JP2007289889A - 耐食性に優れた塗装鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロメート処理や、クロム系防錆顔料を一切利用せずに、良好な加工性、硬度、耐食性を有し、つや消し外観を有するクロムフリー塗装鋼板を提供する。
【解決手段】亜鉛系めっき鋼板を、非クロム系化成処理により下地処理した後、その少なくとも片面に、5〜30質量%の非クロム系防錆顔料(例、トリポリりん酸アルミニウム)を含有する下塗り塗膜を形成し、その上に、吸油量:100〜1000ml/100g、比表面積:200〜1000m2/g、平均粒径:2〜30μmの多孔質シリカ粒子5〜40質量%を防錆顔料として含有する上塗り塗膜を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、家電製品.建材、自動車部品などの製造に有用な塗装鋼板に関する。本発明の塗装鋼板は、硬度と加工性のバランスがよく、同時に改善された耐食性を有する。
塗装鋼板(プレコート鋼板、PCM)は、素地鋼板に塗装と焼付けにより塗膜を形成した後、コイル状に巻き取られ、その状態でユーザーに納入される。その後、ユーザーはコイルを巻き戻して、打ち抜き、折り曲げ、絞り加工、またはこれらを組み合わせた加工を行う。作業環境を悪化させ、廃液処理が面倒な塗装作業をユーザーが行う必要がないことから、塗装鋼板の適用は多くの分野に普及している。
塗装鋼板の製造は、素地鋼板(典型的には亜鉛系めっき鋼)に前処理として化成処理を施した後、下塗り塗料の塗布と焼付け、次に上塗り塗料の塗布と焼付けを順に行う2コート2ベーク方式が一般的である。ただし、外面となる「おもて面」の反対側の面、すなわち、裏面側については、前処理後に裏面用に開発された塗料を用いて1コート1ベーク方式で塗装が行われることもある。この工程からわかるように、使用する塗料は焼付け型であり、ベース樹脂と架橋剤とを含有する。
塗装鋼板の塗装面、特におもて面は、ユーザーによる上記のような加工が行われた後、そのまま製品の外面、品質保証面として使用されるため、加工性と硬度の高度のバランスが要求される。硬度は耐傷付き性の確保に必要な特性である。また、厳しい成形加工を受けても塗膜剥離を起こさないような優れた塗膜密着性と、良好な潤滑性も必要である。潤滑性を高めるために、上塗り塗膜層は潤滑剤成分を含有するのが普通である。
エアコン室外機、建材等といった屋外で使用される製品用の塗装鋼板には、上記性能に加えて、耐候性と優れた耐食性がさらに要求される。耐食性は、主に下塗り塗膜に含有させた防錆顔料により改善される。耐候性は、主に上塗り塗膜の樹脂種および硬化剤種により左右されるが、紫外線吸収剤および光安定剤を含有させることにより、向上させることは可能である。
しかし、塗装鋼板の製造に従来から使用されてきた塗料では、加工性、硬度、耐食性のいずれにも優れた塗装鋼板を得るのは困難であった。この点を次に説明する。
一般に、加工性に優れた塗装鋼板では、下塗り塗膜層として用いる樹脂のガラス転移温度が低く、素地鋼板との密着性が良くない上に、防錆顔料の濃度を高くできず、耐食性と塗膜硬度が劣る傾向がある。逆に、耐食性に優れた塗装鋼板では、下塗り塗膜層中の防錆顔料濃度が高いため、加工性が劣る傾向がある。
硬度は、耐食性との両立のため下塗り塗膜に大量の防錆顔料を加え、上塗り塗膜には硬度を発現させるための顔料を添加し、さらにガラス転移温度の高い樹脂を用いることにより高めることができる。しかし、そうすると加工性が極度に劣る傾向がある。
このように、高度な加工性と硬度のバランスに加え、優れた耐食性をすべて充分に満たす塗装鋼板を実現することは困難であった。
また、最近では、6価クロムの有害性が問題となり、6価クロムを使用する化成処理であるクロメート処理、あるいは6価クロム化合物であるクロム酸塩系防錆顔料の使用が忌避され、さらには3価クロムも含めてクロム化合物を全く含まないノンクロム型の塗装鋼板が求められるようになってきた。しかし、前処理としてのクロメート処理、ならびに特に下塗り塗膜層用の防錆顔料として重宝されてきたクロム酸塩系防錆顔料は、いずれも耐食性改善効果が非常に高い。従って、クロメート処理やクロム酸塩系防錆顔料を使用せずに、塗装鋼板の耐食性を確保することが望まれている。
