JP2007277932A - 建物用制震装置及びその設置方法 - Google Patents

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Takashi Ida
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Abstract

【課題】 中小規模から大規模までの地震に対して対応可能であるとともに、全ての方向の地震に対して対応可能であり、かつ、比較的安価に設置可能な建物用制震装置を提供すること。
【解決手段】 ケーシングと、該ケーシング内に収められた球面状凹部を有する座ゴムと、該座ゴムの上記球面状凹部に載置された球状転動子とを備えることを特徴とする建物用制震装置。
【選択図】 図2

Description

この発明は、建物に設置することにより、地震等が発生した際、建物、特に木造住宅等の揺れを減衰させ、建物の損壊等を防止することができる建物用制震装置及び該建物用制震装置の設置方法に関する。
我が国は、複雑な地殻構造の上に位置し、世界的にも地震の発生の多い国であり、歴史的に見ても大規模な地震が何度となく発生し、多くの国民の命が奪われるという甚大な被害に繰り返し見舞われてきている。このような大規模な地震の発生の際の被害は、主に建物等の倒壊によるものであり、常に国民生活を脅かす要因となっており、近年、建物に対する倒壊防止策が種々検討され、実際の建物に用いられるようになってきている。
このような地震の際の建物の揺れを減衰させて建物の倒壊を防止する方法として、免震工法、制震ゴム工法等が考えられている。
上述の免震工法とは、地震による地盤面の揺れを軽減して建物に伝えるようにするために、建物の下にローラー(鋼球)又は積層ゴム等の免震ゴムを敷設する工法であり、上記ローラー又は免震ゴムを介することにより建物を地盤面から浮かした状態で支えることにより地盤面の揺れを軽減して建物に伝えるものであり、これまで、主にビルなど大規模な建築物で採用されてきたが、最近では、住宅にも採用されてきつつある。
他方、制震ゴム工法とは、建物の壁に高減衰ゴム等の制震ゴムを使用した制震パネル等を設ける工法であり、この制震パネルが地震のエネルギーを熱に変換して吸収することにより建物の揺れを減衰させるものである。
しかしながら、上記免震工法は、免震ゴム等で建物全体を支える必要があるため、特定の業者でないと設置が困難であり、装置及び設工費用が高価となり、しかもその後保守点検費用が必要となるなど一般住宅には不向きな工法である。また、地盤の弱い地域では、適用が困難であり、さらに、長周期の地震に対しては、建物の揺れを減衰させる効果が余り発揮できないという問題もある。
また、上記制震ゴム工法は、建物の壁によって振動を減衰させる工法であるために、当該壁の面に対して平行方向に生じた振動に対しては効果が期待できるものの、異なる方向の振動に対しては減衰効果が低減し、地震のように予想不可能な方向の揺れに対応できないものである。また、中小規模から大規模までの幅広い地震動への対応が難しいという問題がある。
さらに、これら免震工法及び制震ゴム工法は、既存の建物に対して適用することは極めて困難なものであるという問題がある。
これら上記工法とは全く異なる原理を利用した工法として、球面状凹部内に球形のおもりを転動自在に載置した制振装置を用いる方法がある(特許文献1)。この装置は、ビルの屋上に設置され、ビルが振動すると球面状凹部内をおもりがビルの振動と逆位相となるように転動してビルの振動を減衰させるものである。
特開平6−307495号公報
しかしながら、球面状凹部と球形のおもりを用いた上記制振装置は、球面状凹部をおもりが方向性なく転動できるゆえに全方向の振動に対応して制震効果を発揮できるものではあるが、この制振装置をある条件で作成し、これを一般住宅等の建物に用いた場合に、いかなる振動に対しても常におもりが逆位相に転動するのではなく、時に同位相に転動する現象が生じることが判り、この技術を直ちには住宅などの小型の建物に対して適用できるものではない。この現象は、建物を構成する材質の歪み特性、振動の振幅や周期、おもりと球面状凹部とのサイズ、その間に作用する摩擦力等の関係で、おもりの転動する周期と建物の振動の周期とにズレが生じた結果と推察され、おもりが同位相に転動した場合には、反って建物の振動を助長する結果となる危険性があるのである。
