JP2007277437A - タイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】シリカ配合の耐摩耗性などを低下させることなく、トレッドゴムの粘着摩擦を高めてアイス性能を向上することのできる、混合性や加工性の良いタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】天然ゴムとブタジエンゴムとの重量比率が、天然ゴム:ブタジエンゴム=10:0〜2:8であるゴム成分100重量部に対し、シリカを20〜100重量部、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物を0.5〜10重量部、及びシランカップリング剤をシリカ重量に対して1〜20重量%含んでなることを特徴とする。
(RO)Si ・・・(1)
(式(1)中、m、nは整数で、m+n=4である。Rは炭素数5〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、氷雪路面での制動性能に優れるスタッドレスタイヤのトレッドに好適なタイヤ用ゴム組成物、及びこれをトレッドに適用したスタッドレスタイヤに関する。
氷雪路において使用される空気入りタイヤは、氷雪路面での駆動、制動性能や操縦安定性などのアイス性能を向上し安全性を確保するようにしたスタッドレスタイヤが使用されるようになっている。
スタッドレスタイヤのアイス性能に影響を与えるトレッドゴムと氷雪路面との摩擦を左右する因子としては(1)ヒステリシスロス摩擦、(2)粘着摩擦、(3)掘り起こし摩擦(引っ掻き効果)があり、凍結路面のように非常に摩擦係数の小さい路面ではヒステリシスロスによる摩擦は非常に小さく、粘着摩擦、掘り起こし摩擦の割合が重要となる。
掘り起こし摩擦力を高めるにはトレッドパターンやサイプ形状などのトレッド表面形態が重要であるが、かかるスタッドレスタイヤのトレッドゴムには、掘り起こし摩擦力を高めるために発泡ゴムの使用や有機物微粒子の混入によりトレッド表面に微少な凹凸を設けることで効果があり、また、トレッド表面と凍結路面との間に発生する水膜を排除し、粘着摩擦力を高める効果もある。
また、粘着摩擦力を高めるためには、低温でのゴム硬度を柔らかく維持して路面との接触面積を増加させることも有効な方法である。このために、充填剤の量を少なくしたり、低温でも硬化しにくいガラス転位温度の低い天然ゴムやブタジエンゴムを用いたり、軟化剤を添加することが行われているが、乾燥路面での操縦安定性や耐摩耗性の観点から限界がある。
そこで、充填剤のカーボンブラックの一部をシリカに置換し低温でのゴムのモジュラスを維持し粘着摩擦を向上する手法が多数提案されている。また、シリカ配合の凍結路面でのグリップ性を向上するためにアルコキシシラン化合物を用いたり、マスコバイトなどの無機物微粒子を配合し引っ掻き効果も向上することが提案されている(例えば、特許文献1、2など)。
特開平9−87427号公報 特開2005−60441号公報
シリカ配合は低温での低モジュラスを維持してアイス性能を向上することで実用化されつつあるが、低ガラス転移温度ゴムをゴム成分とするシリカ配合は、特に0℃以下の低温でその動的弾性率を上昇させる傾向を示し、そのためゴム硬度の上昇させ凍結路面に対する粘着摩擦を失うようになり、シリカ配合のアイス性能は未だ十分満足できるものではなく、さらなる改良が望まれている。
また、シリカはカーボンブラックに比べて補強性が低いため、シリカの多量配合は乾燥路面における耐摩耗性や操縦安定性を低下させるという問題、さらに、シリカは親水性を有し、表面がシラノール基に覆われているため強い自己凝集性を持ち、カーボンブラックに比べて分散性が不十分であることからゴムの混合性や加工性に劣るという課題を抱えている。
本発明は、シリカ配合の耐摩耗性などを低下させることなく、トレッドゴムの粘着摩擦を高めてアイス性能を向上することのできる、混合性や加工性の良いタイヤ用ゴム組成物、及びそれをトレッドに用いたスタッドレスタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ガラス転移温度の低いゴム成分によるシリカ配合に、特定の有機シラン化合物を配合し用いることで、シリカと該有機シラン化合物とが相互作用し低温での動的弾性率(E’)を低く抑えることを見出したものである。
すなわち、本発明にかかるタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴムとブタジエンゴムとの重量比率が、天然ゴム:ブタジエンゴム=10:0〜2:8であるゴム成分100重量部に対し、シリカを20〜100重量部、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物を0.5〜10重量部、及びシランカップリング剤をシリカ重量に対して1〜20重量%含んでなることを特徴とする。