特開平08−218001号公報(特許文献1)には、耐食性と加工性を両立させるため、下塗り塗料中に平均粒径0.01〜2μmの防錆顔料を11〜70質量%含有させた塗装金属材料が記載されている。防錆顔料はクロム酸塩またはリン酸塩である。硬度とのバランスについては何ら言及されていない。
特開平08−252528号公報(特許文献2)には、亜鉛系めっき鋼板をクロメート処理した後、防錆顔料を含有するアクリル−ポリイソシアネート系の水系塗料の塗布と焼付けにより樹脂皮膜を形成した有機複合被覆鋼板が記載されている。防錆顔料としては、粒径が2〜12mμ(=nm)というコロイド粒径の金属酸化物ゾル、シリカ、難溶性クロム酸塩が例示されており、シリカについては、シリカゾル(湿式シリカ)またはフュームドシリカ(気相シリカ)が使用できるとされている。これらのシリカはいずれも、コロイド粒径のものである。
特開平08−267655号公報(特許文献3)には、冷延鋼板に下地のリン酸塩またはクロメート皮膜を形成した後、耐食性確保のために亜鉛粉末を含有する下塗り塗膜と、シリカ/樹脂質の上塗り塗膜とを形成した塗装鋼板が開示されている。上塗り塗膜にシリカを入れるのは、表面硬度を高めて耐傷付き性を改善するためである。使用するシリカは、気相シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカのいずれでもよい。これらのシリカも、上記と同様に、コロイド粒径のシリカ微粉末である。
特許文献2、3で使用されているコロイド粒径のシリカ、特に湿式シリカ(コロイダルシリカに同じ)は、塗料中に含有させた場合に、シロキサン結合に基づく架橋構造を塗膜に導入して、塗膜硬度を高める。そのため、この種のシリカはそれ単独でバインダーとして使用することができ、本質的にシリカからなる皮膜を形成することができる。しかし、このようなコロイド粒径のシリカを多量に含有する塗膜は有機樹脂が共存しても硬くなって加工性が低下する傾向があるので、硬度と加工性をバランスさせることはできない。
特開平8−218001号公報(段落0019) 特開平8−252528号公報(段落0024) 特開平8−267655号公報(段落0018〜19)
本発明は、6価クロム化合物を使用せずに、加工性と硬度のバランスがよく、耐食性にも優れ、かつ低コストで製造できる塗装鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、これまでは塗料に艶消し剤として使用されてきた、コロイド粒径より大径のある種のシリカを塗膜に含有させると耐食性が改善され、同時に適度な硬度を塗膜に付与できることに気づいた。そして、このシリカを上塗り塗膜に防錆顔料として含有させると、下塗り塗膜中の防錆顔料の含有量を低減させても、塗装鋼板に必要な耐食性を確保することができ、それにより加工性が改善され、加工性と硬度のバランス及び耐食性のすべての面で満足できる塗装鋼板が得られることを見出した。
本発明は、鋼板の少なくとも片面に、下塗りと上塗り少なくとも2層の塗膜層を有する塗装鋼板であって、下塗り塗膜層が5〜30質量%の防錆顔料を含有し、上塗り塗膜層が、吸油量:100〜1000ml/100g、比表面積:200〜1000m2/g、平均粒径:2〜30μmの多孔質シリカ粒子を防錆顔料として含有することを特徴とする塗装鋼板である。
本発明の好適態様としては下記が挙げられる。
・全ての塗膜層がクロムを含有しない。
・下塗り塗膜層に含有される防錆顔料がリン酸塩系防錆顔料およびシリカから選ばれ、より具体的にはトリポリりん酸アルミニウム、りん酸及び亜りん酸のZn、Mg及びAl塩、Ca交換シリカ、及び前記多孔質シリカ粒子から選ばれる。
・上塗り塗膜層の前記シリカ粒子の含有量が5〜30質量%である。
・前記鋼板が、塗装下地処理として非クロム系下地処理が施されている。
