JP7085235B2 - 膵がん診断キット - Google Patents

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Description

本発明は、膵がんに対して高い感度と特異性を示すマーカー、当該マーカーを検出する膵がん診断キット、および、当該マーカーを利用して膵がんの進行を評価するための方法に関するものである。
「腫瘍」とは異常に増殖した細胞を指し、その異常増殖の原因が消失あるいは取り除かれても細胞の増殖が持続する状態をいう。腫瘍の中でも良性腫瘍は腫瘍の増殖が遅く、転移はしない。よって、一般的には切除すれば問題は無く、たとえ切除せずに放置しておいても命に別状はないといえる。一方、悪性腫瘍、即ちがんは、良性腫瘍とは異なり急速に増殖する上に、リンパ節や他の臓器に転移して増殖する。よって、例えば外科的手術により除去しても、僅かにでも残留したがん細胞や、既にリンパ節や他の臓器に転移していたがん細胞が再び増殖を開始することがある。よって、がんはいったん治療が終了した後の予後が悪く、各がんにおいては5年後生存率が調査されており、一般的に、治療によりがんが消失したとされてから5年経過後までに再発がない場合がようやく治癒と見なされる。
膵がんは、がんの中で最も予後が悪いといわれている。その原因としては、膵臓が後腹膜臓器であるために早期発見が困難であることに加え、膵がん細胞の運動性がきわめて高いため、例えば2cm以下の小さながんであっても、周囲の血管、消化管、神経などへすぐに浸潤し、また、近くのリンパ節に転移したり、肝臓などへ遠隔転移したりすることが挙げられる。よって、膵がんの進行を評価することは非常に重要である。
がんの進行を評価するには生検が正確であるが、生検は患者に苦痛を与える。そこで一般的には、予備的にがんマーカーを用いた検査が行われる。がんマーカーとは、がんにより生体内で特異的に産生される物質であり、その体液中量を測定することによりがんの進行を評価することができる。例えば膵がんマーカーとしてはCA125、CA19-9、CEA、エラスターゼ1、SLX、STNが使われており、CA19-9が最も一般的である。
しかし従来のがんマーカーも、感度や特異性などの面で完全なものはないことから、より優れたがんマーカーの研究が行われている。最近は、例えば特許文献1に記載の発明のように、miRNA(マイクロRNA)をがんマーカーとして開発することが盛んである。
特開2015-51011号公報
上述したように、がんマーカーは実際の臨床でも用いられているが、より高い感度や特異性を示すマーカーは常に求められている。例えば、特許文献1に記載のマーカーは「乳がんを除くがん」を対象とするものであり、この点で特異性は低いといえる。
そこで本発明は、膵がんに対して高い感度と特異性を示すマーカーを提供することを目的とする。また、本発明は、当該マーカーを検出する膵がん診断キット、および、当該マーカーを利用して膵がんの進行を評価するための方法を提供することも目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、膵がん細胞に特徴的な葉状仮足に集積するRNAのうち特定のものが膵がんマーカーとして極めて有用であることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] CCDC88A mRNA、SNORA14B snoRNA、SNORA25 snoRNA、SNORA22 snoRNA、SNORD22 snoRNA、SNORA74A snoRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNAおよびWASF2 mRNAからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする膵がんマーカー。
[2] 下記塩基配列1~3のいずれかを有する上記[1]に記載の膵がんマーカー。
塩基配列1: 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25からなる群より選択される1または2以上の塩基配列;
塩基配列2: 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25からなる群より選択される1または2以上の塩基配列において、1以上10以下の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列であり、且つ、膵がん患者の体液中に見出されるRNAの塩基配列;
塩基配列3: 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25からなる群より選択される1または2以上の塩基配列に対して95%以上の配列同一性を有する塩基配列であり、且つ、膵がん患者の体液中に見出されるRNAの塩基配列。
[3] 特定のRNAを検出するための膵がん診断キットであって、