(RO)Si ・・・(1)
(式(1)中、m、nは整数で、m+n=4である。Rは炭素数5〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)
本発明においては、前記シランカップリング剤がポリスルフィド結合を有する化合物であることが好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、前記ゴム成分100重量部に対し、カーボンブラックを前記シリカとの合計量で20〜120重量部含むものでもよい。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、胡桃の殻の粉砕物などの植物性粒状体がさらに配合されていてもよい。
本発明のスタッドレスタイヤは、上記タイヤ用ゴム組成物をトレッドに適用したものである。
本発明のタイヤ用ゴム組成物によれば、長鎖構造を有する有機シラン化合物がシランカップリング剤との併用によりシリカとゴム分子との結合を強固にし、ガラス転移温度の低いゴム成分でなるゴム組成物の低温での動的弾性率(E’)の上昇を抑えることで、低温でのゴム硬度を維持し粘着摩擦を高めてアイス性能を向上することができる。さらに、植物性粒状体を用いることで、引っ掻き作用によるアイス性能のさらなる向上が実現できる。
また、同時に、有機シラン化合物がシリカとゴム分子との親和性の向上に寄与し、シリカの分散性を改善し、シリカ配合の混合性、加工性を向上することも可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」という)は、ゴム成分として、天然ゴムとブタジエンゴムとの重量比率が、天然ゴム:ブタジエンゴム=10:0〜2:8であるゴムが用いられる。天然ゴムは、その一部又は全部をポリイソプレンゴムに置換し用いることができる。また、スチレンブタジエンゴムなどのジエン系合成ゴムを一部添加し用いてもよい。
本発明に用いられるシリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性並びに低転がり抵抗特性とグリップ性能の両立効果が良好である湿式シリカが好ましく、また生産性に優れる点からも好ましい。
上記シリカは、窒素吸着比表面積(BET)が100〜300m/g、DBP吸油量が150〜300ml/100gにあるものが好ましく、BETが100m/g未満であるとシリカの補強効果が得られにくくなり、300m/gを超えるとシリカの分散性が著しく低下し、加工性(混合、押出性)が悪化する傾向にあり、発熱性や耐摩耗性にも悪影響する。また、DBP吸油量を150〜300ml/100gとすることで分散性を良好に維持することができる。このようなシリカとしては、東ソーシリカ工業(株)製のニップシールAQ、VN3、トクヤマ(株)製のトクシールUR、U−13、デグサ社製のウルトラジルVN3などの市販品が使用できる。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に、DBP吸油量はJIS K6221に記載の方法に準拠し測定される。
さらに、シリカとしてはアミン類や有機高分子などで表面処理しポリマーとの親和性を改善した表面処理シリカなどを用いてもよい。
上記シリカの配合量はゴム成分100重量部に対して20〜100重量部である。シリカの配合量が20重量部未満ではシリカ配合によるアイス性能、補強効果などの作用が発揮されず本発明の目的が達せられず、100重量部を超えるとゴムのムーニー粘度や硬度が上昇し加工性が悪化し、また耐摩耗性も低下し好ましくない。
本発明のゴム組成物には、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物が配合され用いられる。
(RO)Si ・・・(1)
(式(1)中、m、nは整数で、m+n=4である。Rは炭素数5〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)
式(1)において、Rは炭素数が5〜20のアルキル基であり、飽和もしくは不飽和のアルキル基で、直鎖状でも分岐状であってもよい。
このようなアルキル基としては、例えば、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル基等が挙げられる。
これらのアルキル基の中でも炭素数が6以上が好ましく、8以上の直鎖構造であるものがより好ましい。また、Rは上記に記載のアルキル基を2種類以上含んでいてもよい。
炭素数が5未満ではRとゴム分子との反応性が不十分でありシランカップリング剤との併用効果が発現されずシリカとゴム分子との結合が不足しアイス性能や分散性が向上しない。また、炭素数が20を超えるとゴム物性への影響、特にゴム硬度の低下が予想される。すなわち、本発明にかかる有機シラン化合物は、Rが長鎖構造のアルキル基からなり、その長鎖はより長い直鎖状であることが好ましい。
