JP2018527886A - 転移性疾患の予測的遺伝子シグネチャー - Google Patents

転移性疾患の予測的遺伝子シグネチャー Download PDF

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Abstract

対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを癌の特徴付けおよび/または予後診断の提供のために使用することを含む、対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断のための方法。決定された発現レベルは、シグネチャースコアの作成に使用される。本方法は、転移性疾患の同定およびモニターを可能とし、治療介入をガイドする。

Description

発明の分野
本発明は癌、特に前立腺癌およびER陽性乳癌に関する。癌、特に前立腺癌およびER陽性乳癌の特徴付および予後推定の方法を提供する。本方法は、特に1以上の遺伝子シグネチャーの形態での各種バイオマーカーを利用する。本方法において有用なプライマー、プローブ、抗体、キット、デバイスおよびシステムも記載する。
発明の背景
前立腺癌は、生涯発症率15.3%の最もありふれた男性の悪性腫瘍である(Howlader 2012)。1999〜2006年のデータに基づき、前立腺癌患者の約80%が、前立腺に臨床的に確認される早期疾患を示し(Altekruse et al 2010)、その約65%が外科的切除または放射線療法により治癒する(Kattan et al 1999, Pound et al 1999)。35%がPSAの再上昇を示し、その約35%が局所または転移先での再発を示し、これは不治である。現在まで、早期前立腺癌のどの患者が再発に至り、より強力な治療により利益を受ける可能性があるか不明である。グリーソンスコアにより測定する腫瘍グレードのような現在の予後診断係数は、予後診断的価値を有するが、低グレード(7以下)と考えられる患者の相当数がなお再発し、高グレード腫瘍の一定数は再発しない。さらにグリーソン7腫瘍の予後は相当多様である(Makarov et al 2002, Rasiah et al 2003)。さらに、グリーソンスコアの等級付けは変化しており、時間経過とともにグリーソンスコアの分布の変化に到ることが分かってきている(Albertsen et al 2005, Smith et al 2002)。
同じ解剖学的位置が起源の大部分の固形腫瘍が、分子レベルで多数の異なる存在を表すことが現在明らかとなっている(Perou et al 2000)。DNAマイクロアレイプラットホームは、保管されたパラフィン包埋組織から同時に数万の転写物の解析を可能にし、理想的に分子サブグループの同定に適する。この種の取り組みは、乳癌(van't Veer et al 2002)および結腸癌(Bertucci et al 2004)のような固形腫瘍において転移能を有する原発癌を同定している。
発明の記載
本発明は、転移する可能性のある癌(例えば前立腺癌およびER陽性乳癌)を同定する癌バイオマーカー、特に予後バイオマーカーの同定および照合に基づく。
本発明者らは、分子レベルで転移性疾患に類似する一群の原発前立腺癌を同定した。転移性サンプルとクラスター化した原発腫瘍サンプルは、不良な(悪い)予後の一群を定義する。これらの腫瘍は、細胞接着、細胞分化および細胞発生に関連する遺伝子の下方制御により定義され得る。これらの腫瘍は、アンドロゲン関連過程および上皮間葉遷移(EMT)の上方制御により定義され得る。対照的に、良性および原発様良性腫瘍は、まとまって改善された(良好な)予後の群を定義する。何れのサブグループ内(すなわち転移性または非転移性生理を有する)の腫瘍であるかの前向き同定に使用できる一連のバイオマーカー/遺伝子シグネチャーが作成され、予後予測能力を有することが検証された。シグネチャーは、このように、例えば、腫瘍の再発および/または転移発症の可能性が高いか否かの決定のための、腫瘍の進行の前向き評価に使用できる。シグネチャーはまたここにさらに記載する不均一性試験においても優れたパフォーマンスを示す。特に、70遺伝子シグネチャーをここに記載する。遺伝子シグネチャーはまたER陽性乳癌を含む他の癌タイプでも有効であることが示され、そのため、根底の分子生物学が、転移する可能性のある原発腫瘍の同定に適用性を有し得ることが示唆される。
それ故に、第一の態様において、本発明は、対象における、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断の方法であって、
対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを癌の特徴付けおよび/または予後診断の提供のために使用することを含む、方法を提供する。
本発明のさらなる態様によって、対象における転移能が高い前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を診断(または同定または特徴付け)する方法であって、
対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを、対象が、転移能が高い前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を有するか否かの同定に使用することを含む、方法が提供される。
本発明はまた、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を特徴付けおよび/または予後診断する方法であって、
対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1遺伝子の発現レベルを再発および/または転移の可能性が高い細胞の存在または非存在を同定するために決定し、ここで、該細胞の存在または非存在を、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用することを含む、方法にも関する。
さらなる態様において、本発明は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を特徴付けおよび/または予後診断する方法であって、
a)対象からサンプルを得て/対象から得たサンプルにおいて、
b)表1から選択される少なくとも1遺伝子または全配列または標的配列のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸プローブを対象からのサンプルに適用し、
c)核酸プローブ−遺伝子複合体を検出する検出剤を適用し、
d)検出剤を少なくとも1遺伝子または全配列または標的配列のレベルの決定に使用し、
d)ここで、少なくとも1遺伝子(または全配列または標的配列)の該決定されたレベルを、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用する
ことを含む、方法に関する。適当なプローブおよびプローブセットを表1に挙げ、さらなる詳細を表1Aに提供する。
さらなる態様において、本発明は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を特徴付けおよび/または予後診断する方法であって、
a)対象からサンプルを得て/対象から得たサンプルにおいて
b)表1から選択される少なくとも1遺伝子または全配列または標的配列のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸プライマーを対象からのサンプルに適用し、
c)核酸プライマーのセットを使用してヌクレオチド配列を特異的に増幅させ、
d)少なくとも1遺伝子または全配列または標的配列のレベルを決定するために特異的検出剤を使用して増幅生成物を検出し、
e)ここで、少なくとも1遺伝子(または全配列または標的配列)の該決定されたレベルを、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用する
ことを含む、方法に関する。適当なプライマーおよびプライマー対を表1Bに挙げる。
検出剤は、蛍光標識のような標識または核酸プローブおよび/またはプライマー(適当であるならば)に結合したフルオロフォア/消光システムを含み得る。適当なシステムおよび方法は当分野で知られ、ここに記載する。
前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付け、予後診断または診断はまた処置のガイドに使用できる。
従って、さらなる態様において、本発明は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の処置を選択する方法であって、
(a)対象からのサンプルにおいて表1から選択した少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断の提供のために使用し、そして
(b)前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断に対して適する処置を選択する
ことを含む、方法に関する。
さらに他の態様において、本発明は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の処置を選択する方法であって、
(a)対象からのサンプルにおいて表1から選択した少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断の提供のために使用し、
(b)前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断に対して適する処置を選択し、そして
(c)対象を選択した処置法で処置する
ことを含む、方法に関する。
本発明はまた対象に化学療法剤または放射線療法、所望により拡大放射線療法、好ましくは広範囲放射線療法を適用するまたは対象に手術を実施することを含む、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を処置する方法にも関し、ここで、対象は、ここに記載する方法に基づき処置のために選択される。
さらなる態様において、本発明は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の処置に使用する化学療法剤に関し、ここで、対象は、ここに記載する方法に基づき処置のために選択される。
さらに他の態様において、本発明は、対象に化学療法剤または放射線療法、所望により拡大放射線療法、好ましくは広範囲放射線療法を適用するまたは対象に手術を実施することを含む、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を処置する方法に関し、ここで、対象は表1において選択した正の荷重の少なくとも1遺伝子の発現レベルが上昇しているおよび/または対象は表1において選択した負の荷重の少なくとも1遺伝子の発現レベルが低下している。
本発明はまた対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の処置に使用するための化学療法剤にも関し、ここで、対象は表1において選択した正の荷重の少なくとも1遺伝子の発現レベルが上昇しているおよび/または対象は表1において選択した負の荷重の少なくとも1遺伝子の発現レベルが低下している。
本発明の全ての関連態様によるある実施態様において、化学療法剤は
a)抗ホルモン処置、好ましくはビカルタミドおよび/またはアビラテロン
b)細胞毒性剤
c)生物学的製剤、好ましくは抗体および/またはワクチン、より好ましくはシプロイセルTおよび/または
d)標的化治療剤
を含む、本質的にそれらからなるまたはそれらからなる。
適当な治療および治療剤を、ここにさらに詳細に記載する。処置はアジュバント療法を含んでよくまたはある実施態様ではアジュバント療法であり得る。
本発明の全ての態様において、癌は前立腺癌またはER陽性乳癌であり得る。一般に、癌は原発腫瘍である。ある実施態様において、前立腺癌は原発前立腺癌であり得る。
遺伝子シグネチャーは、他の予後因子の決定と組み合わせたとき、特に有利な有用性を有し得る。それ故に、本発明の全態様は、癌の特徴付け、診断または予後診断における他の予後因子を含み得る。これは、複合リスクスコアの作成を含み得る。これは、前立腺癌で特に適用可能である。他の予後因子は、前立腺特異的抗原(PSA)レベルおよび/またはグリーソンスコアを含む。MRI走査結果もまた考慮に入れてよい。それ故に、本発明の全態様によって、特徴付け、予後診断または診断は、PSAレベルおよび/またはグリーソンスコアのような他の予後因子を考慮に入れ得る。PSAは周知の血清バイオマーカーであり、特に術前に測定したとき、本発明により使用し得る。例えば、4〜10ng/mlのPSA値は“低リスク”と考えられ得る。10〜20ng/mlのPSA値は、“中リスク”を反映すると考えられ得る。20ng/ml以上のPSA値は“高リスク”を反映すると考えられ得る。高リスクは予後不良に対応するおよび/または高悪性度疾患の指標である。PSAレベルは、測定された発現レベルと組み合わせて癌の最終特徴付けに寄与し得る。中リスクPSAレベルは、陽性または高シグネチャースコアと組み合わさったとき予後不良の指標であり得る。
