以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(積層構造体)
本発明の積層構造体は、アルカリ現像性樹脂組成物からなる接着層(A)と、この接着層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される保護層(B)と、を備え、保護層(B)の、硬化被膜としての室温での伸び率が2.5%以上である点に特徴を有する。
フレキシブルプリント配線板において、特に屈曲部に使用する材料については、十分な伸びを有することが必要であり、例えば、硬化被膜として、室温で20%程度の伸び率を有することが要求される。これに対し、本発明においては、フレキシブルプリント配線板に適用される材料として、接着層(A)と保護層(B)とを積層してなる積層構造体を用いるものとしたことで、保護層(B)単独の伸び率としては、単層の構造体を用いた場合と比較して低い2.5%以上程度の値を有するものであれば、屈曲部に適用するために十分な性能が得られることを見出したものである。
(保護層(B))
保護層(B)は、硬化被膜としての、室温での伸び率が、2.5%以上であることが必要であり、好適には4.0%以上であって、高いほど好ましい。保護層(B)の伸び率を2.5%以上とすることで、フレキシブルプリント配線板の屈曲部に適用した場合に、屈曲に良好に追従することができ、割れなどの不良を生ずることがない。
保護層(B)は、硬化被膜としての室温での伸び率が2.5%以上の条件を満足するものであれば、いかなる組成よりなるものであってもよく、例えば、従来からソルダーレジスト組成物として使用される、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂、エチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤および熱反応性化合物を含む光硬化性熱硬化性樹脂組成物や、カルボキシル基含有樹脂、光塩基発生剤および熱反応性化合物を含む感光性熱硬化性樹脂組成物を使用することができる。
中でも、保護層(B)は、イミド環またはイミド前駆体骨格を有するアルカリ溶解性樹脂を含む樹脂組成物からなるものとすることが好ましい。
本発明において、イミド環またはイミド前駆体骨格を有するアルカリ溶解性樹脂とは、カルボキシル基や酸無水物基などのアルカリ溶解性基と、イミド環またはイミド前駆体骨格とを有するものである。このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環またはイミド前駆体骨格の導入には、公知慣用の手法を用いることができる。例えば、カルボン酸無水物成分と、アミン成分およびイソシアネート成分のいずれか一方または双方とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。イミド化は熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して製造することもできる。
ここで、カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含めて用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独で、または、組み合わせて使用することができる。
テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’”,4,4’”−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3””,4,4””−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)などが挙げられる。
トリカルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物や核水添トリメリット酸無水物などが挙げられる。
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミンを用いることができるが、これらのアミンに限定されるものではない。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミンなどのベンゼン核1つのジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン(o−トリジン)、2,2’−ジメチルベンジジン(m−トリジン)、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのベンゼン核2つのジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−(4−フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ(4−フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン、3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミンなどの芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミンが挙げられ、脂肪族ポリエーテルアミンとしては、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール系の多価アミン等が挙げられる。また、下記のように、カルボキシル基を有するアミンを用いることもできる。
カルボキシル基を有するアミンとしては、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸類、3,5−ビス(3−アミノフェノキシ)安息香酸、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸等のアミノフェノキシ安息香酸類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル化合物、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルフォン等のジフェニルスルフォン化合物、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(カルボキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]スルフォン化合物等を挙げることができる。
