JP2007279489A - 感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法、フレキシブル基板及び電子部品 - Google Patents

感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法、フレキシブル基板及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】そり、耐折性、耐湿絶縁信頼性の特性バランスが良く、120℃の低温硬化にも対応可能な感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法、フレキシブル基板及び電子部品を提供する。
【解決手段】ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂(a)に不飽和モノカルボン酸成分(b)を反応させて得られるエステル化物に、さらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)を付加した付加反応生成物である酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)、光開始剤(B)、エポキシ樹脂(C)、を成分とする感光性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法、フレキシブル基板及び電子部品に関するものである。
ソルダレジストはプリント基板の最外層に形成される、はんだ保護膜として使用されている。従来は熱硬化型のものをスクリーン印刷法で印刷してレジストパターンを形成する方法が主流であったが、プリント基板の配線の高密度化に伴い解像度の点で限界が生じてきたため、写真法でパターン形成する感光性ソルダレジストが主流となってきた。中でも炭酸ソーダ溶液等の弱アルカリ溶液で現像可能なアルカリ現像型のものは作業環境保全、地球環境保全の点で優れるため、現在の主流となっている。このようなアルカリ現像型の感光性ソルダレジストの代表例として、フェノールノボラック型、もしくはクレゾールノボラック型エポキシアクリレートを主成分とする、特開平1−54390号公報に示される感光性樹脂組成物が広く知られている。
感光性ソルダレジスト付きのプリント基板は、導体回路パターンの形成された絶縁基板上に感光性樹脂組成物層を形成し、電子部品と電気接続を行う導体箇所を、遮蔽部を設けたフォトマスクを介して紫外線を照射して露光部分を光硬化させ、弱アルカリ溶液による現像で前記、遮蔽部(未露光部分)の感光性樹脂組成物を選択的に除去した後、所定の熱硬化処理を行って製造される。
導体回路パターンの形成された絶縁基板上に感光性樹脂層を形成する方法としては、液状の感光性樹脂組成物をスクリーン印刷、ロールコート、カーテンコートする方法や予め、前記感光性樹脂組成物を耐熱性樹脂フィルム上に塗布してフィルム化し、ラミネートにより貼り合せる方法がある。プリント基板生産性の点では液状材料を基板に直接塗布する方式よりもフィルムをラミネートする方式の方が感光性樹脂層を両面同時に形成できる、ソルダレジスト層形成時の気泡、異物の混入がない、有機溶剤による作業場の汚染がないなどの点で有利であるが、用途に応じて厚みを塗り分ける、材料コストが安価である、塗膜物性に優れる等の理由で液状材料(液状ソルダレジスト)を用いているメーカが大多数を占める。
特開平1−54390号公報
感光性ソルダレジストについては、これまで写真法によるパターン形成とはんだ保護膜としての特性以外は重視されていなかったが、近年の電子機器の高機能化に伴い、上記以外の特性についても重視されるようになってきた。
携帯電話に代表される小型情報端末機器は1990年代後半以降、軽量化、小型化、高機能化が急速に進み、狭い空間に高密度に電子部品を実装する技術が盛んに検討されてきた。その結果、半導体チップをフレキシブル基板上に搭載するCOF実装が高密度実装に極めて有利であることがわかり2000年以降、各電子部品メーカで採用、検討が相次ぐようになってきた。しかし、COF実装にはまだ課題が多い。その一つとしてフレキシブル基板の最外層に形成される感光性ソルダレジストの特性があり、COF実装用途に必要な特性を十分満足するには至っていない事実がある。
具体的には特公平1−54390号公報に代表される現在主流のフェノールノボラック型、もしくはクレゾールノボラック型エポキシアクリレートを主成分とする感光性ソルダレジストをCOF実装用途のフレキシブル基板に使用した場合、そり量が大きくなってしまいCOF実装時の基板の位置合わせ精度に問題が生じること、折り曲げた際にクラックを生じやすいこと(耐折性が低いこと)が知られている。
これらの特性を向上させるためにはソルダレジストの弾性率を下げる必要があり、従来は感光性ソルダレジストの主成分であるエポキシアクリレートの架橋密度を下げる(主成分であるフェノールノボラック型、もしくはクレゾールノボラック型エポキシアクリレートを架橋密度の低いビスフェノールA型、ビスフェノールF型エポキシアクリレート等に置換する)検討がなされてきた。しかし、検討が進められた結果、この手法ではそり、耐折性とCOF実装において重視されるもう1つの特性である耐湿絶縁信頼性(HAST、PCBT)との特性バランスを十分に保つことが困難であることがわかってきた。
COF実装用途のフレキシブル基板では錫めっきを施した回路上にソルダレジストを形成することが多いため、錫のソルダレジスト層中への拡散防止を目的として、ソルダレジスト層形成のための熱硬化温度を従来の汎用のプリント基板用途の感光性ソルダレジストの熱硬化温度である150℃とは異なる120℃に設定することが望まれている。
しかし、前記のビスフェノールA型、ビスフェノールF型エポキシアクリレート等を主成分とする感光性ソルダレジストを用いた場合、熱硬化温度120℃の条件ではソルダレジスト硬化膜の架橋密度が低すぎるため、耐湿絶縁信頼性試験時にソルダレジスト中への水の浸入に起因する絶縁劣化が問題となる。