一般式(1)中のRは、炭素数1〜3のアルキル基であり、すなわちメチル、エチル、プロピル基である。このRは酸素原子と結合してアルコキシル基を形成し、すなわちROはメトキシ、エトキシ、プロポキシ基のいずれかであるが、メトキシあるいはエトキシ基が好ましい。
また、一般式(1)のm,nは整数で、m+n=4である。
すなわち、一般式(1)で表される本発明にかかる有機シラン化合物としては、n=3の場合、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルメトキシシラン、ヘキサデシルエトキシシラン等が挙げられる。
n=2の場合の有機シラン化合物としては、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジオクチルジメトキシシラン、ジオクチルジエトキシシラン等が挙げられる。
n=1の場合の有機シラン化合物としては、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピルプロポキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、トリブチルプロポキシシラン等が挙げられる。
上記有機シラン化合物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して0.5〜10重量部である。配合量が、0.5重量部未満では、シリカとゴム分子との相互作用が不十分でアイス性能が向上せず、10重量部を超えると体積効果によりゴム自体が軟化し、耐摩耗性を悪化させる原因となる。
これらの有機シラン化合物は、そのアルコキシル部分がシリカのシラノール基と作用してシリカ表面を疎水化するとともに、ゴム分子との親和性及び立体効果の高い長鎖アルキル基を持つことで、さらにシランカップリング剤を併用することによりシリカとゴム分子との結合力を高めてガラス転移温度の低い天然ゴムやブタジエンゴムをゴム成分とするゴム組成物の低温での動的弾性率(E’)を上昇させることなく、低温でのゴム硬度を維持し、凍結路面に対してしなやかな粘着効果を発揮するものとなる。
また、シリカとゴム分子との親和性向上により、シリカ凝集塊が作り難くなりゴム中への分散性向上にも寄与し、ゴム混合時や加工時の作業性を改善するとともに耐摩耗性を損なうことなく、シリカ配合の特長を活かすことができる。
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、ポリスルフィド結合を有する化合物からなるシランカップリング剤の1種類以上が配合し用いられる。
上記ポリスルフィド結合を有するシランカップリング剤としては、下記一般式(2)、及び一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
(C2a+1O)−Si−(CH−S−(CH−Si−(C2a+1O) ・・・(2)
式(2)中、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数である。cはポリスルフィド部の硫黄数を表し、平均値は1.5〜3.5である。
(C2x+1O)Si−(CH−S−CO−C2z+1 ・・・(3)
式(3)中、xは1〜3の整数、yは1〜5の整数、zは5〜9の整数である。
上記式(2)で表されるシランカップリング剤は、ポリスルフィド部の平均硫黄数が1.5未満であるとシランカップリング剤とゴム分子との反応性が劣る傾向があり、3.5を超えると、加工中などにゲル化を促進するおそれがある。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルプチル)ポリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ポリスルフィドなどが挙げられる。中でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドやビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましく、市販品としては、デグサ社の「Si−69」、「Si−75」などを使用することができる。
また、上記式(3)で表されるシランカップリング剤は保護化メルカプトシランである。かかる保護化メルカプトシランは、特表2001−505225号公報に記載の方法に準拠して製造することができる。このようなシランカップリング剤としては、式(3)において、x=2、y=3、z=7である、GEシリコーンズ社の「NXT」が市販品として挙げられる。