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネートおよびその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類およびその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートおよびその異性体、多量体、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシシレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、あるいは芳香族ジイソシアネートを水添した脂環式ジイソシアネート類および異性体、もしくはその他汎用のジイソシアネート類が挙げられる。
以上説明したようなイミド環またはイミド前駆体骨格を有するアルカリ溶解性樹脂は、アミド結合を有していてもよい。これは、イソシアネートとカルボン酸とを反応させて得られるアミド結合であってもよく、それ以外の反応によるものでもよい。さらに、その他の付加および縮合からなる結合を有していてもよい。
また、このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環またはイミド前駆体骨格の導入には、公知慣用の、カルボキシル基および酸無水物基のうちのいずれか一方または双方を有するアルカリ溶解性ポリマー、オリゴマー、モノマーを用いてもよく、例えば、これらの公知慣用のアルカリ溶解性樹脂類を、単独で、もしくは、上記のカルボン酸無水物成分と組み合わせて、上記のアミン/イソシアネート類と反応させて得られる樹脂であってもよい。
このようなアルカリ溶解性基とイミド環またはイミド前駆体骨格を有するアルカリ溶解性樹脂の合成においては、公知慣用の有機溶剤を用いることができる。かかる有機溶媒としては、原料であるカルボン酸無水物類、アミン類、イソシアネート類と反応せず、かつこれら原料が溶解する溶媒であれば問題はなく、その構造は特に限定されない。具体的に例示すると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、カプロラクタム等のラクタム溶媒、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノ−ル、4−クロロフェノ−ル、4−メトキシフェノール、2,6−ジメチルフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレアなどが挙げられる。さらに、その他の一般的な有機溶剤、すなわち、フェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども添加して使用することができる。中でも、原料の溶解性が高いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒が好ましい。
以上説明したようなカルボキシル基または酸無水物基などのアルカリ溶解性基とイミド環またはイミド前駆体骨格を有するアルカリ溶解性樹脂は、フォトリソグラフィー工程に対応するために、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、60〜150mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が20mgKOH/g以上の場合、アルカリに対する溶解性が増加し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価が200mgKOH/g以下の場合には、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
また、このアルカリ溶解性樹脂の分子量は、現像性および硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましい。この分子量が1,000以上の場合、露光・PEB後に十分な耐現像性および硬化物性を得ることができる。また、分子量が100,000以下の場合、アルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。
イミド環またはイミド前駆体骨格を有するアルカリ溶解性樹脂を含む樹脂組成物は、光塩基発生剤を使用する場合は、通常、アルカリ溶解性樹脂に加えて、光塩基発生剤および熱反応性化合物を含有し、光重合開始剤を使用する場合は、アルカリ可溶性樹脂に加えて、光重合開始剤およびエチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する。また、樹脂成分として、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、カルボキシル基含有ノボラック樹脂などを併用してもよい。
光塩基発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、後述する熱反応性化合物の重合反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質としては、例えば、2級アミン、3級アミンが挙げられる。
光塩基発生剤としては、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。中でも、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
その他の光塩基発生剤としては、WPBG−018(商品名:9−anthrylmethyl N,N’−diethylcarbamate),WPBG−027(商品名:(E)−1−[3−(2−hydroxyphenyl)−2−propenoyl]piperidine),WPBG−082(商品名:guanidinium 2−(3−benzoylphenyl)propionate),WPBG−140(商品名:1−(anthraquinon−2−yl)ethyl imidazolecarboxylate)等を使用することができる。
