JP4076293B2 - 光学記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学記録媒体に関する。更に詳しくは、本発明は、有機色素を用いた平坦で密着性に優れ、高反射率かつ記録特性に優れた記録層を含む光学記録媒体に関する。本発明の光学記録媒体は、読み出し光源が赤色レーザから青色レーザに渡る光ディスクの世代間の連続性確保に適した追記型の光学記録媒体としても使用することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
レーザー光を用いる光学記録媒体は、高密度の情報記録保存及びその再生を可能にするため、近年盛んに研究開発が進められている。この中には光ディスクも含まれている。これら光ディスクの中でも最近注目を浴びているのが、追記型コンパクトディスク(略してCD−R)である。
CD−Rは、通常、反射バックグラウンドに対して高光学濃度のマーク又はピットの形態で情報が内蔵され、デジタル情報を保存し、主として780nmのレーザー光を用いることによりその情報を読み取ることができる。
【0003】
このようなCD−Rは基本的には次のような層構成からなっている。即ち、螺旋状の案内溝を有した、透明で、複屈折の少ない基板上に、色素を主成分とする記録層、金属反射膜、保護層を順次積層することにより構成されている。情報の記録は、主としてレーザー光のエネルギーの記録層への吸収により行われる。また、記録されたレーザー光のエネルギーを効率よく吸収、反射することが重要である。
【0004】
上記観点から、記録層の材料及び形成方法に関して、下記のごとくいろいろな提案がされている。
まず、CD−Rの記録層に使用する色素としては、特開昭58−112790号、同58−114989号、同59−085791号、同60−083236号等の各公報に、シアニン系色素が開示されている。
このシアニン系色素は溶解性が高いため、スピンコーティングによる記録層の形成が可能であるという利点を有する反面、耐光性に劣ると言う問題点を有している。
【0005】
また、記録層に使用する別の色素としてWO9118057、特開平5−279580号、同6−065514号、特公平7−51673号等の各公報にアゾ系配位子化合物と金属からなる含金属系キレート化合物からなる色素が提案されている。含金属系キレート化合物は一般に耐光性に優れており、記録層に好適に使用されている。
【0006】
しかし、アゾ系配位子化合物は、熱分解しやすい性質を有している。更に、アゾ系配位子化合物からなる含金属系キレート化合物は、スピンコーティングのような方法で塗布する場合、基板(通常は複屈折の少ない透過度のよいポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂)の表面を侵すような溶剤(例えば、ジオキサン、ハロゲン化炭化水素)には溶けやすいものの、こうした問題の少ない溶剤(例えば、ジアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ)に溶けにくいため、塗布濃度に限界を生じてしまう。
【0007】
また、CD−R用レーザー光の780nm近傍に有効な吸収帯を有していることより、広く記録層の色素材料として用いられているフタロシアニン系色素は、含金属系キレート化合物以上に溶解性が悪いため、例えば、長鎖のアルキル基を複数個導入することにより上記基板を侵す問題の少ない溶剤に対する溶解性を向上させて用いられている。しかし、このような溶解性の向上は、反射率の低下、記録感度の低下というマイナス面を助長さすことにもなっていた。
更に別の課題として、CD−Rにおいて、記録感度向上と反射率向上が重要視される。
【0008】
記録感度は、記録に使用するレーザの最適出力で表され、より低出力で記録することが望まれている。また、反射率は、市販のCDプレイヤー及びCD−ROMプレイヤーでの再生及び互換性の点から、65%以上(CD−ROM基準:ISO/IEC10149)の反射率を記録媒体が有することが規格として定めれている。
【0009】
ところがこの記録感度と反射率は一般に相反するものであり、その両立は困難を伴う。加えて、レーザー光吸収色素を基板上に塗布した場合、色素分子の配列が生じるため、吸収スペクトルが溶媒中のそれと変化してしまう。その結果、記録感度と反射率とを塗布時に両立させるように設定することが、更に困難になってくる。このような問題は、複数のレーザー光の波長帯での記録再生を可能とする媒体では、ますますその困難性が増大することは、あきらかである。