本発明に係る塗装鋼板は、上塗り塗膜中に塗膜を過度に硬くすることのないコロイド粒径より大径のシリカ粒子を含有させることにより、下塗り塗膜中の防錆顔料の含有量を低減させて必要な耐食性を確保することができる。それにより、加工性と硬度の両方をバランスよく確保すると同時に、優れた耐食性も満たすことができる。また、上塗り塗膜に含有させるシリカ粒子はもともと艶消し剤として使用されてきたものであるため、塗装鋼板の外観はつや消し性の美麗な外観となる。
(1)素地鋼板
本発明の塗装鋼板の素地鋼板は、裸の冷延鋼板であってもよいが、耐食性の観点からは、めっき鋼板であることが好ましい。めっき鋼板としては、亜鉛系めっき鋼板及びアルミニウム系めっき鋼板が例示される。
好ましいのは亜鉛系めっき鋼板である。亜鉛系めっき鋼板は、電気めっき、溶融めっき、気相めっきのいずれで作製したものでもよい。亜鉛系めっき鋼板の例としては、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni合金めっき鋼板などが挙げられる。めっき付着量も特に限定されず、一般的な範囲内でよい。めっき付着量が少なすぎると耐食性が低下し、多すぎると加工性が劣化する。
(2)塗装前処理
塗装鋼板の製造では、塗膜密着性と耐食性を確保するため、塗装前に素地鋼板を前処理(下地処理)するのが普通である。この前処理は、一般には化成処理により行われ、その前に、Ni等の鉄族金属イオンを含む酸性もしくはアルカリ水溶液による表面調整処理を施すことが多い。また、それ以前に、素地鋼板を清浄化するため、酸洗(特に裸の鋼板)および/またはアルカリ脱脂(亜鉛系めっき鋼板)が行われる。
化成処理は、以前は耐食性改善効果の高いクロメート処理が一般的であったが、上述した事情で、最近では、6価クロムを含有しないか、あるいはクロムを全く含有しない、シリカ系の化成処理腋が使用されるようになってきた。本発明でも、少なくとも6価クロムを含有しない化成処理液を使用することが好ましい。
シリカ系化成処理液は、コロイダルシリカおよび/またはケイ酸塩などのケイ素化合物を主皮膜成分とする処理液であり、場合により樹脂を共存させる。前述したように、コロイダルシリカから形成された皮膜は硬質であるが、化成処理により形成される皮膜は、下塗り及び上塗り塗膜に比べてごく薄膜であるので、加工性への実質的な影響はない。
化成処理は、シリカ系化成処理に限られるものではない。シリカ系以外にも、塗装下地処理に使用するための各種の化成処理液が提案されており、また今後も提案されることが予想される。そのような化成処理液を使用することもできる。また、化成処理により形成される化成処理皮膜の付着量は、使用する化成処理に応じて、適当な付着量を選択すればよい。
(3)下塗り塗膜層
下塗り塗膜層は5〜30質量%の防錆顔料を含有する。すなわち、これは樹脂中に少なくとも防錆顔料を含有する塗膜であるが、防錆顔料の含有量は従来の典型的な塗装鋼板に比べると少なくなっている。例えば、前述した特許文献1では、下塗り塗膜中の防錆顔料の含有量は11〜70重量%と規定されているが、実施例での含有量はほとんどが40〜50重量%であって、本発明に比べて多い。
下塗り塗膜を構成するベース樹脂は特に限定されず、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂など、これまでも塗装鋼板の下塗りに用いられてきた各種の樹脂から選択できる。ベース樹脂に組み合わせる架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。必要であれば、架橋触媒を配合する。
下塗り塗膜層に含有させる防錆顔料は特に制限されず、クロム酸ストロンチウムで代表されるクロム酸塩系防錆顔料も使用可能である。しかし、6価クロム化合物を使用しないという観点から、クロム酸塩系以外の防錆顔料を使用することが好ましい。
本発明で使用するのが好ましい防錆顔料としては、トリポリりん酸アルミニウム、りん酸及び亜りん酸のZn、Mg及びAl塩、Ca交換シリカ、及び後述する上塗り塗膜に使用する多孔質シリカ粒子を挙げることができる。多孔質シリカ粒子の形状は、好ましくは球形、長球形(ラグビーボール形)、扁平球形などの丸みを帯びた形状が好ましい。