α−アミノアセトフェノン化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こって、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成する。α−アミノアセトフェノン化合物の具体例としては、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、商品名、BASFジャパン社製)や4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、商品名、BASFジャパン社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379、商品名、BASFジャパン社製)などの市販の化合物またはその溶液を用いることができる。
オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であればいずれをも使用することができる。かかるオキシムエステル化合物としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、特許第4344400号公報に記載された、分子内に2個のオキシムエステル基を有する化合物も好適に用いることができる。
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報に記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
このような光塩基発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の光塩基発生剤の配合量は、好ましくは熱反応性化合物100質量部に対して0.1〜40質量部であり、より好ましくは、0.1〜30質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部/未照射部の耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。
熱反応性化合物は、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂であり、エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、公知のものをいずれも使用できる。具体的には、分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、および、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他の液状2官能性エポキシ樹脂としては、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
上記熱反応性化合物の配合量としては、アルカリ溶解性樹脂との当量比(カルボキシル基などのアルカリ溶解性基:エポキシ基などの熱反応性基)が1:0.1〜1:10であることが好ましい。このような配合比の範囲とすることにより、現像が良好となり、微細パターンを容易に形成することができるものとなる。上記当量比は、1:0.2〜1:5であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を用いることができ、例えば、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物およびキサントン化合物などが挙げられる。
また、エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知のものを用いることができ、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのモノ又はジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物若しくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物若しくはプロピレンオキサイド付加物などのアクリレート類などがある。
(接着層(A))
接着層(A)を構成するアルカリ現像性樹脂組成物としては、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能な樹脂を含む組成物であればよく、光硬化性樹脂組成物でも熱硬化性樹脂組成物でも用いることができる。好ましくは、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物を含む樹脂組成物が挙げられ、公知慣用のものが用いられる。
具体的には例えば、従来からソルダーレジスト組成物として用いられている、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含む光硬化性熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。また、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、光塩基発生剤および熱硬化成分を含む樹脂組成物を用いることもできる。かかる樹脂組成物は、光塩基発生剤から生じる塩基を触媒として、カルボキシル基を有するウレタン樹脂と熱硬化成分とを露光後の加熱によって付加反応させ、未露光部分をアルカリ溶液によって除去することによって現像が可能となるものである。
接着層(A)に用いる樹脂組成物を構成する各材料としては、公知慣用のものが用いられる他、上記保護層(B)において使用されるものも、同様に用いることができる。
本発明において、接着層(A)については伸び率は特に制限されず、高いほど好ましいが、硬化被膜として、室温において、好ましくは1〜50%、より好ましくは2〜40%である。
上記接着層(A)および保護層(B)において用いる樹脂組成物には、得られる硬化物の可撓性や指触乾燥性の向上を目的に、公知慣用の高分子樹脂を配合することができる。このような高分子樹脂としては、セルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマー、ポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系バインダーポリマー、ブロック共重合体、エラストマー等が挙げられる。この高分子樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、接着層(A)および保護層(B)において用いる樹脂組成物には、硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために、無機充填剤を配合することができる。このような無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。