グリーソンシステムは2〜10のスコアで前立腺腫瘍を等級付けするのに使用され、グリーソンスコア10は最も異常を示す。グリーソンスコアが高いほど癌は攻撃性が強く、予後が悪い。このシステムは、前立腺癌組織が顕微鏡下でどのように見えるかに基づき、どの程度腫瘍が広がる可能性があるかを示す。低グリーソンスコアは、癌組織が正常前立腺組織に類似し、腫瘍が広がる可能性はあまりないことを意味し、高グリーソンスコアは癌組織が正常と極めて異なり、腫瘍が広がる可能性が高いことを意味する。グリーソンスコアは、癌細胞の最も一般的なグレード(一次的グレードパターン)および第二の最も一般的なグレード(二次的グレードパターン)のスコアの加算により計算する。2を超えるグレードが観察されるならば、一次的グレードを観察可能な最悪のグレードに加算して、グリーソンスコアを得る。グレードを2005年(2009年改定)のInternational Society of Urological Pathology (ISUP) Consensus Conference on Gleason Grading of Prostatic Carcinomaを使用して割り当てる。それ故に、ある実施態様において、7以上のグリーソンスコアは、予後不良の特徴付けに寄与する。このような実施態様において、7未満のグリーソンスコアは、予後良好の特徴付けに寄与する。ある実施態様において、7のグリーソンスコアは、予後良好と不良の中間に位置するとして分類される。それ故に、8以上のグリーソンスコアは予後不良として分類される。7未満のグリーソンスコアは予後良好の特徴付けに寄与し得る。ある実施態様において、それ故に、7のグリーソンスコアは、8以上のグリーソンスコアよりも予後不良の特徴付けとはならないが、6以下のグリーソンスコアよりはそれを特徴付ける。7のグリーソンスコアは、陽性または高シグネチャースコアと組み合わさったとき予後不良の指標であり得る。
グリーソンスコアおよびPSAレベルの両方が癌の特徴付けに寄与するとき、それらは互いに荷重され得る。一般に、グリーソンスコアは、PSAレベルより大きな有意性が与えられる。それ故に、例えば、予後不良の指標であるグリーソンスコアと低リスクまたは予後良好と関連するPSAレベルの組み合わせは、なお予後不良の結論を導く(表1からの1個または複数個の遺伝子の測定された発現レベルによる)。同様の判断がMRI結果に適用でき、これは、癌の最終特徴付けを行うのにPSAレベルより大きな荷重が与えられ得る。
適当な遺伝子シグネチャーに含まれ得る遺伝子およびそれらの同定情報を、下記表1にさらに詳細に記載し、定義する。遺伝子はまた、相互交換可能に、バイオマーカーとも称され得る。適当な発現レベル決定アッセイが設計され得る完全配列も表に示す。同様に、適当な発現レベル決定アッセイが設計され得る標的配列も表に示す。標的配列を調べるプローブ配列も提供される。各配列タイプは、本発明の実施に有用であり、その独立した態様を形成する。
さらに詳細なプローブセットを、配向情報を含む表1Aに見ることができる
表1は、遺伝子発現アッセイが標的とし得る完全配列、より特異的な標的配列およびこれらの標的配列とハイブリダイズするプローブ/プローブセットの配列識別子を挙げる。適当なプライマーおよび/またはプローブを、ここに特定する寄託遺伝子配列、完全配列および標的配列に基づき遺伝子発現を決定するために既知方法を使用して設計し得る。さらに、表1の遺伝子の遺伝子発現レベルの信頼できる決定を可能とする特異的核酸増幅アッセイ(例えばQPCRのようなPCR)も設計されている。これらのアッセイは表1Bに要約する。アッセイ標的配列およびプライマーおよびプライマー対は、本発明の個別の態様を形成する。標的の2つ、MIR578およびMIR4530について、標的配列の短い長さのため、発明者らによる取り組みは増幅アッセイの産生に適用不可能であった。これらの標的について、市販のアッセイが利用可能であり、プライマーの配列を下に提供する。MIR578について、Life Technologies 4426961 Origene HP300490アッセイを使用し得る。順方向および逆方向プライマーは次のとおりである。
CTTCTTGTGCTCTAGGAT (配列番号3151)
GAACATGTCTGCGTATCTC (配列番号3152)
MIR4530について、Life Technologies 4427012 Origene HP301022アッセイを使用し得る。順方向および逆方向プライマーは次のとおりである。
CCCAGCAGGACGGGAGC (配列番号3153)
GAACATGTCTGCGTATCTC (配列番号3154)は上と同じと考えられる
これらの特異的プライマーは、本発明の方法の実施に有用であるが、本発明の一部を形成するとしてそれ自体をこの出願で特に特許請求していない。
ここに記載する配列の各々の相補体は、適当であるとして用い得ることは注意されるべきである(例えばハイブリダイズプローブおよび/またはプライマー対を含むプライマーの設計のため)。
ある実施態様において、表1の遺伝子の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69または70の発現レベルが決定される。ここに記載するいくつかの解析は、7または12遺伝子の測定された発現レベルを含むシグネチャーの提供が許容されるパフォーマンスを提供できることを示す。それ故に、ある実施態様において、遺伝子シグネチャーにおける遺伝子の最小数は12である。70遺伝子からの任意の7または12遺伝子であり得る。
疑問を残さないために、付加的遺伝子(70遺伝子以外)を、当業者に容易に認識されるとおり、シグネチャーに包含してよい。図2〜4に示すとおり、大型の遺伝子シグネチャーも適する可能性がある。
ある実施態様において、シグネチャースコアは、表1の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69または70遺伝子の測定された発現レベルに由来する。このようなシグネチャースコアの作成をここに記載する。シグネチャースコアは、70遺伝子シグネチャーについて、表1に挙げる各遺伝子に帰属する重み付けを利用し得る。重み付けは、当然、例えば、計70遺伝子シグネチャーより少ないものを含む、種々の組成物のシグネチャーを使用したとき、再計算する必要がある。同様の判断が、下記のバイアスおよび一定のオフセット値に適用される。
遺伝子シグネチャーを、ある実施態様において、ランク順に位置づけでき、例えば、10遺伝子シグネチャーを表1に挙げられたランク付けされた最初の10遺伝子から形成してよい。しかしながら、ランキングは、70遺伝子シグネチャーにおけるパフォーマンスに基づく。従って、70遺伝子シグネチャーのサブシグネチャーの位置づけは同じ階層に限定されず、適切にサイズ分類したシグネチャーを形成するために70遺伝子のあらゆる組み合わせを使用して位置づけし得る。
コア遺伝子解析を実施して、シグネチャーから除いたときのパフォーマンスに対する影響に基づき、遺伝子のランキングを決定した。この解析は、元の70シグネチャー遺伝子セットからの10シグネチャー遺伝子の10,000無作為サンプリングを含んだ。各相互作用について、10の無作為に選択したシグネチャー遺伝子を除去し、残った65遺伝子のパフォーマンスを、これらの10遺伝子が除去されたときのHR(ハザード比)パフォーマンスに対する影響を決定するためのエンドポイントを使用して評価した。
これを248サンプルのFASTMAN Biopsy Validation Cohortを使用して実施したとき、評価は、生化学的再発(BCR)エンドポイントを利用した。
シグネチャー遺伝子は、包含または除外に基づくHRパフォーマンス(デルタHR)における変化に基づき荷重した。‘1’とランク付けされた遺伝子は除去されたときパフォーマンスに負の影響が最大であり、‘70’とランク付けされた遺伝子は除去されたときパフォーマンスへの影響が最小である。結果を下記表35に示す。
それ故に、ある実施態様において、遺伝子シグネチャーはランク順に位置づけされる。例えば、10遺伝子シグネチャーは表35に挙げたランク付けされた最初の10遺伝子を含む。従って、ある実施態様において、表35における10位までの高いランクの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10遺伝子の発現レベルが決定される。
これを322サンプルのInternal Resection Validation Cohortを使用して実施したとき、評価は転移再発(MET)エンドポイントを利用した。
シグネチャー遺伝子を包含または除外に基づくHRパフォーマンス(デルタHR)における変化に基づき荷重した。‘1’とランク付けされた遺伝子は除去されたときパフォーマンスに負の影響が最大であり、‘70’とランク付けされた遺伝子は除去されたときパフォーマンスへの影響が最小である。結果は下記表36に示す。
それ故に、ある実施態様において、遺伝子シグネチャーはランク順に位置づけされる。例えば、10遺伝子シグネチャーは、表36挙げるランク付けされた最初の10遺伝子を含む。従って、ある実施態様において、表36における10までの高いランクの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10遺伝子の発現レベルが決定される。
複合ランキングの結果を表38に示す。ある実施態様において、遺伝子シグネチャーはランク順に位置づけされる。例えば、10遺伝子シグネチャーは、表38に挙げるランク付けされた最初の10遺伝子を含む。従って、ある実施態様において、表38における10までの高いランクの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10遺伝子の発現レベルが決定される。
表1の遺伝子からの選択を表す付加的遺伝子シグネチャーをここに記載し、これらは本発明の全態様に適用可能である。これらのシグネチャーはまた大きなシグネチャーの基礎も提供し得る。付加的シグネチャーを表2〜24に、最終シグネチャースコアの計算時に採用し得る適当な荷重およびバイアススコアと共に記載する(ここにさらに記載するとおり)。当業者に容易に認識されるとおり、正のシグネチャースコアを定義する閾値が決定されたら、各シグネチャーのk値を設定できる。同様に、シグネチャーにおける各遺伝子のランキングは、各遺伝子に帰属する重み付けの再調査により容易に決定できる(ここで、大きな荷重はシグネチャーにおけるランキングが高いことを示す − 70遺伝子シグネチャーに関してランク順は表1を参照のこと)。
それ故に、ある実施態様において、本発明の方法は、少なくともMT1AおよびPCP4(表2に示す2遺伝子シグネチャー)の発現レベルの決定を含む。図2および3に示すとおり、2遺伝子シグネチャーほど少ないシグネチャーで、関係のある生物学の同定および転移再発の予測が可能である。大きなシグネチャーをこれら2遺伝子に基づき開発でき、その例を表3〜24および表1に示す。これらの遺伝子の発現の調査のための適当なプローブおよびプローブセットは表1および1Aに提供され、発現の決定に有用なプライマーを表1Bに挙げる。
本発明の全態様に適用可能なある実施態様において、PDK4単独の発現レベルは測定しない。PDK4発現は、それ故に、一般に表1からの少なくとも1のさらなる遺伝子から最大全69までのさらなる遺伝子と組み合わせて測定する。ある実施態様において、PDK4発現を、配列番号52、53、63、108、09、152、153、157、158、184、194および/または216の各々の完全配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、PDK4発現を、配列番号284、285、295、340、341、384、385、389、390、416、426および/または448の各々の標的配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、PDK4発現を配列番号1011〜1021、1022〜1032、1132〜1142、1627〜1637、1638〜1648、2122〜2132、2133〜2143、2177〜2187、2188〜2198、2474〜2484、2584〜2594および2834〜2844から選択される1以上のプローブまたは配列番号1011〜1021、1022〜1032、1132〜1142、1627〜1637、1638〜1648、2122〜2132、2133〜2143、2177〜2187、2188〜2198、2474〜2484、2584〜2594および/または2834〜2844のプローブセットを使用して決定する。ある実施態様において、PDK4発現を、配列番号3053および/または3121の各々のプライマーを用いる増幅(PCRまたはqPCR)アッセイを使用して決定する。
本発明の全態様に適用可能なある実施態様において、KIF11、PTTG1またはTK1単独の発現レベルは測定しない。ある実施態様において、KIF11、PTTG1およびTK1の発現レベルは、3遺伝子シグネチャーとして共に測定し得る。ある実施態様において、KIF11、PTTG1および/またはTK1の発現レベルは、70遺伝子シグネチャーの形成を含む、表1からの少なくとも1のさらなる遺伝子と組み合わせて測定し得る。ある実施態様において、KIF11発現を、配列番号180および/または181の各々の完全配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、KIF11発現を、配列番号412および/または413の各々の標的配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、KIF11発現を、配列番号2430〜2440および2441〜2451から選択される1以上のプローブまたは配列番号2430〜2440および/または2441〜2451のプローブセットを使用して決定する。ある実施態様において、KIF11発現を、配列番号3062および/または3130の各々のプライマーを用いる増幅(PCRまたはqPCR)アッセイを使用して決定する。
ある実施態様において、PTTG1発現を、配列番号62および/または201の各々の完全配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、PTTG1発現を、配列番号294および/または433の各々の標的配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、PTTG1発現を配列番号1121〜1131および2661〜2671から選択される1以上のプローブまたは配列番号1121〜1131および/または2661〜2671のプローブセットを使用して決定する。ある実施態様において、PTTG1発現を、配列番号3037および/または3105の各々のプライマーを用いる増幅(PCRまたはqPCR)アッセイを使用して決定する。
