JPH0999642A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JPH0999642A
JPH0999642A JP8206474A JP20647496A JPH0999642A JP H0999642 A JPH0999642 A JP H0999642A JP 8206474 A JP8206474 A JP 8206474A JP 20647496 A JP20647496 A JP 20647496A JP H0999642 A JPH0999642 A JP H0999642A
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JP
Japan
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dye
recording
group
optical recording
recording medium
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Withdrawn
Application number
JP8206474A
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English (en)
Inventor
Masahiro Shinkai
正博 新海
Sumiko Kitagawa
寿美子 北川
Takahiko Suzuki
貴彦 鈴木
Noriyoshi Nanba
憲良 南波
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2波長、特に従来の780nm程度の波長域お
よび630〜680nm程度の短波長域における記録、再
生が可能な光記録媒体を得る。 【解決手段】 色素を含有する記録層を2層以上有し、
記録層のうち少なくとも2層は互いに光学定数が異な
り、これらの光学定数の互いに異なる記録層のうち少な
くとも1層は薄膜の吸収スペクトルの半値幅が170nm
以下である色素を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、色素膜を記録層として
有する光記録媒体に関し、特に短波長(630〜680
nm程度の波長)と従来の780nm程度の波長との2波長
で記録、再生ができる追記型の光記録ディスクに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量情報担持媒体として、追記
型や書き換え可能型などの各種光記録ディスクが注目さ
れている。このような光記録ディスクのなかに、色素を
主成分とする色素膜を記録層として用いるものがある。
また、構造的には従来、汎用されている色素膜からなる
記録層上に空気層を設けたいわゆるエアーサンドイッチ
構造のものや、コンパクトディスク(CD)規格に対応
した再生が可能なものとして色素膜からなる記録層に反
射層を密着して設けた構造のものが提案されている(日
経エレクトロニクス1989年1月23日号,No.4
65,P107、社団法人近畿化学協会機能性色素部
会,1989年3月3日,大阪科学技術センター、PROC
EEDINGS SPIE-THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR OPTICAL
ENGINEERINGVOL.1078 PP80-87,"OPTICAL DATA STORAGE
TOPICAL MEETING"17-19,JANUARY 1989 LOS ANGELES
等)。
【0003】上記における記録層は、通常、色素塗布液
を用い、塗布により設層している。
【0004】最近になってより高密度記録への要求が高
くなり、レーザーの短波長化が進んでいる。例えば、特
開平6−40161号公報、同6−40162号公報に
はシアニン色素を利用した短波長レーザー用の光記録媒
体が開示されている。
【0005】このように、短波長レーザーによる記録、
再生が進むにつれ、従来からの780nm程度のレーザー
波長で記録された情報を630〜680nm程度の短波長
レーザーを使用した再生機で読み出すことや、その逆の
使用が望まれており、従来の使用波長での記録、再生と
短波長での記録、再生の互換性を図りたいという要求が
生じてきている。
【0006】しかし、特開平6−40161号公報や特
開平6−40162号公報の提案では、短波長化には対
処できるものの、従来からの780nm程度の波長におけ
る記録再生は不可能である。
【0007】また、特開平7−52544号公報には、
特定構造のフタロシアニン系色素を用いた光記録媒体が
開示されており、媒体の構造をかえることで、すなわ
ち、エアーサンドイッチ構造とすることで短波長におけ
る記録、再生が、反射層を密着して設けた構造とするこ
とで780nm程度の波長における記録、再生が可能とな
るとされている。
【0008】しかし、特開平7−52544号公報の提
案では、媒体の構造自体を変える必要があるため、同一
媒体に対し、短波長と長波長の異なる波長で記録、再生
を行いたいという要求を満たすものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安定
でオレンジブック規格への対応が可能であり、かつ短波
長レーザー(630〜680nm程度の波長)でも記録、
再生が可能な光記録媒体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(17)の本発明によって達成される。 (1)基板上に2層以上の色素を含有する記録層と、そ
の上に設けられた反射層とを有し、前記記録層のうち少
なくとも2層は互いに光学定数の異なるものであり、こ
れらの光学定数の互いに異なる記録層のうち少なくとも
1層は薄膜の吸収スペクトルの半値幅が170nm以下で
ある色素を含有する光記録媒体。 (2)前記光学定数の互いに異なる記録層のうちの少な
くとも1層は、780nmでの複素屈折率の実部nが1.
8〜2.8、虚部kが0.15以下であり、薄膜の吸収
スペクトルの半値幅が170nm以下である色素Aを含有
し、これとは異なる少なくとも1層は、630nmまたは
650nmでの複素屈折率の実部nが1.8〜2.8、虚
部kが0.4以下である色素Bを含有する請求項1の光
記録媒体。 (3)前記基板が記録層設層側の面にグルーブを有する
ものであって、基板側に色素Bを含有する記録層Bを設
け、この記録層B上に色素Aを含有する記録層Aを設け
た請求項2の光記録媒体。 (4)前記グルーブ内の記録層Bの厚さをtB 、記録層
Aの厚さをtA としたとき、tA /tB が1〜10であ
る請求項3の光記録媒体。 (5)前記tB が15〜120nmである請求項4の光記
録媒体。 (6)780nm程度の波長光で記録し、630〜680
nm程度の波長光と780nm程度の波長光で再生する請求
項1〜5のいずれかの光記録媒体。 (7)前記光学定数の互いに異なる記録層は、互いに相
溶性のない溶媒を用いて塗設されたものである請求項1
〜6のいずれかの光記録媒体。 (8)前記色素Aが、下記式(I)で表されるフタロシ
アニン系色素である請求項2〜7のいずれかの光記録媒
体。
【0011】
【化4】
【0012】[式(I)において、Mは中心原子を表
す。X1 、X2 、X3 およびX4 は、各々ハロゲン原子
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
p1、p2、p3およびp4は各々0または1〜4の整
数であり、p1+p2+p3+p4は0〜15である。
1 、Y2 、Y3 およびY4 は各々酸素原子または硫黄
原子を表し、これらは同一でも異なるものであってもよ
い。Z1 、Z2 、Z3 およびZ4 は各々炭素原子数4以
上のアルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基
または複素環基を表し、これらは同一でも異なるもので
あってもよい。q1、q2、q3およびq4は各々0ま
たは1〜4の整数であり、これらは同時に0になること
はなく、q1+q2+q3+q4は1〜8である。] (9)前記Y1 、Y2 、Y3 およびY4 のフタロシアニ
ン環における各々の結合位置が3位および/または6位
である請求項8の光記録媒体。 (10)前記Z1 、Z2 、Z3 およびZ4 が、各々脂環
式炭化水素基または芳香族炭化水素基である請求項8ま
たは9の光記録媒体。 (11)前記Z1 、Z2 、Z3 およびZ4 で表される脂
環式炭化水素基または芳香族炭化水素基が、Y1 、Y
2 、Y3 およびY4 との各々の結合位置の隣接位に置換
基を有する請求項10の光記録媒体。 (12)前記色素Bが、下記式(II)で表されるトリメチ
ンシアニン色素である請求項2〜11のいずれかの光記
録媒体。
【0013】
【化5】
【0014】[式(II)において、Q1 およびQ2 は各
々炭素原子および窒素原子ととも複素環を完成するのに
必要な原子群を表し、Q1 またはQ2 で完成される複素
環骨格は同一でも異なるものであってもよい。R1 およ
びR2 は、各々脂肪族炭化水素基を表し、これらは同一
でも異なるものであってもよい。R3 は水素原子または
一価の置換基を表す。X- は一価の陰イオンを表す。] 前記色素Bが、下記式(III) で表されるトリメチンイン
ドレニン系シアニン色素である請求項12の光記録媒
体。
【0015】
【化6】
【0016】[式(III) において、Q3 およびQ4 は各
々ピロール環とともにインドレニン環またはベンゾイン
ドレニン環を完成するのに必要な原子群を表し、Q3
たはQ4 で完成される環は同一でも異なるものであって
もよい。R3 は水素原子または一価の置換基を表す。R
4 およびR5 は各々アルキル基を表す。X- は一価の陰
イオンを表す。] (14)前記ピロール環とともにQ3 またはQ4 で完成
される環のうちのいずれか一方がインドレニン環であ
り、他方がベンゾインドレニン環であって、このベンゾ
インドレニン環のベンゼン環がインドレニン環に対して
縮合する位置がインドレニン環の4位と5位とである請
求項13の光記録媒体。 (15)前記インドレニン環の5位に水素原子、ハロゲ
ン原子またはアルキル基有する請求項14の光記録媒
体。 (16)前記ピロール環とともにQ3 またはQ4 で完成
される環が両方ともベンゾインドレニン環であって、こ
のベンゾインドレニン環のベンゼン環がインドレニン環
に対して縮合する位置がインドレニン環の4位と5位と
である請求項13の光記録媒体。 (17)前記トリメチンシアニン色素とともに安定剤と
して一重項酸素クエンチャーを用いる請求項12〜16
のいずれかの光記録媒体。
【0017】
【作用】本発明の光記録媒体は、基板上に色素を含有す
る2層以上の記録層を有する。これらの2層以上の記録
層には、互いに光学定数の異なる記録層が少なくとも2
層含まれる。したがって、異なる波長での記録、再生が
可能である。また、互いに光学定数の異なる記録層のう
ち少なくとも1層の記録層は、薄膜状態での吸収スペク
トルの半値幅が170nm以下の色素を含有する。このた
め異なる波長で記録、再生を行う場合、互いに光学定数
の異なる記録層の間での光学特性に対する悪影響を防止
することができ、良好な記録、再生を行うことができ
る。
【0018】また、このような光学定数の異なる記録層
を設層する場合、互いに相溶性のない溶媒、例えば極性
溶媒と非極性溶媒との組合せを用いて塗設する。このた
め、互いに光学定数の異なる記録層同士において色素膜
の変質や溶解などがなく、記録層同士の界面が明確にな
り、すなわち均一な界面が形成され、ノイズの発生や反
射率の低下を防止することができる。
【0019】より具体的にいえば、このような記録層に
用いられる色素の組合せは、780nmにおける複素屈折
率の実部nが1.8〜2.8、虚部kが0.15以下で
あり、色素薄膜の吸収スペクトルの半値幅が170nm以
下である色素Aと、630nmまたは650nmにおける複
素屈折率の実部nが1.8〜2.8、虚部kが0.4以