さらに、接着層(A)および保護層(B)において用いる樹脂組成物には、公知慣用の着色剤を配合することができる。従来、プリント配線板における銅回路のエッジ部では、パターン層の着色力が不十分な場合、パターン層形成後の熱履歴において銅が変色し、外観上、薄い部分だけ変色して見える。代表的な熱履歴としては、マーキングの熱硬化、反り直し、実装前の予備加熱、実装などがある。このため、従来はパターン層に着色剤を多く配合して着色力を高めることにより、銅回路のエッジ部分だけ変色して見えるという問題を解消していた。しかし、着色剤は、光吸収性を有するため、光が深部にまで透過することを阻害してしまう。その結果、着色剤を含有する組成物では、アンダーカットが生じやすいため、十分な密着性を得ることが難しい。
これに対し、樹脂組成物が光塩基発生剤を含む場合、各層の深部まで塩基が化学的に増殖することにより、各層の深部まで十分硬化できるので、着色剤を含有する場合でも、銅回路の隠蔽性に優れ、かつ、密着性に優れたパターン層を形成できる。
接着層(A)および保護層(B)において用いる樹脂組成物には、樹脂組成物の調製のためや、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために、有機溶剤を使用することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
接着層(A)および保護層(B)において用いる樹脂組成物には、必要に応じてさらに、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知慣用のものを用いることができる。また、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤やレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を適宜配合することができる。
本発明の積層構造体において、接着層3は、銅回路への追従性の観点より、保護層4よりも厚い方が好ましい。
本発明の積層構造体は、フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうち少なくともいずれか一方、好適には双方に用いることができ、これにより、折り曲げに対する十分な耐久性を備えるフレキシブルプリント配線板を、コスト性および作業性を向上しつつ得ることができる。具体的には、本発明の積層構造体は、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ、ソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうち少なくともいずれか1つの用途に用いることができる。
(フレキシブルプリント配線板の製造方法)
本発明においては、フレキシブルプリント配線基板上に、上記積層構造体の層を直接またはドライフィルムを介して形成し、光照射によりパターニングして、現像液によりパターンを一括して形成して絶縁膜を形成することで、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。従来のソルダーレジスト層の単層では屈曲性などの特性が悪かったが、本発明によれば、接着層3と保護層4とからなる積層構造体とし、保護層4として、硬化被膜としての室温での伸び率が2.5%以上であるものを用いたことで、コスト性および作業性を向上しつつ、折り曲げに対する十分な耐久性を備えるフレキシブルプリント配線板用の絶縁膜を提供することが可能となった。
以下に、本発明の積層構造体から本発明のフレキシブルプリント配線板を製造する方法の一例について、接着層3および保護層4の双方について、光塩基発生剤および熱反応性化合物を含有する樹脂組成物を用いた場合に関し、図1に示す工程図に基づき説明する。なお、従来からソルダーレジスト組成物として使用されている、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含む光硬化性熱硬化性樹脂組成物を使用する場合には、ソルダーレジストと同様の工程をとることができる。
[積層工程]
積層工程は、基材上に、本発明の積層構造体を形成する工程である。図1中の積層工程は、銅回路2が形成されたフレキシブルプリント配線基材1上に、アルカリ現像型樹脂組成物からなる接着層3と、保護層4とからなる積層構造体が形成されている状態を示す。
ここで、積層構造体を構成する各層は、例えば、接着層3および保護層4を構成する樹脂組成物を、順次、基材上に塗布、乾燥することにより、接着層3および保護層4を直接形成するか、または、接着層3および保護層4を構成する樹脂組成物をそれぞれドライフィルムの形態にしたものを基材に順次にラミネートする方法により形成することができる。また、2層構造のドライフィルム形態にした積層構造体を、基材にラミネートする方法により形成してもよい。この場合、積層構造体の少なくとも片面を、フィルムで支持または保護することもできる。使用するフィルムとしては、積層構造体から剥離可能なプラスチックフィルムを用いることができる。フィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。塗膜強度の観点から、各層間の界面は、馴染んでいてもよい。
樹脂組成物の基材への塗布方法は、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の公知の方法でよい。また、乾燥方法は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等、蒸気による加熱方式の熱源を備えたものを用い、乾燥機内の熱風を向流接触させる方法、および、ノズルより支持体に吹き付ける方法等、公知の方法でよい。
ここで、基材としては、あらかじめ回路形成されたフレキシブルプリント配線基材である。また、接着層3と保護層4との間に、所期の効果に加え、さらに他の効果を得るために、さらなる層を設けてもよい。
