JP2013512000A - 癌の分類 - Google Patents

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Abstract

患者の癌を、15種類の異なる癌型のうちの1つのうちの1つ以上の癌モジュールに属していると分類するためのシステムを提供する。該癌モジュールは、特定の予後、転移および/または再発のリスク、薬物に対する応答または応答欠如などを示す患者集団および個々の患者を特定するのに有用である。本明細書において、癌を分類するための分子に基づいたロバストなシステムを提供する癌モジュールを開示する。表1〜161に示す各癌モジュールは、癌を分類するための特有のパターンである遺伝子パターンを示す共発現遺伝子メンバーを含む。

Description

遺伝子発現プロファイリングにより癌を分子レベルのサブタイプに層別化することができる。一般的なアプローチでは、二次元の階層的クラスタリングを行ない、一緒にクラスタリングされる試料の組(すなわち、分子レベルのサブタイプ)を特定し、次いで、該試料の組と最良に相関する遺伝子の組を示す。このアプローチには主に2つの不都合点がある。1つ目は、分子レベルのサブタイプが試験に特異的な偏り、例えば、標本抽出の偏り、組織収集の偏り(例えば、間質夾雑)、技術の偏り、組織処理の偏りおよび多くのその他のことに供されることである。その結果、1つの試験で規定された分子レベルのサブタイプが分子レベルのサブタイプ一般の代表にならないことがあり得る。2つ目は、これまでの解析のほとんどが、どの癌試料も1つの分子レベルのサブタイプに分類されるはずであると仮定していることであり、予後および処置と、個体の癌を充分に規定したものでないかもしれない単一の分子レベルのサブタイプとの実際の関連が制限されている。本明細書において、癌を分類する新たな多次元アプローチを提供する。
本明細書において、癌を分類するための分子に基づいたロバストなシステムを提供する癌モジュールを開示する。表1〜161に示す各癌モジュールは、癌を分類するための特有のパターンである遺伝子パターンを示す共発現遺伝子メンバーを含む。癌患者の生物学的試料をインテロゲート(interrogate)し、1つ以上の癌モジュールの遺伝子メンバーの発現パターンと一致する(consistent with)遺伝子発現パターンを特定し、患者の癌が、特定の該1つ以上の癌モジュールに属していると特定する。本明細書に記載の癌モジュールを用いて、患者集団または個々の被験体の癌が、1つ以上の特定された癌モジュールに属していると特定するため、ある類型の治療用薬物および/または特定の薬物に応答し得る患者集団または個々の患者を特定するため、個々の癌患者を処置するための薬物を選択するため、癌の転移のリスク、再発、薬物毒性ならびに他の治療上および診断上の特徴を患者集団において、および/または特定の患者について予測するためのツール、システムおよび方法が提供される。
本明細書において開示した癌モジュールに基づき、被験体の処置方法は、被験体から得られた生物学的試料を、表1〜161に示した癌モジュールのうちの1つ以上の1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートする工程、被験体の癌が1つ以上の癌モジュールに属していると特定する工程、被験体に、特定された癌モジュールに属する癌に対して実証済の活性を有する薬物を投与する工程、薬物に活性がない、毒性を引き起こす、あるいは特定された癌モジュールに属する癌の処置に有害であると実証されたかどうかを特定する工程のうちの1つ以上を含む。
詳細な説明
本発明は、癌患者において、その癌が癌モジュールに属していると特定される発現パターンを有する共発現遺伝子を提供し、癌を、開示した癌モジュールに属していると分類するため、および患者集団を、開示した癌モジュールに属していると特定するための方法を提供する。癌モジュールを癌の分類システムとして使用する方法、例えば、患者集団における薬物応答性の予測方法、および被験体を、該患者の癌について特定された癌モジュールに属する癌に対して活性を示す薬物で処置するための方法を提供する。さらに、患者集団において転移のリスクおよび/または癌の再発、薬物毒性、薬物相互作用を予測するため、ならびに他のかかる診断上、予後上および治療上の予測のための方法を提供する。
本明細書において、規定の癌モジュールの構成員である具体的な遺伝子を開示する。このような規定の癌モジュールは、例えば、所望の診断、予後または治療の結果に従って、癌型における具体的な患者集団を特定するために使用され得る。開示した癌モジュールは、癌患者のトレーニング群(training group)をインテロゲートして分類し、それにより、試験患者または集団の診断、予後または治療の結果を特定するために使用され得る。
生物学的試料が開示した癌モジュールの1つ以上の遺伝子発現パターンと一致する遺伝子発現パターンを有することにより、患者の癌が該1つ以上の癌モジュールに属していると特定され、診断上、予後上および治療上の予測の根拠がもたらされる。特定の遺伝子、増幅プライマー、プローブを含むツール、方法、システム、キット、プラットフォームおよび同様のデバイス、および/または提供する癌モジュールの遺伝子メンバーの発現の測定および被験体の癌が該癌モジュールの1つ以上に属しているとの特定に適合させた他のツールもまた、本明細書において提供する。
定義
特に定義していない限り、本明細書で用いる科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本発明の解釈上、以下の用語は以下に定義するものである。
冠詞「a」および「an」は、本明細書において、該冠詞の文法上の目的語が1つまたは1つより多いこと(すなわち、少なくとも1つ)を示すために用いる。一例として、「要素(an element)」は1つ以上の要素を意味する。
用語「生物学的試料」は、本明細書で用いる場合、遺伝子発現のために採取され、アッセイされ得る試料をいう。生物学的試料としては、生体液(例えば、血液、脳脊髄液、尿、血漿)、組織生検材料などが挙げられ得る。一部の実施形態では、試料は組織試料(例えば、腫瘍組織)であり、新鮮組織、凍結組織またはアーカイバルパラフィン包埋組織であってもよい。
本明細書全体を通して、文脈上そうでないことが求められない限り、文言「〜を含む(“comprise”、“comprises”および“comprising”)」は、記載の工程もしくは要素または工程もしくは要素の群を含むが、任意の他の工程もしくは要素または工程もしくは要素の群を排除しないことを暗に意味していることは理解されよう。
用語「遺伝子発現」は、本明細書で用いる場合、遺伝子からの遺伝子産物の生成をいう。遺伝子産物としては、例えば、RNAまたはタンパク質が挙げられ得る。遺伝子発現は、既知の方法および本明細書に開示したものを用いて直接または間接的に測定され得る。癌を有する被験体由来の生物学的試料において測定される遺伝子発現は、対照との比較時にモジュレートされることがあり得る。
用語「共発現」は、本明細書で用いる場合、ある遺伝子の発現と1つ以上の他の遺伝子の発現との関係をいう。共発現される遺伝子は、互いに対して恒常的な発現パターンを有し、各々は、対照と比べて過剰発現されるもの、発現は不充分なもの、または同じままのものであり得る。
用語「癌モジュール」は、本明細書で用いる場合、特定の癌を分類するのに有用な具体的な共発現遺伝子(遺伝子メンバー)のリストをいう。具体的な癌モジュールの遺伝子メンバーを表1〜161に、Genbank(登録商標)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/)から入手した各遺伝子メンバーの遺伝子識別番号(Genlnfo Identifier)とともに開示する。
用語「遺伝子発現プロフィール」は、本明細書で用いる場合、特定の癌モジュール(例えば、表1〜161にリストアップされたいずれかのもの)の2つ以上の遺伝子メンバーの発現パターンをいう。遺伝子発現プロフィールとしては、対象の癌モジュールに対応する表の2つ以上(例えば、2、3、4、5、10、15またはそれより多く)の遺伝子メンバーの発現パターンが挙げられ得る。
用語「プライマー」は、DNA鎖と対合すると、適当な重合剤の存在下でプライマー伸長産物の合成を開始することができるオリゴヌクレオチドと定義する。
「プローブ」は、特定の配列もしくは部分配列または別の分子の他の部分に結合する分子をいう。特に記載のない限り、用語「プローブ」は、典型的には、別のポリヌクレオチド(多くの場合、「標的ポリヌクレオチド」と称される)に、相補的な塩基対合によって結合するポリヌクレオチドプローブをいう。
特定の癌モジュールに属していると特定された癌に対して「活性」を示す薬物とは、該薬物が該癌モジュールに属する癌を有する患者に投与されると、その癌が、増殖もしくはサイズにおける統計学的に有意な低減、または癌の応答性を示すものと一般的に認められた類型の任意の他の測定値の改変を示すことを意味する。
