JP3041230B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP3041230B2
JP3041230B2 JP7314844A JP31484495A JP3041230B2 JP 3041230 B2 JP3041230 B2 JP 3041230B2 JP 7314844 A JP7314844 A JP 7314844A JP 31484495 A JP31484495 A JP 31484495A JP 3041230 B2 JP3041230 B2 JP 3041230B2
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寿美子 北川
正博 新海
憲良 南波
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、色素膜を記録層として
有する光記録媒体に関し、特に短波長(630nm程度の
波長)で、または短波長と従来の波長(780nm程度の
波長)の2波長で記録、再生ができる追記型の光記録デ
ィスクに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量情報担持媒体として、追記
型や書き換え可能型などの各種光記録ディスクが注目さ
れている。このような光記録ディスクのなかに、色素を
主成分とする色素膜を記録層として用いるものがある。
また、構造的には従来、汎用されている色素膜からなる
記録層上に空気層を設けたいわゆるエアーサンドイッチ
構造のものや、コンパクトディスク(CD)規格に対応
した再生が可能なものとして色素膜からなる記録層に反
射層を密着して設けた構造のものが提案されている(日
経エレクトロニクス1989年1月23日号,No.4
65,P107、社団法人近畿化学協会機能性色素部
会,1989年3月3日,大阪科学技術センター、PROC
EEDINGS SPIE-THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR OPTICAL
ENGINEERINGVOL.1078 PP80-87,"OPTICAL DATA STORAGE
TOPICAL MEETING"17-19,JANUARY 1989 LOS ANGELES
等)。
【0003】上記における記録層は、通常、色素塗布液
を用い、塗布により設層している。
【0004】最近になってより高密度記録への要求が高
くなり、レーザーの短波長化が進んでいる。例えば、特
開平6−40161号公報、同6−40162号公報に
はシアニン色素を利用した短波長レーザー用の光記録媒
体が開示されている。しかし、シアニン色素そのもの
は、一般に、耐光性に劣り、記録の際の信頼性が得られ
にくい。
【0005】また、光、熱、湿度等に対して安定なフタ
ロシアニン色素を用いた光記録媒体については780nm
程度の従来のレーザー波長に対応するものが種々提案さ
れている(例えば特開平5−25179号公報)。さら
に、630nm程度の短波長レーザー波長に対応するもの
としてエアーサンドイッチ構造のものが特開平7−52
544号公報に開示されている。しかし、フタロシアニ
ン色素は、可溶化構造としたものが種々提案されている
が、一般に、塗布用有機溶媒に対する溶解性が十分でな
いものが多い。
【0006】一方、短波長レーザーによる記録、再生が
進むにつれ、従来からの780nm程度のレーザー波長で
記録された情報を630nm程度の短波長レーザーを使用
した再生機で読み出すことや、その逆の使用が望まれて
おり、従来の使用波長での記録、再生と短波長での記
録、再生の互換性を図りたいという要求が生じてきてい
る。
【0007】しかし、上記の特開平6−40161号公
報や特開平6−40162号公報の提案では、短波長化
には対処できるものの、従来からの780nm程度の波長
における記録再生は不可能である。
【0008】また、上記の特開平7−52544号公報
には、短波長化に対応したエアーサンドイッチ構造の光
記録媒体のほか、同じフタロシアニン色素を用い、反射
層を密着して設けた構造の媒体も開示されており、この
媒体では780nm程度の従来からの波長で記録できると
されている。しかし、特開平7−52544号公報の提
案では、媒体の構造自体を変える必要があるため、同一
媒体に対し、短波長と長波長の異なる波長で記録、再生
を行いたいという要求を満たすものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、第一
に、合成が比較的容易で、かつ塗布溶媒に対する溶解性
が良好な色素を用いて、安定でCD規格への対応が可能
であり、630nm程度の短波長レーザーでの記録、再生
を良好に行うことができる光記録媒体を提供することで
ある。第二に、上記目的に加え、さらにオレンジブック
規格への対応が可能であり、短波長レーザー(630nm
程度の波長)および従来の半導体レーザー(780nm程
度の波長)の2波長での記録、再生が可能な光記録媒体
を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)によって達成される。 (1)基板上に、色素として下記式(I)で示されるサ
ブ−フタロシアニンホウ素錯体を含有する記録層を有す
る光記録媒体。
【0011】
【化2】
【0012】[上記式(I)において、R1 、R2 、R
3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11
およびR12はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ
基またはアリールチオ基を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。R1 とR2 、R2 とR3 、R3
とR4 、R5 とR6 、R6 とR7 、R7 とR8 、R9
10、R10とR11およびR11とR12は、それぞれ結合し
て縮合環を形成してもよい。Xはハロゲン原子、ヒドロ
キシ基、アルコキシ基、フェノキシ基またはフェニル基
を表す。] (2)前記R1 〜R12のうちの少なくとも1個がハロゲ
ン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、
アリールオキシ基またはアリールチオ基である上記
(1)の光記録媒体。 (3)前記R1 〜R12のうちの少なくとも1個が分岐の
アルキル基、分岐のアルキル基を有するアルコキシ基、
直鎖もしくは分岐のアルキル基を有するシクロヘキシル
オキシ基またはアルキル置換フェノキシ基である上記
(1)または(2)の光記録媒体。 (4)前記記録層が、さらに前記サブ−フタロシアニン
ホウ素錯体とは異なる色素を含有する上記(1)〜
(3)のいずれかの光記録媒体。 (5)前記サブ−フタロシアニンホウ素錯体とは異なる
色素がフタロシアニン色素である上記(4)の光記録媒
体。 (6)前記記録層が、さらにクエンチャーを含有する上
記(1)〜(5)のいずれかの光記録媒体。
【0013】
【作用】本発明によれば、記録層に色素として式(I)
で示されるサブ−フタロシアニンホウ素錯体を含有させ
ている。このサブ−フタロシアニンホウ素錯体は、吸収
極大が500〜650nm程度であり、630nm程度の短
波長レーザーでの記録、再生が可能になる。また、この
サブ−フタロシアニンホウ素錯体は、塗布用の有機溶媒
に対する溶解性が良好である。この錯体は、フタロシア
ニンと類似の配位子を有する三角錘型ホウ素錯体であり
(安藤、森著、大阪産業大学論集自然科学編第89号1
992 p7〜8)、例えば、これと類似構造のフタロ
シアニン色素に比べ格段と溶解性が向上する。このた
め、塗膜性状が良好になり、媒体としたときジッターが
少なくなり、マージンが広くなる。
【0014】なお、特開平2−9882号公報には、サ
ブ−フタロシアニンホウ素錯体を出発原料としてフタロ
シアニン類を製造する方法が開示されている。また、A.