上記RNAが、CCDC88A mRNA、SNORA14B snoRNA、SNORA25 snoRNA、SNORA22 snoRNA、SNORD22 snoRNA、SNORA74A snoRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNAおよびWASF2 mRNAからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせであり、
上記RNAのcDNAの塩基配列の一部に相補的なフォワードプライマーおよびリバースプライマー、並びに、
PCRにより合成される二本鎖RNAに結合する蛍光インターカレーター、および、上記RNAの塩基配列の一部の相補配列を有する蛍光プローブから選択される少なくとも一方の蛍光化合物を含むことを特徴とする膵がん診断キット。
[4] 上記塩基配列の一部に相補的なフォワードプライマーおよびリバースプライマーの塩基配列が、それぞれ、配列番号2と配列番号3、配列番号5と配列番号6、配列番号8と配列番号9、配列番号11と配列番号12、配列番号14と配列番号15、配列番号17と配列番号18、配列番号20と配列番号21、配列番号23と配列番号24、および、配列番号26と配列番号27の塩基配列の組み合わせからなる群より選択される1または2以上である上記[3]に記載の膵がん診断キット。
[5] 膵がんの進行を評価するための方法であって、
CCDC88A mRNA、SNORA71B snoRNA、SNORA18 snoRNA、SNORA14B snoRNA、SNORD22 snoRNA、SNORA74A snoRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNAおよびWASF2 mRNAからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせの試料中の量を測定する工程を含むことを特徴とする方法。
[6] 上記試料として血液試料を用いる上記[5]に記載の方法。
[7] 上記RNAの量をリアルタイムRT-PCRで測定する上記[5]または[6]に記載の方法。
本発明に係る膵がんマーカーは、膵がん細胞に特徴的な葉状仮足に集積するRNAである。また、RNAではあっても、エクソソームに内包された状態で膵がん細胞外へ放出されることが本発明者により見出されている。よって、本発明に係る膵がんマーカーを検出対象とすれば、高い感度と特異性をもって膵がんの進行を評価できることから、本発明マーカーは、CA19-9など従来の腫瘍マーカーにとって代わり得るものであるといえる。
図1は、血液中のCCDC88A mRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。各群の中央値は、膵がん患者群で15.19(2.44~175.81,4分位範囲:15.02)、非膵がん患者群で6.52(0.5~12.41,4分位範囲:4.51)である。また、リアルタイムRT-PCRにより得られた膵がん患者群と非膵がん患者群との間で相対質量に有意差があるかをマン・ホイットニ U検定で検討したところ、p=0.008673で有意差を認めた。 図2は、膵がん細胞内におけるCCDC88A mRNAの所在を確認するための蛍光写真である。(1)はCCDC88A mRNA(緑色)の存在を示す蛍光写真であり、(2)はエクソソームマーカーであるCD63(赤色)の存在を示す蛍光写真であり、(3)は核(青色)の存在を示す蛍光写真に(1)と(2)の蛍光写真を重ね合わせた写真である。 図3は、血液中のCCDC88A mRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図4は、血液中のSNORA14B snoRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図5は、血液中のSNORA25 snoRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図6は、血液中のSNORA22 snoRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図7は、血液中のSNORD22 snoRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図8は、血液中のSNORA74A snoRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図9は、血液中のARF6 mRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図10は、血液中のVAV3 mRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図11は、血液中のWASF2 mRNAをワンステップリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図12は、マーカーとしてCCDC88A mRNAを用いた場合のROC曲線である。 図13は、従来の膵がんマーカーであるCA19-9単独、CCDC88AとSNORA14Bとの組み合わせ、CCDC88AとSNORA14BとCA19.9との組み合わせを膵がんの診断に用いた場合のROC曲線である。 