【0010】
一方、塗布法以外の記録層の形成方法として蒸着による記録層の形成も考えられる。蒸着による有機色素の記録層の形成においては、比較的、熱安定性のよい、主に顔料系色素が一般的に用いられている。蒸着による記録層は薄膜でも吸光係数(光学濃度)がよく、併せて反射率も高いという長所を有している。
【0011】
しかしながら、現在一般的にCD−Rのデスク基板として採用されているポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂に代表される、透過度がよく、複屈折の少ない樹脂基板に蒸着した場合、蒸着時に色素中や基板樹脂中の微量の水分、また蒸着過程で生じる構造から起因する脱水分等により皮膜特性の低下、ひいては基板との密着性の低下という好ましくない現象が起こりやすくなる。
【0012】
更に、記録層形成時に有機色素の分解が起こりやすくなり、品質管理上好ましくない。逆により低い基板温度、更にはより低い蒸気圧下で記録層作成を行った場合、蒸着に要する時間的な効率面、飛着粒子の内部エネルギーが低くなるため記録層と基板の密着性、皮膜自体の強度面での問題が生じる。
これらの理由より、追記型光記録媒体としてのCD−Rにおいては、記録層の蒸着法による形成はあまり行われていないのが現状である。
【0013】
また、2つ以上の吸収極大を利用した複数波長での記録再生可能な媒体からなる記録層を作成する場合、相異なる波長領域での絶対的ならびに相対的反射強度、及びその吸光濃度を常に一定に保つことが、信頼性の面から必要である。
以上のように、CD−Rのような追記型光ディスクを作成する場合、これを構成する材料(特に記録層の構成材料)、更には媒体の作成方法が大きな課題になってくる。
【0014】
一方、光ディスクの高記録密度化を図るために、記録再生の際に用いられるレーザー光の波長の短波長化が進んでいる。これは、記録密度を決めるビームスポット径が、波長に反比例して微小化できるためであり、既に、CD−Rの約6倍の大容量を実現するDVD−Rにおいては、波長635nm帯のレーザー光が利用されている。さらなる大容量化を目指して、青色波長領域のレーザの開発も活発化しており、そのようなレーザとして410nm帯の発光波長をもつGaN系レーザが最も有望視されている。
【0015】
しかしながら、このような様々なレーザー光の波長に対応する追記型光ディスクが市場に混在するような状況になると、従来の単一の波長のみに対応した光ディスクメディアでは、世代間の互換ができなくなって、ユーザにとって非常な混乱をもたらす弊害を生むことになる。
従って、特に現行の635nm帯に代表される赤色レーザー光対応のDVD−Rと、次の世代の410nm帯に代表される青色レーザー光対応のDVD−Rとの世代間において、少なくとも再生の上位互換を可能にすることが重要であり、そのための記録媒体設計が一つの大きな課題となっている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこれら課題を達成すべく鋭意検討した結果、有機色素をプラズマ化した電離ガスと接触させ、色素表面を活性化状態にし、このような状態で蒸着することにより、低温領域(室温〜150度)で、かつ短時間で、反射効率が高く、密着強度、硬度及び薄膜組成の均一性にも優れた、記録感度の高い追記型光ディスクへの適合性に優れた記録層を有する光学記録媒体が得られることを見い出し、本発明にいたったものである。
【0017】
かくして本発明によれば、レーザー光による情報の書き込み及び読み取りが可能な記録層を有する追記型の光学記録媒体であって、
記録層が、昇華させた有機色素をプラズマ化電離ガスと接触させることにより表面活性化状態で蒸着形成され、波長410nm帯及び635nm帯に吸収極大を有する層であり、前記有機色素が、下記構造式
【化20】
Figure 0004076293
を有することを特徴とする光学記録媒体が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の光学記録媒体は、レーザー光による情報の書き込み、読み取り又はその両方が可能な記録層を有している。更に、記録層は、少なくとも可視領域に2つの吸収極大を有し、昇華させた有機色素をプラズマ化電離ガスと接触させることにより表面活性化状態で蒸着形成される。
【0019】
なお、本発明では、反射率、吸光度等の光学特性が良好で、更には膜強度等の皮膜特性において、環境の変化に対しても一定の光学物性値及び物理的強度を保持することが望まれるが、高い熱分解温度を有する顔料タイプの有機色素を、プラズマ活性の雰囲気で蒸着した膜は、前記特性を極めて良好に満足させることを見い出している。