[光照射工程]
光照射工程は、ネガ型のパターン状に、光照射にて樹脂組成物中に含まれる光塩基発生剤を活性化して、光照射部を硬化する工程である。この光照射工程では、保護層4上にマスク5を配置し、ネガ型のパターン状に光照射することにより、樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して、光照射部を硬化する。
この工程では、光照射部で発生した塩基により、光塩基発生剤が不安定化して、光塩基発生剤から塩基性物質(以下、「塩基」と略記する場合がある)が発生し、この発生した塩基によって光塩基発生剤が不安定化して、さらに塩基が発生する。このようにして塩基が発生して各層の深部まで化学的に増殖することにより、各層の深部まで十分に硬化することができると考えられる。その後の熱硬化の際には、この塩基がアルカリ現像性樹脂と熱反応性化合物との付加反応の触媒として作用しながら、付加反応が進行するため、光照射部では、各層が深部まで十分に熱硬化する。この場合の樹脂組成物の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシの開環反応であるため、光反応で進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
光照射に用いられる光照射機としては、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した光照射機、(超)高圧水銀ランプを搭載した光照射機、水銀ショートアークランプを搭載した光照射機、または、(超)高圧水銀ランプ等の紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。パターン状の光照射用のマスクは、ネガ型のマスクである。
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光または散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率良く光塩基発生剤を活性化させることができる。この範囲のレーザー光を用いるものであれば、レーザーの種類は、ガスレーザーおよび固体レーザーのいずれでもよい。また、その光照射量は膜厚等によって異なるが、一般には100〜1500mJ/cm2、好ましくは300〜1500mJ/cm2の範囲内とすることができる。
[加熱工程]
加熱工程は、加熱により光照射部を硬化するものであり、光照射工程で発生した塩基により、深部まで硬化させることができる。この加熱工程は、光照射工程の後、接着層3および保護層4を加熱することにより、光照射部を硬化する工程であり、いわゆるPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程と言われる工程である。これにより、光照射工程で発生した塩基にて各層を深部まで十分に硬化して、硬化特性に優れたパターン層を得ることができる。
例えば、加熱工程は、未照射の樹脂組成物の発熱開始温度または発熱ピーク温度よりも低く、かつ、光照射した樹脂組成物の発熱開始温度または発熱ピーク温度よりも高い温度で加熱することが好ましい。このように加熱することにより、光照射部のみを選択的に硬化することができる。
ここで、この際の加熱温度は、樹脂組成物のうち光照射部は熱硬化するが、未照射部は熱硬化しない温度であることが好ましい。加熱温度は、例えば、80〜140℃である。加熱温度を80℃以上とすることにより、光照射部を十分に硬化できる。一方、加熱温度を140℃以下とすることにより、光照射部のみを選択的に硬化できる。加熱時間は、例えば、10〜100分である。加熱方法は、上記乾燥方法と同様である。なお、未照射部では、光塩基発生剤から塩基が発生しないため、熱硬化が抑制される。
[現像工程]
現像工程は、アルカリ現像により、未照射部を除去して、ネガ型のパターン層を形成するものである。図1中の現像工程は、接着層3および保護層4をアルカリ性水溶液によって現像することにより、未照射部が除去され、ネガ型のパターン層を形成する工程を示す。現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等公知の方法によることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エタノールアミンなどのアミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液またはこれらの混合液を用いることができる。
[第2光照射工程]
現像工程の後には、第2光照射工程を含むことが好ましい。この第2光照射工程は、光照射工程のパターン層内で活性化せずに残った光塩基発生剤を活性化して、塩基を発生させるために、所望に応じて紫外線を照射する工程である。第2光照射工程における紫外線の波長および光照射量(露光量)は、上記光照射工程と同じであってもよく、異なっていてもよい。光照射量(露光量)は、例えば、150〜2000mJ/cm2である。
[熱硬化工程]
現像工程の後には、さらに、熱硬化(ポストキュア)熱硬化工程を含むことが好ましい。この熱硬化工程は、パターン層を十分に熱硬化させるために、必要に応じて熱硬化(ポストキュア)を行う工程である。現像工程の後に、第2光照射工程と熱硬化工程とをともに行う場合、熱硬化工程は、第2光照射工程の後に行うことが好ましい。
この熱硬化工程は、光照射工程、または、光照射工程および第2光照射工程によって光塩基発生剤から発生した塩基により、パターン層を十分に熱硬化させる。熱硬化工程の時点では、未照射部を既に除去しているため、熱硬化工程は、未照射の樹脂組成物の硬化反応開始温度以上の温度で行うことができる。これにより、パターン層を十分に熱硬化させることができる。加熱温度は、例えば、150℃以上である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(合成例1)
<イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂の合成>
