JP2016086678A - 腎がんの悪性度の検査マーカー及び検査方法 - Google Patents

腎がんの悪性度の検査マーカー及び検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、迅速かつ簡便に、高い信頼度で腎がんの悪性度を判別又は予測する方法、並びに該方法に用いるマーカーセット等を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、腎がん組織において、特定の分子マーカーをコードする遺伝子からなる群から選択される遺伝子の発現レベル又は発現量を比較することを含む腎がんの悪性度を判別又は予測する方法、並びに該方法に用いる分子マーカーセット、マイクロアレイ及びキットを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、腎がんの悪性度を判別又は予測するための遺伝子マーカーセット、並びに悪性度を判別又は予測するための該遺伝子マーカーを用いた方法、マイクロアレイ及びキットに関する。
腎がんに対しては、画像検査技術の進歩により早期発見症例が増えた反面、未だに遠隔転移を有する症例が減っていないのが現状である。従って、腎がんの簡便かつ的確な早期発見技術及び有効な治療法の開発が望まれている。近年、多くのがん種において、がん特異的に発現しているタンパク質を標的とした診断方法及び治療方法の研究が盛んであるが、大きな進展がないのが現状である。
腎細胞がん(Renal Cell Carcinoma;RCC)は成人悪性腫瘍の2〜3%を占め、日本及び米国では罹患率及び死亡率ともに増加傾向にある(非特許文献1及び2)。腎細胞がんの主な組織型としては、(1)淡明細胞型腎細胞がん(Clear cell RCC)(約80%)、(2)乳頭状腎細胞がん(Papillary RCC)(10〜15%)、(3)嫌色素型腎細胞がん(Chromophobe RCC)(約5%)、及び(4)集合管がん(Collecting duct carcinoma)(約1%)がある(非特許文献3)。また、分化が悪くなり、がん細胞が肉腫様に変化する肉腫様変化は全ての組織型に伴い得る。
臨床の場で最も数が多く、最も治療の頻度が高い淡明細胞型腎細胞がんでは、がんが腎臓に限局していれば外科的に完全切除することで治療できる。しかしながら、この中の約30%の患者には再発・転移が起こり、さらには発見時にすでに転移を来している患者もある。これらの患者では,病巣の外科切除や分子標的薬などの抗悪性腫瘍剤を用いた最善の治療を行っても完治することは困難であり、最終的にはほとんどの患者が死に至る。このような患者の臨床経過の違いには、患者ごとに異なるがんの悪性度(または、がんの攻撃性(aggressiveness)が影響するが、どの患者に再発・遠隔転移が起こる危険が高いかをひとつの指標だけで正確に予想することは困難である。最近、いくつかの研究グループは、腎がん患者の画像検査で得られる臨床情報と、がん細胞の形態や組織構築による病理組織学的因子のそれぞれについて、患者予後不良に与える影響の度合いを解析し、これらを組み合わせることにより、淡明細胞型腎細胞がんの予後をより正確に予測する評価システムとして用いている(非特許文献4)。しかしながら、このシステムは、古くから用いてきた臨床病理学的因子を利用する評価法としては、悪性度が高くアグレッシブな淡明細胞型腎細胞がんの予測効率を改善したが、従来から用いてきたものとは異なる全く新たな情報が加わったわけではなく、おのずと限界がある。一方、従来の画像検査や病理組織学的検査とは全く異なるアプローチとして、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析がいくつかの研究グループで試みられるようになり、悪性度が高くアグレッシブな腎細胞がんと関連する遺伝子や遺伝子発現パターンの候補が報告されている(非特許文献5)。また、臨床の場で最も必要性が高い淡明細胞型腎細胞がんに関連した遺伝子の候補も同定されつつある(特許文献1)。しかしながら、これらの候補遺伝子を悪性度の高いアグレッシブな淡明細胞型腎細胞がんを見分ける分子マーカーとして臨床応用するという明確な目的で、実際にリアルタイムで治療が進行している腎がん患者の臨床経過や予後と十分に対比しながらの網羅的遺伝子発現解析での研究はなされていない。
淡明細胞型腎細胞がんの進行度は、画像検査での臨床情報によりステージIからステージIVまでに分類されるが、臨床の場においては、仮に同じステージIII(がんが腎臓のなかに留まらずに周囲に広がっているが、遠隔転移はない状態)と診断された症例でも、全く同じ治療(外科的切除)を受けた後に再発・転移を来す症例もあれば、再発・転移を来さない症例もある。このような実臨床の患者での臨床経過の相違から、アグレッシブながんとアグレッシブではないがんが存在することは明白である。しかしながら、従来から用いられてきた画像検査での臨床情報や病理組織学的所見から、アグレッシブかそうでないかを正確に区別することには限界があるのが現状である。このようなことを背景とした臨床の場におけるジレンマの一例を挙げると、現在、淡明細胞型腎細胞がんの治療においては、原則として、外科的切除後に再発予防目的とした分子標的薬での補助療法は行われていない。その理由として、手術により根治できたかもしれない患者に分子標的薬を用いた補助療法を行った場合、その副作用及び費用等、患者にかかる負担やリスクがあまりにも大きいからである。一方、アグレッシブながんで再発を来した患者では、仮に手術後の補助療法を行っていれば、再発防止できた患者が潜在的に存在する可能性がある。手術後に再発・転移を来しやすいアグレッシブな腎がんを区別する事ができれば、このような臨床の場でのジレンマを解消でき、効率的・効果的な抗悪性腫瘍薬での治療が可能となる。
特開2008−209369号公報
Marumo,K.,et al.,Int.J.Urol.,8,359−365(2001) Chow,W.H.,et al.,J.Am.Med.Assoc.,281,1628−1631(1999) Sorbellini,M.,et al.,J.Urol.,173,48−51(2005) Takahashi,M.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,98,9754−9759(2001) Kosari,F.,et al.,Clin.Cancer Res.,11,5128−5139(2005)
上記の通り、腎がんの悪性度を予測する予後マーカーの探索において、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析は有用であるが、候補遺伝子を選択するために用いるサンプル群の構成又は層別化の問題と、選択された遺伝子マーカー群の意義上の問題のため、現状では、腎がんの悪性度を十分にかつ有意に予測できる遺伝子マーカーセットはない。
そこで、本発明は、上記の問題点を克服し、個々の腎がん患者に対し、腎がんの悪性度を早期に、適切かつ正確に評価し、最適な予後の治療方針の決定を可能にする腎がんの悪性度の判別又は予測方法、並びにそれに用いる分子マーカーセット、マイクロアレイ及びキットを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、腎がん組織において、35種の分子マーカー(後述する表1及び2参照)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも2、3、又は10種の遺伝子の発現レベル又は発現量を比較することによって、腎がんの悪性度を判別又は予測することができることを見出し、本願発明を完成するに至った。
本発明によれば、腎がん組織において、上記分子マーカーをコードする遺伝子の発現レベル又は発現量を比較することを含む腎がんの悪性度を判別又は予測する方法、並びに該方法に用いる分子マーカーセット、マイクロアレイ及びキットが提供される。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]腎がんの悪性度を判別する方法であって、
(a)被検対象から腎がん組織を採取し;
(b)上記(a)の組織において、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)及びグリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
(c)前記遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
ことを含む方法。
[2]腎がんの悪性度を判別する方法であって、
(a)被検対象から腎がん組織を採取し;
(b)上記(a)の組織において、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)及び形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
(c)前記遺伝子のうち、少なくとも2種の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
ことを含む方法。
[3]腎がんの悪性度を判別する方法であって、
(a)被検対象から腎がん組織を採取し;
(b)上記(a)の組織において、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)及びクロソ(KL)配列番号23)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
(c)前記遺伝子のうち、少なくとも5種の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
ことを含む方法。
[4]腎がんの悪性度を判別する方法であって、
(a)被検対象から腎がん組織を採取し;