また、上記制振装置の作成条件によっては、特定の周期(周波数)領域や振幅領域の振動に対してのみ制振効果が得られ、このような場合は、1〜5ヘルツという広い周波数領域で比較的大きな振幅の揺れが想定される大規模地震のような複雑な震動の全てに対応することができないのである。具体的には、鉄材が想定される規模の地震による応力に対して揺れ幅が増大するときと収束するときで歪の大きさが同じ軌道を通るという線形の歪み特性を示すのに対して、木材の場合は、異なる軌道を通るという非線形な歪み特性を示すために、鉄材を構造体とした住宅においては効果的に振動を減衰できる制振装置であっても、木造住宅など木材を構造体とした建物の場合には、この非線形的な揺れに対応できず、鉄骨等剛性材料の時と同様の減衰効果が得られない場合が生じるのである。さらに、おもりが転動するときに音が生じるものは、一般住宅には不向きである。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、中小規模から大規模までの地震に対して対応可能な建物用制震装置及び該建物用制震装置の設置方法を提供することを目的とする。また、本発明は、比較的安価且つ取り付け容易な一般住宅に好適な建物用制震装置及びその設置方法を提供することをも目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、球面状凹部と球状転動子とを用いる制振装置において、球面状凹部の凹面をゴムで形成したときには、鉄骨及び木造の両住宅において、地震のように方向性のない複雑な周期、振幅の地震による振動に対しても転動子の転動を逆位相に比較的好ましく保つことができ、しかも転動子が転動する際に生じる音を解消できることを見出した。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)の建物用制震装置及びその設置方法を提供するものである。
(1)ケーシングと、該ケーシング内に収められた球面状凹部を有する座ゴムと、該座ゴムの上記球面状凹部に載置された球状転動子とを備えることを特徴とする建物用制震装置。
(1)の発明によれば、ケーシング内に球面状凹部を有する座ゴムが設けられ、この座ゴムの球面状凹部に金属製の球状転動子が載置されているので、建物の一部に設置することにより、地震の際、上記球状転動子が建物と逆位相に同調して転動し、建物の揺れを効果的に減衰させることができ、球状転動子が転動した際に音が発生しない。
また、球面状凹部に球状転動子が載置されているので、いかなる方向の震動が生じたとしても、上記球面状凹部内を球状転動子が転動することになり、全ての方向の地震に対して対応可能である。さらに、比較的安価且つ容易に設置可能であり、しかも、既に完成した又は完成している建物に対しても取り付け可能である。
(2)上記(1)記載の建物用制震装置であって、上記座ゴムが、上記球面状凹部の球面と連続するように上方へ立ち上がる内壁を含む側壁部を有することを特徴とする。
(2)の発明によれば、座ゴムが上記球面状凹部の球面と連続するように上方へ立ち上がる内壁を含む側壁部を有するので、大きな揺れが生じたときには、上記転動子を上記内壁に衝突させることができ、この衝突の衝撃により、震動の減衰効果をより一層向上することができ、より大規模な地震に対しても効果的に震動を減衰できる制震装置とし得る。なお、このようなことから、上記内壁としては、略垂直から上記球面状凹部上に覆いかぶさるような面とするのが好ましく、特に略垂直な面とするときは、より効果的であるとともに、製造上のメリットも高くなる。また、上記座ゴムを、上記球面状凹部を有する部分と上記側壁部を有する部分との二体から形成するようにしてもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の建物用制震装置であって、上記座ゴムの上記球面状凹部の球面の半径をR、上記球状転動子の半径をrとした際、下記の式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
R−r≧17.75cm・・・(1)
(3)の発明によれば、上記式(1)を満たすように、上記座ゴムに形成された球面の半径Rと、上記球状転動子の半径rを設定しているので、振幅が大きい揺れであっても上記転動子を揺れに対して逆位相に転動させることができる。したがって、様々な振幅の震動が生じる地震に対して、より一層効果的な減衰効果を発揮し得るものとなる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の建物用制震装置であって、上記座ゴムが、損失係数が−20〜50℃の範囲において0.2以上で、反発係数が0.3以下の低反発性を有する高減衰ゴムからなることを特徴とする。
(4)の発明によれば、座ゴムを高減衰ゴム(粘弾性体)から構成しているので、広い幅の周波数(周期)の建物の揺れに対して上記転動子を逆位相の転動とすることができるとともに、建物の揺れが収束した後の上記転動子の転動を早期に収束させることができる。
また、座ゴムを高減衰ゴム(粘弾性体)から構成するとともに、上記(3)のようにR−rを17.75cm以上としたときは、木造住宅のように応力と歪みの関係が非線形特性である木材を用いた建物であっても、効果的に揺れを減衰でき建物の倒壊を防止できるのである。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の建物用制震装置を建物に設置する建物用制震装置の設置方法であって、上記球状転動子の総重量が建物の重量に対して0.2〜5%となるように設置することを特徴とする。
