JP3307520B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

Info

Publication number
JP3307520B2
JP3307520B2 JP09994295A JP9994295A JP3307520B2 JP 3307520 B2 JP3307520 B2 JP 3307520B2 JP 09994295 A JP09994295 A JP 09994295A JP 9994295 A JP9994295 A JP 9994295A JP 3307520 B2 JP3307520 B2 JP 3307520B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
optical recording
recording medium
medium according
dye
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09994295A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08300814A (ja
Inventor
寿美子 北川
正博 新海
憲良 南波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP09994295A priority Critical patent/JP3307520B2/ja
Publication of JPH08300814A publication Critical patent/JPH08300814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3307520B2 publication Critical patent/JP3307520B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、色素膜を記録層として
有する光記録ディスクに関し、特にフタロシアニン系色
素を用いた追記型の光記録ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量情報担持媒体として、追記
型や書き換え可能型などの各種光記録ディスクが注目さ
れている。このような光記録ディスクのなかに、色素を
主成分とする色素膜を記録層として用いるものがある。
また、構造的には従来、汎用されている色素膜からなる
記録層上に空気層を設けたいわゆるエアーサンドイッチ
構造のものや、コンパクトディスク(CD)規格に対応
した再生が可能なものとして色素膜からなる記録層に反
射層を密着して設けた構造のものが提案されている(日
経エレクトロニクス1989年1月23日号,No.4
65,P107、社団法人近畿化学協会機能性色素部
会,1989年3月3日,大阪科学技術センター、PROC
EEDINGS SPIE-THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR OPTICAL
ENGINEERINGVOL.1078 PP80-87,"OPTICAL DATA STORAGE
TOPICAL MEETING"17-19,JANUARY 1989 LOS ANGELES
等)。
【0003】上記における記録層は、通常、色素塗布液
を用い、塗布により設層している。
【0004】また、記録層に用いる色素としては、従
来、シアニン色素が主に検討の対象とされてきたが、こ
のものは、一般に、耐光性に劣り、記録の際の信頼性が
得られにくいため、これにかえて、光、熱、湿度等に対
する安定性に優れたフタロシアニン系色素を用いること
が試みられている。
【0005】しかし、フタロシアニン系色素は、一般に
有機溶媒に対する溶解度が低い。このため、色素塗布液
を用いて記録層を形成する場合、色素塗布液の調製が困
難であり、有効な膜厚の色素膜の形成が困難であった。
【0006】従って、置換基を導入するなどして可溶化
する試みがなされている。
【0007】例えば、特公平3−16916号には、置
換基としてアルコキシ基やアリールオキシ基を5〜16
個導入したフタロシアニン化合物が開示されている。ま
た、特開平5−25179号には、ハロゲン化アルコキ
シフタロシアニンが開示されている。
【0008】しかし、特公平3−16916号で塗布溶
媒として使用されているのは、トルエン等であり、この
ような芳香族炭化水素系の有機溶媒は、基板材料として
汎用されているポリカーボネート(PC)を侵してしま
うので、使用が好ましくない。
【0009】一方、特開平5−25179号に記載のハ
ロゲン化アルコキシフタロシアニンはアルコキシフタロ
シアニンを一旦合成してからハロゲン化するという工程
を経ており、ハロゲン化には反応溶媒を選択し、かつ溶
媒量や反応温度などを調節する必要があり、合成が困難
である。また、収率が低い。
【0010】従って、合成が比較的安易であり、PC等
の基板材料を侵すことなく、かつ取扱いやすい溶媒、例
えばアルコール系や脂肪族炭化水素系等の有機溶媒に可
溶なフタロシアニン系色素を用いることが望まれてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、合成
が比較的安易であり、基板材料を侵すことがないなど、
取り扱い性に優れた塗布溶媒に対する溶解性が良好なフ
タロシアニン系色素を用いて、膜厚が十分で膜質が良好
な記録層を設層することができ、安定でCD規格への対
応が可能な光記録媒体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(36)構成によって達成される。 (1) 基板上に、色素を含有する記録層を有し、前記
色素が、下記式(1)で示される基を少なくとも1個有
するフタロシアニン系色素である光記録媒体。
【0013】
【化7】
【0014】[式(1)において、Yはフタロシアニン
環に結合する原子であり、酸素原子または硫黄原子を表
わす。Zは炭素原子とともに脂肪族炭素環または複素環
を完成するのに必要な原子群を表わす。A1 は水素原子
よりカサ高い一価の置換基を表わす。X1 およびX2
は、それぞれ、水素原子、一価の置換基、およびX1
2 とが互いに結合して単結合を形成するかのいずれか
である。] (2) 前記フタロシアニン系色素が、下記式(2)で
示される上記(1)の光記録媒体。
【0015】
【化8】
【0016】[式(2)において、Mはフタロシアニン
環の中心原子を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を
表わす。Zは、炭素原子とともに脂肪族炭素環または複
素環を完成するのに必要な原子群を表わす。A1 は水素
原子よりカサ高い一価の置換基を表わす。A2 は水素原
子または水素原子よりカサ高い一価の置換基を表わす。
1 およびX2 は、それぞれ、水素原子、一価の置換
基、およびX1 とX2 とが互いに結合して単結合を形成
するかのいずれかである。q1は1〜4の整数である。
q2、q3およびq4は、それぞれ0または1〜4の整
数である。Rは、一価の置換基を表わす。r1、r2、
r3およびr4は、それぞれ、0または1〜4の整数で
ある。] (3) 前記式(1)で示される基が分子中に1〜8個
存在する上記(1)または(2)の光記録媒体。 (4) 前記式(1)で示される基が分子中に4個存在
する上記(3)の光記録媒体。 (5) 前記Zで完成される環が脂肪族炭素環である上
記(1)〜(4)のいずれかの光記録媒体。 (6) 前記脂肪族炭素環がシクロヘキサン環である上
記(5)の光記録媒体。
【0017】(7) 前記フタロシアニン系色素が下記
式(4)で示される上記(1)〜(6)のいずれかの光
記録媒体。
【0018】
【化9】
【0019】[式(4)において、Mはフタロシアニン
環の中心原子を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を
表わす。A4 は水素原子よりカサ高い一価の置換基を表
わす。R0 は一価の置換基を表わし、rは0または1〜
3の整数である。R11、R12、R13およびR14は、それ
ぞれ、水素原子または一価の置換基を表わす。] (8) 前記R11〜R14のなかの1個以上が一価の置換
基である上記(7)の光記録媒体。 (9) 前記水素原子よりカサ高い一価の置換基が、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、アラルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキ
シル基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミド基、
カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ス
ルホ基、スルフィノ基、アリールアゾ基、アルキルチオ
基またはアリールチオ基である上記(1)〜(8)のい
ずれかの光記録媒体。 (10) 前記水素原子よりカサ高い一価の置換基が、
アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、アラルキル基、エステル基、アリールアゾ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、またはアルキル基もしく
はアリール基を有するアシル基、アミノ基、アミド基、
カルバモイル基、スルホニル基もしくはスルファモイル
基である上記(9)の光記録媒体。 (11) 前記水素原子よりカサ高い一価の置換基が、
分岐アルキル基、または分岐アルキル基を有するアルコ
キシ基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミド基、
カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基もし
くはアルキルチオ基である上記(10)の光記録媒体。 (12) 前記水素原子よりカサ高い一価の置換基が分
岐アルキル基である上記(11)の光記録媒体。 (13) 前記フタロシアニン環の中心原子がCu、P
dまたはNiである上記(1)〜(12)のいずれかの
光記録媒体。 (14) 前記Yが酸素原子である上記(1)〜(1
3)のいずれかの光記録媒体。 (15) 前記フタロシアニン系色素のエチレングリコ
ールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)に対する
溶解度(25℃)が1〜10wt% である上記(1)〜
(14)のいずれかの光記録媒体。 (16) 前記記録層が前記フタロシアニン系色素を含
有する色素塗布液を用いて塗設されたものである上記
(1)〜(15)のいずれかの光記録媒体。 (17) 前記色素塗布液の塗布溶媒が20℃において
蒸気圧10.0mmHg以下の有機溶媒である上記(16)
の光記録媒体。 (18) 前記有機溶媒がアルコール系溶媒である上記
(17)の光記録媒体。 (19) 前記アルコール系溶媒がエチレングリコール
モノアルキルエーテルである上記(18)の光記録媒
体。 (20) 前記エチレングリコールモノアルキルエーテ
ルがエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセ
ロソルブ)である上記(19)の光記録媒体。 (21) 基板上に、色素を含有する記録層を有し、前
記色素が、下記式(5)で示される基を少なくとも1個
有するフタロシアニン系色素である光記録媒体。
【0020】
【化10】
【0021】[式(5)において、Yはフタロシアニン
環に結合する原子であり、酸素原子または硫黄原子を表
わす。Z1 は炭素原子とともに脂肪族炭素環または複素
環を完成するのに必要な原子群を表わす。A11はZ1
完成される環に結合する分岐アルキル基を有する一価の
置換基を表わし、s1はこの置換基の数を表わし、1以
上の整数である。] (22) 前記フタロシアニン系色素が、下記式(6)
で示される上記(21)の光記録媒体。
【0022】
【化11】
【0023】[式(6)において、Mはフタロシアニン
環の中心原子を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を
表わす。Z1 は、炭素原子とともに脂肪族炭素環または
