JP2000242968A - 光学記録媒体 - Google Patents

光学記録媒体

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JP2000242968A JP11037223A JP3722399A JP2000242968A JP 2000242968 A JP2000242968 A JP 2000242968A JP 11037223 A JP11037223 A JP 11037223A JP 3722399 A JP3722399 A JP 3722399A JP 2000242968 A JP2000242968 A JP 2000242968A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密着性に優れ、記録感度も高い、ディスク世
代間の連続性確保にも適した追記型の光学記録媒体を提
供することを課題とする。 【解決手段】 有機色素をプラズマ化したガスと接触さ
せ、該色素表面を活性化させた状態で基板に蒸着さすこ
とによって形成され、少なくとも可視領域に2つの吸収
極大を有する記録層を含む光学記録媒体により上記課題
を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学記録媒体に関
する。更に詳しくは、本発明は、有機色素を用いた平坦
で密着性に優れ、高反射率かつ記録特性に優れた記録層
を含む光学記録媒体に関する。本発明の光学記録媒体
は、読み出し光源が赤色レーザから青色レーザに渡る光
ディスクの世代間の連続性確保に適した追記型の光学記
録媒体としても使用することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】レーザ
ー光を用いる光学記録媒体は、高密度の情報記録保存及
びその再生を可能にするため、近年盛んに研究開発が進
められている。この中には光ディスクも含まれている。
これら光ディスクの中でも最近注目を浴びているのが、
追記型コンパクトディスク(略してCD−R)である。
CD−Rは、通常、反射バックグラウンドに対して高光
学濃度のマーク又はピットの形態で情報が内蔵され、デ
ジタル情報を保存し、主として780nmのレーザー光
を用いることによりその情報を読み取ることができる。
【0003】このようなCD−Rは基本的には次のよう
な層構成からなっている。即ち、螺旋状の案内溝を有し
た、透明で、複屈折の少ない基板上に、色素を主成分と
する記録層、金属反射膜、保護層を順次積層することに
より構成されている。情報の記録は、主としてレーザー
光のエネルギーの記録層への吸収により行われる。ま
た、記録されたレーザー光のエネルギーを効率よく吸
収、反射することが重要である。
【0004】上記観点から、記録層の材料及び形成方法
に関して、下記のごとくいろいろな提案がされている。
まず、CD−Rの記録層に使用する色素としては、特開
昭58−112790号、同58−114989号、同
59−085791号、同60−083236号等の各
公報に、シアニン系色素が開示されている。このシアニ
ン系色素は溶解性が高いため、スピンコーティングによ
る記録層の形成が可能であるという利点を有する反面、
耐光性に劣ると言う問題点を有している。
【0005】また、記録層に使用する別の色素としてW
O9118057、特開平5−279580号、同6−
065514号、特公平7−51673号等の各公報に
アゾ系配位子化合物と金属からなる含金属系キレート化
合物からなる色素が提案されている。含金属系キレート
化合物は一般に耐光性に優れており、記録層に好適に使
用されている。
【0006】しかし、アゾ系配位子化合物は、熱分解し
やすい性質を有している。更に、アゾ系配位子化合物か
らなる含金属系キレート化合物は、スピンコーティング
のような方法で塗布する場合、基板(通常は複屈折の少
ない透過度のよいポリカーボネート樹脂、ポリメチルメ
タクリレート樹脂)の表面を侵すような溶剤(例えば、
ジオキサン、ハロゲン化炭化水素)には溶けやすいもの
の、こうした問題の少ない溶剤(例えば、ジアセトンア
ルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ)に溶
けにくいため、塗布濃度に限界を生じてしまう。
【0007】また、CD−R用レーザー光の780nm
近傍に有効な吸収帯を有していることより、広く記録層
の色素材料として用いられているフタロシアニン系色素
は、含金属系キレート化合物以上に溶解性が悪いため、
例えば、長鎖のアルキル基を複数個導入することにより
上記基板を侵す問題の少ない溶剤に対する溶解性を向上
させて用いられている。しかし、このような溶解性の向
上は、反射率の低下、記録感度の低下というマイナス面
を助長さすことにもなっていた。更に別の課題として、
CD−Rにおいて、記録感度向上と反射率向上が重要視
される。
【0008】記録感度は、記録に使用するレーザの最適
出力で表され、より低出力で記録することが望まれてい
る。また、反射率は、市販のCDプレイヤー及びCD−
ROMプレイヤーでの再生及び互換性の点から、65%
以上(CD−ROM基準:ISO/IEC10149)
の反射率を記録媒体が有することが規格として定めれて
いる。
【0009】ところがこの記録感度と反射率は一般に相
反するものであり、その両立は困難を伴う。加えて、レ
ーザー光吸収色素を基板上に塗布した場合、色素分子の
配列が生じるため、吸収スペクトルが溶媒中のそれと変
化してしまう。その結果、記録感度と反射率とを塗布時
に両立させるように設定することが、更に困難になって
くる。このような問題は、複数のレーザー光の波長帯で
の記録再生を可能とする媒体では、ますますその困難性
が増大することは、あきらかである。
【0010】一方、塗布法以外の記録層の形成方法とし
て蒸着による記録層の形成も考えられる。蒸着による有
機色素の記録層の形成においては、比較的、熱安定性の
よい、主に顔料系色素が一般的に用いられている。蒸着
による記録層は薄膜でも吸光係数(光学濃度)がよく、
併せて反射率も高いという長所を有している。
【0011】しかしながら、現在一般的にCD−Rのデ
スク基板として採用されているポリカーボネート樹脂や
ポリメチルメタクリレート樹脂に代表される、透過度が
よく、複屈折の少ない樹脂基板に蒸着した場合、蒸着時
に色素中や基板樹脂中の微量の水分、また蒸着過程で生
じる構造から起因する脱水分等により皮膜特性の低下、
ひいては基板との密着性の低下という好ましくない現象
が起こりやすくなる。
【0012】更に、記録層形成時に有機色素の分解が起
こりやすくなり、品質管理上好ましくない。逆により低
い基板温度、更にはより低い蒸気圧下で記録層作成を行
った場合、蒸着に要する時間的な効率面、飛着粒子の内
部エネルギーが低くなるため記録層と基板の密着性、皮
膜自体の強度面での問題が生じる。これらの理由より、
追記型光記録媒体としてのCD−Rにおいては、記録層
の蒸着法による形成はあまり行われていないのが現状で
ある。
【0013】また、2つ以上の吸収極大を利用した複数
波長での記録再生可能な媒体からなる記録層を作成する
場合、相異なる波長領域での絶対的ならびに相対的反射
強度、及びその吸光濃度を常に一定に保つことが、信頼
性の面から必要である。以上のように、CD−Rのよう
な追記型光ディスクを作成する場合、これを構成する材
料(特に記録層の構成材料)、更には媒体の作成方法が
大きな課題になってくる。
【0014】一方、光ディスクの高記録密度化を図るた
めに、記録再生の際に用いられるレーザー光の波長の短
波長化が進んでいる。これは、記録密度を決めるビーム
スポット径が、波長に反比例して微小化できるためであ
り、既に、CD−Rの約6倍の大容量を実現するDVD
−Rにおいては、波長635nm帯のレーザー光が利用
されている。さらなる大容量化を目指して、青色波長領
域のレーザの開発も活発化しており、そのようなレーザ
として410nm帯の発光波長をもつGaN系レーザが
最も有望視されている。
【0015】しかしながら、このような様々なレーザー
光の波長に対応する追記型光ディスクが市場に混在する
ような状況になると、従来の単一の波長のみに対応した
光ディスクメディアでは、世代間の互換ができなくなっ
て、ユーザにとって非常な混乱をもたらす弊害を生むこ
とになる。従って、特に現行の635nm帯に代表され
