JP2007275016A - サイトケラチン19(CK19)mRNAの迅速測定法、並びにそのためのプライマー及びプローブ - Google Patents
サイトケラチン19(CK19)mRNAの迅速測定法、並びにそのためのプライマー及びプローブ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】mRNAの測定方法であって、(a) プライマーを用いてのCK19 mRNAの一部分を増幅し、そして(b) 形成された増幅物を2種類のプローブを用いて検出する、ことを含んで成り;前記プライマーが、CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、であることを特徴とする方法。
【選択図】なし
Description
LAMP(loop mediated isothermal amplification)法は、増幅したい遺伝子領域の任意の6箇所の領域に対して設計された4種類のプライマーと鎖置換型DNAポリメラーゼにより、一定温度で目的遺伝子を効率よく増幅する技術である(国際公開WO00/28082号公報)。
このことは、本来は陰性となるべき結果が陽性となる「偽陽性」が生じる可能性を意味し、臨床診断に応用する際には大きな問題となる。
このような問題を回避する策として、RT-PCRでRNAを増幅する時、そのRNA領域に相当する遺伝子の領域にはイントロンが入るようにデザインすることが行われる。
臨床検体にヒト遺伝子(DNA)が混入した場合、さらに問題となるのがプロセス型偽遺伝子の存在である。偽遺伝子は遺伝子として機能しないもので、プロセス型偽遺伝子の塩基配列中にはイントロンは存在しておらず、また、mRNAと高い塩基配列の相同性があるために増幅物の大きさの差で判定することはできない。
つまり、臨床検査を目的としてCK19 mRNAをRT-PCRなどの核酸増幅法で検出する場合には、検体に混入するDNAは徹底的に排除されなければならない。言い換えると、得られた陽性結果を解釈する際、その陽性結果がCK19 mRNAによる「真の陽性」なのかそれともCK19遺伝子またはCK19偽遺伝子による「偽陽性」なのかを区別できなければ臨床検査に応用することは不可能である。
CK19mRNAをRT-PCRによって増幅・検出するためのPCRプライマーや検出プローブを報告する文献は多数あり、特にCK19偽遺伝子を増幅あるいは検出しないように工夫したことを記述した報告例もある(後記、非特許文献1〜5)。しかし、そのどれもが現在、臨床の場で要求されている迅速性を満たすものではなかった。
本発明は、ある外科手術において採取した組織や器官のサンプル中にCK19遺伝子のmRNAが存在するか否か、当該組織や器官を切除する必要か否かを、その手術中に判断することができるほど短時間に知ることが出来る手段を提供するものである。
(a) プライマーを用いてのCK19 mRNAの一部分を増幅し、そして
(b) 形成された増幅物を2種類のプローブを用いて検出する、
ことを含んで成り;
前記プライマーが、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
であり、そして前記プローブが、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3’−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子の隣接するエキソンの5'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プローブ、
である、ことを特徴とする方法を提供する。
(a) CK19 mRNAのための1組のプライマー及びCK20 mRNAのための1組のプライマーを用いて前記mRNAの一部分を増幅し、そして
(b) 形成された増幅物を、CK19 mRNAのための1組のプローブ及びCK20 mRNAのための1組のプローブを用いて検出する、
ことを含んでなり;
前記CK19 mRNAのための1組のプライマーが、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
であり;前記CK19 mRNAのための1組のプローブが、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流に隣接するCK19遺伝子のエキソンの5'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プローブ、
であり;前記CK20 mRNAのための1組のプライマーが、
−CK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第3プライマー、及び
−前記第3プライマーの下流のCK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第4プライマー、
であり;そしてCK20 mRNAのための1組のプローブが、