複素環を完成するのに必要な原子群を表わす。A11はZ
1 で完成される環に結合する分岐アルキル基を有する一
価の置換基を表わす。s1およびs2は、それぞれこの
置換基の数を表わし、s1は1以上の整数であり、s2
は0または1以上の整数である。q1は1〜4の整数で
あり、q2、q3およびq4はそれぞれ0または1〜4
の整数である。Rは、一価の置換基を表わす。r1、r
2、r3およびr4は、それぞれ、0または1〜4の整
数である。] (23) 前記式(5)で示される基が分子中に1〜8
個存在する上記(21)または(22)の光記録媒体。 (24) 前記式(5)で示される基が分子中に4個存
在する上記(23)の光記録媒体。 (25) 前記Z1 で完成される環が脂肪族炭素環であ
る上記(21)〜(24)のいずれかの光記録媒体。 (26) 前記脂肪族炭素環がシクロヘキサン環である
上記(25)の光記録媒体。
【0024】(27) 前記フタロシアニン系色素が下
記式(8)で示される上記(21)〜(26)のいずれ
かの光記録媒体。
【0025】
【化12】
【0026】[式(8)において、Mはフタロシアニン
環の中心原子を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を
表わす。R31、R32、R33、R34およびR35は、それぞ
れ、水素原子または一価の置換基を表わし、R31〜R35
のうちの少なくとも1個は分岐アルキル基を有する一価
の置換基である。R0 は一価の置換基を表わし、rは0
または1〜3の整数である。] (28) 前記R31およびR35のうちの少なくとも1個
が分岐アルキル基を有する一価の置換基である上記(2
7)の光記録媒体。 (29) 前記分岐アルキル基を有する一価の置換基が
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミ
ノ基である上記(21)〜(28)のいずれかの光記録
媒体。 (30) 前記分岐アルキル基を有する一価の置換基が
アルキル基である上記(29)の光記録媒体。 (31) 前記フタロシアニン環の中心原子がCu、P
dまたはNiである上記(21)〜(30)のいずれか
の光記録媒体。 (32) 前記Yが酸素原子である上記(21)〜(3
1)のいずれかの光記録媒体。 (33) 前記フタロシアニン系色素のエチルシクロヘ
キサンに対する溶解度(25℃)が0.5〜10wt% で
ある上記(21)〜(32)のいずれかの光記録媒体。 (34) 前記記録層が前記フタロシアニン系色素を含
有する色素塗布液を用いて塗設されたものである上記
(21)〜(33)のいずれかの光記録媒体。 (35) 前記色素塗布液の塗布溶媒が20℃において
蒸気圧200mmHg以下の有機溶媒である上記(34)の
光記録媒体。 (36) 前記有機溶媒が脂肪族炭化水素系溶媒である
上記(35)の光記録媒体。
【0027】
【作用】本発明の光記録媒体は、基板上に色素を含有す
る記録層を有する。この場合の色素は、式(1)または
式(5)で示される基を有するフタロシアニン系色素、
より具体的には、式(2)または式(6)で示されるフ
タロシアニン系色素(以下、「式(2)または式(6)
の色素」ともいう。)である。
【0028】まず、式(2)の色素のように、式(1)
の基を有するフタロシアニン系色素は、オキシ基または
チオ基を介してフタロシアニン環に結合した脂肪族炭素
環ないし複素環を少なくとも1個有し、このような脂肪
族炭素環ないし複素環の少なくとも1個におけるY(オ
キシ基またはチオ基)との結合位の隣接位の一方に、置
換基が導入された構造をもつ。すなわち、カサ高い置換
基がフタロシアニン環に導入された構造となるので、本
来の平面構造の場合と異なり、分子会合が阻害される。
このため、溶解性が向上し、記録層を塗布により形成す
る際、塗膜形成が容易になる。この結果、膜厚が十分で
膜質に優れた塗膜が得られる。特に、取り扱いやすく、
かつ基板材料として汎用されているポリカーボネート
(PC)を侵すことがないエチルセロソルブ等のアルコ
ール系溶媒を塗布溶媒として用いることができる。
【0029】一方、式(6)の色素のように、式(5)
の基を有するフタロシアン系色素は、オキシ基またはチ
オ基を介してフタロシアニン環に結合した脂肪族炭素環
ないし複素環を少なくとも1個有し、このような脂肪族
炭素環ないし複素環に分岐アルキル基を有する置換基を
導入した構造となる。このような構造の色素において
も、上記と同様に分子会合が阻害され、溶解性が向上
し、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒に
対して十分な溶解度をもつようになる。このため、この
溶媒を用いて色素塗布液を調製することができ、色素塗
膜の形成が可能になる。このような脂肪族炭化水素系溶
媒はエチルセロソルブ等と同様にPCを侵すことがない
ほか、一般に蒸気圧が高く蒸発しやすいという性質を有
するため、塗膜形成後の乾燥が容易であり、また水との
親和性が悪いので光記録媒体としたとき水による悪影響
を排除することができる。
【0030】このように、本発明におけるフタロシアニ
ン系色素は、CD規格に対応した光記録媒体の記録層に
用いることができる。
【0031】特に、本発明では、式(2)の色素のなか
でも、式(4)の色素が好ましく、式(6)の色素のな
かでも、式(8)の色素が好ましい。このようにフタロ
シアニン環に結合する炭素環または複素環をシクロヘキ
サン環とすることによって保存安定性が十分になる。ま
た、式(4)の色素においては、Yの結合位の隣接位に
水素原子よりカサ高い一価の置換基、特にアルキル基や
アリール基を有する置換基を導入することによって、上
記のように、溶解性が向上することになるが、媒体特性
の面からは反射率およびC/Nが良好となる利点があ
る。そして、この置換基のほかに、さらに置換基を導入
することによって感度が向上する。特に、Yの結合位の
もう一方の隣接位にさらに低級アルキル基等の置換基を
導入することによって、反射率およびC/Nがさらに向
上する。一方、式(8)の色素においては、分岐アルキ
ル基を有する置換基を導入することによって、上記のよ
うに、溶解性が向上することになるが、特に、Yの結合
位の一方の隣接位に上記のような分岐アルキル基を有す
る置換基を導入することによって、式(4)の色素と同
様に、反射率およびC/Nが良好になる。そして、さら
にもう一方の隣接位に低級アルキル基等の置換基を導入
することによって、反射率およびC/Nがさらに向上す
る。なお、高感度化を図る上では、参考例の下記式
(3)、(7)のように、ベンゼン環を結合したものよ
りは、式(4)、(8)のように分解開始温度が低いシ
クロヘキサン環を結合したものの方が有利である。ま
た、フタロシアニン環に結合するY基が2種以上、すな
わち、Yを介して結合する炭素環がシクロヘキサン環と
ベンゼン環であるようなもの(例えば後記例示化合物V
−6)の場合、融点が低くなり高感度化を図ることがで
きる。
【0032】
【化13】
【0033】[式(3)において、Mはフタロシアニン
環の中心原子を表わす。Yは酸素原子を表わす。A3
水素原子よりカサ高い一価の置換基を表わす。R0 はハ
ロゲン原子を表わし、rは0または1〜3の整数であ
る。R1 、R2 、R3 およびR4は、それぞれ、水素原
子または一価の置換基を表わす。]
【0034】
【化14】
【0035】[式(7)において、Mはフタロシアニン
環の中心原子を表わす。Yは酸素原子を表わす。R21
22、R23、R24およびR25は、それぞれ、水素原子ま
たは一価の置換基を表わし、R21〜R25のうちの少なく
とも1個は分岐アルキル基、または分岐アルキル基を有
するアルコキシ基もしくはアルキルチオ基である。R0
はハロゲン原子を表わし、rは0または1〜3の整数で
ある。]
【0036】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0037】本発明の光記録媒体の記録層に用いるフタ
ロシアニン系色素としてまず、式(1)の基を有するフ
タロシアニン系色素が挙げられる。式(1)について記
すと、式(1)において、A1 、Y、Z、X1 およびX
2 は、式(2)におけるものと同義であるので、以下の
式(2)で詳述する。
【0038】次に、式(2)について記すと、式(2)
においてMは中心原子を表わす。Mで表わされる中心原
子としては、水素原子(2H)または金属原子が挙げら
れる。このときの金属原子としては、周期表1〜14族
(1A〜7A族、8族、1B〜4B族)に属する金属原
子等であってよく、具体的にはLi、Na、K、Mg、
Ca、Ba、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、M
o、W、Mn、Tc、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、
Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、C
d、Hg、Al、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb
等、特にLi、Na、K、Mg、Ca、Ba、Ti、Z
r、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、F
e、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、P
t、Cu、Ag、Au、Cd、Hg、Al、In、T
l、Si、Ge、Sn、Pbが挙げられる。このなか
で、Cu、Pd、Ni、Fe、Co等が好ましく、特に
Cu、Pd、Ni等が経時安定性の点で好ましい。
【0039】なお、これらの金属原子は、V等のよう
に、VO等の形であってもよく、さらにはSi等のよう
に、金属原子の上下あるいは一方に、アルコラト等の配
位子がさらに配位した形であってもよい。Cu、Pd、
Ni、Fe、Co、VOが経時安定性の点で好ましい。
【0040】Yは酸素原子または硫黄原子を表わし、特
に酸素原子であることが好ましい。
【0041】Zは、炭素原子(C)とともに炭素環また
は複素環を完成するのに必要な原子群を表わす。
【0042】Zで完成される脂肪族炭素環、複素環は、
縮合環を有していてもよい5ないし6員環であることが
好ましい。脂肪族環としてはシクロヘキサン環、シクロ
ペンタン環等が挙げられる。また、複素環としては、ヘ
テロ原子が酸素、窒素、硫黄等、特に酸素、窒素等であ
るものが好ましく、ピリジン環、フラノン環、ピラジン
環、ピラゾリジン環、ピペリジノン環、キノキサリン
環、ピラノン環、チオフェントリオン環等が挙げられ
る。
【0043】なかでも、脂肪族炭素環が好ましく、単環
であることが好ましく、特にはシクロヘキサン環が好ま
しい。また複素環としては、ピリジン環、2−フラノン
環であることが好ましい。Zで完成される環は、各々、
同一でも異なるものであってもよい。
【0044】A1 は水素原子よりカサ高い一価の置換基
を表わす。A1 で表わされる一価の置換基としては、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、アラルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキ
シル基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミド基、
カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ス
ルホ基、スルフィノ基、アリールアゾ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基等が挙げられる。
【0045】A1 で表わされるアルキル基は、直鎖状で
あっても分岐を有するものであってもよく、さらに置換
基を有していてもよく、炭素数1〜12、特に2〜12
のものが好ましい。
【0046】例えば、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブ
チル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−
ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル
基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル
基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−
iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル
基、neo−ヘキシル基、n−ヘプチル基、1−iso
−プロピルブチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2
−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチ
ル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチル
ヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル
基、2−メチル−1−iso−プロピルブチル基、1−
tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル
基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル
基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0047】なかでも分岐アルキル基が好ましく、炭素
数3〜10、さらには3〜8、特には3〜6のものが好
ましい。具体的には、iso−プロピル基、iso−ブ
チル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、is
o−ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペン
チル基(tert−アミル基)、1,2−ジメチルプロ
ピル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロ
ピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、neo−
ヘキシル基、1−iso−プロピルブチル基、1,4−
ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピ
ルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、2−
エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピル
ブチル基、2−メチル−1−iso−プロピルブチル
基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基等が
好ましく、特にはiso−プロピル基、iso−ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−
ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペンチル
基、1,2−ジメチルプロピル基、1,3−ジメチルブ
チル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジ
メチルブチル基、neo−ヘキシル基等が好ましい。こ
の他、好ましいものとしてn−プロピル基、トリフルオ
ロメチル基等がある。
【0048】A1 で表わされるアリール基としては、炭
素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基が好ま
しい。例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナ
フチル基等が挙げられ、なかでもフェニル基等が好まし
い。
【0049】A1 で表わされるアルコキシ基としては、
アルコキシ基のアルキル基部分の炭素数が1〜12のも
のが好ましく、このアルキル基部分については上記のA
1 で表わされるアルキル基と同様のものが挙げられ、例
えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i
so−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキ
シ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n
−ペンチルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、iso
−ペンチルオキシ基、neo−ペンチルオキシ基、te
rt−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ
基、n−ヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ
基、1−iso−プロピルプロポキシ基、1,2−ジメ
チルブトキシ基、neo−ヘキシルオキシ基、n−ヘプ
チルオキシ基、1−iso−プロピルブトキシ基、1,
4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−is
o−プロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブ
トキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシル
オキシ基、3−メチル−1−iso−プロピルブトキシ
基、2−メチル−1−iso−プロピルブトキシ基、1
−tert−ブチル−2−メチルプロポキシ基、n−ノ
ニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオ
キシ基、n−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0050】なかでも、アルキル部分として分岐アルキ
ル基を有するアルコキシ基が好ましく、分岐アルキル基
としてはA1 で表わされるアルキル基と同様のものが挙
げられ、好ましいものも同様である。特に好ましいもの
としては、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、
tert−ブトキシ基、iso−ペンチルオキシ基、n
eo−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ
基、1,2−ジメチルプロポキシ基、1,3−ジメチル
ブトキシ基、1−iso−プロピルプロポキシ基、1,
2−ジメチルブトキシ基、neo−ヘキシルオキシ基等
が挙げられる。
【0051】A1 で表わされるアリーロキシ基として
は、フェノキシ基等が挙げられる。
【0052】A1 で表わされるアラルキル基としては、
ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0053】A1 で表わされるハロゲン原子としては、
塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等が挙げられ、なかでも臭
素等が好ましい。
【0054】A1 で表わされるエステル基としては、メ
トキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロ
ポキシカルボニル基、iso−プロポキシカルボニル
基、n−ブトキシカルボニル基、iso−ブトキシカル
ボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−
ブトキシカルボニル基、、アセトオキシ基、ベンゾイル
オキシ基等が挙げられる。
【0055】なかでも、エステル基のアルキル基部分が
分岐アルキル基であるものが好ましく、iso−プロポ
キシカルボニル基、iso−ブトキシカルボニル基、s
ec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカル
ボニル基等が好ましい。
【0056】A1 で表わされるアシル基としては、アセ
チル基、プロピオニル基、ブチリル基、iso−ブチリ
ル基、バレリル基、iso−バレリル基等が挙げられ
る。
【0057】なかでも、アシル基のアルキル基部分が分
岐アルキル基であるものが好ましく、具体的にはiso
−ブチリル基、iso−バレリル基等が好ましい。
【0058】A1 で表わされるアミノ基としては、置換
基を有していてもよく、アミノ基、メチルアミノ基、エ
チルアミノ基、n−プロピルアミノ基、iso−プロピ
ルアミノ基、n−ブチルアミノ基、iso−ブチルアミ
ノ基、sec−ブチルアミノ基等が挙げられる。なかで
も、置換基として分岐アルキル基を有するものが好まし
く、具体的にはiso−プロピルアミノ基、iso−ブ
チルアミノ基、sec−ブチルアミノ基等が好ましい。
【0059】A1 で表わされるアミド基としては、アセ
トアミド基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ
基、iso−ブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、i
so−バレリルアミノ基等が挙げられる。なかでも分岐
アルキル基を有するものが好ましく、具体的にはiso
−ブチリルアミノ基、iso−バレリルアミノ基等が好
ましい。
【0060】A1 で表わされるカルバモイル基として
は、置換基を有していてもよく、カルバモイル基、メチ
ルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−プロピ
ルカルバモイル基、iso−プロピルカルバモイル基、
n−ブチルカルバモイル基、iso−ブチルカルバモイ
ル基、sec−ブチルカルバモイル基、ベンズアミド基
等が挙げられる。なかでも、分岐アルキル基を有するも
のが好ましく、iso−プロピルカルバモイル基、is
o−ブチルカルバモイル基、sec−ブチルカルバモイ
ル基等が好ましい。
【0061】A1 で表わされるスルホニル基としては、
アルキル基ないしアリール基を導入したものが挙げら
れ、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、
n−プロピルスルホニル基、iso−プロピルスルホニ
ル基、n−ブチルスルホニル基、iso−ブチルスルホ
ニル基、sec−ブチルスルホニル基、フェニルスルホ
ニル基等が挙げられる。
【0062】なかでも、分岐アルキル基を有するものが
好ましく、iso−プロピルスルホニル基、iso−ブ
チルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基等が好
ましい。
【0063】A1 で表わされるスルファモイル基として
は置換基を有していてもよく、スルファモイル基、メチ
ルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、n−プ
ロピルスルファモイル基、iso−プロピルスルファモ
イル基、n−ブチルスルファモイル基、iso−ブチル
スルファモイル基、sec−ブチルスルファモイル基等
が挙げられる。
【0064】なかでも、分岐アルキル基を有するものが
好ましく、iso−プロピルスルファモイル基、iso
−ブチルスルファモイル基、sec−ブチルスルファモ
イル基等が好ましい。
【0065】A1 で表わされるアルキルチオ基として
は、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ
基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、is
o−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−
ブチルチオ基等が挙げられる。なかでも、分岐アルキル
基を有するものが好ましく、iso−プロピルチオ基、
iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ter
t−ブチルチオ基等が好ましい。
【0066】A1 で表わされるアリールチオ基として
は、フェニルチオ基等が挙げられる。
【0067】A1 で表わされるアリールアゾ基として
は、フェニルアゾ基等が挙げられる。
【0068】これらのなかでも、A1 で表わされる一価
の置換基としては、炭素数2以上のアルキル基、アリー