遺伝子発現プロフィール
癌モジュールの2つ以上の構成員の遺伝子発現パターンと一致する癌患者の生物学的試料で得られる遺伝子発現プロフィールにより、患者の癌が、具体的な該癌モジュールに属していると特定される。一実施形態において、遺伝子発現プロフィールは、例えば、選択された癌モジュールの2〜3、2〜5、3〜5、5〜8、6〜8、8〜10、1〜10、1〜15、1〜20、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、10〜20、または15〜20個の遺伝子メンバーの発現パターンを含むものである。
患者の癌が癌モジュールに属していると特定するため、患者の試料は、本発明において特定された癌モジュール(表1〜161)の1つ以上に属している遺伝子メンバーから選択される1つ以上の遺伝子の発現についてインテロゲートされ得る。一部の実施形態では、インテロゲートされる遺伝子としては、所与の癌型(例えば、乳房、結腸、脳など)の癌モジュールの一部または全部の遺伝子メンバーが挙げられる。一部の実施形態では、インテロゲートされる遺伝子は、1つより多くの関連する癌型(例えば、乳房と卵巣)から選択される。
インテロゲート対象の遺伝子は、特定の癌モジュールの構成員から任意の適切な手段によって選択され得る。どの遺伝子、どのモジュール、およびどれだけ多くの遺伝子またはモジュールをインテロゲートするかの決定における考慮事項としては、具体的な遺伝子メンバーに対するプローブまたはプライマーの入手可能性、選択した方法(例えば、マイクロアレイまたはPCR)を用いて容易に試験される遺伝子の数、癌の型、解析目的などが挙げられ得る。例えば、各モジュールにおける最高順位の遺伝子メンバーを選択してもよく;具体的な代謝経路と関連している遺伝子メンバーを選択してもよく;インテロゲートのための遺伝子メンバーを無作為に選択してもよい。癌モジュールは、既知の診断、予後、薬物応答などと関連させるために選択され得る。
遺伝子発現プロフィールの例
インテロゲート対象の癌モジュールの遺伝子メンバーの例としては、癌モジュール表1〜161にリストアップされたいずれかの遺伝子メンバーの2つ以上が挙げられる。例えば、脳の癌モジュール1では、表7にリストアップされたいずれかの遺伝子メンバーの2つ以上がインテロゲートされ得る。脳の癌モジュール2では、表8にリストアップされたいずれかの遺伝子メンバーの2つ以上がインテロゲートされ得る。表162に、患者の癌が特定の癌モジュールに属していると特定するためにインテロゲートされ得る遺伝子メンバーの非限定的な例を示す。
Figure 2013512000
Figure 2013512000
遺伝子発現プロフィールにより、該患者の癌が1つより多くの癌モジュールに属していることが示され得、これについては以下の実施例でさらに充分に記載する。一部の実施形態では、患者の癌が該当モジュールに属していると特定するのに、1つの遺伝子メンバーのインテロゲートで充分であり得る。
遺伝子発現プロフィールの解析
患者の癌が癌モジュールに属しているという分類は、生物学的試料を癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートし、該モジュールが、該生物学的試料においてインテロゲートされた1つ以上の遺伝子メンバーの発現パターンと一致する遺伝子発現パターンを有する場合、該患者の癌が該癌モジュールに属していると特定することにより判定される。
遺伝子発現は、さまざまなプラットフォーム、アッセイおよび方法にて解析され得、一般的には、被験体の生物学的試料から抽出されたmRNAの増幅および/または検出によって、あるいは遺伝子発現産物(例えば、cDNAおよびタンパク質など)の検出によって、あるいはゲノムDNAの解析によって解析される。被験体の試料は癌モジュールの遺伝子メンバーの発現について、後述する種々の既知の手法を用いてインテロゲートされ得る。
一部の実施形態では、被験体の癌以外の組織が、癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートされ得る。例えば、リンパ節、血液、血清または尿が、癌の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートされ得る。かかる実施形態では、癌に由来する核酸、タンパク質または細胞の存在が、選択された組織内または体液中においてインテロゲートされ得る。
インテロゲートの前に、生物学的試料は処理され得る。かかる処理は、試料に対して行なわれる解析の様式に影響を及ぼすことがあり得る。例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋試料は、一般的に、新鮮試料または凍結試料で使用されるものとは異なる手法を用いて解析される。かかる違いは当業者に自明であろう。
試料は、癌モジュールの少なくとも1つの遺伝子メンバーの発現について少なくとも1つの解析手法を用いてインテロゲートされる。解析手法は、遺伝子発現を、例えば、RNA解析またはタンパク質解析によって直接的に測定できるものであってもよく、遺伝子発現を、例えば、ゲノム解析によって間接的に測定できるものであってもよい。遺伝子発現の定量的検出のための方法の概説については、例えば、Nygaardら,2009,Front Biosci,14:552−69をみるとよい。
遺伝子発現プロフィールは、試料の解析により特定され得、1つ以上の癌モジュールと比較され、患者の癌が1つ以上の癌モジュールに属していると特定され得る。
RNA解析
一部の実施形態では、患者の癌に由来するRNAを含む生物学的試料が、既知の方法を用いてインテロゲートされ得る。生物学的試料は、使用される解析手法のために、適宜、精製され得る。精製手法としては、例えば、非癌組織から癌細胞を単離するレーザーキャプチャーマイクロダイセクションが挙げられ得る。血液中または他の生体液中の腫瘍細胞は、抗体媒介性精製などの精製手法、例えば、蛍光標示式細胞分取、遠心分離または重力による細胞分取、磁気標示式細胞分取などを用いて単離され得る。
RNAは、抽出して精製したら、ノザンブロッティング(これは、相対RNA発現を測定するために使用され得る)などの解析手法に直接使用することができる。さらなる解析のために組織試料からmRNAを単離するための方法は、例えば、Ausubelら,2002,Short Protocols in Molecular Biology,4:4−1〜4−29に記載されている。特にパラフィン包埋組織からmRNAを単離するための方法は、例えば、Penlandら,2007,Laboratory Investigation,87:383−391に論考されている。RNA単離キットは市販されており、例えば、Paraffin Block RNA Isolations Kits(Ambion,Inc.(Austin,TX)製)が挙げられる。
一部の実施形態では、RNAはゲル電気泳動に供され、タグ(放射性であってもよい)で標識されたプローブを用いて検出される。試料中のRNAレベルは参照試料(例えば、正常対照組織など)のRNAレベルと比較され得、選択された遺伝子メンバー(1つまたは複数)の相対発現レベルが求められる。
一部の解析手法では、RNAを処理して相補DNA(cDNA)または相補RNA(cRNA)を得る。逆トランスクリプターゼ(RT)酵素は、適切なプライマー(例えば、オリゴ(dT)、T7−オリゴ(dT)プライマー、またはランダムプライマー)と一緒に、RNAをcDNAに逆転写するために使用され得る。一本鎖または二本鎖のcDNAが、PCR系アッセイ(非定量的PCR、定量的PCRおよび/または定量的リアルタイムPCRなど)に直接使用され得る。cDNAを用いた定量的PCRはRNAの発現レベルを解析するために使用され得、cDNAからのPCR産物は、変異解析のために配列決定され得る。さらに、cDNAは、mRNAの発現レベルを測定するためにマイクロアレイ解析に使用され得る。
相補DNAをさらに処理してcRNAにしてもよい。典型的には、cRNAは、RNAポリメラーゼプロモーターを含むプライマー(T7−オリゴ(dT)プライマーなど)が組み込まれたcDNAから作製される。該プロモーターを認識するRNAポリメラーゼを使用するとcRNAがインビトロで転写され、cDNA鋳型からのcRNAの線形増幅がもたらされ得る。相補RNAは、例えば、マイクロアレイ(例えば、Affymetrix GeneChips(コピーライト))などのアッセイに使用され、遺伝子発現レベルが解析され得る。
一部の実施形態では、癌細胞をそのままの状態にし、インサイチュ解析手法を用いてRNAを解析する。例えば、RNAはインビトロで逆転写され、続いて、免疫組織化学的PCR(Fassunkeら,Laboratory Investigation,84:1520−5(2004))などを用いて解析され得る。