下塗り塗膜中の防錆顔料の含有量は5〜30質量%とする。従って、下塗り塗料中の防錆顔料の含有量は、塗料中の固形分(不揮発分)に対して5〜30質量%の範囲内であればよい。この防錆顔料の含有量は、下塗り塗膜としては少なめであるが、本発明では上塗り塗膜に含有させる特定のシリカ粒子が防錆顔料として機能するため、下塗り塗膜中の防錆顔料の含有量を低減させても十分な耐食性を確保できる。それにより、多量の防錆顔料の含有による下塗り塗膜の塗膜密着性低下及び加工性低下を防止することができる。
防錆顔料の量が5%より少ないと耐食性の改善効果のみならず、硬度の改善効果も十分に発揮されない。一方、防錆顔料の量が30%を超えると、シリカを含有する上塗り塗膜層と組み合わせた時に加工性が低下する。この防錆顔料の好ましい含有量は10〜30質量%である。
下塗り塗膜層は、樹脂(及び架橋剤)と防錆顔料以外に、着色顔料、レベリング剤、ビーズなどの1種または2種以上をさらに含有しうる。但し、顔料類の含有量が増えると、加工性が低下することがあるので、防錆顔料以外の顔料をさらに含有する場合でも、顔料の合計量は35質量%以下、特に30質量%以下とすることが好ましい。
下塗り塗膜層の厚さ(乾燥塗膜厚)は2〜20μmであることが望ましい。さらに望ましくは、5〜15μmである。塗膜厚が薄すぎると耐食性が低下し、厚すぎるとコスト高に加え.塗膜の内部応力増大に伴って加工性、密着性が低下することがある。
(4)上塗り塗膜層
上塗り塗膜層は、樹脂中に防錆顔料として、吸油量:100〜1000ml/100g、比表面積:200〜1000m2/g、平均粒径:2〜30μmの多孔質シリカ粒子を含有する。
この特性をもつ多孔質シリカ粒子の市販品の例は、洞海化学工業製のサンスフェア(R)H及びLシリーズの製品(旭硝子から販売)である。この種のシリカ粒子は塗料の艶消し剤として使用されてきたが、防錆性を付与できることは知られていなかった。多孔質シリカ粒子の形状は、好ましくは球形、長球形、扁平球形などの丸みを帯びた形状が好ましい。この比較的大径のシリカ粒子が丸みを帯びていると、塗膜外観が向上する。
上塗り塗膜のベース樹脂も特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などから選んだ1種または2種以上を使用することができる。架橋剤は、下塗り塗膜に関して述べたものと同様でよく、必要に応じて架橋触媒を配合する。
上塗り塗膜は、上記多孔質シリカ粒子からなる防錆顔料に加えて、さらに着色顔料を含有していてもよい。着色顔料の例としては、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機顔料、銅フタロシアニン、トルイジンレッドなどの有機顔料、さらにはカーボンブラックなどが挙げられる。上塗り塗膜中のこれらの顔料の含有量は、シリカが5〜40質量%、着色顔料は30質量%以下、顔料の合計量は45質量%の範囲内とすることが好ましい。
上塗り塗膜は、上記の防錆顔料および着色顔料以外の添加剤を含有しうる。そのような添加剤の例は、紫外線吸収剤、光安定剤、潤滑剤、レベリング剤などである。潤滑剤としては、ワックス類、PTFEなどが使用できる。
上塗り塗膜層の膜厚は2〜30μmであることが望ましく、さらに望ましくは5〜20μmである。塗膜厚が薄すぎると耐食性および隠蔽性が不十分であり、厚すぎるとコスト高おとび塗膜内部応力増大に伴う加工性、密着性低下の点から好ましくない。
上述した下塗り塗膜層と上塗り塗膜層は、いずれも必要成分を溶媒中に溶解又は分散させた塗料(すなわち、下塗り塗料及び上塗り塗料)の塗布及び焼付け(加熱乾燥)により形成される。各塗料は溶媒が有機溶剤である溶剤系塗料でも、溶媒が水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合溶媒である水系塗料のいずれでもよい。2コート2ベーク方式ではなく、焼付けを上塗り塗料の塗布後だけに行う2コート1ベーク方式とすることも可能である。