ル基を有するもの、あるいはハロゲンが好ましく、なか
でも、分岐アルキル基、分岐アルキル基を有するアルコ
キシ基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミド基、
カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基また
はアルキルチオ基が好ましい。そして、さらには分岐ア
ルキル基、分岐アルキル基を有するアルコキシ基が好ま
しく、特には分岐アルキル基が好ましい。
【0069】式(2)においてA2 は水素原子または水
素原子よりカサ高い一価の置換基を表わす。A2 で表わ
される一価の置換基としてはA1 と同様のものが挙げら
れ、好ましいものも同様である。
【0070】また、A1 、A2 が2個以上存在すると
き、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0071】X1 およびX2 は、それぞれ、水素原子、
一価の置換基およびX1 とX2 とが互いに結合して単結
合を形成するかのいずれかである。
【0072】X1 およびX2 で表わされる一価の置換基
としてはA1 で例示したものと同様のものが挙げられ
る。
【0073】X1 およびX2 としては、水素原子、また
はZで完成される複素環が芳香族環であるときには単結
合を形成するものであることが好ましい。
【0074】Zで完成される脂肪族炭素環、複素環は、
上記のA1 またはA2 、X1 、X2で表わされる一価の
置換基の他に、さらに置換基を有するものであってもよ
い。
【0075】この場合の置換基は、A1 で例示したもの
と同様のものが挙げられる。このほか、アリル基等のア
ルケニル基であってもよい。
【0076】q1は1〜4の整数であり、q2、q3お
よびq4は、0または1〜4の整数である。すなわち、
q1+q2+q3+q4は1〜16の整数である。そし
てq1+q2+q3+q4はなかでも2〜8の整数であ
ることが好ましく、特にはq1=q2=q3=q4=1
であることが好ましい。
【0077】Rは、一価の置換基を表わし、具体的には
1 で例示したものと同様のものが挙げられる。r1、
r2、r3およびr4は、それぞれ、0または1〜4の
整数を表わす。通常、r1、r2、r3およびr4は0
であることが好ましい。
【0078】なお、式(2)では、フタロシアニン環を
構成する4個のイソインドール環のうちの1個にYを介
して結合するZで完成される環がA1 を有するものとし
ているが、存在する4個のイソインドール環はすべて等
価であり、便宜上このように示している。
【0079】式(2)において、一価の置換基A1 、A
2 を有するZで完成される脂肪族炭素環または複素環
(一価の置換基A1 、A2 を有する環が2個以上存在す
るときは2個以上)の総炭素数は、12以上、さらには
20以上、特には25以上が好ましい。溶解性を向上さ
せるためには、この総炭素数の上限には特に制限はない
が、光記録媒体としたときの信頼性を得るために、10
0程度、特に70程度とすることが好ましい。すなわ
ち、総炭素数が多くなりすぎると融点が低くなり信頼性
が得られにくくなるからである。このことは、式(6)
においても同様である。
【0080】このような場合、Zで完成される環(Z
環)中、Yに結合する炭素原子に隣接する両隣(オルソ
位)の炭素原子には、複数のかさ高い基A1 あるいはA
2 が結合することができる。かさ高い基A1 あるいはA
2 は、1つのZ環あたり、芳香族環では2個、脂肪族環
では2〜4個結合することもできる。この結果、Z環の
オルソ位に結合するA1 (A2 )は、フタロシアニン1
分子あたりZ環が4個存在すれば最大16個存在する。
そして、Z環のオルソ位に存在するかさ高い基A1 (A
2 )はフタロシアニン1分子あたり総計5以上、より好
ましくは6〜100の炭素数であることが好ましい。ま
た、A1 (A2 )がハロゲンであるときにはZ環のオル
ソ位に、1分子あたり4個以上のハロゲンが結合するこ
とが好ましい。
【0081】式(2)の色素のなかでも式(4)で示さ
れる色素が好ましい。また、式(4)において、M、Y
は式(2)のものと同義であり、好ましいものも同様で
ある。
【0082】なお、式(2)において、Z環をベンゼン
環とし、Yを酸素原子としたような参考例の色素を示す
式(3)において、Mは式(2)のものと同義である。
式(3)において、Yは酸素原子を表わし、A3 は水素
原子よりカサ高い一価の置換基を表わし、式(2)のA
1 と同義である。また、好ましいものも同様である。式
(3)において、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それ
ぞれ、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原
子または一価の置換基を表わす。一価の置換基として
は、式(2)のA1 のところと同様のものが挙げられる
ほか、アリル基等のアルケニル基であってもよい。R1
〜R4 は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アル
コキシ基、ハロゲン原子等が好ましい。特に、R1 は水
素原子やアルコキシ基等が好ましく、R3 、R4 は水素
原子または低級アルキル基(例えばメチル基)あるいは
ハロゲン原子やアリール基(例えばフェニル基)が好ま
しい。R2 は、水素原子、低級アルキル基、置換アルキ
ル基(例えばメトキシベンジル基)、アリール基(例え
ばフェニル基)のほか、A3 と同じ基(アルキル基、ハ
ロゲン原子等)であることも好ましく、さらにはR2
3 と異なるハロゲン原子(例えばA3 がBrでR2
Clである組合せ)であることも好ましい。
【0083】なかでも、R4 が炭素数1〜3、特には1
または2のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n
−プロピル基、iso−プロピル基)であることが好ま
しい。
【0084】なお、式(3)において、Yを介してフタ
ロシアニン環に結合するベンゼン環でのA3 の結合位を
固定して示しているが、A3 の結合位とR4 の結合位は
等価であり、便宜上このように示している。
【0085】式(4)において、A4 は水素原子よりカ
サ高い一価の置換基を表わし、式(2)のA1 と同義で
ある。また、好ましいものも同様である。
【0086】式(4)においてR11、R12、R13および
14は、それぞれ、参考例の式(3)のR1 、R2 、R
3 およびR4 と同義であり、A4 との好ましい組み合わ
せ等も同様である。なお、式(4)におけるA4 とR14
との関係は、式(3)におけるA3 とR4 との関係と同
じである。
【0087】式(4)において、R0 は一価の置換基を
表わし、rは0または1〜3の整数を表わす。R0 で表
わされる一価の置換基としては、式(2)のA1 のとこ
ろと同様のものが挙げられる。また、場合によっては、
3 が置換されたフェニル基やA4 が置換されたシクロ
ヘキシル基を有するYと同じ基が、R0 であってもよ
い。rは0であることが好ましい。R0 の各々、または
0 が前記Yと同じ基であるとき、2個以上のYは同一
でも異なるものであってもよい。式(3)において、R
0 はハロゲン原子を表し、rは式(4)と同義のもので
あり、好ましいものも同様である。
【0088】なお、式(3)、式(4)においては、フ
タロシアニン環のイソインドール環(下記に模式的に示
す。)の4位または7位のいずれかにYが結合するもの
を示しているが、ここでは、イソインドール環の4位、
7位のいずれにYが結合するものであっても等価であ
り、他の同様の構造式においても同様とする。なお、上
記の4位、7位は、フタロシアニン環の3位、6位にそ
れぞれ対応するものである。
【0089】
【化15】
【0090】本発明に用いるフタロシアニン系色素は、
式(5)で示される基を有するものであってもよい。式
(5)について記すと、式(5)においてA11、Yおよ
びZ1 は式(6)におけるものと同義であるので、以下
の式(6)で詳述する。なお、式(6)の色素は式
(2)の色素と一部重複する。
【0091】式(6)について記すと、M、Y、q1〜
q4、Rおよびr1〜r4は、式(4)のものと同義で
ある。また好ましいものも同様のものである。
【0092】Z1 は、炭素原子(C)とともに脂肪族炭
素環または複素環を完成するのに必要な原子群を表わ
し、Z1 で完成される脂肪族炭素環、複素環としては式
(2)のZで完成されるものと同様のものであり、好ま
しいものも同様のものである。
【0093】A11は分岐アルキル基を有する一価の置換
基を表わす。分岐アルキル基を有する一価の置換基とし
ては、式(2)のA1 で表わされるもののなかから分岐
アルキル基を有する一価の置換基を選択することができ
るが、なかでもアルキル基、アルコキシ基、アルキルチ
オ基、アミノ基、特にアルキル基、アルコキシ基である
ことが好ましい。そして、これらのなかで、特に好まし
いものも式(2)のところのものと同様である。s1は
1以上の整数であり、s2は0または1以上の整数であ
る。
【0094】また、A11が2個以上存在するとき、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。さらには、A
11のほかの置換基を有していてもよい。
【0095】なお、式(6)では、フタロシアニン環を
構成する4個のイソインドール環のうちの1個にYを介
して結合するZ1で完成される環がA11を必ず有するも
のとしているが、存在する4個のイソインドール環はす
べて等価であり、便宜上このように示している。
【0096】式(6)の色素のなかでも式(8)で示さ
れる色素が好ましい。また、式(6)において、Z1
をベンゼン環とし、Yを酸素原子としたような参考例の
式(7)の色素は式(3)の色素と一部重複する。
【0097】参考例の式(7)において、Mは式(6)
のものと同義であり、Yは酸素原子を表し、式(8)に
おいて、M、Yは式(6)のものと同義であり、好まし
いものも同様のものである。
【0098】式(7)において、R21、R22、R23、R
24およびR25は、それぞれ水素原子または一価の置換基
を表わし、R21〜R25のうちの少なくとも1個は分岐ア
ルキル基、または分岐アルキル基を有するアルコキシ基
もしくはアルキルチオ基である。一価の置換基としては
式(2)のA1 のところのものと同様であり、分岐アル
キル基を有する一価の置換基は、式(6)におけるもの
と同様であり、好ましいものも同様である。特に、Yの
結合位の隣接位に結合するR21、R25のうちのいずれか
が分岐アルキル基を有する一価の置換基であることが好
ましい。そして、さらには、R21、R25のうちのいずれ
かか分岐アルキル基を有する一価の置換基である場合に
おいて、残りのR21、R25のうちのいずれかが炭素数1
〜3、特には1または2のアルキル基(例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基)
であることが好ましい。
【0099】式(8)において、R31、R32、R33、R
34およびR35は、それぞれ水素原子または一価の置換基
を表わし、R31〜R35のうちの少なくとも1個は分岐ア
ルキル基を有する一価の置換基である。一価の置換基と
しては式(2)のA1 のところのものと同様であり、分
岐アルキル基を有する一価の置換基は、式(6)におけ
るものと同様であり、好ましいものも同様である。特
に、Yの結合位の隣接位に結合するR31、R35のうちの
いずれかが分岐アルキル基を有する一価の置換基である
ことが好ましい。そして、さらには、R31、R35のうち
のいずれかか分岐アルキル基を有する一価の置換基であ
る場合において、残りのR31、R35のうちのいずれかが
炭素数1〜3、特には1または2のアルキル基(例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピ
ル基)であることが好ましい。
【0100】参考例の式(7)において、R0 およびr
は、参考例の式(3)と同義であり、式(8)において
は式(4)と同義であり、好ましいものも同様である。
また、式(8)において、YにR31〜R35を有するフェ
ニル基やシクロヘキシル基が結合した基がR0 となって
もよく、2個以上のYが存在するとき、それぞれのYは