る赤色レーザー光対応のDVD−Rと、次の世代の41
0nm帯に代表される青色レーザー光対応のDVD−R
との世代間において、少なくとも再生の上位互換を可能
にすることが重要であり、そのための記録媒体設計が一
つの大きな課題となっている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれら課題
を達成すべく鋭意検討した結果、有機色素をプラズマ化
した電離ガスと接触させ、色素表面を活性化状態にし、
このような状態で蒸着することにより、低温領域(室温
〜150度)で、かつ短時間で、反射効率が高く、密着
強度、硬度及び薄膜組成の均一性にも優れた、記録感度
の高い追記型光ディスクへの適合性に優れた記録層を有
する光学記録媒体が得られることを見い出し、本発明に
いたったものである。
【0017】かくして本発明によれば、レーザー光によ
る情報の書き込み、読み取り又はその両方が可能な記録
層を有する光学記録媒体であって、記録層が、昇華させ
た有機色素をプラズマ化電離ガスと接触させることによ
り表面活性化状態で蒸着形成され、少なくとも可視領域
に2つの吸収極大を有するることを特徴とする光学記録
媒体が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の光学記録媒体は、レーザ
ー光による情報の書き込み、読み取り又はその両方が可
能な記録層を有している。更に、記録層は、少なくとも
可視領域に2つの吸収極大を有し、昇華させた有機色素
をプラズマ化電離ガスと接触させることにより表面活性
化状態で蒸着形成される。
【0019】なお、本発明では、反射率、吸光度等の光
学特性が良好で、更には膜強度等の皮膜特性において、
環境の変化に対しても一定の光学物性値及び物理的強度
を保持することが望まれるが、高い熱分解温度を有する
顔料タイプの有機色素を、プラズマ活性の雰囲気で蒸着
した膜は、前記特性を極めて良好に満足させることを見
い出している。
【0020】記録層を構成する有機色素としては、記録
層に2つの吸収極大を与えうるものであれば特に限定さ
れない。より具体的には、2つの吸収極大は、波長41
0nm帯及び650nm帯に存在することが好ましい。
このような波長領域に吸収極大が存在することにより、
読み出し光源が赤色レーザから青色レーザに渡る光ディ
スクの世代(例えば、前者が現行のDVD−R、後者が
次世代DVD−R)間の連続性確保に適した追記型の光
学記録媒体としても使用することができる。
【0021】本発明に使用できる有機色素としては、例
えば、アントラキノン系色素、シアニン系色素、メロシ
アニン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系
色素、有機金属系色素(含金属系キレート化合物)等が
あげられる。この中でも、吸光度、熱安定性、耐吸湿性
の点から、含金属系キレート化合物が好ましい。含金属
系キレート化合物としては、リガンド(配位子)化合物
がニトロソ基、アゾ基を含む化合物からなり、ニッケ
ル、コバルト、鉄等の2価又は3価の金属を中心原子と
して含んでいることが好ましい。より具体的な含金属系
キレート化合物としては、下記一般式(1)
【0022】
【化5】
【0023】(式中、Zは縮合多環式を形成する炭化水
素残基であり、R1は、低級アルキル基、低級アルコキ
シ基、ハロゲン原子又は水素原子であり、nは2又は3
であり、M1は2価又は3価の金属である)、下記一般
式(2)
【0024】
【化6】
【0025】(式中、Lはアミド基又はスルホンアミド
基であり、R2は低級アルキル基、低級アルコキシ基、
ハロゲン原子、第2級アミノ基又は水素原子であり、R
3は低級アルキル基又は水素原子であり、M2は2価の金
属である)又は下記一般式(3)
【0026】
【化7】
【0027】(式中、L、R2、R3、M2は一般式
(2)と同義である)で示される化合物が挙げられる。
上記一般式(1)中、「縮合多環式を形成する炭化水素残
基」としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等
の芳香族環の残基、シクロペンタン、シクロヘキサン、
インダン等の脂肪族環の残基が挙げられる。これら炭化
水素残基は、メチル、エチル等のアルキル基、メトキ
シ、エトキシ等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲ
ン原子で置換されていてもよい。
【0028】また、「低級アルキル基」としては、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられる。「低級
アルコキシ基」としては、メトキシ、エトキシ、プロポ
キシ、ブトキシ等が挙げられる。「ハロゲン原子」とし
ては、塩素、臭素等が挙げられる。
【0029】上記一般式(2)中、「低級アルキル基、
低級アルコキシ基、ハロゲン原子」は、上記一般式
(1)の定義と同じである。また、「第2級アミノ基」
としては、メチルアミノ、エチルアミノ、フェニルアミ
ノ等が挙げられる。ここで、含金属系キレート化合物
は、上記一般式(1)〜(3)に示されているように2
価又は3価の金属を中心原子と、リガンド(配位子)化
合物とからなる。リガンド化合物としては、以下の一般
式(5)〜(7)の化合物が挙げられる。
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】(上記一般式(5)〜(7)中、Z、
1、R2、R3及びLは、一般式(1)〜(3)と同義
である) ここで、一般式(5)のリガンド化合物の具体例として
は、
【0034】
【化11】
【0035】が挙げられる。一般式(6)のリガンド化
合物の具体例としては、
【0036】
【化12】
【0037】が挙げられる。一般式(7)のリガンド化
合物の具体例としては、
【0038】
【化13】
【0039】が挙げられる。また、上記具体的なリガン
ド化合物以外にも、合成染料(堀口博著、三共出版)の
第67頁及び第181頁、特開平8−231866号公
報に記載されているリガンド化合物も使用することがで
きる。なお、合成染料(堀口博著、三共出版)には、一
般式(1)〜(3)に含まれない含金属系キレート化合
物として、フタロシアニン系の含金属色素も記載されて
いる。本発明では、この化合物も使用することができ
る。
【0040】次に、記録層は、昇華させた有機色素をプ
ラズマ化電離ガスと接触させることにより表面活性化状
態で蒸着形成される。有機色素の表面を活性化さすプラ
ズマ化技術としては、いわゆるグロー放電法がよく知ら
れている。この中でも、薄膜制御性の観点より、高周波
励起による反応性イオンプレーティング法が好ましい。
このようなプラズマ化技術対応の電離ガスとしては、電
離分解が起こり化学反応も誘起し得る、いわゆる反応性
ガスが好ましい。有機色素は、プラズマ化したこれらガ
スとの衝突を通じて、ラジカル化、もしくはイオン化に
より活性化される。
【0041】具体的には、反応性ガスとして、炭素数が
1の化合物(例えば炭酸ガス、一酸化炭素、ホルマリ
ン、メタンガス)、エタンガス、アンモニアガス、酸
素、オゾン、窒素、更にはこれらの混合ガスが挙げられ
る。特に、これら反応性ガスの中でも、有機色素表面を
活性化させるための酸化作用の強い含酸素系ガス(酸
素、オゾン、炭酸ガス等)が好ましい。また、場合によ
ってはアルゴン等の不活性ガスを混合してもよい。
【0042】記録層形成過程で、化学反応による膜成長
が促進される上記のような反応性イオンプレーティング
法は、基板温度を低温にしたままで層の成長速度を上げ
られ、膜構造を稠密にすることができ、活性化された飛
着粒子と基板分子とのエネルギー交換効果により密着性
も改善することができる。
【0043】プラズマ活性化する手段としては、蒸着源
の上方に設けたコイルに高周波電力を印加して発生した
プラズマ中を有機色素を通過させる手段、基板とその周
囲との間で直流グロー放電を発生させた中で蒸着を行う
手段が挙げられる。またEB蒸着と独立して、雰囲気ガ
スに電子ビームを照射して電子ビーム励起プラズマを発
生させる手段を採用してもよい。更に、記録層には、レ
ーザー光吸収帯の安定化及び耐光性の向上のために、一
重項酸素クエンチャーとして機能するサルチルアルデヒ
ドオキシム−ニッケル塩化合物、下記一般式(4)
【0044】
【化14】
【0045】(式中、R4は炭素数6〜14の置換又は
非置換のアリール基であり、M3は金属原子であり、l
は2又は3である)で示される有機金属塩をドープして
もよい。一般式(4)中、「アリール基」としては、フ
ェニル、ナフチル等が挙げられる。アリール基の置換基
としては、メチル、エチル等のアルキル基、メトキシ、
エトキシ等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原
子が挙げられる。「金属原子」としては、鉄(III)、ア
ルミニウム(III)、亜鉛(II)、ニッケル(II)等が挙げら
れる。一般式(4)の化合物の具体例としては、
【0046】
【化15】
【0047】が挙げられる。有機金属塩のドープ量は有
機色素に対して5重量%以下が好ましい。これ以上にな
ると有機色素の特性の低下、反射率の低下、更には記録
特性の低下も引き起こす恐れがある。より好ましいドー
プ量は、0.2〜2重量%である。
【0048】記録層は、通常基板上に形成される。基板
としては、ポリカーボネート系樹脂からなる基板が主に
もちいられる。この内、反応性イオンプレーティング法
による活性化された有機色素の基板表面への付着におい
て、基板の表面抵抗値は大きければ大きいほど好まし
い。更には、光学的均一性、複屈折が小さい(特にC/
N比に影響)ことも光学記録媒体用の基板として必要と
される。このような観点から、ポリカーボネート系樹脂
としては、NIKEI NEW MATERIALSの
第56頁(1988年9月発行)に記載されているポリ
カーボネート系樹脂や、下記一般式(8)
【0049】
【化16】
【0050】で示されるモノマーと共重合させたポリカ
ーボネート系樹脂が適している。次に、本発明の光学記
録媒体の具体的な構成を図1により説明する。図1の光
学記録媒体(光記録ディスク)は、基板(ディスク基
板)1上に、順次、記録層2及び反射膜層3が形成され
てなるディスクを2枚、反射層3側を対向させて、接着
剤層4で貼りあわせて作成されている。
【0051】このような光記録ディスクは、半導体レー
ザからの高出力光ビームを対物レンズでディスク基板越
しに集光することにより、記録層2を構成する有機色素
の熱分解による屈折率変化や変形に基づいてピットが形
成される。このピットの形成によって情報が記録され
る。情報の再生は、記録時より出力を落とした光ビーム
を、記録と同様にディスク基板越しに集光して、ピット
での散乱/回折による反射光量の違いを検出することに
より行われる。即ち、本発明の光記録ディスクを、追記
型の光ディスクメディアとすることができる。
【0052】ディスク基板1は、例えば、直径120c
m、内径15mm、厚さ0.6mmの透明な材質からな
っている。図1には示されていないが、記録層2が積層
される側のディスク基板1の表面には、光ビームを案内
するための案内溝がピッチ0.8μmで形成されてい
る。記録層2は、20nm〜3μmの厚さを有すること
が好ましく、特に50nm〜1μmの厚さを有すること
が好ましい。
【0053】反射膜層3は、必要な反射率(65%以
上)ならびに耐食性等の観点から、金、銀等の貴金属か
らなることが好ましい。また、この反射膜層3上に、例
えば、ポリウレタン系の紫外線硬化型のオーバーコート
層が形成されていてもよい。接着剤層4は、紫外線硬
化、熱硬化及び嫌気性硬化機能を有するポリウレタンア
クリレート系接着剤からなることが好ましい。なお、本
発明の光学記録媒体は、図1の構成に限定されることな
く、公知の構成をいずれも採用することができる。
【0054】
【実施例】(実施例1)蒸発源として、下記構造式
【0055】
【化17】
【0056】を有する有機色素と、金とを、それぞれ投
入したるつぼを備えた電子ビーム蒸着装置内に、案内溝
を形成したポリカーボネート製のディスク基板1を基板
ホルダーに配置した。
【0057】蒸着装置内を1×10-4Paまで真空排気
した後、酸素とアルゴンの混合ガスを導入して、ガス圧
を1〜10-2Paに設定した。次いで、るつぼ上方に設
けたコイルに高周波電力を印加し、コイル周辺にプラズ
マを発生させた。その後、有機色素のるつぼに電子ビー
ムを照射して、有機色素を加熱昇華させ、生成した蒸着
粒子をプラズマ中を通過させることにより、一部の有機
色素の表面をイオン化又はラジカル状態にしながら、酸
化反応も促進しつつディスク基板1上に、膜厚約100
nmの記録層2を蒸着形成した。
【0058】引き続いて、電子ビーム照射を金蒸発源の
るつぼへ切り替え、上記有機色素と同様にプラズマ中を
通過させながら、膜厚100nmの反射膜層3を形成す
ることにより光ディスクを得た。その後、2枚の光ディ
スク同士を、上記反射膜層面を対向させて、接着剤層4
を介して貼りあわせることにより、図1に示すごとき両
面記録が可能な反射率73%の光記録ディスクを作成し
た。
【0059】次に、上記の光記録ディスクの記録再生特
性について評価を行った。まず、波長635nmの赤色
のレーザー光を生じる半導体レーザを使い、線速3.8
4m/sの条件で、記録パワー4〜6mWで情報を記録
したところ、良好な情報記録が可能であった。
【0060】次に、赤色のレーザー光を用いて記録され
た情報を、短波長(青色)のレーザー光を使って再生を
試みた。ここでは、SHGレーザを使い、410nm帯
に近い波長425nmでの再生を行った。予め波長63
5nmで記録された情報を、十分な信号品質で読み出す
ことができた。このことにより、再生上位互換が可能で
あることを示された。これは、記録層を構成する顔料
が、635nm帯と410nm帯に吸収の極大をもって
いるので、ピットの有無による再生時の反射光量変化
が、該両波長域のレーザー光で最も大きく現れたためで
ある。また、両波長に極大吸収をもつことは、それぞれ
の波長で記録を行う場合でも好都合であり、実際、上記
波長635nmの赤色レーザー光及び425nmの青色
レーザー光を使い、未記録ディスク(但し、記録層2の
膜厚は、夫々の波長の割合に応じて違えてある)に対し
て、それぞれマーク長0.44μm及び0.30μmに
相当する単一信号を、ともに4〜8mWでもって記録が
可能であることを確認した。その時の再生C/Nも45
dBを上回る高品質であった。このことは、本実施例の
光学記録媒体が、現行の赤色レーザー光記録用の媒体と
ともに、次世代の青色レーザー光記録用の媒体としても
共通に適用可能であることを示している。
【0061】次に、信頼性試験の一つとして、記録層2
及び反射膜層3の密着性についても評価した。具体的に
は、65℃、95%RHという高温高湿下で30日暴露
したのちに、テープを使った引き剥がし試験を行った。
この試験には、上記両面仕様のディスクではなく、上記
方法により片面だけに記録層が形成されたディスクの反
射膜層3上に、通常のCD等で使われるポリウレタン系
の紫外線硬化型のオーバーコート層を形成した構成のサ
ンプルディスクを用いて評価した。
【0062】具体的には、2mm正方形の条痕をカッタ
ーナイフで予めつけておいたサンプルディスクのオーバ
ーコート層面に、15mm幅のセロハンテープを、気泡
が入り込まないように貼り付けた後、テープの一端をデ
ィスク面に垂直方向に強く引き剥がした。その結果、比
較用として用いた従来のスピンコーティングで形成した
市販のCD−Rでは、共試サンプルの大半で、基板と光
記録層の界面又は、光記録層と反射膜の界面から膜の剥
離が確認された。これに対し、本実施例で作成したサン
プルディスクは、全く剥離がみられず、極めて良好な密
着性を確認することができた。
【0063】この理由としては、成膜時に、基板表面が
プラズマに曝されることで、表面のクリーニング効果が
得られた点、蒸着色素粒子が、プラズマ中を通過するこ
とで活性励起化し、基板に被着後、膜形成の過程で、酸
化反応が促進されながら基板材との強固な結合状態が形
成された点、活性励起エネルギーが良質の膜形成ならび
に基板材料とのミキシング効果等も促進した点により、
密着性が改善されたものと考えられる。
【0064】(実施例2)基板として上記式(8)
【0065】
【化18】
【0066】のモノマーとビスフェノールAが1:9モ
ル比からなる厚さ1.2mmのポリカーボネート(全光
線透過率91%、垂直入射複屈折10nm)を用い、か
つ導入ガスとして酸素と炭酸ガスを用いた以外は、実施
例1と同様にして、反射率73%の光記録ディスクを作
成した。このようにして得たディスクに関して、実施例
1と同じ評価試験を行ったところ、ほぼ実施例1と同様
の結果を得た。
【0067】(参考例)不活性ガスであるアルゴンガス
単体を導入ガスとして用いた以外は、実施例2と同様の
方法で光記録ディスクを作成した。得られた光記録ディ
スクの反射率は、45%であり、実施例2の媒体の73
%と比べて低くかった。また、ノイズの大きな再生信号
しか得られなかった。この原因としては、記録層中の顔
料の緻密性に問題があるものと考えられる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、平坦で密着性に優れ、
高反射率であり、記録特性に優れるとともに、少なくと
も異なる2波長の光による記録・再生が可能である光学
記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学記録媒体の概略構成図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 反射膜層 4 接着剤層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザー光による情報の書き込み、読み
    取り又はその両方が可能な記録層を有する光学記録媒体
    であって、 記録層が、昇華させた有機色素をプラズマ化電離ガスと
    接触させることにより表面活性化状態で蒸着形成され、
    少なくとも可視領域に2つの吸収極大を有するることを
    特徴とする光学記録媒体。
  2. 【請求項2】 2つの吸収極大が、波長410nm帯及
    び650nm帯に存在する請求項1に記載の光学記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 情報の書き込み及び読み取りが、同一光
    源のレーザー光により行われる請求項1又は2に記載の
    光学記録媒体。
  4. 【請求項4】 有機色素が、含金属系キレート化合物で
    ある請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 含金属系キレート化合物が、ニッケル、
    コバルト又は鉄を含む請求項4に記載の光学記録媒体。
  6. 【請求項6】 含金属系キレート化合物が、下記一般式
    (1) 【化1】 (式中、Zは縮合多環式を形成する炭化水素残基であ
    り、R1は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ
    ゲン原子又は水素原子であり、nは2又は3であり、M
    1は2価又は3価の金属である)、下記一般式(2) 【化2】 (式中、Lはアミド基又はスルホンアミド基であり、R
    2は低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原
    子、第2級アミノ基又は水素原子であり、R3は低級ア
    ルキル基又は水素原子であり、M2は2価の金属であ
    る)又は下記一般式(3) 【化3】 (式中、L、R2、R3、M2は一般式(2)と同義であ
    る)で示される請求項4又は5に記載の光学記録媒体。
  7. 【請求項7】 下記一般式(4) 【化4】 (式中、R4は炭素数6〜14の置換又は非置換のアリ
    ール基であり、M3は金属原子であり、lは2又は3で
    ある)で示される有機金属塩が、記録層にドープされて
    いる請求項1〜6いずれか1つに記載の光学記録媒体。
  8. 【請求項8】 電離ガスが、反応性ガスである請求項1
    〜7いずれか1つに記載の光学記録媒体。
  9. 【請求項9】 反応性ガスが、炭酸ガス又は、任意にオ
    ゾン、有機ガス又はそれら両ガスを含む酸素である請求
    項8に記載の光学記録媒体。
  10. 【請求項10】 記録層が、ポリカーボネート−ポリス
    チレングラフト共重合体又はフッ素化ポリカーボネート
    樹脂からなる基板上に形成されている請求項1〜9いず
    れか1つに記載の光学記録媒体。
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