本発明の目的はそり、耐折性、耐湿絶縁信頼性の特性バランスが良く、120℃の低温硬化にも対応可能な感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法、フレキシブル基板及び電子部品を提供することにある。
本発明は、以下に関する。
1.ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂(a)に不飽和モノカルボン酸成分(b)を反応させて得られるエステル化物に、さらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)を付加した付加反応生成物である酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)、光開始剤(B)、エポキシ樹脂(C)、を成分とする感光性樹脂組成物。
2.さらにエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)を含有することを特徴とする項1に記載の感光性樹脂組成物。
3.エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)が、ポリアルキレンオキサイドユニットおよびポリカーボネートユニットから選ばれる少なくとも1種のポリマーユニットを分子構造中に有するカルボキシル基末端ポリアミドイミド樹脂(d)とエポキシ樹脂(e)とを、エポキシ基/カルボキシル基のモル比を1より大きくして反応させて得られるエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする項2に記載の感光性樹脂組成物。
4.エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)の配合量が、酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)の固形分100重量部に対して、20〜60重量部であることを特徴とする項2または3に記載の感光性樹脂組成物。
5.温度範囲120℃〜150℃の条件下で加熱硬化した際の常温(5〜35℃)での引張り弾性率が500〜1500MPa、引張り伸び率が3〜10%、動的粘弾性(DMA)分析による損失正接のピーク温度(tanδ;ピーク温度)が60〜90℃であることを特徴とする項1〜4いずれかに記載の感光性樹脂組成物。
6.項1〜5いずれかに記載の感光性樹脂組成物をフィルム基板上に積層し、紫外線を画像上に照射して露光部分を光硬化させ、未露光部分を現像により選択除去することを特徴とするレジストパターンの製造方法。
7.項6に記載のレジストパターンの製造方法により、永久マスクを形成して成るフレキシブル基板。
8.項7に記載のフレキシブル基板上に半導体チップを搭載した電子部品。
架橋密度を制御したエポキシアクリレートとポリアミドイミド樹脂を併用することにより、そり、耐折性、耐湿絶縁信頼性の特性バランスが良く、120℃の低温硬化にも対応可能な感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法、フレキシブル基板及び電子部品を提供することが可能となった。
本発明はビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂(a)に不飽和モノカルボン酸成分(b)を反応させて得られるエステル化物にさらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)を付加した付加反応生成物である酸変性ビニルエポキシ樹脂(エポキシアクリレート)(A)、光開始剤(B)、エポキシ樹脂(C)、ポリアミドイミド樹脂(D)からなる感光性樹脂組成物を提供するものである。
本発明に用いられる酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)の原材料であるエポキシ樹脂(a)としてはビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂があげられる。ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したノボラック型のエポキシ樹脂をいい、例えば、式(1)(式中、pは、1〜5を示す)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
Figure 2007279489
その製造方法に制限はないが、ビフェニル型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂にエピクロルヒドリンを反応させる公知の方法で得ることができる。上記一般式(1)で示されるビフェニル構造を有するノボラック型のエポキシ樹脂としては日本化薬株式会社製NC−3000S(pが1.7の式(1)のエポキシ樹脂)、NC−3000S−H(pが2.8の式(1)のエポキシ樹脂)が挙げられる。
不飽和基モノカルボン酸(b)としてはアクリル酸、アクリル酸のニ量体、メタクリル酸、βーフルフリルアクリル酸、βースチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、αーシアノ桂皮酸等が挙げられる。また、水酸基含有アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物が挙げられる。半エステル化合物は水酸基含有アクリレート、不飽和基含有モノグリシジルエーテルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。これら不飽和基含有モノカルボン酸(c)は、単独、または二種類以上併用して用いることができる。
不飽和基含有モノカルボン酸(b)の一例である上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、不飽和基含有モノグリシジルエーテルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。上記半エステル化合物の合成に用いられる飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