図14は、UICCステージごとの血液中のCCDC88A mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図15は、UICCステージごとの血液中のARF6 mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図16は、UICCステージごとの血液中のVAV3 mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図17は、UICCステージごとの血液中のWASF2 mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図18は、UICCステージごとの血液中のCA19-9をリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフである。 図19は、ステージIIAとIIBの膵がん症例とコントロール群の血液中のCCDC88A mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフとROC曲線である。 図20は、ステージIIAとIIBの膵がん症例とコントロール群の血液中のARF6 mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフとROC曲線である。 図21は、ステージIIAとIIBの膵がん症例とコントロール群の血液中のVAV3 mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフとROC曲線である。 図22は、ステージIIAとIIBの膵がん症例とコントロール群の血液中のWASF2 mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフとROC曲線である。 図23は、ステージIIAとIIBの膵がん症例とコントロール群の血液中のCA19-9をリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフとROC曲線である。
1. 膵がんマーカー
本発明に係る膵がんマーカーは、膵がん細胞の葉状仮足に集積する特定のRNAである。当該RNAを検出対象とすることにより、高い感度と特異性をもって膵がんの進行を評価することができる。
本発明に係る膵がんマーカーは、CCDC88A mRNA、SNORA14B snoRNA、SNORA25 snoRNA、SNORA22 snoRNA、SNORD22 snoRNA、SNORA74A snoRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNAおよびWASF2 mRNAから選択される。本発明に係る膵がんマーカーは、これらから1種のみ選択してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の上記RNAを組み合わせることによって、より高い感度と特異性をもって膵がんの進行を評価できる可能性がある。
膵がん細胞は運動性が高く転移し易いという特徴を有しており、葉状仮足(lamellipodia)という細胞の運動性に関与する突起部位を有する。本発明に係るマーカーである特定のRNAは、膵がん細胞の葉状仮足に集積している。しかも、上記RNAは、エクソソームに内包された状態で膵がん細胞外へ放出されることが本発明者により見出されている。よって、被験者の体液試料における上記RNA量を測定することにより、膵がんの進行を高い感度と特異性をもって評価することが可能である。
さらに、現在、膵がんマーカーとして主に使用されているCA19-9は、膵がんなどの進行に伴って増加する細胞膜糖脂質由来の糖鎖に対する抗体であるので、早期膵がんや小さな膵がんに対する感度が低いのに対して、本発明に係る膵がんマーカーは上記のとおり膵がん細胞に特徴的なRNAであることから、早期膵がんや小さな膵がんに対しても高い感度を示す可能性がある。
本発明に係るマーカーの一つであるCCDC88A mRNAに加え、SNORA14B snoRNA、SNORA25 snoRNA、SNORA22 snoRNA、SNORD22 snoRNA、SNORA74A snoRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNAおよびWASF2 mRNAも、CCDC88A mRNAと同様に膵がん細胞の葉状仮足に集積し、エクソソームに内包された状態で膵がん細胞から分泌され、また、予備的実験によりCCDC88A mRNAと同様の効果が確認されていることから、膵がんマーカーとして有用であると考えられる。
本発明マーカーであるCCDC88A mRNA、SNORA14B snoRNA、SNORA25 snoRNA、SNORA22 snoRNA、SNORD22 snoRNA、SNORA74A snoRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNAおよびWASF2 mRNAは、一般的に、それぞれ配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25の塩基配列を有する。体液中に見出される上記RNAは、膵がん患者によっては、上記塩基配列に加えて別の配列を有していたり、上記塩基配列の一部に変異が生じている可能性がある。即ち、本発明範囲には、RNAが以下の塩基配列を有する場合が含まれるものとする。