(b)上記(a)の組織において、インテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、コンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)、膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
(c)前記遺伝子のうち、少なくとも10種の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
ことを含む方法。
[5]腎がんの悪性度を判別する方法であって、
(a)被検対象から腎がん組織を採取し;
(b)上記(a)の組織において、第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子の発現レベル又は発現量、並びに第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
(c)前記第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して高い、及び/又は前記第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して低い場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
ことを含む方法。
[6]腎がんの悪性度を判別する方法であって、
(a)被検対象から腎がん組織を採取し;
(b)上記(a)の組織において、第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子の発現レベル又は発現量、並びに第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
(c)前記第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、前記第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して高い場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
ことを含む方法。
[7]前記遺伝子の発現レベル又は発現量が、該遺伝子より転写されるmRNA量又は該遺伝子にコードされたポリペプチド量から測定される、上記[1]〜[6]に記載の方法。
[8]前記mRNA量が、ハイブリダイゼーション法又は核酸増幅法により測定される、上記[7]に記載の方法。
[9]前記ハイブリダイゼーション法において、発現レベル又は発現量を測定する対象となる遺伝子に対応する核酸又はその断片が支持体上の各々定められた領域に固定化されたマイクロアレイを使用する、上記[8]に記載の方法。
[10]前記核酸増幅法が、RT−PCR法である、上記[8]に記載の方法。
[11]前記遺伝子の発現レベル又は発現量が、該遺伝子より転写されてmRNAの逆転写反応により得られるcDNA量から次世代シーケンサーを用いて測定される、上記[1]〜[6]に記載の方法。
[12]前記遺伝子にコードされたポリペプチド量が、該ポリペプチド又はその断片に対する抗体を用いて測定される、上記[7]に記載の方法。
[13]第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子に対応する核酸若しくはその断片、及び/又は第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子に対応する核酸若しくはその断片の各々が、支持体上の定められた領域に固定化されている、腎がんの悪性度を判別するためのマイクロアレイ。
[14]第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子から発現されるmRNA若しくはその断片を検出するためのプローブ、及び/又は第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子から発現されるmRNA若しくはその断片を検出するためのプローブ、あるいは上記遺伝子にコードされたポリペプチド若しくはその断片に対する抗体又はその断片を含む、腎がんの悪性度を判別するためのキット。
本発明によれば、個々の腎がん患者に対し、腎がんの悪性度を早期に、適切かつ正確に評価し、最適な予後の治療方針を決定することができるため、腎がん患者の個別化治療に有用であり、また、不必要な補助治療を受ける患者の数を減らすこともできる。
図1は、51人の淡明細胞型腎細胞がん患者から採取した腎がん組織、及び32人分の正常腎(非病変部位)組織において、マイクロアレイにより取得した網羅的遺伝子発現プロファイルから抽出した280種の転写産物の発現レベルの相対比較を行った結果を示す。上部灰色バーは正常腎(非病変部位)組織群、及び黒バーと白バーは腎がん組織群を示す。下段のドットデータにおいて、赤色が濃くなるに従って遺伝子の発現レベルが高くなり、青色が濃くなるに従って遺伝子の発現レベルが低くなることを示す。また、上段の樹形図は、280種の転写産物の発現パターンに基づいて、各対象群の階層的クラスター解析を行った結果を示す。なお、中段の表は、腎がん患者の臨床病理データを示す(表3参照)。 51人の淡明細胞型腎細胞がん患者から採取した腎がん組織において図1の白のバーのクラスターに含まれる患者群と黒のバーのクラスターに含まれる患者群との間でt検定を行い、280種の転写産物から腎がんの悪性度に関連すると考えられる35種の転写産物を選択した。図2は、該35種の転写産物の発現パターンに基づいて階層的クラスター解析を行った結果を示す。右のクラスターは予後不良な16人の遺伝子発現パターンを示し、左のクラスターは予後良好な35人の遺伝子発現パターンを示す。データの赤色が濃くなるに従って遺伝子の発現レベルが高くなり、青色が濃くなるに従って遺伝子の発現レベルが低くなることを示す。なお、中段の表は、腎がん患者の臨床病理データを示す(表3参照)。 図2に示した35種の遺伝子から10遺伝子を選択し、階層的クラスター解析を行った結果を示す。 図2に示した35種の遺伝子から3遺伝子を選択し、階層的クラスター解析を行った結果を示す。 図2に示した35種の遺伝子から2遺伝子を選択し、階層的クラスター解析を行った結果を示す。 図2で分類した予後不良群と予後良好群についてのカプランマイヤー生存曲線を示す。カプランマイヤー法にて癌特異的生存率を求め、有意差検定としてlog−rank検定を行った。P<0.001と有意差を認めた。
以下、本発明の説明のために、好ましい実施形態に関して詳述する。なお、本発明は、以下の好ましい実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形を行ってもよいことは当業者に理解される。
本発明において、「遺伝子の発現レベル」とは、遺伝子の発現強度又は発現頻度をいい、通常、遺伝子に対応する転写産物の産生量又はその翻訳産物の産生量等により測定することができる。また、「遺伝子発現プロファイル」とは、各遺伝子の発現レベルに関する情報をいい、遺伝子の発現レベルは、絶対値で表してもよく、また相対値で表してもよい。また、遺伝子の発現レベルは、野生型の遺伝子の発現レベルには限られず、点突然変異等の変異遺伝子の発現レベルを含み得る。さらに、遺伝子に対応する転写産物には、スプライスバリアントのような異型転写産物及びその断片も含み得る。
また、上記の対象とする遺伝子には、該遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る核酸が含まれ、具体的には、35種の遺伝子の塩基配列(配列番号1〜35)に対して、それぞれ、少なくとも30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらにより好ましくは90%以上、さらになお好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有するものであってもよい。
本発明は、腎がん組織において、特定の分子マーカーをコードする遺伝子からなる群から選択される遺伝子の発現レベル又は発現量を比較することを含む腎がんの悪性度を判別又は予測する方法、並びに該方法に用いる分子マーカーセット、マイクロアレイ及びキットに関する。
1.腎細胞がん
本発明は、腎細胞がん患者の予後(悪性度)を予測することを目指す。腎細胞がんには主に、淡明細胞型腎細胞がん、乳頭状腎細胞がん、嫌色素型腎細胞がん、集合管がん、及び「未分類」の5つのタイプがある。本発明では、特に、患者数が多く必要度が高い淡明細胞型腎細胞がんの悪性度の判別又は予後不良の予測を目的とする。ここで、淡明細胞型腎細胞がんは、顕微鏡で観察すると、淡明細胞型腎細胞がんを構成する個々の細胞は極めて淡い色又は透明に見え、腎細胞がんの最も一般的な形態である。腎細胞がん患者の約80%がこれに類するがんである。また、腎細胞がん患者の平均5年生存率は、ステージIで96%、ステージIIで82%、ステージIIIで64%、及びステージIVで23%と推定されている。このように、ステージIIIからステージIVに移行した場合、その患者の生存率が顕著に下がるため、遅くともステージIIIにおいて、悪性度を適切かつ正確に評価し、良好な予後を得るための治療方針を決定することが必須となる。なお、本発明により、腎がんの判別又は予測の対象となる動物は、ヒトであることが好ましいが、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、モルモット等のヒト以外の哺乳類でもよい。