本発明におけるエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応において、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対して不飽和基含有モノカルボン酸(b)が0.8〜1.20当量となる比率で反応させることが好ましく、更には0.9〜1.10当量であることが好ましい。
エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)は有機溶剤に溶かして反応させられ、有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。更に、反応を促進させるために触媒を用いるのが好ましい。用いられる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。触媒の使用量は、エポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。反応中の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用するのが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられ、その使用量は、エポキシ樹脂(a)とおよび不飽和基含有モノカルボン酸(b)の合計100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましい。また、その反応温度60〜150℃が好ましく、80〜120℃が更に好ましい。
本発明において光硬化性樹脂である酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A)は上述のエポキシ樹脂(a)と不飽和基含有モノカルボン酸(b)を反応せしめて得られる反応生成物(A′)に飽和もしくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させることで得られる。飽和もしくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられ、これらは単独もしくは2種類以上の複数を組み合わせて使用することができる。
反応生成物(A′)と飽和もしくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)との反応において、反応生成物(A′)中の水酸基1当量に対して、飽和もしくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を0.1〜1.0当量反応させることで酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A)の酸価を調整できる。酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A)の酸価は30〜150mgKOH/gであることが好ましく、50〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満では光硬化性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性が低下し、150mgKOH/gを越えると硬化膜の電気特性、絶縁性が低下する傾向がある。反応生成物(A′)と飽和もしくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)との反応温度は、60〜120℃が好ましく、80〜100℃が更に好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤(B)としてはプリント配線板製造用の汎用露光機より紫外線を照射した際にラジカルを発生するタイプのものを用いることができる。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジ誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらは単独もしくは2種以上の複数を組み合わせて使用することができる。
上記、光重合開始剤(B)の配合量は感光性樹脂組成物100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましく、更には1〜10重量%が好ましい。配合量が0.5重量部未満では紫外線によるラジカル発生量が不足するため、感光性樹脂組成物の光硬化性が不十分となり、露光部の耐現像液性に問題が生じる。一方、配合量が20重量部を超えると、感光性樹脂層の低部に光が十分透過せず、アンダーカット等の不具合が発生する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂(C)は感光性樹脂組成物に絶縁性、耐熱性を付与する目的で使用される。その種類に特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等の汎用公知のエポキシ樹脂を用いることができる。このようなエポキシ樹脂の例としてビスフェノールA型エポキシ樹脂としてはJER株式会社製のエピコート815、828、834、1001、1009、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては東都化成株式会社製のYDPFシリーズ、新日鉄化学株式会社製のYSLV−80XY、ノボラック型エポキシ樹脂としては大日本インキ化学工業株式会社製のDEN−438、住友化学株式会社製のESCN−195、旭電化工業株式会社製のKRM−2650等を挙げることができる。