下塗り塗料および上塗り塗料の塗布方法は特に限定されるものではなく、ロールコーター、カーテンフローコーター、スプレーガン、バーコーター等によって行えばよい。塗布後の焼付けは、塗膜を構成する樹脂及び架橋剤に応じて設定したPMT(鋼板最高到達温度)となるように行う。この温度は一般に100〜280℃の範囲内である。加熱方法は、熱風乾燥でも、炉内乾燥でもよい。
本発明によれば、上塗り塗膜が防錆顔料として比較的大径のシリカ粒子を含有する。それにより、下塗り塗膜中の防錆顔料の含有量を低減できるため塗膜密着性が改善される。また、上塗り塗膜中のシリカ粒子は、塗膜に耐傷付き性の付与に必要な適度の硬さを付与しながら、加工性を劣化させることがないので、形成された塗装鋼板は十分な耐食性及び耐久性を示すと同時に、硬度と加工性のバランスに優れ、耐傷付き性も良好である。従って、本発明の塗装鋼板は、厳しい加工を受ける用途にも適用することができる。
塗装鋼板が3層以上の塗膜層を有する場合、いずれか2つの塗膜層が本発明において規定する条件を満たせばよい。例えば、上中下の3層の塗膜層を有する場合には、下層と中層、中層と上層、又は下層と上層が、本発明で規定する下塗り塗膜層と上塗り塗膜層の条件をそれぞれ満たせばよい。換言すると、下塗り塗膜層の下、上塗り塗膜層の上、あるいは下塗り塗膜層と上塗り塗膜層の間に1または2以上の塗膜層が存在していてもよい。例えば、上塗り塗膜層の上に薄いクリヤー塗膜層を形成したり、下塗り塗膜層の下に、密着性改善のための極薄の塗膜層を形成することも可能である。
板厚0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量は片面60g/m2)に、常法に従ってアルカリ脱脂及び水洗を行った後、市販のシリカ系クロムフリー化成処理液を用いて下地処理を両面に施した。
下塗り塗料は、主(ベース)樹脂としての高分子量ポリエステル樹脂(GK−140、東洋紡製)、架橋剤としてメチル化メラミン樹脂(サイメル327、日本サイナミッド製)、防錆顔料としてトリポリりん酸アルミニウム(K−WHITE #82、テイカ製)を用い、塗料全固形分に対して表1に記載の量で防錆顔料を含有する下塗り塗料を調製した。主樹脂と架橋剤との比率は、主樹脂80質量部に対して架橋剤20質量部とした。この下塗り塗料を、下地処理を施しためっき鋼板の片面にバーコーターで塗布した後、PMT(鋼板最高到達温度)が220℃±10℃、焼付け時間50秒で焼付けを行った。
上塗り塗料は、主樹脂としての高分子量ポリエステル樹脂(29CS、東洋紡製)、架橋剤としてメチル化メラミン樹脂(サイメル303、日本サイナミッド製)、防錆顔料として非晶質の球形シリカ粒子(サンスフェア H−31、L−31、NP−30、洞海化学工業製)、着色顔料として酸化チタン(CR−50、石原産業製)を用い、塗料全固形分に耐指定表2に記載の量で各顔料を含有する上塗り塗料を得た。主樹脂と架橋剤との比率は、主樹脂80質量部に対して架橋剤20質量部とした。この上塗り塗料を下塗り塗膜の上に塗布した後、PMT(鋼板最高到達温度)が230℃±10℃、焼付け時間60秒で焼付けを行い、表3に記載の塗装鋼板を得た。
なお、サンスフェア H−31、L−31、NP−30はそれぞれ、表2のNo.1〜2、No.3〜4、No.5〜6で使用したものに対応する。このうちNo.5〜6で使用したNP−30は非多孔質タイプで、比表面積及び吸油量とも本発明で規定する条件の下限より低い比較用のシリカ粒子であり、残りは本発明で規定する特性を有する多孔質タイプのシリカ粒子である。
こうして得られた塗装鋼板について、加工性、硬度、耐食性を下記の試験により評価した。
(1)加工性試験
試験片に対して0T折り曲げ試験(23℃)を行い、180°密着曲げ塗膜についてクラック発生有無を10倍ルーペを用いて調査した。評価基準は下記の通りで、◎印および○印の場合を良好とした。
◎:まったくクラックなし、
○:ごくわずかなクラックあり(ルーペでは確認できるが、目視では確認できないレベル)、
△:若干クラックあり(目視で5個以内)、
×:かなり多くのクラックあり(目視で5個より多い)。