ある実施態様において、TK1発現を、配列番号197の完全配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、TK1発現を、配列番号429の標的配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、TK1発現を配列番号2617〜2627から選択される1以上のプローブまたは配列番号2617〜2627のプローブセットを使用して決定する。ある実施態様において、TK1発現を、配列番号3060および/または3128の各々のプライマーを用いる増幅(PCRまたはqPCR)アッセイを使用して決定する。
本発明の全態様に適用可能なある実施態様において、ANO7またはMYBPC1単独の発現レベルは測定しない。ある実施態様において、ANO7およびMYBPC1の発現レベルは、2遺伝子シグネチャーとして一緒に測定してよい。ある実施態様において、ANO7および/またはMYBPC1の発現レベルは、70遺伝子シグネチャーの形成を含む、表1からの少なくとも1のさらなる遺伝子と組み合わせて測定し得る。
ある実施態様において、ANO7発現を、配列番号37、38、125、205および/または206の各々の完全配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、ANO7発現を、配列番号269、270、357、437および/または438の各々の標的配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、ANO7発現を配列番号849〜859、860〜870、1825〜1835、2715〜2724および2725〜2735から選択される1以上のプローブまたは配列番号849〜859、860〜870、1825〜1835、2715〜2724および/または2725〜2735のプローブセットを使用して決定する。ある実施態様において、ANO7発現を、配列番号3022および/または3090の各々のプライマーを用いる増幅(PCRまたはqPCR)アッセイを使用して決定する。
ある実施態様において、MYBPC1発現を、配列番号39、40、74、75、101、102、103および/または144の各々の完全配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、MYBPC1発現を、配列番号271、272、306、307、333、334、335および/または376の各々の標的配列内の配列をターゲティングするアッセイを使用して決定する。ある実施態様において、MYBPC1発現を、配列番号871〜881、882〜892、1253〜1263、1264〜1274、1550〜1560、1561〜1571、1572〜1582および2034〜2044から選択される1以上のプローブまたは配列番号871〜881、882〜892、1253〜1263、1264〜1274、1550〜1560、1561〜1571、1572〜1582および/または2034〜2044のプローブセットを使用して決定する。ある実施態様において、MYBPC1発現を、配列番号3025および/または3093の各々のプライマーを用いる増幅(PCRまたはqPCR)アッセイを使用して決定する。
“特徴付け”は、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の分類および/または評価を意味する。それ故に、本発明の方法は、例えば、高転移能を有する癌の同定を可能とする。本方法は、癌が転移性生物学癌または非転移性生物学癌の何れであるかの決定を利用する。本方法は、癌が再発の可能性が高いとして同定されることを可能とする。予後診断は、対象について前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の可能性のある転帰を予測することをいう。ここで決定する予後が悪いまたは予後不良は、転移の可能性が高いおよび/または再発の可能性が高いことを意味する。診断は、転移能が高い前立腺癌またはER陽性乳癌のような特定のタイプの癌の存在の同定を意味する。それ故に、ここで採用されている用語“特徴付け”、“予後診断”および“診断”にある程度の重複があることは容易に明らかとなる。相対的表現の使用は、関連する遺伝子発現特性を示さず、故に、転移能が低い、再発の可能性が低いおよび/または予後良好である、癌に対する位置関係を示す。ここに記載する遺伝子シグネチャーは、特に早期にあると、診断されており、より高悪性度高リスクの疾患に進展するリスクが高いと同定されている(前立腺)癌患者の層別化に有用である。このより高悪性度の疾患は、処置3〜5年以内に発症し得る。最初の処置は例えば放射線療法および/または手術(前立腺切除)であり得る。高悪性度疾患の同定後、本方法は、ここに記載する処置の使用を必要とし得る。高転移能を有する癌がなければ、対象は積極的監視下におき、少なくとも始めは、さらなる処置をしない。適当な手段(PSAモニタリングの使用または本発明の方法の実施によるものを含む)の何れかによるさらなるモニタリングを使用して、さらなる介入が必要であるか否かを決定できる。
ある実施態様において、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断は、高い再発の可能性の予測を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる可能性がある。転移性生理を有する癌はここでは再発の可能性が高いとして示す。前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断は、再燃までの換算時間の予測を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる可能性がある。再燃は、当業者には理解されるとおり、再発と同じ範囲にあると考えられ得る。
再発は臨床的再発、転移再発または生化学的再発であり得る。前立腺癌において、生化学的再発は、前立腺癌処置後の対象におけるPSAのレベルの上昇を意味する。生化学的再発は、前立腺癌が効果的に処置されていないまたは再発していることを示し得る。再発は手術、例えば根治的前立腺切除後および/または放射線療法後であり得る。
ある実施態様において、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断は、高い転移の可能性の予測を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる可能性がある。転移または転移性疾患は、ある臓器または部分から他の非隣接臓器または部分への癌の広がりである。こうして生じた疾患の新規発生は転移と称される。ある実施態様において、本発明の方法は、癌、特異的に前立腺癌の転移段階分けを促進する。それ故に、決定された発現レベル(例えば遺伝子シグネチャー陽性サンプルの決定)を使用して、対象をM1と分類できる。M1は、転移が存在することを意味する(すなわち癌が体の他の部分に広がっている)。遺伝子シグネチャー陰性サンプルについて、対象をM0として分類できる。M0は、癌がまだ体の他の部分に広がっていないことを意味する。このような方法を、転移の同定に使用される他の手段、例えば造影/走査技術と組み合わせて使用し得る。それ故に、本発明は、対象からのサンプルにおいて表1から選択した少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを使用して、対象がM1またはM0癌を有することを同定することを含む、癌の転移段階付けの方法を提供する。それ故に、ある実施態様において、方法は、
(i)対象からのサンプルにおいて表1から選択された少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定し、そして
(ii)少なくとも1遺伝子を含む遺伝子シグネチャーについて対象からのサンプルが陽性または陰性であるか、少なくとも1遺伝子の発現レベルから評価する
ことを含み得る。適当な遺伝子シグネチャーおよびシグネチャースコアの誘導を、ここにさらに詳細に記載する。
ある実施態様において、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断は、癌が予後不良であるか否かの決定も含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる可能性がある。予後不良は、原因特異的、すなわち癌特異的または長期生存の可能性の減少であり得る。原因または癌特異的生存は、他の死因非存在下での癌生存を表す正味生存指標である。癌生存は6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月または1年、2年、3年、4年、5年などであり得る。長期生存は、診断後1年、5年、10年または20年の生存であり得る。予後不良の前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌は、高悪性度であり、増殖が速いおよび/または処置に対する耐性を示す。
ある実施態様において、正の荷重を有する表1から選択した少なくとも1遺伝子の高い発現レベルは、高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性を示す。
さらなる実施態様において、負の荷重を有する表1から選択した少なくとも1遺伝子の低い発現レベルは、高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性を示す。
発現レベルは、ここに記載する遺伝子シグネチャースコアへの寄与を考慮して、適当に荷重される。発現の閾値は、中央レベルに対して設定でき、それに対し“シグネチャー陽性”および“シグネチャー陰性”発現値を設定できる。このような中央閾値発現レベルおよび対応するシグネチャー陽性および陰性値を、次の表25に示す。当業者により理解されるように中央値を各データセットについて個々に設定する。
ある実施態様において、ここに記載する方法は、表1に挙げる負の荷重の遺伝子の少なくとも一つと共に表1に挙げる正の荷重の遺伝子の少なくとも一つの発現レベルを決定することを含み得る。それ故に、本方法は、上方制御マーカーおよび下方制御マーカーの組み合わせを利用し得る。適切に荷重された、上方および下方制御マーカー発現レベルの組み合わせは、その後、最終シグネチャースコアに寄与し得るかまたはそれを形成し得る。
ある実施態様において、ここに記載する方法は、1以上の遺伝子の発現レベルの、参照値または1以上の対照サンプルの発現レベルもしくは同じサンプルにおける1以上の対照細胞の発現レベルとの比較を含む。対照細胞は、正常細胞(すなわち独立した方法で非癌性と特徴付けられる細胞)であり得る。1以上の対照サンプルは、非癌性細胞からなっても、癌細胞(前立腺、ER陽性乳房またはその他)と非癌性細胞の混合物を含んでもよい。発現レベルを、1以上の対照サンプルまたは対照細胞における同じ遺伝子の発現レベルと比較し得る。
参照値は、関係のある癌を有するおよび有しない対象からのサンプルのレベルまたはレベル範囲の決定による、少なくとも1遺伝子セットの発現の閾値レベルであり得る。前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌は、再発および/または転移および/または予後不良の可能性が高いおよび/または高くない癌であり得る。閾値を設定する適当な方法は当業者に周知である。閾値は、患者データの訓練事例集合から数学的に導き出し得る。こうして、スコア閾値は試験サンプルを特定の条件の存在または非存在に従い分ける。この量の解釈、すなわちカットオフ閾値は、既知転帰の患者集団からの開発または訓練段階において導かれ得る。閾値は、それ故に、種々の遺伝子シグネチャーに関連して当業者に知られるおよびここに記載する方法により、訓練データから本願発明方法の実施前に固定し得る。
参照値はまた最初の時点での対象からのサンプルにおける少なくとも1遺伝子の発現レベルの決定による、少なくとも1遺伝子セットの発現の閾値レベルでもあり得る。同じ対象について後の時点で決定された発現レベルをその後閾値レベルと比較する。それ故に、本発明の方法は、対象における疾患進行モニターのため、すなわち対象における疾患の現在進行中の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用し得る。例えば、本方法は、より高悪性度のまたは転移する可能性のある形態への増大している前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の同定(または“診断”)に使用できる。これは、ここにさらに詳述する処置決定のガイドとして使用し得る。ある実施態様において、このようなモニタリング方法は、処置を施すべきか否かを決定する。癌が転移性生物学群内にあると同定されたら、その癌は処置すべきである。癌が“非転移”であると同定されたならば、その癌が安定なままである(すなわち転移形態へと進化していない)ことを確認するために、さらなるモニタリングを実施し得る。このような状況において、さらなる処置は適用しなくてよいかもしれない。
発現レベルが正常細胞と再発および/または転移および/または予後不良の可能性が高くない前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌からの細胞で異ならない遺伝子について、同じサンプルにおける正常細胞における同じ遺伝子の発現レベルを対照として使用できる。
差は統計学的に有意な差であり得る。統計学的に有意は、単なる偶然により生じる可能性がないことを意味する。適当な統計学的評価を、任意の適当な方法により実施できる。
ここに記載する方法は、さらに参照遺伝子の発現レベルの決定を含み得る。参照遺伝子は、標的遺伝子発現レベルが正常細胞と再発および/または転移および/または予後不良の可能性が高くない前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌からの細胞の間で異なる場合、必要である。
ある実施態様において、表1から選択される少なくとも1遺伝子の発現レベルを参照遺伝子の発現レベルと比較する。