Meller, A. Ossko, Monatshe fur Chemie 103, 150 (1
972)、S. Dabak, A. Gul, O.Beharoglu, Chem. Ber., 1
27, 2009 (1994)、M. Hanack, M. Geyer, Chem. Soc. C
hem. Commun., 2253 (1994)、N. Kobayashi, R. Kondo,
S. Nakajima, T. Osa, J. Am. Chem. Soc., 112, 9640
(1990)、N. Kobayashi, J. Chem. Soc. Chem. Commu
n., 1203 (1991)、K. Kosuga, T. Idehara, M. Handa,
Inorg. Chimi. Acta, 196, 127 (1992)にも、サブ−フ
タロシアニンホウ素錯体が記載されている。しかし、こ
れらには、サブ−フタロシアニンホウ素錯体を光記録媒
体の記録層に含有させることは全く示唆されていない。
また、特開平7−102251号公報には、サブ−フタ
ロシアニンホウ素錯体を有機EL素子の発光材料や正孔
輸送材料に用いることが示されているが、光記録媒体の
記録層に用いるものではない。
【0015】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。本発明の光記録媒体は、基板上に記録層を
有し、この記録層は、色素として式(I)で示されるサ
ブ−フタロシアニンホウ素錯体(15c−X置換−トリ
イソインドロ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−
gh:1”,2”,3”−kl]−[2,3a,5a,
6a,8,9a,9b]−ヘキサアザボラフェナレンな
いしこの置換体)を含有する。
【0016】式(I)について説明すると、R1 〜R12
はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アル
コキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基またはア
リールチオ基を表す。
【0017】R1 〜R12で表されるハロゲン原子として
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が
挙げられ、なかでも塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0018】R1 〜R12で表されるアルキル基は、総炭
素数1〜15、さらには1〜12、特には1〜10であ
ることが好ましく、直鎖状であっても分岐を有していて
もよいが、分岐を有することが好ましく、分岐のアルキ
ル基であるときの総炭素数は3〜8であることが好まし
い。またシクロアルキル基であってもよく、シクロアル
キル基を有するものであってもよい。さらにアルキル基
は置換基を有していてもよく、このような置換基として
はハロゲン原子(F、Cl、Br等)、アルコキシ基
(メトキシ、エトキシ等)などが挙げられる。このよう
なアルキル基の具体例としては、メチル基(Me),エ
チル基(Et)、n−プロピル基(n−Pr)、iso
−プロピル基(i−Pr)、n−ブチル基(n−B
u)、iso−ブチル基(i−Bu)、s−ブチル基
(s−Bu)、t−ブチル基(t−Bu)、n−ペンチ
ル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,
2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキ
シル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロ
ピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、2−エチ
ルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチ
ル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、
1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2
−エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピ
ルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピルブチル
基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニ
ル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシ
エチル基、プロポシキエチル基、ブトキシエチル基、メ
トキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、
ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジメトキシ
エチル基、ジエトキエシエチル基、クロロメチル基、
2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル
基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロピル基などが挙げられる。なかでも、iso−プロピ
ル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0019】R1 〜R12で表されるアルコキシ基として
は、置換基(ハロゲン原子等)を有していてもよく、ア
ルキル部分としては上記のアルキル基と同様のものが挙
げられるが、アルキル部分の総炭素数が1〜15、さら
には1〜12、特には3〜12であることが好ましい。
なかでも、アルキル部分としては炭素数3〜8の分岐の
アルキル基や、置換基、とりわけ炭素数1〜6の直鎖も
しくは分岐のアルキル基を有するシクロアルキル基が好
ましい。このときのシクロアルキル基としては、シクロ
ヘキシル基が好ましく、これに置換する直鎖もしくは分
岐のアルキル基の合計炭素数は2以上、通常2〜10で
あることが好ましい。特にシクロアルカン環にてオキシ
基との結合位の隣接位に置換基を有することが好まし
く、特に1個のみの置換であるとき分岐のアルキル基
(炭素数3〜6)であることが好ましい。
【0020】このようなアルコキシ基の具体例として
は、メトキシ基(OMe)、エトキシ基(OEt)、n