(2)硬度試験
JIS K5600−5−4(引っかき硬度(鉛筆法))の方法に従って測定した。評価基準は下記の通りで、○印の場合を良好とした。
○:F以上、
△:HB、
×:B以下。
(3)耐食性試験
素地鋼板に達する深さのクロスカットを入れた試験片に120時間の塩水噴霧試験を行った後、試験片のカット部からの塗膜フクレ幅(最大値)を測定した。評価基準は下記の通りで、◎印および○印の場合を良好とした。
◎:1mm未満
○:1mm以上、1.5mm未満
△:1.5mm以上、3mm未満
×:3mm以上。
Figure 2007289889
Figure 2007289889
Figure 2007289889
表3からわかるように、上塗り塗膜を、本発明に従った比表面積及び吸油量を有するシリカを含有させた表2のNo.1〜4の上塗り塗料から形成した場合には、下塗り塗膜が、30質量%以下の防錆顔料しか含有しない下塗り塗料Aから形成した場合であっても、表3のA1〜A4に示すように、上塗り塗膜中の酸化チタンの有無にかかわらず、十分な耐食性を示す塗装鋼板が得られる。この塗装鋼板は、加工性と硬度についても、どちらも良好な特性を示し、そのバランスに優れている。
同じ上塗り塗料を使用しても、下塗り塗膜中の防錆顔料の量が50質量%と増大すると、表3のB1〜B4に示すように、耐食性は向上する場合があるものの、加工性が著しく劣化する。一方、下塗り塗膜が防錆顔料を含有しないと、表3のC1〜C4に示すように、加工性は良好であるが、硬度及び耐食性が著しく低下する。
一方、下塗り塗膜が本発明に従った量で防錆顔料を含有する下塗り塗料Aから形成されていても、上塗り塗膜に含有させたシリカが比表面積及び吸油量の小さいものであると、表3のA5〜6に示すように、耐食性が不十分となる。すなわち、上塗り塗料にシリカ粒子を含有させることによる耐食性向上効果は、吸油量と比表面積が大きい、すなわち、多孔質のシリカ粒子である場合に限って得られる。一方、上塗り塗膜がシリカ粒子を含有していないと硬度が不十分となる。
なお、表3に示した塗装鋼板は、上塗り塗膜がシリカを含有する表2のNo.1〜6のいずれかである場合は、このシリカによる艶消し効果によって、塗装外観は美麗な艶消し表面となった。この艶消し外観は、観察角度を変化させても大きくは変化せず、均一性に優れていた。塗膜外観の色は、上塗り塗膜が酸化チタンを含有する場合は白、含有しない場合は白みがかった色になり、下塗りの色に左右される。

Claims (6)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、下塗りと上塗りの少なくとも2層の塗膜層を有する塗装鋼板であって、下塗り塗膜層が5〜30質量%の防錆顔料を含有し、上塗り塗膜層が、吸油量:100〜1000ml/100g、比表面積:200〜1000m2/g、平均粒径:2〜30μmの多孔質シリカ粒子を防錆顔料として含有することを特徴とする塗装鋼板。
  2. 全ての塗膜層がクロムを含有しない、請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 下塗り塗膜層に含有される防錆顔料がリン酸塩系防錆顔料およびシリカから選ばれる請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  4. 前記防錆顔料が、トリポリりん酸アルミニウム、りん酸及び亜りん酸のZn、Mg及びAl塩、Ca交換シリカ、及び吸油量:100〜1000ml/100g、比表面積:200〜1000m2/g、平均粒径:2〜30μmの多孔質シリカ粒子から選ばれた、請求項3に記載の塗装鋼板。
  5. 上塗り塗膜層の前記シリカ粒子の含有量が5〜40質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の塗装鋼板。
  6. 前記鋼板が、塗装下地処理として非クロム系下地処理が施されている、請求項1〜5のいずれかに記載の塗装鋼板。
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