発現RNAの解析のための方法としては、例えば、ノザンブロッティング(Brown,2001,Curr Protoc Immunol,Chapter 10:10.12;Parker & Barnes,1999,Methods in Molecular Biology 106:247−283)、逆トランスクリプターゼポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(Nygaardら,2009,Front Biosci,14:552−69;Weisら,1992,Trends in Genetics,8:263−64、超並列シグネチャーシーケンシング(massively parallel signature sequencing)(MPSS)(Kutlu,2009,BMC Med Genomics.,2:3;Brenner,2000,Nature Biotechnol,18:1021)、遺伝子発現プロファイリング技術(Serial Analysis of Gene Expression)(SAGE)(Boon,2009,PLoS ONE,4:e5134;Velculescu,1995,Science,270:368−9,371)、RNA媒介性アニーリング、選択およびライゲーション(RASL)アッセイ(Yeakley,2002,Nat Biotechnol,20:353−8)、cDNA媒介性アニーリング、選択、伸長およびライゲーション(DASL)アッセイ(Abramovitz,2008,Biotechniques,44:417−423;Fan,2004,Genome Research,14:878−85)、マイクロアレイ手法(Ravoら,2008,Lab Invest,88:430−40;Schena,1996,Proc Nat.Acad Sci USA,93:106−149)、例えば、Incyteのマイクロアレイ技術、AffymetrixのGenChip技術;454 Life Sciences,Inc.(Branford,CT)によって開発されたハイスループットシーケンシング手法(Marguilies,2005,Nature,437:376−80)などが挙げられる。
RT−PCR
試料における遺伝子発現の測定に有用なRT−PCR法は、例えば、Sambrook,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manualに記載されている。腫瘍生検材料組織あるいはアーカイブパラフィン包埋および/または凍結試料などの臨床試料から、遺伝子解析のためにRNA鋳型が提供される。PCRの一般的な実施方法は、例えば、Ausubelら,2002,Short Protocols in Molecular Biology;Mullis and Faloona,1987,Methods Enzymol,155:335)に記載されている。RT−PCRを行なうためのプライマーは、市販により入手され得るか、または市販のソフトウェア(例えば、Scientific Software,Primer Designer 1)を用いて設計され得る。
DASL
DASLアッセイでは、全RNAをビオチン化プライマーを用いてcDNAに変換し、ビオチン化DNAをストレプトアビジン固相支持体に結合させた後、アッセイオリゴヌクレオチドを該cDNA内の標的配列にアニーリングさせる。1対のオリゴヌクレオチドを所与の標的部位にアニーリングさせ、標的部位は遺伝子1つあたり3〜10個である。アニーリングした上流オリゴヌクレオチドを伸長させ、対応する下流ヌクレオチドにライゲートしてPCR鋳型を作製し、次いで、これをユニバーサルPCRプライマーを用いて増幅させる。標識プライマーの組込みによって標識されたPCR産物を、固相支持体アレイ上の捕捉配列にハイブリダイズさせ、次いで、各ビーズについて蛍光強度を測定する。
1〜3プローブ群/遺伝子を含む1536個までの遺伝子用の完全特注設計型DASLアッセイパネルがIllumina,Inc.(San Diego,CA)から市販されているとともに、癌と関連している502個の遺伝子を標的化する1組のプローブ群を含む標準的なDASLヒト癌パネルが文献にみられる。
MassARRAY
MassARRAY系は、RNAを単離してcDNAに逆転写するために使用される。該cDNAは、増幅され、脱リン酸化し、プライマーを用いて伸長させ、次いで、MALDI−TOF質量分析による解析のためにチップアレイ上に配置する。MassARRAY解析を行なうためのハードウェアおよびソフトウェアは、Sequenom,Inc.(San Diego,CA)から市販されている。
SAGE
SAGEでは、各々がRNA転写物内の一意的な位置に対応する約10〜14塩基対の多数の配列タグを一緒に連結し、多数のタグの配列のシーケンシングと特定を同時に行なうための伸長分子を形成させる。転写物の発現パターンは、所与のタグのアバンダンスを測定し、該タグに対応する遺伝子を特定することにより定量化され得る。SAGEを行なうためのキットならびにSAGEデータを解析するためのソフトウェアは市販されており、例えば、I−SAGE Kit(Invitrogen,Carlsbad,CA)が挙げられる。SAGEデータは、例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/SAGEのSAGEmapのデータベースを検索するために使用され得る。
タンパク質およびポリペプチドの解析
一部の実施形態では、患者の癌に由来するタンパク質またはポリペプチドを含む生物学的試料がインテロゲートされ得る。かかる試料は、癌細胞を含むものであってもよく、実質的に癌細胞が含有されていないタンパク質もしくはポリペプチド(癌細胞から分泌された、あるいは癌細胞の壊死中に放出されたタンパク質もしくはポリペプチドなど)を含むものであってもよい。タンパク質および/またはポリペプチドの発現レベルを使用すると、mRNAレベルは一般的にタンパク質の発現レベルと良好に相関しているため、遺伝子発現レベルを推断することができる(Guoら,2008,Acta Biochim Biophys Sin,40:426−36)。
腫瘍細胞は、未精製のままであってもよく、既知の方法を用いて精製してもよい。使用される解析方法(1つまたは複数)に応じて、より多く、またはより少ない精製が所望され得る。
一部の実施形態では、タンパク質/ポリペプチドレベルは、表1〜161にリストアップされた癌モジュールの遺伝子メンバーのタンパク質/ポリペプチド遺伝子産物に特異的な抗体を使用するウエスタンブロッティングを用いて測定され得る。同様に、酵素免疫測定法(ELISA)またはタンパク質アレイ(例えば、JoosおよびBachman,2009,Front Biosci,14:4376−85参照)などの他の抗体系アッセイでも、抗体を利用してタンパク質/ポリペプチドレベルが測定され得る。
一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドは、抗体以外の分子を用いて検出され得る。例えば、タンパク質受容体がその対応リガンドの存在を検出するために、またはその逆でも使用され得る。ポリペプチドを検出するための他の方法としては質量分析が挙げられる。
タンパク質/ポリペプチド解析での使用に選択される方法は、タンパク質/ポリペプチドの供給源に依存し得る。例えば、生物学的試料中で希釈されたタンパク質またはポリペプチド(例えば、癌によって血中に分泌されたタンパク質)のレベルの測定には、より感度のよい方法が望ましいであろう。逆に、タンパク質の供給源が濃縮されている場合(癌細胞試料から抽出されたタンパク質など)では、解析方法はそれほど感度のよいものである必要はない。
使用されるタンパク質/ポリペプチドの解析方法はまた、測定対象のタンパク質および/またはポリペプチドの数にも依存し得る。例えば、ウエスタンブロッティングは、測定対象のタンパク質/ポリペプチドがほんのわずかである場合に使用され得るが、タンパク質アレイは、多くのタンパク質および/またはポリペプチドを検出するのに有用であり得る。
タンパク質の発現レベルの解析結果を対照のタンパク質の発現レベルと比較して相対遺伝子発現レベルを推断し、遺伝子発現パターンを特定することができる。一部の実施形態では、遺伝子発現パターンをタンパク質の絶対発現レベルに基づいて推断することが可能である。次いで、該遺伝子発現パターンを、表1〜161に開示した癌モジュールの遺伝子メンバーの発現パターンに適合させ得る。
ゲノム解析
一部の実施形態では、患者の癌に由来するDNAを含む生物学的試料がインテロゲートされ得る。DNA解析の結果を使用し、後述するようにして遺伝子発現レベルを推断することができる。
生物学的試料は、使用される解析手法のために、適宜、精製され得る。例えば、癌DNAのアセチル化またはメチル化状態の解析には精製された癌細胞が適切であり得るが、DNA配列の変異の存在について解析する場合では、癌細胞の精製はあまり重要でないことがあり得る。