(5)の発明によれば、制震装置における転動子の総重量を、建物の重量に対して0.2〜5%となるようにして設置するようにしているので、建物に対する荷重負担を軽減しつつ、地震による建物の揺れに対して十分な減衰効果を得ることができる。なお、上記制震装置における転動子の総重量は、1つの制震装置によるものとしてもよいし、複数の制震装置によるものとしてもよい。また、本明細書において「建物の重量」とは、基礎の上に載っている部分の総重量のことであって、建築基準法でいうところの「固定荷重+積載荷重」として算出できるものであり、多雪地域においては、さらに積雪荷重をも考慮のうえ算出される。
本発明によれば、建物の一部に設置することにより、地震の際、上記球状転動子が建物と逆位相に同調して転動し、その慣性力で建物の揺れを減衰させることができるとともに、360度の方向の揺れに対して対応できるので、いかなる方向からの揺れが及ぶか予想できない地震に最適な制震装置を提供することができる。
また、広い幅の周波数の揺れや振れ幅の大きい揺れなどが生じる地震の揺れを効果的に減衰することができ、木造からなる建物であっても有効に機能する制震装置を提供することができる。
さらに、比較的安価に、しかも既存の建物であっても容易に設置可能な制震装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。勿論、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。
図1は、本発明に係る建物用制震装置を模式的に示す断面図であり、図2(a)は、上記建物用制震装置を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示す建物用制震装置のA−A線断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の建物用制震装置10は、ケーシング11と、ケーシング11内に収容された座ゴム16と、座ゴム16内に載置された金属製の球状転動子15からなる。
ケーシング11は、円筒部12、円筒部12の下端開口部を覆うように設けられた円盤状の底板14を備える。底板14は、円筒部12の下端周縁から鍔状に張り出したフランジ部14aを有し、フランジ部14aには、建物用制振装置10を建物に取り付けるためのボルト、釘、ビスなどを挿通するピン孔14bが等間隔に複数(8個)設けられている。また、ケーシング11は、必要に応じ、円筒部12の外周面とフランジ部14aとを接続する複数(4個)の補強リブ部13を備えている。
ケーシング11を構成する材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂、金属等を挙げることができる。また、ケーシング11の形状についても、座ゴム16を内包する空間を形成するものであれば、その形状は限定されるものではなく、例えば、直方体形状としてもよい。
本実施の形態では、底板14を用いることにより、ケーシング11を有底円筒形状としているが、座ゴム16をケーシング11内に固定又は載置できるのであれば、ケーシング11の底部が開口されているようにしてもよい。
球状転動子15は、静止時には座ゴム16の球面状凹部16aの底部に位置し、その材質としては、例えば、鉄、鉛、各種鋼材等の金属、セラミック等を挙げることができ、なかでも、後述するように、より比重の高い金属とするのがより好ましい。
座ゴム16は、ケーシング11の円筒部12の内側に収納され、球面の一部を有する球面状凹部16a及び円筒状の側壁部16bを備えている。球面状凹部16aは、円筒形状を有し、円筒部12の底部の底板14上において円筒部12内に載置又は嵌合される。側壁部16bは、球面状凹部16aの球面と連続するように上方へ立ち上がる内壁が形成されるように、球面状凹部16a上に設けられる。側壁部16bの内壁は、ほぼ垂直壁としているが、円筒部12の内側もしくは反対側に僅かに傾けて形成してもよい。なお、球面状凹部16aと側壁部16bとは、別体としてもよいし、一体成形体としてもよい。
座ゴム16の材質としては、公知のゴム材料を広く使用することができるが、損失係数が−20〜50℃の範囲において0.2以下で、反発係数が0.3以下の低反発性を有する高減衰ゴムとするのがより好ましい。この高減衰ゴムとしては、例えば、ブチル系ゴム、アクリル系ゴム等からなるものを挙げることができ、より具体的には、東洋ゴム工業(株)製のHRB060-20G4L、HRB065-20G4L、HRB060-20G4L、HRB065-20G4L、(株)ブリヂストン社製のHL060E6、HL065E6、HH060E6、HH065E6等を例示することができる。