参照遺伝子は、全ての前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌サンプルにわたり最小発現分散であるあらゆる遺伝子であり得る。それ故に、参照遺伝子は、発現レベルが再発および/または転移および/または予後不良の可能性により変わらないあらゆる遺伝子であり得る。当業者は、この基準に基づき、適当な参照遺伝子を十分に同定できる。参照遺伝子の発現レベルを、表1から選択される少なくとも1遺伝子の発現レベルと同じサンプルで決定し得る。
参照遺伝子の発現レベルを異なるサンプルで決定し得る。異なるサンプルは、上記対照サンプルであり得る。参照遺伝子の発現レベルを、サンプルにおける正常細胞および/または前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌細胞で決定し得る。
対象からのサンプルにおける少なくとも1遺伝子の発現レベルを統計モデルを使用して解析し得る。表1からの少なくとも2遺伝子から最大全70遺伝子の発現レベルを測定する特定の実施態様において、遺伝子は荷重され得る。ここで使用する用語“荷重”は、統計計算におけるあるアイテムの相対的重要性をいう。各遺伝子の荷重は、当分野で知られる解析方法を使用して、患者サンプルのデータセットで決定できる。“シグネチャースコア”と称する全体的スコアを計算し、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断の提供のために使用し得る。一般に、スコアは、荷重遺伝子発現レベルの和をいう。70遺伝子シグネチャースコアの計算のための適当な荷重は表1に示し、本発明の方法に従い用い得る。同様に、少ないシグネチャーの例についての適当な荷重は表2〜24に示す。
それ故に、本発明の全態様によって、方法は、
(i)対象からのサンプルにおいて表1から選択された少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定し、そして
(ii)少なくとも1遺伝子を含む遺伝子シグネチャーについて対象からのサンプルが陽性または陰性であるかを、少なくとも1遺伝子の発現レベルから評価する
ことを含み得る。
ここに記載するとおり、サンプルが遺伝子シグネチャーについて陽性であるならば、これは、癌が高転移能タイプのものであることを同定する。これは、(相対的)予後不良またはここに記載する特徴付け、予後診断または診断と適切に関連するその他を示し得る。当然の結果として、遺伝子シグネチャーについて陰性のサンプルは、その癌が高転移能タイプのものではないことを特定する。これは、(相対的)予後良好またはここに記載する特徴付け、予後診断または診断と適切に関連するその他を意味し得る。
それ故に、最も単純な場合、1以上の遺伝子の発現レベルの上昇は、サンプルを遺伝子シグネチャーについて陽性として定義する。ある遺伝子について、1以上の遺伝子の発現レベルの減少が、サンプルを遺伝子シグネチャーについて陽性として定義する。しかしながら、複数の遺伝子の発現レベルを測定するとき、発現レベルの組み合わせは、一般にサンプルが遺伝子シグネチャーについて陽性であるか否かを決定するために合計される。それ故に、ある遺伝子は発現増加を示し、ある遺伝子は発現減少を示すかもしれない。これは、ここに詳細を記載するとおり、種々の方法で達成できる。
特定の実施態様において、シグネチャースコアを次の数式に従い計算できる。
ここで、wは各遺伝子の荷重であり、bは遺伝子特異的バイアスであり、geは前処理後の遺伝子発現であり、そしてkは一定のオフセットである。
同様に、シグネチャーにおける各遺伝子に、バイアススコアが付与され得る。70遺伝子シグネチャーのバイアススコア例を表1に特定し、本発明の方法の実施に従い採用し得る。当然、70遺伝子シグネチャーのサブセットを表す、異なるシグネチャーを利用するとき、バイアス値は再計算される。例を表2〜24に提供する。
記載のとおり、kは一定のオフセットである。表1のバイアスおよび荷重値が70遺伝子シグネチャーについて採用されるとき、一定のオフセットは、0.4365の値を有し得る。同様に、70遺伝子シグネチャーのサブセットを表す異なるシグネチャーを利用するとき、kの値は再計算される。kの値は、“シグネチャー陽性”についての閾値がどこに設定されるかにより変わる。この閾値は、例えば特定の転帰または特徴付けに対する感度および/または特異性の最大化のために、どの考察が最も重要であるかにより設定される。適当な閾値は上記のとおり決定し得る。
ある実施態様において、閾値を越えるスコアは予後不良(またはここに記載する特徴付け、予後診断または診断と適切に関連するその他)を示し得る。これらの実施態様において、閾値以下のスコアは予後良好を示し得る。他の実施態様において、閾値以上のスコアは予後不良(またはここに記載する特徴付け、予後診断または診断と適切に関連するその他)を示し得る。これらの実施態様において、閾値未満のスコアは予後良好を示し得る。当業者には、特に断らない限り、単純な数学的変換を、スコアの倒置に使用し、“超える”および“未満”をそれに応じて解釈すべきであることはまた認識される。
“シグネチャースコア”は、遺伝子の発現レベルを集約する複合決定スコアを意味する。これを、患者データの訓練事例集合から数学的に導かれる閾値スコアと比較し得る。閾値スコアは、癌をバイオマーカーシグネチャー陽性のものと陰性に分ける能力を最大化する目的で確立される。患者訓練事例集合データは、好ましくはサブタイプ、予後診断、再発の可能性、長期生存、臨床的転帰、処置応答、診断、癌分類または個別化ゲノミクスプロファイルにより特徴付けられている癌組織サンプルに由来する。患者サンプルからの発現プロファイルおよび対応する決定スコアを、数学的に導かれるスコア決定閾値の同じ側の訓練事例における患者サンプルの特性と相関させ得る。ある例示的実施態様において、(直線状)分類子スカラーアウトプットの閾値を、訓練データセット内で観察される相互検証下、感受性および特異性の和を最大化するために最適化する。
あるサンプルについての全体的発現データを、異なる量の出発物質、種々の抽出効率および増幅反応などを補正するために、当業者に知られる方法を使用して正規化し得る。
ある実施態様において、サンプルにおけるバイオマーカー発現レベルを(直線状)分類子により評価する。ここで使用する(直線状)分類子は、複合決定スコアへの個々のバイオマーカー強度の荷重和をいう(“決定関数”)。決定スコアを、次いで、感度および特異性の観点である定値に対応する予め決定したカットオフスコア閾値と比較し、これは、サンプルがスコア閾値以上(決定関数陽性)であるかまたは未満(決定関数陰性)であるかを示す。
効果的にコール(例えばバイオマーカーシグネチャーについて陽性または陰性)を作るための正規化データにおける(直線状)分類子の使用は、データ空間、すなわち分類子における全遺伝子の発現値の全ての可能な組み合わせを、分離超平面の手段により2の互いに素な線分に分けることを意味する。この分割は、経験的に(大)セットの訓練例で導き出される。普遍性を損なうことなく、1つを除く全バイオマーカーについてのある固定された一組の値を推定でき、これは自動的にその残ったバイオマーカーに対する閾値の値を固定し、そこで、バイオマーカーシグネチャーについて、決定は、例えば、陽性または陰性から、変わる。この閾値についての厳密な値は、分類子内での全ての他の遺伝子の実際に測定された発現プロファイルによるが、ある遺伝子の一般的指示は固定されたままである。それ故に、全体的遺伝子発現分類子の状況において、相対的発現は、あるバイオマーカーの上方または下方制御がシグネチャーについて陽性であるか否かの指標であるかどうかを示し得る。ある例示的実施態様において、サンプル発現閾値を越える発現スコアが、サンプルがバイオマーカーシグネチャーについて陽性であることを示す。ある他の例示的実施態様において、閾値スコアを越えるサンプル発現スコアは、対象が閾値スコア未満のサンプル発現スコアの対象と比較して、悪い臨床的予後であることを示す。
ある他の例示的実施態様において、発現シグネチャーは、決定木(Hastie et al. The Elements of Statistical Learning, Springer, New York 2001)、ランダムフォレスト(Breiman, 2001 Random Forests, Machine Learning 45:5)、ニューラルネットワーク(Bishop, Neural Networks for Pattern Recognition, Clarendon Press, Oxford 1995)、直線状、対角線直線状、二次およびロジスティクス判別分析を含むが、これらに限定されない判別分析(Duda et al. Pattern Classification, 2nd ed., John Wiley, New York 2001)、Prediction Analysis for Microarrays(PAM, (Tibshirani et al., 2002, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:6567-6572))またはSoft Independent Modeling of Class Analogy analysis(SIMCA, (Wold, 1976, Pattern Recogn. 8:127-139))を使用して導かれる。分類木(Breiman, Leo; Friedman, J. H.; Olshen, R. A.; Stone, C. J. (1984). Classification and regression trees. Monterey, CA: Wadsworth & Brooks/Cole Advanced Books & Software. ISBN 978-0-412-04841-8)は、論理および法則に基づく転帰予測の手段を提供する。分類木は、データを区画/分岐に分割する逐次法である、二元再帰分割分析と呼ばれる工程を介して構築される。目的は、予め決定した集合を識別する木の構築である。木の各ノードは変数に対応する。ノードで最良の分割を選択するために、各変数を順番に考慮し、そこで、全ての可能な分割を験し、考慮し、最良の分割は、各区画内の多様な分類標識の最大の減少を生じるものである。これを全変数で繰り返し、勝者をそのノードの最良のスプリッターとして選択する。この工程を次のノードで続け、この方法で、完全木が作成される。分類木の判別分析のような他の教師あり学習の取り組みを超える利点は、木の構築に使用される変数が分類別でも数値的でもまたはこの両方の混合でもよいことである。この方法で、遺伝子発現の方向性に基づいて、転帰を予測するための分類木の作成が可能である。
ランダムフォレストアルゴリズム(Breiman, Leo (2001). “Random Forests”. Machine Learning 45 (1): 5-32. doi:10.1023/A:1010933404324)は、分類木にさらなる拡張を提供し、それにより分類木のコレクションは、無作為に“フォレスト”を形成するように作成され、各木からの予測転帰の平均を、転帰に関する予測を行うために使用する。
バイオマーカー発現値は、種々の大きさを有する実寸大の対応するスカラー荷重の組み合わせで定義でき、これをさらに直線状または非直線状、代数、三角法または相関的手段により、代数、統計的学習、ベイジアン、回帰または類似アルゴリズムを経て単一スカラー値に組み合わせて、これはスカラー値の数学的に導いた決定関数と一体となって予測モデルを提供し、これにより、サンプルからの発現プロファイルは、特定の薬物、薬物群、分子サブタイプまたは処置レジメンに対する応答者または非応答者、耐性または非耐性の個別の集合に分解され得る。バイオマーカーメンバーシップを含むこのような予測モデルは、学習荷重および決定閾値により開発され、既知薬物応答および/または耐性の病歴の患者サンプルからの一連の代表的発現プロファイルから、相互検証、ブートストラップまたは類似サンプリング技術下、感度、特異性、陰性および陽性予測値、ハザード比またはこれらの任意の組み合わせについて最適化される。
ある実施態様において、遺伝子を使用して、シグナルの荷重和を得て、ここで、個々の荷重は陽性または陰性であり得る。得られた和(“発現スコア”)を、予め決定した参照点または値と比較する。参照点または値との比較を使用して、病態または転帰を診断または予測し得る。
上記のとおり、当業者は、種々の表に提供される分類子に含まれる遺伝子が分類子の等しくない荷重を担持することを認識する。それ故に、臨床的予後診断または治療剤に対する応答の診断または予測にわずか1バイオマーカーを使用してよいが、特異性および感度または診断または予測精度は、より多くの遺伝子の使用により高まり得る。
ある例示的実施態様において、発現シグネチャーは、決定関数により定義される。決定関数は、(直線状)分類子を使用して導かれた一連の荷重発現値である。全直線状分類子は、次の式を使用して決定関数を定義する。
あるサンプルについてマイクロアレイ遺伝子発現強度xiのような全測定値をベクターxに集める。次いで、各強度を対応する荷重wiで乗じて、オフセット項bの加算後、決定関数f(x)の値を得る。決定関数を導く際、直線状分類子は、さらに、遺伝子発現データ空間を互いに素なセクションに分割する閾値の値を定義する。(直線状)分類子の例は、部分的最小二乗(PLS)(Nguyen et al., Bioinformatics 18 (2002) 39-50)、サポートベクターマシン(SVM)(Schoelkopf et al., Learning with Kernels, MIT Press, Cambridge 2002)および縮小判別分析(SDA)(Ahdesmaeki et al., Annals of applied statistics 4, 503-519 (2010))を含むが、これらに限定されない。ある例示的実施態様において、(直線状)分類子はPLS直線状分類子である。
決定関数は、経験的に、例えば良好なまたは不良な臨床的予後を示す患者からの、大きなセットの訓練サンプルから導かれる。閾値は、ある治療的処置前後の臨床的予後を含むが、これらに限定されない種々の特性に基づき患者群を分ける。この量の解釈、すなわちカットオフ閾値は、既知転帰の一連の患者からの開発段階(“訓練”)において導かれる。決定スコアについての対応する荷重および反応性/耐性カットオフ閾値は、当業者に知られる方法により訓練データから演繹的に固定される。ある例示的実施態様において、部分的最小二乗判別分析(PLS−DA)が荷重の決定に使用される(L. Stahle, S. Wold, J. Chemom. 1 (1987) 185-196; D. V. Nguyen, D.M. Rocke, Bioinformatics 18 (2002) 39-50)。