−プロポキシ基[OPr(n−)]、iso−プロポキ
シ基[OPr(i−)]、n−ブトキシ基[OBu(n
−)]、iso−ブトキシ基[OBu(i−)]、s−
ブトキシ基[OBu(s−)]、t−ブトキシ基[OB
u(t−)]、1,3−ジメチルブトキシ基、3−メチ
ル−1−iso−プロピルブトキシ基、2−メチル−1
−iso−プロピルプロポキシ基、2−エチルブトキシ
基、シクロヘキシルオキシ基、2−t−ブチルシクロヘ
キシルオキシ基、2−t−ブチル−6−メチルシクロヘ
キシルオキシ基、2,6−ジメチルシクロヘキシルオキ
シ基などが挙げられ、なかでもiso−プロポキシ基、
iso−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ
基、1,3−ジメチルブトキシ基、3−メチル−1−i
so−プロピルブトキシ基、2−メチル−1−iso−
プロピルプロポキシ基、2−エチルブトキシ基、2−t
−ブチル−シクロヘキシルオキシ基、2−t−ブチル−
6−メチル−シクロヘキシルオキシ基、2,6−ジメチ
ル−シクロヘキシルオキシ基などが好ましい。
【0021】R1 〜R12で表されるアルキルチオ基とし
ては、アルキル部分が上記のアルコキシ基のアルキル部
分と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様であ
る。具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピ
ルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ
基、iso−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブ
チルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2−t−ブチルシ
クロヘキシルチオ基などが挙げられ、なかでもiso−
プロピルチオ基、iso−ブチルチオ基、s−ブチルチ
オ基、t−ブチルチオ基、2−t−ブチルシクロヘキシ
ルチオ基などが好ましい。
【0022】R1 〜R12で表されるアリールオキシ基と
しては、アリール部分の総炭素数が6〜14のものが好
ましく、単環であっても、縮合多環であっても、環縮合
であってもよく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル
基等が挙げられ、さらに置換基(例えばハロゲン原子、
アルキル基等)を有していてもよい。なかでもアリール
部分として単環のフェニル基であってベンゼン環とオキ
シ基との結合位のオルト位に置換基を有するものが好ま
しい。そして、置換基としては炭素数1〜6の直鎖もし
くは分岐のアルキル基が好ましく、置換する直鎖もしく
は分岐のアルキル基の合計炭素数は2以上、通常2〜1
0であることが好ましく、特に1個のみの置換であると
き分岐のアルキル基(炭素数3〜6)が好ましい。
【0023】アリールオキシ基の具体例としては、フェ
ノキシ基も挙げられるが、好ましくはo−トリルオキシ
基、2−エチルフェニルオキシ基、2−n−プロピルフ
ェニルオキシ基、2−iso−プロピルフェニルオキシ
基、2−n−ブチルフェニルオキシ基、2−iso−ブ
チルフェニルオキシ基、2−s−ブチルフェニルオキシ
基、2−t−ブチルフェニルオキシ基、2,4−ジ−t
−ブチルフェニルオキシ基、2−t−ブチル−6−メチ
ルフェニルオキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル
オキシ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルオキ
シ基、2−t−ブチル−4−クロロ−5−メチルフェニ
ルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−
t−ブチルフェニルオキシ基、3−iso−プロピルフ
ェニルオキシ基、4−t−ブチルフェニルオキシ基、2
−ブロモフェニルオキシ基、2,3,4,5,6−ペン
タフルオロフェニルオキシ基などが挙げられる。特に
は、2−iso−プロピルフェニルオキシ基、2−is
o−ブチルフェニルオキシ基、2−iso−ブチルフェ
ニルオキシ基、2−s−ブチルフェニルオキシ基、2−
t−ブチルフェニルオキシ基、2,4−ジ−t−ブチル
フェニルオキシ基、2−t−ブチル−6−メチルフェニ
ルオキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェニルオキシ
基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルオキシ基、
2−t−ブチル−4−クロロ−5−メチルフェニルオキ
シ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−t−ブ
チルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキ
シ基、3−t−ブチルフェニルオキシ基、3−iso−
プロピルフェニルオキシ基、4−t−ブチルフェニルオ
キシ基などが好ましい。
【0024】R1 〜R12で表されるアリールチオ基とし
ては、アリール部分が上記のアリールオキシ基のアリー
ル部分と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様で
ある。具体的には、フェニルチオ基、o−トリルチオ
基、2−エチルフェニルチオ基、2−n−プロピルフェ
ニルチオ基、2−iso−プロピルフェニルチオ基、2
−n−ブチルフェニルチオ基、2−iso−ブチルフェ
ニルチオ基、2−s−ブチルフェニルチオ基、2−t−
ブチルフェニルチオ基、2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ルチオ基などが挙げられ、なかでも2−iso−プロピ
ルフェニルチオ基、2−iso−ブチルフェニルチオ
基、2−s−ブチルフェニルチオ基、2−t−ブチルフ
ェニルチオ基、2,4−ジ−t−ブチルフェニルチオ基
などが好ましい。
【0025】R1 〜R12は同一でも異なるものであって
もよいが、このなかの少なくとも1個が、ハロゲン原
子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリ
ールオキシ基、アリールチオ基の置換基であることが好
ましく、さらにはR1 、R5 、R9 の組合せ、あるいは
2 、R6 、R10の組合せで、上記置換基を3個有する
ものが好ましい。この場合の置換基としてはアルキル
