JP2007298030A - 内燃機関のためのインジェクタ - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は内燃機関のためのインジェクタ（１）に関するものである。このインジェクタでは、ノズルニードル（２）が、噴射ノズル断面を開放もしくは閉鎖し、ノズルニードルの上方には上部圧力室（４）が形成され、ノズルニードルの下方には下部圧力室（７）が形成されており、これらの圧力室には燃料が圧力を印加されて供給可能であり、３／２切り替え弁（８）が、燃料を、蓄圧器（１３）から第一の燃料管（１５）を介して、上部圧力室（４）と下部圧力室（７）とに供給し、上部圧力室（４）は、第二の燃料管（１６）を介して、保圧弁（１７）に連結されており、保圧弁は、設定可能な圧力がかかると開き、それによって上部圧力室（４）の圧力を解放する。
【解決手段】本発明によれば、上部圧力室（４）に向かって流入スロットル（１１）を設けるとともに、上部圧力室（４）から出る燃料管（１６）に排出スロットル（１０）が取り付けられている。
【選択図】図１

Description

本発明は内燃機関のためのインジェクタに関するものである。このインジェクタでは、ノズルニードルが噴射ノズル断面を開放もしくは閉鎖し、ノズルニードルの上方には上部圧力室が形成され、ノズルニードルの下方には下部圧力室が形成されており、これらの圧力室には、燃料が圧力を印加されて供給可能であり、３／２切り替え弁が、燃料を蓄圧器から第一の燃料管を介して、上部圧力室と下部圧力室とに供給し、上部圧力室は、第二の燃料管を介して保圧弁に連結されており、保圧弁は、設定可能な圧力がかかると開き、それによって上部圧力室の圧力を解放する。

従来技術から知られているように、噴射システムにおいては、噴射の制御が液圧によって行われることが多いが、このような制御は、例えば２／２切り替え弁および／あるいは２／３切り替え弁などのさまざまな制御弁によって行われる。

これらの制御弁が、自動車分野に応用される場合、インジェクタに対して、直接的に設けられることが多い。船舶のためのディーゼルエンジンのように、比較的大きなディーゼル機構体においては、制御弁は、多くの場合、蓄圧器（レール）の近傍、例えば蓄圧器のカバーなどに設けられている。

コモンレール方式噴射システムのような噴射システムは、圧力可変な状態で燃料を噴射するが、噴射開始時に噴射流量が著しい急勾配を呈する。すなわち、大量の燃料が噴射される。しかしながら、このような効果は、窒素酸化物排出率（ＮＯ_Ｘ−Ｅｍｉｓｓｉｏｎｓｒａｔｅ）に対しては、悪影響を及ぼす。噴射ノズルを段階的に解放／開放すること、もしくは噴射ノズルにおける開放特性を設定することによって、階段状の噴射流量が実現され、それによって排出率に対して好適な影響が及ぼされる。

噴射システムの多くのメーカーと、このような噴射システムが使用されるディーゼルエンジンの多くのメーカーとが、噴射ノズルの断面を最適に制御する方法を見出そうと努力を重ねている。

発明者は上記の事情に鑑み、内燃機関のための新規なインジェクタを提供し、運転動作を向上させることを、課題とした。

このような課題は、請求項１に記載の、内燃機関のためのインジェクタによって、解決される。

発明者の提案するのは、内燃機関のためのインジェクタであって、このインジェクタでは、ノズルニードルが、噴射ノズル断面を開放もしくは閉鎖し、ノズルニードルの上方には上部圧力室が形成され、ノズルニードルの下方には下部圧力室が形成されており、これらの圧力室には燃料が圧力を印加されて供給可能であり、３／２切り替え弁が、燃料を蓄圧器から第一の燃料管を介して、上部圧力室と下部圧力室とに供給し、上部圧力室は、第二の燃料管を介して、保圧弁に連結されており、保圧弁は、設定可能な圧力がかかると開き、それによって上部圧力室の圧力を解放するインジェクタを改良し、それによって、上部圧力室に向かって流入スロットルを設けるとともに、上部圧力室から出る燃料管に排出スロットルが取り付けられている。

インジェクタのこのような構造により、圧力を印加された燃料がある場合に、ノズルニードルがゆっくりと調節されながら開放されることが保証される。

発明者はさらに、インジェクタのノズルニードルと、制御弁との間にある容積部は、ノズルニードルの動きの効率に対して、例えば、ノズルニードルの動きの慣性に関して、悪影響を及ぼし、それによって、インジェクタの運転効率全体に、不利に作用する、という点を認識した。ノズルニードルの動きに対する、こうした不利な作用は、制御弁の所定の構造によって、回避することができる。