塩基配列1: 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25からなる群より選択される1または2以上の塩基配列;
塩基配列2: 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25からなる群より選択される1または2以上の塩基配列において、1以上10以下の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列であり、且つ、膵がん患者の体液中に見出されるRNAの塩基配列;
塩基配列3: 配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25からなる群より選択される1または2以上の塩基配列に対して95%以上の配列同一性を有する塩基配列であり、且つ、膵がん患者の体液中に見出されるRNAの塩基配列。
上記塩基配列2において、欠失、置換および/または付加の数としては、8以下または6以下が好ましく、5以下または4以下がより好ましく、2以下がよりさらに好ましい。上記塩基配列3における配列同一性としては、96%以上または98%以上が好ましく、99%以上がより好ましく、99.5%以上または99.8%以上がよりさらに好ましい。なお、snoRNAに比べてmRNAは塩基数が多いため、snoRNAとmRNAとの間で上記変異数や配列同一性が異なっていてもよいものとする。例えば、snoRNAに比べて、mRNAの上記変異数は多くてもよく配列同一性は低くてもよい。
上記塩基配列2および塩基配列3において、欠失、置換および/または付加の有無や位置、並びに配列同一性は、配列の直接の比較によって解析することが可能であり、具体的には、市販の配列解析ソフトウェア等を用いて解析することができる。
但し、膵がん細胞の葉状仮足に集積するRNAに関する研究例は少なく、これまで本発明に係るmRNAとsnoRNAが上記塩基配列以外の塩基配列を有するとの報告は無いので、本発明に係るRNAの塩基配列は、上記の配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および配列番号25からなることが好ましい。
なお、以下において、本発明に係る配列番号1の塩基配列を有するCCDC88A mRNAの説明は、その他の上記RNAにもあてはまるものとする。
なお、本発明において上記「感度」とは、膵がんに対する感度であって、例えば、上記RNAを検出対象とした場合に膵がん患者が陰性と判断される確率が低いことをいう。また、本発明において上記「特異性」とは、膵がんに対する特異性であって、上記RNAの量と膵がんの有無との間に強い相関性がある一方で、上記RNAの量が、膵がん以外のがん種のみならず、膵のう胞性腫瘍(IPMN)など良性の膵臓腫瘍の有無との相関性が無いか或いは低いことをいう。
2. 膵がんの進行の評価方法
次に、上記膵がんマーカーを検出対象とする、膵がんの進行の評価方法を、工程毎に説明する。なお、本発明における「膵がんの進行の評価」には、膵がんの進行度合いの評価の他に、膵がんの有無の判断も含むものとする。
(1) 試料の取得工程
本工程では、被験者から試料を取得する。ここでの試料とは、血液、リンパ液、尿など被験者の体液に加えて、血清や血漿など、採取した体液を処理したものをいう。
本工程で用いる試料としては、血液試料が好ましい。血液試料は、上記の血液自体、血清または血漿をいう。
(2) RNA量の測定工程
本工程では、上記mRNAおよび/またはsnoRNAの採取試料中の量を測定する。測定する量としては、所定量の試料中における上記RNAの絶対量のみならず、試料中における上記RNAの濃度であってもよい。
測定手段としては、試料中の上記RNAの量を測定できるものであれば特に制限されない。例えば、リアルタイムRT-PCR、ELISA、マイクロアレイ解析、ノーザンブロットなどを挙げることができる。これらは常法により実施することが可能である。上記測定手段の中では、低コストで簡便に実施可能であることからリアルタイムRT-PCRが特に好ましい。以下、リアルタイムRT-PCRにつき代表的に説明する。
(2-1) 逆転写反応
本発明では、試料中の上記RNAの量を測定するので、PCRを行うには、先ず、逆転写反応により試料中の上記RNAからcDNAを合成する必要がある。
逆転写反応で用いるプライマーとしては、本発明に係る上記RNAを全長にわたって逆転写するためのオリゴdTプライマーもしくはランダムプライマー、または、続くPCRで用いる遺伝子特異的プライマーのうちリバースプライマーを用いることができる。なお、後記のワンステップRT-PCRの場合には、本発明に係る上記RNAに対する特異的なリバースプライマーを用いる必要がある。
本工程では、本発明に係る上記RNAに特異的なプライマーを用いて当該RNAを逆転写する。逆転写反応の条件は、常法に従えばよい。
