後、有機層を減圧留去して、アミノ基がジメチルアミノ基に置き換わった色素を得た。
実施例2で得た色素を酢酸エチルに溶解し、十分に混合した反応液に、ヨウ化メチルを室温にて10分間かけて滴下した。その後、水酸化ナトリウムを加えた後、有機層を減圧留去して、アミノ基がジメチルアミノ基に置き換わった色素を得た。
2.吸収スペクトル
実施例1〜7でそれぞれ合成した色素、及び、R1〜R12が全て水素原子で、Xが塩素原子である比較例としての色素(アルドリッチ社製)について、吸収スペクトルを測定した。それぞれの色素のソーレ帯の最大吸収波長(λmax)を表2に示す。無置換のサブフタロシアニンである比較例の色素が405nm付近において実質的に吸収が認められなかったのに対して、実施例の色素はソーレ帯のλmaxが表2に示されるように長波長側にシフトし、これに伴って405nm付近の光に対する吸光度が向上していることが確認された。
実施例1〜7でそれぞれ合成した色素、及び、R1〜R12が全て水素原子で、Xが塩素原子である比較例としての色素(アルドリッチ社製)について、吸収スペクトルを測定した。それぞれの色素のソーレ帯の最大吸収波長(λmax)を表2に示す。無置換のサブフタロシアニンである比較例の色素が405nm付近において実質的に吸収が認められなかったのに対して、実施例の色素はソーレ帯のλmaxが表2に示されるように長波長側にシフトし、これに伴って405nm付近の光に対する吸光度が向上していることが確認された。
3.溶解性
実施例1〜7でそれぞれ合成した色素、及び、R1〜R12が全て水素原子で、Xが塩素原子である比較例としての色素(アルドリッチ社製)色素について、溶媒(トルエン、ジクロロメタン、メタノール又はエチルセルソルブ)1mLに対して20mgの比率で混合したときの溶解状態を目視で確認することにより、色素の溶解性を評価した。色素の溶解性は、以下の基準で判定した。結果を表3に示す。
A:完全に溶解
B:一部溶解
C:不溶(溶媒が着色しない)
実施例1〜7でそれぞれ合成した色素、及び、R1〜R12が全て水素原子で、Xが塩素原子である比較例としての色素(アルドリッチ社製)色素について、溶媒(トルエン、ジクロロメタン、メタノール又はエチルセルソルブ)1mLに対して20mgの比率で混合したときの溶解状態を目視で確認することにより、色素の溶解性を評価した。色素の溶解性は、以下の基準で判定した。結果を表3に示す。
A:完全に溶解
B:一部溶解
C:不溶(溶媒が着色しない)
R1〜R12が全て水素原子である比較例の色素は、何れの溶媒に対しても不溶であった。これに対し、R1〜R12のいずれかが水素原子以外の置換基である実施例の色素は、何れの溶媒に対しても良好な溶解性を示した。
1…光記録ディスク、2…基板、3…記録層、4…誘電体層、5…光透過層、6…反射層、G…グルーブ、L…ランド。
Claims (7)
- 一般式(1):
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基を示し、
Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。]
で表され、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基であり、
光を照射することにより情報を記録するために用いられる、色素。 - R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基又はニトロ基である、請求項1記載の色素。
- 請求項1又は2記載の色素を含有する光記録材料。
- 一般式(1):
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基を示し、
Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。]
で表され、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基若しくはニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基である色素を含有する記録層を備え、
400〜420nmの光の照射により情報を記録するための光記録媒体。 - R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基又はニトロ基である、請求項4記載の光記録媒体。
- 一般式(1):
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基を示し、
Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。]
で表され、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基若しくはニトロ基、又は隣接する置換基と結合して置換基を有していてもよい環を形成している基である色素を含有する記録層に対して、
400〜420nmの光の照射することにより情報を記録する、情報の記録方法。 - R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つが、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基又はニトロ基である、請求項6記載の情報の記録方法。
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JP2005252441A JP2007063436A (ja) | 2005-08-31 | 2005-08-31 | 色素、光記録材料、光記録媒体及び情報の記録方法 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2010043135A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-25 | Orient Chem Ind Ltd | リン誘導体を軸置換基とするサブフタロシアニン誘導体とその製造方法、およびそれを用いる光学膜 |
-
2005
- 2005-08-31 JP JP2005252441A patent/JP2007063436A/ja not_active Withdrawn
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JP2010043135A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-25 | Orient Chem Ind Ltd | リン誘導体を軸置換基とするサブフタロシアニン誘導体とその製造方法、およびそれを用いる光学膜 |
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