効果的に、これは、データ空間、すなわちバイオマーカー発現値の全ての可能な組み合わせのセットが、異なる臨床的分類または予測に対応する二つの相互に排他的群、例えば、良好な臨床的予後および不良な臨床的予後対応するものに分割されることを意味する。全体的分類子の状況的において、あるバイオマーカーの相対的過発現は、決定スコアを上昇させるか(陽性荷重)または低下させ(負の荷重)、こうして、例えば、良好な臨床的予後の、全体的決定に貢献する。
本発明のある例示的実施態様において、上記の荷重和に適用する前にデータを非直線的に変換する。この非直線状変換は、データの次元性の増加を含むはずである。非直線状変換および荷重総和も、例えば、カーネル関数の使用により、暗示的に実施されるはずである(Schoelkopf et al. Learning with Kernels, MIT Press, Cambridge 2002)。
ある例示的実施態様において、患者訓練事例集合データは、対応する癌組織サンプルセットからの単離RNAに由来し、発現値を単離RNA(から増幅されたcDNA)とマイクロアレイをハイブリダイズすることにより決定する。ある例示的実施態様において、発現シグネチャーの誘導に使用するマイクロアレイは、トランスクリプトームアレイである。ここで使用する“トランスクリプトームアレイ”は、目的の疾患組織において発現されることが確認されている配列とハイブリダイズするように設計されるプローブセットを含むマイクロアレイをいう。選択的スプライシングならびに組織および生物学的状況間での多様なポリAテイル処理を仮定し、他の組織源または生物学的状況に由来する同じ遺伝子配列に対して設計したプローブが目的の疾患組織で発現される転写物に効果的に結合せず、関連する可能性のある生物学的情報の喪失にいたることが考えられる。従って、どの配列が目的の疾患組織で発現されるかを、マイクロアレイプローブセットの誘導前に確認することが遊離であり得る。特定の疾患状況における発現配列の検証は、例えば、疾患組織サンプルセットから総RNAを単離および配列決定し、単離配列と既知核酸配列ベースを相互参照させて、トランスクリプトームアレイのプローブセットが目的の疾患組織で実際に発現される配列に対して設計されることを確認することにより実施する。トランスクリプトームアレイの製造方法は、米国特許出願公開2006/0134663号に記載され、これを引用により本明細書に包含させる。ある例示的実施態様において、トランスクリプトームアレイのプローブセットを、トランスクリプトの3’末端の300以内のヌクレオチドと結合するように設計する。標的転写物の3’末端の300以内のヌクレオチドと結合するプローブセットを伴うトランスクリプトームアレイを設計する方法は米国特許出願公開2009/0082218号に開示され、これを引用により本明細書に包含させる。ある例示的実施態様において、本発明の遺伝子発現プロファイルの誘導に使用するマイクロアレイは、Almac Prostate Cancer DSATMマイクロアレイ(Almac Group, Craigavon, United Kingdom)である。
最適(直線状)分類子を、“曲線下面積”(AUC)のような診断を使用して、(直線状)分類子の性能を評価することにより選択できる。AUCは、受信者動作特性(ROC)曲線の曲線下面積であり、この両方とも当分野で周知である。AUC測定は、完全データ範囲にわたる分類子の精度の比較に有用である。AUCが高い(直線状)分類子は、目的の2群(例えば、卵巣癌サンプルと正常または対照サンプル)に未知のものを正確に分類する能力が大きい。ROC曲線は、特定の特性(例えば、ここに記載する遺伝子の何れかおよび/または付加的生化学上方の任意の項)のパフォーマンスを、2集団(例えば、治療剤に応答するおよび応答しない個体)の識別においてプロットするのに有用である。一般に、集団全体(例えば、症例および対照)にわたる特性データを、単一特性の値に基づき、ソートする。次いで、その特性の各値について、データの真の陽性および偽陽性率が計算される。真の陽性率は、その特性の値を超える症例数を計数し、次いで、陽性例の総数で除すことにより決定する。偽陽性率は、その特性の値を超える症例数を計数し、次いで、対照の総数で除すことにより計算する。この定義は特性が対照と比較して高い例で評価されるシナリオをいうが、この定義はまた特性が対照と比較して低いシナリオにも適用される(このようなシナリオにおいて、その特性についての値未満のサンプルを計数する)。ROC曲線を、単一特性ならびに他の単一アウトプットについて作成でき、例えば、2以上の特性の組み合わせを数学的に組み合わせ(例えば、加算、減算、乗算など)、単一和値を得て、この単一和値をROC曲線にプロットできる。さらに、組み合わせが単一アウトプット値をもたらす複数特性のあらゆる組み合わせをROC曲線にプロットできる。これらの特性の組み合わせは試験を構成し得る。ROC曲線は、試験の真の陽性率(感受性)対試験の偽陽性率(1特異性)のプロットである。
あるいは、最適分類子を、Cox比例ハザード(PH)のような方法および一致指数(C指数)により評価した全ての可能な閾値にわたるパフォーマンスの測定を使用して時間事象エンドポイントに対するパフォーマンスを評価することにより選択できる(Harrell, Jr. 2010)。C指数は、“曲線下面積”(AUC)測定基準(二分するエンドポイントのために使用)に類似し、生存データとの関係と関連するパフォーマンスを測定する。AUCの時間事象エンドポイントへの拡張はC指数であり、ハザード比(HR)を最大化するために最適化する閾値選択は相互検証中である。この場合、部分的Cox回帰アルゴリズム(Li and Gui, 2004)を、バイオマーカー発見解析に使用した。これは、最初の数潜在的要素がデータの情報の大部分を説明する点で、主成分分析に類似する。実行はAhdesmaki et al 2013に記載される。
C指数値は、単一特性ならびに他の単一アウトプットについて作成でき、例えば、2以上の特性の組み合わせを数学的に組み合わせて(例えば、加算、減算、乗算など)単一和値を提供でき、この単一和値を統計的有意性について評価できる。さらに、組み合わせが単一アウトプット値をもたらす複数特性のあらゆる組み合わせを、時間事象クラス分類への有用性を評価するためC指数として評価できる。これらの特性の組み合わせは試験を構成し得る。連続的相互検証試験セットリスクスコア予測のC指数(Harrell, Jr. 2010、数式4参照)を、主パフォーマンス指標として評価した。
表1(バイオマーカー)からの少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定する方法を、ここにより詳細に記載する。一般に、本方法は、対象から得たサンプルと、遺伝子に特異的なプライマーおよび/またはプローブまたは抗体または機能的に同等な結合剤のような検出剤(ここに詳述するとおり)を接触させ、発現生成物を検出することを含み得る。検出剤をここに記載するとおり標識してよい。比較を対照サンプルで決定した発現レベルについて行い、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後を提供し得る。
本発明の全態様によって1個または複数個の遺伝子の発現レベルを、任意の適当な方法で測定する。ある実施態様において、発現レベルをタンパク質、RNAまたは後成的修飾のレベルで決定する。後成的修飾はDNAのメチル化であり得る。
ここに記載する遺伝子の何れかの発現レベルを、適切なRNAの検出により検出し得る。アッセイは、ここに記載する遺伝子の特異的領域を調べ得る。例えば、アッセイは、特異的プライマー結合部位隣接領域および/またはここに記載するプローブセットがハイブリダイズする遺伝子の領域を調べ得る。アッセイは、適当であるならば遺伝子のプロモーター、ターミネーター、エクソンおよび/またはイントロン領域を調べ得る。アッセイは、各遺伝子について表1に特定する完全配列または標的配列もしくはその領域の1以上を調べ得る。
ある実施態様において、本発明の全態様によって、少なくとも1遺伝子の発現を、表1に挙げる標的配列または完全配列の1以上とハイブリダイズするよう設計した1以上のプローブまたはプライマー(プライマー対)を使用して決定し得る。表1に特定するプローブおよびプローブセット(および表1Aにさらに詳述)を本発明の全態様によって使用し得る。表1Bに挙げ、配列番号3151〜3154として同定されるプライマーおよびプライマー対を本発明の全態様によって使用し得る。
従って、特定の実施態様において、発現レベルをマイクロアレイ、ノーザンブロッティング、RNA−seq(RNA配列決定)、インサイチュRNA検出または核酸増幅により決定する。核酸増幅は、PCRおよびリアルタイムおよびエンドポイント方法および定量的PCR(qPCR)のようなその全変法を含む。他の核酸増幅技術は当分野で周知であり、NASBA、3SRおよび転写介在増幅(TMA)のような方法を含む。他の適当な増幅方法は、リガーゼ連鎖反応(LCR)、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅(米国特許6,410,276号)、コンセンサス配列プライムドポリメラーゼ連鎖反応(米国特許4,437,975号)、任意プライムドポリメラーゼ連鎖反応(WO90/06995号)、インベーダー法、鎖置換法およびニック置換増幅(WO2004/067726号)を含む。この一覧は排他的であることを意図せず、任意の核酸増幅技術を、適切な核酸生成物が特異的に増幅される限り使用してよい。適当なプライマーおよび/またはプローブの設計は当業者の能力の範囲内である。NCBIプライマー−BLASTツールのような種々のプライマー設計ツールがこの方法の補助として自由に利用できる。プライマーおよび/またはプローブは、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25(以上)ヌクレオチド長であり得る。mRNA発現レベルは、逆方向転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCRとその後のqPCR)により測定し得る。RT−PCRを、mRNAからcDNAを作るのに使用する。cDNAをqPCRアッセイで髭右して、DNA増幅工程が進むに連れて蛍光を生じさせ得る。標準曲線との比較により、qPCRは、細胞あたりのmRNAコピー数のような絶対測定値を作成し得る。キャピラリー電気泳動と組み合わせたノーザンブロット、マイクロアレイ、インベーダーアッセイおよびRT−PCRが全て、サンプルにおけるmRNAの発現レベル測定に使用されている。Gene Expression Profiling: Methods and Protocols, Richard A. Shimkets, editor, Humana Press, 2004参照のこと。多くの検出技術が周知であり、TAQMAN(登録商標)、MOLECULAR BEACONS(登録商標)、AMPLIFLUOR(登録商標)およびSCORPION(登録商標)、DzyNA(登録商標)、PlexorTMなどのように市販されている。
適当な増幅アッセイ(PCRまたはqPCR)が発明者らにより設計されており、表1Bにさらに詳しく説明する。各遺伝子についてそこに挙げた順方向および逆方向プライマーを本発明の全態様において使用し得る。同様に、配列番号3151〜3154のプライマーを、それぞれMIR578およびMIR4530の増幅に使用できる。
RNA−seqは遺伝子発現変化の測定に次世代配列決定を使用する。RNAをcDNAに変換するかまたは直接配列決定してよい。次世代配列決定技術は、ピロシーケンス、SOLiD配列決定、Ion Torrent半導体配列決定、Illumina色素配列決定、単一分子リアルタイム配列決定またはDNAナノボール配列決定を含む。RNA−seqは、遺伝子発現レベルの定量を可能とする。
インサイチュRNA検出は、組織および細胞から抽出せずにRNAを検出することを含む。インサイチュRNA検出は、特異的RNA配列を組織の一部または切片または組織全体(全組織標本ISH)または細胞に局在化させるために標識(例えば放射標識、抗原標識または蛍光標識)プローブ(相補的DNAまたはRNA鎖)を使用するインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)を含む。放射、蛍光または抗原標識ベース(例えば、ジゴキシゲニン)何れかで標識されたプローブを、各々オートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡または免疫組織化学を使用して組織に局在化させ、定量できる。ISHはまた2以上の転写物の同時検出のために2以上のプローブを使用できる。分枝DNAアッセイも、単一分子感受性を有するRNAインサイチュハイブリダイゼーションアッセイのために使用できる。この取り組みは、ViewRNAアッセイを含む。サンプル(細胞、組織)を固定し、次いで処理して、RNA標的接近(RNA非マスキング)を可能とする。標的特異的プローブは各標的RNAとハイブリダイズする。続くシグナル増幅は隣接プローブの特異的ハイブリダイゼーションに基づく(RNA標的に並んで結合する個々のオリゴヌクレオチド)。典型的標的特異的プローブは40オリゴヌクレオチドを含む。シグナル増幅を、一連の連続的ハイブリダイゼーション工程により達成する。プレアンプリファイヤー分子は、標的特異的RNAの各オリゴ対に結合し、次いで、複数アンプリファイヤー分子が各プレアンプリファイヤーに結合する。次に、複数標識プローブオリゴヌクレオチド(アルカリホスファターゼのような酵素にまたは直接フルオロフォアにコンジュゲート)は各アンプリファイヤー分子に結合する。別の、しかし、同等なシグナル増幅システムは、多重アッセイを可能とする。シグナルを用いる検出システムによって放出される蛍光または光を測定することにより可視化できる。検出は、ある実施態様においてハイコンテント造影システムまたは蛍光または明視野顕微鏡の使用を含み得る。