(2-2) リアルタイムRT-PCR
次に、本発明に係る上記RNAから逆転写されたcDNAを鋳型として用い、リアルタイムPCRを行う。リアルタイムRT-PCRとしては、逆転写反応とPCRをワンポットで連続して行うワンステップリアルタイムRT-PCRと、逆転写反応の反応液を別の反応器に分注してPCRを行うツーステップリアルタイムRT-PCRとがある。
ツーステップリアルタイムRT-PCRは、ワンステップリアルタイムRT-PCRに比べて反応性が良いとされている。一方、ワンステップリアルタイムRT-PCRは、逆転写反応とPCRをワンポットで連続的に行うため、多くの試料につき効率的に測定を行うことが可能である。
リアルタイムPCRで用いるプライマーは、上記RNAのcDNAの塩基配列の一部に相補的なものであり、上記RNAの全部または一部に対応するcDNAを増幅可能なものを設計する。例えば、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、配列番号19、配列番号22および/または配列番号25の塩基配列に特徴的な塩基配列を増幅できるものを設計する。また、一般的には、増幅されるDNAのサイズが80bp以上150bp程度となるプライマーセットを用い、各プライマーの長さを17塩基以上25塩基以下程度とすることが好ましい。増幅されるDNAのサイズが80bp以上150bp程度であれば、高い増幅効率が得られ、各プライマーの長さが17塩基以上25塩基以下程度であれば、十分な特異性が確保でき且つ合成も容易である。さらに、プライマー内での二次構造の形成やプライマー間の相補鎖形成を防ぐためにプライマー内部やプライマー間で3塩基以上相補しないようにしたり、フォワードプライマーとリバースプライマーのTm値をそろえたり、BLAST検索などにより各プライマーの特性を確認することも重要である。
本発明に係る膵がんマーカーの一つであるCCDC88A mRNAを検出するために用いられる好適なプライマーとしては、配列番号2(フォワードプライマー)および配列番号3(リバースプライマー)の塩基配列を有するプライマーを挙げることができる。また、その他の本発明に係る上記RNAを定量する場合には、配列番号5と配列番号6、配列番号8と配列番号9、配列番号11と配列番号12、配列番号14と配列番号15、配列番号17と配列番号18、配列番号20と配列番号21、配列番号23と配列番号24、および、配列番号26と配列番号27の塩基配列を有するプライマーを好適に用いることができる。フォワードプライマーとリバースプライマーのセットとしては、上記組み合わせから1種のみ選択してもよいし、2種以上を選択してもよい。
本発明では、上記RNAの量に加えて、従来の膵がんマーカーであるCA19-9の量も合わせて測定することによって、より高い感度と特異性をもって膵がんの進行を評価できる可能性がある。また、本発明では、CCDC88A mRNAとSNORA14B snoRNAとの組み合わせなど、上記RNAの中から特定の2種以上の量を測定することによって、より高い感度と特異性をもって膵がんの進行を評価できる可能性がある。よって、リアルタイムRT-PCRにおいて、2種以上のRNAの量を同時に測定することが好ましい。その場合には、逆転写反応において、2種以上のRNAの量を測定するためのリバースプライマーのうちより3’末端側のリバースプライマーを用いるか、或いは、ツーステップリアルタイムRT-PCRを行う場合には、逆転写反応においてオリゴdTプライマーまたはランダムプライマーを用いて目的のRNAの全長を逆転写する必要がある。
リアルタイムPCRでは、増幅産物の量を蛍光強度により測定する。よって、PCRにより合成される二本鎖RNAに結合する蛍光インターカレーター、または、増幅すべきDNAの塩基配列の一部の相補配列を有する蛍光プローブの存在下で反応を行う。
蛍光インターカレーターは、蛍光標識基を有し、且つPCRにより生成する二本鎖(鋳型DNAとプライマーとの二本鎖や、伸張途中の二本鎖を含む)に結合する化合物である。蛍光インターカレーターとしては、例えば、タカラバイオ社のSYBR(登録商標) Greenシリーズを挙げることができる。
リアルタイムPCRで用いられる蛍光プローブは、鋳型DNAの一部に相補的な塩基配列を有するDNAの一端に蛍光標識基を有し、他端にクエンチャー基を有する化合物であり、主に3つのタイプがある。1つは、単独で存在する場合およびプライマーのアニーリングと共に鋳型DNAと二重鎖を形成する場合にはクエンチャー基により蛍光を示さないが、Taq DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により伸張反応時に分解されると、蛍光標識部分が遊離して蛍光が発せられるタイプである。もう1つは、ステムループ構造を有するものであり、単独で存在する場合には蛍光発色基とクエンチャー基が近接するために蛍光を示さないが、プライマーのアニーリングと共に鋳型DNAと二重鎖を形成すると、蛍光発色基とクエンチャー基が離れるため蛍光を示すタイプである。もう1つは、単独で存在する場合およびプライマーのアニーリングと共に鋳型DNAと二重鎖を形成する場合にはクエンチャー基により蛍光を示さないが、プライマーのアニーリング後、RNase Hの作用により切断され、蛍光発色基を有する部分が遊離して蛍光を示すようになるタイプである。