制御弁として３／２切り替え弁を用いる場合、３／２切り替え弁のピストン弁に設けられた流入スロットルの特殊な配置、もしくは所定の構造によって残留圧力の作用は、ノズルニードルの底部に至るまで改善され、それによって流入スロットルと排出スロットルとの間の容積部が大きすぎるために発生する、切り替え漏出が最小化される。

好適な一実施形態によれば、３／２切り替え弁は、流入スロットルと排出スロットルとを有し、流入スロットルは、３／２切り替え弁のピストン弁の端面側に偏心的に設けられている。３／２切り替え弁のこのような構造によって、流入スロットルと排出スロットルとの間の容積部が最小化され、それとともに切り替え漏出が最小化される。同時に、流入スロットルと排出スロットルとの間の容積部が、従来インジェクタの運転効率に及ぼしていた影響も緩和される。

保圧弁を挿入式のカートリッジとして形成し、インジェクタ内に軸方向に取り付けることは、有利である。このような形成により、当該部材をインジェクタ内に取り付ける、もしくはインジェクタの外に取り出すことが、維持管理の点でよりたやすく行える。

上部圧力室の形成は、以下のように行われる。すなわち、設定可能なニードルの移動行程に応じて、上部圧力室に通じる流入スロットルを備えた燃料管が、ノズルニードルによって閉鎖される。上部圧力室に通じる燃料管が閉鎖されると、当該燃料管には、それ以上燃料が供給されなくなる。そうなると、下部圧力室に存在する燃料圧は、ノズルニードルをより迅速に開放できるようになる。

少なくとも一つのばね部材が、ノズルニードルを閉鎖位置に保持するように構成することは有利である。凝縮された燃料の圧力がノズルニードルに及ぼされると、この圧力によってノズルニードルはばね部材の圧力または引っ張り力に抗して動き、噴射ノズル断面が開放される。ノズルニードルに及ぼされる圧力が低下すると、ノズルニードルは、ばね部材によって元の位置に戻される。

保圧弁は、少なくとも一つのばね部材を有し、ばね定数によって、弁が開く開放圧力を調整することができる。

本発明の好適なさらなる形成は、以下の詳細な説明に記載されている。本発明の実施の形態を、二つの図面を基にしてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。

以下に、図１および２を参照しながら、本発明を詳細に説明する。

図１は、新規なインジェクタ１の断面図である。圧力を印加された燃料は、まず蓄圧器１３、いわゆるレールに収容されている。燃料は、圧力管１４を介して３／２切り替え弁８のピストン弁９（枠取りされた部分）に供給される。３／２切り替え弁８が作動されピストン弁９が持ち上げられると、燃料は圧力管１４を介して、また圧力管１５を介して、ノズルニードル２の上部圧力室４と、下部圧力室７とに、供給される。上部圧力室４には、流入スロットル１１を介して絞られた状態で、燃料が供給される。

燃料は、図に示されない噴射ノズル断面を介して、図に示されない燃焼室に噴射すべきものである。このような噴射の際に、ノズルニードル２は、噴射ノズル断面を開放および閉鎖する。ノズルニードル２が上方に動くと、噴射ノズル断面が開放される。ノズルニードル２が上方に動くにつれて、開放される噴射ノズル断面はより大きくなり、それとともに噴射される燃料の噴射量も多くなる。

上部圧力室４に、絞られた状態で燃料が供給され、上部圧力室４は、圧力管１６と、排出スロットル１０と、保圧弁１７と、を介して圧力が解放されるために、ノズルニードル２は、下部圧力室７内の燃料の圧力が高まってくると、それによってばね部材３の圧力に抗して開く。保圧弁１７の開放特性は、ばね１８もしくはばね定数を介して調整されるが、この保圧弁１７は、構成上挿入式のカートリッジとして、インジェクタ１内に取り付けられていてもよい。保圧弁１７が開かれているとき、燃料は燃料戻り管を介して、矢印方向に排出される。

インジェクタ１の構造の特殊な点は、流入スロットル１１が、設定されたニードルの移動行程に応じてノズルニードル２によって被覆され、それによって閉じられることである。このように、上部圧力室４では圧力の形成が中断される一方で、下部圧力室７では、溜まった圧力が、ノズルニードル２を上方に動かす。このような構成によって、最初はノズルニードル２がゆっくりと開かれ、その後上部圧力室４への圧力の供給が遮断されると、それに続いてノズルニードル２はすばやく開かれるようになる。