主に横揺れからなる地震が発生し、建物が一定の周期で揺れると、建物用制震装置10では、球状転動子15が建物の揺れに対して一定の関係を持って周期的に座ゴム16(の球面状凹部16a)の表面を転がる往復運動をする。このとき座ゴム16を、変形してエネルギーを散逸可能な高減衰ゴムから構成した場合には、高減衰ゴムが、球状転動子15が転動するときの運動エネルギーを熱エネルギーに変換して発散し、衝撃を吸収するという特徴を有するゆえ、ゴムの変形により、球状転動子15の転動状態を穏やかにするとともに、建物の揺れに対して逆位相の球状転動子15の揺れ(転動)を作り出すことができ、これにより建物の揺れを低減させることができる。また、座ゴム16を高減衰ゴムから形成したときには、広い幅の周期の揺れに対しても球状転動子15を逆位相の転動とし得、種々の周期(周波数1〜5ヘルツ)で揺れる地震であっても十分な制震効果を得ることができる。
なお、図1及び図4では図示を省略しているが、図2に示すように、筒状部12の上には、その上端開口部を覆う蓋17が設置され、建物用制震装置10の搬送時、設置時等に球状転動子15がケーシング11内から飛び出さないようにしている。
このようにしてなる建物用制震装置10は、球面状凹部16a内に球状転動子15を配置する構成としているので、揺れがいかなる方向から発生しようとも、揺れの方向に沿って球状転動子15が転動でき、揺れ方向が予測できない地震に対しても対応することができる。
また、座ゴム16は、側壁部16bを備えているため、大規模地震のような大きな揺れの場合であっても、球状転動子15が側壁部16bの内壁に衝突した衝撃により揺れを一層効果的に減衰できるとともに、ケーシング11の円筒部12の破損を防止できる。
さらに、大きな振幅の揺れに対して球状転動子15を逆位相として転動させるためには、球面状凹部16aの曲率半径を大きくしてその幅を広いものとするか、建物の揺れる周期よりも球状転動子15が転動する周期を大きくするほうがよいが、本発明の建物用制震装置10では、側壁部16bを設けることにより及び/又は球面状凹部16a、さらに必要であれば側壁部16bをゴム、特に高減衰ゴムから形成することにより、座ゴム16のサイズを比較的コンパクトにして、大きな振幅の揺れに対しても球状転動子15の逆位相の転動を好ましく保つことができる。
次に、建物用制震装置10における球面状凹部16aと球状転動子15との関係について説明する。図3に、その関係の概念図を示す。本発明の建物用制震装置10では、座ゴム32の球面状凹部33に形成された球面31の曲率半径をR(cm)、球状転動子33の曲率半径をr(cm)とした際、下記の式(1)の関係を満たすことが望ましい。
R−r≧17.75cm・・・(1)
R−rを17.75cm以上としたときには、大規模地震の揺れ成分に含まれる比較的大きな振幅の揺れに対しする減衰効果をより一層発揮できる。また、R−r≧17.75cmとするとともに、上述したように座ゴム16に高減衰ゴムを用いたときには、後述するように非線形的な歪み特性を有する木造住宅であっても十分な制震効果が得られる。
本発明の建物用制震装置10を建物に設置する方法について説明する。本発明の建物用制震装置10を建物に設置する際には、その球状転動子15の総重量が建物の重量に対して、0.2〜5%とするのが好ましい。特に、0.5〜2%の範囲とした場合には、建物に対する荷重負担を必要以上に大きくすることなく、震度6程度の大規模地震に対して建物の損壊を効果的また十分に防止できる。
上記建物とこれに設置する建物用制震装置10(球状転動子15)の重量の関係から、球状転動子15はなるべく比重が高い金属から形成するのが好ましく、球状転動子5をより比重の高い材質とすることにより、建物に設置する建物用制震装置10の個数を減らしたり、建物用制震装置10の小型化を図ったりすることができる。
また、建物用制震装置10は、通常複数個により全体として上記重量比となるように建物に設置するが、設置する位置は、建物のなるべく高い部分が好ましい。図4に本発明の建物用制震装置10が設置された天井裏を模式的に示す斜視図を示す。図4に示すように、例えば、天井裏の隅の桟51等に板状の設置棚53を渡し、その上に所定個数の建物用制震装置10を設置、固定すればよい。なお、ここでは建物用制震装置10における底板53の形状を矩形状とし、その4隅で設置棚53にビス止めしてこれを設置した例を示している。また、建物用制震装置10を設置する際、建物の中心からみて、面対称、点対称、又は、回転対称となるように設置することが望ましく、上記のように天井裏に配置する場合には、例えば4隅を含めバランスよく配置するのがよい。このように配置することにより、制震効果が一部に偏ったりすることがなくなり、地震による建物の揺れを効果的に防止することができる。