それ故に、さらなる態様において、本発明は、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのキットの使用に関する。対象における前立腺癌の(インサイチュ)特徴付けおよび/または予後診断のためのキットは、表1から選択される少なくとも1遺伝子のRNA生成物に特異的な1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含む。各遺伝子についての適当なプローブおよびプローブセットを表1に挙げ、本発明のキットに包含させ得る。プローブおよびプローブセットも、本発明の別の態様を構成する。“プローブセット”は、単一遺伝子を標的(ハイブリダイゼーションによる)とするよう設計されたプローブのコレクションを意味する。グループ分けは表1(および表1A)から明らかである。
キットは、さらに次の
a)遮断プローブ
b)プレアンプリファイヤー
c)アンプリファイヤーおよび/または
d)標識分子
の1以上の要素を含み得る。
キットの要素は、ViewRNAアッセイの実施に適し得る(https://www.panomics.com/products/rna-in-situ-analysis/view-rna-overview)。
キットの要素は核酸ベースの分子、所望によりDNA(またはRNA)であり得る。ブロッキングプローブは、標的特異的プローブ(本発明の少なくとも1遺伝子のRNA生成物に特異的なプローブ)により結合されない標的の部位に結合することにより背景シグナルの減少に作用する分子である。プレアンプリファイヤーは、標的に結合したとき、(1対の)標的特異的プローブに結合することができる分子である。アンプリファイヤーは、プレアンプリファイヤーに結合できる分子である。あるいは、アンプリファイヤーは、標的に結合したとき、(1対の)標的特異的プローブに直接結合できる能力を有し得る。アンプリファイヤーは、複数標識分子(標識プローブであり得る)のための結合部位を有する。
RNA発現を、RNAの一連のプローブへのハイブリダイゼーションにより決定し得る。プローブを、アレイに配列され得る。マイクロアレイプラットホームは、Affymetrix、IlluminaおよびAgilentのような業者により製造されているものを含む。Affymetrixにより製造されるマイクロアレイプラットホームの例は、U133 Plus2アレイ、Almac proprietary XcelTMアレイおよびProstate Cancer DSA(登録商標)を含むAlmac proprietary Cancer DSAs(登録商標)を含む。
特定の実施態様において、本発明の全態様によって、少なくとも1遺伝子の発現を、表1に挙げるものから選択される1以上のプローブを使用して決定し得る。
ある実施態様において、本発明の全態様によって、少なくとも1遺伝子の発現を、表1に挙げる標的配列または完全配列とハイブリダイズするように設計された1以上のプローブまたはプライマーを使用して決定できる。
これらのプローブも、本発明のキットに取り込まれ得る。プローブ配列はまた、例えばRT−PCRによる、発現の検出のためのプライマーの設計のためにも使用し得る。このようなプライマーも本発明のキットに取り込まれ得る。適当なプライマーは表1Bおよび配列番号3151〜3154に挙げる。
対応する標的配列は、関係のあるプローブセットについて下の表1に挙げる。本発明は、これらの標的配列の任意の1以上を標的とする種々のプローブの使用を含み得る。
同様に、完全遺伝子配列は、関係のあるプローブセットについて表1に挙げる。本発明は、標的配列としてのこれらの完全遺伝子配列の任意の1以上を標的とする種々のプローブの使用を含み得る。
プロモーターでのまたはその周辺でのDNAのメチル化率の増加が、遺伝子発現レベルの減少と相関することが示されている。DNAのメチル化は、ヒトにおける主後成的修飾である。メチル基(m)がDNAの特定のシトシン(C)残基に付加される、メチルトランスフェラーゼと呼ばれる酵素により実施されるDNAの化学修飾である。哺乳動物において、メチル化はグアノシン残基に隣接するシトシン残基、すなわち配列CGまたはCpGジヌクレオチドでしか生じない。
従って、さらに他の態様において、本発明は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断の方法であって、
対象からのサンプルにおいて表1から選択される少なくとも1遺伝子のメチル化状態を決定し、ここで、決定したメチル化状態を、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用することを含む、
方法に関する。
メチル化は、一般に遺伝子発現の下方制御をもたらす。それ故に、表1において負に荷重された遺伝子のメチル化(これは過剰メチル化であり得る)を、予後不良(またはここに記載する関連転帰)を示すために、ある実施態様により、決定し得る。これに加えてまたはこれとは別に、表1において正に荷重された遺伝子のメチル化の欠如(これは低メチル化であり得る)を、予後不良(またはここに記載する関連転帰)を示すために、ある実施態様により、決定し得る。
メチル化状態の決定は、任意の適当な手段により達成できる。適当な例は、重亜硫酸ゲノム配列決定および/またはメチル化特異的PCRを含む。メチル化状態を評価するための種々の技術は当分野で知られ、本発明と組み合わせて使用できる。配列決定(NGSを含む)、メチル化特異的PCR(MS-PCR)、融解曲線メチル化特異的PCR(McMS-PCR)、重亜硫酸処理を伴うまたは伴わないMLPA、QAMA(Zeschnigk et al, 2004)、MSRE-PCR(Melnikov et al, 2005)、MethyLight(Eads et al., 2000)、ConLight-MSP(Rand et al., 2002)、重亜硫酸変換特異的メチル化特異的PCR(BS-MSP)(Sasaki et al., 2003)、COBRA(これは、重亜硫酸ナトリウム処理DNAのPCR生成物におけるメチル化依存的配列差異を明らかにするために制限酵素を利用する)、メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長立体構造(MS-SNuPE)、メチル化感受性一本鎖立体構造解析(MS-SSCA)、融解曲線複合重亜硫酸制限解析(McCOBRA)(Akey et al., 2002)、PyroMethA、HeavyMethyl(Cottrell et al. 2004)、MALDI-TOF、MassARRAY、メチル化アレルの定量的解析(QAMA)、酵素局所メチル化アッセイ(ERMA)、QBSUPT、MethylQuant、定量的PCR配列決定およびオリゴヌクレオチドベースのマイクロアレイシステム、ピロシーケンス、Meth-DOP-PCR。DNAのメチル化解析のいくつかの有用な技術の総説はNucleic acids research, 1998, Vol. 26, No. 10, 2255-2264, Nature Reviews, 2003, Vol.3, 253-266; Oral Oncology, 2006, Vol. 42, 5-13に提供される。
メチル化状態を評価するための技術は、別個の取り組みに基づく。あるものは、エンドヌクレアーゼの使用を含む。このようなエンドヌクレアーゼは、非メチル化認識部位に対して優先的にメチル化認識部位を開裂するものでも、メチル化認識部位に対して非メチル化のものを優先的に開裂するものでもよい。前者の例のいくつかは、Acc III、Ban I、BstN I、Msp IおよびXma Iである。後者の例は、Acc II、Ava I、BssH II、BstU I、Hpa IIおよびNot Iである。開裂パターンの差異は、メチル化CpGジヌクレオチドの存在または非存在の指標である。開裂パターンは、直接的にまたは容易に識別可能な生成物を生じるさらなる反応後に検出できる。電気泳動、クロマトグラフィーおよびマススペクトロメトリーを含むが、これらに限定されないサイズおよび/または電荷の改変を検出する手段を修飾生成物の検出に使用できる。
あるいは、メチル化CpGジヌクレオチドの同定は、MeCP2タンパク質のメチル結合ドメイン(MBD)がメチル化DNA配列に選択的に結合する能力を利用し得る(Cross et al, 1994; Shiraishi et al, 1999)。MBDはまたMBP、MBP2、MBP4、ポリ−MBD(Jorgensen et al., 2006)またはメチル化核酸に結合した抗体のような試薬からも得ることができる。MBDを固体マトリクスに固定し、高度メチル化DNA配列の単離のための分取カラムクロマトグラフィーに使用し得る。発現されるHisタグ付メチル−CpG結合ドメインのようなバリアント形態を使用して、メチル化DNA配列に選択的に結合させ得る。最終的には、制限エンドヌクレアーゼ消化ゲノムDNAを発現Hisタグ付メチル−CpG結合ドメインと結合させる。他の方法は当分野で周知であり、数ある中で、メチル化−CpGアイランドリカバリーアッセイ(MIRA)を含む。もう一方の方法、MB−PCRは、メチル化DNA捕捉のためにPCR容器の壁に固定化された組み換え、二価メチル−CpG結合ポリペプチドと、続くPCRによる結合したメチル化DNA検出を使用する。
メチル化CpGジヌクレオチドモチーフ検出のためのさらなる取り組みは、CpGジヌクレオチドモチーフのメチル化または非メチル化形態の何れかを選択的に修飾する化学試薬の使用である。適当な化学試薬は、ヒドラジンおよび重亜硫酸イオンを含む。本発明の方法は、ある実施態様において、重亜硫酸イオンを使用し得る。重亜硫酸変換は、非メチル化シトシンをウラシルに変換するが、メチル化シトシンは維持される、重亜硫酸ナトリウムでのDNAサンプルの処理を利用する(Furuichi et al., 1970)。この変換は、最終的に元のDNAの配列の変化をもたらす。得られたウラシルが、シトシン塩基対形成行動と異なるチミジンの塩基対形成行動を有することは一般に知られる。これは、メチル化および非メチル化シトシン間の識別を可能とする。配列差異を評価するための分子生物学および核酸化学の有用な慣用技術は当分野で周知であり、文献に記載されている。例えば、Sambrook, J., et al., Molecular cloning: A laboratory Manual, (2001) 3rd edition, Cold Spring Harbor, NY; Gait, M.J.(ed.), Oligonucleotide Synthesis, A Practical Approach, IRL Press (1984); Hames B.D., and Higgins, S.J. (eds.), Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach, IRL Press (1985); and the series, Methods in Enzymology, Academic Press, Inc.参照。
いくつかの技術は、CpGジヌクレオチドでのメチル化状態の評価にプライマーを使用する。プライマー設計のための2種の取り組みが可能である。第一に、プライマーを、それ自体DNAのメチル化の可能性のあるあらゆる位置をカバーしないように設計し得る。差次的メチル化位置での配列多様性は2プライマー間に位置し、配列多様性の可視化はさらなるアッセイ工程を必要とする。このようなプライマーは、重亜硫酸ゲノム配列決定、COBRA、Ms-SnuPEおよび他のいくつかの技術で使用される。第二に、最初に処理した配列のメチル化または非メチル化バージョンの何れかと特異的にハイブリダイズするプライマーを設計し得る。ハイブリダイゼーション後、増幅反応を実施し、増幅生成物を当分野で知られる任意の検出系を使用してアッセイし得る。増幅生成物の存在は、サンプルがプライマーにハイブリダイズすることを示す。プライマーの特異性は、DNAが修飾されているかいないかを示し、これが次にDNAがメチル化されているかいないかを示す。標的と相補性である十分な領域、例えば、12、15、18または20ヌクレオチドが存在するならば、プライマーはハイブリダイゼーションを妨害しないが、他の操作に有用であり得る付加的ヌクレオチド残基も含み得る。このような他の残基の例は、制限エンドヌクレアーゼ開裂、リガンド結合もしくは因子結合のための部位またはリンカーまたは反復であり得る。オリゴヌクレオチドプライマーは、修飾メチル化残基に特異的なものであっても、なくてもよい。
修飾および非修飾核酸を識別するさらなる方法は、オリゴヌクレオチドプローブを使用する。このようなプローブは修飾核酸と直接または修飾核酸のさらなる生成物、例えば増幅により得た生成物とハイブリダイズし得る。プローブベースのアッセイは、特異的配列へのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションおよび続くハイブリッドの検出を利用する。また、増幅生成物検出前にさらなる精製工程、例えば、沈殿工程があってよい。オリゴヌクレオチドプローブを、当分野で知られる任意の検出系を使用して標識し得る。これらは、蛍光部分、放射性同位体標識部分、生物発光部分、発光部分、化学発光部分、酵素、基質、受容体またはリガンドを含むが、これらに限定されない。
MSP取り組みにおいて、DNAを、重亜硫酸ナトリウム処理の結果としての配列差異を利用することにより、メチル化DNAを非メチル化DNAと識別するように設計したプライマー対を使用して増幅し得る(WO97/46705号)。例えば、重亜硫酸イオンは、非メチル化シトシン塩基を修飾し、それをウラシル塩基に変える。ウラシル塩基は、ハイブリダイゼーション条件でアデニン塩基とハイブリダイズする。それ故に、グアニン塩基の代わりにアデニン塩基を含むオリゴヌクレオチドプライマーが、重亜硫酸修飾DNAとハイブリダイズし、一方グアニン塩基を含むオリゴヌクレオチドプライマーはDNAにおける非修飾(メチル化)シトシン残基と結合する。DNAポリメラーゼおよび第二プライマーを使用する増幅は、容易に観察できる増幅生成物をもたらし、これは続いてDNAがメチル化されているかいないかを示す。PCRが好ましい増幅方法ではあるが、ネステッドPCRおよび多重PCRのようなこの基本的技術の変法も本発明の範囲内に含まれ得る。