本明細書において、がんの「悪性度」とは、第一次因子として浸潤の程度、転移の有無により決定され、結果として手術等処置後の5年生存率を左右する要因を指す。具体的には、がんが発生部位(粘膜や臓器など)のなかにとどまり、転移のないがんは悪性度の低いがんと判断され、5年生存率が高い(90%以上)と予測される。一方、発生部位(粘膜や臓器など)の周囲にある組織や臓器へ浸潤し、リンパ行性、血行性、浸潤性、又は播種性にがんが転移した場合、悪性度は高いと判断され、5年生存率は低い。中でも骨、肺、肝臓、膵臓、腸管、遠隔リンパ節への転移が認められる場合は予後が非常に悪く、5年生存率は低い。また、第二次因子として抗がん剤や放射線への感受性の有無が挙げられ、一般に、抗悪性腫瘍剤や放射線への感受性のある場合は悪性度が低く、抵抗性の場合を悪性度が高いと判断する。
2.腎細胞がんの悪性度の判別方法
本発明者らは、淡明細胞型腎細胞がんの51サンプルを対象とし、約32,000遺伝子を対象としてDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行い、得られた遺伝子の発現レベルのデータに基づいて、階層的クラスター解析を行ったところ、腎がんの悪性度に関連する35種の遺伝子を見出した。これらの35種の遺伝子は、後述するように、2つのグループに分けることができる(実施例1及び2参照)。より具体的には、それらの遺伝子名をGenBank登録番号とともに記載すると、以下の11種の遺伝子(第1の分子マーカーセット):
及び24種の遺伝子(第2の分子マーカーセット):
である。そこで、患者の臨床病理データ(表3、図1及び図2参照)と照合することにより、第1の分子マーカーセットは予後不良に関与し、第2の分子マーカーセットは予後良好に関与していることが判明した(後述する実施例1参照)。したがって、本発明の悪性度の判別又は予測方法は、腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する上記遺伝子マーカー群の発現レベル又は発現量を測定するため、簡便で、かつ迅速に高い信頼度で腎がんの悪性度を判別又は予想することができるという優れた効果を発揮する。
被検試料としては、外科的手法により摘出した組織、血液、尿、糞便等の生体由来の試料が挙げられる。本明細書においては、前記被検試料の供給源となる個体を「検体」と示す場合がある。また、本発明の腎がんの悪性度の判別又は予測方法においては、術前診断を行うことも可能であり、この場合、検体から生検鉗子で採取された病変組織を用いてもよい。
本発明の判別又は予想方法に用いられる「腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する遺伝子」は、がん化、がんの悪性度の評価の指標となり得る遺伝子であり、細胞のがん化に伴ってその発現レベル又は発現量が変化する遺伝子、言い換えれば、その発現が有意に誘導又は抑制される遺伝子を指す。このような遺伝子は、例えば、ゲノム中の遺伝子のコピー数や染色体の再配列パターンの解析のほか、正常細胞とがん化した細胞における遺伝子産物の発現レベル又は発現量を比較し、両細胞間で差異のあるものを特定することにより検出することができる。遺伝子産物としては、例えば、遺伝子より転写されるmRNA(又はその断片)、mRNAから逆転写反応により得られるcDNA、翻訳産物であるタンパク質(又はその断片)が挙げられる。本発明に使用される遺伝子の検出においては、遺伝子操作技術の進歩に伴い、その解析に様々な手法が開発されているmRNAを指標とするのが効率的である。そこで、mRNAを指標にした遺伝子発現の変化を確認する手法としては、ノーザンハイブリダイゼーション法、RT−PCR法、サブトラクション法、ディファレンシャル・ディスプレイ法等が挙げられ、限定されないが、これらの方法を適宜選択することによって、本発明に使用される遺伝子を見出すことができる。さらに、数百、数千といった多数の遺伝子の発現の変化を同時に検出する方法としては、マイクロアレイを使用した方法(DNAチップハイブリダイゼーション解析、DNAマクロアレイハイブリダイゼーション解析等)、DNA塩基配列解読装置(例えば、次世代型のシーケンサー等)を使用した方法が知られている。例えば、「腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する遺伝子」は、ヒト由来の遺伝子に対応する核酸又はその断片が固定化されたマイクロアレイを使用することにより得られる。
上記「腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する遺伝子」は、例えば、以下のような遺伝子選別方法により得ることができる。例えば、がん患者より採取されたがん病変部の組織からmRNAを調製し、該mRNAを鋳型とした逆転写反応を行う。この際、例えば適切な標識を付したプライマーや標識ヌクレオチドを使用することにより、標識されたcDNAを得ることができる。標識方法としては特に限定されないが、放射性同位体を含む化合物、蛍光物質、ビオチンのようなリガンドを使用した標識等が挙げられる。次に、上記標識cDNAと、適切な遺伝子に対応する核酸又はその断片を固定化されたマイクロアレイとの間でハイブリダイゼーションを実施する。ハイブリダイゼーションは公知の方法で実施すればよく、その条件は使用するマイクロアレイや標識cDNAに適したものを適宜選択すればよい。また、前記と同様のハイブリダイゼーション条件下に対照試料(健常人由来試料、非病変部位由来の試料等)由来の核酸と前記マイクロアレイとのハイブリダイゼーションを行う。被検試料と対照試料との遺伝子発現レベル又は発現量の差を測定するためには、発現変動が比較的小さい標準的な遺伝子を用いて両者のmRNA量を補正する必要がある。さらに、以下に述べる2種類の蛍光を用いて1枚のマイクロアレイ上で競合ハイブリダイゼーションを行う場合には、2種の蛍光物質間の強度差を補正する必要もある。このような補正の目的に使用される核酸としては、非病変部位由来の核酸;ハウスキーピング遺伝子(例えば、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPD)遺伝子、シクロフィリン遺伝子、β−アクチン遺伝子、α−チューブリン遺伝子、ホスフォリパーゼA2遺伝子等)に対応する核酸等が挙げられる。
次に、がん病変部由来の試料とのハイブリダイゼーション及び対照試料とのハイブリダイゼーションのそれぞれ結果を比較することにより、両者で発現レベル又は発現量の異なる遺伝子を検出することができる。具体的には、上記の方法で標識された核酸試料とハイブリダイゼーションを行ったマイクロアレイについて、使用された標識方法に応じて適切なシグナルの検出を行い、マイクロアレイ上の各遺伝子のがん病変部由来の試料及び対照試料中の発現レベル又は発現量を比較することができる。好ましくは、複数の標識、例えば2種類の蛍光を検出することができる多波長検出蛍光アナライザーを用いれば、がん病変部由来の試料における遺伝子の発現レベル又は発現量と対照試料での遺伝子の発現レベル又は発現量との差を同じマイクロアレイ上で競合ハイブリダイゼーションにて比較することができる。例えば、限定されないが、がん病変部由来の試料についてはCy5−dUTPで蛍光標識を行い、対照の核酸試料についてはCy3−dUTPで蛍光標識する。両者を等量混合してマイクロアレイとハイブリダイゼーションを行うことで両者の遺伝子の発現レベル又は発現量の差を、シグナルの色及び蛍光強度の違いとして検出することができる。こうして得られたシグナルの強度に有意な差のある遺伝子は、細胞のがん化に伴って発現レベル又は発現量が変化する遺伝子であり、がん化及びがんの悪性化の指標として使用可能な遺伝子である。本発明に用いられる「腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する遺伝子」は、発現レベル又は発現量の差の大きな遺伝子ほど指標として望ましい。なお、遺伝子の発現レベル又は発現量の測定は、データの再現性を考慮し、同一試料の各遺伝子に対して複数のデータを得ることが望ましい。その場合、これらデータの平均値を各遺伝子の発現レベル又は発現量とすることができる。また、これらデータの分散あるいは標準偏差の値から、再現性を検証することができる。
次に、競合ハイブリダイゼーションを行う際に、一方の試料を共通のRNAにし、他方の試料を被検試料又は対照試料のRNAにすることにより、複数の試料の遺伝子発現プロファイルを横並びに比較することができる。具体的には、例えば、限定されないが、Cy3−dUTPで標識する側の試料を共通のRNAにし、Cy5−dUTPで標識する側の試料を被検試料又は対照試料のRNAにして、競合的ハイブリダイゼーションを行ったマイクロアレイについて、適切なシグナルの検出を行うことにより、常に、共通のRNAとの相対比として被検試料又は対照試料における各遺伝子の発現レベルが算出される。それぞれのマイクロアレイのノーマライゼーションは、例えば、グローバルノーマライゼーション法により補正することができる。そうすることにより、多数の被検試料の遺伝子発現プロファイルを横並びに比較することができる。
前記した遺伝子選別方法における目的遺伝子の選別基準としては、下記:
(i)被検対象における遺伝子の発現レベルが対照試料における発現レベルの2倍以上又は2分の1以下であること;及び
(ii)腎がんの悪性度との相関性が高いこと
が挙げられる。