DNAは、既知の手法を用いて、生物学的試料から抽出されたもの、または癌細胞から精製されたものである。DNA試料は、1つ以上の型の解析、例えば、DNA配列解析、SNP(単一ヌクレオチド多型)解析、遺伝子コピー数解析、核酸の挿入および/または欠失、ウイルス挿入、ならびにアセチル化/メチル化状態に供され得る。他の適切な型の解析、およびかかる解析を行なうための手法は既知である。例えば、DNAはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅され、SNP解析(例えば、Kwok,2002,“Single Nucleotide Polymorphisms:Methods and Protocols.”In:Methods in Molecular Biology,第212巻.Walker(編).Humana Press参照)などの種々のプロトコルに使用され得る。
遺伝子コピー数の分散は、さまざまな既知の方法、アッセイおよびプラットフォームを用いて解析され得る。コピー数多型(CNV)の検出および解析のための方法の概説は、例えば、Leeら,2008,Cytogenet Genome Res,123:333−42を見るとよい。CNV解析を行なうための具体的な方法としては、例えば、qt−PCR(Wuら,2007,J Immunol,179:3012−25)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)に基づいたDNAマイクロアレイまたはSNPアレイ(Redonら,2006,Nature,444:444−54)、シーケンシング方法論(Hall,2007,J Exp Biol,209:1518−25に概説されたものなど)、RFLP/サザンブロット解析(Yangら,2007,Am J Hum Genet,80:1037−54)、ライゲーション検出反応(LDR)(Seoら,2007,BMC Genet,8:81)、インベーダーアッセイ(Pielbergら,2003,Genome Res,13:2171−7)、およびピロシーケンス法(Soderbackら,2005,Clin Chem,51:522−31)が挙げられる。
一部の実施形態では、癌細胞をそのままの状態にし、蛍光インサイチュハイブリダイゼーションなどのインサイチュ解析手法を、蛍光顕微鏡検査、蛍光標示式細胞分取または画像スキャン(image scanning)フローサイトメトリーとともに用いてDNAを解析する(Basijiら,2007,Clin Lab Med,27(3):653)。
ゲノム解析の結果は、使用される解析方法(1つまたは複数)に応じて、対照DNA配列、遺伝子コピー数、および試料DNAの核酸のアセチル化/メチル化状態間の違いを特定するための対照と比較され得る。違い(あれば)は特定され、遺伝子発現を推断するのに使用され得る。例えば、遺伝子のDNAのアセチル化の増大は、該遺伝子の発現の増大と関連していると予測され得る。逆に、遺伝子のDNAのメチル化の増大は、該遺伝子の発現の減少と関連していると予測され得る。
キットおよびツール
遺伝子発現プロフィールと癌モジュール間の新たに特定された関連が応用される代表的なツールとしては、マイクロアレイ、タンパク質アレイ、ELISA、ハイブリダイゼーション、増幅、PCR、DASL、SAGEのためのアッセイシステムなどの系、ならびに表1〜161から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現が測定されるように適合および設計されたキット、チップ、カード、マルチウェルアッセイプレート、プローブおよびプライマーなどが挙げられる。
一部の実施形態では、表1〜161から選択される1つ以上の癌モジュールの遺伝子メンバーを増幅するため、および/または該遺伝子メンバーの存在を検出するための核酸プローブおよび/またはプライマーのパネルが設計され得る。かかるプローブとしては、例えばマイクロアレイおよびハイブリダイゼーションプラットフォームに有用な、単離された遺伝子、例えば、参照遺伝子および変異遺伝子、またはかかる遺伝子の一部分、単離されたmRNA、これから誘導したcDNA、増幅核酸などが挙げられる。かかるプライマーとしては、所望のアンプリコンにフランキングしており、所望の遺伝子または遺伝子の一部分を増幅させて遺伝子発現を検出および定量するためのPCRなどの増幅反応に有用な核酸が挙げられる。
一部の実施形態では、1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの遺伝子発現産物(タンパク質またはペプチドなど)に結合する、該発現産物を検出および/または定量する結合分子のパネルが作製され得る。かかる結合分子としては、抗体、リガンド、リガンド受容体、小分子などが挙げられ得る。
アッセイ基板、例えば、ハイブリダイゼーションプレート、チップ、カードなどは、被験体から得られた試料における遺伝子を増幅および/または特定および/または配列決定し、それにより、該遺伝子の発現が測定されるプライマーペアおよび/またはプローブを含むように適合および設計される。
キットには、遺伝子発現を測定するのに有用な試薬およびツールが含まれ、例えば、試料中で表1〜161から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーが増幅、検出および/または定量されるように設計された核酸プローブおよび/またはプライマーが含まれる。
癌の分類方法
新たに特定した本明細書に記載の癌モジュールにより、分子レベルでの癌の分類が可能になる。一般的に、その癌の分類方法は、被験体の癌の生物学的試料から遺伝子発現データを取得すること、該生物学的試料から得られた遺伝子発現パターンの中で、表1〜161に特定した癌モジュールの遺伝子発現パターンに適合するものを特定すること、それにより、被験体の癌が、該適合した癌モジュールに属していると特定することを伴う。
被験体の癌は、被験体の生物学的試料を、癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること、および該患者の癌が、インテロゲートされた1つ以上の遺伝子メンバーの発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定することにより、癌モジュールに属していると分類され得る。一部の実施形態では、癌患者の生物学的試料は、癌モジュールの単一の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートされ、患者の癌が該癌モジュールに属しているか否かが特定され得る。他の実施形態では、癌患者の生物学的試料は、1つ以上の癌モジュールの1つより多くの遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートされ、患者の癌が該1つ以上の癌モジュールに属しているか否かが特定され得る。一部の実施形態では、患者の癌の遺伝子発現プロフィールにより、該癌が1つより多くの癌モジュールに分類されるものであり得ることが示され得る。
薬物処置の有効性の予測方法
新たに特定した該癌モジュールにより、選択された薬物に対して応答性である癌患者集団を特定することが可能になる。一般的に、薬物に対して応答性である患者集団を予測するための該方法は、該患者の癌が、表1〜161の1つ以上の癌モジュールに属していると特定すること、および患者のトレーニング群において、投与した薬物に対する各患者の応答を調べるとともに、該患者の癌が属する1つ以上の癌モジュール(表1〜161)を判定することを伴う。次いで、1つ以上の癌モジュールに属している癌を有するトレーニング群の患者の明示された応答に従って、該1つ以上の癌モジュールに属していると特定された癌を有する試験患者の応答性が予測され得る。
例えば、患者の応答性の予測方法は、トレーニング群の癌患者から得られた生物学的試料を1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること、各トレーニング患者の癌が、インテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること、試験薬物に対する各トレーニング患者の癌の応答を、該薬物に対して応答性または非応答性であると特定すること、該薬物に対するトレーニング患者の応答性または非応答性と一致する1つ以上の癌モジュールを特定すること、および該1つ以上の特定された癌モジュールに属していると特定された癌を有する試験患者の応答性または非応答性を予測することを伴うものであり得る。したがって、応答性または非応答性の患者の尤度は、該患者の癌が帰属された癌モジュールと関連した応答性または非応答性のレベルと相関しているものであり得る。
治療用薬物を選択するための方法