下である色素Bとである。それぞれの色素において、上
記範囲外の波長帯は、吸収から大きく離れているため光
学定数は、基板の光学定数に近い値となる。具体的に
は、複素屈折率の実部が1.3〜1.7、虚部が0〜
0.3程度である。
【0020】このような光学特性を有する2種の色素を
それぞれの記録層に用いることによって、従来の780
nm程度の波長とこれより短波長域(630〜680nm程
度の波長)とにおける良好な記録、再生を行うことがで
きる。
【0021】例えば、基板側から色素Bの記録層、色素
Aの記録層をこの順に積層したものでは、780nm程度
の波長では色素Bの光学定数は吸収帯から離れているた
め、nはほぼ基板の屈折率に近く、kは0に等しい。そ
のため、780nm程度の波長における特性は、色素Aの
光学特性がそのまま出ることになる。よって、780nm
程度の波長では、反射率65%以上、変調度60%以上
のオレンジブック規格を満足することができる。630
〜680nm程度の波長においては、色素Aの吸収がシャ
ープなため630〜680nm程度の波長におけるkの値
は小さくなる。nの値は基板とほぼ同じである。しか
し、色素Bの630nmまたは650nmにおける複素屈折
率は実部が1.8〜2.8、虚部が0.4以下であるこ
とから、色素Aの記録層はエンハンス層として働き、6
30〜680nm程度の波長での反射率を向上する働きが
ある。これにより、630〜680nm程度の波長での反
射率が20%以上になる。このようなエンハンス層とし
ての働きは積層順等によって異なり、各層に光学定数が
上記とは逆の色素を使用した場合には、それぞれの層の
働きが逆になることもある。
【0022】さらには、色素Aの記録層が厚い場合に
は、この層の中だけで記録による変化が起こり、その下
にある色素Bの記録層に影響を与えない場合もある。こ
のときは、780nm程度の波長では非常によい記録特性
を示す。
【0023】このように、本発明の光記録媒体はCD規
格に対応した記録層に用いることができ、短波長レーザ
ーにおいても記録、再生を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0025】本発明の光記録媒体は、基板上に2層以上
の記録層を有し、記録層上に反射層を有するものであ
る。このような記録層のうち少なくとも2層は互いに光
学定数が異なり、光学定数の異なる記録層を例えば記録
層Aと記録層Bとすれば、記録層Aには色素Aが、また
記録層Bには色素Bが含有されている。
【0026】色素Aは780nmにおける複素屈折率の実
部nが1.8〜2.8、虚部(消衰係数)kが0.15
以下、好ましくは0.02〜0.13のものである。こ
のようなnおよびkのものを用いることによって十分な
反射率と信号の変調度が得られる。これに対し、nが
1.8未満となると信号の変調度が小さくなり、kが
0.15をこえると十分な反射率が得られない。またn
が2.8をこえる色素の合成は事実上不可能である。
【0027】なお、色素のnおよびkは、所定の透明基
板上に色素膜を光記録媒体の記録層程度の厚さ、例えば
40〜100nm程度の厚さに記録層と同条件で設層し
て、測定用サンプルを作製し、次いで、この測定用サン
プルの780nmにおける反射率および透過率を測定し、
これらの測定値から、例えば、共立全書「光学」石黒浩
三P168〜178に準じ、算出したものである。反射
率は測定用サンプルの基板を通しての反射率あるいは色
素膜側からの反射率であり、鏡面反射(5°程度)にて
測定したものである。
【0028】また、色素Aは、色素薄膜の吸収スペクト
ルを測定した場合、吸収極大(λmax )が680〜75
0nm程度であるが、その吸収スペクトルの半値幅、すな
わちλmax 付近のスペクトル線の半値幅は170nm以
下、好ましくは150nm以下である。半値幅の下限には
特に制限はないが、通常50nmである。このような半値
幅のものを用いることによって、色素Bの吸収特性に影
響を与えることがなく、短波長域における反射率および
変調度が十分となる。これに対し、半値幅が170nmを
こえると、その吸収端が短波長レーザーの波長域にかか
ってしまい、短波長域での反射率の低下を招いてしま
う。なお、半値幅は吸収極大λmax における透過率Tが
25%以下となるように透明基板上に色素膜を形成した
サンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルを測
定することにより求めたものである。例えば、図1の吸
収スペクトルに従って説明すると、λmax における透過
率T1と、さらに波長を長波長側に移行させた場合波長
の移行に依存せず、ほぼ一定となる透過率T2 とを求
め、T2 を基線(ベース)としてT1 までのボトムの深
さの半分の幅△λを半値幅とする。サンプルの色素膜の
厚さは、通常、50〜150nm程度である。
【0029】一方、記録層Bに含有させる色素Bは、6
30nmまたは650nmにおける複素屈折率の実部nが
1.8〜2.8、虚部kが0.4以下、好ましくは0.
2以下、さらに好ましくは0〜0.15のものである。
このようなnおよびkのものを用いることによって十分
な反射率と信号の変調度が得られる。これに対し、nが
1.8未満となると信号の変調度が小さくなり、kが
0.4をこえると十分な反射率が得られない。またnが
2.8以上の色素は事実上合成することが不可能であ
る。この場合のnおよびkは、測定波長を630nmまた
は650nmとするほかは、色素Aと同様にして求めたも
のである。また、色素Bは、色素薄膜の吸収スペクトル
を測定した場合、吸収極大(λmax )が650nm以下、
特に500〜650nm程度である。
【0030】記録層Aおよび記録層Bの積層順には特に
制限はなく、適宜選択すればよい。
【0031】また、記録層Aおよび記録層Bの厚さは、
積層順等によって異なるが、通常各々平均で10〜25
0nm(100〜2500A)程度であることが好まし
く、合計厚さは平均で60〜350nm(600〜350
0A)程度であることが好ましい。特にグルーブ内の厚
さは各々15〜300nm(150〜3000A)程度、
合計厚さは75〜400nm(750〜4000A)程度
であることが好ましい。
【0032】このような積層タイプの記録層とすること
で、記録再生を短波長と従来の波長との2波長で行うこ
とができ、また記録と再生をこの2つの波長に分けて行
うこともできる。
【0033】特に、780nm程度の従来波長で記録を行
い、780nm程度および630〜680nm程度の短波長
の両方の波長で再生するという使用目的からは、基板側
から第一の記録層として記録層B、第二の記録層として
記録層Aを積層することが好ましい。
【0034】このような積層順とすることで、前にも述
べたように、780nm程度の従来波長では、記録層A中
の色素Aの特性が記録層B中の色素Bの悪影響を受ける
ことなくむしろ感度は良化する傾向にあるので、良好な
記録、再生を行うことができる。一方630〜680nm
程度の短波長では記録層Bに対し、記録層Aがエンハン
ス層として機能し記録層Bの反射率を向上させるので良
好な再生を行うことができる。
【0035】この場合の記録層Bの厚さは平均で10〜
100nm(100〜1000A)であることが好まし
く、さらには10〜65nm(100〜650A)である
ことが好ましい。特にグルーブ内の厚さtB (図2参
照)は15〜120nm(150〜1200A)であるこ
とが好ましく、さらには15〜80nm(150〜800
A)であることが好ましい。一方、記録層Aの厚さは平
均で50〜250nm(500〜2500A)であること
が好ましく、特にグルーブ内の厚さtA は60〜300
nm(600〜3000A)であることが好ましい。また
両層の合計厚さは平均で60〜350nm(600〜35
00A)であることが好ましく、特にグルーブ内の合計
厚さtA +tB は75〜400nm(750〜4000
A)であることが好ましい。
【0036】このような厚さとすることで良好な記録、
再生を行うことができる。
【0037】また、記録層Aと記録層Bとの厚さの比、
記録層A/記録層Bは、グルーブ内の厚さtA 、tB
用いて、tA /tB が1〜20程度であることが好まし
く、さらには1〜10が好ましく、特には1.5〜6で
あることが好ましい。
【0038】このような比とすることで、780nm程度
の従来波長での記録感度が高く、従来波長および短波長
のいずれにおいても反射率(Rtop)、変調度(IllMod)
等の再生特性が良好になる。これに対し、この比が小さ
くなると780nm程度の従来波長でのジッターが悪くな
り、エラー数も増加しやすくなる。またこの比が大きく
なると、短波長での再生が不能になってしまう。
【0039】なお、上記においては、2層積層タイプの
記録層について主に述べており、塗布工程等を考慮すれ
ば2層積層タイプが好ましく、2層積層タイプで十分で
あるが、これに限定されるものではなく、色素Aを含有
する記録層Aと色素Bを含有する記録層Bとを各々複数
設け、記録層A同士を積層したものと記録層B同士を積
層したものとをさらに積層したものや、記録層Aと記録
層Bとを交互に積層したものなど、種々のものであって
よい。
【0040】このような積層タイプの記録層のnおよび
kは、630nmまたは650nmにおいてn=1.8〜
2.3、k=0.03〜0.20、780nmにおいてn
=1.8〜2.5、k=0.03〜0.15となり、6
30nmまたは650nm程度の波長および780nm程度の
波長における記録再生を良好に行うことができることを
示している。この場合のnおよびkは前記の色素膜と同
様にして求めたものである。
【0041】また、記録層Aのnおよびkは色素Aと、
また記録層Bのnおよびkは色素Bと同一範囲内の値で
ある。また、記録層Aの吸収スペクトルの半値幅も17
0nm以下である。なお、記録層A中の色素A、記録層B
中の色素Bは、各々1種のみを用いても2種以上を併用
してもよく、併用する場合は、併用することによって、
本発明の色素A、Bあるいは記録層A、Bのn、k等を
満足するようにしてもよい。
【0042】なお、本発明に用いられる2波長は、一般
に、500〜680nm、さらには580〜680nm、特
には630〜680nmの範囲にある短波長域の波長と、
770〜900nmの範囲にある長波長域、特に780nm
程度の波長である。
【0043】色素Aとしては、立体障害が大きく、薄膜
にしたとき分子の会合が起きにくい色素を用いることが
好ましい。分子の会合が起きにくい色素の薄膜の吸収ス
ペクトルは半値幅が小さくなりやすいからである。ま
た、色素含有塗布液を調製するときの溶解度が向上す
る。
【0044】色素Aとして、具体的には、フタロシアニ
ン系色素、ナフタロシアニン系色素等が好ましく、さら
にはフタロシアニン系色素であることが好ましい。特に
は式(I)[前記化4に掲載]で表されるフタロシアニ
ン系色素であることが好ましい。
【0045】式(I)について記すと、式(I)におい
てMは中心原子を表す。Mで表わされる中心原子として
は、水素原子(2H)または金属原子が挙げられる。こ
のときの金属原子としては、周期表1〜14族(1A〜
7A族、8族、1B〜4B族)に属する金属原子等であ
ってよく、具体的にはLi、Na、K、Mg、Ca、B
a、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、M
n、Tc、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、O
s、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、H
g、Al、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb等、特
にLi、Na、K、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Fe、
Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、C