【0020】
記録層を構成する有機色素としては、記録層に2つの吸収極大を与えうるものであれば特に限定されない。より具体的には、2つの吸収極大は、波長410nm帯及び650nm帯に存在することが好ましい。このような波長領域に吸収極大が存在することにより、読み出し光源が赤色レーザから青色レーザに渡る光ディスクの世代(例えば、前者が現行のDVD−R、後者が次世代DVD−R)間の連続性確保に適した追記型の光学記録媒体としても使用することができる。
【0021】
本発明に使用できる有機色素は下記構造式
【化21】
Figure 0004076293
を有する有機色素である。
【0040】
次に、記録層は、昇華させた有機色素をプラズマ化電離ガスと接触させることにより表面活性化状態で蒸着形成される。
有機色素の表面を活性化さすプラズマ化技術としては、いわゆるグロー放電法がよく知られている。この中でも、薄膜制御性の観点より、高周波励起による反応性イオンプレーティング法が好ましい。このようなプラズマ化技術対応の電離ガスとしては、電離分解が起こり化学反応も誘起し得る、いわゆる反応性ガスが好ましい。有機色素は、プラズマ化したこれらガスとの衝突を通じて、ラジカル化、もしくはイオン化により活性化される。
【0041】
具体的には、反応性ガスとして、炭素数が1の化合物(例えば炭酸ガス、一酸化炭素、ホルマリン、メタンガス)、エタンガス、アンモニアガス、酸素、オゾン、窒素、更にはこれらの混合ガスが挙げられる。特に、これら反応性ガスの中でも、有機色素表面を活性化させるための酸化作用の強い含酸素系ガス(酸素、オゾン、炭酸ガス等)が好ましい。また、場合によってはアルゴン等の不活性ガスを混合してもよい。
【0042】
記録層形成過程で、化学反応による膜成長が促進される上記のような反応性イオンプレーティング法は、基板温度を低温にしたままで層の成長速度を上げられ、膜構造を稠密にすることができ、活性化された飛着粒子と基板分子とのエネルギー交換効果により密着性も改善することができる。
【0043】
プラズマ活性化する手段としては、蒸着源の上方に設けたコイルに高周波電力を印加して発生したプラズマ中を有機色素を通過させる手段、基板とその周囲との間で直流グロー放電を発生させた中で蒸着を行う手段が挙げられる。またEB蒸着と独立して、雰囲気ガスに電子ビームを照射して電子ビーム励起プラズマを発生させる手段を採用してもよい。
更に、記録層には、レーザー光吸収帯の安定化及び耐光性の向上のために、一重項酸素クエンチャーとして機能するサルチルアルデヒドオキシム−ニッケル塩化合物、下記一般式(4)
【0044】
【化14】
Figure 0004076293
【0045】
(式中、R4は炭素数6〜14の置換又は非置換のアリール基であり、M3は金属原子であり、lは2又は3である)で示される有機金属塩をドープしてもよい。
一般式(4)中、「アリール基」としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。アリール基の置換基としては、メチル、エチル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子が挙げられる。「金属原子」としては、鉄(III)、アルミニウム(III)、亜鉛(II)、ニッケル(II)等が挙げられる。
一般式(4)の化合物の具体例としては、
【0046】
【化15】
Figure 0004076293
【0047】
が挙げられる。
有機金属塩のドープ量は有機色素に対して5重量%以下が好ましい。これ以上になると有機色素の特性の低下、反射率の低下、更には記録特性の低下も引き起こす恐れがある。より好ましいドープ量は、0.2〜2重量%である。
【0048】
記録層は、通常基板上に形成される。基板としては、ポリカーボネート系樹脂からなる基板が主にもちいられる。この内、反応性イオンプレーティング法による活性化された有機色素の基板表面への付着において、基板の表面抵抗値は大きければ大きいほど好ましい。更には、光学的均一性、複屈折が小さい(特にC/N比に影響)ことも光学記録媒体用の基板として必要とされる。このような観点から、ポリカーボネート系樹脂としては、NIKEI NEW MATERIALSの第56頁(1988年9月発行)に記載されているポリカーボネート系樹脂や、下記一般式(8)
【0049】
【化16】
Figure 0004076293
【0050】
で示されるモノマーと共重合させたポリカーボネート系樹脂が適している。