基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。アル
キル基としては分岐のアルキル基が好ましい。アルコキ
シ基としては、分岐のアルキル基を有するもの、あるい
はシクロヘキシルオキシ基であって置換基を有するも
の、とりわけシクロヘキサン環のオキシ基との結合位の
隣接位に置換基、なかでもアルキル基、特に分岐のアル
キル基を有するものが好ましい。またアリールオキシ基
としては、フェニルオキシ基であって置換基を有するも
の、とりわけベンゼン環のオキシ基との結合位のオルト
位に置換基、なかでもアルキル基、特に分岐のアルキル
基を有するものが好ましい。
【0026】また、R1 〜R12は、R1 〜R4 、R5
8 、R9 〜R12の各組合せで隣接するもの同士が互い
に結合して縮合環を形成してもよい。縮合環としては炭
素環が好ましく、特にベンゼン環が好ましい。特に、R
2 とR3 、R6 とR7 、R10とR11の各組合せで結合す
ることが好ましい。
【0027】なお、式(I)において、R1 〜R12は、
1 〜R4 の組合せとR5 〜R8 の組合せとR9 〜R12
の組合せとは3個の組合せ同士で互いに等価であり、R
1 〜R4 の組合せにおけるR1 とR4 、R2 とR3 、R
5 〜R8 の組合せにおけるR5 とR8 、R6 とR7 、R
9 〜R12の組合せにおけるR9 とR12、R10とR11は各
々互いに等価であるとして示している。
【0028】式(I)において、Xはハロゲン原子、ヒ
ドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基またはフェニ
ル基を表す。
【0029】Xで表されるハロゲン原子としてはフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、なかでも臭素
原子等が好ましい。
【0030】Xで表されるアルコキシ基としては総炭素
数1〜8程度の鎖式のものが好ましく、直鎖状であって
も分岐を有するものであってもよい。また無置換のもの
が好ましいが、置換基を有していてもよい。具体的に
は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、is
o−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ
基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が好ましいもの
として挙げられる。
【0031】Xで表されるフェノキシ基、フェニル基と
しては無置換のものが好ましいが、置換基を有するもの
であってもよい。
【0032】式(I)の化合物の具体例を以下に示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、
以下においては、式(I)のR1 〜R12、Xの組合せに
より示している。
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】式(I)の化合物は、特開平2−9882
号公報、特開平7−102251号公報、A. Meller,
A. Ossko, Monatshe fur Chemie 103, 150 (1972)、S.
Dabak, A. Gul, O. Beharoglu, Chem. Ber., 127, 2009
(1994)、M. Hanack, M. Geyer, Chem. Soc. Chem. Com
mun., 2253 (1994)、N. Kobayashi, R. Kondo, S. Naka
jima, T. Osa, J. Am. Chem. Soc., 112, 9640 (199
0)、N. Kobayashi, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 12
03 (1991) 、K. Kosuga, T. Idehara, M. Handa, Inor
g. Chimi. Acta, 196, 127 (1992)やこれらに引用され
る文献等の記載に従ってあるいは準じて合成することが
できる。
【0042】以下に合成例を示す。
【0043】合成例1化合物No. 38の合成 1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン1.73g と
2,4−ジ−t−ブチル−ヒドロキシベンゼン4.12
g とを、ジメチルホルムアミド(DMF)5ml中でK2
CO3 を5.0g 加えて80℃で2時間反応させた。反
応終了後、水/酢酸エチル(容積比で1/1)混合溶媒
で2回抽出し、酢酸エチル抽出層をMgSO4 を用いて
一晩乾燥した後、酢酸エチルを留去し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーによってクロロホルムを用いて分
離精製し、1,2−ジシアノ−3−(2,4−t−ブチ
ルフェニルオキシ)ベンゼン2.65g を得た(収率8
0%)。
【0044】次に、このベンゼン化合物1.66g とB
Br3 0.42g とを1−クロロナフタレン10ml中で
180℃で10分間加熱して反応させ、これによって得
られた反応生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーによって分離し、目的物1.2g を得た(収率66
%、mp160℃)。
【0045】合成例2化合物No. 50の合成 1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン1.73g と2
−t−ブチル−6−メチル−シクロヘキサノール3.4
0g とを用い、合成例1と同様にして1,2−ジシアノ
−3−(2−t−ブチル−6−メチル−シクロヘキシル
オキシ)ベンゼン1.48g を得た(収率50%)。次
に、このベンゼン化合物1.48g とBBr3 0.42
g とを用い、合成例1と同様にして目的物1.1g を得
た(収率68%、mp154〜155℃)。
【0046】合成例3化合物No. 26の合成 1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン1.73g とt
−ブチルアルコール2.20g とを用い、合成例1と同
様にして1,2−ジシアノ−3−t−ブトキシベンゼン
1.40g を得た(収率70%)。次に、このベンゼン
化合物1.40g とBBr3 0.58g とを用い、合成
例1と同様にして目的物2.9g を得た(収率60%、
mp184〜186℃)。