u、Ag、Au、Cd、Hg、Al、In、Tl、S
i、Ge、Sn、Pbが挙げられる。このなかで、A
l、Si、Ge、Sn、Cu、Pd、Ni、Fe、Co
等が好ましく、特にCu、Pd、Ni、Fe、Co、V
O等が経時安定性の点で好ましい。
【0046】なお、これらの金属原子は、V等のよう
に、Oが配位したVO等の形であってもよく、さらには
Si、Al、Ge、Co、Fe等のように、金属原子の
上下あるいは一方に、エーテル基、エステル基、ピリジ
ンおよびその誘導体等の配位子がさらに配位した形であ
ってもよい。
【0047】X1 〜X4 は、各々ハロゲン原子を表し、
ハロゲン原子としてはF、Cl、Br、I等がある。特
にBr、Fであることが好ましい。
【0048】p1、p2、p3およびp4は各々0また
は1〜4の整数であり、p1+p2+p3+p4は0〜
15であり、好ましくは0〜10である。
【0049】X1 〜X4 は、各々同一でも異なるもので
あってもよく、p1、p2、p3、p4が各々2以上の
整数であるとき、X1 同士、X2 同士、X3 同士、X4
同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0050】Y1 〜Y4 は各々酸素原子または硫黄原子
を表し、特に酸素原子であることが好ましい。Y1 〜Y
4 は通常同一であるが、異なるものであってもよい。Z
1 〜Z4 は各々炭素原子数4以上のアルキル基、脂環式
炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、
これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0051】q1、q2、q3およびq4は各々0また
は1〜4の整数であり、これらは同時に0になることは
なく、q1+q2+q3+q4は1〜8であり、好まし
くは2〜6である。
【0052】Y1 〜Y4 のフタロシアニン環に対する結
合位置は、フタロシアニン環の3位および/または6位
(下記の構造式参照)であることが好ましく、このよう
な結合を少なくとも1個含むことが好ましい。
【0053】
【化7】
【0054】Z1 〜Z4 で表されるアルキル基としては
炭素原子数4〜16のものが好ましく、直鎖状であって
も分岐を有するものであってもよいが、分岐を有するも
のが好ましい。また置換基を有していてもよく、置換基
としてはハロゲン原子(F、Cl、Br、I等、特に好
ましくはF、Br等)などが挙げられる。このようなア
ルキル基の具体例としては、n−C49 、i−C4
9 −、s−C49 −、t−C49 −、n−C511
−、(CH32 CHCH2 CH2 −、(CH33
CH2 −、(C252 CH−、C25 C(CH
32 −、n−C37 CH(CH3 )−、n−C6
13−、(CH32 CHCH2 CH2 CH2 −、(CH
33 C−CH2 −CH2 −、n−C37 CH(CH
3 )CH2−、n−C49 CH(CH3 )−、n−C7
15−、[(CH32 CH]2−CH−、n−C4
9 CH(CH3 )CH2 −、(CH32 CHCH2
H(CH3 )CH2 −、n−C817−、(CH33
CCH2 CH(CH3 )CH2 −、(CH32 CHC
H(i−C49 )−、n−C49 CH(C25
CH2 −、n−C919−、CH3 CH2 CH(CH
3 )CH2 CH(CH 3 )CH2 CH2 −、(CH3
2 CHCH2 CH2 CH2 CH(CH3 )CH2 −、n
−C37 CH(CH3 )CH2 CH(CH3 )CH2
−、n−C1021−、(CH33 CCH2 CH2
(CH32 CH2 −、n−C1123−、n−C1225
−、n−C1327−、n−C1429−、n−C15
31−、n−C1633−、n−C49 −、i−C49
−、s−C49 −、t−C49 −等が挙げられる。
【0055】Z1 〜Z4 で表される脂環式炭化水素基と
しては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げ
られ、シクロヘキシル基等が好ましい。これらはさら
に、置換基を有していてもよく、このような置換基とし
ては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カ
ルボキシル基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミ
ド基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル
基、スルホ基、スルフィノ基、アリールアゾ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基等が挙げられ、なかでも炭素
原子数1〜5のアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル
基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ne
o−ペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブ
チル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イ
ソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキ
シ基)、アリール基(例えばフェニル基、トリル基、ビ
フェニル基、ナフチル基)、ハロゲン原子(例えばF、
Cl、Br、I、好ましくはF、Br)等が好ましい。
これらの置換基の置換位置は、Y1 〜Y4 の結合位置の
隣接位のうちのいずれか一方または両方であることが好
ましく、このような置換を少なくとも1個含むことが好
ましい。
【0056】Z1 〜Z4 で表される芳香族炭化水素基と
しては、単環であっても縮合環を有するものであっても
よく、さらには置換基を有するものであってもよい。ま
た総炭素原子数は6〜20であることが好ましい。具体
的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニ
ル基等が好ましい。これらは、さらに置換基を有してい
てもよく、このような置換基としては、脂環式炭化水素
基のところで例示したものと同様のものを挙げることが
でき、好ましいものも同様である。また好ましい置換位
置も同様であり、Y1 〜Y4 の結合位置のオルト位であ
ることが好ましく、オルト置換を少なくとも1個含むこ
とが好ましい。
【0057】Z1 〜Z4 で表される複素環基としては、
単環であっても縮合環を有するものであってもよく、ヘ
テロ原子が酸素、窒素、硫黄等、特に酸素、窒素等であ
るものが好ましい。具体的には、ピリジル基、フラノン
−イル基、ピラジル基、ピラゾリジル基、ピペリジノン
−イル基、キノキサリル基、ピラノン−イル基、チオフ
ェントリオン−イル基等が挙げられ、ピリジル基、2−
フラノン−イル基等が好ましい。これらの複素環基は、
さらに置換基を有していてもよく、置換基としては脂環
式炭化水素基、芳香族炭化水素基のところで例示したも
のを挙げることができ、好ましいものも同様である。特
に、Y1 〜Y4 の結合位置の隣接位に炭素原子が存在す
る場合、このような隣接位に置換基を有することが好ま
しい。
【0058】Z1 〜Z4 としては、特に脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基が好ましく、さらにはシクロヘキ
シル基、フェニル基が好ましく、特にはY1 〜Y4 の結
合位置の少なくとも一方の隣接位に置換基(特には前記
した好ましい置換基)を有するものが好ましい。
【0059】このようなフタロシアニン系色素の具体例
を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。具体例は下記式(Ia)のX11〜X14、X15〜X
18、X19〜X22、X23〜X26およびMを用いて示してお
り、X11〜X14等においてすべてHであるときはHで、
また置換基であるときはそのもののみを示しHの表示は
省略している。なお、フタロシアニン環における3位と
6位、4位と5位とは各々同等であり、これらにおいて
いずれか一方に置換基が存在するときは代表例を示して
いるにすぎない。
【0060】
【化8】
【0061】
【化9】
【0062】
【化10】
【0063】
【化11】
【0064】
【化12】
【0065】
【化13】
【0066】
【化14】
【0067】
【化15】
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】
【化18】
【0071】
【化19】
【0072】
【化20】
【0073】
【化21】
【0074】
【化22】
【0075】これらのフタロシアニン系色素は、特開昭
63−313760号、特開昭63−301261号等
に記載の方法を参照して合成することができる。
【0076】以下に合成例を示す。
【0077】合成例1 色素No. A−1の合成 1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン1.73g と
2,4−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシベンゼン
4.12g とを、ジメチルホルムアミド(DMF)5ml
中でK2 CO3 を5.0g 加えて80℃で2時間反応さ
せた。反応終了後、水/酢酸エチル(容積比で1/1)
混合溶媒で2回抽出し、酢酸エチル抽出層をMgSO4
を用いて一晩乾燥した後、酢酸エチルを留去し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホルムを
用いて分離精製し、1,2−ジシアノ−3−(2,4−
tert−ブチルフェニルオキシ)ベンゼン2.65g
を得た(収率80%)。
【0078】次に、この化合物1.66g とCuCl
0.20g とをアミルアルコール10ml中で1,8−ジ
アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DB
U)1.52g の存在下で200℃で5時間加熱還流し
て反応させ、これによって得られた反応生成物を、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホルム
を用いて分離し、目的物1.22g を得た(収率70
%、mp285〜290℃)。
【0079】合成例2 色素No. A−3の合成 合成例1と同様にして次のように合成した。
【0080】1,2−ジシアノ−3−ニトロベンゼン
1.73g と2−tert−ブチルシクロヘキサノール
4.68g とを、ジメチルホルムアミド(DMF)5ml
中でK2 CO3 を5.0g 加えて80℃で2時間反応さ
せた。反応終了後、水/酢酸エチル(容積比で1/1)
混合溶媒で2回抽出し、酢酸エチル抽出層をMgSO4
を用いて一晩乾燥した後、酢酸エチルを留去し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホルムを
用いて分離精製し、1,2−ジシアノ−2−tert−
ブチルシクロヘキシルオキシ)ベンゼン1.41g を得
た(収率50%)。
【0081】次に、この化合物1.41g とCuCl
0.14g とをアミルアルコール10ml中で1,8−ジ
アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DB
U)0.76g の存在下で200℃で5時間加熱還流し
て反応させ、これによって得られた反応生成物を、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーによってクロロホルム
を用いて分離し、目的物0.97g を得た(収率65
%、mp220〜222℃)。
【0082】上記と同様にして、あるいは上記に準じて
例示した他の色素を合成した(収率45〜80%程
度)。
【0083】これらの色素は、元素分析、可視吸収スペ
クトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル、核磁気
共鳴吸収スペクトル等によって同定することができる。
【0084】これらの色素の融点(mp)は60〜40
0℃である。
【0085】これらのフタロシアニン系色素の780nm
におけるnおよびkを表1、表2に示す。これらのnお
よびkは、色素膜の厚さを80nmとして求めたものであ
る。また、前述のようにして色素薄膜の吸収スペクトル
の半値幅を求めたが、これらの結果およびλmax (薄
膜)も併記する。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】なお、色素Aは前にも述べたが、1種のみ
を用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用
するときは、併用することによってn、kおよび薄膜の
吸収スペクトルの半値幅が前記の範囲になるように選択
して用いてもよい。
【0089】一方、色素Bとしては、前記のnおよびk
を満足するものであれば特に制限はなく、トリメチンシ
アニン色素、金属錯体色素、スチリル系色素、ポルフィ
リン系色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ホルマザン
金属錯体等が挙げられる。また、これらの色素は前にも
述べたが、1種のみを用いても2種以上を併用してもよ
く、2種以上を併用するとき、併用することによって前
記のnおよびkが前記の範囲となるように選択して用い
てもよい。
【0090】これらの色素のなかで、入手しやすい等の
点でトリメチンシアニン色素等が用いられている。トリ
メチンシアニン色素としては式(II)[前記化5に掲
載]で表されるものが挙げられる。
【0091】式(II)について説明すると、式(II)
中、Q1 およびQ2 は、それぞれ、炭素原子および窒素
原子とともに複素環を完成するのに必要な原子群を表
し、Q1またはQ2 で完成される複素環骨格は同一でも
異なっていてもよいが、合成上同一骨格であることが好
ましい。このような複素環骨格には、好ましくはベンゾ
チアゾール骨格、チアゾール骨格、オキサゾール骨格、
ベンゾオキサゾール骨格、ピリジン骨格、キノリン骨
格、イミダゾール骨格、インドレニン骨格、ベンゾイン
ドレニン骨格、ジベンゾインドレニン骨格などが挙げら
れる。
【0092】Q1 またはQ2 によって完成される複素環
は、置換基を有していてもよく、このような置換基には
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、ア
ミノ基等がある。
【0093】R1 およびR2 は、それぞれ脂肪族炭化水
素基を表し、これらは同一でも異なっていてもよい。脂
肪族炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル
基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜4
のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基等がある。またシクロアルキル基としてはシク
ロヘキシル基等が挙げられる。このものは、置換基を有
していてもよく、このような置換基としてはハロゲン原
子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等のエーテ
ル基、エステル基、複素環基等が挙げられる。なかで
も、無置換のアルキル基が好ましく、特にはメチル基、
エチル基、ブチル基等が好ましい。また、エチルセロル
ブ等の特定の塗布溶媒に対する溶解性を向上させる上で
はエーテル結合を有するアルコキシアルキル基等、好ま
しくは総炭素数3〜6のアルコキシアルキル基等が好ま
しい。
【0094】R3 は水素原子または一価の置換基を表
す。一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、
アゾ基、エステル基、アシル基、ハロゲン原子または複
素環基が挙げられ、これらの一価の基のなかでアルキル
基、アリール基、アゾ基、エステル基、アシル基、複素
環基は置換基を有していてもよい。置換基を有する場合
の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキ
シ基、アミノ基、複素環基、ニトロ基等が挙げられる。
【0095】X- は一価の陰イオンを表し、ClO4 -
- 、BF4 -、PF6 -、SbF6 -、パラトルエンスルホ
ン酸イオンなどが挙げられる。
【0096】式(II)で表されるトリメチンシアニン色
素のなかでも、式(III) [前記化6に掲載]で表される
トリメチンインドレニン系シアニン色素が好ましい。
【0097】式(III) について説明すると、式(III) に
おいて、Q3 およびQ4 は各々ピロール環とともにイン
ドレニン環またはベンゾインドレニン環を完成するのに
必要な原子群を表し、Q3 またはQ4 で完成される環は
同一でも異なるものであってもよい。また、このような
インドレニン環またはベンゾインドレニン環は、置換基
を有していてもよく、このような置換基としてはハロゲ
ン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アミノ基
等がある。
【0098】Q3 またはQ4 で完成される環がベンゾイ
ンドレニン環である場合、インドレニン環に対するベン
ゼン環の縮合位置に特に制限はないが、インドレニン環
の4位と5位とにベンゼン環が縮合することが好ましい
(後記式(IIIa):化23参照)。
【0099】特に630〜640nm対応の場合は、Q
3 、Q4 の一方がインドレニン環で、他方がベンゾイン
ドレニン環である組合せが好ましく、640超〜680
nm対応の場合は、Q3 、Q4 の両方がベンゾインドレニ
ン環である組合せが好ましい。
【0100】R3 は水素原子または一価の置換基を表
し、式(II)のR3 と同義のものである。R3 は好ましく
は水素原子である。
【0101】R4 およびR5 は各々アルキル基を表す。
アルキル基は置換基を有するものであってもよく、その
炭素数は1〜4であることが好ましく、置換基としては
1、R2 のところの置換基と同様のものを挙げること
ができ、特にアルコキシ等が好ましい。R4 、R5 で表
されるアルキル基としてはメチル基、エチル基、(n
−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブ
チル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキ
シエチル基等が挙げられる。
【0102】R4 、R5 としては無置換のアルキル基、
アルコキシアルキル基等が好ましく、エチルセロソルブ
等の特定の塗布溶媒に対する溶解性を良化するという意
味では、R4 、R5 のうちの少なくとも一方がアルコキ
シアルキル基、好ましくは総炭素数3〜6のアルコキシ
アルキル基であることが好ましい。
【0103】X- は陰イオンを表し、式(II)のX-
同義のものである。
【0104】式(III) で表されるトリメチンインドレニ
ン系シアニン色素のなかでも、下記式(IIIa)、(IIIb)で
表されるものが好ましい。
【0105】式(IIIa)で表されるものは630〜640
nm対応のものであり、式(IIIb)で表されるものは640
超〜680nm対応のものである。
【0106】
【化23】
【0107】
【化24】
【0108】式(IIIa)、(IIIb)中、R11 およびR12
各々式(III) のR4 およびR5 と同義のものであり、R
3 は式(III) 中のR3 と同義のものであり、好ましくは
水素原子であり、X- は式(III) のX- と同義のもので
ある。式(IIIa)中、R13は水素原子、ハロゲン原子また
はアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を
表す。
【0109】なお、式(IIIa)、(IIIb)においてインドレ
ニン環、ベンゾインドレニン環は、上記のR13のほか、
さらにハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル
基、アミノ基等の置換基を有していてもよい。
【0110】また式(IIIa)、(IIIb)におけるR11 およ
びR12は、無置換のアルキル基、アルコキシアルキル基
等が好ましく、エチルセロソルブ等の塗布溶媒に対する
溶解性を向上させ、良好な性状の塗膜を得るという観点
からは、いずれか一方あるいは両方がアルコキシアルキ
ル基であることが好ましく、この具体例としては式(II
I) のところのものと同様に、メトキシメチル基、メト
キシエチル基、エトキシエチル基等が挙げられる。アル
コキシアルキル基としては総炭素数3〜6のものが好ま
しい。
【0111】以下に、本発明に用いるトリメチンシアニ
ン色素の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0112】
【化25】
【0113】
【化26】
【0114】
【化27】
【0115】
【化28】
【0116】
【化29】
【0117】
【化30】
【0118】
【化31】
【0119】これらのトリメチンシアニン色素は1種の
みを用いても2種以上を併用してもよい。トリメチンシ
アニン色素のλmax (80nm厚の色素薄膜で測定)は5
50〜650nmであり、その融点(mp)は100〜3
00℃である。
【0120】これらトリメチンシアニン色素のλmax お
よび色素膜の厚さを80nmとして求めた630nmまたは
650nmにおけるn、kを表3、表4に示す。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】本発明ではトリメチンシアニン色素の耐光
性を向上させるためにトリメチンシアニン色素とともに
安定剤として一重項酸素クエンチャーである金属錯体ク
エンチャーを用いることが好ましい。このような金属錯
体クエンチャーとしては、特開昭59−59795号、
同60−118748号、同60−118749号等に
記載の化合物を用いることができる。
【0124】このような金属錯体クエンチャーとして
は、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケト
ン系やビスフェニルジチオール系などのビスジチオール
系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシム
系、チオビスフェノレート系等の金属錯体クエンチャー
が挙げられる。なかでも、ビスフェニルジチオール系の
金属錯体クエンチャーが好ましく、中心金属としてはN
i、Cu、Co、Pd、Pt等が挙げられ、Ni、Cu
等、特にCuが好ましい。
【0125】これらの金属錯体クエンチャーの使用量は
用いる色素に応じて適宜決定すればよい。
【0126】また、トリメチンシアニン色素カチオンの
対アニオン、すなわち式(II)のX- を金属錯体クエン
チャーアニオンとする結合体の形で金属錯体クエンチャ
ーを用いてもよい。この場合の好ましいものは上記と同
じ金属錯体クエンチャーのアニオンであり、なかでも、
ビスフェニルジオール系の金属錯体クエンチャーアニオ
ンが好ましく、中心金属の好ましいものも上記と同様で
ある。結合体は塩交換によって得ることができる。
【0127】色素AおよびBを用いた記録層は、特に追
記型の光記録ディスク(CD−R)に用いることが好ま
しい。このような記録層は、色素含有塗布液を用いてス
ピンコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、
スプレーコート法等により設層することが好ましい。特
に、回転する基板上に塗布液を展開塗布するスピンコー
ト法によることが好ましい。
【0128】このときの塗布溶媒として、具体的には、
アルコール系(ケトアルコール系、エチレングリコール
モノアルキルエーテル系を含む。)、脂肪族炭化水素
系、ケトン系、エステル系、エーテル系、芳香族系、ハ