遺伝子発現モジュールは、個々の癌患者に対する治療用薬物の選択にも有用である。一般的に、治療用薬物を選択するための方法は、癌患者から得られた生物学的試料を1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること、該患者の癌が、インテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること、ならびに特定された該1つ以上の癌モジュールに属している癌に対して実証済の活性を有する薬物を選択すること、および/または特定された該1つ以上の癌モジュールに属している癌に対する活性が実証されていない薬物を選択しないことを伴う。
転移または再発の予測方法
癌モジュールは、癌の転移および/または再発のリスクがある患者集団の特定にも有用である。一般的に、転移および/または再発のリスクがある患者集団を特定する方法は、癌患者のトレーニング群において、転移の明示/転移なし、および/または再発/非再発性を調べること、また、各トレーニング患者の癌が、表1〜161の1つ以上の癌モジュールに属していると特定することを含む。次いで、特定された該癌モジュールに属している癌を有するトレーニング群の患者の転移の明示/転移なしおよび/または再発/再発なしに従って、該1つ以上の癌モジュールに属していると特定された癌を有する試験患者の転移および/または再発のリスクが予測され得る。
例えば、癌の転移および/または再発の予測方法は、トレーニング群の癌患者から得られた生物学的試料を1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること、各トレーニング患者の癌が、インテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること、各トレーニング患者の癌の転移および/または再発の発生を確認(identify)すること、トレーニング患者の転移および/または再発の発生と一致する1つ以上の癌モジュールを特定すること、ならびに該1つ以上の特定された癌モジュールに属していると特定された癌を有する試験患者において転移および/または再発のリスクを予測することを伴うものであり得る。したがって、患者の転移および/または再発のリスクは、患者の癌が帰属された癌モジュールと関連した転移および/または再発のリスクと相関しているものであり得る。
処置方法
遺伝子発現モジュールは、個々の癌患者に対する処置方法の選択にも有用である。一般的に、処置方法の選択方法は、癌患者から得られた生物学的試料を1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること、該患者の癌が、インテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること、特定された該1つ以上の癌モジュールに属している癌に対して実証済の活性を有する薬物を投与すること、および特定された該1つ以上の癌モジュールに属している癌に対する活性の欠如を示す薬物を投与しないことを伴う。
具体的な患者の癌に対する薬物投与の適切な手段および投薬量の決定方法は、一般的に決定されたものであってもよく、特定された癌モジュールに対する有効な処置モダリティと一致すると特定されたものであってもよい。
他の方法
本明細書に記載のように、開示した癌モジュールは、疾患の予後、治療、抵抗性などと相関しているものであり得る特有の遺伝子発現パターンを有する患者集団を特定するのに有用である。
実施例
本発明は、以下の非限定的な実施例に記載した具体的な実施形態を参照すると、より明確に理解され、実施され得よう。
実施例1
癌における遺伝子発現のメタ解析
癌患者における遺伝子発現の解析結果は、http://www.oncomine.orgのOncomineデータベースから取得し、Rhodesら,Neoplasia,2007 Feb;9(2):166−80に記載のようにして処理し、正規化した。最も代表的な15種類の癌型のデータベースを解析した。平均連結法の階層的クラスタリング(ピアソン相関を距離計量として使用)を各データセットに対して行なった。最大標準偏差を有する10,000個までのフィーチャー(だが、全フィーチャーの50%より多くない)をこの解析に含めた。階層的クラスタリングの結果を個別の遺伝子発現クラスターにリデュース処理(reduce)するため、最低0.5のピアソン相関を有する最も大きいフィーチャーと最低10個のフィーチャーを有するクラスターを特定した(Rhodes,Neoplasia,2007)。クラスターの各ペアに対してペアワイズ連関解析を行ない、重複遺伝子の数を計数し、オッズ比をコンピュータで計算し、フィッシャーの正確確率検定に基づいてp値を計算した。少なくとも3つの遺伝子の重複、オッズ比>10、およびp値<1E−6を有するものを有意な連関と規定した。
実施例2
癌モジュールの特定
ネットワーク表示(Cytoscape)を用いてペアワイズクラスター連関(association)を視覚化し、高度に相互に関連したクラスターのモジュールを特定した。クラスター連関ネットワークを個別のモジュールセットにリデュース処理するため、少なくとも2つの間接的指示連関のないエッジを除き、2つ、あるいは最も関連していない組の相互リンククラスターに関連しているノードおよびエッジを除いた。各癌モジュールを相互リンククラスターのリストで規定した。
代表的な遺伝子を各モジュールで、構成員であるクラスターの数に基づいて順位付けした。15種類の癌型について特定された癌モジュールを表1〜161に示す。
実施例3
癌モジュールに属している癌を特定するための定量的RT−PCRの使用
腫瘍生検材料を患者から採取する。メッセンジャーRNAを生検材料から、Dynabeads(登録商標)Oligo(dT)25 mRNA精製キット(Invitrogen,Carlsbad,CA)を製造業者のプロトコルに従って用いて精製する。簡単には、腫瘍細胞を試料を液体窒素中で磨砕することにより溶解させ、粗製溶解物を形成させる。溶解物を、洗浄したDynabeads(登録商標)Oligo(dT)25ビーズに添加し、室温でインキュベートし、ポリ−A mRNAをビーズにアニーリングさせる。結合されたmRNAとともにビーズを磁石を用いて回収し、他の細胞成分を洗い流す。RT−PCRにおける使用のためにmRNAをビーズから溶出させる。
この精製mRNAを、RETROscript(登録商標)cDNAキット(Ambion(登録商標),Austin,TX)を製造業者のプロトコルに従って用いて、2工程RT−PCRで逆転写させる。簡単には、20〜200ngのmRNAをランダムデカマープライマーと混合し、85℃で変性させる。次いで、このプライマーをmRNA鋳型に氷上でアニーリングさせる。dNTP混合物、MMTV−RT、RNaseインヒビターおよびRTバッファーを添加し、混合物を42〜44℃でインキュベートして逆転写させる。逆トランスクリプターゼを92℃での短いインキュベーションによって不活化させる。cDNAは、PCRに直接使用されるか、または後のPCR解析のために−20℃で保存され得る。
cDNAを、LightCycler(登録商標)サーモサイクラー(Roche Diagnostics Corporation,Indianapolis,IN)を用いて解析される。PCRを、LightCycler(登録商標)Multiplex DNA Master HybProbeキット(Roche)を製造業者のプロトコルに従って用いて行ない、4つまでの遺伝子標的を一度にアッセイする。癌モジュールを含む分離パネルを、癌型(例えば、乳癌、膀胱癌、結腸癌など)に基づいて選択する。選択された分離パネルの各癌モジュール内の選択された標的配列のいずれかまたは各々に対して設計されたHybProbeプローブを使用する。例えば、癌が乳癌である場合、表22〜46の乳癌モジュール1〜25の各々の少なくとも1つの遺伝子を提示するプローブが使用され得る。特定の癌型の各モジュールの3〜5個の遺伝子が使用され得る。所与の癌型の癌モジュールの全部より少ない遺伝子が使用され得る。多数の癌型の癌モジュール(例えば、乳癌と卵巣癌のモジュール)の遺伝子を使用してもよい。cDNA含量を正規化するために使用され得る参照遺伝子(アクチンなど)を検出するための少なくとも1組のHybProbeプローブが使用され得る。cDNAをマスターミックス(Taq DNAポリメラーゼ、反応バッファー、MgCl、およびdTTPの代わりにdUTPを含むdNTPミックスを含有)、さらなるMgCl、必要であれば、4組までのHybProbes(正規化用遺伝子に標的化させる少なくとも1組を含む)、ならびにヌクレアーゼ無含有水と混合する。混合物をLightCycler(登録商標)キャピラリー内に入れ、LightCycler(登録商標)サーモサイクラーに入れる。使用されるプローブに適切なサイクルを用いてPCRを実行する。典型的には、試料は95℃で5〜10分間の変性工程に供される。次いで、試料を、各プローブのシグナル強度が安定するように必要に応じて数サイクルで、変性させ(95℃,10秒間)、アニーリングさせ(使用されるプローブに応じた温度,5〜15秒間)、およびプライマー伸長させる(72℃,PCR産物の予測される長さに応じた長さの時間)。次いで、試料をゆっくり加熱してPCR産物からプローブを変性させて融解温度を測定し、次いで、これを用いてPCR産物の純度が測定され得る。