本発明においては、最初に、腎がんに関連する遺伝子として、正常腎(非病変部位)組織対照における遺伝子の発現レベルと比較して、ステージIVに属する腎がん組織の発現レベルが4倍以上又は4分の1以下であり、かつ、t検定によるP値が0.0001未満であることを満たす280種の遺伝子を見出し、さらにその中から腎がんの悪性度の低い群と比較して悪性度の高い群で発現レベルが2倍以上又は2分の1以下、かつ、t検定によるP値が0.001未満であることを満たす35種(上記表1及び2)の遺伝子を見出した(図2参照)。本発明によれば、これらの遺伝子の中の2種(例えば、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)及びグリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)をコードする各遺伝子)の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定することを含む、腎がんの悪性度を判別又は予測する方法が提供される(図5参照)。さらに、上記35種の遺伝子の中のメチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)及び形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)をコードする各遺伝子のうちの少なくとも2種の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定することを含む、腎がんの悪性度を判別又は予測する方法が提供される(図4参照)。また、上記35種の遺伝子の中のメチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)、中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)及びクロソ(KL)をコードする各遺伝子のうちの少なくとも5種(例えば、5、6、7、8、9又は10種)の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定することを含む、腎がんの悪性度を判別又は予測する方法が提供される(図3参照)。さらに、上記35種の遺伝子のうち少なくとも10種(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種)の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定することを含む、腎がんの悪性度を判別又は予測する方法が提供される。
別の態様において、上記35種の遺伝子において、腎がんの悪性度の低い(予後良好な)群と比較して悪性度の高い(予後不良な)群で発現レベルが高い遺伝子として11種の遺伝子(「第1の分子マーカーセット」という)と、腎がんの悪性度の高い(予後不良な)群と比較して悪性度の低い(予後良好な)群で発現レベルが高い遺伝子として24種の遺伝子を分類することができた。したがって、本発明によれば、腎がんにおいて、上記第1の分子マーカーセットをコードする遺伝子からなる群から選択される4、5、6、7、8、9、10又は11種の遺伝子の発現レベル又は発現量、並びに上記第2の分子マーカーセットをコードする遺伝子からなる群から選択される5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24の遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し、第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量とを比較し、発現パターンの違いから腎がんの悪性度を判別又は予測する方法が提供される。ここで、本明細書において使用するとき、腎がんの「悪性度が高い」又は「予後不良」という場合は、以下の態様のいずれか1つ又はそれらの組み合わせ:
(1)第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して高い;
(2)第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して低い;及び
(3)第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して高い
を意味する。一方、本明細書において使用するとき、腎がんの「悪性度が低い」又は「予後良好」という場合は、以下の態様のいずれか1つ又はそれらの組み合わせ:
(1)第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が高いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して低い;
(2)第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が高いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して高い;及び/又は
(3)第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して低い
を意味する。
悪性度の判別には、上記第1の分子マーカーセットをコードする遺伝子からなる群から選択される遺伝子は、少なくとも4種あれば足りるが、より適正な判別のために、測定される遺伝子種を増やして比較することができる。したがって、本発明において、必要とする第1の分子マーカーセットの遺伝子は、少なくとも4種であり、好ましくは少なくとも6種であり、より好ましくは少なくとも8種である。また、上記第2の分子マーカーセットをコードする遺伝子からなる群から選択される遺伝子は、少なくとも10種あれば足りるが、より適正な判別のために、測定される遺伝子種を増やして比較することができる。したがって、本発明において、必要とされる第2の分子マーカーセットの遺伝子は、少なくとも10種であり、好ましくは少なくとも15種であり、より好ましくは少なくとも20種である。なお、腎がんの悪性度を評価する場合に使用される第1の分子マーカーセットに含まれる遺伝子と第2の分子マーカーセットに含まれる遺伝子の選択は特に限定されず、任意に組み合わせることができる。
前記遺伝子は、がん又はがん細胞を検出するための指標としても有用である。したがって、本発明の腎がんの悪性度の判別又は予測方法により、腎がんにおけるがん細胞の検出も可能にする。かかる腎がん又は腎がん細胞の検出方法も本発明の範囲に包含される。該方法においては、選択された遺伝子の多くはがん化によりその発現が変動し、さらに悪性化により変動パターンが異なるため、同一の手法により腎がん又は腎がん細胞の検出とそのがんの悪性化判定とを同時に行うことができる。
本発明の腎がんの悪性度の判別又は予測方法においては、遺伝子の発現レベル又は発現量は、該遺伝子より転写されるmRNA(若しくはその断片)の量又は該遺伝子にコードされたポリペプチド(若しくはその断片)の量から測定することができる。
前記mRNA量の測定には、公知の種々の方法、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション法、in situハイブリダイゼーション法、ドットブロットハイブリダイゼーション法、マイクロアレイを使用する方法等に代表されるハイブリダイゼーション法、RT−PCR法に代表される核酸増幅法等が使用できる。また、DNA塩基配列解読装置(例えば、次世代型のシーケンサー(例えばIon Proton System(ライフテクノロジーズ社)等)を使用した方法も使用できる。十分なmRNAの検出感度を得る観点から、ハイブリダイゼーション法又は核酸増幅法が好ましく、より具体的には、発現レベル又は発現量を測定しようとする遺伝子に対応する核酸又はその断片が支持体上のそれぞれ定められた領域に固定化されたマイクロアレイ(例えば、DNAマイクロアレイ)を使用するハイブリダイゼーション法及び/又はRT−PCR法が好適である。多数の遺伝子の発現を同時に測定する観点から、マイクロアレイを使用するハイブリダイゼーション法が特に好適である。
本明細書において「マイクロアレイ」とは、遺伝子又は遺伝子由来のDNA断片が支持体上の定められた領域に固定されているものを指し、例えばDNAチップと呼称されているものを包含する。また、遺伝子又は遺伝子由来のDNA断片が支持体上に高密度に固定されているものはDNAマイクロアレイとも呼ばれる。マイクロアレイの支持体は、ハイブリダイゼーションに使用可能なものであれば特に限定されず、通常、スライドガラス、シリコンチップ、ニトロセルロース又はナイロンの膜等が使用される。また、支持体上に固定される遺伝子又はその断片としては、特に限定されないが、例えば、合成オリゴDNA、ゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリー、これらを鋳型としたPCR等によって増幅されたDNAが挙げられる。また、支持体上に固定される遺伝子又はその断片は、1つの遺伝子であっても、そのヌクレオチドの配列が異なっている複数の部分に対応している遺伝子が存在してもよい。
このようなマイクロアレイを使用することにより、核酸試料中に含まれる多種類の核酸分子の量又は相対比を同時に測定することができる。また、少量の核酸試料でも測定できるという利点がある。例えば、試料中のmRNAを標識するか、又はmRNAを鋳型として標識されたcDNAを調製し、これとマイクロアレイの間でハイブリダイゼーションを実施することにより、試料中で発現されているmRNAを同時に検出し、さらにその発現レベル又は発現量を測定することができる。標識に用いられる標識物質としては、放射性同位元素、蛍光物質、化学発光物質、発光団を有する物質等の物質を用いることができる。放射性同位元素としては、例えば、125I、131I、H、14C、32P、35S等が挙げられる。また、蛍光物質としては、例えば、Cy2、Cyanine2、FluorX、Cy3、Cyanine3、Cy3.5、Cyanine3.5、Cy5、Cyanine5、Cy5.5、Cyanine5、Cy7、Cyanine7、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、テキサスレッド、ローダミン等が挙げられる。また、同時に検出できる点から、2種類以上の蛍光物質を用いて、被検試料、対照として用いる試料をそれぞれ異なった蛍光物質で標識することが望ましい。ここで試料の標識は、試料中のmRNA、該mRNA由来のcDNA若しくは該cDNAより転写又は増幅された核酸を標識することによって実施される。標識の検出法は、用いられる標識物質の種類により、適宜選択することができる。例えば、前記Cy3及びCy5を標識物質として用いる場合、Cy3は532nm、Cy5は635nmの波長でスキャンすることにより検出することができる。なお、標識の強度を遺伝子の発現レベル又は発現量の指標とする。