ロゲン化アルキル系等から適宜選択すればよく、色素A
を含有する記録層Aと色素Bを含有する記録層Bは、記
録層同士の界面の乱れを防止するため、相溶性のない溶
媒を用いて各記録層を塗設することが好ましい。すなわ
ち、記録層Aの塗設用溶媒Aに対する記録層Bの塗設用
溶媒B(または溶媒Bに対する溶媒A)の溶解度(25
℃)は1wt% 以下であることが好ましい。また溶媒Aは
色素Aを溶解する[溶解度(25℃):0.1〜10wt
% 程度]が、色素Bを実質的に溶解しないものであるこ
とが好ましく、溶媒Aに対する色素Bの溶解度(25
℃)は0.05wt% 未満、さらには0〜0.03wt% で
あることが好ましい。一方溶媒Bは色素Bを溶解する
[溶解度(25℃):0.1〜10wt% 程度]が、色素
Aを実質的に溶解しないものであることが好ましく、溶
媒Bに対する色素Aの溶解度(25℃)は0.05wt%
未満、さらには0〜0.03wt% であることが好まし
い。具体的には、色素Aを溶解する溶媒は非極性溶媒で
あり、色素Bを溶解する溶媒は極性溶媒であることが好
ましい。
【0129】非極性溶媒としては脂肪族炭化水素系か
ら、極性溶媒としてはアルコール系(ケトアルコール
系、エチレングリコールモノアルキルエーテル系等のア
ルコキシアルコール系を含む。)、ケトン系、エステル
系、エーテル系、芳香族系、ハロゲン化アルキル系等か
ら適宜選択すればよい。
【0130】このなかで、非極性溶媒として脂肪族炭化
水素系、極性溶媒としてアルコール系が好ましい。脂肪
族炭化水素系としては、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シ
クロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、n−オクタ
ン、iso−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシク
ロヘキサンなどが好ましく、なかでもメチルシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン
などが好ましい。一方アルコール系のなかでは、アルコ
キシアルコール系、ケトアルコール系などが好ましい。
アルコキシアルコール系は、アルコキシ部分の炭素原子
数が1〜4であることが好ましく、かつアルコール部分
の炭素原子数が1〜5、さらには2〜5であることが好
ましく、総炭素原子数が3〜7であることが好ましい。
具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル
(メチルセロソルブ)やエチレングリコールモノエチル
エーテル(エチルセロソルブ、エトキシエタノールとも
いう)やブチルセロソルブ、2−イソプロポキシ−1−
エタノール等のエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル(セロソルブ)系や1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−メトキシ−2−ブタノール、3−メトキシ−1
−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、1−エ
トキシ−2−プロパノール等が挙げられる。ケトアルコ
ール系としてはジアセトンアルコール等が挙げられる。
さらには2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール
などのフッ素化アルコールも好ましく用いることができ
る。
【0131】非極性溶媒、極性溶媒は、各々1種のみを
用いても2種以上を併用してもよい。
【0132】なお、例えば下層として塗布した色素膜中
の色素がこれに積層する上層の色素膜塗布用の溶媒に溶
解する場合などのように、一方の塗布用溶媒に他方の色
素が溶解する場合、あるいは用いる色素の溶媒に対する
溶解度の関係などから互いに相溶性のない溶媒の選択が
困難な場合などには、積層する色素膜と色素膜との間に
色素同士の混合を防止するために中間層を設ければよ
い。この中間層については後述する。
【0133】上記のようなスピンコートの後、必要に応
じて塗膜を乾燥させる。このようにして形成される記録
層の厚さは、目的とする反射率などに応じて適宜設定さ
れるものであるが、通常、合計厚さで、前述のとおり、
平均で60〜350nm(600〜3500A )程度であ
る。
【0134】なお、塗布液における色素含有量は、色素
膜の膜厚等に応じて選択すればよく、好ましくは0.0
5〜10wt% 、さらに好ましくは0.08〜10wt% と
するのがよい。なお、塗布液には前記の安定剤のほか、
適宜バインダー、分散剤等を含有させてもよい。
【0135】このような色素膜を記録層として基板上に
有する光記録ディスクとして、図2には、その一構成例
が示されている。図2は、部分断面図である。図2に示
される光記録ディスク1は、記録層上に反射層を密着し
て有するCD規格に対応した再生が可能な密着型光記録
ディスクである。図示のように、光記録ディスク1は、
基板2表面に前記のような色素を主成分とする積層タイ
プの記録層3を有し、記録層3に密着して、反射層4、
保護膜5を有する。記録層3は、基板2側から色素Bを
含有する第一の記録層31(記録層B)と色素Aを含有
する第二の記録層32(記録層A)とで構成されてい
る。
【0136】基板2は、ディスク状のものであり、基板
2の裏面側からの記録および再生を可能とするために、
記録光および再生光(波長500〜900nm程度、特に
波長500〜680nm程度、なかでも波長580〜68
0nm程度、とりわけ630〜680nm程度のレーザー光
および波長680〜900nm程度のレーザー光、なかで
も波長680〜780nm程度のレーザー光や波長770
〜900nm程度の半導体レーザー光、特に635nm、6
50nmおよび780nm)に対し、実質的に透明(好まし
くは透過率88%以上)な樹脂あるいはガラスを用いて
形成するのがよい。また、大きさは、直径64〜200
mm程度、厚さ1.2mm程度のものとする。
【0137】基板2の記録層3形成面には、図2に示す
ように、トラッキング用のグルーブ23が形成される。
グルーブ23は、スパイラル状の連続型グルーブである
ことが好ましく、深さは0.1〜0.25μm 、幅は
0.25〜0.80μm 、好ましくは0.35〜0.6
0μm 、グルーブピッチは1〜1.7μm であることが
好ましい。グルーブをこのような構成とすることによ
り、グルーブ部の反射レベルを下げることなく、良好な
トラッキング信号を得ることができる。特にグルーブ幅
を0.25〜0.80μm に規制することは重要であ
り、グルーブ幅を0.25μm 未満とすると、十分な大
きさのトラッキング信号が得られにくく、記録時のトラ
ッキングのわずかなオフセットによって、ジッターが大
きくなりやすい。また0.80μm をこえると、再生信
号の波形歪みが生じやすく、クロストークの増大の原因
となる。
【0138】基板2は、材質的には、樹脂を用いること
が好ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ア
モルファスポリオレフィン、TPX、ポリスチレン系樹
脂等の各種熱可塑性樹脂が好適である。そして、このよ
うな樹脂を用いて射出成形等の公知の方法にしたがって
製造することができる。グルーブ23は、基板2の成形
時に形成することが好ましい。なお、基板2製造後に2
P法等によりグルーブ23を有する樹脂層を形成しても
よい。また、場合によってはガラス基板を用いてもよ
い。
【0139】図2に示されるように、基板2に設層され
る記録層3は、前記の色素含有塗布液を用い、前記のよ
うに、好ましくはスピンコート法により形成されたもの
である。スピンコートは通常の条件に従い、内周から外
周にかけて、回転数を500〜5000rpm の間で調整
するなどして行えばよい。
【0140】このようにして形成される記録層3の厚さ
は、乾燥膜厚で、平均60〜350nm(600〜350
0A )とすることが好ましい。この範囲外では反射率が
低下して、CD規格に対応した再生を行うことが難しく
なる。この際、グルーブ23内の記録トラック内の記録
層3の厚さを100nm(100OA)以上、特に120nm
(1200A )以上とすると、変調度がきわめて大きく
なる。なお、前述のとおり、第一の記録層31(記録層
B)のグルーブ23内の厚さtB は15〜120nm(1
50〜1200A )程度、第二の記録層32(記録層
A)のグルーブ23内の厚さtA は60〜300nm(6
00〜3000A )程度とする。
【0141】なお、前述のように、第一の記録層31
(記録層B)の色素Bが第二の記録層32(記録層A)
塗設用の塗布溶媒に溶解したり、あるいは用いる色素の
溶解度の関係から互いに相溶性のない溶媒を選択するこ
とができないときなど、第一の記録層31(記録層B)
と第二の記録層32(記録層A)との間に中間層を介在
させることが好ましい。このような中間層は、塗布工程
において第一の記録層31と第二の記録層32とにおけ
る色素同士の混合を防止できる機能を有するものであっ
て、記録層としての機能に悪影響を及ぼさないものであ
れば、その材質や形成方法等に特に制限はない。通常は
SiO2 やSiNのような無機材料が用いられる。また
その形成方法に特に制限はないが、均一な薄膜を得ると
いう点ではスパッタによることが好ましい。中間層の厚
さは、グルーブ部、ラウンド部のいずれにおいても一律
に5〜50nm(50〜500A )程度とすればよい。
【0142】図2に示されるように、記録層3上には、
直接密着して反射層4が設層される。反射層4として
は、Au、Cu、Al、CuAg等の高反射率金属ない
し合金を用いるのがよい。反射層4の厚さは500A 以
上であることが好ましく、蒸着、スパッタ等により設層
すればよい。また、厚さの上限に特に制限はないが、コ
スト、生産作業時間等を考慮すると、1200A 程度以
下であることが好ましい。これにより、反射層4単独で
の反射率は、90%以上、媒体の未記録部の基板を通し
ての反射率は、780nm程度の波長では60%以上、特
に70%以上が得られる。
【0143】図2に示されるように、反射層4上には、
保護膜5が設層される。保護膜5は、例えば紫外線硬化
樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜100μ
m 程度の厚さに設層すればよい。保護膜5は、層状であ
ってもシート状であってもよい。保護膜5は、スピンコ
ート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等
の通常の方法により形成すればよい。
【0144】このような構成の光記録ディスク1に記録
ないし追記を行うには、例えば780nmあるいは635
nm、あるいは650nmの記録光を、基板2を通してパル
ス状に照射し、照射部の光反射率を変化させる。なお、
記録光を照射すると、記録層3が光を吸収して発熱し、
同時に基板2も加熱される。この結果、基板2と記録層
3との界面近傍において、色素等の記録層材質の融解や
分解が生じ、記録層3と基板2との界面に圧力が加わ
り、グルーブの底面や側壁を変形させることがある。な
お、記録に際し、基板回転線速度は1.2〜1.4m/s
程度とする。
【0145】本発明の光記録媒体は、図示例のような密
着型の光記録ディスクに限らず、色素を含有する記録層
を有するものであれば、いずれであってもよい。このよ
うなものとしては、エアーサンドイッチ構造のピット形
成型光記録ディスク等が挙げられ、本発明を適用するこ
とによって、同様の効果が得られる。
【0146】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を比較例ととも
に示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0147】実施例1 ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ1.
2mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブ
ピッチ1.6μm 、グルーブ幅0.42μm 、グルーブ
深さ1550A のトラッキング用のグルーブを形成し
た。
【0148】この樹脂基板上に、色素B−1の2,2,
3,3−テトラフルオロプロパノール0.3wt% 溶液を
用いてスピンコート法により塗布を行い、乾燥して色素
膜(乾燥膜厚:グルーブ内で600A (tB )、平均で
450A )を形成した。この色素膜上に、色素A−1の
メチルシクロヘキサン1.5wt% 溶液を用いてスピンコ
ート法により塗布を行い、乾燥して色素膜を形成し、2
層積層タイプの記録層を得た。
【0149】記録層の厚さ(乾燥膜厚)は、2層あわせ
てグルーブ内で1800A (tA +tB )、平均で15
00A とした(tA /tB =2)。さらに、記録層上に
スパッタ法により85nmの厚さのAu反射層を形成し、
この上に紫外線硬化型のアクリル樹脂の保護膜(膜厚5
μm )を形成した。このようにして図2に示すような光
記録ディスクを得た。
【0150】このディスクサンプルについて、780nm
の半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s で記録再
生特性を調べたところ、最適記録パワー7.0mWであ
り、記録前のディスクの反射率70%以上であり、記録
信号の変調度60%以上、記録信号の反射率(Rtop )
65%であった。したがって、オレンジブック規格に準
拠した光記録ディスクであることがわかった。
【0151】さらに、780nmで記録したものを、63
5nmの半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s で再
生特性を調べたところ、反射率40%、変調度44%の
特性が得られた。また、そのときのエラーレートは、オ
レンジブック規格のC1エラーに準じるものを測定した
ところ、10個/s以下であった。したがって、780nm
で記録したものを635nmで良好に再生できることがわ
かった。
【0152】また、上記とは反対に635nmのレーザー
光を使用して線速度1.4m/s で記録再生特性を調べた
ところ、最適記録パワーは7mWであり、記録前のディス
クの反射率は25%であり、記録信号の変調度は40
%、Rtop は23%であった。したがって、635nmで
良好な記録、再生が可能であることがわかった。
【0153】さらに、635nmで記録したものを780
nmの半導体レーザーを使用して線速度1.4m/s で再生
特性を調べたところ、Rtop は65%、変調度60%の
特性が得られ、エラーレートはC1エラーで10個/s以
下であり、オレンジブック規格を満足する再生を行える
ことがわかった。
【0154】なお、色素A−1は、前記のとおり、78
0nmにおけるnおよびkが各々2.2、0.08であ
り、薄膜の吸収スペクトルは724nm、半値幅は130
nmであった。また、色素B−1の630nmにおけるnお
よびk(色素膜厚80nmで求めた。)は各々2.3、
0.03であり、λmax は570nmであった。
【0155】また、色素B−1のメチルシクロヘキサン
に対する溶解度(25℃)はせいぜい0.01wt% 程度
であり、色素A−1の2,2,3,3−テトラフルオロ
プロパノールに対する溶解度(25℃)は0.02wt%
程度であり、各塗布溶液に用いた溶媒を逆にした場合実
質的に溶解しなかった。さらにメチルシクロヘキサンと
2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールは相溶性
がなく、メチルシクロヘキサンの2,2,3,3−テト
ラフルオロプロパノールに対する溶解度(25℃)はせ
いぜい0.1wt% 程度であった。
【0156】実施例2 実施例1において、色素B−1を色素B−2に、色素A
−1を色素A−2にかえるほかは同様にして光記録ディ
スクを作製し、評価した。色素B−2の色素膜の厚さ
(乾燥膜厚)は、グルーブ内で400A (tB )、平均
で300A とし、2層構成の記録層の厚さ(乾燥膜厚)
は、グルーブ内で1500A (tA +tB)、平均で1
200A とした(tA /tB =2.75)。
【0157】このディスクサンプルについて、780nm
の半導体レーザーを使用して線速度1.2m/s で記録再
生特性を調べたところ、最適記録パワー6.9mWであ
り、反射率70%以上、変調度60%以上、Rtop 65
%であった。したがって、オレンジブック規格に準拠し
た光記録ディスクであることがわかった。
【0158】さらに、780nmで記録したものを650
nmの半導体レーザーを使用して線速度1.2m/s で再生
特性を調べたところ、反射率35%、変調度40%の特
性が得られた。また、そのときのエラーレートは実施例
1と同等であった。したがって、780nmで記録したも
のを635nmで良好に再生できることがわかった。
【0159】また、上記とは反対に650nmのレーザー
光を使用して線速度1.2m/s で記録再生特性を調べた
ところ、最適記録パワーは7.5mWであり、記録前のデ
ィスクの反射率は28%であり、記録信号の変調度は4
2%、Rtop は25%であった。したがって、635nm
で良好な記録、再生が可能であることがわかった。
【0160】さらに、650nmで記録したものを780
nmの半導体レーザーを使用して線速度1.2m/s で再生
特性を調べたところ、Rtop 66%、変調度62%の特
性が得られ、エラーレートはC1エラーで10個/s以下
であり、オレンジブック規格を満足する再生を行えるこ
とがわかった。
【0161】なお、色素A−2は、前記のとおり、78
0nmにおけるnおよびkが各々2.3、0.05であ
り、薄膜の吸収スペクトルのλmax は715nm、半値幅
は140nmであった。また、色素B−2の650nmにお
けるnおよびk(色素膜厚75nmで求めた。)は各々
2.5、0.18であり、λmax は610nmであった。
【0162】また、色素B−2のメチルシクロヘキサン
に対する溶解度(25℃)はせいぜい0.01wt% 程度
であり、色素A−2の2,2,3,3−テトラフルオロ
プロパノールに対する溶解度(25℃)は0.03wt%
程度であった。
【0163】実施例3 実施例1において、色素B−1を色素B−3に、色素A
−1を色素A−3にかえるほかは同様にして光記録ディ
スクを作製し、評価した。色素B−3の色素膜の厚さ
(乾燥膜厚)は、グルーブ内で500A (tB )、平均
で400A とし、2層構成の記録層の厚さ(乾燥膜厚)
は、グルーブ内で2000A (tA +tB)、平均で1
800A とした(tA /tB =3)。
【0164】このディスクサンプルについて、780nm
の半導体レーザーを使用して線速度4.8m/s で記録し
1.2m/s での再生特性を調べたところ、最適記録パワ
ー12mWであり、反射率70%以上、変調度60%以
上、Rtop 65%であった。したがって、オレンジブッ
ク規格に準拠した光記録ディスクであることがわかっ
た。
【0165】さらに、780nmで記録したものを、63
5nmの半導体レーザーを使用して線速度1.2m/s で再
生特性を調べたところ、反射率45%、変調度40%の
特性が得られた。また、そのときのエラーレートは実施
例1と同等であった。したがって、780nmで記録した
ものを635nmで十分に再生できることがわかった。
【0166】また、上記とは反対に635nmのレーザー
光を使用して線速度1.2m/s で記録再生特性を調べた
ところ、最適記録パワーは6mWであり、記録前のディス
クの反射率は30%であり、記録信号の変調度は45
%、Rtop は27%であった。したがって、635nmで
良好な記録、再生が可能であることがわかった。
【0167】さらに、635nmで記録したものを780
nmの半導体レーザーを使用して線速度1.2m/s で再生
特性を調べたところ、Rtop 68%、変調度65%の特
性が得られ、エラーレートはC1エラーで10個/s以下
であり、オレンジブック規格を満足する再生を行えるこ
とがわかった。
【0168】なお、色素A−3は、前記のとおり、78
0nmにおけるnおよびkが各々2.4、0.10であ
り、薄膜の吸収スペクトルのλmax は725nm、半値幅
は125nmである。また、色素B−3の630nmにおけ
るnおよびk(色素膜厚80nmで求めた。)は各々2.