その他、例えばビフェニル型エポキシ樹脂(JER株式会社製:YX4000)、ジシクロ型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製:エピクロンHP7200)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製:エピクロン430、住友化学工業株式会社製:ELM100、120、434)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(ナガセ工業株式会社製:デナコールEX−721)、ナフタレン型エポキシ樹脂(大日本化学工業株式会社製:エピクロンHP−4032、日本化薬株式会社製:NC−7000)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製:EBPS−300、大日本インキ化学工業株式会社製:EXA−4004)等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、その配合量は酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)の固形分100重量部に対して1〜70重量部が好ましく、更には20〜50重量部が好ましい。1重量部未満では、レジスト塗膜の耐熱性、耐薬品性、絶縁性が低下する傾向にあり、70重量部を超えると感光性樹脂組成物の光硬化性が低下し、耐現像液性が低下する上に耐折性が低下する傾向にある。
本発明に用いられるエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)は有機ジイソシアネートあるいはジアミンから縮合反応により合成できる酸末端ポリアミドイミド樹脂(d)にエポキシ樹脂(e)を反応させ製造する。酸末端ポリアミドイミド(d)の合成に際しては、必要に応じてジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物等の多価カルボン酸成分を用いることもできる。
酸末端ポリアミドイミド樹脂(d)の製造に使用される多価カルボン酸成分としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ジフェニルスルホンテトラカルボキシリックジアンハイドライド等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられる。これらは単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いられるポリアミドイミド樹脂(d)の製造に使用される有機ジイソシアネートとしては4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、P−フェニレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルへキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロへキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートなどが挙げられる。これらのうちでは耐熱性の点から芳香族ジイソシアネートが好ましく、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートが特に好ましい。これらは単独で使用してもよいが、結晶性が高くなるので2種類以上を組み合わせて使用することが好ましい。
上記ジイソシアネートの代わりにジアミンも使用できる。ジアミンとしてはフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルファイド、ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。有機溶剤に対する可溶性を向上させるために2,2−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、3,3−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、4,4−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、3,8−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン等のジアミンを用いることが好ましい。これらジアミン及びジイソシアネートは単独で使用してもよいが、2 種類以上を組み合わせて使用しても良い。ただしジアミンとジイソシアネートは同時に用いると反応し、耐熱性の劣る尿素結合ができるので好ましくない。
本発明で用いられるポリアミドイミド樹脂(d)としては、ポリアルキレンオキサイドユニット及びポリカーボネートユニットから選ばれる少なくとも1 種類のポリマーユニットを分子構造中に有するカルボキシル基末端ポリアミドイミド樹脂が好ましく用いられる。ポリアミドイミド樹脂の分子構造中に導入されるポリアルキレンオキサイドユニット、ポリカーボネートユニットは、通常ポリアルキレングリコール又は、ポリカーボネートジオールの両末端カルボン酸物のようなジカルボン酸を多価カルボン酸成分として用い、ジイソシアネートと反応させポリアミドイミド骨格に導入する。ポリアルキレングリコールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAあるいは水添ビスフェノールAとこれらポリアルキレングリコールとの反応物が挙げられ、これらアルキレンオキサイドユニットは一分子中に2種以上存在していてもよい。ポリカーボネートジオールとしては直鎖状脂肪族ポリカーボネートジオールが挙げられ、プラクセルCDシリーズ(ダイセル化学工業社製)ニッポラン980、981(日本ポリウレタン工業社製)などが挙げられる。ポリカーボネートジオールの化学構造については、例えば次式で表されるものが挙げられる。
HO(ROCOO)nR−OH
(式中、Rは2価アルコール残基を表し、nは1〜10の整数である。)