初期mRNAの相対発現レベルを測定するために、腫瘍試料の各プローブセットのシグナルが設定された閾値に達するのに必要とされるサイクル数が、対照試料において同じ閾値に達するのに必要とされるサイクル数と比較され得る。正規化用遺伝子の閾値点は、腫瘍試料と対照試料間で一般的なmRNA量を正規化するため、および該2つの試料間の遺伝子発現レベルの厳密な比較を可能にするために使用され得る。測定された各遺伝子の相対発現は、患者の癌が表1〜161に示した癌モジュールの1つ以上に属していると特定するために使用され得る。
特定された癌モジュールに基づいて、例えば、RT−PCRと表1〜161に示した癌モジュールの発現プロフィールを用いて、患者の予後、例えば、治療に対する応答、再発および/または転移が予測され得る。予後は、患者の癌の遺伝子発現パターンを開示した癌モジュールのものと比較することにより判定された該患者の癌と同じ癌モジュール(1つまたは複数)に属している癌で明示された予後、再発、転移または薬物応答に基づいたものである。
実施例4
癌モジュールに属している癌を特定するためのマイクロアレイの使用
精製された全RNAを、癌患者の腫瘍生検材料から標準的な手順を用いて取得する。このRNAを、GeneChip(登録商標)3’IVT Express Kit(Affymetrix(登録商標),Santa Clara,CA)を製造業者のプロトコルに従って使用するAffymetrix(登録商標)GeneChip(登録商標)解析のためにさらに調製する。簡単には、50〜500ngの全RNAを、希釈したポリA RNA対照と混合し、RNase無含有水で総容量5μlにする。この混合物を、RT酵素とバッファーを含有するcDNAの第1鎖合成マスターミックスと合わせ、42℃で2時間インキュベートし、cDNAの第1鎖を作製する。cDNAの第2鎖は、このcDNAの第1鎖と、DNAポリメラーゼとバッファーを含有する第2鎖マスターミックスとを合わせ、16℃で1時間インキュベートした後、65℃で10分間のインキュベーションによって作製される。次いで、このcDNAを、IVT酵素ミックス、ビオチン標識およびバッファーを含有するIVTマスターミックスを添加し、40℃で4〜16時間インキュベートすることによりインビトロ転写し、ビオチン標識cRNA(すなわち、aRNA)を作製する。このcRNAを精製し、洗浄し、キットに備えられた磁気ビーズ、洗浄バッファーおよび溶出溶液を用いて溶出させる。標識cRNAを、キットに備えられた断片化バッファーを用いて、35〜200個のヌクレオチドを有する断片に断片化する。
この断片化された標識cRNAを、所与の癌型の各癌モジュールのすべての遺伝子を含むGeneChip(登録商標)Human Genome Focus Arrayに製造業者の使用説明書に従ってハイブリダイゼーションさせるために調製する。簡単には、断片化されたcRNAを、ハイブリダイゼーション対照、対照オリゴヌクレオチドB2、DMSOおよびバッファーを含有するハイブリダイゼーションカクテルと混合し、99℃で5分間、次いで45℃で5分間インキュベートし、一方、アレイは、予め湿らせ、プレハイブリダイゼーションミックスとともに45℃でインキュベートする。次いで、プレハイブリダイゼーションミックスを、標識された該断片化cRNAを含有するハイブリダイゼーションカクテルと交換し、45℃で16時間インキュベートする。
ハイブリダイゼーション後、アレイを洗浄し、染色し、Affymetrix(登録商標)Hybridization,Wash,and Stainキットを製造業者のプロトコルに従って用いてスキャンする。簡単には、アレイを備え付けの洗浄バッファーを用いて2回洗浄し、第1染色カクテルで染色し、洗浄し、第2染色カクテルで染色し、再度、第1染色カクテルで染色し、洗浄し、次いでバッファーで満たす。次いで、アレイを、Agilent GeneArray(登録商標)ScannerまたはGeneChip(登録商標)Scanner 3000を用いてスキャンする。未加工のスキャンデータを、処理中の種々の工程で含めた対照に従って正規化し、スキャンしたアレイから相対および絶対遺伝子発現を測定することができる。測定した各遺伝子の相対発現を用いて、患者の癌が、表1〜161に示した癌モジュールの1つ以上に属していると特定され得る。
特定された癌モジュールに基づいて、例えば、マイクロアレイ解析と表1〜161に示した癌モジュールの発現プロフィールを用いて、患者の予後、例えば、治療に対する応答、再発および/または転移が予測され得る。予後は、患者の癌の遺伝子発現パターンを開示した癌モジュールのものと比較することにより判定された該患者の癌のものと同じ癌モジュール(1つまたは複数)に属している癌で明示された予後に基づいたものである。
実施例5
腫瘍シグネチャーを特定するための癌モジュールの使用
癌モジュール(表1〜161)内の遺伝子は、遺伝子オントロジーおよび細胞シグナル伝達経路との関連によって類別され得る。遺伝子に関する遺伝子オントロジー情報は、GO Consortium(http://www.geneontology.org/)から入手可能なデータ、および他の既知の方法、例えば、遺伝子オントロジーのオンライン検索ツールAmiGO(http://amigo.geneontology.org/cgi−bin/amigo/go.cgi)などを用いて確認(identify)される。例えば、COL1A2(膀胱癌モジュール6に見られる)に関するAmiGOを用いた検索により、COL1A2は、表163において以下に示すオントロジーに関連していると類別されることが示される。
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選択された癌モジュール内の遺伝子に関する遺伝子オントロジー情報は、パターンについて、手作業、または遺伝子オントロジーデータでパターンが特定されるように設計されたコンピュータソフトウェアの使用のいずれかで解析され得る。該パターンとしては、関連オントロジーまたは細胞シグナル伝達経路との関連を有する頻度が高い遺伝子が挙げられ得る。例えば、膀胱癌モジュール2は、タンパク質生成に関連するオントロジーを有する遺伝子メンバーを高い割合で含む。
表164に示されるように、例えば、膀胱癌モジュール2の20個の遺伝子メンバーのうち9個は、リボソームの構造的完全性に寄与する分子作用と定義される、リボソームの遺伝子オントロジー登録番号go:000373構造構成要素の分子機能を有すると分類される。膀胱癌モジュール2の20個の遺伝子メンバーのうち16個は、タンパク質生合成時の発生期のポリペプチド鎖に対するアミノ酸残基の連続的付加と定義される、遺伝子オントロジー登録番号go:0006414の生物学的プロセス−翻訳による伸長を有すると分類される。膀胱癌モジュール2の20個の遺伝子メンバーのうち15個は、細胞質内の小器官は含まないが他の粒子状物質(タンパク質複合体など)は含む部分であると定義される、細胞組成遺伝子オントロジー登録番号go:0005829−細胞質ゾルに分類される。
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表164には、各遺伝子に関するオントロジーによる分類すべてが含まれているわけではない。
癌モジュールにおいて特定された遺伝子オントロジーパターンを用いて癌シグネチャーが規定され得る。例えば、膀胱癌モジュール2は、膀胱癌モジュール2を規定する遺伝子メンバーのオントロジーに基づいてタンパク質生合成シグネチャーを有するものと特定され得る(表164)。
腫瘍シグネチャーは、特定の類型の薬物に対する癌の感受性を予測するのに有用である。例えば、膀胱癌モジュール2に分類された癌は、テダノリドおよび関連分子などの翻訳インヒビターに対して感受性であることが予測され得る。既知の癌シグネチャーを有する癌モジュールに属している癌の薬物類型に対する感受性は、インビトロおよびインビボ実験を用いて確認され得る。一部の実施形態では、癌の感受性は、既知類型の薬物で処理した患者由来の癌試料に対する遡及的試験を用いて確認され得る。
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Claims (21)

  1. 患者の癌が癌モジュールに属していると特定する方法であって、
    a.該患者から得られた生物学的試料を、
    i.表1〜6の膀胱癌モジュール1〜6の1つ以上;
    ii.表7〜21の脳の癌モジュール1〜15の1つ以上;
    iii.表22〜46の乳癌モジュール1〜25の1つ以上;