【0047】合成例4化合物No. 80の合成 1,2−ジシアノ−4−ニトロベンゼン1.73g と2
−t−ブチル−ヒドロキシベンゼン3.0g とを用い、
合成例1と同様にして1,2−ジシアノ−4−(2−t
−ブチルフェニルオキシ)ベンゼン2.2g を得た(収
率80%)。次に、このベンゼン化合物1.38g とB
Br3 0.42g とを用い、合成例1と同様にして目的
物0.77g を得た(収率50%、mp163〜165
℃)。
【0048】合成例5化合物No. 92の合成 1,2−ジシアノ−4−ニトロベンゼン1.73g と2
−t−ブチルシクロヘキサノール4.7g とを用い、合
成例1と同様にして1,2−ジシアノ−4−(2−t−
ブチルシクロヘキシルオキシ)ベンゼン1.41g を得
た(収率50%)。次に、この化合物1.41g とBB
3 0.42g とを用い、合成例1と同様にして目的物
0.77g を得た(収率50%、mp162〜165
℃)。
【0049】合成例6化合物No. 106の合成 化合物No. 80を1−クロロナフタレン溶液に大過剰の
フェノールを混合し、温度50℃で加熱することにより
目的物を得た。
【0050】合成例7化合物No. 113の合成 化合物No. 38の1−クロロナフタレン溶液に大過剰の
エタノールを混合し、温度80℃で加熱することにより
目的物を得た。
【0051】合成例8化合物No. 117の合成 1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン1.73g と2
−t−ブチルベンゼンチオール4.9g とを用い、合成
例1と同様にして1,2−ジシアノ−3−(2−t−ブ
チルフェニルチオ)ベンゼン1.46g を得た(収率5
0%)。次に、このベンゼン化合物1.46g とBBr
3 0.42g とを用い、合成例1と同様にして目的物
0.73g を得た(収率45%、mp160〜161
℃)。
【0052】合成例9化合物No. 121の合成 1,2−ジシアノ−3−(2−t−ブチルフェニルオキ
シ)ベンゼン0.69g と1,2−ジシアノ−4−(2
−t−ブチルフェニルオキシ)ベンゼン0.69g とB
Br3 0.42g とを用いて、合成例1と同様にして目
的物1.07gを得た(収率70%、mp156〜15
9℃)。
【0053】合成例10化合物No. 128の合成 2,3−ジシアノナフタレン0.45g と1,2−ジシ
アノ−3−(2,6−t−ブチルフェニルオキシ)ベン
ゼン0.83g とBBr3 0.42g とを用いて、合成
例1と同様にして目的物0.93g を得た(収率72
%、mp178〜184℃)。
【0054】他の例示化合物も上記と同様にして合成し
た。これらの化合物は、マススペクトル、赤外吸収スペ
クトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等に
よって同定することができる。これらのなかで、マスス
ペクトル(MS)の分子イオンピークM+ を例示化合物
とともに併記する。
【0055】これらの化合物の融点(mp)は120〜
250℃であり、またλmax (トルエン中)は520〜
630nmの範囲にある。
【0056】これらの化合物は、有機溶媒に対する溶解
性が十分であり、光記録媒体の基板材料として汎用され
ているポリカーボネート樹脂(PC)を侵すことがない
塗布溶媒に対する溶解度が大きくなる。
【0057】これらの化合物を用いた記録層は、特に追
記型の光記録ディスク(CD−R)に用いることが好ま
しい。このような記録層は、色素含有塗布液を用いて設
層することが好ましい。特に、回転する基板上に塗布液
を展開塗布するスピンコート法によることが好ましい。
【0058】このときの塗布溶媒として、具体的には、
アルコール系(ケトアルコール系、エチレングリコール
モノアルキルエーテル系を含む。)、脂肪族炭化水素
系、ケトン系、エステル系、エーテル系、芳香族系、ハ
ロゲン化アルキル系等から適宜選択すればよい。
【0059】このなかで、アルコール系、脂肪族炭化水
素系などが好ましい。アルコール系のなかでは、ジアセ
トンアルコール等のケトアルコール系、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)やエチレ
ングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)
やブチルセロソルブ等のエチレングリコールモノアルキ
ルエーテル(セロソルブ系)などが好ましい。特にエチ
レングリコールモノアルキルエーテル系が好ましく、な
かでもエチレングリコールモノエチルエーテルが好まし
い。これらの塗布溶媒は、20℃における蒸気圧が1
0.0mmHg以下、通常0.5〜10.0mmHgである。脂
肪族炭化水素系としては、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シ
クロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、n−オクタ
ン、iso−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシク
ロヘキサンなどが好ましく、なかでもエチルシクロヘキ
サン、ジメチルシクロヘキサンなどが好ましい。これら
の脂肪族炭化水素系の溶媒は、20℃における蒸気圧が
200mmHg以下、通常0.5〜200mmHg程度であり、
一般に蒸気圧の高いものが多く蒸発しやすい、水との親
和性が悪い、などの特徴を有する。
【0060】上記のようなスピンコートの後、必要に応
じて塗膜を乾燥させる。このようにして形成される記録
層の厚さは、目的とする反射率などに応じて適宜設定さ
れるものであるが、通常、500〜3000A 、さらに
好ましくは1000〜3000A 程度である。
【0061】なお、塗布液における色素含有量は、好ま
しくは0.05〜10wt% とするのがよい。式(I)の
化合物は溶解性が良好であるので、このような含有量の
塗布液を容易に調製することができる。
【0062】塗布液には適宜バインダー、分散剤、安定
剤等を含有させてもよい。特に光記録媒体としたときの
耐光性を向上させるために、光安定剤であるクエンチャ
ーを含有させることが好ましい。クエンチャーとしては
金属錯体クエンチャーが好ましく、金属錯体クエンチャ
ーとしては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α
−ジケトン系やビスフェニレンジチオール系などのビス
ジチオール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒド
オキシム系、チオビスフェノレート系が挙げられる。な
かでも、ビスフェニレンジチオール系の金属錯体クエン
チャーアニオンが好ましく、中心金属としてはNi、C
u、Co、Pd、Pt等が挙げられ、Ni、Cu等が好
ましい。
【0063】クエンチャーの添加量は、式(I)の化合
物の0.5〜30wt% 程度とすることが好ましい。
【0064】また、本発明の光記録媒体の記録層には式
(I)の化合物のほか、他の種類の色素を含有させても
よい。このような色素としては、フタロシアニン色素、
シアニン色素、金属錯体色素、スチリル系色素、ポリフ
ィリン系色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ホルマザ
ン金属錯体等が挙げられる。
【0065】したがって、このような場合には、塗布液
中にこのような色素を含有させて記録層を塗設すればよ
い。
【0066】特に、630nm程度の短波長と780nm程
度の従来の波長との2波長で記録再生可能としたり、ま
た記録と再生をこの2つの波長に分けて行うことができ
る構成とする場合、記録層には式(I)の化合物のほ
か、吸収極大(λmax )が680〜750nm程度の色素
を含有させることが好ましく、このような吸収極大(λ
max )をもつ色素を上記色素のなかから選択して用いれ
ばよい。通常、フタロシアニン色素やペンタメチンシア
ニン色素が用いられ、耐光性、信頼性、波長特性等の点
からはフタロシアニン色素が好ましい。このようなフタ
ロシアニン色素としては、溶解性の点などからフタロシ
アニン環の3位または4位に、t−ブチル基等のカサ高
い置換基を有するフェノキシ基またはシクロヘキシルオ
キシ基を有するものなどが好ましく、上記構造のフタロ
シアニン色素については、本出願人による特願平7−9
9942号に記載されている。
【0067】このような2波長の記録、再生を目的とす
る光記録媒体の記録層における式(I)の化合物とフタ
ロシアニン色素等の他の色素との比率は、式(I)の化
合物/他の色素の重量比が90/10〜10/90であ
ることが好ましい。
【0068】したがって、このような混合タイプの記録
層は、このような色素を所定の比率で含有する塗布液を
用いて塗設すればよい。
【0069】また、2波長の記録、再生を目的とする場
合、式(I)の化合物の層と他の色素の層とを積層した
記録層としてもよい。積層順については適宜選択すれば
よく、通常、1層当たりの厚さは10〜250nm程度と
すればよい。このような積層タイプの記録層は、各色素
を含有する塗布液をそれぞれ用いて塗設すればよい。
【0070】このような記録層を基板上に有する光記録
ディスクとして、図1には、その一構成例が示されてい
る。図1は、部分断面図である。図1に示される光記録
ディスク1は、記録層上に反射層を密着して有するCD
規格に対応した再生が可能な密着型光記録ディスクであ
る。図示のように、光記録ディスク1は、基板2表面に
式(I)の化合物を含有する記録層3を有し、記録層3
に密着して、反射層4、保護膜5を有する。
【0071】基板2は、ディスク状のものであり、基板
2の裏面側からの記録および再生を可能とするために、
記録光および再生光(波長500〜900nm程度、とり
わけ波長500〜650nm程度、なかでも波長580〜
640nm程度のレーザー光および波長680〜900nm
程度のレーザー光、なかでも波長680〜780nm程度
のレーザー光や波長770〜900nm程度の半導体レー
ザー光、特に635nmおよび780nm)に対し、実質的
に透明(好ましくは透過率88%以上)な樹脂あるいは
ガラスを用いて形成するのがよい。また、大きさは、直
径64〜200mm程度、厚さ1.2mm程度のものとす
る。
【0072】基板2の記録層3形成面には、図1に示す
ように、トラッキング用のグルーブ23が形成される。
グルーブ23は、スパイラル状の連続型グルーブである
ことが好ましく、深さは0.1〜0.25μm 、幅は
0.35〜0.50μm 、グルーブピッチは1.5〜
1.7μm であることが好ましい。グルーブをこのよう
な構成とすることにより、グルーブ部の反射レベルを下
げることなく、良好なトラッキング信号を得ることがで
きる。特にグルーブ幅を0.35〜0.50μm に規制
することは重要であり、グルーブ幅を0.35μm 未満
とすると、十分な大きさのトラッキング信号が得られに
くく、記録時のトラッキングのわずかなオフセットによ
って、ジッターが大きくなりやすい。また0.50μm
をこえると、再生信号の波形歪みが生じやすく、クロス
トロークの増大の原因となる。
【0073】基板2は、材質的には、樹脂を用いること
が好ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ア
モルファスポリオレフィン、TPX、ポリスチレン系樹
脂等の各種熱可塑性樹脂が好適である。そして、このよ
うな樹脂を用いて射出成形等の公知の方法に従って製造
することができる。グルーブ23は、基板2の成形時に
形成することが好ましい。なお、基板2製造後に2P法
等によりグルーブ23を有する樹脂層を形成してもよ
い。また、場合によってはガラス基板を用いてもよい。
【0074】図1に示されるように、基板2に設層され
る記録層3は、前記の色素含有塗布液を用い、前記のよ
うに、好ましくはスピンコート法により形成されたもの
である。スピンコートは通常の条件に従い、内周から外
周にかけて、回転数を500〜5000rpm の間で調整
するなどして行えばよい。
【0075】このようにして形成される記録層3の厚さ
は、乾燥膜厚で、500〜3000A (50〜300n
m)とすることが好ましい。この範囲外では反射率が低
下して、CD規格に対応した再生を行うことが難しくな
る。この際、グルーブ23内の記録トラック内の記録層
3の膜厚を1000A (100nm)以上、特に1300
〜3000A (130〜300nm)とすると、変調度が
きわめて大きくなる。
【0076】このようにして形成される記録層3は、式
(I)の化合物を主成分とする短波長対応型のものであ
るとき、CD信号を記録する場合、その記録光および再
生光波長における消衰係数(複素屈折率の虚部)kは、
0〜0.20であることが好ましい。kが0.20を超
えると、十分な反射率が得られない。また、記録層3の
屈折率(複素屈折率の実部)nは、1.8以上であるこ
とが好ましい。nが1.8未満では信号の変調度が小さ
すぎる。nの上限には特に制限はないが、色素化合物の
合成上の都合等から通常2.6程度である。
【0077】また、2波長対応型の色素混合タイプの記
録層であるときは、630nmにおいてn=1.8〜2.