撹拌機、窒素導入管、分留環および冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を12.2g、2,2’−ビス[4―(4―アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’−オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いで、トルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエンおよび水を留去しながら4時間撹拌して、イミド環含有アルカリ溶解性樹脂溶液を得た。その後、固形分が30質量%となるようにγ−ブチロラクトンを添加した。得られた樹脂溶液は、固形分酸価86mgKOH/g、Mw10000であった。
(合成例2)
<カルボキシル基含有ウレタン樹脂>
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールから誘導されるポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製、T5650J、数平均分子量800)を2400g(3モル)、ジメチロールプロピオン酸を603g(4.5モル)、および、モノヒドロキシル化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレートを238g(2.6モル)投入した。次いで、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート1887g(8.5モル)を投入し、撹拌しながら60℃まで加熱して停止し、反応容器内の温度が低下し始めた時点で再度加熱して80℃で撹拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm−1)が消失したことを確認して、反応を終了した。その後、固形分が50質量%となるようにカルビトールアセテートを添加した。得られたカルボキシル基含有樹脂の固形分の酸価は、50mgKOH/gであった。
<各層を構成する樹脂組成物の調製>
下記表1,2に記載の配合に従って、実施例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、接着層および保護層を構成する樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部である。
<接着層(A)の形成>
銅厚18μmの回路が形成されたフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社製のCZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前処理を行ったフレキシブルプリント配線基材に、各接着層用の樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂組成物からなる接着層(A)を形成した。なお、比較例2,3については、接着層を形成しなかった。
<保護層(B)の形成>
上記接着層(A)上に、各保護層用の樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が10μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂組成物からなる保護層(B)を形成した。なお、比較例4については、保護層(B)を形成しなかった。
各接着層(A)および保護層(B)の硬化被膜について、引張試験機(島津製作所(株)製,AGS−G100W)を用い、JIS K 7127に準拠して、引張速度1.0mm/分、23℃の条件で、伸び率(引張破壊伸び)を測定した。
<アルカリ現像性(パターニング)および折り曲げ性評価>
上記で得られた接着層および保護層を備える基材に対し、ORC社製のHMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にて、露光量500mJ/cm2で、ネガ型のパターン状に光照射した。次いで、90℃で60分間加熱処理を行った。その後、30℃・1質量%の炭酸ナトリウム水溶液中に基材を浸漬して3分間現像を行い、アルカリ現像性の可否を評価した。
次いで、熱風循環式乾燥炉を用いて150℃/60分間熱処理を行い、パターン状の硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜に対し、MIT試験(R=0.38mm/宇部興産(株)製ユーピレックス12.5μmの基材使用)を実施し、屈曲性を評価した。120cycle以上程度であれば、フレキシブルプリント配線板としての屈曲性を満足できる。
また、得られた硬化塗膜を用いてはぜ折りを行い、クラックの入る手前の回数を記録した。3回以上折り曲げられた場合を○、折り曲げ回数が2回以下であった場合を×とした。
得られた結果を、下記の表1,2中に示す。
※1:合成例1の樹脂
※2:合成例2の樹脂
※3:カルボキシル基含有ノボラック樹脂(酸価104mgKOH/g,Bis A/フェノールノボラック樹脂)
※4:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亞合成(株)製)
※5:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量900)(三菱化学(株)製)
※6:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量400)(三菱化学(株)製)
※7:オキシム型光重合開始剤(BASFジャパン社製)
※8:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(BASFジャパン社製)
※9:ビスフェノールF型変性エポキシアクリレート(日本化薬(株)製)
上記表1,2に示す評価結果から明らかなように、アルカリ現像性樹脂組成物からなる接着層(A)と、硬化被膜としての室温での伸び率が2.5%以上である保護層(B)とを積層した積層構造体を用いた各実施例のフレキシブルプリント配線板は、良好な現像性を有するとともに、伸び率の条件を満足しない比較例1、および、接着層または保護層のいずれか一方のみの単層からなる比較例2〜4のフレキシブルプリント配線板と比較して、MIT試験およびはぜ折り試験の双方において優れていることが確認された。また、実施例1と比較例2との対比から、同じ5%の伸び率であっても、単層ではなく積層の構造体とすることで、屈曲性が大幅に向上するとともに、はぜ折り性能が良化していることがわかる。