同一でも異なるものであってもよい。
【0101】本発明に用いるフタロシアニン系色素の好
適例を、参考例の色素とともに、以下に示すが、本発明
はこれらに限定されるものではない。なお、化16〜化
20では参考例の式(3)のM、Y等の組合せで、化2
1〜化25では式(4)のM、Y等の組合せで、化26
〜化28では参考例の式(7)のM、Y等の組合せで、
化29〜化31では式(8)のM、Y等の組合せで示し
ている。また、前述のように、式(3)と式(7)[参
考例]、式(4)と式(8)とでは、各々具体例におい
て重複するものがあるので、参考例の式(3)、式
(7)の両方に該当するものについては式(3)で、ま
た式(4)、式(8)の両方に該当するものについては
式(4)で、各々示している。
【0102】
【化16】
【0103】
【化17】
【0104】
【化18】
【0105】
【化19】
【0106】
【化20】
【0107】
【化21】
【0108】
【化22】
【0109】
【化23】
【0110】
【化24】
【0111】
【化25】
【0112】
【化26】
【0113】
【化27】
【0114】
【化28】
【0115】
【化29】
【0116】
【化30】
【0117】
【化31】
【0118】
【化32】
【0119】
【化33】
【0120】
【化34】
【0121】
【化35】
【0122】
【化36】
【0123】
【化37】
【0124】
【化38】
【0125】
【化39】
【0126】
【化40】
【0127】
【化41】
【0128】
【化42】
【0129】
【化43】
【0130】
【化44】
【0131】これらの化合物には、新規な化合物が包含
される。これらの化合物は、特開昭63−313760
号、特開昭63−301261号等に記載の方法を参照
して合成することができる。
【0132】以下に、参考例の色素とともに、本発明の
色素の合成例を示す。
【0133】合成例1 色素No. I−1(参考例)の合成 以下に示すスキームに従って合成した。
【0134】
【化45】
【0135】1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン
1.73g と2,4−ジ−tert−ブチル−ヒドロキ
シベンゼン4.12g とを、ジメチルホルムアミド(D
MF)5ml中でK2 CO3 を5.0g 加えて80℃で2
時間反応させた。反応終了後、水/酢酸エチル(容積比
で1/1)混合溶媒で2回抽出し、酢酸エチル抽出層を
MgSO4 を用いて一晩乾燥した後、酢酸エチルを留去
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってクロ
ロホルムを用いて分離精製し、1,2−ジシアノ−3−
(2,4−tert−ブチルフェニルオキシ)ベンゼン
(化合物A)2.65g を得た(収率80%)。
【0136】次に、この化合物A 1.66g とCuC
l 0.20g とをアミルアルコール10ml中で1,8
−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(D
BU)1.52g の存在下で200℃で5時間加熱還流
して反応させ、これによって得られた反応生成物を、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホル
ムを用いて分離し、目的物1.22g を得た(収率70
%、mp285〜290℃)。
【0137】合成例2 色素No. I−2(参考例)の合成 合成例1において、CuClのかわりに、PdCl2
0.35g を用いて化合物Aと反応させるほかは、同様
にして色素No. 2を得た(収率70%、mp285〜2
90℃)。
【0138】合成例3 色素No. II−4の合成 合成例1と同様にして次のように合成した。
【0139】1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン
1.73g と2−tert−ブチルシクロヘキサノール
4.68g とを、ジメチルホルムアミド(DMF)5ml
中でK2 CO3 を5.0g 加えて80℃で2時間反応さ
せた。反応終了後、水/酢酸エチル(容積比で1/1)
混合溶媒で2回抽出し、酢酸エチル抽出層をMgSO4
を用いて一晩乾燥した後、酢酸エチルを留去し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホルムを
用いて分離精製し、1,2−ジシアノ−2−tert−
ブチルシクロヘキシルオキシ)ベンゼン1.41g を得
た(収率50%)。
【0140】次に、この化合物1.41g とCuCl
0.14g とをアミルアルコール10ml中で1,8−ジ
アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DB
U)0.76g の存在下で200℃で5時間加熱還流し
て反応させ、これによって得られた反応生成物を、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホルム
を用いて分離し、目的物0.97g を得た(収率65
%、mp220〜222℃)。
【0141】合成例4 色素No. III −1(参考例)の合成 合成例1と同様にして次のように合成した。
【0142】1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン
1.73g と3−tert−ブチル−ヒドロキシベンゼ
ン4.50g とを、ジメチルホルムアミド(DMF)5
ml中でK2 CO3 を5.0g 加えて80℃で2時間反応
させた。反応終了後、水/酢酸エチル(容積比で1/
1)混合溶媒で2回抽出し、酢酸エチル抽出層をMgS
4 を用いて一晩乾燥した後、酢酸エチルを留去し、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホル
ムを用いて分離精製し、1,2−ジシアノ−3−(3−
tert−ブチルフェニルオキシ)ベンゼン2.21g
を得た(収率80%)。
【0143】次に、この化合物1.38g とCuCl
0.12g とをアミルアルコール10ml中で1,8−ジ
アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DB
U)0.76g の存在下で200℃で5時間加熱還流し
て反応させ、これによって得られた反応生成物を、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホルム
を用いて分離し、目的物1.05g を得た(収率70
%、mp230〜232℃)。
【0144】上記と同様にして、あるいは上記に準じて
例示した他の色素を合成した(収率45〜80%程
度)。
【0145】これらの色素は、元素分析、可視吸収スペ
クトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル、核磁気
共鳴吸収スペクトル等によって同定することができる。
【0146】これらの色素の融点(mp)は60〜30
0℃であり、またλmax (トルエン中)は600〜80
0nmの範囲にある。
【0147】本発明のフタロシアニン系色素は、従来の
フタロシアニン系色素と比べ、溶解性が向上する。式
(2)の色素では、例えばエチレングリコールモノエチ
ルエーテル(エチルセロソルブ)に対する溶解度(25
℃)が1wt% 以上、好ましくは3wt% 以上となる。これ
は、従来のものの溶解度が最高でも0.5wt% 程度であ
り、ほとんど0wt% 程度であるのと比較すると格段と向
上していることがわかる。なお、式(2)の色素の上記
溶媒に対する溶解度の上限値は10wt% 程度であり、1
〜10wt% の溶解度を示す。一方、式(6)の色素で
は、例えばエチルシクロヘキサンに対する溶解度(25
℃)が1wt% 以上、好ましくは2wt% 以上である。な
お、式(6)の色素の上記溶媒に対する溶解度の上限値
は10wt% 程度であり、1〜10wt% の溶解度を示す。
なお、脂肪族炭化水素系の溶媒に対する溶解性が向上し
たフタロシアニン系色素として、特開平5−25179
号にはハロゲン化アルコキシフタロシアニンが開示され
ているが、このものは合成が難しく、収率が低い。これ
に対し、式(6)の色素は合成が比較的安易である。
【0148】従って、式(2)、式(6)の色素は、光
記録媒体の基板材料として汎用されているポリカーボネ
ート樹脂(PC)を侵すことがない塗布溶媒に対する溶
解度が十分になり、塗布液の調製がしやすくなる。この
ため十分な膜厚の色素膜を形成することが可能になり、
溶解が不十分な塗布液を用いて塗膜を形成した場合に塗
膜に析出物が生じたりするのを防止でき、良好な膜質の
塗膜が得られる。
【0149】本発明の色素は、光記録媒体、特に追記型
の光記録ディスク(CD−R)の記録層に用いることが
好ましい。この場合の色素は1種のみを用いても2種以
上を併用してもよく、このような記録層は、色素含有塗
布液を用いて設層することが好ましい。特に、回転する
基板上に塗布液を展開塗布するスピンコート法によるこ
とが好ましい。
【0150】このときの塗布溶媒として、具体的には、
アルコール系(ケトアルコール系、エチレングリコール
モノアルキルエーテル系を含む。)、脂肪族炭化水素
系、ケトン系、エステル系、エーテル系、芳香族系、ハ
ロゲン化アルキル系等から適宜選択すればよい。
【0151】このなかで、アルコール系、脂肪族炭化水
素系などが好ましい。アルコール系のなかでは、ジアセ
トンアルコール等のケトアルコール系、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)やエチレ
ングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)
やブチルセロソルブ等のエチレングリコールモノアルキ
ルエーテル(セロソルブ系)などが好ましい。特にエチ
レングリコールモノアルキルエーテル系が好ましく、な
かでもエチレングリコールモノエチルエーテルが好まし
い。これらの塗布溶媒は、20℃における蒸気圧が1
0.0mmHg以下、通常0.5〜10.0mmHgである。脂
肪族炭化水素系としては、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シ
クロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、n−オクタ
ン、iso−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどが好ましく、な
かでもエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン
などが好ましい。これらの脂肪族炭化水素系の溶媒は、
20℃における蒸気圧が200mmHg以下、通常0.5〜
200mmHg程度であり、一般に蒸気圧の高いものが多く
蒸発しやすい、水との親和性が悪い、などの特徴を有す
る。
【0152】上記のようなスピンコートの後、必要に応
じて塗膜を乾燥させる。このようにして形成される記録
層の厚さは、目的とする反射率などに応じて適宜設定さ
れるものであるが、通常、1000〜3000Å程度で
ある。
【0153】なお、塗布液における色素含有量は、好ま
しくは2〜10wt% とするのがよい。なお、塗布液には
適宜バインダー、分散剤、安定剤等を含有させてもよ
い。
【0154】このような色素膜を記録層として基板上に
有する光記録ディスクとして、図1には、その一構成例
が示されている。図1は、部分断面図である。図1に示
される光記録ディスク1は、記録層上に反射層を密着し
て有するCD規格に対応した再生が可能な密着型光記録
ディスクである。図示のように、光記録ディスク1は、
基板2表面に前記のような色素を主成分とする記録層3
を有し、記録層3に密着して、反射層4、保護膜5を有
する。
【0155】基板2は、ディスク状のものであり、基板
2の裏面側からの記録および再生を可能とするために、
記録光および再生光(波長600〜900nm程度、特に
波長770〜900nm程度の半導体レーザー光、特に7
80nm)に対し、実質的に透明(好ましくは透過率88
%以上)な樹脂あるいはガラスを用いて形成するのがよ
い。また、大きさは、直径64〜200mm程度、厚さ
1.2mm程度のものとする。