3、0.05であり、λmax は575nmであった。
【0169】また、色素B−3のメチルシクロヘキサン
に対する溶解度(25℃)はせいぜい0.01wt% 程度
であり、色素A−3の2,2,3,3−テトラフルオロ
プロパノールに対する溶解度(25℃)は0.02wt%
程度であった。
【0170】実施例4 ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ1.
2mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブ
ピッチ1.6μm 、グルーブ幅0.42μm 、グルーブ
深さ1200A のトラッキング用のグルーブを形成し
た。
【0171】この樹脂基板上に、色素A−1のメチルシ
クロヘキサン1.5wt% 溶液を用いてスピンコート法に
より色素膜を形成し乾燥した。この色素膜の厚さ(乾燥
膜厚)は、グルーブ内で1200A 、平均で1100A
とした。その後色素B−1の2,2,3,3−テトラフ
ルオロプロパノール0.6wt% 溶液を用いてスピンコー
ト法により色素膜を形成し乾燥して記録層とした。
【0172】記録層の厚さ(乾燥膜厚)は、2層あわせ
てグルーブ内で2200A 、平均で1800A とした。
さらに、記録層上にスパッタ法により85nmの厚さのA
u反射層を形成し、この上に紫外線硬化型のアクリル樹
脂の保護膜(膜厚5μm )を形成した。このようにして
図2に示すような光記録ディスクを得た。
【0173】このディスクサンプルについて、780nm
の半導体レーザーを使用して線速度1.2m/s で記録再
生特性を調べたところ、最適記録パワー7.3mWであ
り、記録前のディスクの反射率70%以上であり、記録
信号の変調度60%以上、記録信号の反射率(Rtop )
65%であった。したがって、オレンジブック規格に準
拠した光記録ディスクであることがわかった。
【0174】さらに、635nmの半導体レーザーを使用
して線速度1.2m/s で再生特性を調べたところ、反射
率40%、変調度48%の特性が得られた。また、その
ときのエラーレートは実施例1と同等であった。したが
って、780nmで記録したものを635nmで十分に再生
できることがわかった。
【0175】また、上記とは反対に635nmのレーザー
光を使用して線速度1.2m/s で記録再生特性を調べた
ところ、最適記録パワーは5.5mWであり、記録前のデ
ィスクの反射率は35%であり、記録信号の変調度は4
0%、Rtop は32%であった。したがって、635nm
で良好な記録、再生が可能であることがわかった。
【0176】さらに、635nmで記録したものを780
nmの半導体レーザーを使用して線速度1.2m/s で再生
特性を調べたところ、Rtop 68%、変調度60%の特
性が得られ、エラーレートはC1エラーで10個/s以下
であり、オレンジブック規格を満足する再生を行えるこ
とがわかった。
【0177】このように、色素Aの色素膜と色素Bの色
素膜との積層順を実施例1と逆にしても実用上問題はな
かったが、実施例1に比べ、やや特性が劣るものであっ
た。
【0178】実施例5 実施例1において、色素A−1のかわりに、色素A−
4、A−5、A−7、A−8、A−9、A−13、A−
27、A−28、A−24を各々用いるほかは同様にし
てディスクサンプルを作製し、同様に評価したところ、
実施例1のサンプルと同様の結果が得られた。
【0179】実施例6 実施例2において、色素A−2のかわりに色素A−1
9、A−34を各々用いるほかは同様にしてディスクサ
ンプルを作製し、同様に評価したところ、実施例2のサ
ンプルと同様の結果が得られた。
【0180】実施例7 実施例3において、色素A−3のかわりに色素A−4、
A−5、A−7、A−8、A−9、A−13、A−2
7、A−28、A−24を各々用いるほかは同様にして
ディスクサンプルを作製し、同様に評価したところ、実
施例3のサンプルと同様の結果が得られた。
【0181】実施例8 実施例4において、色素A−1のかわりに、色素A−
4、A−5、A−7、A−8、A−9、A−13、A−
27、A−28、A−24を各々用いるほかは同様にし
てディスクサンプルを作製し、同様に評価したところ、
実施例4のサンプルと同様の結果が得られた。
【0182】比較例1 実施例1において、記録層をA−1の色素膜だけとし、
記録層の厚さを前記の合計厚さとするほかは同じにして
ディスクを作製して特性を評価した。780nmでの評価
は、最適記録パワー7.3mWであり、反射率72%、変
調度65%、Rtop 67%となった。オレンジブック規
格に準拠した光記録ディスクであることがわかった。
【0183】次に、635nmでの評価を実施例1と同様
に行った。線速度1.4m/s で再生特性を調べたとこ
ろ、反射率20%、変調度10%の特性となり、またオ
レンジブック規格のC1エラーに準じるものを測定した
ところ、10個/sを超えるものであり、780nmで記録
したものを635nmで再生することは不可能であった。
【0184】一方、635nmでの記録は記録パワーを7
mWとしても十分な信号を得ることができなかった。
【0185】比較例2 実施例1において、記録層をB−1の色素膜だけとし、
記録層の厚さを前記の合計の厚さとするほかは同じにし
てディスクを作製して特性を評価した。780nmでの評
価は、記録パワー12mWかけても記録できなかったの
で、行うことができなかった。
【0186】一方、635nmでの記録再生は実施例1の
ディスクサンプルとほぼ同等であったが、635nmで記
録したものを780nmで再生することは不可能であっ
た。
【0187】比較例3 実施例1において、記録層のA−1の色素膜を、色素A
−23と下記の色素P−1とを併用した色素膜とするほ
かは同様にして光記録ディスクを作製して特性を評価し
た。780nmでの評価は、最適記録パワー7.5mWであ
り、反射率66%、変調度65%、Rtop 65%となっ
た。オレンジブック規格に準拠した光記録ディスクであ
ることがわかった。
【0188】次に、635nmでの評価を実施例1と同様
に行った。線速度1.4m/s で再生特性を調べたとこ
ろ、反射率10%となり信号を読み出すことは不可能で
あった。一方、635nmでの記録再生特性を線速度1.
4m/s で調べたところ、記録パワーは5mWであり、記録
前のディスクの反射率は11%であったが、信号として
取り出すことは不可能であった。
【0189】
【化32】
【0190】なお、上記において用いた2種のフタロシ
アニン色素を含有する色素膜の780nmにおけるnおよ
びk(色素膜厚70nmとし前記と同様にして求めた。)
は各々2.0、0.07(色素A−23:n=2.2、
k=0.13、色素P−1:n=1.9、k=0.0
2)であった。また、薄膜の吸収スペクトルの半値幅
(色素膜厚70nmとし前記と同様にして求めた。)は1
80nmであった。この色素膜中の色素A−23と色素P
−1との混合比(重量比)、色素A−23/色素P−1
は1とした。また、これらの色素の混合物の2,2,
3,3−テトラフルオロプロパノールに対する溶解度
(25℃)は0.02wt% であった。
【0191】比較例4 実施例1において、記録層のA−1の色素膜を下記のペ
ンタメチンシアニン色素C−1の色素膜に変更した以外
は同じにして光記録ディスクの作製を試みたところ、ペ
ンタメチンシアニン色素C−1はメチルシクロヘキサン
には溶解せず塗布溶液を調製することができず、積層タ
イプの記録層を有する光記録ディスクを作製することは
できなかった。また、色素B−1を溶解する溶媒と相溶
性がなく、かつペンタメチンシアニン色素C−1を溶解
する溶媒を見つけることは事実上不可能であった。
【0192】したがって、両方の色素の塗布溶媒を2,
2,3,3−テトラフルオロプロパノールとし、色素B
−1の塗布溶媒としては実施例1と同様に0.3wt% 溶
液を用い、ペンタメチンシアニン色素C−1の塗布溶液
としては1.5wt% 溶液を用いて実施例1と同様にして
色素膜の積層を試みたところ、結果として両方の色素が
混合した色素膜となった。
【0193】このようにして作製した光記録ディスクの
特性を評価した。780nmでの評価は、最適記録パワー
6mWであり、反射率68%、変調度75%、Rtop 68
%となった。オレンジブック規格に準拠した光記録ディ
スクであることがわかった。
【0194】次に、635nmでの評価を実施例1と同様
に行った。線速度1.4m/s で再生特性を調べたとこ
ろ、反射率13%となり信号を読み出すことは不可能で
あった。
【0195】一方、635nmでの記録再生特性を線速度
1.4m/s で調べたところ、記録パワーは4mWであり、
記録前のディスクの反射率は15%であり、記録信号の
変調度は50%、Rtop は13%であり、不十分な特性
しか示さなかった。
【0196】
【化33】
【0197】なお、ペンタメチンシアニン色素C−1の
780nmにおけるnおよびk(色素膜厚75nmとし前記
と同様にして求めた。)は各々2.45、0.05であ
った。また、薄膜の吸収スペクトルの半値幅(色素膜厚
80nmとし前記と同様にして求めた。)は185nmであ
った。
【0198】実施例9 色素B−4の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノ
ールの0.2wt% 溶液を用い、実施例1と同じポリカー
ボネート基板上にスピンコート法により塗布を行い、乾
燥して色素膜(乾燥膜厚:グルーブ内で300A (t
B )、平均で250A )を形成した。この色素膜上に、
色素A−3のエチルシクロヘキサン2.0wt% 溶液を用
い、スピンコート法により塗布を行い、乾燥して色素膜
(乾燥膜厚:グルーブ内で1000A(tA )、平均で
800A )を形成し、2層積層タイプの記録層を得た
(tA /tB =3.3)。
【0199】この後、実施例1と同様にして光記録ディ
スクを得た。これをサンプルNo.1とする。なお、色
素B−4の650nmにおけるnおよびk(色素膜厚80
nmで求めた。)は各々2.5、0.09であり、λmax
は612nmであった。
【0200】サンプルNo.1において、色素B−2の
2,2,3,3−テトラフルオロプロパール0.2wt%
溶液と色素A−3のエチルシクロヘキサン2.0wt% 溶
液とを用い、色素B−2の色素膜(乾燥膜厚:グルーブ
内で250A (tB )、平均で200A )上に色素A−
3の色素膜(乾燥膜厚:グルーブ内で900A 、平均で
750A )を形成した2層積層タイプの記録層(tA
B =3.6)としたものをサンプルNo.2とする。
【0201】サンプルNo.1において、色素B−4の
色素膜をグルーブ内で750A (tB )、平均で600
A とし、色素A−3の色素膜のグルーブ内で500A
(tA)、平均で380A としたもの(tA /tB
0.67)をサンプルNo.3とする。
【0202】また、色素B−2、B−4のエチルシクロ
ヘキサンに対する各溶解度(25℃)はいずれもせいぜ
い0.01wt% 程度であり、色素A−3の2,2,3,
3−テトラフルオロプロパノールに対する溶解度(25
℃)は0.02wt% 程度であり、各塗布溶液に用いた溶
媒を逆にした場合実質的に溶解しなかった。さらにエチ