特に、2価アルコール残基が、炭素数1〜100のもの、例えば、1,5−ペンタンジオール残基、メチルペンタンジオール残基、シクロヘキサノンジメタノール残基、1,6−ヘキサンジオール残基、1,9−ノナンジオール残基、2−メチル−1,8−オクタンジオール残基を有し、常温で液状のものが好適に用いられる。
ポリアルキレングリコール、ポリカーボネートジオールを両末端カルボン酸にするには、前記した多価カルボン酸成分と同様の多価カルボン酸、好ましくはジカルボン酸をポリアルキレングリコール、ポリカーボネートジオールに反応させればよい。ポリアルキレンオキサイドユニット又はポリカーボネートユニットの含有量の合計は、接着性の点からポリアミドイミド樹脂(d)中に10重量%以上、耐熱性の点から70重量%以下の使用とすることが好ましい。
カルボキシル基末端ポリアミドイミド樹脂(d)の製造において、多価カルボン酸成分はジイソシアネート成分とジアミン成分の合計に対してモル比で1以上、好ましくは1〜3、より好ましくは1.1〜1.3となるように配合し、反応させる。上記の反応はγ−ブチロラクトン等のラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶媒、テトラメチレンスルホン等のスルホン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類などの溶媒を使用し、50℃〜250℃で反応させる。反応収率、溶解性及び後工程での揮散性を考慮するとγ−ブチロラクトンを溶媒の主成分にするのがよい。
酸末端ポリアミドイミド樹脂(d)と反応させるエポキシ樹脂(e)としてはビスフェノールA 型エポキシ樹脂、ビスフェノールF 型エポキシ樹脂、ビスフェノールS 型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びその変性物、ビキシレニルジグリシジルエーテル、YDC1312(東都化成社製商品名)、テクモアVG3101(三井石油化学社製商品名)、TMH574(住友化学社製商品名)、エピコート1031S(油化シェル社製商品名)等の芳香族系エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物などが挙げられる。これらのうちでは、反応制御の点から2 官能エポキシ樹脂が好ましい。これらは単独又は2種類以上組み合わせて使用される。またこれらのエポキシ樹脂はカルボキシル基末端のポリアミドイミド樹脂とエポキシ基/カルボキシル基のモル比を1より大くして反応させる。エポキシ基/カルボキシル基のモル比が1以下では末端エポキシの樹脂が得られない。このようにして得られる変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は500〜40,000であることが好ましい。500より小さくては分子量が低く接着性が低下し、40,000を超えると分子量が高すぎるために現像性が低下する。
本発明において用いられるエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)中には水酸基が残っているが、感光特性等を考慮し、さらに、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、あるいはトリレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートと1分子中に水酸基を1個以上有する(メタ)アクリレート類例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの等モル反応物を反応させてウレタン結合を介して不飽和結合を導入しても良い。
エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)の配合量は、酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)の固形分100重量部に対して20〜60重量部が好ましく、更には30〜50重量部が好ましい。配合量が20重量部未満では感光性樹脂組成物に十分な耐折性を付与することができない。一方、配合量が60重量部を超えると現像性に問題が生じる。
感光性樹脂組成物の現像性を向上させることを目的として上記、エポキシ基含有ポリアミドイミドの一部を、エポキシ基含有ポリアミドイミド(D)のエポキシ基に不飽和モノカルボン酸成分(b)を反応せしめて得られるエステル化物にさらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)を付加した付加反応生成物である、酸変性ポリアミドイミド(D’)で置きかえることもできる。
上記、酸変性ポリアミドイミド(D’)の付加反応に用いられる不飽和モノカルボン酸成分(b)および飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)としては、エポキシ樹脂(a)から酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)を得る際に使用可能な各種の化合物を用いることができる。
また、その配合量はエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)の固形分100重量部に対して0〜100重量部が好ましく、更には0〜75重量部であることが好ましい。配合量が100重量部を超えると現像性に問題が生じる。
本発明の感光性性樹脂組成物において、必要に応じて光感度、耐現像液性を向上させる目的で、光重合性モノマーを用いることができる。光重合性モノマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、あるいはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAのポリエチレングリコールあるいはプロピレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のモノあるいは多官能(メタ)アクリレート類、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類、ジアリルフタレート等の光重合性モノマーが使用できる。これらは単独もしくは2種以上の複数を組み合わせて使用できる。