かかるシランカップリング剤の配合量は前記シリカ量に対して1〜20重量%が好ましく、より好ましくは2〜15重量%の範囲で使用される。シランカップリング剤の配合量が1重量%未満ではシランカップリング剤自体のカップリング効果が充分でなく、かつ有機シラン化合物との相互作用も不十分となり、20重量%を超えると、やはり体積効果によりゴム組成物自体が軟化し、グリップ性能、補強性、耐摩耗性を低下させる原因となる。
また、本発明のゴム組成物においては、補強性充填剤として上記シリカと併用してカーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラックを配合することで、補強性や耐摩耗性を向上し、シリカによる混合時の発熱(スコーチ)の問題や加工性の低下を抑えることができる。
カーボンブラックとしては、ゴム組成物の低温性能、耐摩耗性やゴムの補強性などの観点から、窒素吸着比表面積(N SA)が70m /g以上、DBP吸油量が105ml/100g以上であるものが好ましく、さらにはN SAが80〜200m /g、DBP吸油量が110〜150ml/100gであるものが一層好ましく、これらの値が低くなるとゴム強度やモジュラスが低下し、逆にN SAが高くなると耐摩耗性が低下し好ましくない。具体的にはSAF,ISAF,HAF級のカーボンブラックが例示され、配合量としてはゴム成分100重量部に対してシリカとの合計量で20〜120重量部の範囲で使用される。
また、本発明のゴム組成物は、トレッドゴムに引っ掻き効果を付与する目的で、胡桃の殻の粉砕物などの植物性粒状体を配合し用いてもよい。植物性粒状体を併用することで有機シラン化合物による低温でのゴム硬度の維持との相乗作用によりアイス性能を一層向上することができる。
上記植物性粒状体は、氷の硬さより硬い、すなわちモース硬度が2以上である胡桃、椿等の種子の殻または桃、梅等の果実の核を公知の方法で粉砕して粒状体にしたもので、ゴム表面から突出し路面に対する引っ掛き効果により凍結路面での滑り防止作用を発揮することができ、ゴムとの接着性を確保するためにPFLなどで表面処理が施された粒状体であることが好ましい。
上記植物性粒状体の粒径は、100〜600μmのものが好ましく、100μm未満であるとゴム表面からの突出量が少なく引っ掛き効果が不十分であり、600μmを越えると氷に含まれる気泡の径より大きいために気泡を破壊する作用が小さくなり、また粒状体周囲のマトリックスゴムの歪みが過大になりトレッドから脱落しやすくなる。
この植物性粒状体の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、1〜30部であり、耐摩耗性確保の観点から1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部が好適である。配合量が1部より少ない場合は、凍結路面おける耐滑り性が劣り、30部より多くなると異物化し混合性や加工性が低下する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、上記ゴム成分とシリカ、有機シラン化合物、シランカップリング剤の他に、ゴム工業において通常に用いられる硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫助剤などの各種配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ適宜配合し用いることができる。
本発明のゴム組成物は、原料ゴムと上記成分に各種配合剤を配合しバンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混練機を使用して常法に従い作製することができ、スタッドレスタイヤのトレッドに好適に使用することができる。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
有機シラン化合物としては、下記3種類の有機シラン化合物A〜Cを用いた。
[有機シラン化合物]
・有機シラン化合物A:CHSi(OCH 「メチルトリメトキシシラン」
・有機シラン化合物B:C17Si(OC 「n−オクチルトリエトキシシラン」
・有機シラン化合物C:C1021Si(OCH 「n−デシルトリメトキシシラン」
[ゴム組成物の調製]
容量20リットルのバンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合処方(重量部)に従い、各ゴム組成物を調製した。表1記載の各ゴム成分、及び配合成分(共通配合成分には配合量を付記)は以下の通りである。
[ゴム成分、配合成分]
・天然ゴム:RSS#3
・ブタジエンゴム(BR):JSR(株)「BR01」
・シリカ:東ソーシリカ工業(株)「ニップシールAQ」(BET:210m/g)
・カーボンブラック(CB、N339):東海カーボン(株)「シ−ストKH」
・アロマオイル:ジャパンエナジー(株)「プロセスX−140」