【0156】基板2の記録層3形成面には、図1に示す
ように、トラッキング用のグルーブ23が形成される。
グルーブ23は、スパイラル状の連続型グルーブである
ことが好ましく、深さは0.1〜0.25μm 、幅は
0.35〜0.50μm 、グルーブピッチは1.5〜
1.7μm であることが好ましい。グルーブをこのよう
な構成とすることにより、グルーブ部の反射レベルを下
げることなく、良好なトラッキング信号を得ることがで
きる。特にグルーブ幅を0.35〜0.50μm に規制
することは重要であり、グルーブ幅を0.35μm 未満
とすると、十分な大きさのトラッキング信号が得られに
くく、記録時のトラッキングのわずかなオフセットによ
って、ジッターが大きくなりやすい。また0.50μm
をこえると、再生信号の波形歪みが生じやすく、クロス
トロークの増大の原因となる。
【0157】基板2は、材質的には、樹脂を用いること
が好ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ア
モルファスポリオレフィン、TPX、ポリスチレン系樹
脂等の各種熱可塑性樹脂が好適である。そして、このよ
うな樹脂を用いて射出成形等の公知の方法に従って製造
することができる。グルーブ23は、基板2の成形時に
形成することが好ましい。なお、基板2製造後に2P法
等によりグルーブ23を有する樹脂層を形成してもよ
い。また、場合によってはガラス基板を用いてもよい。
【0158】図1に示されるように、基板2に設層され
る記録層3は、前記の色素含有塗布液を用い、前記のよ
うに、好ましくはスピンコート法により形成されたもの
である。スピンコートは通常の条件に従い、内周から外
周にかけて、回転数を500〜5000rpm の間で調整
するなどして行えばよい。
【0159】このようにして形成される記録層3の厚さ
は、乾燥膜厚で、500〜3000Å(50〜300n
m)とすることが好ましい。この範囲外では反射率が低
下して、CD規格に対応した再生を行うことが難しくな
る。この際、グルーブ23内の記録トラック内の記録層
3の膜厚を1000Å(100nm)以上、特に1300
〜3000Å(130〜300nm)とすると、変調度が
きわめて大きくなる。
【0160】このようにして形成される記録層3は、C
D信号を記録する場合、その記録光および再生光波長に
おける消衰係数(複素屈折率の虚部)kは、0.02〜
0.10、好ましくは0.02〜0.08であることが
好ましい。kが0.02未満となると記録層の吸収率が
低下し、通常の記録パワーで記録を行うことが困難であ
る。また、kが0.10を超えると、反射率が70%を
下回ってしまい、CD規格による再生を行うことが困難
である。また、記録層3の屈折率(複素屈折率の実部)
nは、2.0〜2.6となる。n<2.0では反射率が
低下し、また再生信号が小さくなり、CD規格による再
生が困難となる傾向にある。n>2.6では色素の入手
が困難である。
【0161】なお、記録層のnおよびkは、所定の透明
基板上に記録層を例えば40〜100nm程度の厚さに実
際の条件にて設層して、測定用サンプルを作製し、次い
で、この測定用サンプルの基板を通しての反射率あるい
は記録層側からの反射率を測定することによって求め
る。この場合、反射率は、記録再生光波長を用いて鏡面
反射(5°程度)にて測定する。また、サンプルの透過
率を測定する。そして、これらの測定値から、例えば、
共立全書「光学」石黒浩三P168〜178に準じ、
n、kを算出すればよい。
【0162】図1に示されるように、記録層3上には、
直接密着して反射層4が設層される。反射層4として
は、Au、Cu等の高反射率金属ないし合金を用いるの
がよい。反射層4の厚さは500Å以上であることが好
ましく、蒸着、スパッタ等により設層すればよい。ま
た、厚さの上限に特に制限はないが、コスト、生産作業
時間等を考慮すると、1200Å程度以下であることが
好ましい。これにより、反射層4単独での反射率は、9
0%以上、媒体の未記録部の基板を通しての反射率は、
60%以上、特に70%以上が得られる。
【0163】図1に示されるように、反射層4上には、
保護膜5が設層される。保護膜5は、例えば紫外線硬化
樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜100μ
m 程度の厚さに設層すればよい。保護膜5は、層状であ
ってもシート状であってもよい。保護膜5は、スピンコ
ート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等
の通常の方法により形成すればよい。
【0164】このような構成の光記録ディスク1に記録
ないし追記を行うには、例えば780nmの記録光を、基
板2を通してパルス状に照射し、照射部の光反射率を変
化させる。なお、記録光を照射すると、記録層3が光を
吸収して発熱し、同時に基板2も加熱される。この結
果、基板2と記録層3との界面近傍において、色素等の
記録層材質の融解や分解が生じ、記録層3と基板2との
界面に圧力が加わり、グルーブの底面や側壁を変形させ
ることがある。なお、記録に際し、基板回転線速度は
1.2〜1.4m/s 程度とする。
【0165】本発明の光記録媒体は、図示例のような密
着型の光記録ディスクに限らず、色素を含有する記録層
を有するものであれば、いずれであってもよい。このよ
うなものとしては、エアーサンドイッチ構造のピット形
成型光記録ディスク等が挙げられ、本発明を適用するこ
とによって、同様の効果が得られる。
【0166】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を、比較例、お
よび参考例の色素を用いた参考例とともに示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0167】実施例1、参考例1本発明の式(2)、参
考例の式(3)で示されるフタロシアニン系色素につい
て融点(mp)、λmax (トルエン中)、エチルセロソ
ルブ(20℃における蒸気圧3.8mmHg)に対する溶解
度(25℃)を調べた。これらの結果の代表例を表1、
表2に示す。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】比較例1 比較のため以下の色素a、b、cを用い、エチルセロソ
ルブに対する溶解度(25℃)を調べたところ、いずれ
もほとんど0wt% の溶解度しか示さなかった。
【0171】
【化46】
【0172】
【化47】
【0173】
【化48】
【0174】これらの結果より、本発明の色素は、比較
の色素に比べ、いずれも溶解性が向上していることがわ
かる。また、溶解性の向上効果は、シクロヘキシルオキ
シ基等のOの結合位の隣接位に存在する置換基によるも
のであることがわかる。
【0175】参考例2 例示した色素のうち、No. I−1の4wt% エチルセロソ
ルブ溶液を用い、ポリカーボネート基板(厚さ1.2m
m)上に色素膜をスピンコート法により形成し、これら
の薄膜サンプルの吸収スペクトルおよび反射スペクトル
を測定した。色素膜の厚さ(乾燥膜厚)は200nmとし
た。この結果を図2に示す。
【0176】図2より、色素No. I−1は、半導体レー
ザーの波長(780nm)付近で吸収率が低く、かつ一定
以上の反射率をもつことがわかる。従って、半導体レー
ザーを用いた光記録媒体の記録層に適合することがわか
る。
【0177】さらに、色素No. I−2についても同様に
吸収スペクトルおよび反射スペクトルを測定したとこ
ろ、同様の結果を示した。
【0178】参考例3 ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ1.
2mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブ
ピッチ1.6μm 、グルーブ幅0.42μm 、グルーブ
深さ1550Åのトラッキング用のグルーブを形成し
た。この樹脂基板上に、スピンコート法により、色素N
o. I−1の4wt% エチルセロソルブ溶液を用いて色素
膜を形成し、これを記録層とした。記録層の厚さ(乾燥
膜厚)は、グルーブ内で1500Å、平均で1200Å
とした。さらに、記録層上にスパッタ法により85nmの
厚さのAu反射層を形成し、この上に紫外線硬化型のア
クリル樹脂の保護膜(膜厚5μm )を形成した。このよ
うにして図1に示すような光記録ディスクを得た。
【0179】これをディスクサンプルNo. 1とする。
【0180】このディスクサンプルNo. 1について、7
80nmの半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s で
記録特性を調べたところ、最適記録パワー7.3mWであ
り、反射率70%以上、変調度60%以上、Rtop 65
%であった。従って、オレンジブック規格に準拠した光
記録ディスクであることがわかる。
【0181】参考例4 参考例3のディスクサンプルNo. 1において、色素No.
I−1のかわりに色素No. I−2を用いて同様にしてデ
ィスクサンプルNo. 2を得た。なお、色素膜の形成は4
wt% エチルセロソルブ溶液を用いて行った。
【0182】このディスクサンプルNo. 2について、参
考例3と同様に、記録・再生特性を調べたところ、最適
記録パワー7.0mWであり、反射率70%以上、変調度
60%以上、Rtop 69%であり、オレンジブック規格
に準拠することがわかった。
【0183】参考例5 参考例3のディスクサンプルNo. 1において、色素No.
I−1のかわりに色素No. I−13を用い、参考例3と
同様に、光記録ディスクを作製した。記録層形成に用い
た色素溶液は4wt% エチルセロソルブ溶液である。これ
を、ディスクサンプルNo. 3とする。
【0184】ディスクサンプルNo. 3について、参考例
3と同様に、記録・再生特性を調べた。
【0185】この結果、ディスクサンプルNo. 3は、最
適記録パワー6.5mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 67%であり、オレンジブック規
格に準拠することがわかった。
【0186】参考例6 参考例3のディスクサンプルNo. 1において、色素No.
I−1のかわりに色素No. I−14を用い、参考例3と
同様に、光記録ディスクを作製した。記録層形成に用い
た色素溶液は4wt% エチルセロソルブ溶液である。これ
を、ディスクサンプルNo. 4とする。
【0187】ディスクサンプルNo. 4について、参考例
3と同様に、記録・再生特性を調べた。
【0188】この結果、ディスクサンプルNo. 4は、最
適記録パワー6.5mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 70%であり、いずれのディスク
サンプルもオレンジブック規格に準拠することがわかっ
た。
【0189】実施例2 参考例3のディスクサンプルNo. 1において、色素No.
I−1のかわりに色素No. II−1を用い、参考例3と同
様に、光記録ディスクを作製した。記録層形成に用いた
色素溶液は2.5wt% ジメチルシクロヘキサン溶液であ
る。これを、ディスクサンプルNo. 5とする。
【0190】ディスクサンプルNo. 5について、参考例
3と同様に、記録・再生特性を調べた。
【0191】この結果、ディスクサンプルNo. 5は、最
適記録パワー5.7mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 69%であり、オレンジブック規
格に準拠することがわかった。
【0192】実施例3 参考例3のディスクサンプルNo. 1において、色素No.
I−1のかわりに色素No. II−4を用い、参考例3と同
様に、光記録ディスクを作製した。記録層形成に用いた
色素溶液は2wt% エチルシクロヘキサン溶液である。こ
れを、ディスクサンプルNo. 6とする。
【0193】ディスクサンプルNo. 6について、参考例
3と同様に、記録・再生特性を調べた。
【0194】この結果、ディスクサンプルNo. 6は、最
適記録パワー5.4mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 70%であり、オレンジブック規
格に準拠することがわかった。
【0195】実施例4 参考例3のディスクサンプルNo. 1において、色素No.