蛍光インターカレーターを用いるかまたは蛍光プローブを用いるか、或いはいかなるタイプの蛍光プローブを用いるかなどは、測定対象であるRNAの量に対応するDNAの検出感度などに応じて適宜決定すればよい。
リアルタイムPCRでは、検出対象の量とCt値(Threshold Cycle)との間で検量線を事前に作成しておき、測定試料の増幅曲線上の閾値(Threshold)に対応するCt値から、測定試料中における検出対象の量を求める。
本発明では、本発明に係る膵がんマーカーである上記RNAにつき様々な濃度の水溶液を調製し、各水溶液につきリアルタイムRT-PCRを行ってサイクル数に対する蛍光強度から増幅曲線を求める。次に、適切な閾値を定め、各増幅曲線と閾値とが交わるCt値を求める。得られたCt値と各溶液の標的RNA濃度との間には直線関係があるため、検量線を作成することができる。次いで、同様の条件で試料につきリアルタイムRT-PCRを行い、同様にCt値を求め、検量線から測定試料中の標的RNAの量を求める。
(3) 判断工程
上記工程で得られた標的RNA量から、膵がんの進行を評価する。実際には、膵がん患者および非膵がん患者、さらには様々な進行度の膵がん患者から試料を得、同一条件でリアルタイムRT-PCRを行って試料中の標的RNA量を測定しておき、データを蓄積しておく。かかる蓄積データと、測定結果を照らし合わせ、被験者における膵がん有無や、膵がんの進行度を判断する。
3. 膵がん診断キット
本発明に係る膵がん診断キットは、上記の膵がんの進行評価方法で用いることができる。より詳しくは、上記RNAを検出するためのものであり、検出すべきRNAに特徴的な塩基配列を増幅するための上記フォワードプライマーおよびリバースプライマー、並びに、上記蛍光インターカレーターまたは蛍光プローブを有する。
本発明に係る膵がん診断キットも、2種以上の上記RNAの量を測定するものであるものが好ましく、また、CA19-9の量も合わせて測定できるものも好ましい。2種以上の上記RNAの量を測定したり、また、上記RNAの1種以上とCA19-9の量を合わせて測定することによって、より高い感度と特異性をもって膵がんの進行を評価でき得る。例えば、CCDC88A mRNAの量に加えて、SNORA14B snoRNAの量や、さらに従来の膵がんマーカーであるCA19-9の量も合わせて測定するために、CCDC88A mRNAを定量するための配列番号2と配列番号3の塩基配列を有するプライマーセットと、SNORA14B snoRNAを定量するための配列番号5と配列番号6の塩基配列を有するプライマーセット、および、これら増幅されたDNAの量を定性的または定量的に求めるための蛍光化合物セットを有するもの、さらにCA19-9の定量用キットを有するものも好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
日本膵臓学会の膵がん取扱い規約に基づいて分類したステージI~IIIの膵がん患者5名、ステージIVの膵がん患者13名、および、慢性肝炎、大腸ポリープまたは胃ポリープを有するが膵がんを有さない非膵がん患者12名に本実験の趣旨を説明し、同意を得て、採血した。次いで、3段階遠心分離法により速やかに血清を得た。得られた血清は、以下の実験開始まで、専用の冷凍庫に保管した。
BLAST bioinformaticsを用い、CCDC88A mRNAに特異性の高いプライマーセットを設計した。さらに、CCDC88A mRNAを鋳型にしたワンステップリアルタイムRT-PCRを行い、当該プライマーセットにより、CCDC88A mRNAが特異的に増幅されることを予備的に確認した。
上記血清試料の一部(100μL)から、Norgen社のキットを用いて、エクソソームに含まれるmRNAを精製した。精製されたmRNA、CCDC88A mRNAに特異的なプライマーセット(配列番号2,3)、およびワンステップRT-PCRキット(タカラバイオ社「One Step SYBR(登録商標) PrimeScript RT-PCR Kit」)を用い、ワンステップリアルタイムRT-PCRを行い、CCDC88A mRNAに特異的な塩基配列を増幅した。膵がん患者群と非膵がん患者群から得た血清試料におけるCCDC88A mRNAの相対質量を図1に示す。
図1に示す結果につきマン・ホイットニ U検定を行ったところ、p=0.008673で膵がん患者群-非膵がん患者群間に有意差が認められた。なお、膵がん細胞におけるCCDC88A mRNAの存在(緑色部分)を示す蛍光写真を図2(1)に、エクソソームマーカーであるCD63の存在(赤色部分)を示す蛍光写真を図2(2)に、これら蛍光写真と核染色試薬であるDAPIの存在を示す蛍光写真を重ね合わせたものを図2(3)に示す。緑色と赤色を混合すると黄色となることから、これら蛍光写真により、CCDC88A mRNAがエクソソームに局在していることを確認することができる。
比較例1