上記の光重合性モノマーの配合量は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.5〜30重量部が好ましい。配合量が0.5重量部未満では、露光感度が低いため、露光工程に多くの時間を費やすことが必要となり、基板の生産性が低下する傾向がある。一方、配合量が30重量部を超えると、可とう性や耐熱性が低下する傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物において、必要に応じて塗膜の機械強度を向上させる目的で無機フィラーを用いることができる。無機フィラーとしては、例えば硫酸バリウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、珪酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、ベントナイト、カオリン珪酸ジルコニウム、等が使用できる。これらは単独もしくは2種以上の複数を組み合わせて使用できる。
本発明の光硬化性組成物には必要に応じてフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ビスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の表面改質剤、シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤、シランカップリング剤、密着性付与剤等の公知慣用の各種添加剤を用いることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
(実施例1〜3)
酸変性ビニルエポキシ樹脂(エポキシアクリレート)(A−1)の製造例
(A−1)製造例
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコにビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂であるNC−3000S−H(エポキシ等量291g/eq)(日本化薬株式会社製:商品名)200重量部、カルビトールアセテート100重量部を仕込み、窒素雰囲気下、80℃の条件で加熱攪拌して、混合物を溶解した。次に溶液を50℃まで冷却し、酸素雰囲気下に切り替えた後、アクリル酸48重量部、メチルハイドロキノン0.2重量部、トリフェニルホスフィン1.3重量部、ソルベントナフサ38重量部を仕込み、100℃に加熱し、酸価が2(KOHmg/g)以下になるまで反応させた。次に得られた溶液を60℃まで冷却し、無水コハク酸21重量部、テトラヒドロ無水フタル酸34重量部、カルビトールアセテート20重量部、ソルベントナフサ10重量部を仕込み、80℃で所定時間反応させ、酸価58(KOHmg/g)、固形分65重量%の酸変性ビニルエポキシ樹脂(エポキシアクリレート)(A−1)を得た。
エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D−1)の製造例
(D−1)製造例
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに両末端をアミン変性したポリエチレングリコールであるPEG#1000ジアミン(平均分子量:1146)(日本油脂株式会社:商品名)173重量部、トリメリット酸57重量部を仕込み、窒素雰囲気下120℃の条件で加熱攪拌して、混合物を溶解した。次にトルエンを適量添加してフラスコ中の水分を除去した。水分を除去した後、窒素雰囲気下200℃の条件で脱トルエン反応を行ない、ポリイミド(i)を得た。次に溶液を室温まで冷却し、(i)に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)0.45重量部、トリレンジイソシアネート(TDI)(日本ポリウレタン工業株式会社製:商品名)1.26重量部、γ−ブチロラクトン28重量部を仕込み、200℃条件下で4時間保温し、ポリアミドイミドを得た。次に溶液を120℃まで冷却し、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であるYDF−2001(エポキシ当量471g/eq)(東都化成株式会社製:商品名)6.4重量部、γ―ブチロラクトン9重量部を仕込み、6時間保温した。得られたエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂の酸価は1.1(KOHmg/g)、固形分は45重量%であった。
エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D−2)の製造例
(D−2製造例)
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに両末端をアミン変性したポリエチレングリコールであるPEG#1000ジアミン(平均分子量:1146)(日本油脂株式会社:商品名)173重量部、トリメリット酸57重量部を仕込み、窒素雰囲気下120℃の条件で加熱攪拌して、混合物を溶解した。次にトルエンを適量添加してフラスコ中の水分を除去した。水分を除去した後、窒素雰囲気下200℃の条件で脱トルエン反応を行ない、ポリイミド(i)を得た。
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコにポリカーボネートジオールであるプラクセルCD220(平均分子量:2000)(ダイセル化学工業株式会社:商品名)149重量部、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)7.5重量部、トリレンジイソシアネート(TDI)(日本ポリウレタン工業株式会社製:商品名)20.9重量部、γ−ブチロラクトン118重量部を仕込み、窒素雰囲気下150℃条件下で4時間保温し、ポリカーボネート(ii)を得た。