−前記第3プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第4プライマーが結合する領域の上流のCK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第3プローブ、及び
−前記第4プライマーが結合する領域の上流で且つ前記第3プローブが結合する領域の下流のCK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第4プローブ、
であることを特徴とする方法を提供する。
好ましい態様においては、前記CK19 mRNA及びCK20 mRNAの一部分の増幅及び前記形成される増幅物の検出は、同じ反応容器内で行われる。
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流に隣接するCK19遺伝子のエキソンの5'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プローブ、
を含んで成る組成物を提供する。
当該プライマーはCK19偽遺伝子に対する少なくとも2つのミスマッチを含んで成る部分から選択されることを特徴とする。
好ましくは、前記プライマーは配列番号2の配列から成る。
上記プライマーは、前記CK19偽遺伝子に対する少なくとも2つのミスマッチを含んで成る。前記CK19遺伝子の第2のエキソンはエキソン6である。好ましくは、前記プライマーは配列番号4のの配列から成る。
CK19遺伝子の第1のエキソンの3'−末端に位置する領域に対してハイブリダイズする、完全なCK19 mRNAの配列である配列番号5からの10〜25個の塩基から成るプローブ;及び
CK19遺伝子の第1のエキソンの下流に位置するエキソンの5'−末端に位置する領域に対してハイブリダイズする、完全なCK19 mRNAである配列番号5からの10〜25個の塩基から成るプローブ;
を提供する。
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
を有する1組のプライマー;、並びに
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域にハイブリダイズする第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流に隣接するCK19遺伝子のエキソンの5'−末端に位置する領域にハイブリダイズする第2プローブ、
を有する1組のプローブ;
を少なくとも含んで成るキット、を提供する。
CK19 mRNAの増幅のための前記プライマーが、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
を有する1対のプライマーであり;そして
検出のための前記プローブが、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域にハイブリダイズする第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流に隣接するCK19遺伝子のエキソンの5’−末端に位置する領域にハイブリダイズする第2プローブ、
を有する1対のプローブである。
ヒトDNAが検体に混入していても、CK19 mRNAに特異性の高いRT-PCRを実現するために、以下のようなデザインを基礎にしてRT-PCRの領域、PCRプライマーと検出プローブの位置を決定した。
2)遺伝子増幅する領域は上記の条件を満たし、かつ、CK19遺伝子の少なくとも1つ以上のエクソン−イントロンの境界を含むような部分を選択する。
3)ハイブリダイゼーションプローブ技術に基づき2本の検出用プローブがターゲット配列にハイブリダイゼーションする際、先に述べたエクソン−イントロンの境界が2本の検出用プローブの間にハイブリダイゼーションするようにデザインするか、もしくは2本の検出用プローブのどちらかがエクソン−イントロンの境界上にハイブリダイゼーションするようにデザインすることにより、CK19遺伝子に由来する増幅物は検出しないようにする。
本発明で提供されるPCRプライマーは、CK19 mRNAと相補的にハイブリダイズするが、CK19偽遺伝子に対してハイブリダイズする際は、そのPCRプライマーの3'−末端が少なくとも1塩基、望ましくは2塩基が相補的ではない塩基領域に設定する。
本発明は臨床診断に応用することから、リアルタイムPCRが可能となるようにPCRプライマーを設計する。具体的には、PCRプライマーのサイズは10〜25塩基、望ましくは17〜18塩基とする。GC%は45%〜55%が望ましい。Tmは45℃〜55℃、望ましくは52℃付近とする。
PCRにより増幅される領域内に検出プローブがハイブリダイズする部位を設ける。
本発明で提供される2種類の検出プローブは、それぞれPCRにより増幅されるCK19 mRNAと相補的にハイブリダイズする。
2種類の検出プローブは異なる蛍光色素で標識されたDNAオリゴヌクレオチドであり、一方をドナープローブ、他方をアクセプタープローブと呼ぶ。ドナープローブは5'−末端に蛍光色素が標識されており、アクセプタープローブは3'−末端が蛍光標識されている。