非膵がん患者には保険診療でのがんマーカーCA19-9の測定が認められていないため、膵がん患者(18名)のみにCA19-9測定を行った。結果を表1に示す。なお、CA19-9値が37超である場合が異常値である。
Figure 0007085235000001
実施例2
上記実施例1のリアルタイムRT-PCRで得られたROC(Receiver Operating Characteristic)曲線において、診断能評価の指標の一つであるAUC値は0.79であった。論文報告によれば、CA19-9のAUC値は0.7~0.8であり、本発明方法によるAUC値はCA19-9と同等またはそれ以上であると考えられる。上記測定結果においては、得られたROC曲線から閾値を7.98とした。閾値を7.98とした場合のχ2検定の結果を表2に示す。
Figure 0007085235000002
上記比較例1の実験結果において、CA19-9の感度は55.56であった。それに対して、上記結果のとおり、膵がんマーカーとしてCCDC88A mRNAを用いた場合の感度は72.22と、CA19-9を上回っていた。なお、非膵がん患者群に対してはCA19-9測定を行っていないため、特異度の比較は行っていない。
実施例3
上記実施例1で得られた膵がん患者群の血清中CCDC88A mRNA相対質量と、比較例1のCA19-9値との間の相関性を、スピアマン順位相関数検定により解析した。結果を表3に示す。
Figure 0007085235000003
表3に示す結果のとおり、p=0.39であり、両者に相関は無かった。従って、本発明方法においてCA19-9を併用することにより、正診率を向上させることができる可能性があるといえる。その他、本発明方法の結果における被験者の年齢や性別に関して検定を行ったが、年齢や性別に関して有意差はなかった。
実施例4
UICC(国際対がん連合)分類による20症例の膵がん患者(ステージIIA:2名,IIB:4名,III:6名,IV:8名)、慢性肝炎、大腸ポリープまたは胃ポリープを有するが膵がんを有さない非膵疾患患者30名、およびIPMN患者13名を対象とし、上記実施例1と同様にして、患者群間における血清試料中における特定のmRNAまたはsnoRNAの相対質量を求めた。CCDC88A mRNA(配列番号1)の検出には配列番号2,3のプライマーセットを用い、SNORA14B snoRNA(配列番号4)の検出には配列番号5,6のプライマーセットを用い、SNORA25 snoRNA(配列番号7)の検出には配列番号8,9のプライマーセットを用い、SNORA22 snoRNA(配列番号10)の検出には配列番号11,12のプライマーセットを用い、SNORD22 snoRNA(配列番号13)の検出には配列番号14,15のプライマーセットを用い、SNORA74A snoRNA(配列番号16)の検出には配列番号17,18のプライマーセットを用い、ARF6 mRNA(配列番号19)の検出には配列番号20,21のプライマーセットを用い、VAV3 mRNA(配列番号22)の検出には配列番号23,24のプライマーセットを用い、WASF2 mRNA(配列番号25)の検出には配列番号26,27のプライマーセットを用いた。
それぞれの結果を図3~11に示す。なお、図3~11中、「*」はマン・ホイットニ U検定により、p<0.05で膵がん患者群-非膵がん患者群間に有意差が認められることを示す。また、各マーカーの具体的なp値を表4に示す。
Figure 0007085235000004
図3~11および表4に示す結果の通り、上記mRNAおよびsnoRNAをマーカーとして用いれば、膵がんを有意に検出することができる。
比較例2
上記実施例4の対象とした各患者群の血清試料のCA19-9測定を行った。膵がん患者群(20名)の結果を表5に、コントロール非膵疾患患者群(30名)の結果を表6に、IPMN患者群(13名)の結果を表7に示す。なお、CA19-9値が37超である場合が異常値である。
Figure 0007085235000005
Figure 0007085235000006
Figure 0007085235000007
表5~7に示す結果によれば、進行膵がん患者でもCA19-9値が小さい例や、非膵疾患患者およびIPMN患者でもCA19-9値が大きい例が認められ、CA19-9の感度は60、特異度は81であった。
実施例5
上記実施例4の標的mRNAおよびsnoRNAのリアルタイムRT-PCRに対する実験結果よりROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を作成し、診断能評価の指標の一つであるAUC値をそれぞれ求めた。マーカーとしてCCDC88A mRNAを用いた場合のROC曲線を代表的に図12に示す。また、マーカーとして各mRNAおよびsnoRNAを用いた場合のコントロールと膵がんを比較したAUC値を表8に示す。
Figure 0007085235000008
論文報告によれば、CA19-9のAUC値は0.7~0.8であり、本実験では0.810であった。AUC値に関し、ARF6とWASF2はCA19-9に対してp<0.05で有意に勝っており、他のRNAはCA19-9と同等であると考えられる。したがって、本発明に係るmRNAおよびsnoRNAは、CA19-9と同等またはそれ以上に高い感度と特異性で膵がんを診断できる血清マーカーに成り得ることが示された。