次に、本発明の光学記録媒体の具体的な構成を図1により説明する。図1の光学記録媒体(光記録ディスク)は、基板(ディスク基板)1上に、順次、記録層2及び反射膜層3が形成されてなるディスクを2枚、反射層3側を対向させて、接着剤層4で貼りあわせて作成されている。
【0051】
このような光記録ディスクは、半導体レーザからの高出力光ビームを対物レンズでディスク基板越しに集光することにより、記録層2を構成する有機色素の熱分解による屈折率変化や変形に基づいてピットが形成される。このピットの形成によって情報が記録される。情報の再生は、記録時より出力を落とした光ビームを、記録と同様にディスク基板越しに集光して、ピットでの散乱/回折による反射光量の違いを検出することにより行われる。即ち、本発明の光記録ディスクを、追記型の光ディスクメディアとすることができる。
【0052】
ディスク基板1は、例えば、直径120cm、内径15mm、厚さ0.6mmの透明な材質からなっている。図1には示されていないが、記録層2が積層される側のディスク基板1の表面には、光ビームを案内するための案内溝がピッチ0.8μmで形成されている。
記録層2は、20nm〜3μmの厚さを有することが好ましく、特に50nm〜1μmの厚さを有することが好ましい。
【0053】
反射膜層3は、必要な反射率(65%以上)ならびに耐食性等の観点から、金、銀等の貴金属からなることが好ましい。また、この反射膜層3上に、例えば、ポリウレタン系の紫外線硬化型のオーバーコート層が形成されていてもよい。
接着剤層4は、紫外線硬化、熱硬化及び嫌気性硬化機能を有するポリウレタンアクリレート系接着剤からなることが好ましい。
なお、本発明の光学記録媒体は、図1の構成に限定されることなく、公知の構成をいずれも採用することができる。
【0054】
【実施例】
(実施例1)
蒸発源として、下記構造式
【0055】
【化17】
Figure 0004076293
【0056】
を有する有機色素と、金とを、それぞれ投入したるつぼを備えた電子ビーム蒸着装置内に、案内溝を形成したポリカーボネート製のディスク基板1を基板ホルダーに配置した。
【0057】
蒸着装置内を1×10-4Paまで真空排気した後、酸素とアルゴンの混合ガスを導入して、ガス圧を1〜10-2Paに設定した。次いで、るつぼ上方に設けたコイルに高周波電力を印加し、コイル周辺にプラズマを発生させた。その後、有機色素のるつぼに電子ビームを照射して、有機色素を加熱昇華させ、生成した蒸着粒子をプラズマ中を通過させることにより、一部の有機色素の表面をイオン化又はラジカル状態にしながら、酸化反応も促進しつつディスク基板1上に、膜厚約100nmの記録層2を蒸着形成した。
【0058】
引き続いて、電子ビーム照射を金蒸発源のるつぼへ切り替え、上記有機色素と同様にプラズマ中を通過させながら、膜厚100nmの反射膜層3を形成することにより光ディスクを得た。
その後、2枚の光ディスク同士を、上記反射膜層面を対向させて、接着剤層4を介して貼りあわせることにより、図1に示すごとき両面記録が可能な反射率73%の光記録ディスクを作成した。
【0059】
次に、上記の光記録ディスクの記録再生特性について評価を行った。
まず、波長635nmの赤色のレーザー光を生じる半導体レーザを使い、線速3.84m/sの条件で、記録パワー4〜6mWで情報を記録したところ、良好な情報記録が可能であった。
【0060】
次に、赤色のレーザー光を用いて記録された情報を、短波長(青色)のレーザー光を使って再生を試みた。ここでは、SHGレーザを使い、410nm帯に近い波長425nmでの再生を行った。予め波長635nmで記録された情報を、十分な信号品質で読み出すことができた。このことにより、再生上位互換が可能であることを示された。これは、記録層を構成する顔料が、635nm帯と410nm帯に吸収の極大をもっているので、ピットの有無による再生時の反射光量変化が、該両波長域のレーザー光で最も大きく現れたためである。また、両波長に極大吸収をもつことは、それぞれの波長で記録を行う場合でも好都合であり、実際、上記波長635nmの赤色レーザー光及び425nmの青色レーザー光を使い、未記録ディスク(但し、記録層2の膜厚は、夫々の波長の割合に応じて違えてある)に対して、それぞれマーク長0.44μm及び0.30μmに相当する単一信号を、ともに4〜8mWでもって記録が可能であることを確認した。その時の再生C/Nも45dBを上回る高品質であった。このことは、本実施例の光学記録媒体が、現行の赤色レーザー光記録用の媒体とともに、次世代の青色レーザー光記録用の媒体としても共通に適用可能であることを示している。