次に攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコにポリイミド(i)52重量部、炭素数20の直鎖脂肪酸であるL−20、22重量部、γ−ブチロラクトン176重量部を仕込み、窒素雰囲気下100℃の条件で加熱攪拌して、混合物を溶解した。次に得られた溶液を70℃まで冷却し、ポリカーボネート(ii)276重量部、γ―ブチロラクトン176重量部を仕込み、窒素雰囲気下200℃条件下で3時間保温し、ポリアミドイミドを得た。
次に溶液を120℃まで冷却し、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であるYDF−2001(エポキシ当量471g/eq)(東都化成株式会社製:商品名)61重量部を仕込み、6時間保温した。得られたエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂の酸価は0.3(KOHmg/g)、固形分は46重量%であった。
酸変性ポリアミドイミド樹脂(D’−1)の製造例
(D’−1製造例)
(D−1)製造例に基づいて作製したエポキシ基含有ポリアミドイミド(D−1)371重量部、メタクリル酸3.2重量部、メチルハイドロキノン0.02重量部、トリフェニルホスフィン0.2重量部を攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに仕込み、酸素雰囲気下120℃の条件下で4時間保温し、酸価が3〜5(KOHmg/g)の範囲になるまで反応させた。次に得られた溶液を70℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸43重量部を仕込み、80℃で所定時間反応させ、酸価47(KOHmg/g)、固形分46重量%の酸変性ポリアミドイミド樹脂(D’−1)を得た。
酸変性ポリアミドイミド樹脂(D’−2)の製造例
(D’−2製造例)
(D−2)製造例に基づいて作製したエポキシ基含有ポリアミドイミド(D−2)382重量部、アクリル酸4.3重量部、メチルハイドロキノン0.05重量部、トリフェニルホスフィン0.3重量部を攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに仕込み、酸素雰囲気下120℃の条件下で4時間保温し、酸価が3〜5(KOHmg/g)の範囲になるまで反応させた。次に得られた溶液を70℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸39重量部を仕込み、80℃で所定時間反応させ、酸価41(KOHmg/g)、固形分43重量%の酸変性ポリアミドイミド樹脂(D’−2)を得た。
以上のようにして得られた酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)、エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)、酸変性ポリアミドイミド樹脂(D’)を用い、表1、2に示す配合(組成)に従って、主剤1、2(2種類)および硬化剤1、2(2種類)の樹脂組成物を、三本ロールミルを用いてそれぞれ別々に混練、作製した。得られた主剤と硬化剤は表3に示す実施例1〜3の組みあわせで、重量比75:30の比率で混合することにより、感光性組成物(レジストインク組成物)とした。
(比較例1〜4)
酸変性ビニルエポキシ樹脂(エポキシアクリレート)(A−2、A−3)として、酸価73のクレゾールノボラック型エポキシアクリレートであるPCR−1181H(固形分65%、 日本化薬株式会社製:商品名)、酸価55のビスフェノールF型エポキシアクリレートであるZFR−1158RC(固形分65%、酸価55、日本化薬株式会社製:商品名)を使用した場合、およびエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D−1)の配合量を調整した場合について実施例との比較を行なった。
表1、2に示す配合(組成)に従って、主剤3、4(2種類)および硬化剤3、4(2種類)の樹脂組成物を、三本ロールミルを用いてそれぞれ別々に混練、作製した。得られた主剤と硬化剤は表3に示す比較例1〜4の組みあわせで、重量比75:30の比率で混合することにより、感光性組成物(レジストインク組成物)とした。
Figure 2007279489
*1 チバガイギー株式会社製
*2 日本化薬株式会社製
*3 東洋インキ株式会社製
*4 信越シリコーン株式会社製
*5 日本油脂株式会社製
*6 特殊色料工業株式会社製
Figure 2007279489
*7 新日鉄化学株式会社製
*8 ジャパンエポキシレジン株式会社製
*9 日本化薬株式会社製
Figure 2007279489
(主剤:硬化剤は、重量比75:30)
実施例1〜3、比較例1〜4の感光性樹脂組成物(レジストインク組成物)の特性は以下の項目で評価した。
(感光特性)
以下の方法で感光特性評価用のサンプルを作製して評価した。
厚さ25μmのポリイミドフィルム基板(エスパネックス:新日鐵化学株式会社製:商品名)上に感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が10〜15μmとなるように塗布、乾燥(80℃/15分)する。レジストパターンを形成する箇所にΦ100μmの丸型の遮蔽部を設けたフォトマスクを介して、500〜1000mJ/cmの露光量で紫外線を照射する。次に、30±5℃に保たれた所定のアルカリ現像液で1〜3分現像することにより、未露光部分を溶解除去してレジストパターン(Φ100μmビア)を形成する。120℃で120分間熱硬化処理を行う。感光特性の評価はΦ100μmビアを顕微鏡にて観察することにより行なった。Φ100μmビアが形成可能である場合を○、ビア底部に現像残さが認められビア形成が不可能である場合を×とした。
(耐折性)