また、CCDC88A mRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNAおよびWASF2 mRNAをマーカーとして用いて得られたROC曲線から、膵がん診断に関する閾値を定めてχ2検定を行った。感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率の結果を表9に示す。
Figure 0007085235000009
上記比較例2の実験結果において、CA19-9の感度は60、特異度は81であった。それに対して、上記結果のとおり、膵がんマーカーとしてCCDC88A mRNA、ARF6 mRNA、VAV3 mRNA、WASF2 mRNAを用いた場合、いずれも特異度は75以上であり、すべてのmRNAの感度はCA19-9を上回っていた。特に、ARF6 mRNA、VAV3 mRNA、WASF2 mRNAの陽性適中率は90%以上であり、CA19-9より高い感度と特異性で膵がんを診断できるマーカーになり得ることが示された。
また、上記実施例3と同様に、CCDC88A mRNA以外のマーカーの結果についてもスピアマン順位相関数検定により解析したところ、すべてCCDC88A mRNAと同様の結果であり、CA19-9との関連性はなかった。
実施例6
複数のRNAマーカーとCA19-9を組み合わせることにより高い感度と特異性をもって膵がんを診断できる可能性がある。従来の膵がんマーカーであるCA19-9単独、CCDC88AとSNORA14Bとの組み合わせ、CCDC88AとSNORA14BとCA19.9との組み合わせを膵がんの診断に用いた場合のROC曲線を図13に示す。図13に示す結果の通り、CCDC88AとSNORA14Bをマーカーとして組み合わせることにより、CA19-9単独よりもAUC値が高値であり、高い感度と特異度で膵がんを診断できることが明らかとなった。さらには、CCDC88AとSNORA14BをCA19-9と組み合わせることにより、CA19-9単独に比較して、p=0.0108で有意に高い感度と特異性で診断できることが明らかになった。
実施例7
本発明で膵がんマーカーとして利用するmRNAであるCCDC88A、ARF6、VAV3およびWASF2は、UICCステージIおよびIIの膵臓内に腫瘍がとどまる膵がん症例において、CA19-9に比較して診断能が優れている傾向があった。血清中のCCDC88A、ARF6、VAV3およびWASF2をリアルタイムRT-PCRで測定した。UICCステージごとの血液中の上記各mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフを図14~17に、また、CA19-9値を図18に示す。また、ステージIIAとIIBの膵がん症例とコントロール群の血液中の上記各mRNAをリアルタイムRT-PCRにより定量解析した結果を示すグラフとROC曲線を図19~22に、また、CA19-9値とROC曲線を図23に示す。
ステージI~IIの膵がん症例は、ステージIII~IVの症例に比較して手術後の生命予後は良好であり、ステージI~IIの段階で膵がんを診断できることは臨床的な意義が大きい。図14~23の通り、CCDC88A、ARF6、VAV3およびWASF2によるUICCステージI~IIの膵がんの診断能はCA19-9に比べて高い可能性があり、将来の検診における利用が可能であることを示唆する結果を得た。

Claims (5)

  1. 特定のRNAを検出するための膵がん診断キットであって、
    上記RNAが、ARF6 mRNAおよびWASF2 mRNAからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせであり、
    上記RNAのcDNAの塩基配列の一部に相補的なフォワードプライマーおよびリバースプライマー、並びに、
    PCRにより合成される二本鎖RNAに結合する蛍光インターカレーター、および、上記RNAの塩基配列の一部の相補配列を有する蛍光プローブから選択される少なくとも一方の蛍光化合物を含むことを特徴とする膵がん診断キット。
  2. 上記塩基配列の一部に相補的なフォワードプライマーおよびリバースプライマーの塩基配列が、それぞれ、配列番号20と配列番号21、および、配列番号26と配列番号27の塩基配列の組み合わせからなる群より選択される1または2以上である請求項1に記載の膵がん診断キット。
  3. 膵がんの進行を評価するための方法であって、
    ARF6 mRNAおよびWASF2 mRNAからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせの試料中の量を測定する工程を含むことを特徴とする方法。
  4. 上記試料として血液試料を用いる請求項3に記載の方法。
  5. 上記RNAの量をリアルタイムRT-PCRで測定する請求項3または4に記載の方法。
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