核酸増幅法、特にRT−PCR法によりmRNA量を測定する場合、例えば、競合PCR法、TaqMan法(例えば、Lee,L.G.,et al.,Nucl.Acids Res.,21,3761−3766(1993)等を参照のこと)等により、mRNA量を測定できる。
上記遺伝子にコードされたポリペプチド(又はその断片)の量を測定する方法としては、該ポリペプチド(又はその断片)に対する抗体又はその断片を用いて、ポリペプチド等の発現レベル又は発現量を測定する方法が挙げられ、具体的には、質量分析、ウェスタンブロッティング、ELISAアッセイ、フローサイトメトリー、プロテインアレイ、抗体アレイ、免疫組織染色、イムノクロマトグラフィー及び酵母Two−Hybrid等を挙げることができる。
本発明の悪性度の判別又は予測方法においては、被検試料における遺伝子の発現レベル又は発現量と対照試料における遺伝子の発現レベル又は発現量とを比較することにより遺伝子の発現レベル又は発現量を解析し、それにより腎がん、特に淡明細胞型腎細胞がんの有無を判定することができる(後述する実施例1参照)。ここで、対照試料とは、健常人由来試料、非病変部位由来の試料又は悪性度が低いとされる患者の病変部位由来の試料をいう。さらに、淡明細胞型腎細胞がんであると判定された被検試料の特定の遺伝子の発現レベル又は発現量(又は発現パターン)を詳細に解析することにより、腎がんの悪性度(予後不良又は予後良好)を判別又は予測することができる(後述する実施例2参照)。なお、遺伝子の発現パターン解析は、被検試料における各遺伝子の発現強度シグナル、若しくは対照試料又は共通のRNAに対する被検試料における各遺伝子の相対発現比率を用いたクラスター解析により行うことができる。ここで、「相対発現比率」とは、〔被検試料における遺伝子の発現レベル又は発現量/対照試料における遺伝子の発現レベル又は発現量〕又は〔対照試料又は被検試料における遺伝子の発現レベル又は発現量/共通のRNA試料における遺伝子の発現レベル又は発現量〕により示される値をいう。クラスタリングの手法としては、特に限定されないが、階層的クラスタリング法及びニューラルネットワーククラスタリング法等が挙げられる。例えば、階層的クラスタリングとは、個々の試料について測定されたデータを多次元座標に配置した場合、データ間の距離が最も近い試料から順に見つけ、最終的には似た試料が隣り合うように並べるものであって、結果を樹形図で表現できることが特色である(図1及び2参照)。試料間の距離の測定法は様々であり、ユークリッド距離、マハラノビスの汎距離等がよく用いられる。また、樹形図を作成する過程で、個々の試料をまとめた組の相互の距離の定義の仕方も種々あり、特に限定されないが、主に最短距離法、最長距離法、群平均法、重心法、ウォード法が挙げられる。
被検試料、例えば、がん組織における各遺伝子の発現強度シグナルを用いる場合は、各遺伝子のスポットシグナルからバックグラウンドシグナルを差し引いた値(この値を発現強度シグナルとする)をコンピューターに入力するが、この際のシグナル強度の分布はマイクロアレイ毎に異なるため、正規化(normalization)を行うことが好ましい。この正規化の方法には、Z−スコア、平均偏差、平均絶対偏差、中央値絶対偏差等があり、適宜選択することができる。次に、正規化後の発現強度シグナルについて、階層的クラスター解析を行うことにより、検体、例えば、腎がん検体のクラスタリング並びに遺伝子のクラスタリングが行われる。その結果、樹形図上での検体間分類、すなわち遺伝子発現の強弱パターンが似通った検体間相互には、病理診断におけるがんの浸潤程度、リンパ節転移、遠隔転移等の悪性度の面での共通性があり、かつ悪性度の高い転移検体と浸潤程度の低い早期がん検体はもっとも離れた距離に配置された。この方法を用いることにより、例えば、手術前に、生検から少量のがん組織を採取するだけで、検体の悪性度が判別又は予測可能となる。すなわち、がん組織よりmRNAを精製し、例えば、標識したプローブを用いてハイブリダイゼーションを行い、個々の遺伝子の発現強度シグナルを測定する。この発現強度シグナルと既に悪性度の判明した標準となる腎がん検体の発現強度シグナルと共にクラスター解析を行うことにより、未知の検体がどの悪性度レベルの標準検体に近いかが判定される。このような解析を行うことによって、例えば、ステージIIIにある淡明細胞型腎細胞がんの悪性度未知の検体であっても、悪性度の低いがん検体か、又は転移した悪性度の高いがん検体のいずれに距離的に近いかが判明し、予後が予想可能となる。
3.腎がんの悪性度を判別又は予測するためのマイクロアレイ
腎がんの悪性度を判別又は予測するための本発明のマイクロアレイは、腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する第1の分子マーカーセットのうちの少なくとも4種及び第2の分子マーカーセットのうちの少なくとも5種の遺伝子に対応する核酸(例えば、DNA等)又はその断片がそれぞれ支持体上の定められた領域に固定化されたマイクロアレイである。各々の遺伝子が、支持体上において予め定められた位置に固定化されているため、検出されたシグナルの位置からこのシグナルがどの遺伝子の核酸又はその断片に由来するのかを容易に知ることができる。本発明のマイクロアレイに用いる支持体は、ハイブリダイゼーションに使用可能なものであれば特に限定はなく、通常、スライドガラス、シリコンチップ、ニトロセルロース又はナイロンの膜等が使用される。さらに好ましくは、非多孔性で、表面が滑らかな構造を有する材質であればよく、特に限定はないが、例えばスライドガラス等のガラスが好適に使用できる。支持体の表面は、共有結合又は非共有結合により、例えば、一本鎖DNAを固定化できるものであればいずれでもよく、支持体の表面に親水性又は疎水性の官能基を有しているものが好適に使用でき、特に限定はないが、例えば、水酸基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基、カルボキシル基、アシル基等を有しているものが好適に使用できる。これらの官能基は、支持体自体の表面特性として存在していてもよいが、表面処理によって導入されてもよい。このような表面処理物としては、例えば、ガラスをアミノアルキルシラン等の市販のシランカップリング剤で処理したものや、ポリリジンやポリエチレンイミン等のポリ陽イオンで処理したもの等が挙げられる。
本発明のマイクロアレイにおいては、核酸又はその断片は、一本鎖、二本鎖のいずれが固定されていてもよい。例えば、該核酸又はその断片が、変性された二本の鎖として支持体に整列固定化されたマイクロアレイ、固定化されたDNAの少なくとも一部が一本鎖DNAであるマイクロアレイ等でもよい。また、二本鎖DNAを変性下において、同一支持体に整列させてスポットしたマイクロアレイでもよい。さらに、本発明のマイクロアレイにおいては、固定化される遺伝子の核酸又はその断片の支持体上における密度について特に限定はないが、例えば、高密度のマイクロアレイでもよく、100ドット/cm以上の密度で核酸、特にDNAが固定化されたマイクロアレイが好適に使用できる。
支持体上に固定化される核酸又はその断片には特に限定はなく、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドのいずれであってもよい。また、その製法にも特に限定はなく、化学的に合成したもの、天然の核酸から単離及び精製したもの、酵素的に合成したもの、さらにはこれらを組み合わせて使用することができる。支持体上に固定される核酸又はその断片としては、特に限定するものではないが、例えば、鎖長が50塩基長以上の二本鎖ポリヌクレオチド又はその誘導体であって、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)法等により、酵素的に増幅して調製されるものを、DNAの固定化支持体への固定化時に変性し、一本鎖DNA又はその誘導体としたものが好適に使用できる。該誘導体としては、支持体表面への固定化を可能にするような修飾を付されたものであればよく、特に限定されないが、例えば、DNAの5’末端にアミノ基やチオール基等の官能基が導入されたDNAが挙げられる。
例えば、ゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーを鋳型としたPCR等によって増幅されたDNAを使用することができる。上記の遺伝子に対応する核酸又はその断片を公知の方法、例えば、アミノ基を導入した支持体上に固定することにより該マイクロアレイを作製することができる。また、上記固定化の操作をマイクロアレイ作製装置、例えばGMS社のDNAチップ作製装置を使用して行うことにより、遺伝子に対応する核酸が整列、固定化された本発明のマイクロアレイを作製することができる。マイクロアレイに核酸の断片を固定する場合、該断片の鎖長は、特に限定されないが、例えば、約50塩基長〜約1キロ塩基長であることが望ましく、また、該鎖長より短い又は長いものであっても被検試料由来の核酸とハイブリダイゼーションにおいて特異的にハイブリダイズするものであればよい。