3、k=0.03〜0.20、780nmにおいてn=
1.8〜2.5、k=0.03〜0.15であることが
好ましい。また、2波長対応型の積層タイプの記録層で
あるとき、上記の短波長対応型と同じn、kを有する記
録層と780nmにおいてn=1.8〜2.8、k=0〜
0.15の記録層とを含む記録層とすればよく、さらに
このほかに層を有していてもよい。このようにn、kを
規制することによって、2波長で良好な記録、再生が行
える。特に780nm程度の従来波長ではオレンジブック
規格に対応した記録、再生が行える。
【0078】なお、記録層のnおよびkは、所定の透明
基板上に記録層を例えば40〜100nm程度の厚さに実
際の条件にて設層して、測定用サンプルを作製し、次い
で、この測定用サンプルの基板を通しての反射率あるい
は記録層側からの反射率を測定することによって求め
る。この場合、反射率は、記録再生光波長を用いて鏡面
反射(5°程度)にて測定する。また、サンプルの透過
率を測定する。そして、これらの測定値から、例えば、
共立全書「光学」石黒浩三P168〜178に準じ、
n、kを算出すればよい。
【0079】図1に示されるように、記録層3上には、
直接密着して反射層4が設層される。反射層4として
は、Au、Cu、Al、AgCu等の高反射率金属ない
し合金を用いるのがよい。反射層4の厚さは500A 以
上であることが好ましく、蒸着、スパッタ等により設層
すればよい。また、厚さの上限に特に制限はないが、コ
スト、生産作業時間等を考慮すると、1200A 程度以
下であることが好ましい。これにより、反射層4単独で
の反射率は、90%以上、媒体の未記録部の基板を通し
ての反射率は十分であり、2波長対応型のものの780
nm程度の従来の波長では60%以上、特に70%以上が
得られる。
【0080】図1に示されるように、反射層4上には、
保護膜5が設層される。保護膜5は、例えば紫外線硬化
樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜100μ
m 程度の厚さに設層すればよい。保護膜5は、層状であ
ってもシート状であってもよい。保護膜5は、スピンコ
ート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等
の通常の方法により形成すればよい。
【0081】このような構成の光記録ディスク1に記録
ないし追記を行うには、例えば635nmあるいは780
nmの記録光を、基板2を通してパルス状に照射し、照射
部の光反射率を変化させる。なお、記録光を照射する
と、記録層3が光を吸収して発熱し、同時に基板2も加
熱される。この結果、基板2と記録層3との界面近傍に
おいて、色素等の記録層材質の融解や分解が生じ、記録
層3と基板2との界面に圧力が加わり、グルーブの底面
や側壁を変形させることがある。なお、記録に際し、基
板回転線速度は1.2〜1.4m/s 程度とする。
【0082】本発明の光記録媒体は、図示例のような密
着型の光記録ディスクに限らず、色素を含有する記録層
を有するものであれば、いずれであってもよい。このよ
うなものとしては、エアーサンドイッチ構造のピット形
成型光記録ディスク等が挙げられ、本発明を適用するこ
とによって、同様の効果が得られる。
【0083】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 実施例1 例示した式(I)の化合物のうち、No.38の2wt%
エチルシクロヘキサン溶液を用い、ポリカーボネート基
板(厚さ1.2mm)上に色素膜をスピンコート法により
形成し、この薄膜サンプルの吸収スペクトルを測定し
た。色素膜の厚さ(乾燥膜厚)は200nmとした。この
結果を図2に示す。
【0084】図2により、化合物No.38は635nm
程度のレーザーで記録再生を行う光記録媒体の記録層に
用いうることがわかる。
【0085】実施例2 実施例1において、化合物No.38と下記のフタロシ
アニン色素とを1:1の重量比で併用するほかは同様に
して薄膜サンプルを作製し、吸収スペクトルを測定し
た。この結果を図3に示す。
【0086】
【化11】
【0087】図3より、化合物No.38と上記フタロ
シアニン色素との混合薄膜は635nm程度のレーザーお
よび780nm程度の半導体レーザーの2波長記録再生を
行う光記録媒体の記録層に用いうることがわかる。
【0088】さらに、上記薄膜サンプルに対し、8万ル
ックスのキセノンランプを照射したときの10時間、3
3時間、61時間時点での吸収スペクトルを図3に併記
する。この結果から光照射による吸収スペクトルの変化
が少なく耐光性に優れることがわかる。
【0089】実施例3 実施例2の薄膜サンプルについて、耐光性を調べた。耐
光性は、初期透過率T0 と8万ルックスのキセノンラン
プを照射した後の透過率Tを測定し、(100−T)×
100/(100−T0 )にて色素残存率(%)を算出
することによって評価した。結果を図4に示す。
【0090】図4より、フタロシアニン色素を併用した
実施例2の薄膜サンプルは耐光性に優れたものであるこ
とがわかる。なお、図中、実施例2の薄膜サンプルはサ
ブ−フタロシアニン+フタロシアニンとして示してい
る。
【0091】実施例4 ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ1.
2mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブ
ピッチ1.6μm 、グルーブ幅0.42μm 、グルーブ
深さ1550A のトラッキング用のグルーブを形成し
た。
【0092】次に、化合物No.38と実施例2のフタ
ロシアニン色素とを重量比で1:1に混合したものをエ
チルシクロヘキサンに溶解し、色素含有量2wt% の色素
塗布液を調製し、これを用いてスピンコート法により色
素膜を形成し、これを記録層とした。記録層の厚さ(乾
燥膜厚)は、グルーブ内で1500A 、平均で1200
A とした。さらに、記録層上にスパッタ法により85nm
の厚さのAu反射層を形成し、この上に紫外線硬化型の
アクリル樹脂の保護膜(膜厚5μm )を形成した。この
ようにして図1に示すような光記録ディスクを得た。
【0093】このディスクサンプルNo. 1について、7
80nmの半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s で
記録再生特性を調べたところ、最適記録パワーは6.5
mWであり、記録前のディスクの反射率は70%以上であ
り、記録信号の変調度は60%以上、記録信号の反射率
(Rtop )は65%であった。したがって、オレンジブ
ック規格に準拠した光記録ディスクであることがわかっ
た。
【0094】さらに、780nmで記録したものを、63
5nmの半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s で再
生特性を調べたところ、反射率42%、変調度44%の
特性が得られた。また、そのときのエラーレートは、オ
レンジブック規格のC1エラーに準じるものを測定した
ところ、10個/s以下であった。したがって、780nm
で記録したものを635nmで良好に再生できることがわ
かった。
【0095】また、上記とは反対に635nmのレーザー
光を使用して線速度1.4m/s で記録再生特性を調べた
ところ、最適記録パワーは5mWであり、記録信号の変調
度は45%、Rtop は53%であった。したがって、6
35nmで良好な記録、再生が可能であることがわかっ
た。
【0096】さらに、635nmで記録したものを780
nmの半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s で再生
特性を調べたところ、Rtop は66%、変調度70%の
特性が得られ、エラーレートはC1エラーで10個/s以
下であり、オレンジブック規格を満足する再生を行える
ことがわかった。
【0097】実施例5 実施例4のディスクサンプルNo.1において、記録層
形成に際し、化合物No.38のみを含有する2wt% エ
チルシクロヘキサン溶液を塗布液として用いるほかは同
様にしてディスクサンプルNo.2を作製した。
【0098】このディスクサンプルNo.2について6
35nmのレーザー光を使用して線速度1.4m/s で記録
再生特性を調べたところ、最適記録パワーは6.2mWで
あり、記録前のディスクの反射率は57%であり、記録
信号の変調度は45%、Rtop は53%であった。した
がって、635nmで良好な記録、再生が可能であること
がわかった。
【0099】また、オレンジブック規格に準じたジッタ
ーを測定したところ、ジッターが少なく良好な再生が行
えることがわかった。
【0100】実施例4、5のディスクサンプルNo.
1、No.2において、化合物No.38のかわりに、
化合物No.9、11、12、23、25、26、2
7、28、29、30、36、37、39、49、50
を用いるほかは同様にして、また化合物No.38を含
めてこれらの化合物のなかから2種以上を併用するもの
とするほかは同様にしてディスクサンプルを作製し、同
様に特性を調べたところ、同様の結果が得られた。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、630nm程度の短波長
レーザーでの記録、再生を良好に行うことができ、安定
でCD規格への対応が可能となる。特にジッターが少な
く、マージンが広い。
【0102】さらに、所定のシアニン色素やフタロシア
ニン色素を併用した記録層とすることにより、従来の半
導体レーザーと短波長レーザーの2波長での記録、再生
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録ディスクの一例を示す部分断面
図である。
【図2】本発明のサブ−フタロシアニンホウ素錯体薄膜
の吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明のサブ−フタロシアニンホウ素錯体とフ
タロシアニン色素との混合薄膜の吸収スペクトルを示す
グラフである。
【図4】本発明のサブ−フタロシアニンホウ素錯体とフ
タロシアニン色素との混合薄膜について、光照射時間と
色素残存率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光記録ディスク 2 基板 23 グルーブ 3 記録層 4 反射層 5 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉村 江美子 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−9882(JP,A) 特開 平4−21684(JP,A) 特開 平4−70630(JP,A) 特開 平4−70631(JP,A) 特開 平5−86063(JP,A) 特開 平7−102251(JP,A) 英国特許出願公開2290489(GB,A) A.Sastreら,J.Am.Ch em.Soc.1996,118,2746−2747 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、色素として下記式(I)で示
    されるサブ−フタロシアニンホウ素錯体を含有する記録
    層を有する光記録媒体。 【化1】 [上記式(I)において、R1 、R2 、R3 、R4 、R
    5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11およびR12
    それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコ
    キシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基またはアリ
    ールチオ基を表し、これらは同一でも異なるものであっ
    てもよい。R1 とR2 、R2 とR3 、R3とR4 、R5
    とR6 、R6 とR7 、R7 とR8 、R9 とR10、R10
    11およびR11とR12は、それぞれ結合して縮合環を形
    成してもよい。Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アル
    コキシ基、フェノキシ基またはフェニル基を表す。]
  2. 【請求項2】 前記R1 〜R12のうちの少なくとも1個
    がハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキル
    チオ基、アリールオキシ基またはアリールチオ基である
    請求項1の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記R1 〜R12のうちの少なくとも1個
    が分岐のアルキル基、分岐のアルキル基を有するアルコ
    キシ基、直鎖もしくは分岐のアルキル基を有するシクロ
    ヘキシルオキシ基またはアルキル置換フェノキシ基であ
    る請求項1または2の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記記録層が、さらに前記サブ−フタロ
    シアニンホウ素錯体とは異なる色素を含有する請求項1
    〜3のいずれかの光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記サブ−フタロシアニンホウ素錯体と
    は異なる色素がフタロシアニン色素である請求項4の光
    記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記記録層が、さらにクエンチャーを含
    有する請求項1〜5のいずれかの光記録媒体。
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