    iv.表47〜56の結腸癌モジュール1〜10の1つ以上;
    v.表57〜73の白血病モジュール1〜17の1つ以上;
    vi.表74〜83の肝臓癌モジュール1〜10の1つ以上;
    vii.表84〜99の肺癌モジュール1〜16の1つ以上;
    viii.表100〜109のリンパ腫モジュール1〜10の1つ以上;
    ix.表110〜116の黒色腫モジュール1〜7の1つ以上;
    x.表117〜121の骨髄腫モジュール1〜5の1つ以上;
    xi.表122〜131の卵巣癌モジュール1〜10の1つ以上;
    xii.表132〜136の膵癌モジュール1〜5の1つ以上;
    xiii.表137〜147の前立腺癌モジュール1〜11の1つ以上;
    xiv.表148〜152の腎臓癌モジュール1〜5の1つ以上;および
    xv.表153〜161の肉腫モジュール1〜9の1つ以上
    から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること;ならびに
    b.該患者の癌が、該生物学的試料においてインテロゲートされた該1つ以上の遺伝子メンバーの発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること
    を含む、方法。
  2. 癌患者集団における薬物応答性を予測するための方法であって
    a.トレーニング群の患者から得られた生物学的試料を、
    i.表1〜6の膀胱癌モジュール1〜6の1つ以上;
    ii.表7〜21の脳の癌モジュール1〜15の1つ以上;
    iii.表22〜46の乳癌モジュール1〜25の1つ以上;
    iv.表47〜56の結腸癌モジュール1〜10の1つ以上;
    v.表57〜73の白血病モジュール1〜17の1つ以上;
    vi.表74〜83の肝臓癌モジュール1〜10の1つ以上;
    vii.表84〜99の肺癌モジュール1〜16の1つ以上;
    viii.表100〜109のリンパ腫モジュール1〜10の1つ以上;
    ix.表110〜116の黒色腫モジュール1〜7の1つ以上;
    x.表117〜121の骨髄腫モジュール1〜5の1つ以上;
    xi.表122〜131の卵巣癌モジュール1〜10の1つ以上;
    xii.表132〜136の膵癌モジュール1〜5の1つ以上;
    xiii.表137〜147の前立腺癌モジュール1〜11の1つ以上;
    xiv.表148〜152の腎臓癌モジュール1〜5の1つ以上;および
    xv.表153〜161の肉腫モジュール1〜9の1つ以上
    から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること;ならびに
    b.各トレーニング患者の癌が、該患者の生物学的試料においてインテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること;
    c.試験薬物に対する各トレーニング患者の癌の応答を、該薬物に対して応答性または非応答性であると特定すること;
    d.1つ以上の癌モジュールを、該薬物に対するトレーニング患者の応答性と一致すると特定すること;
    e.1つ以上の癌モジュールを、該薬物に対するトレーニング患者の非応答性と一致すると特定すること;
    f.工程dでトレーニング患者の応答性と一致すると特定された癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーを発現している試験患者は、該薬物に対して応答性であると予測すること;ならびに/あるいは
    g.工程eで非応答性のトレーニング患者と一致すると特定された癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーを発現している試験患者は、該薬物に対して応答性でないと予測すること
    を含む、方法。
  3. 癌患者集団における再発のリスクを予測するための方法であって
    a.トレーニング群の患者から得られた生物学的試料を、
    i.表1〜6の膀胱癌モジュール1〜6の1つ以上;
    ii.表7〜21の脳の癌モジュール1〜15の1つ以上;
    iii.表22〜46の乳癌モジュール1〜25の1つ以上;
    iv.表47〜56の結腸癌モジュール1〜10の1つ以上;
    v.表57〜73の白血病モジュール1〜17の1つ以上;
    vi.表74〜83の肝臓癌モジュール1〜10の1つ以上;
    vii.表84〜99の肺癌モジュール1〜16の1つ以上;
    viii.表100〜109のリンパ腫モジュール1〜10の1つ以上;
    ix.表110〜116の黒色腫モジュール1〜7の1つ以上;
    x.表117〜121の骨髄腫モジュール1〜5の1つ以上;
    xi.表122〜131の卵巣癌モジュール1〜10の1つ以上;
    xii.表132〜136の膵癌モジュール1〜5の1つ以上;
    xiii.表137〜147の前立腺癌モジュール1〜11の1つ以上;
    xiv.表148〜152の腎臓癌モジュール1〜5の1つ以上;および
    xv.表153〜161の肉腫モジュール1〜9の1つ以上
    から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること;ならびに
    b.各トレーニング患者の癌が、該患者の生物学的試料においてインテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること;
    c.各トレーニング患者の癌の再発を再発性または非再発性と特定すること;
    d.1つ以上の癌モジュールを、トレーニング患者の癌の再発と一致すると特定すること;
    e.1つ以上の癌モジュールを、トレーニング患者の癌の非再発と一致すると特定すること;
    f.工程dでトレーニング患者の再発と一致すると特定された癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーを発現している試験患者において、癌が再発すると予測すること;ならびに/あるいは
    g.工程eでトレーニング患者の癌の非再発と一致すると特定された癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーを発現している試験患者において、癌は再発しないと予測すること
    を含む、方法。
  4. 患者集団における転移のリスクの予測のための方法であって、
    a.トレーニング群の患者から得られた生物学的試料を、
    i.表1〜6の膀胱癌モジュール1〜6の1つ以上;
    ii.表7〜21の脳の癌モジュール1〜15の1つ以上;
    iii.表22〜46の乳癌モジュール1〜25の1つ以上;
    iv.表47〜56の結腸癌モジュール1〜10の1つ以上;
    v.表57〜73の白血病モジュール1〜17の1つ以上;
    vi.表74〜83の肝臓癌モジュール1〜10の1つ以上;
    vii.表84〜99の肺癌モジュール1〜16の1つ以上;
    viii.表100〜109のリンパ腫モジュール1〜10の1つ以上;
    ix.表110〜116の黒色腫モジュール1〜7の1つ以上;
    x.表117〜121の骨髄腫モジュール1〜5の1つ以上;
    xi.表122〜131の卵巣癌モジュール1〜10の1つ以上;
    xii.表132〜136の膵癌モジュール1〜5の1つ以上;
    xiii.表137〜147の前立腺癌モジュール1〜11の1つ以上;
    xiv.表148〜152の腎臓癌モジュール1〜5の1つ以上;および
    xv.表153〜161の肉腫モジュール1〜9の1つ以上
    から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること;ならびに
    b.各トレーニング患者の癌が、該患者の生物学的試料においてインテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること;
    c.各トレーニング患者の癌を、転移が明示されている、または転移は明示されていないと特定すること;
    d.1つ以上の癌モジュールを、該トレーニング患者において明示された転移と一致すると特定すること;
    e.1つ以上の癌モジュールを、該トレーニング患者における明示されていない転移と一致すると特定すること;
    f.工程dで転移と一致すると特定された癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーを発現している試験患者において、転移のリスクを予測すること;ならびに/あるいは