図２は、３／２切り替え弁８の、ピストン弁９の断面図である。圧力を印加された燃料は、圧力管１４を介してまずピストン弁９の容積部１２ａに供給される。流入スロットル５を介して、燃料は容積部１２にも同様に供給される。容積部１２および１２ａにおいては、まず同一の圧力が印加されるので、ピストン弁９は、図２に示される位置に設けられる。排出スロットル６は、たとえば３／２切り替え弁の磁気スイッチを介して開くことができるが、このような排出スロットルを介して、容積部１２は圧力が解放される。こうして、容積部１２ａには、容積部１２におけるよりも高い圧力が印加され、それによってピストン弁９は、容積部１２ａにおける圧力を介して持ち上げられる。ピストン弁９が特殊な断面形成を有しているため、ピストン弁９を持ち上げたとき、圧力管１４と圧力管１５との間の通路が解放され、燃料を、圧力管１５を介してノズルニードル２に供給することができる。ピストン弁９の形成に関して特殊な点は、流入スロットル５が、ピストン弁９の端面側に設けられているとともに、ピストン弁９の端面側において偏心的に設けられていることである。これによって、流入スロットル５と、排出スロットル６との間の容積部１２が最小化され、それによって全体として切り替え漏出が避けられる。

当然のことながら、上記の特徴および請求項の特徴部は、個々に記載された組み合わせのみならず、ほかの組み合わせにおいて、あるいは単独で用いることができ、それらの場合に本発明の枠組みから外れることはない。

インジェクタの断面図である。 ３／２切り替え弁８の、ピストン弁９の、断面図である。

符号の説明

１ インジェクタ
２ ノズルニードル
３ ばね部材
４ 上部圧力室
５ 流入スロットル
６ 排出スロットル
７ 下部圧力室
８ ３／２切り替え弁
９ ピストン弁
１０ 排出スロットル
１１ 流入スロットル
１２ 流入スロットルと排出スロットルとの間の容積部
１２ａ 蓄圧器と流入スロットルとの間の容積部
１３ 蓄圧器
１４ 蓄圧器からの圧力管
１５ ノズルニードルへの圧力管
１６ ノズルニードルからの圧力管
１７ 保圧弁
１８ ばね部材

Claims (6)

1. 内燃機関のためのインジェクタ（１）であって、
   ノズルニードル（２）が、噴射ノズル断面を、開放もしくは閉鎖し、
   ノズルニードルの上方には上部圧力室（４）が形成され、ノズルニードルの下方には下部圧力室（７）が形成されており、前記圧力室には、燃料が圧力を印加されて供給可能であり、３／２切り替え弁（８）が、燃料を、蓄圧器（１３）から、第１の燃料管（１５）を介して、前記上部圧力室（４）と、前記下部圧力室（７）と、に供給し、前記上部圧力室（４）は、第２の燃料管（１６）を介して、保圧弁（１７）に連結されており、前記保圧弁は、設定可能な圧力が印加されると開き、それによって前記上部圧力室（４）の圧力を解放する、インジェクタにおいて、
   前記上部圧力室（４）に向かって、流入スロットル（１１）を設けるとともに、前記上部圧力室（４）から出る前記燃料管（１６）に、排出スロットル（１０）が取り付けられていることを特徴とする、インジェクタ。
2. 前記３／２切り替え弁（８）は、流入スロットル（５）と、排出スロットル（６）と、を有し、前記流入スロットル（５）は、前記３／２切り替え弁（８）の前記ピストン弁（９）において端面側であって、かつ偏心的に設けられていることを特徴とする、請求項１に記載のインジェクタ。
3. 前記保圧弁（１７）は、挿入式のカートリッジとして形成され、前記インジェクタ（１）内に軸方向に取り付けられていることを特徴とする、請求項１または２のいずれか１項に記載の装置。
4. 前記上部圧力室（４）は、設定可能なニードルの移動行程に応じて、前記上部圧力室（４）に通じる燃料管が、前記ノズルニードル（２）によって閉じられることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載の装置。
5. 少なくとも一つのばね部材（３）は、前記ノズルニードル（２）を、閉鎖位置に保つことを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載のインジェクタ。
6. 少なくとも一つのばね部材（１８）は、前記保圧弁（１７）を、閉じた状態に保つことを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項に記載のインジェクタ。

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