先に記載したとおり、関連する遺伝子のメチル化状態を評価するある実施態様は、増幅生成物を産生するための増幅を必要とする。増幅生成物の存在を当分野で周知の方法を使用して直接的に評価でき、続く記載もまたここに記載する他の全ての増幅実施態様に適用される。それらは、アガロースまたはポリアクリルアミドゲルのような適当なゲルで単純に可視化され得る。検出は、二本鎖DNAに挿入される臭化エチジウムのような特異的色素の結合および例えばDNAバンドのUVイルミネーター下での可視化を含み得る。増幅生成物を検出する他の手段は、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションを含む。あるいは、蛍光またはエネルギー移動を測定して、メチル化DNAの存在を決定できる。
MSP技術の具体例は、指定リアルタイム定量的MSP(QMSP)であり、実時間または終了点でメチル化DNAの信頼できる定量化を可能とする。リアルタイム方法は、一般に増幅手順の連続的光学モニタリングに基づき、生成物における取り込みが定量でき、定量化が鋳型における配列のコピー数の指標である蛍光標識試薬を利用する。このような試薬の一つは、二本鎖DNAと優先的に結合し、蛍光が二本鎖DNAの結合により著しく増強される、SYBR Green Iと呼ばれる蛍光色素である。あるいは、標識プライマーおよび/または標識プローブを定量化に使用できる。これらは、TAQMAN(登録商標)、MOLECULAR BEACONS(登録商標)、AMPLIFLUOR(登録商標)およびSCORPION(登録商標)、DzyNA(登録商標)、PlexorTMなどのような周知および市販のリアルタイム増幅技術の特定の適用を表す。リアルタイムPCRシステムにおいて、PCR生成物の量の最初の顕著な増加が、最初の標的鋳型の量に対応する、対数期中のPCR反応をモニターすることが可能である。
リアルタイムPCRは反応中のアンプリコンの蓄積を検出する。何れにしても、リアルタイム方法を利用する必要はない。多くの適用は定量化を必要とせず、リアルタイムPCRは、結果提示および保存を便利にし、同時にPCR後取扱いを避けるためのツールとしてのみ使用される。それ故に、解析は、標的DNAがサンプルに存在するか否かを確認するためだけに実施してよい。このようなエンドポイント検証を、増幅反応が完了した後に実施する。
表1からの1以上の遺伝子の発現レベルは免疫組織化学により決定され得る。免疫組織化学により、タンパク質に特異的に結合する抗体またはアプタマーのような結合剤の使用による、組織サンプルの細胞における該タンパク質の検出を意味する。それ故に、免疫組織化学により決定される発現レベルはタンパク質レベルである。サンプルは組織サンプルであってよく、癌(腫瘍)細胞、正常組織細胞および、所望により、浸潤性免疫細胞を含み得る。前立腺癌に適用可能な実施態様において、サンプルは前立腺組織サンプルであってよく、前立腺癌(腫瘍)細胞、前立腺上皮内腫瘍(PIN)細胞、正常前立腺上皮、間質および、所望により、浸潤性免疫細胞を含み得る。ある実施態様において、サンプルにおける癌(腫瘍)細胞の少なくとも1遺伝子の発現レベルを、同じサンプルにおける正常細胞の同じ遺伝子(および/または参照遺伝子)の発現レベルと比較する。ある実施態様においてサンプルにおける癌(腫瘍)細胞の少なくとも1遺伝子の発現レベルを、対照サンプルの正常細胞における同じ遺伝子(および/または参照遺伝子)の発現レベルと比較する。正常細胞は、正常(非癌)上皮性細胞を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる可能性がある。ある実施態様において、正常細胞はPIN細胞および/または間質細胞を含まない。ある実施態様において、前立腺癌(腫瘍)細胞はPIN細胞および/または間質細胞を含まない。さらなる実施態様において、サンプルの前立腺癌(腫瘍)細胞における少なくとも1遺伝子の発現レベルを、(さらに)同じ細胞または対照サンプルにおける前立腺癌細胞の参照遺伝子の発現レベルと比較する。なおさらなる実施態様において、サンプルにおける癌(腫瘍)細胞の少なくとも1遺伝子の発現レベルを、癌(腫瘍)細胞における発現の強度、比率および/または局在化に基づく方法を使用して採点する(正常細胞と比較せずに)。採点方法は、既知転帰を有する一連の患者からの開発または訓練段階のものに由来し得る。
従って、さらなる態様において、本発明は、表1から選択された少なくとも1遺伝子のタンパク質生成物に特異的に結合する抗体またはアプタマーに関する。抗体またはアプタマーが結合するエピトープ表1に特定する完全配列または標的配列に対応するアミノ酸配列に由来し得る。
抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル起源のものであり得る。フラグメントおよび誘導体抗体は、ペプチド特異的結合機能を保持するFabフラグメント、ScFv、単一ドメイン抗体、ナノ抗体、重鎖抗体、アプタマーなどを限定なしに含むためにも利用でき、これらは“抗体”の定義に包含される。このような抗体は本発明の方法において有用である。それらは特定のタンパク質またはある状況においてタンパク質の1以上の特定のアイソフォームのレベルの測定に使用され得る。当業者は、特定のアイソフォームを互いに識別することを可能とするエピトープを十分に同定することができる。
特定の抗体を産生する方法は当業者に知られる。抗体はヒトでも非ヒト起源(例えばラットまたはマウスのような齧歯類)でもよく、既知技術によりヒト化などされていてよい(Jones et al., Nature (1986) May 29-Jun. 4;321(6069):522-5; Roguska et al., Protein Engineering, 1996, 9(10):895-904; and Studnicka et al., Humanizing Mouse Antibody Frameworks While Preserving 3-D Structure. Protein Engineering, 1994, Vol.7, pg 805)。
ある実施態様において、発現レベルを、標識にコンジュゲートした抗体またはアプタマーを使用して決定する。標識は、直接的または間接的に、検出を可能とする要素をいう。例えば、標識は酵素、所望によりペルオキシダーゼまたはフルオロフォアであり得る。
標識は検出剤の一例であり、その一部を構成し得る。検出剤は、結合剤(これは、例えば抗体、プライマーまたはプローブであり得る)と標的の複合体の検出を助けるために使用し得る薬剤を意味する。結合剤は全体的検出剤の一部を形成し得る。抗体が酵素にコンジュゲートするとき、検出剤は酵素が検出可能な生成物を産生する化学反応を触媒するような化学組成物を含み得る。適切な酵素により触媒される反応の生成物は、限定しないが、蛍光性、発光性または放射性であってよくまたはそれらは可視光または紫外光を吸収し得る。このような検出可能標識の検出に適する検出器の例は、x線フィルム、放射活性カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、ルミノメーターおよびデンシトメーターを含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、検出剤は二次的抗体を含み得る。その場合、発現レベルを標的タンパク質に結合する非標識一次抗体および標識にコンジュゲートした二次的抗体を使用して決定し、ここで、二次的抗体は一次抗体に結合する。
本発明はまた対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断のための上記抗体またはアプタマーの使用にも関する。
タンパク質のレベルで発現レベルを決定するさらなる技術は、例えば、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞化学、マススペクトロメトリー、ELISAおよびその他を含む(ImmunoAssay: A Practical Guide, edited by Brian Law, published by Taylor & Francis, Ltd., 2005 edition参照)。免疫反応性に基づくアッセイ方法の特異性および感度を改善するために、モノクローナル抗体が、その特異的エピトープ認識のためにしばしば使用される。ポリクローナル抗体も、モノクローナル抗体に比して標的に対する親和性が高いため、種々の免疫アッセイにおいて使用が成功している。
本発明の全態様において、サンプルは任意の適当な形態であり得る。サンプルは、一般に原発腫瘍(腫瘍細胞内にもはや含まれていなくても、例えば、循環中に放出されていても)からの核酸(DNAおよび/またはRNA)またはある実施態様においてタンパク質を含むことが意図される。サンプルは、前立腺または乳房細胞のような細胞およびしばしば適当な組織サンプル(例えば前立腺または乳房組織サンプル)を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる可能性がある。サンプルは原発腫瘍サンプルを含むか、またはそれ自体であり得る。細胞または組織は、前立腺癌細胞またはER陽性乳癌細胞のような癌細胞を含み得る。特定の実施態様において、サンプルはホルマリン固定パラフィン包埋生検サンプルのように固定されていてよい、生検サンプルを含む、本質的にそれらからなるまたはそれらからなる。組織サンプルは、任意の適当な技術により得ることができる。例は、生検手順、所望により微細針吸引生検手順を含む。体液サンプルも使用し得る。サンプルは、摘出材料を含み得る(例えば根治的前立腺摘出が実施されているとき)。適当なサンプルタイプは、全血、血清および血漿サンプルを含む血液、尿および精液を含む。
ここに記載する方法は、さらに核酸、DNAおよび/またはRNAのサンプルからの抽出を含み得る。適当な方法は当分野で知られ、RneasyおよびGeneJET RNA精製キットのような市販のキットの使用を含む。
ある実施態様において、方法はさらに対象からのサンプルを得ることを含み得る。一般に、方法は単離サンプルで実施されるインビトロ方法である。
本発明の方法は、高リスク癌(すなわち、高転移能群内であり、故に、予後不良であるもの)を同定することにより、どの患者を、より積極的な治療レジメに付すべきかの決定に有用であることが明らかとなり得る。
本発明の方法は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の処置を選択し、所望により処置を実施することを含み得る。ある実施態様において、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断が、再発および/または転移および/または予後不良の可能性が高いものであれば、選択される処置は
a)抗ホルモン処置
b)細胞毒性剤
c)生物学的製剤
d)放射線療法
e)標的療法
f)手術
の1以上であり得る。
抗ホルモン処置(またはホルモン療法)は、選択したホルモン、特にテストステロンのレベルおよび/または活性を減少させる処置の形態を意味する。このホルモンは腫瘍増殖および/または転移を促進し得る。抗ホルモン処置は、ゴセレリン(ゾラデックスとも呼ばれる)、ブセレリン、ロイプロレリン(Prostapとも呼ばれる)、ヒストレリン(Vantas)およびトリプトレリン(デカペプチル)とも呼ばれる黄体ホルモン阻害剤を含み得る。抗ホルモン処置は、デガレリクス(ファーマゴン)のようなゴナドトロピン遊離ホルモン(GnRH)阻害剤またはフルタミド(Drogenilとも呼ばれる)およびビカルタミド(カソデックスとも呼ばれる)のような抗アンドロゲンを含み得る。特定の実施態様において、抗ホルモン処置はビカルタミドおよび/またはアビラテロンであり得る。
細胞毒性剤はアジュバント療法として投与され得る。細胞毒性剤は白金ベースの薬剤および/またはタキサンであり得る。特定の実施態様において、白金ベースの薬剤は、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される。タキサンはパクリタキセル、カバジタキセルまたはドセタキセルであり得る。細胞毒性剤はまたビノレルビンまたはビンブラスチンのようなビンカアルカロイドであり得る。細胞毒性剤は、エトポシドのようなトポイソメラーゼ阻害剤またはドキソルビシンのようなアントラサイクリン(抗生物質)であり得る。細胞毒性剤は、エストラムスチンのようなアルキル化剤であり得る。アジュバントタキサンおよび/またはトポイソメラーゼ阻害剤治療は、ER陽性乳癌の処置に特に適し得る。
生物学的製剤は、生物学的製剤方法により産生された医薬品を意味する。生物学的製剤は、例えば、ワクチン、血液または血液成分、細胞、遺伝子治療、組織または組み換え治療タンパク質であり得る。所望により、生物学的製剤は抗体および/またはワクチンである。生物学的製剤はシプロイセルTであり得る。生物学的製剤は癌免疫療法であり得る。
ある実施態様において、放射線療法は拡大放射線療法、好ましくは広範囲放射線療法である。特定の実施態様において、放射線療法は、(骨盤)リンパ節照射を含むか、または(骨盤)リンパ節照射である。アジュバント照射を使用し得る。
手術は根治的前立腺摘出を含み得る。根治的前立腺摘出は、前立腺、精嚢および精管全体の摘出を意味する。さらなる実施態様において、手術は、腫瘍摘出、すなわち腫瘍の全てまたは一部の摘出を含む。手術は、拡大節郭清を含み得るかまたは拡大節郭清であり得る。