    g.工程eで明示されていない転移と一致すると特定された癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーを発現している試験患者において、転移のリスクはないと予測すること
    を含む、方法。
  5. 治療用薬物で患者を処置するための
    a.該患者から取得した生物学的試料を、
    i.表1〜6の膀胱癌モジュール1〜6の1つ以上;
    ii.表7〜21の脳の癌モジュール1〜15の1つ以上;
    iii.表22〜46の乳癌モジュール1〜25の1つ以上;
    iv.表47〜56の結腸癌モジュール1〜10の1つ以上;
    v.表57〜73の白血病モジュール1〜17の1つ以上;
    vi.表74〜83の肝臓癌モジュール1〜10の1つ以上;
    vii.表84〜99の肺癌モジュール1〜16の1つ以上;
    viii.表100〜109のリンパ腫モジュール1〜10の1つ以上;
    ix.表110〜116の黒色腫モジュール1〜7の1つ以上;
    x.表117〜121の骨髄腫モジュール1〜5の1つ以上;
    xi.表122〜131の卵巣癌モジュール1〜10の1つ以上;
    xii.表132〜136の膵癌モジュール1〜5の1つ以上;
    xiii.表137〜147の前立腺癌モジュール1〜11の1つ以上;
    xiv.表148〜152の腎臓癌モジュール1〜5の1つ以上;および
    xv.表153〜161の肉腫モジュール1〜9の1つ以上
    から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること;ならびに
    b.該患者の癌が、該患者の生物学的試料においてインテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること;
    c.該患者に、工程bで特定されたモジュールに属している癌に対して実証済の活性を有する薬物を投与すること
    を含む、方法。
  6. 個々の癌患者に対して治療用薬物を選択するための方法であって、
    a.該患者から取得した生物学的試料を、
    i.表1〜6の膀胱癌モジュール1〜6の1つ以上;
    ii.表7〜21の脳の癌モジュール1〜15の1つ以上;
    iii.表22〜46の乳癌モジュール1〜25の1つ以上;
    iv.表47〜56の結腸癌モジュール1〜10の1つ以上;
    v.表57〜73の白血病モジュール1〜17の1つ以上;
    vi.表74〜83の肝臓癌モジュール1〜10の1つ以上;
    vii.表84〜99の肺癌モジュール1〜16の1つ以上;
    viii.表100〜109のリンパ腫モジュール1〜10の1つ以上;
    ix.表110〜116の黒色腫モジュール1〜7の1つ以上;
    x.表117〜121の骨髄腫モジュール1〜5の1つ以上;
    xi.表122〜131の卵巣癌モジュール1〜10の1つ以上;
    xii.表132〜136の膵癌モジュール1〜5の1つ以上;
    xiii.表137〜147の前立腺癌モジュール1〜11の1つ以上;
    xiv.表148〜152の腎臓癌モジュール1〜5の1つ以上;および
    xv.表153〜161の肉腫モジュール1〜9の1つ以上
    から選択される1つ以上の癌モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現についてインテロゲートすること;ならびに
    b.該患者の癌が、該患者の生物学的試料においてインテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定すること;
    c.該患者に対する投与について、工程bで特定されたモジュールに属している癌に対して実証済の活性を有する薬物を選択すること;および/または
    d.該患者に対する投与について、工程bで特定されたモジュールに属している癌に対して活性がないと実証された薬物を選択しないこと
    を含む、方法。
  7. 前記インテロゲートすることが、直接的または間接的な方法によって遺伝子発現を解析することを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 該遺伝子発現を解析することが、DNA解析法、RNA解析法、またはタンパク質解析法を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 2、3、4、5、6、7、8、9、10〜15、またはそれより多く以上の遺伝子メンバーの発現が解析される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  10. 癌モジュールから3つ以上の遺伝子メンバーが解析に選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、癌モジュール内の最高順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、3位以上の順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、癌モジュール内の上位2位内の順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項10に記載の方法。
  14. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、癌モジュール内の上位3位内の順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項10に記載の方法。
  15. 請求項1に記載の方法に従って行なった場合に患者の癌が癌モジュールに属していると特定するためのアッセイシステムであって、
    a.i.表1〜6の膀胱癌モジュール1〜6の1つ以上;
    ii.表7〜21の脳の癌モジュール1〜15の1つ以上;
    iii.表22〜46の乳癌モジュール1〜25の1つ以上;
    iv.表47〜56の結腸癌モジュール1〜10の1つ以上;
    v.表57〜73の白血病モジュール1〜17の1つ以上;
    vi.表74〜83の肝臓癌モジュール1〜10の1つ以上;
    vii.表84〜99の肺癌モジュール1〜16の1つ以上;
    viii.表100〜109のリンパ腫モジュール1〜10の1つ以上;
    ix.表110〜116の黒色腫モジュール1〜7の1つ以上;
    x.表117〜121の骨髄腫モジュール1〜5の1つ以上;
    xi.表122〜131の卵巣癌モジュール1〜10の1つ以上;
    xii.表132〜136の膵癌モジュール1〜5の1つ以上;
    xiii.表137〜147の前立腺癌モジュール1〜11の1つ以上;
    xiv.表148〜152の腎臓癌モジュール1〜5の1つ以上;および
    xv.表153〜161の肉腫モジュール1〜9の1つ以上
    から選択される1つ以上の遺伝子発現モジュールの1つ以上の遺伝子メンバーの発現を測定するために設計された試薬またはツール;ならびに
    b.該患者の癌が、該患者の生物学的試料においてインテロゲートされた該1つ以上の遺伝子の発現と一致する遺伝子発現パターンを有する癌モジュールに属していると特定するための手段
    を含む、アッセイシステム。
  16. 前記試薬およびツールが、1つ以上の癌モジュールの2つ以上の遺伝子メンバーを測定するように設計されている、請求項9に記載のアッセイシステム。
  17. 癌モジュールから3つ以上の遺伝子メンバーが解析に選択される、請求項15または16に記載のアッセイ。
  18. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、癌モジュール内の最高順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項17に記載のアッセイ。
  19. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、3位以上の順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項17に記載のアッセイ。
  20. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、癌モジュール内の上位2位内の順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項17に記載のアッセイ。
  21. 前記3つ以上の遺伝子メンバーが、癌モジュール内の上位3位内の順位を有する遺伝子メンバーから選択される、請求項17に記載のアッセイ。
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