I−1のかわりに色素No. II−9を用い、参考例3と同
様に、光記録ディスクを作製した。記録層形成に用いた
色素溶液は2wt% イソプロピルシクロヘキサン溶液であ
る。これを、ディスクサンプルNo. 7とする。
【0196】ディスクサンプルNo. 7について、参考例
3と同様に、記録・再生特性を調べた。
【0197】この結果、ディスクサンプルNo. 7は、最
適記録パワー5.6mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 72%であり、いずれのディスク
サンプルもオレンジブック規格に準拠することがわかっ
た。これらから、Z環がシクロヘキサン環であると感度
向上がみられる。
【0198】なお、表2の色素のほかの、本発明の式
(2)の色素について、エチルセロソルブに対する溶解
度(25℃)を調べたところ、いずれも1〜10wt% の
範囲にあった。これにより、エチルセロソルブを塗布溶
媒とした色素溶液を用いた色素膜形成が可能であること
がわかった。
【0199】さらに、上記ディスクサンプルのほか、本
発明の式(2)の色素の1種または2種以上を用いて、
種々のディスクサンプルを作製し、上記と同様に、記録
・再生特性を調べた。この結果、いずれのディスクサン
プルも4〜8mWのレーザーパワーで記録可能であり、反
射率70%以上、変調度60%以上、Rtop 65%以上
であり、いずれもオレンジブック規格に準拠することが
わかった。また、上記のディスクサンプルの色素膜の性
状について、色素膜を形成した段階で色素膜を光学顕微
鏡により観察したところ、いずれも膜質は均質であり良
好であった。
【0200】比較例2 比較の色素aを用い、4wt% エチルセロソルブ溶液の調
製を試みたところ、未溶解色素が多量に残存した。そこ
で、平均孔径0.2μm のフィルターで未溶解色素を濾
取し、この濾液を用いて記録層を形成するほかは、参考
例3と同様にして光記録ディスクを得た(ディスクサン
プルa)。この場合のグルーブ内の記録層は厚さ100
Å程度にしか塗設できなかった。
【0201】上記ディスクサンプルaについて、同様に
記録・再生特性を調べたところ、規格を満足できるもの
ではなかった。
【0202】なお、濾過することなく上記溶液を用いて
色素膜を形成した場合は膜中に結晶が析出し、膜質が劣
るものとなった。
【0203】比較例3 比較の色素bを用いたときも、比較例2と同様の結果が
得られた。
【0204】比較例4 比較の色素cを用いたときも、比較例2と同様の結果が
得られた。
【0205】実施例5、参考例7 本発明の式(6)、参考例の式(7)で示されるフタロ
シアニン系色素について融点(mp)、λmax (トルエ
ン中)、エチルシクロヘキサン(20℃における蒸気圧
10mmHg)に対する溶解度(25℃)を調べた。これら
の結果の代表例を表3、表4に示す。
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】比較例5 比較のため色素a、b、cを用い、エチルシクロヘキサ
ンに対する溶解度(25℃)を調べたところ、いずれも
ほとんど0wt% の溶解度しか示さなかった。
【0209】これらの結果より、本発明の色素は、比較
の色素に比べ、いずれも溶解性が向上していることがわ
かる。また、溶解性の向上効果は、フタロシアニン環に
Oを介して結合したシクロヘキシルオキシ基のいずれか
の結合位に存在する分岐アルキル基を有する置換基によ
るものであることがわかる。
【0210】参考例8 例示した色素のうち、色素No. III −1の3wt% エチル
シクロヘキサン溶液を用い、ポリカーボネート基板(厚
さ1.2mm)上に色素膜をスピンコート法により形成
し、これらの薄膜サンプルの吸収スペクトルおよび反射
スペクトルを測定した。色素膜の厚さ(乾燥膜厚)は2
00nmとした。この結果を図3に示す。
【0211】図3より、色素No. III −1は、半導体レ
ーザーの波長(780nm)付近で吸収率が低く、かつ一
定以上の反射率をもつことがわかる。従って、半導体レ
ーザーを用いた光記録媒体の記録層に適合することがわ
かる。
【0212】さらに、色素No. III −2についても同様
に吸収スペクトルおよび反射スペクトルを測定したとこ
ろ、同様の結果を示した。
【0213】参考例9 ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ1.
2mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブ
ピッチ1.6μm 、グルーブ幅0.42μm 、グルーブ
深さ1550Åのトラッキング用のグルーブを形成し
た。この樹脂基板上に、スピンコート法により、色素N
o. III −1の3wt% エチルシクロヘキサン溶液を用い
て色素膜を形成し、これを記録層とした。記録層の厚さ
(乾燥膜厚)は、グルーブ内で1500Å、平均で12
00Åとした。さらに、記録層上にスパッタ法により8
5nmの厚さのAu反射層を形成し、この上に紫外線硬化
型のアクリル樹脂の保護膜(膜厚5μm )を形成した。
このようにして図1に示すような光記録ディスクを得
た。
【0214】これをディスクサンプルNo. 21とする。
【0215】このディスクサンプルNo. 21について、
780nmの半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s
で記録特性を調べたところ、最適記録パワー7.1mWで
あり、反射率70%以上、変調度60%以上、Rtop 6
5%であった。従って、オレンジブック規格に準拠した
光記録ディスクであることがわかる。
【0216】参考例10 参考例9のディスクサンプルNo. 21において、色素N
o. III −1のかわりに色素No. III −2を用いて同様
にしてディスクサンプルNo. 22を得た。なお、色素膜
の形成は3wt% エチルシクロヘキサン溶液を用いて行っ
た。
【0217】このディスクサンプルNo. 22について、
参考例9と同様に、記録・再生特性を調べたところ、最
適記録パワー6.8mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 69%であり、オレンジブック規
格に準拠することがわかった。
【0218】実施例6 参考例9のディスクサンプルNo. 21において、色素N
o. III −1のかわりに色素No. IV−1を用いて同様に
してディスクサンプルNo. 23を得た。なお、色素膜の
形成は3wt% エチルシクロヘキサン溶液を用いて行っ
た。
【0219】このディスクサンプルNo. 23について、
参考例9と同様に、記録・再生特性を調べたところ、最
適記録パワー6.5mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 70%であり、オレンジブック規
格に準拠することがわかった。
【0220】実施例7 参考例9のディスクサンプルNo. 21において、色素N
o. III −1のかわりに色素No. IV−2を用いて同様に
してディスクサンプルNo. 24を得た。なお、色素膜の
形成は3wt% ジメチルシクロヘキサン溶液を用いて行っ
た。
【0221】このディスクサンプルNo. 24について、
参考例9と同様に、記録・再生特性を調べたところ、最
適記録パワー6.7mWであり、反射率70%以上、変調
度60%以上、Rtop 68%であり、オレンジブック規
格に準拠することがわかった。
【0222】なお、表4の色素のほかの、本発明の式
(6)の色素について、エチルシクロヘキサンに対する
溶解度(25℃)を調べたところ、いずれも1〜10wt
% の範囲にあった。これにより、エチルシクロヘキサン
を塗布溶媒とした色素溶液を用いた色素膜形成が可能で
あることがわかった。
【0223】さらに、上記ディスクサンプルのほか、本
発明の式(6)の色素の1種または2種以上を用いて、
種々のディスクサンプルを作製し、上記と同様に、記録
・再生特性を調べた。この結果、いずれのディスクサン
プルも4〜8mWのレーザーパワーで記録可能であり、反
射率70%以上、変調度60%以上、Rtop 65%以上
であり、いずれもオレンジブック規格に準拠することが
わかった。
【0224】また、上記のディスクサンプルの色素膜の
性状について、色素膜を形成した段階で色素膜を光学顕
微鏡により観察したところ、いずれも膜質は均質であり
良好であった。
【0225】比較例6 比較の色素aを用い、3wt% エチルシクロヘキサン溶液
の調製を試みたところ、未溶解色素が多量に残存した。
そこで、平均孔径0.2μm のフィルターで未溶解色素
を濾取し、この濾液を用いて記録層を形成するほかは、
実施例3と同様にして光記録ディスクを得た(ディスク
サンプルd)。この場合のグルーブ内の記録層は厚さ1
00Å程度にしか塗設できなかった。
【0226】上記ディスクサンプルdについて、同様に
記録・再生特性を調べたところ、規格を満足できるもの
ではなかった。
【0227】なお、濾過することなく上記溶液を用いて
色素膜を形成した場合は膜中に結晶が析出し、膜質が劣
るものとなった。
【0228】比較例7 比較の色素bを用いたときも、比較例6と同様の結果が
得られた。
【0229】比較例8 比較の色素cを用いたときも、比較例6と同様の結果が
得られた。
【0230】
【発明の効果】本発明によれば、合成が比較的容易であ
り、取り扱いやすいエチルセロソルブ等のアルコール系
溶媒や脂肪族炭化水素系溶媒に対する溶解性が良好なフ
タロシアニン系色素を用いて、膜厚が十分で膜質に優れ
た色素膜を形成することができる。従って、この色素膜
を記録層に適用することによって、CD規格に対応した
光記録ディスクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録ディスクの一例を示す部分断面
図である。
【図2】参考例のフタロシアニン系色素薄膜の吸収スペ
クトルおよび反射スペクトルを示すグラフである。
【図3】参考例のフタロシアニン系色素薄膜の吸収スペ
クトルおよび反射スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 光記録ディスク 2 基板 23 グルーブ 3 記録層 4 反射層 5 保護膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−23868(JP,A) 特開 昭62−124987(JP,A) 特開 平4−39361(JP,A) 特開 平1−108265(JP,A) 特開 平6−328856(JP,A) 特開 平7−286110(JP,A) 英国特許出願公開2237284(GB,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (36)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、色素を含有する記録層を有
    し、前記色素が、下記式(1)で示される基を少なくと
    も1個有するフタロシアニン系色素である光記録媒体。 【化1】 [式(1)において、Yはフタロシアニン環に結合する
    原子であり、酸素原子または硫黄原子を表わす。Zは炭
    素原子とともに脂肪族炭素環または複素環を完成するの
    に必要な原子群を表わす。A1 は水素原子よりカサ高い
    一価の置換基を表わす。X1 およびX2 は、それぞれ、
    水素原子、一価の置換基、およびX1 とX2 とが互いに
    結合して単結合を形成するかのいずれかである。]
  2. 【請求項2】 前記フタロシアニン系色素が、下記式
    (2)で示される請求項1の光記録媒体。 【化2】 [式(2)において、Mはフタロシアニン環の中心原子
    を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を表わす。Z
    は、炭素原子とともに脂肪族炭素環または複素環を完成
    するのに必要な原子群を表わす。A1 は水素原子よりカ
    サ高い一価の置換基を表わす。A2 は水素原子または水
    素原子よりカサ高い一価の置換基を表わす。X1 および
    2 は、それぞれ、水素原子、一価の置換基、およびX
    1 とX2 とが互いに結合して単結合を形成するかのいず
    れかである。q1は1〜4の整数である。q2、q3お
    よびq4は、それぞれ0または1〜4の整数である。R
    は、一価の置換基を表わす。r1、r2、r3およびr
    4は、それぞれ、0または1〜4の整数である。]
  3. 【請求項3】 前記式(1)で示される基が分子中に1
    〜8個存在する請求項1または2の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記式(1)で示される基が分子中に4
    個存在する請求項3の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記Zで完成される環が脂肪族炭素環で
    ある請求項1〜4のいずれかの光記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記脂肪族炭素環がシクロヘキサン環で
    ある請求項5の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記フタロシアニン系色素が下記式
    (4)で示される請求項1〜6のいずれかの光記録媒
    体。 【化3】 [式(4)において、Mはフタロシアニン環の中心原子
    を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を表わす。A4
    は水素原子よりカサ高い一価の置換基を表わす。R0
    一価の置換基を表わし、rは0または1〜3の整数であ
    る。R11、R12、R13およびR14は、それぞれ、水素原
    子または一価の置換基を表わす。]
  8. 【請求項8】 前記R11〜R14のなかの1個以上が一価