ルシクロヘキサンと2,2,3,3−テトラフルオロプ
ロパノールは相溶性がなく、エチルシクロヘキサンの
2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに対する
溶解度(25℃)はせいぜい0.1wt% 程度であった。
【0203】このようにして作製した光記録ディスクに
ディスクサンプルNo.1〜3に対して、レーザー(発
振波長780nm)を使用して、線速1.2m/sec でEF
M−CDフォーマット信号を記録し、最適記録パワー
(P0)、反射率(Rtop)、変調度(I11Mo
d)、ジッターを測定した。また、レーザー波長650
nmの評価機で、RtopおよびI11Modを測定した。
この結果を表5に示す。
【0204】
【表5】
【0205】表5より、tA /tB が本発明の好ましい
範囲にあるサンプルNo.1、No.2は780nmでオ
レンジブック規格に準拠した光記録ディスクとなり、ま
た650nmでRtop×I11Mod>0.12を満たし
良好な特性を示すことがわかった。これに対し、tA
B <1のサンプルNo.3はサンプルNo.1、N
o.2に比べ、特性が劣化することがわかった。なお、
A /tB が本発明の好ましい範囲をこえて大きくなる
と650nmでの再生がしにくくなる。
【0206】実施例10 実施例9のサンプルNo.1において色素B−4と下記
のクエンチャーQ−1とをB−4:Q−1=85:15
(重量比)とした2,2,3,3−テトラフルオロプロ
パノール0.3wt% 溶液を用い、色素膜(乾燥膜厚:グ
ルーブ内で400A (tB )、平均で300A )を形成
し、この色素膜上に色素A−3の色素膜(乾燥膜圧:グ
ルーブ内で800A (tA )、平均で650A )を形成
し記録層とする(tA /tB =2)ほかは同様にしてサ
ンプルNo.11を作製した。
【0207】また、実施例9のサンプルNo.2におい
て、色素B−2と下記のクエンチャーQ−1とをB−
2:Q−1=80:20(重量比)とした2,2,3,
3−テトラフルオロプロパノール0.3wt% 溶液を用
い、色素膜(乾燥膜厚:グルーブ内で300A (t
B )、平均で250A )を形成し、この色素膜上に色素
A−3の色素膜(乾燥膜厚:グルーブ内で900A (t
B )、平均で750A )を形成し記録層とする(tA
B =3)ほかは同様にしてサンプルNo.12を作製
した。
【0208】
【化34】
【0209】サンプルNo.11、No.12について
実施例9と同様にして特性を調べたところ、それぞれサ
ンプルNo.1、No.2と同等の良好な特性を示すほ
か、さらに耐光性が向上することがわかった。
【0210】
【発明の効果】本発明によれば、特に、780nm程度の
従来の波長域では、反射率65%以上、変調度60%以
上、Rtop 65%以上である媒体が得られ、これらの特
性値はオレンジブック規格を満足し、さらに短波長域
(630〜680nm程度の波長)でも記録、再生ができ
る2波長対応の光記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてフタロシアニン系色素の薄膜の
吸収スペクトルの半値幅の求め方を説明するグラフであ
る。
【図2】本発明の光記録ディスクの一例を示す部分断面
図である。
【符号の説明】
1 光記録ディスク 2 基板 23 グルーブ 3 記録層 31 第一の記録層 32 第二の記録層 4 反射層 5 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南波 憲良 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に2層以上の色素を含有する記録
    層と、その上に設けられた反射層とを有し、 前記記録層のうち少なくとも2層は互いに光学定数の異
    なるものであり、これらの光学定数の互いに異なる記録
    層のうち少なくとも1層は薄膜の吸収スペクトルの半値
    幅が170nm以下である色素を含有する光記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記光学定数の互いに異なる記録層のう
    ちの少なくとも1層は、780nmでの複素屈折率の実部
    nが1.8〜2.8、虚部kが0.15以下であり、薄
    膜の吸収スペクトルの半値幅が170nm以下である色素
    Aを含有し、これとは異なる少なくとも1層は、630
    nmまたは650nmでの複素屈折率の実部nが1.8〜
    2.8、虚部kが0.4以下である色素Bを含有する請
    求項1の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記基板が記録層設層側の面にグルーブ
    を有するものであって、基板側に色素Bを含有する記録
    層Bを設け、この記録層B上に色素Aを含有する記録層
    Aを設けた請求項2の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記グルーブ内の記録層Bの厚さをt
    B 、記録層Aの厚さをtA としたとき、tA /tB が1
    〜10である請求項3の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記tB が15〜120nmである請求項
    4の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 780nm程度の波長光で記録し、630
    〜680nm程度の波長光と780nm程度の波長光で再生
    する請求項1〜5のいずれかの光記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記光学定数の互いに異なる記録層は、
    互いに相溶性のない溶媒を用いて塗設されたものである
    請求項1〜6のいずれかの光記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記色素Aが、下記式(I)で表される
    フタロシアニン系色素である請求項2〜7のいずれかの
    光記録媒体。 【化1】 [式(I)において、Mは中心原子を表す。X1 、X
    2 、X3 およびX4 は、各々ハロゲン原子を表し、これ
    らは同一でも異なるものであってもよい。p1、p2、
    p3およびp4は各々0または1〜4の整数であり、p
    1+p2+p3+p4は0〜15である。Y1 、Y2
    3 およびY4 は各々酸素原子または硫黄原子を表し、
    これらは同一でも異なるものであってもよい。Z1 、Z
    2 、Z3 およびZ4 は各々炭素原子数4以上のアルキル
    基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環
    基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよ
    い。q1、q2、q3およびq4は各々0または1〜4
    の整数であり、これらは同時に0になることはなく、q
    1+q2+q3+q4は1〜8である。]
  9. 【請求項9】 前記Y1 、Y2 、Y3 およびY4 のフタ
    ロシアニン環における各々の結合位置が3位および/ま
    たは6位である請求項8の光記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記Z1 、Z2 、Z3 およびZ4 が、
    各々脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基である請
    求項8または9の光記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記Z1 、Z2 、Z3 およびZ4 で表
    される脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基が、Y
    1 、Y2 、Y3 およびY4 との各々の結合位置の隣接位
    に置換基を有する請求項10の光記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記色素Bが、下記式(II)で表される
    トリメチンシアニン色素である請求項2〜11のいずれ
    かの光記録媒体。 【化2】 [式(II)において、Q1 およびQ2 は各々炭素原子お
    よび窒素原子ととも複素環を完成するのに必要な原子群
    を表し、Q1 またはQ2 で完成される複素環骨格は同一
    でも異なるものであってもよい。R1 およびR2 は、各
    々脂肪族炭化水素基を表し、これらは同一でも異なるも
    のであってもよい。R3 は水素原子または一価の置換基
    を表す。X- は一価の陰イオンを表す。]
  13. 【請求項13】 前記色素Bが、下記式(III) で表され
    るトリメチンインドレニン系シアニン色素である請求項
    12の光記録媒体。 【化3】 [式(III) において、Q3 およびQ4 は各々ピロール環
    とともにインドレニン環またはベンゾインドレニン環を
    完成するのに必要な原子群を表し、Q3 またはQ4 で完
    成される環は同一でも異なるものであってもよい。R3
    は水素原子または一価の置換基を表す。R4 およびR5
    は各々アルキル基を表す。X- は一価の陰イオンを表
    す。]
  14. 【請求項14】 前記ピロール環とともにQ3 またはQ
    4 で完成される環のうちのいずれか一方がインドレニン
    環であり、他方がベンゾインドレニン環であって、この
    ベンゾインドレニン環のベンゼン環がインドレニン環に
    対して縮合する位置がインドレニン環の4位と5位とで
    ある請求項13の光記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記インドレニン環の5位に水素原
    子、ハロゲン原子またはアルキル基を有する請求項14
    の光記録媒体。
  16. 【請求項16】 前記ピロール環とともにQ3 またはQ
    4 で完成される環が両方ともベンゾインドレニン環であ
    って、このベンゾインドレニン環のベンゼン環がインド
    レニン環に対して縮合する位置がインドレニン環の4位
    と5位とである請求項13の光記録媒体。
  17. 【請求項17】 前記トリメチンシアニン色素とともに
    安定剤として一重項酸素クエンチャーを用いる請求項1
    2〜16のいずれかの光記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1998047717A1 (fr) * 1997-04-23 1998-10-29 Sony Corporation Supports d'enregistrement optique
JP2015040214A (ja) * 2013-08-20 2015-03-02 株式会社日本触媒 フタロシアニン化合物

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