配線ピッチ間距離40μm(ライン/スペース=15μm/25μm)の導体回路(銅回路の表層に錫めっきを施したもの)を形成したメタライジング2層基材(エスパーフレックス−S:住友金属鉱山株式会社製:商品名)上に感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が10〜15μmとなるように塗布、乾燥(80℃/15分)する。以下、感光特性と同様の露光、現像、熱硬化処理を実施してサンプルを作製した。耐折性の評価はJIS P 8115に準拠した135°対向折り曲げにより行ない、回路が断線するまでの曲げ回数を評価した。
(反り特性)
厚さ25μm、大きさ50mm×50mmのポリイミドフィルム基板(エスパネックス:新日鐵化学株式会社製:商品名)上に感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が10〜15μmとなるように塗布、乾燥(80℃/15分)する。以下、感光特性と同様の露光、現像、熱硬化処理を実施してサンプルを作製した。反りの評価はn=5で行ない、その値はn=5の平均値で表した。
(耐湿絶縁信頼性)
ピッチ間距離40μm(ライン/スペース=15μm/25μm)の導体回路(銅回路の表層に錫めっきを施したもの)を形成したメタライジング2層基材(エスパーフレックス−S:住友金属鉱山株式会社製:商品名)上に感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が10〜15μmとなるように塗布、乾燥(80℃/15分)する。以下、感光特性と同様の露光、現像、熱硬化処理を実施してサンプルを作製した。評価は110℃/85%の環境に保たれた恒温恒湿 で30Vの電圧を100時間連続して印加し、回路間の絶縁抵抗値の変化を調べることにより行った。回路間の絶縁抵抗値が8乗オーダー以下となった場合を絶縁不良(耐電食性不十分:×)と判断した。
(引張り弾性率、伸び率)
厚さ50μmのPETフィルム上に感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が40〜60μmとなるように塗布、乾燥(80℃/15分)する。以下、感光特性と同様の露光、現像、熱硬化処理を実施し、PETフィルムを剥離してフィルム硬化物(引張り伸び、弾性率評価サンプル)を得た。引張り伸び、弾性率はn=5で評価し、その値はn=5の平均値で表した。
(DMA tanδピーク温度)
DMAの測定は引張り弾性率、伸び率評価用と同一のフィルム硬化物を用いた。レオロジ社製MR−500広域動的粘弾性測定装置を用いて周波数10HZ、室温(25℃)〜250℃、昇温速度10℃/分の条件で測定を実施し、tanδピーク温度(Tg:ガラス転移温度)を求めた。
以上の評価結果のまとめを表4に示す。
Figure 2007279489
従来の感光性ソルダレジスト用の感光性樹脂塑性物ではCOF実装用フレキシブル配線板で要求される、耐折性、そり特性ならびに低温硬化時の耐湿絶縁信頼性との特性バランスを保つことが困難であったが、本発明によればビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂(a)に不飽和モノカルボン酸成分(b)を反応させて得られるエステル化物にさらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)を付加した付加反応生成物である酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)、光開始剤(B)、エポキシ樹脂(C)、エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)を用いることで耐折性、そり特性ならびに低温硬化時の耐湿絶縁信頼性の特性バランスが良好な感光性樹脂組成物を得ることができる。



Claims (8)

  1. ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂(a)に不飽和モノカルボン酸成分(b)を反応させて得られるエステル化物に、さらに飽和又は不飽和多塩基酸無水物(c)を付加した付加反応生成物である酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)、光開始剤(B)、エポキシ樹脂(C)、を成分とする感光性樹脂組成物。
  2. さらにエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)が、ポリアルキレンオキサイドユニットおよびポリカーボネートユニットから選ばれる少なくとも1種のポリマーユニットを分子構造中に有するカルボキシル基末端ポリアミドイミド樹脂(d)とエポキシ樹脂(e)とを、エポキシ基/カルボキシル基のモル比を1より大きくして反応させて得られるエポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. エポキシ基含有ポリアミドイミド樹脂(D)の配合量が、酸変性ビニルエポキシ樹脂(A)の固形分100重量部に対して、20〜60重量部であることを特徴とする請求項2または3に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 温度範囲120℃〜150℃の条件下で加熱硬化した際の常温(5〜35℃)での引張り弾性率が500〜1500MPa、引張り伸び率が3〜10%、動的粘弾性(DMA)分析による損失正接のピーク温度(tanδ;ピーク温度)が60〜90℃であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の感光性樹脂組成物をフィルム基板上に積層し、紫外線を画像上に照射して露光部分を光硬化させ、未露光部分を現像により選択除去することを特徴とするレジストパターンの製造方法。
  7. 請求項6に記載のレジストパターンの製造方法により、永久マスクを形成して成るフレキシブル基板。
  8. 請求項7に記載のフレキシブル基板上に半導体チップを搭載した電子部品。



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