本発明のマイクロアレイに用いられる遺伝子は、腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する遺伝子であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、上記表1及び表2に列挙された遺伝子(例えば、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、増殖因子、転移・浸潤因子、血管新生因子又はエネルギー代謝に関与するタンパクをコードする遺伝子等)が挙げられる。さらに、例えば、機能は未知であるが、種々の悪性度の異なる腎がん患者のがん組織及び対照正常組織より抽出された全RNA中よりディファレンシャル・ディスプレイ(DD)法により腎がんの悪性化に伴い発現の減少、又は増加する遺伝子を見出してこれらを固定化してもよい。さらに、上記遺伝子選別方法で判明した腎がんの悪性化の過程で発現変動する遺伝子は全て入手可能であり、かかる遺伝子に対応する核酸を全て固定化した腎がんの悪性度を判別又は予測するためのマイクロアレイを作製することができる。なお、本発明のマイクロアレイは、腎がんにおけるがん細胞を検出するためにも使用することができる。
3.腎がんの悪性度を判別又は予測するためのキット
本発明の腎がんの悪性度を判別又は予測するためのキットとしては、(1)腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する、第1の分子マーカーセットのうちの少なくとも4種及び第2の分子マーカーセットのうちの少なくとも5種の遺伝子から発現されるmRNA又はその断片を検出するためのプライマー及び/又はプローブを含むキット、又は(2)腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量の変化する少なくとも上記遺伝子にコードされたポリペプチド又はその断片に対する抗体又はその断片を含むキットが挙げられる。また、本発明のキットは、腎がんにおけるがん細胞を検出するためにも使用することができる。
本発明のキット(1)は、腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する上記遺伝子から発現されるmRNA又はその断片を核酸増幅法、具体的には、RT−PCR法によって検出するためのプライマー及び/又はプローブを含む。このようなプライマー及び/又はプローブは、腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量が変化する上記遺伝子に、又は該遺伝子に相補的な塩基配列を有する核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするものであればよい。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、特に限定されないが、例えば、6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト、100μg/mlニシン精子DNAを含む溶液中、〔前記プライマー及び/又はプローブのTm−25℃〕の温度で一晩保温する条件等をいう。また、上記のプライマーの塩基配列は、通常の核酸増幅法、特にRT−PCRにおける反応条件下で上記遺伝子に対応する核酸を特異的に増幅し得る配列であればよい。一方、プローブの塩基配列も、前記遺伝子に対応する核酸に前記ストリンジェントな条件下にハイブリダイズし得る核酸の配列であればよい。なお、プライマー又はプローブのTmは、例えば、式:Tm=81.5−16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−(600/N)(式中、Nはプローブ又はプライマーの鎖長であり、%G+Cはプローブ又はプライマー中のグアニン及びシトシン残基の含有量である)により求められる。また、プライマー又はプローブの鎖長が18塩基より短い場合、Tmは、例えば、A+T(アデニン+チミン)残基の含有量と2℃との積と、G+C残基の含有量と4℃との積との和〔(A+T)×2+(G+C)×4〕により推定することができる。プライマーの鎖長は、特に限定はないが、例えば、15〜40塩基長であり、好ましくは17〜30塩基長であることが望ましい。また、プローブの鎖長は、特に限定はないが、非特異的なハイブリダイゼーションを防止する観点から、15塩基以上であり、好ましくは18塩基以上であることが望ましい。
本発明のキット(2)において、ポリペプチドは、腎がんの悪性度に応じて発現レベル又は発現量の変化する上記遺伝子によりコードされたポリペプチドが挙げられる。具体的には、表1及び又は2に記載の遺伝子によってコードされたポリペプチドから選択され得る。一方、抗体は、前記ポリペプチドに特異的に結合する能力を有するものであれば、特に限定はされず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよい。さらに、公知技術により修飾された抗体又は抗体の誘導体、例えば、ヒト化抗体、Fabフラグメント、単鎖抗体等を使用することもできる。前記抗体は、例えば、Coligan.J.E.編集,“Current Protocols in Immunology”,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York(2001)に記載の方法により、前記ポリペプチドの全部又は一部を用いてウサギやラット、マウス等を免疫することにより、容易に作製され得る。こうして得られた抗体を精製後、ペプチダーゼ等により処理することにより、抗体の断片が得られる。また、遺伝子工学的に抗体を作製することもできる。さらに、本発明のキットに使用される抗体又はその断片は、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、発光免疫測定法等による検出を容易にするために、各種修飾をしてもよい。なお、本発明のキットは、検出用試薬等を適宜含有してもよい。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1:腎がんに関連する遺伝子の選択
(1)総RNAの抽出
2008年から2012年にかけて、福島県立医科大学病院及び関連病院において外科的に切除された淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)臨床検体51症例(病期I/II/III/IV:29/4/6/12)、及び非病変部位組織検体32症例を対象として、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。全ての症例はインフォームドコンセント及び文書による同意がなされ、また本研究における検体を用いた実験プロトコールの全ては倫理委員会の承認を受けている。手術による切除後、がん病変部又は非病変部(正常腎組織)の一部をメスで切り取り、液体窒素中で急速凍結した。凍結組織はRNA抽出時まで、液体窒素タンクないし−80℃のディープフリーザー内で保存された。より具体的には、上記検体から組織を採取し、各組織を破砕後、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン社)を加えてホモジナイズし、少量のクロロホルムを入れ、2300×gで25分間遠心分離させた。上清を採取し、採取量と等量のイソプロパノールを加え、15分以上室温でインキュベートした後、2300×gで25分間遠心して、ペレットに回収した。次に、エタノール沈殿(70%)により総RNAを得た。Poly(A)pureキット(Ambion社)を用いて、mRNAを精製した。なお、腎がん症例群における臨床病理学的因子の詳細を表3に記載する。TNM分類に関しては、American Joint Committee on Cancerの基準に従った。
上記表3中の各項目は以下のような所見を示す。
(a)ステージI〜IV
ステージIは、腫瘍が腎臓内に留まっている状態である。
ステージIIは、腫瘍の大きさが7cmを超えているが、腎臓内に留まっている状態である。
ステージIIIは、原発腫瘍は腎臓から周囲の脂肪組織に浸潤しているが、ゲロタ筋膜内に留まっている状態である。
ステージIVは、近隣臓器へのがんの浸潤が見られ、遠隔転移も見られる。
(b)T(腎がんの広がり)
T1aは、腫瘍の直径が4cm以下の状態である。
T1bは、腫瘍の直径が4〜7cm以下の状態である。
T2は、腫瘍が7cm以上の状態である。
T3aは、がんが周辺脂肪組織に広がっている状態である。
T3bは、がんがさらに広がっているが、肝静脈までは達していない状態である。
T3cは、がんが心房まで達している状態である。
T4は、がんが肝臓、膵臓、腸管などに浸潤している状態である。
(c)N(リンパ節転移)
N0は、所属リンパ節転移がない状態である。
N1は、所属リンパ節転移が1箇所である状態である。
N2は、所属リンパ節転移が2箇所以上である状態である。
(d)M(遠隔転移の有無)
M0は、遠隔転移が見られない状態である。
M1は、遠隔転移が見られる状態である。
(e)V(静脈侵襲の有無)
0は、静脈侵襲が見られない状態である。
1は、静脈侵襲が見られる状態である。
(f)グレード(分化度、悪性度、質の悪さ)
グレード1は、高分化がん、低悪性度、進行が遅い、比較的予後が良好である状態である。
グレード2は、中分化がんであり、グレード1と3の間の状態である。
グレード3は、低分化又は未分化がん、高悪性度、非常に進行が早い、予後が不良である状態である。
(2)標識cDNAの合成
上記で調製したmRNAを鋳型として、標識cDNAを以下の通りにして得た。簡単には、該mRNA 2.0μgを核酸標識/ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社)、逆転写酵素であるSuperScript II(登録商標:ライフテクノロジーズ)(インビトロジェン社)、Cyanine5−dUTP(Perkin Elmer社)を用い、標識cDNAを作製した。一方、対照としてヒト共通レファレンスRNA(マイクロダイアグノスティック社)を使用した。ヒト共通レファレンスRNAに対しては核酸標識/ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社)、逆転写酵素であるSuperScript II(インビトロジェン社)、Cyanine3−dUTP)(Perkin Elmer社)を用い、標識cDNAを作製した。なお、ヒト共通レファレンスRNAは、22種類の細胞株(A431細胞、A549細胞、AKI細胞、HBL−100細胞、HeLa細胞、HepG2細胞、HL60細胞、IMR−32細胞、Jurkat細胞、K562細胞、KP4細胞、MKN7細胞、NK−92細胞、Raji細胞、RD細胞、Saos−2細胞、SK−N−MC細胞、SW−13細胞、T24細胞、U251細胞、U937細胞、Y79細胞)からそれぞれ調製したmRNAを等量ずつ混合したものを使用した。
(3)標識プローブの調製
上記標識cDNA、すなわち、Cyanine5−dUTPで標識した検体及びCyanine3−dUTPで標識したヒト共通レファレンスRNAを同一試験管内で混合した後、Micropure EZ(ミリポア社)及びMicrocon YM30(登録商標:ミリポア)(ミリポア社)により精製した。最終的には核酸標識/ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社)に付属のハイブリダイゼーションバッファー及び純水を用いて15μlに調製した。
(4)マイクロアレイの作製
マイクロアレイは、ヒト遺伝子断片ライブラリー(約32,000遺伝子)(マイクロダイアグノスティック社)を用い、Schena,M.ら(Science,270,467−470(1995))の方法に準じて作製した。これらの遺伝子を超微量分注装置(マイクロダイアグノスティック社)により、HAコートされたスライドガラス(松浪硝子工業社)にスポットし、次に、気相恒温器(三洋電機バイオメディカ社)内にて80℃で1時間静置し、さらにUVクロスリンカー(Hoefer社、UVC500)を用いてUV照射(120mJ)した。その後、特開2004−233105に記載の方法に従ってマイクロアレイを後処理し、所望のDNAマイクロアレイを作製した。
(5)標識プローブとマイクロアレイのハイブリダイゼーション
上記(3)で調製した標識プローブを熱変性(99℃、5分間)後、上記(4)で調製したマイクロアレイ上に滴下し、ハイブリダイゼーションカセット(マイクロダイアグノスティック社)に格納した。このハイブリダイゼーションカセットを気相恒温器(三洋電機バイオメディカ社)内で42℃で20時間静置した状態で保温した。次に、ハイブリダイゼーションカセットからスライドガラスを取り出し、核酸標識/ハイブリダイゼーション試薬(マイクロダイアグノスティック社)付属のハイブリダイゼーション洗浄溶液を用い、同社推奨のプロトコールに従ってスライドガラスを洗浄した。
(6)蛍光強度の検出及び数値化
洗浄したスライドガラスをGenePix4000B(Axon Instrument社)上でスキャンして蛍光を測定し、このスキャナーに付属の解析ソフトウェアGenePixPro(Axon Instrument社)を用いて光学的に評価し、蛍光強度をヒト共通レファレンスとの相対比(log比)で表した。
(7)腎がんに関連する遺伝子の選択
腎がん組織と正常腎組織の間で発現レベルに有意な差がある遺伝子を抽出することを目的として、両者の2群比較によるt検定を行った。両者間のt検定でP値が0.0001未満かつ両者の平均値の差が4倍以上ある遺伝子を抽出した(280遺伝子)。さらに、この280遺伝子の発現パターンを用いて階層的クラスター解析(コンピュータプログラムExpression View Pro[マイクロダイアグノスティック社]を使用)を行ったところ、図1に示すように、大きくは、正常腎組織(32サンプル)(灰色のバー)と腎がん組織(51サンプル)(白のバーと黒のバー)の2つのクラスターに分けることができた。そこで、臨床病理データと照らし合わせると、腎がん組織の黒のバーの群の中には、ステージIVを中心とした悪性度が高い(アグレッシブな)腎がん症例が集まり、白のバーの群には悪性度が低い(ノンアグレッシブな)腎がん症例が集まっていることが判明した。
実施例2:腎がんの悪性度に関連する遺伝子の選択(35遺伝子)
腎がん症例における遺伝子発現パターンに基づいて、高い悪性度と関連した遺伝子群と低い悪性度の関連した遺伝子群とをより明確に分けることを目的として、腎がん症例の51サンプルについて、実施例1と同様に、さらに遺伝子発現解析を行った。より具体的には、280遺伝子の中から、悪性度の高い(アグレッシブな)腎がん(黒のバーの群)と悪性度の低い(ノンアグレッシブな)腎がんとの間で再度t検定による2群比較を行い、腎がんの悪性度に関連する遺伝子を絞り込んだ。両者間のt検定でP値が0.001未満かつ両者の発現レベルの平均値の差が2倍以上ある遺伝子を抽出した結果、35遺伝子(上記表1及び表2)を抽出することができた。さらに、これらの35遺伝子の発現パターンを用いて階層的クラスター解析を行ったところ、悪性度が高い(アグレッシブな)腎がん(16症例)と悪性度が低い(ノンアグレッシブな)腎がん(35症例)の両者を明確に区別できることが分かった(図2)。
上記の35遺伝子は、臨床病理データと照らし合わせると、悪性度が高いとされる症例(16サンプル)は、悪性度が低いとされる症例(35サンプル)と比較して、高いグレード及び高いステージの臨床所見を多く含んでいる。また、悪性度が高いとされる症例においては、上記35遺伝子のうち、11種の遺伝子群(表1)については、悪性度が低いとされるサンプルと比較して、それらの遺伝子の発現レベル又は発現量が高く、24種の遺伝子群(表2)については、悪性度が低いとされるサンプルと比較して、それらの遺伝子の発現レベル又は発現量が低い傾向にあることから、悪性度が未知の腎がん組織試料について、悪性度の判別又は予測に上記の2つの遺伝子群の発現レベル又は発現量を比較することは非常に有用であることが示唆された。
実施例3:腎がんの悪性度に関連する遺伝子の選択(10遺伝子)
上記の35遺伝子の中から、それらの発現レベルまたは発現量が腎がんの悪性度に関係してさらに有意に差のある10遺伝子、すなわち、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)及びクロソ(KL)(配列番号23)を選択して、これらの10遺伝子の発現パターンを用いて階層的クラスター解析を行ったところ、悪性度が高い(アグレッシブな)腎がんと悪性度が低い(ノンアグレッシブな)腎がんの両者を区別できることが分かった(図3)。
実施例4:腎がんの悪性度に関連する遺伝子の選択(3遺伝子)
上記の10遺伝子の中から、それらの発現レベルまたは発現量が腎がんの悪性度に関係してさらに有意に差のある3遺伝子、すなわち、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)を選択して、これらの3遺伝子の発現パターンを用いて階層的クラスター解析を行ったところ、悪性度が高い(アグレッシブな)腎がんと悪性度が低い(ノンアグレッシブな)腎がんの両者を区別できることが分かった(図4)。
実施例5:腎がんの悪性度に関連する遺伝子の選択(2遺伝子)
上記の3遺伝子の中から、それらの発現レベルまたは発現量が腎がんの悪性度に関係してさらに有意に差のある2遺伝子、すなわち、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)を選択して、これらの2遺伝子の発現パターンを用いて階層的クラスター解析を行ったところ、悪性度が高い(アグレッシブな)腎がんと悪性度が低い(ノンアグレッシブな)腎がんの両者を区別できることが分かった(図5)。
実施例6:生存率の確認
上記の35遺伝子を用いた遺伝子発現プロファイルをもとにしたクラスター分析により分けられた2つの群(図2)、すなわち、腎がんの予後良好群と予後不良群に関してカプランマイヤー法により経時的な累積生存率を求めた。図6に示すように、予後不良群と分類された群については、経時的に累積生存率が減少している。一方、予後良好群と分類された群では、累積生存率の減少は見られなかった。これらについてログランク検定を行うと、両者間ではp<0.001となり、有意差が確認された。
本発明の腎がんの悪性度を判別又は予想する方法は、腎がんの予後に関連した分子マーカーセットを用いることを特徴とし、各遺伝子の発現レベル又は発現量又はパターンを比較することにより、迅速かつ簡便に腎がんの悪性度を判別又は予測することができ、腎がんの治療に応用できる。
本明細書に引用する全ての刊行物及び特許文献は、参照により全体として本明細書中に援用される。なお、例示を目的として、本発明の特定の実施形態を本明細書において説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の改変が行われる場合があることは、当業者に容易に理解されるであろう。

Claims (14)

  1. 腎がんの悪性度を判別する方法であって、
    (a)被検対象から腎がん組織を採取し;
    (b)上記(a)の組織において、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)及びグリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
    (c)前記遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
    ことを含む方法。
  2. 腎がんの悪性度を判別する方法であって、
    (a)被検対象から腎がん組織を採取し;
    (b)上記(a)の組織において、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)及び形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