【0061】
次に、信頼性試験の一つとして、記録層2及び反射膜層3の密着性についても評価した。具体的には、65℃、95%RHという高温高湿下で30日暴露したのちに、テープを使った引き剥がし試験を行った。
この試験には、上記両面仕様のディスクではなく、上記方法により片面だけに記録層が形成されたディスクの反射膜層3上に、通常のCD等で使われるポリウレタン系の紫外線硬化型のオーバーコート層を形成した構成のサンプルディスクを用いて評価した。
【0062】
具体的には、2mm正方形の条痕をカッターナイフで予めつけておいたサンプルディスクのオーバーコート層面に、15mm幅のセロハンテープを、気泡が入り込まないように貼り付けた後、テープの一端をディスク面に垂直方向に強く引き剥がした。その結果、比較用として用いた従来のスピンコーティングで形成した市販のCD−Rでは、共試サンプルの大半で、基板と光記録層の界面又は、光記録層と反射膜の界面から膜の剥離が確認された。これに対し、本実施例で作成したサンプルディスクは、全く剥離がみられず、極めて良好な密着性を確認することができた。
【0063】
この理由としては、成膜時に、基板表面がプラズマに曝されることで、表面のクリーニング効果が得られた点、蒸着色素粒子が、プラズマ中を通過することで活性励起化し、基板に被着後、膜形成の過程で、酸化反応が促進されながら基板材との強固な結合状態が形成された点、活性励起エネルギーが良質の膜形成ならびに基板材料とのミキシング効果等も促進した点により、密着性が改善されたものと考えられる。
【0064】
(実施例2)
基板として上記式(8)
【0065】
【化18】
Figure 0004076293
【0066】
のモノマーとビスフェノールAが1:9モル比からなる厚さ1.2mmのポリカーボネート(全光線透過率91%、垂直入射複屈折10nm)を用い、かつ導入ガスとして酸素と炭酸ガスを用いた以外は、実施例1と同様にして、反射率73%の光記録ディスクを作成した。このようにして得たディスクに関して、実施例1と同じ評価試験を行ったところ、ほぼ実施例1と同様の結果を得た。
【0067】
(参考例)
不活性ガスであるアルゴンガス単体を導入ガスとして用いた以外は、実施例2と同様の方法で光記録ディスクを作成した。得られた光記録ディスクの反射率は、45%であり、実施例2の媒体の73%と比べて低くかった。また、ノイズの大きな再生信号しか得られなかった。この原因としては、記録層中の顔料の緻密性に問題があるものと考えられる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、平坦で密着性に優れ、高反射率であり、記録特性に優れるとともに、少なくとも異なる2波長の光による記録・再生が可能である光学記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学記録媒体の概略構成図である。
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 反射膜層
4 接着剤層

Claims (6)

  1. レーザー光による情報の書き込み及び読み取りが可能な記録層を有する追記型の光学記録媒体であって、
    記録層が、昇華させた有機色素をプラズマ化電離ガスと接触させることにより表面活性化状態で蒸着形成され、波長410nm帯及び635nm帯に吸収極大を有する層であり、前記有機色素が、下記構造式
    Figure 0004076293
    を有することを特徴とする光学記録媒体。
  2. 情報の書き込み及び読み取りが、同一光源のレーザー光により行われる請求項に記載の光学記録媒体。
  3. 下記一般式(4)
    Figure 0004076293
    (式中、R4は炭素数6〜14の置換又は非置換のアリール基であり、M3は金属原子であり、lは2又は3である)
    で示される有機金属塩が、記録層にドープされている請求項1又は2に記載の光学記録媒体。
  4. 電離ガスが、反応性ガスである請求項1〜いずれか1つに記載の光学記録媒体。
  5. 反応性ガスが、炭酸ガス又は、任意にオゾン、有機ガス又はそれら両ガスを含む酸素である請求項に記載の光学記録媒体。
  6. 記録層が、ポリカーボネート−ポリスチレングラフト共重合体又はフッ素化ポリカーボネート樹脂からなる基板上に形成されている請求項1〜いずれか1つに記載の光学記録媒体。
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