以上説明した本発明の建物用制震装置10について、さらに具体例を挙げて説明する。例えば、建物用制震装置10におけるケーシング11、座ゴム16及び球状転動子15の寸法等を次のようにすることができる。ここでは、球状転動子15として曲率半径rが約6cmの鉛製の球を用い、座ゴム16として、球面状凹部16aが曲率半径Rを約27.5cmでその深さを約10cm、側壁部16bが高さ約10cmで内径約40cmとし、全体として深さ約20cmの高減衰ゴムからなるものを用いている。また、ケーシング11としては、鉄製の高さ(深さ)約30cmで、内径約44cm及び外径約46cmの円筒部12及び直径約60cmの底板14を用いている。
この例の場合、球状転動子15の1個の重さは、約10kgとなり、球面状凹部16aと球状転動子15の曲率半径の差(R−r)は約21.5cmとなる。
上記具体例の建物用制震装置10を、その球状転動子15の総重量が建物の重量に対して上記の範囲として建物に配置した場合には、揺れを約50%以上減衰させることができ、建物の崩壊を防止できる。
次に、本発明に係る建物用制震装置を設置する建物の種類について説明する。戸建住宅は、種々の工法により建築されているが、建築される住宅を2つに大別すると、柱等に鉄骨が用いられる住宅(以下、鉄骨住宅ともいう)と、柱等に主に木を用いて建てられる木造住宅とがある。
鉄骨住宅と木造住宅とでは、地震に対する揺れ方が大きく異なる。図5は、鉄柱と木柱とに力が作用した場合の応力(σ)と歪み(ε)との関係を示すグラフである。
図5に示すように、鉄柱は、応力にほぼ比例して直線を描くように弾性的な変形を示し、降伏点に達すると、その後は塑性的な変形が生じる。しかし、震度6程度の大規模な地震が発生した場合であっても、多くの場合、弾性域の直線領域で変形し、この領域での応力と歪みの関係は、応力を大きくしていったときと小さくしていったときとで歪みは同じ直線上の軌道を行き来する線形特性である。
一方、木柱の場合には、応力と歪みが比例関係ではなく、歪みは応力を大きくしていくと指数関数的に大きくなっていき、しかも応力を小さくしていったときには、大きくしていくときとは異なる軌道を通るという非線形特性となる。このような木柱の歪み特性に対し、本発明の建物用制震装置10において、座ゴム16のゴム材料として高減衰ゴムを用い、しかも球面状凹部の曲率半径Rと球状転動子の曲率半径rとの関係をR−r≧17.75cmとしたときは、効果的な減衰効果を示す。よって、木造の建物に本発明の建物用制震装置10を適用する場合には、上記のように高減衰ゴムを用い、しかも、R−rを17.75cm以上とした制震装置10を用いるのが好ましい。
このように鉄骨住宅に比べて地震による揺れ方が複雑な木造住宅に、従来の制震工法を適用した場合には、中小規模地震の制震目的と大規模地震の制震目的とを別個に設計、施工する必要があり、しかも同一の建物に中小規模及び大規模の両方に対応した制震施工を行うと、それぞれの制震効果を打ち消し合う危険性があったが、本発明では、上述したような構成の建物用制震装置10を用いることにより、木造住宅においても同一構造のもので中小規模及び大規模の両方の地震に対応することができ、これら地震における揺れを充分に減衰させることができるのである。
本発明に係る制震装置を模式的に示す断面図である。 (a)は、制震装置を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示す制震装置のA−A線断面図である。 本発明に係る建物用制震装置における球面を有する座ゴムと球状転動子との関係を概念的に示す概念図である。 本発明の建物用制震装置10が設置された天井裏を模式的に示す斜視図である。 柱に鉄と木を用いた場合の応力と歪みの関係を示すグラフである。
符号の説明
10 建物用制震装置
11 ケーシング
12 円筒部
13 補強リブ部
14 底板
14a フランジ部
14b ピン孔
15、33 球状転動子
16 座ゴム
16a 球面状凹部
16b 側壁部
17 蓋
31 球面

Claims (5)

  1. ケーシングと、該ケーシング内に収められた球面状凹部を有する座ゴムと、該座ゴムの前記球面状凹部に載置された球状転動子とを備えることを特徴とする建物用制震装置。
  2. 前記座ゴムが、前記球面状凹部の球面と連続するように上方へ立ち上がる内壁を含む側壁部を有する請求項1記載の建物用制震装置。
  3. 前記座ゴムの前記球面状凹部の球面の半径をR、前記球状転動子の半径をrとした際、下記の式(1)の関係を満たす請求項1又は2記載の建物用制震装置。
    R−r≧17.75cm・・・(1)
  4. 前記座ゴムが、損失係数が−20〜50℃の範囲において0.2以上で、反発係数が0.3以下の低反発性を有する高減衰ゴムからなる請求項1〜3のいずれかに記載の建物用制震装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の建物用制震装置を建物に設置する建物用制震装置の設置方法であって、前記球状転動子の総重量が建物の重量に対して0.2〜5%となるように設置することを特徴とする建物用制震装置の設置方法。
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