    の置換基である請求項7の光記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記水素原子よりカサ高い一価の置換基
    が、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロ
    キシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カル
    ボキシル基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミド
    基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル
    基、スルホ基、スルフィノ基、アリールアゾ基、アルキ
    ルチオ基またはアリールチオ基である請求項1〜8のい
    ずれかの光記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記水素原子よりカサ高い一価の置換
    基が、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリー
    ロキシ基、アラルキル基、エステル基、アリールアゾ
    基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはアルキル
    基もしくはアリール基を有するアシル基、アミノ基、ア
    ミド基、カルバモイル基、スルホニル基もしくはスルフ
    ァモイル基である請求項9の光記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記水素原子よりカサ高い一価の置換
    基が、分岐アルキル基、または分岐アルキル基を有する
    アルコキシ基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミ
    ド基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル
    基もしくはアルキルチオ基である請求項10の光記録媒
    体。
  12. 【請求項12】 前記水素原子よりカサ高い一価の置換
    基が分岐アルキル基である請求項11の光記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記フタロシアニン環の中心原子がC
    u、PdまたはNiである請求項1〜12のいずれかの
    光記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記Yが酸素原子である請求項1〜1
    3のいずれかの光記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記フタロシアニン系色素のエチレン
    グリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)に
    対する溶解度(25℃)が1〜10wt% である請求項1
    〜14のいずれかの光記録媒体。
  16. 【請求項16】 前記記録層が前記フタロシアニン系色
    素を含有する色素塗布液を用いて塗設されたものである
    請求項1〜15のいずれかの光記録媒体。
  17. 【請求項17】 前記色素塗布液の塗布溶媒が20℃に
    おいて蒸気圧10.0mmHg以下の有機溶媒である請求項
    16の光記録媒体。
  18. 【請求項18】 前記有機溶媒がアルコール系溶媒であ
    る請求項17の光記録媒体。
  19. 【請求項19】 前記アルコール系溶媒がエチレングリ
    コールモノアルキルエーテルである請求項18の光記録
    媒体。
  20. 【請求項20】 前記エチレングリコールモノアルキル
    エーテルがエチレングリコールモノエチルエーテル(エ
    チルセロソルブ)である請求項19の光記録媒体。
  21. 【請求項21】 基板上に、色素を含有する記録層を有
    し、前記色素が、下記式(5)で示される基を少なくと
    も1個有するフタロシアニン系色素である光記録媒体。 【化4】 [式(5)において、Yはフタロシアニン環に結合する
    原子であり、酸素原子または硫黄原子を表わす。Z1
    炭素原子とともに脂肪族炭素環または複素環を完成する
    のに必要な原子群を表わす。A11はZ1 で完成される環
    に結合する分岐アルキル基を有する一価の置換基を表わ
    し、s1はこの置換基の数を表わし、1以上の整数であ
    る。]
  22. 【請求項22】 前記フタロシアニン系色素が、下記式
    (6)で示される請求項21の光記録媒体。 【化5】 [式(6)において、Mはフタロシアニン環の中心原子
    を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を表わす。Z1
    は、炭素原子とともに脂肪族炭素環または複素環を完成
    するのに必要な原子群を表わす。A11はZ1 で完成され
    る環に結合する分岐アルキル基を有する一価の置換基を
    表わす。s1およびs2は、それぞれこの置換基の数を
    表わし、s1は1以上の整数であり、s2は0または1
    以上の整数である。q1は1〜4の整数であり、q2、
    q3およびq4はそれぞれ0または1〜4の整数であ
    る。Rは、一価の置換基を表わす。r1、r2、r3お
    よびr4は、それぞれ、0または1〜4の整数であ
    る。]
  23. 【請求項23】 前記式(5)で示される基が分子中に
    1〜8個存在する請求項21または22の光記録媒体。
  24. 【請求項24】 前記式(5)で示される基が分子中に
    4個存在する請求項23の光記録媒体。
  25. 【請求項25】 前記Z1 で完成される環が脂肪族炭素
    環である請求項21〜24のいずれかの光記録媒体。
  26. 【請求項26】 前記脂肪族炭素環がシクロヘキサン環
    である請求項25の光記録媒体。
  27. 【請求項27】 前記フタロシアニン系色素が下記式
    (8)で示される請求項21〜26のいずれかの光記録
    媒体。 【化6】 [式(8)において、Mはフタロシアニン環の中心原子
    を表わす。Yは酸素原子または硫黄原子を表わす。
    31、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ、水素
    原子または一価の置換基を表わし、R31〜R35のうちの
    少なくとも1個は分岐アルキル基を有する一価の置換基
    である。R0 は一価の置換基を表わし、rは0または1
    〜3の整数である。]
  28. 【請求項28】 前記R31およびR35のうちの少なくと
    も1個が分岐アルキル基を有する一価の置換基である請
    求項27の光記録媒体。
  29. 【請求項29】 前記分岐アルキル基を有する一価の置
    換基がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基また
    はアミノ基である請求項21〜28のいずれかの光記録
    媒体。
  30. 【請求項30】 前記分岐アルキル基を有する一価の置
    換基がアルキル基である請求項29の光記録媒体。
  31. 【請求項31】 前記フタロシアニン環の中心原子がC
    u、PdまたはNiである請求項21〜30のいずれか
    の光記録媒体。
  32. 【請求項32】 前記Yが酸素原子である請求項21〜
    31のいずれかの光記録媒体。
  33. 【請求項33】 前記フタロシアニン系色素のエチルシ
    クロヘキサンに対する溶解度(25℃)が0.5〜10
    wt% である請求項21〜32のいずれかの光記録媒体。
  34. 【請求項34】 前記記録層が前記フタロシアニン系色
    素を含有する色素塗布液を用いて塗設されたものである
    請求項21〜33のいずれかの光記録媒体。
  35. 【請求項35】 前記色素塗布液の塗布溶媒が20℃に
    おいて蒸気圧200mmHg以下の有機溶媒である請求項3
    4の光記録媒体。
  36. 【請求項36】 前記有機溶媒が脂肪族炭化水素系溶媒
    である請求項35の光記録媒体。
JP09994295A 1994-03-31 1995-03-31 光記録媒体 Expired - Fee Related JP3307520B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09994295A JP3307520B2 (ja) 1994-03-31 1995-03-31 光記録媒体

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-87860 1994-03-31
JP8786094 1994-03-31
JP7-78097 1995-03-09
JP7809795 1995-03-09
JP09994295A JP3307520B2 (ja) 1994-03-31 1995-03-31 光記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08300814A JPH08300814A (ja) 1996-11-19
JP3307520B2 true JP3307520B2 (ja) 2002-07-24

Family

ID=27302608

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09994295A Expired - Fee Related JP3307520B2 (ja) 1994-03-31 1995-03-31 光記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3307520B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE298754T1 (de) * 2001-03-23 2005-07-15 Basf Ag Tert.-alkylphenoxysubstituierte polycyclische verbindungen
JP6016507B2 (ja) * 2012-08-02 2016-10-26 株式会社日本触媒 フタロシアニン化合物およびこれを含む赤外線カットフィルター
JP6388782B2 (ja) * 2014-04-09 2018-09-12 山本化成株式会社 フタロシアニン化合物を含有して成るフィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08300814A (ja) 1996-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100252745B1 (ko) 광기록매체 및 이에 이용되는 디피로메텐금속킬레이트화합물
JP3438587B2 (ja) 光学記録媒体
US5272047A (en) Optical information recording medium using azo dyes
KR100766474B1 (ko) 금속착체형 스쿠아리리움 화합물 및 이를 이용한 광기록매체
JP3441410B2 (ja) 光記録媒体
EP0896033A1 (en) Phthalocyanine compounds
JP4178783B2 (ja) 光学記録媒体
US5863703A (en) Optical information recording medium using a phthalocyanine compound
AU1891001A (en) Squarylium compound and optical recording medium containing the same
GB2237284A (en) Optical recording elements comprising tetrasubstituted phthalocyanine dyes
EP0675489B1 (en) Optical recording medium
US5391741A (en) Squarylium compound and optical information recording medium using the same
JP3041230B2 (ja) 光記録媒体
JP3307520B2 (ja) 光記録媒体
JPH08295811A (ja) 金属キレート化合物およびそれを用いた光学的記録媒体
JPH08231866A (ja) 複素環式アゾアニリン色素、その金属錯体およびそれを含む光学記録要素
JP2000309722A (ja) 金属キレート色素及び該色素を使用した光学記録媒体
JPH1036693A (ja) 金属キレート化合物および該金属キレート化合物を用いた光学記録媒体
WO2005000972A2 (en) Optical recording materials having high storage density
JPH11256057A (ja) ジピロメテン金属キレート化合物及びそれを含有してなる光記録媒体
JP3389677B2 (ja) 光記録材料およびそれを用いた追記型コンパクトデイスク
JPH11256056A (ja) ベンゾピロメテン金属キレート化合物及びそれを含有してなる光記録媒体
JPH0966671A (ja) 光記録媒体
JPH11302253A (ja) ジピロメテン金属キレート化合物及びそれを用いた光記録媒体
JP2003103935A (ja) 光学記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020416

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees