JP2000239844A - 光学記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光学記録媒体及びその製造方法

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JP2000239844A
JP2000239844A JP11041605A JP4160599A JP2000239844A JP 2000239844 A JP2000239844 A JP 2000239844A JP 11041605 A JP11041605 A JP 11041605A JP 4160599 A JP4160599 A JP 4160599A JP 2000239844 A JP2000239844 A JP 2000239844A
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gas
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JP11041605A
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Hiroyuki Katayama
博之 片山
Kazuhiro Enomoto
和弘 榎本
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Original Assignee
Sharp Corp
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  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録感度が良好で、基板との密着性に優
れ、反射率の高い光記録層を有する光学記録媒体を提供
する。 【解決手段】 光ディスク10は、基板1上にレーザー
光による情報の書き込み及び/または読み取りが可能な
光記録層2が設けられ、光記録層2が、昇華させた有機
色素をプラズマ化電離ガスと接触させることにより活性
化された有機色素が基板1上に蒸着されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学記録媒体及び
その製造方法に関し、特に有機色素を光記録層に用いた
追記形コンパクトディスク等の有機薄膜系の光学記録媒
体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザーを用いる光学記録は、高密度の
情報記録保存及びその再生を可能にするため、近年盛ん
に研究開発が進められている。この中には光ディスクも
含まれている。これら光ディスクの中でも最近注目を浴
びているのが、追記形コンパクトディスク(略してCD
−R)である。CD−Rは通常、データを一度だけ記録
可能な点において、何度でもデータの書き込み消去が可
能な書換え形コンパクトディスクと区別され、反射バッ
クグラウンドに対して高光学濃度のマークまたはピット
の形態で、デジタル情報を保存し、波長780nmの収
束レーザー光により読み取る。
【0003】このようなCD−Rは、基本的に次のよう
な層構成からなっている。即ち、螺旋状の案内溝を有し
た、透明で、複屈折の少ない基板上に、色素を主成分と
する光記録層、金属反射膜、保護層を順次積層すること
により構成されるものである。情報の記録は、主として
レーザー光エネルギーの吸収により行なわれ、また、記
録された情報の再生もレーザー光の反射光量の差を読み
取ることにより行なわれる。したがって、光記録層がレ
ーザー光のエネルギーを効率よく吸収、反射することが
重要になってくる。
【0004】このため光記録層の材料および膜形成に関
していろいろな提案がされている。このようなCD−R
の光記録層に使用する色素として、特開昭58−112
790号、同58−114989号、同59−0857
91号、同60−083236号の各公報にはシアニン
系色素を用いたものが開示されている。しかし、シアニ
ン系色素は溶解性が高く、塗布による光記録層の形成が
可能であるという利点を有する反面、耐光性に劣るとい
う問題点を有している。この点に関しては、光記録層用
の色素としてWO9118057、特開平5−2795
80号、同6−065514号、特公平7−51673
号等にアゾ系配位子化合物と金属とからなる金属キレー
ト系色素を用いたものが提案されている。
【0005】金属キレート系色素は、一般に耐光性に優
れる点から好ましい。しかし、アゾ系配位子化合物は、
熱分解しやすく、かつこれからなる金属キレート系色素
は、スピンコーティング等で塗布する場合、基板(通常
は複屈折が少なく透過度のよいポリカーボネート樹脂、
ポリメチルメタクリレート樹脂を用いる)の表面を侵す
ような溶剤(例えば、ジオキサン、ハロゲン化炭化水素
等)には溶けやすいものの、こうした問題の少ない溶剤
(例えば、ジアセトンアルコール、メチルセルソルブ)
には溶けにくく、塗布濃度に限界を生じる。
【0006】また、CD−R用レーザー光エネルギーの
有効な吸収特性を有していることにより、広く光記録層
の色素材料として用いられているフタロシアニン系色素
は、金属キレート系色素よりも溶解性が悪く、溶解性の
向上のために長鎖のアルキル基を導入する等の改良を行
ってから用いられる。しかし、このために反射率の低
下、記録感度の低下というマイナス面も助長させること
になる。
【0007】一方、CD−Rにおける重要な特性とし
て、記録感度と反射率が挙げられる。記録感度は記録に
使用するレーザーの最適出力で表され、より低出力で記
録されることが望まれている。また、反射率は市販のC
D、CD−ROMプレイヤーとの再生互換性の点から記
録媒体として65%以上(CD−ROM基準:ISO/
IEC10149)の反射率を有することが規格として
定められている。
【0008】ところが、この記録感度と反射率は一般に
相反するものであり、その両立は非常に困難である。ま
た、レーザー光吸収色素を基板上に塗布した場合、色素
分子の配列を生じ、吸収スペクトルが溶液中の色素分子
と異なる構造となるため、記録感度と反射率とを両立さ
せるように設定することがさらに困難となる。
【0009】また、前記した塗布以外の方法として蒸着
による光記録層の形成も考えられる。蒸着による有機色
素の光記録層の形成においては、比較的、熱安定性の良
い、主に顔料系のレーザー光吸収色素が一般的に用いら
れている。蒸着による光記録層は、薄膜でも吸光係数
(光学濃度)が大きく、併せて反射率も高いという長所
を有する。しかしながら、現在一般的にCD−Rのデス
ク基板として採用されているポリカーボネート樹脂、ポ
リメチルメタクリレート樹脂等に代表される樹脂基板
は、透過度が高く、複屈折が少ないが、蒸着時における
熱的変化(状態変化、熱分解等)、あるいは有機色素の
分解を伴いやすい。逆に、より低い基板温度で光記録層
の作成を行なおうとすると、低蒸着レートに伴う時間、
光記録層と基板の密着性、光記録層の蒸着効率等の問題
がある。これらの理由により、本発明の記録媒体分野で
あるCD−Rにおいては、蒸着による光記録層の作製は
あまり用いられていないのが現状である。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、記録感度が良好で、基板との密着性に優れ、反
射率の高い光記録層を有する光学記録媒体及びその製造
方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基板上
に光学系による情報の書き込み及び/または読み取りが
可能な光記録層が設けられた光学記録媒体において、光
記録層が、昇華させた有機色素をプラズマ化電離ガスと
接触させることにより活性化された有機色素が前記基板
上に蒸着されてなることを特徴とする光学記録媒体が提
供される。
【0012】本発明の別の観点によれば、電離ガスをプ
ラズマ化してプラズマ化電離ガスを生成させる工程と、
有機色素を昇華させる工程と、このプラズマ化電離ガス
を昇華させた有機色素に接触させる工程とを含み、活性
化された有機色素を基板上に堆積して光記録層を形成す
ることを特徴とする光学記録媒体の製造方法が提供され
る。
【0013】すなわち、本発明者らは、有機色素をプラ
ズマ化した電離ガスと接触させ、色素を活性化状態に
し、このような状態で、基板表面に蒸着させることによ
り、薄膜で反射効率の高く、密着強度、硬度、薄膜組成
の均一性に優れ、記録感度が高い、CD適合性に優れた
光学記録媒体が得られることを見出し、本発明に到った
ものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の光学記録媒体は、基板及
び光記録層からなり、さらに光記録層上に金属を蒸着し
てなる反射膜層と、反射膜層上に樹脂を堆積してなる保
護層が形成されていることが好ましい。
【0015】基板は、光ビームを案内するための螺旋状
の案内溝を有し、透明性及び絶縁性の高いものが好まし
い。反応性イオンプレーティング法による、後述する有
機色素のポリカーボネート基板表面への蒸着作用を考え
れば、表面抵抗値は大きければ大きいほどよく、さらに
光学的均一性、複屈折の小さいこと(C/N比に影響す
る)も必要である。このような基板の材料としては、ポ
リカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、
ポリカーボネートポリスチレングラフト共重合体、フッ
素ポリカーボネート樹脂が挙げられる。特に、NIKK
EI NEWMATERIALS 56P(1988.
9)に記載されているポリカーボネート樹脂や下記一般
式(2)で示されるモノマーからなるポリカーボネート
が適している。
【0016】
【化2】
【0017】光記録層は、基板上に有機色素を蒸着して
形成され、透過度及び反射率が高く、複屈折が少なく、
レーザー光吸収係数(光学濃度)が大きく、併せて熱安
定性が高い、有機色素の薄膜構造が好ましい。光記録層
薄膜の膜厚は、20nm〜3μmが好ましく、特に50
nm〜1μmが好ましい。
【0018】光記録層を形成する有機色素としては、当
該分野で使用される感光性の有機色素であれば特に限定
されないが、例えば、金属系キレート化合物、金属系ア
ゾ色素化合物、シアニン系色素、フタロシアシアニン系
色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素等が
挙げられる。この中でも、吸光度、熱安定性、耐吸湿性
の点から、金属系キレート化合物又は金属系アゾ色素化
合物が好ましく、さらに、金属系キレートアゾ色素化合
物が好ましい。
【0019】金属系キレート化合物としては、一般に、
色素として用いられる化合物であれば特に限定されるも
のではなく、例えば、中心の金属が、ニッケル、コバル
ト、鉄等の遷移金属である場合にはキレート化合物の安
定性、波長特性の点から好ましい。具体的には、フタロ
シアニン系キレート化合物、オキシム系キレート化合
物、ニトロソナフトール系キレート化合物等が挙げられ
る。
【0020】また、金属系アゾ色素化合物としては、一
般に、その構造中に金属を含有するアゾ色素化合物であ
れば、特に限定されるものではなく、例えば、Ba、C
a等のアルカリ土類金属、Ni、Co等の遷移金属とア
ゾ化合物との金属塩であるブリリアントレッドR、ナフ
トールレッド6B、レーキレッドD、ピグメントスカー
レット等が挙げられる。さらに、金属系キレートアゾ色
素化合物としては、配位子がアゾ化合物からなり、各種
金属とキレートを形成している化合物が挙げられる。具
体的には、下記一般式(3)で示されるアゾ化合物を配
位子とし、中心の金属が、ニッケル、コバルト、鉄等の
遷移金属である化合物が挙げられる。
【0021】
【化3】
【0022】(式中、Xは酸素、硫黄または−NR”−
であり、R’は置換または非置換の炭素数6〜14のア
リール基を示し、a1 、a2 は水素、低級アルキル基、
低級アルコキシ基、フルオロ低級アルキル基、フルオロ
低級アルキルチオ基、フルオロ低級アルコキシ基又はハ
ロゲン原子を示すか、あるいはa1 とa2 とが互いに結
合して環を形成してもよい。R”は水素又は低級アルキ
ル基である。) 上記式において、低級とは、炭素数1〜6を意味する。
【0023】アリール基としては、例えば、フェニル、
ナフチル又はアントラニル基等が挙げられる。アリール
基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、
塩素、臭素、沃素)、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ア
ミノ基、低級アルキル基(メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチ
ル等)、低級アルコキシ基(メトキシ、エトキシ等)等
が挙げられる。なかでも、第2級アミノ基が好ましい。
また、置換アリール基としては、低級アルコキシ基等の
電子供与性置換基が挙げられる。低級アルキル基及び低
級アルコキシ基としては、上記と同様のものが挙げられ
る。
【0024】フルオロ低級アルキル基としては、例え
ば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロ
メチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチ
ル、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1−トリフル
オロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル等が挙げ
られる。フルオロ低級アルキルチオ基としては、例え
ば、フルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリ
フルオロメチルチオ、1−フルオロエチルチオ、1,1
−ジフルオロエチルチオ、1,2−ジフルオロエチルチ
オ、1,1,1−トリフルオロエチルチオ、2,2,2
−トリフルオロエチルチオ等が挙げられる。
【0025】フルオロ低級アルコキシ基としては、例え
ば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフル
オロメトキシ、1−フルオロエトキシ、1,1−ジフル
オロエトキシ、1,2−ジフルオロエトキシ、1,1,
1−トリフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロ
エトキシ等が挙げられる。ハロゲン原子としては上記と
同様のものが挙げられる。
【0026】この発明におけるプラズマ化電離ガスと
は、プラズマ等の外部からのエネルギーにより、電離ガ
スがイオン化するか、あるいは励起原子や分子、ラジカ
ル等を作ったガスであって、昇華させた有機色素が、プ
ラズマ化したこれらガスとの衝突を通じてラジカル化、
あるいはイオン化し、それによって有機色素を活性化さ
せ得るものを意味する。
【0027】反射膜層は、基板を透過したレーザー光等
を反射させることができる金属膜層であれば特に限定さ
れるものではなく、例えば、金、銀等の反射率の高いも
のが好ましい。保護層は、光ディスクの傷付き防止のた
め光ディスクの表面に形成されるもので種々の樹脂等が
挙げられる。具体的には、紫外線硬化型の樹脂が挙げら
れる。
【0028】また、本発明の光学記録媒体の製造方法
は、電離ガスをプラズマ化してプラズマ化電離ガスを生
成させる工程と、有機色素を昇華させる工程と、このプ
ラズマ化電離ガスを昇華させた有機色素に接触させる工
程とからなり、任意に、光記録層上に金属を蒸着して反
射膜層を堆積する工程と、反射膜層上に樹脂からなる保
護層を堆積する工程とを含んでもよい。
【0029】プラズマ化電離ガスを生成させる方法とし
ては、例えば、電離ガスに、プラズマ等のエネルギーを
照射することにより、電離ガスをイオン化するか、ある
いは励起原子や分子、ラジカル等にする方法が挙げられ
る。具体的には、高周波励起によるグロー放電、電子ビ
ーム励起等が挙げられる。例えば、高周波励起によるグ
ロー放電の場合には、1〜10-2Pa程度の雰囲気ガス
圧で、数百W程度の高周波(13.56MHz)を印加
してグロー放電を発生させ、電離ガスをイオン化させ
る。電子ビーム励起の場合には、10-1〜10-2Pa程
度の雰囲気ガス圧で、蒸着用電子ビームとは独立した電
子ビームを雰囲気ガスに照射して励起プラズマを発生さ
せる。
【0030】ここで、電離ガスとしては、電離分解が起
こり、化学反応も誘起し得るいわゆる反応性ガスが好ま
しい。反応性ガスとしては、例えば、炭酸ガス、一酸化
炭素、ホルマリン、メタンガス、エタンガス、アンモニ
アガス、酸素ガス、オゾンガスの単一または2種以上の
混合ガスが挙げられる。中でも、色素への強い酸化作用
により色素を活性化させるような酸素含有ガス(酸素、
オゾン、炭酸ガス等)を含むガスが好ましい。
【0031】上記で得られるプラズマ化電離ガスは、昇
華させた有機色素に接触させるが、有機色素を昇華させ
る方法としては、反応性イオンプレーティング法、蒸着
源に有機色素を導入し有機金属の融点以上に加熱する方
法、有機色素に電子ビームを照射するEB法等、種々の
方法が挙げられる。なかでも、反応性イオンプレーティ
ング法が好ましい。この方法は、薄膜形成で通常行われ
る方法にしたがって行うことができる。
【0032】プラズマ化電離ガスを昇華させた有機色素
に接触させる方法としては、例えば、蒸発源の上方に設
けたコイルに高周波電力を印加して発生させたプラズマ
中で有機色素粒子を通過させる方法、基板とその周囲と
の間で発生させた直流グロー放電中で有機色素を蒸発さ
せ、基板上に蒸着する方法、EB蒸着と独立して雰囲気
ガスに電子ビームを照射し電子ビーム励起プラズマを発
生させて基板上に有機色素を蒸着させる方法等が挙げら
れる。
【0033】これにより、プラズマ化電離ガスと接触し
た有機色素が活性化され、このような活性化された有機
色素を基板上に蒸着することにより、基板との密着性に
優れ平滑性のよい光記録層が形成される。この際の基板
温度は、低温に保持することが好ましく、例えば室温〜
150℃程度が挙げられる。
【0034】なお、本発明においては、電離ガスをプラ
ズマ化してプラズマ化電離ガスを生成させる工程と、有
機色素を昇華させる工程とは、どちらの工程が先であっ
てもよいし、両工程を同時に行ってもよい。また、上記
2つの工程と、このプラズマ化電離ガスを昇華させた有
機色素に接触させる工程とは、前記2つの工程の後、プ
ラズマ化電離ガスを昇華させた有機色素に接触させても
よいし、3つの工程を同時に行ってもよい。なお、プラ
ズマ化電離ガスを生成させる温度及び有機色素の蒸着時
間は、上記した有機色素の表面活性化に要するエネルギ
ー等に基づいて適宜調整することができるが、低温及び
短時間で行うことが好ましい。
【0035】本発明においては、さらに、光記録層に、
レーザー光吸収帯の安定化及び耐光性の向上のために一
重項酸素クエンチャーをドーピングしてもよい。一重項
酸素クエンチャーとしては、遷移金属キレート化合物又
は一般式(1)で示される有機金属塩が挙げられる。遷
移金属キレート化合物としては、例えば、ジアセチルア
セトン、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒド
オキシム等と遷移金属サルチルアルデヒド、例えば、オ
キシムーニッケル塩化合物が挙げられる。
【0036】
【化4】 (式中、Rは炭素数6〜14の置換又は非置換のアリー
ル基であり、Mは金属元素であり、nは2又は3であ
る)。ここで、炭素数6〜14のアリール基、アリール
基の置換基は上記式(3)と同様のものが挙げられる。
【0037】式(1)の化合物の具体例としては、安息
香酸の亜鉛塩、安息香酸のアルミニウム塩、安息香酸の
ニッケル塩及び安息香酸誘導体と各種(特に2価、3
価)金属との金属塩、ナフトエ酸のアルミニウム塩等が
挙げられる。これらのドープ量は膜特性、反射率等の記
録特性を考慮して、有機色素に対して5%以下が好まし
い。
【0038】以下、本発明の光学記録媒体及びその製造
方法について実施形態の一例を図面を用いて説明する。
本発明の実施の形態である光学記録媒体は、前記従来技
術の所でも一部触れたごとく、図1に示すように、ディ
スク基板1、光記録層2、反射膜層3、オーバーコート
4がこの順にて積層されてなる光ディスク10である。
【0039】光ディスク10は、半導体レーザからの高
出力光ビームを対物レンズでディスク基板1越しに集光
して、光記録層2を構成する有機色素材の熱分解による
屈折率変化や変形に基づくピット形成によって情報を記
録するとともに、その再生には、出力を落とした光ビー
ムを同様にディスク基板1越しに集光して、該記録ピッ
トでの散乱による反射光量の違いを検出して情報を再生
する。即ち、追記形の光ディスクメディアとすることが
出来る。
【0040】ディスク基板1は、例えば、直径120c
m、内径15mm、厚さ1.2mmのポリカーボネート
等の透明な基材からなっている。ディスク基板1の光記
録層2が堆積される側の表面には、図示はされていない
が、光ビームを案内するための案内溝がピッチ1.6μ
mで形成される。
【0041】光記録層2は、以下の一般式(4)で示さ
れるキレート型色素からなる。
【0042】
【化5】
【0043】反射膜層3は、必要な反射率(65%以
上)並びに耐食性等の点から、金、銀等の貴金属から成
る。オーバーコート4は、ポリウレタンアクリレート系
の紫外線硬化樹脂をスピンコートにより塗布して、紫外
線照射により硬化させて形成されたものである。次に、
上記構成の光ディスク10の製造方法について説明す
る。
【0044】実施例1 蒸発源として、上記有機色素と金が、それぞれ入ったる
つぼを備える電子ビーム蒸着装置内に、上記案内溝を形
成したポリカーボネート製のディスク基板1を基板ホル
ダーに配置する。蒸着装置内を1×10-4Paまで真空
排気した後、酸素とアルゴンの混合ガスを導入して、ガ
ス圧を1〜10-2Paに設定後、るつぼ上方に設けたコ
イルに高周波電力を印加し、コイル周辺にプラズマを発
生させる。その後、有機色素が入ったるつぼに電子ビー
ムを照射して該色素材料を加熱昇華させ、生成した蒸着
粒子を該プラズマ中を通過させ、一部の色素をイオン化
ないしラジカル状態にしながら、酸化反応も促進しつつ
ディスク基板1上に蒸着し、膜厚約100nmの光記録
層2を形成した。このときのディスク基板1の最高温度
は80℃に達し、蒸着時間は約2分を要した。
【0045】次に、金の蒸発源となる、金が入ったるつ
ぼへ電子ビームの照射を切り替え、同様にプラズマ中を
通過させながら、反射膜層3を膜厚100nmで形成し
た。その後、上記反射膜層3上に、紫外線硬化樹脂をス
ピンコートにより塗布した後、紫外線を照射することに
より、厚み5μmのオーバーコート4を形成した。
【0046】次に、上記の光記録ディスクの記録再生特
性について評価試験を行った。評価試験は、波長780
nmの半導体レーザを使い、線速度1.2〜4.8m/
sに渡って、記録パワー4〜8mWで行った。その結
果、良好な情報記録が得られた。また、従来のスピンコ
ート法で、一般式(4)と類似構造を有する、以下の一
般式(5)で表される有機色素をジアセトンアルコール
に溶解し有機色素から成る光記録層を形成した光記録デ
ィスクと比較しても1.5〜2倍の良好な記録感度が得
られた。
【0047】
【化6】
【0048】これは、有機色素が樹脂に含浸された構造
で光記録層を形成する従来のスピンコート法に比べて、
本発明の上記した光記録ディスクの製造方法は、直接、
有機色素系材料のみが加熱昇華されて基板に蒸着される
ため、必要な光学特性を得るための膜厚を薄く作製する
ことができ、効果的に光記録層の昇温が可能になったた
めであると考えられる。
【0049】さらに、信頼性試験の一つとして、光記録
層2及び反射膜層3の密着性についても評価試験を行っ
た。具体的には、環境温度65℃及び環境湿度が95%
RHという高温高湿下で30日間暴露した後、テープを
使った引き剥がし試験を行った。一辺が2mmの正方形
の条痕をカッターナイフで予め刻設しておいた光記録デ
ィスクのオーバーコート面に、15mm幅のセロハンテ
ープを、気泡が入り込まないように貼り付けた後、テー
プの一端をディスク面に垂直方向に強く引き剥がす方法
をとった。その結果、従来のスピンコート法で形成した
光記録ディスクでは、試験に供したサンプルの大半にお
いて、基板と光記録層の界面または、光記録層と反射膜
の界面から膜の剥離が確認された。
【0050】一方、本発明の製造方法で作製した光記録
ディスクでは、剥離が全く見られず、極めて良好な密着
性が確認された。この理由としては、成膜時に基板表面
がプラズマに曝されることで表面のクリーニング効果が
得られること、さらに、蒸着色素粒子がプラズマ中を通
過することで活性励起化し、基板に被着後、膜形成の過
程で酸化反応が促進されながら基板材との強固な結合状
態が形成されたこと、あるいは活性励起エネルギーが良
質の膜形成並びに基板材料とのミキシング効果等も促進
したことにより、密着性が改善されたものと考えられ
る。
【0051】実施例2 基板として一般式(2)とビスフェノールAが1:9モ
ル比から成る厚さ1.2mmのポリカーボネート(全光
線透過率91%、垂直入射複屈折10nm)を用い、か
つ導入ガスとして酸素と炭酸ガスを用いた以外は、実施
例1と同様にして、光記録ディスクを作製した。このよ
うにして得たディスクに関して、実施例1と同じ評価試
験を行った所、実施例1とほぼ同様の結果を得た。
【0052】〔参考例〕不活性ガスであるアルゴンガス
単体を導入ガスとして用いた以外は実施例2と同様の方
法で光記録ディスクを作製した。この時の反射率は、4
5%と実施例2の73%と比べても低く、かつノイズも
大きな再生信号しか得られなかった。この原因として
は、この光記録層中の色素の緻密性に問題があったと考
えられる。
【0053】実施例3 実施例1で用いた有機色素材料に1%のp−tert−
ブチル安息香酸のニッケル塩をドープして、実施例2と
同様にして、光記録ディスクを作製した。これを環境温
度65℃及び環境湿度が95%RHで太陽光下に30日
間暴露した後、780nmでの光学濃度を測定した。こ
の時の濃度の低下を調べた結果、実施例2の光記録ディ
スクの低下率が20%(1.18→0.94)であった
のに対し、本実施例では5%(1.22→1.04)程
度の低下にとどまり、有機金属塩を加えることにより、
光酸化、熱酸化に対して十分な耐性を有していることが
判明した。
【0054】また、上記例では、励起用プラズマを酸素
とアルゴンの混合ガス、または、炭酸ガスと酸素の混合
ガスを使って発生したが、炭酸ガス、オゾン含有酸素ガ
ス、アンモニアガス、メタンガス等の反応性ガスを一部
混入ないし単独で導入して反応性ガスプラズマを発生さ
せてもよい。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐候性を有し、
薄膜で反射効率の高い、密着強度、硬度、薄膜組成の均
一性に優れ、記録感度も高い、CD適合性に優れ、しか
も基板の低温領域(室温〜150度)で短時間に光記録
層の作製が可能な光学記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学記録媒体の概略構成図。
【符号の説明】
1 光ディスク基板(基板) 2 光記録層 3 反射膜層 4 オーバーコート(保護層) 10 光ディスク(光学記録媒体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H111 EA03 EA12 EA22 EA25 EA31 EA33 EA43 FA01 FB42 GA02 GA06 4K030 AA11 AA14 BA05 BA14 BA61 FA01 FA17 HA02 LA19 5D029 JA04 JC17 JC20 5D121 AA01 EE02 EE06 EE12 EE17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に光学系による情報の書き込み及
    び/または読み取りが可能な光記録層が設けられた光学
    記録媒体において、光記録層が、昇華させた有機色素を
    プラズマ化電離ガスと接触させることにより活性化され
    た有機色素が前記基板上に蒸着されてなることを特徴と
    する光学記録媒体。
  2. 【請求項2】 有機色素が、金属系キレート化合物また
    は金属系アゾ色素化合物である請求項1に記載の光学記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 金属系キレート化合物中の金属が、ニッ
    ケルまたはコバルトである請求項2に記載の光学記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 光記録層が、下記一般式(1)で示され
    る有機金属塩がドープされてなる請求項1〜3のいずれ
    か1つに記載の光学記録媒体。 【化1】 (上記式中、Rは炭素数6〜14の置換または非置換の
    アリール基であり、Mは金属元素であり、nは2、3で
    ある。)
  5. 【請求項5】 電離ガスをプラズマ化してプラズマ化電
    離ガスを生成させる工程と、有機色素を昇華させる工程
    と、このプラズマ化電離ガスを昇華させた有機色素に接
    触させる工程とを含み、活性化された有機色素を基板上
    に堆積して光記録層を形成することを特徴とする光学記
    録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 電離ガスが、反応性ガスである請求項5
    に記載の光学記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 反応性ガスが、炭酸ガス、酸素ガス及び
    オゾンガスからなる群から選択される単一または2種以
    上の混合ガスである請求項6に記載の光学記録媒体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 さらに、光記録層に、上記一般式(1)
    で示される有機金属塩をドープする工程を含む請求項5
    〜7のいずれか1つに記載の光学記録媒体の製造方法。
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