・シランカップリング剤:ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社「Si−69」
・植物性粒状体:胡桃殻粉砕物(RFL処理液で表面処理済み)、日本ウォルナット(株)「ソフトグリッド#46、平均粒径300μm」
[共通配合成分]
・亜鉛華:3重量部、三井金属鉱業(株)「亜鉛華1号」
・ワックス:1重量部、大内新興化学工業(株)「サンノック」
・老化防止剤6C:2重量部、大内新興化学工業(株)「ノクラック6C」
・硫黄:1.8重量部、細井化学工業(株)「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤CZ:1.5重量部、大内新興化学工業(株)「ノクセラーCZ」
[評価]
得られた各ゴム組成物について、低温での動的弾性率(E’)を評価するとともに、各ゴム組成物を用いてキャップ/ベース構造のトレッドを有するタイヤのキャップトレッドに適用し、サイズが185/70R14 88Qの試験用スタッドレスタイヤを製造した。各試験タイヤについて、耐摩耗性とアイス性能の評価を下記の方法により行った。結果を表1に示す。
[動的弾性率(E’)]
レオロジー社製の粘弾性測定装置「E4000」を使用し、該装置に規定された形状の測定サンプルを用い、−15℃にて、周波数10Hz,初期伸張率10%、振幅±1%の条件で動的弾性率(E’)を測定した。結果を比較例1を100とした指数で表に示した。指数の小さいものほど良好である。
[耐摩耗性]
各タイヤ4本を排気量1800ccの前輪駆動式乗用車に装着し、一般乾燥路面において5,000Km毎にローテイションしながら、2万Km走行後のトレッド残溝深さから摩耗量を求めた。結果を比較例1を100とした指数で表に示した。指数の大きいものほど優れる。
[アイス性能]
各タイヤ4本を排気量1800ccの前輪駆動式乗用車に装着し、乾燥アスファルト路面にて100Kmの予備走行の後、気温−5±3℃、路面温度−5±2℃の氷上路面にて、速度40Km/hでタイヤをフルロックしその制動距離を測定した。結果を比較例1を100とした指数で表に示した。指数の大きいものほど優れる。
Figure 2007277437
表1の結果に示されるように、本発明にかかる長鎖構造を有する有機シラン化合物B、Cを含む実施例1〜3は、低温での動的弾性率を上昇させることがなく低温でのゴム硬度を確保することで、耐摩耗性を維持しながらアイス性能に優れることが分かる。しかしながら、長鎖構造を持たない有機シラン化合物Aを含む比較例2では、低温での動的弾性率が比較例1より上昇してしまい逆効果を与えてしまう。また有機シラン化合物Bの含有量が0.3重量部(比較例3)ではその効果が小さく、10重量部(実施例3)では耐摩耗性が低下傾向を示し、含有量の上限は10重量部程度であることが知られる。さらに、20重量部(比較例4)に増量すると有機シラン化合物が過剰となって異物化し耐摩耗性の悪化してしまう。また、植物性粒状体を併用した実施例4では、明らかにアイス性能向上の相乗効果が認められる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、乗用車用の小型タイヤからトラック、バス用の大型のスタッドレスタイヤに使用することができる。

Claims (5)

  1. 天然ゴムとブタジエンゴムとの重量比率が、天然ゴム:ブタジエンゴム=10:0〜2:8であるゴム成分100重量部に対し、シリカを20〜100重量部、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物を0.5〜10重量部、及びシランカップリング剤をシリカ重量に対して1〜20重量%含んでなる
    ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
    (RO)Si ・・・(1)
    (式(1)中、m、nは整数で、m+n=4である。Rは炭素数5〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)
  2. 前記シランカップリング剤がポリスルフィド結合を有する化合物である
    ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100重量部に対し、カーボンブラックを前記シリカとの合計量で20〜120重量部含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 胡桃の殻の粉砕物などの植物性粒状体がさらに配合されてなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をトレッドに適用した
    ことを特徴とするスタッドレスタイヤ。
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