検出プローブのサイズは10〜25塩基、望ましくは18〜22塩基とする。GC%は45%〜55%が望ましい。Tmは50℃〜65℃、とするが、プライマーより5℃高くなるように設定し、且つ、アクセプタープローブのTmはドナープローブのTmより2〜3℃高くなるように設定する。
本発明で提供されるPCRプライマーと検出プローブを用いたPCRは、全てのリアルタイムPCRが可能なサーマルサイクラーで行うことができる。その際、各機械の温度管理の性能や対応する蛍光フィルターが異なるために必要に応じてPCR条件の最適化及び蛍光色素の選択が必要である。ここでは、ライトサイクラー(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を使用した場合のPCR条件について、実施例で示す。
本発明で提供される検出プローブを用いるためには、ドナープローブの蛍光色素を励起することのできる波長を発する光源、且つ、アクセプタープローブの蛍光色素の蛍光を測定できる検出器を備えているサーマルサイクラーが必要である。
ここでは、ライトサイクラー(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を使用した場合のPCR条件について、実施例で示す。
本発明のPCRプライマーと検出プローブは標的であるCK19 mRNAの増幅・検出のために必要な試薬類と併せてキット化することが可能である。
実施例1. PCRプライマーのデザイン
前述したとおり、CK19にはプロセス型の偽遺伝子が報告されている。この偽遺伝子が検体に混入した場合でも影響を受けないPCRプライマーを作成する必要がある。
この目的のために、3種のフォワードプライマー(F1〜F3)と2種のリバースプライマー(R1〜R2)を試作した。F1〜F3とR1はその3'−末端がCK19の偽遺伝子とCK19 mRNAのミスマッチ部位になるようにデザインした。R2はその塩基配列中にイントロン−エクソンの境界が存在するようにデザインした。F1及びR1はCK19偽遺伝子に対して2個のミスマッチを有し、そしてF2、F3及びR2はCK19偽遺伝子との間に1個のミスマッチを有する。
F2:CGCCAAGATCCTGAGTG(配列番号:5の塩基788〜804)(配列番号:8)
F3:GACATGCGAAGCCAATAT(配列番号:5の塩基804〜821)(配列番号:9)
R1:TGTGTCTTCCAAGGCA(配列番号:5の塩基1007〜1022)(配列番号:4)
R2:CCAAGGCAGCTTTCAT(配列番号:5の塩基999〜1014)(配列番号:10)
F1/R1、F1/R2、F2/R2、F3/R2の各プライマーの組み合わせで以下の条件にてPCRを行った。
50mM 酢酸マンガン 3.25mM
PCRプライマー 各0.25μM
Tth DNA polymerase 7.5μL/反応
CK19 mRNAまたはCK19偽遺伝子 105コピー/PCR
以上の成分が入った20μLの反応液をガラスキャピラリーに入れ、ライトサイクラーで表1に示す条件で1ステップRT-PCRを行ない、反応産物5μLを3%アガロースゲル電気泳動にて分析した。
F1/R2、F2/R2、F3/R2(R2、F2、F3ともにCK19偽遺伝子とのミスマッチは1個)ではCK19遺伝子からの増幅物と考えられるバンドは認められなかったが、CK19偽遺伝子からの増幅物は僅かに認められた。
検出プローブの工夫によって、CK19偽遺伝子からの増幅物を検出しないようにする事は難しいと判断して、CK19偽遺伝子からの増幅物はまったく認められなかったF1/R1を採用することにした。
検出プローブは2セット試作して比較した。ドナープローブ(P1とP1b)はその3'−末端をFITCで標識し、アクセプタープローブはその5'−末端をLC-Red 640(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)で標識した。
セット1
P1:GTCATGGCCGAGCAGAACC(配列番号:5の塩基825〜843)(配列番号:11)
P2:AAGGATGCTGAAGCCTGGT(配列番号:5の塩基846〜864)(配列番号:12)
セット2
P1b:AAGCCTGGTTCACCAGCCG(配列番号:5の塩基856〜874)(配列番号:6)
P2c:CTGAAGAATTGAACCGGGAGG(配列番号:5の塩基877〜897)(配列番号:7)
セット2はエクソン‐イントロンの境界が2本の検出用プローブの間にハイブリダイズするようにデザインされているが、セット1はそのようなデザインはされていない。
50mM 酢酸マンガン 3.25mM
PCRプライマー F1及びR1 各0.25μM
ドナープローブ(P1またはP1b) 25nM
アクセプタープローブ(P2またはP2c) 100nM
Tth DNA polymerase 7.5μL/反応
CK19 mRNAまたはCK19偽遺伝子 105コピー/PCR
以上の検討から、PCRプライマーでCK19偽遺伝子の増幅を排除し、検出プローブでCK19遺伝子の増幅シグナルを排除するプライマー(F1とR1)とプローブ(P1bとP2c)の組み合わせが確立された。