    (c)前記遺伝子のうち、少なくとも2種の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
    ことを含む方法。
  3. 腎がんの悪性度を判別する方法であって、
    (a)被検対象から腎がん組織を採取し;
    (b)上記(a)の組織において、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)及びクロソ(KL)(配列番号23)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
    (c)前記遺伝子のうち、少なくとも5種の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
    ことを含む方法。
  4. 腎がんの悪性度を判別する方法であって、
    (a)被検対象から腎がん組織を採取し;
    (b)上記(a)の組織において、インテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、コンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)、膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする各遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
    (c)前記遺伝子のうち、少なくとも10種の遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して2倍以上又は2分の1以下である場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
    ことを含む方法。
  5. 腎がんの悪性度を判別する方法であって、
    (a)被検対象から腎がん組織を採取し;
    (b)上記(a)の組織において、第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子の発現レベル又は発現量、並びに第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
    (c)前記第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して高い、及び/又は前記第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、悪性度が低いと推定される対照における同一の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して低い場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
    ことを含む方法。
  6. 腎がんの悪性度を判別する方法であって、
    (a)被検対象から腎がん組織を採取し;
    (b)上記(a)の組織において、第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子の発現レベル又は発現量、並びに第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする各遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子の発現レベル又は発現量を測定し;
    (c)前記第1の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量が、前記第2の分子マーカーセットの遺伝子の発現レベル又は発現量と比較して高い場合には、被検対象の腎がんの悪性度が高いと判定する
    ことを含む方法。
  7. 前記遺伝子の発現レベル又は発現量が、該遺伝子より転写されるmRNA量又は該遺伝子にコードされたポリペプチド量から測定される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記mRNA量が、ハイブリダイゼーション法又は核酸増幅法により測定される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ハイブリダイゼーション法において、発現レベル又は発現量を測定する対象となる遺伝子に対応する核酸又はその断片が支持体上の各々定められた領域に固定化されたマイクロアレイを使用する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記核酸増幅法が、RT−PCR法である、請求項8に記載の方法。
  11. 前記遺伝子の発現レベル又は発現量が、該遺伝子より転写されてmRNAの逆転写反応により得られるcDNA量から次世代シーケンサーを用いて測定される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記遺伝子にコードされたポリペプチド量が、該ポリペプチド又はその断片に対する抗体を用いて測定される、請求項7に記載の方法。
  13. 第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子に対応する核酸若しくはその断片、及び/又は第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子に対応する核酸若しくはその断片の各々が、支持体上の定められた領域に固定化されている、腎がんの悪性度を判別するためのマイクロアレイ。
  14. 第1の分子マーカーセットであるインテグリン−アルファM(ITGAM)(配列番号1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質3(IGFBP3)(配列番号2)、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)(配列番号3)、AHNAK核タンパク質2(AHNAK2)(配列番号4)、プロコラーゲン−リジン 2−オキソグルタレート 5−ジオキシゲナーゼ2(PLOD2)(配列番号5)、形質転換増殖因子β誘導型68kDa(TGFBI)(配列番号6)、セルピンペプチダーゼ阻害剤クレードEメンバー1(SERPINE1)(配列番号7)、ADPリボシル化因子様4C(ARL4C)(配列番号8)、ルミカン(LUM)(配列番号9)、ニコチンアミドN−メチルトランスフェラーゼ(NNMT)(配列番号10)、及びコンプリーメントコンポーネント1 sサブコンポーネント(C1S)(配列番号11)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも4種の遺伝子から発現されるmRNA若しくはその断片を検出するためのプローブ、及び/又は第2の分子マーカーセットである膜メタロエンドペプチダーゼ転写産物バリアント1(MME)(配列番号12)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6ファミリーメンバーA1(ALDH6A1)(配列番号13)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)(配列番号14)、ポドカリキシン様(PODXL)(配列番号15)、メチオニンスルホキシドレダクターゼA(MSRA)(配列番号16)、尿細管間質性腎炎抗原(TINAG)(配列番号17)、膜貫通タンパク質174(TMEM174)(配列番号18)、アグマチンウレオヒドロラーゼ(アグマチナーゼ)(AGMAT)(配列番号19)、プロテアーゼセリン8(PRSS8)(配列番号20)、ドーパ脱炭酸酵素(芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素)(DDC)(配列番号21)、グリシン−N−アシルトランスフェラーゼ様1(GLYATL1)(配列番号22)、クロソ(KL)(配列番号23)、溶質輸送体ファミリー7(糖タンパク質関連アミノ酸トランスポーター軽鎖、bo+システム)メンバー9(SLC7A9)(配列番号24)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーL1(ALDH1L1)(配列番号25)、ミオイノシトールオキシゲナーゼ(MIOX)(配列番号26)、溶質輸送体ファミリー16メンバー9(モノカルボン酸トランスポーター9)(SLC16A9)(配列番号27)、C型レクチンドメインファミリー3メンバーB(CLEC3B)(配列番号28)、シトクロームP450ファミリー4サブファミリーAポリペプチド11(CYP4A11)(配列番号29)、ブチロベタイン(ガンマ)2−オキソグルタレートジオキシゲナーゼ(ガンマ−ブチロベタインヒドロキシラーゼ)1(BBOX1)(配列番号30)、アクアポリン1(コルトン血液群)(AQP1)(配列番号31)、内向き整流カリウムチャネルサブファミリーJメンバー15(KCNJ15)(配列番号32)、ペリリピン2(PLIN2)(配列番号33)、フルクトース二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)(配列番号34)、及び中鎖アシルCoAシンテターゼファミリーメンバー2A(ACSM2A)(配列番号35)をコードする遺伝子からなる群から選択される少なくとも5種の遺伝子から発現されるmRNA若しくはその断片を検出するためのプローブ、あるいは上記遺伝子にコードされたポリペプチド若しくはその断片に対する抗体又はその断片を含む、腎がんの悪性度を判別するためのキット。
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