陽性コントロールであるCK19 mRNAと、ヒトDNA及びCK19偽遺伝子のリアルタイムRT-PCRの実施例を示す。
CK19 mRNAを段階的に10倍希釈し、105〜102コピーをライトサイクラーにて1ステップRT-PCR増幅にかけた。反応液の組成(20μL/PCR)は以下の通り。同様に、ヒトDNA 500ng、あるいはCK19偽遺伝子105コピーをRT-PCRにて増幅・検出した(所要時間は約40分)。
50mM 酢酸マンガン 3.25mM
PCRプライマー F1及びR1 各0.25μM
ドナープローブ P1b 25nM
アクセプタープローブ P2c 100nM
Tth DNA polymerase 7.5μL/反応
CK19 mRNAをRT-PCRにより増幅した場合は、その初期量に依存したPCRサイクル数で蛍光シグナルが発生するが(図1)、ヒトDNA又はCK19偽遺伝子を同様にしてPCRにかけた場合はそのような蛍光シグナルは見られない(図2)。
臨床検体を用いたCK19 mRNAのリアルタイムRT-PCRの実施例を示す。cT1N0の胃癌患者から摘出されたリンパ節のうち、病理診断で癌転移が認められたリンパ節と癌の転移が認められなかったリンパ節を選び、グアニジンチオシアネートが入った緩衝液中(600μL)にホモゲナイズした。ホモゲナイズはMagNA Lyser(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)で行った。ホモジネート450μLに蒸留水を500μL加え、これを14500x Gで遠心して上清(900μL)を新しいチューブに移した。これに5μMのビオチンラベルしたオリゴヌクレオチド(Biotin-5’-gcttcacatccctccgctgattctcttga)を2μL加えた後、37℃で10分間放置してオリゴヌクレオチドとCK19 mRNAをハイブリダイズさせた。
この抽出検体、2μLを1ステップRT-PCRにかけるが、その具体的な条件は実施例3と同じである(所要時間は約40分)。
結果を図3に示す。病理診断で癌転移が陽性であったリンパ節(#1-2)はRT-PCRで陽性であり、病理診断で癌転移が陰性であったリンパ節(#3)はRT-PCRで陰性であった。
臨床検査において、一回の測定で複数の検査項目を同時に行うことがあり、コストや労力の削減に重要である。特に、癌細胞の有無や転移の診断を行う場合、単一のマーカーの結果のみで判断することは、誤診の危険が伴う可能性がある。従って、CK19m RNAに加えて他のマーカーを同時にリアルタイムRT-PCRすることができれば、臨床診断に応用する場合にその有用性が高くなる。
CK20F ATCAAGCAGTGGTACGAAAC (配列番号:13)
CK20R AGGACACACCGAGCATTT (配列番号:14)
CK20P1 ATTACAGACAAATTGAAGAGCTGCC (配列番号:15)
CK20P2 AGTCAGATTAAGGATGCTCAACTGC (配列番号:16)
CK19 PCRプライマー F1及びR1 各0.25μM
CK19ドナープローブ P1b 25nM
CK19アクセプタープローブ P2c 100nM
CK20 PCRプライマー CK20F及びCK20R 各0.25μM
CK20ドナープローブ CK20P1 25nM
CK20アクセプタープローブ CK20P2 100nM
Tth DNA polymerase 7.5μL/反応
陽性コントロール CK19 mRNA
陽性コントロール CK20 mRNA
CK19とCK20のそれぞれのmRNAは同じ反応容器の中で増幅され、異なる検出波長(CK19については640nm、CK20については610nm)でその増幅を個別にモニターすることができた。
Claims (46)
- mRNAの測定方法であって、
(a) プライマーを用いてのCK19 mRNAの一部分を増幅し、そして
(b) 形成された増幅物を2種類のプローブを用いて検出する、
ことを含んで成り;
前記プライマーが、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
であり、そして前記プローブが、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3’−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流に隣接するCK19遺伝子のエキソンの5'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プローブ、
である、ことを特徴とする方法。 - 前記プローブが、ドナー及びアクセプターによりラベルされる請求項1に記載の方法。
- 前記ドナーが、FITC(fluorescein isothiocyanate)であり、そして前記アクセプターが、ローダミン色素及びシアニン色素から成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
- 前記第1プローブがその3'−末端でドナーによりラベルされ、そして前記第2プローブがその5'−末端でアクセプターによりラベルされる請求項2又は3に記載の方法。
- 前記ドナーがFITC(fluorescein isothiocyanate)であり、そして前記アクセプターがローダミン色素である請求項2又は3に記載の方法。
- CK19 mRNA及びCK20 mRNAの同時測定方法であって、
(a) CK19 mRNAのための1組のプライマー及びCK20 mRNAのための1組のプライマーを用いて前記mRNAの一部分を増幅し、そして
(b) 形成された増幅物を、CK19 mRNAのための1組のプローブ及びCK20 mRNAのための1組のプローブを用いて検出する、
ことを含んでなり;
前記CK19 mRNAのための1組のプライマーが、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
であり;前記CK19 mRNAのための1組のプローブが、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で、且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流に隣接するCK19遺伝子のエキソンの5'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プローブ、
であり;前記CK20 mRNAのための1組のプライマーが、
−CK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第3プライマー、及び
−前記第3プライマーの下流のCK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第4プライマー、
であり;そしてCK20 mRNAのための1組のプローブが、
−前記第3プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第4プライマーが結合する領域の上流のCK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第3プローブ、及び
−前記第4プライマーが結合する領域の上流で且つ前記第3プローブが結合する領域の下流のCK20遺伝子上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第4プローブ、
であることを特徴とする方法。 - 前記CK19 mRNAの検出のためのプローブがドナー及びアクセプターによりラベルされ、そして前記CK20 mRNAの検出のためのプローブがドナー及びアクセプターによりラベルされ、ここでCK19ドナー/アクセプター対が前記CK20ドナー/アクセプター対とは異なる、請求項6に記載の方法。
- 前記CK19 mRNAの検出のための1組のプローブ及び前記CK20 mRNAの検出のための1組のプローブが同じドナーでラベルされ、他方前記CK19 mRNAの検出のためのアクセプターは前記CK20 mRNAの検出のためのアクセプターとは異なる、請求項6に記載の方法。
- 前記第1プローブ及び第3プローブがそれらの3'−末端でドナーによりラベルされ、そして前記第2プローブ及び第4プローブがそれらの5'−末端でアクセプターによりラベルされる、請求項7又は8に記載の方法。
- 前記ドナーが、FITCであり、そして前記アクセプターが、ローダミン色素及びシアニン色素から成る群から選択される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ドナーがFITCであり、そして前記アクセプターがローダミン色素である請求項8に記載の方法。
- 前記CK19 mRNA及びCK20 mRNAの一部分の増幅及び前記形成される増幅物の検出が、同じ反応容器内で行われる、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
- CK19 mRNAの検出のために有用な組成物であって、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子の隣接するエキソンの5'−末端に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プローブ、
を含んで成る組成物。 - CK19遺伝子の第1のエキソンであるエキソン4上に位置する領域にハイブリダイズする、配列番号1からの10〜25個の塩基から成るプライマー。
- CK19偽遺伝子に対する少なくとも2つのミスマッチを含んで成る請求項14に記載のプライマー。
- 前記プライマーが配列番号2の配列からなる、請求項14に記載のプライマー。
- エキソン4の下流のCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域にハイブリダイズする、配列番号3からの10〜25個の塩基から成るプライマー。
- 前記CK19偽遺伝子に対する少なくとも2つのミスマッチを含んで成る、請求項17に記載のプライマー。
- 前記CK19遺伝子の第2のエキソンがエキソン6である、請求項17又は18記載のプライマー。
- 前記プライマーが配列番号4の配列から成る請求項19記載のプライマー。
- CK19 mRNAの一部分の増幅のために有用な請求項14〜20のいずれか1項に記載の少なくとも1つのプライマーを含んで成るプライマーの組合せ。
- 前記少なくとも1つのプライマーの配列が、その3'−末端で前記偽遺伝子に対する少なくとも1つのミスマッチを含んで成る請求項21に記載のプライマーの組合せ。
- CK19遺伝子の第1のエキソンの3'−末端に位置する領域に対してハイブリダイズする、配列番号5からの10〜25個の塩基から成るプローブ。
- CK19遺伝子の第1のエキソンの下流に位置するエキソンの5'−末端に位置する領域に対してハイブリダイズする、配列番号5からの10〜25個の塩基から成るプローブ。
- 前記プローブが、請求項21又は22に記載のプライマーの組合せを用いて得られる増幅物に対してハイブリダイズする請求項23に記載のプローブ。
- 前記プローブが、請求項21又は22に記載のプライマーの組合せを用いて得られる増幅物上の請求項14に記載のプライマーの下流に位置し、且つ隣接するエキソンに対してハイブリダイズする、請求項24に記載のプローブ。
- 前記CK19遺伝子の第1のエキソンがエキソン4である、請求項23に記載のプローブ。
- 前記CK19遺伝子の第1のエキソンの下流に位置するエキソンがエキソン5である、請求項24に記載のプローブ。
- 前記プローブが配列番号6の配列から成る請求項27に記載のプローブ。
- 前記プローブが配列番号7の配列から成る請求項28に記載のプローブ。
- CK19 mRNAの検出のために有用な請求項23〜30のいずれか1項に記載のプローブの組合せ。
- 前記プローブがドナー及びアクセプターによりラベルされる、請求項23〜30のいずれか1項に記載のプローブの組合せ。
- 前記ドナーが、FITCであり、そして前記アクセプターが、ローダミン色素及びシアニン色素から成る群から選択される、請求項32に記載のプローブの組合せ。
- 前記第1プローブがその3'−末端でドナーによりラベルされ、そして前記第2プローブがその5'−末端でアクセプターによりラベルされる、請求項32に記載のプローブの組合せ。
- 前記ドナーがFITCであり、そして前記アクセプターがローダミン色素である請求項32に記載のプローブの組合せ。
- CK19 mRNAの増幅及び検出のためのキットであって、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
を有する1組のプライマー;、並びに
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域にハイブリダイズする第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子の隣接するエキソンの5'−末端に位置する領域にハイブリダイズする第2プローブ、
を有する1組のプローブ;
を少なくとも含んで成るキット。 - 前記プライマー対が、混合物に含まれる請求項36記載のキット。
- 前記プローブ対が、混合物に含まれる請求項36記載のキット。
- 前記プライマー対及び前記プローブ対が、混合物に含まれる請求項36記載のキット。
- さらに緩衝溶液を含む請求項36〜39のいずれか1項記載のキット。
- CK19 mRNA及びCK20 mRNAを同時に増幅し、そして個別に検出するためのキットであって、2対のプライマー及び2対のプローブを少なくとも含んで成り、ここで前記プローブがCK19 mRNA及びCK20 mRNAのために異なってラベルされるキット。
- CK19 mRNAの増幅のための前記プライマーが、
−CK19遺伝子の第1のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第1プライマー、及び
−前記第1のエキソンの下流に位置するCK19遺伝子の第2のエキソン上に位置する領域へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有する第2プライマー、
を有する1組のプライマーであり;そして
検出のための前記プローブが、
−前記第1プライマーが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子のエキソンの3'−末端に位置する領域にハイブリダイズする第1プローブ、及び
−前記第1プローブが結合する領域の下流で且つ前記第2プライマーが結合する領域の上流のCK19遺伝子の隣接するエキソンの5’−末端に位置する領域にハイブリダイズする第2プローブ、
を有する1組のプローブである請求項41に記載のキット。 - 前記プライマー対が、混合物に含まれる請求項41又は42に記載のキット。
- 前記プローブ対が、混合物に含まれる請求項41又は42に記載のキット。
- 前記プライマー対及び前記プローブ対が、混合物に含まれる請求項41又は42に記載のキット。
- さらに緩衝溶液を含む請求項41〜45のいずれか1項記載のキット。
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