標的療法は、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の処置のための特定の薬物標的に向けた標的化治療剤を使用する処置を意味する。特定の実施態様において、これは、PARP、AKT、MET、VEGFRなどのような標的に向けた阻害剤であり得る。PARP阻害剤は、酵素ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の薬理学的阻害剤の一群である。いくつかの形態の癌は正常な細胞よりPARPに依存し、PARPを癌治療の魅力的な標的とする。実施例(臨床試験中)は、イニパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、CEP 9722、MK 4827、BMN−673および3−アミノベンズアミドを含む。AKTは、タンパク質キナーゼB(PKB)としても知られ、グルコース代謝、アポトーシス、細胞増殖、転写および細胞遊走のような複数の細胞プロセスに重要な役割を有するセリン/スレオニン特異的タンパク質キナーゼである。AKTは腫瘍細胞生存、増殖および侵襲性と関連する。AKT阻害剤の例は、VQD−002、ペリホシン、ミルテホシンおよびAZD5363を含む。METは、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)をコードする癌原遺伝子である。肝細胞増殖因子受容体タンパク質はチロシンキナーゼ活性を有する。MET阻害のためのキナーゼ阻害剤の例は、K252a、SU11274、PHA−66752、ARQ197、フォレチニブ、SGX523およびMP470を含む。MET活性はまたHGFとの相互作用の阻害によっても遮断され得る。切断型HGF、抗HGF抗体および非開裂可能HGFを含む多くの適当なアンタゴニストが知られる。VEGF受容体は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の受容体である。レンバチニブ、モテサニブ、パゾパニブおよびレゴラフェニブのような種々の阻害剤が知られる。
本方法が癌を高転移能群に入らないと同定したならば、種々の決定がなされ得る。癌が既に例えば放射線療法または手術で処置されているならば、癌をさらに処置しないとの決定がなされ得る。適当な手段(例えばPSAレベルまたは本発明の方法の使用による)により癌のモニターを継続し、癌が同じ状態のままであるならば、さらなる処置を何ら行わないとの決定をなし得る。
本発明の方法は、治療選択ならびに新規治療の臨床試験評価中の強化戦略のための患者群選択を手引できる。例えば、想定される抗癌剤または処置レジメを評価するとき、ここに開示する方法を使用して、高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性を有するとして特徴付けられる前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を有する個体を臨床試験のために選択し得る。
本発明はまたここに記載する方法実施のためのシステムまたはデバイスまたは試験キットにも関する。
さらなる態様において、本発明は、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのシステム、デバイスまたは試験キットであって、
a)対象からのサンプルにおいて表1から選択される少なくとも1遺伝子の発現レベルを決定する1以上の試験デバイス
b)プロセッサー;および
c)コンピューターアプリケーションを含む記憶媒体であって、プロセッサーにより実行されたとき、
(i)1以上の試験デバイスにおけるサンプル中の表1から選択される少なくとも1遺伝子の決定された発現レベルにアクセスするおよび/またはそれを計算する、
(ii)サンプル中の表1から選択された少なくとも1遺伝子のレベルに上昇または減少があるか計算する;および
(iii)プロセッサーから前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けをアウトプットする
ように設定されているもの
を含む、システム、デバイスまたは試験キットに関する。
試験デバイスにより、遺伝子の発現レベルの決定を可能にするコンポーネントの組み合わせを意味する。コンポーネントは、タンパク質、RNAまたは後成的修飾のレベルで発現レベルを決定する方法について、上に記載した何れかを含み得る。例えばコンポーネントは抗体、プライマー、検出剤などであり得る。コンポーネントはまた次の顕微鏡、顕微鏡スライド、x線フィルム、放射活性カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、ルミノメーターおよびデンシトメーターの1以上を含み得る。それ故に、本発明の方法の適用は、必要な変更を加えて本発明のこれらの態様に適用される。
ある実施態様において、システム、デバイスまたは試験キットは、さらにプロセッサーからのアウトプットのための(電子)ディスプレイを含む。
本発明はまた、コンピューターアプリケーションまたは上記コンピューターアプリケーションを含む記憶媒体にも関する。
ある例示的実施態様において、ここに記載する方法による対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断のための、コンピューターにより実施される方法、システムおよびコンピュータープログラム製品が提供される。例えば、コンピュータープログラム製品は、コンピューターにより実施されたとき、該コンピューターに、ここに記載する対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断をさせる、組み込まれたコンピューター読取可能プログラム指示を有する非一過性コンピューター読取可能記憶デバイスを含み得る。例えば、コンピューター実行可能指示により、コンピューターは
(i)1以上の試験デバイス上のサンプル中の表1から選択される少なくとも1遺伝子の決定された発現レベルにアクセスするおよび/またはそれを計算する;
(ii)サンプル中の表1から選択された少なくとも1遺伝子のレベルに上昇または減少があるか計算する;および
(iii)前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断に関するアウトプットを提供する
ようになり得る。
ある例示的実施態様において、コンピューターにより実現される方法、システムおよびコンピュータープログラム製品は、例えば、コンピューターおよびモジュールを運用および実行する、コンピューターアプリケーションに埋め込まれ得る。実行したとき、アプリケーションは、ここに記載する例示的実施態様により、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌を特徴付けおよび/または予後診断する。
ここで使用するコンピューターは、あらゆるコンピューター、サーバー、埋め込まれたシステムまたは計算システムに対応する。モジュールは、コンピューターのここに提示する種々の方法および処理機能の実施を促進するために配置された1以上のハードウェアまたはソフトウェアエレメントを含み得る。コンピューターは、例えば、プロセッサー、システムバス、システムメモリ、記憶媒体、インプット/アウトプットインタフェースおよびネットワークと接続するためのネットワークインタフェースのような種々の内部または外部コンポーネントを含み得る。コンピューターは、例えば慣用コンピューターシステム、組込コントローラー、ラップトップ、サーバー、カスタマイズされたマシン、実験室コンピューターもしくはデバイスのような任意の他のハードウェアプラットフォームまたはこれらの任意の組み合わせとして実行され得る。コンピューターは、例えば、データネットワークまたはバスシステムにより相互接続された複数コンピューターを使用して処理するように設計された分散型システムであり得る。
プロセッサーは、ここに記載する操作および機能性を実施、リクエストフローおよびアドレスマッピングを管理し、計算実施およびコマンド作成のためにコードまたは指示を実施するように設定されてよい。プロセッサーは、コンピューターにおけるコンポーネントの作動をモニターおよび制御するために設定し得る。プロセッサーは、汎用プロセッサー、プロセッサーコア、マルチプロセッサー、再構成可能プロセッサー、マイクロコントローラー、デジタルシグナルプロセッサー(“DSP”)、アプリケーション特異的集積回路(“ASIC”)、画像処理ユニット(“GPU”)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(“FPGA”)、プログラム可能論理回路(“PLD”)、コントローラー、状態機械、ゲート論理、個別のハードウェアコンポーネント、任意の他のプロセシング・ユニットまたはこれらの任意の組み合わせまたは多数のこれらであり得る。プロセッサーは、単一プロセシング・ユニット、複数プロセシング・ユニット、単一プロセシング・コア、複数プロセシング・コア、特殊用途プロセシング・コア、コプロセッサーまたはこれらの任意の組み合わせであり得る。ある例示的実施態様によって、プロセッサーは、コンピューターの他のコンポーネントと共に、1以上の他のコンピューター内で実行する仮想コンピューターであり得る。
システムメモリは、リードオンリーメモリ(“ROM”)、プログラム可能リードオンリーメモリ(“PROM”)、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(“EPROM”)、フラッシュメモリまたは電力を用いてまたは用いることなくプログラム指示またはデータの保存が可能な任意の他のデバイスのような不揮発性メモリを含み得る。システムメモリはまたランダム・アクセス・メモリ(“RAM”)、静的ランダム・アクセス・メモリ(“SRAM”)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(“DRAM”)および同期型ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(“SDRAM”)のような揮発性メモリも含み得る。他のタイプのRAMもシステムメモリの実行に使用し得る。システムメモリは、単一メモリモジュールまたは複数メモリモジュールの使用により実行し得る。システムメモリはコンピューターの一部であるが、当業者は、システムメモリを、対象の技術の範囲から逸脱することなくコンピューターから離し得ることを認識する。システムメモリは、記憶媒体のような非揮発性記憶デバイスを含み得るまたはそれと関連して動作し得ることも認識される。
記憶媒体はハードディスク、フロッピーディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(“CD−ROM”)、デジタル多目的ディスク(“DVD”)、ブルーレイディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、他の非揮発性メモリデバイス、ソリッドステートドライブ(“SSD”)、あらゆる磁気記憶デバイス、あらゆる光学記憶デバイス、あらゆる電気記憶デバイス、あらゆる半導体記憶デバイス、あらゆる物理ベースの記憶デバイス、あらゆる他のデータ記憶デバイスまたはこれらの任意の組み合わせまたは多数のこれらを含み得る。記憶媒体は、1以上のオペレーションシステム、アプリケーションプログラムおよびモジュール、データまたは任意の他の情報のようなプログラムモジュールを保存し得る。記憶媒体は、コンピューターの一部であるかそれに接続されていてよい。記憶媒体はまた、サーバー、データベースサーバー、クラウド保存、ネットワーク接続保存などのようなコンピューターと接続した1以上の他のコンピューターの一部であってもよい。
モジュールは、ここに提示する種々の方法および処理機能をコンピューターで実施することを促進するように設定された1以上のハードウェアまたはソフトウェアエレメントを含み得る。モジュールは、システムメモリ、記憶媒体または両方と関係して、ソフトウェアまたはファームウェアとして保存されるシークエンスの一つ以上を含み得る。記憶媒体は、それ故に指示またはコードがプロセッサーでの実行のために保存され得る、マシンまたはコンピューター読取可能媒体の例を表す。マシンまたはコンピューター読取可能媒体は、一般にプロセッサーに指示を与えるために使用されるあらゆる1個または複数個の媒体をいう。モジュールと組み合わさったこのようなマシンまたはコンピューター読取可能媒体はコンピューターソフトウェア産物を構成し得る。モジュールを含むコンピューターソフトウェア産物はまたネットワーク、任意のシグナル担持媒体または任意の他の伝達または送達技術によりモジュールをコンピューターに送達するための1以上のプロセスまたは方法と組み合わせられ得ることも認識される。モジュールはまたハードウェア回路またはFPGAもしくは他のPLDのためのマイクロコードまたは設定情報のような、ハードウェア回路を設定するための情報も含み得る。
インプット/アウトプット(“I/O”)インタフェースは、1以上の外部デバイスを、データを1以上の外部デバイスから受け取り、データを1以上の外部デバイスに送るように結合するために設定され得る。このような外部デバイスは、種々の内部デバイスと共に、周辺機器として知られる。I/Oインタフェースは、種々の周辺機器をコンピューターまたはプロセッサーに動作可能に接続するための電気的および物理的接続の両方を含み得る。I/Oインタフェースは周辺機器、コンピューターまたはプロセッサー間のデータ、アドレスおよびコントロールシグナルの接続のために設定され得る。I/Oインタフェースは、小型コンピューター用周辺機器インターフェース(“SCSI”)、シリアル接続SCSI(“SAS”)、ファイバー・チャンネル、周辺構成要素相互接続(“PCI”)、PCIエクスプレス(PCIe)、シリアルバス、パラレルバス、アドバンスド・テクノロジー・アタッチメント(“ATA”)、シリアルATA(“SATA”)、ユニバーサル・シリアル・バス(“USB”)、Thunderbolt、FireWire、種々のビデオバスなどのような任意の標準インタフェースを実行するように設定され得る。I/Oインタフェースは、1インタフェースまたはバス技術を実行するように設定され得る。
あるいは、I/Oインタフェースは、複数インタフェースまたはバス技術を実行するように設定され得る。I/Oインタフェースは、システムバスの一部として、全体としてまたはそれと関連して動作するように設定され得る。I/Oインタフェースは、1以上の外部デバイス、内部デバイス、コンピューターまたはプロセッサー間の伝達を緩衝するための1以上のバッファーを含み得る。
I/Oインタフェースは、コンピューターをマウス、タッチスクリーン、スキャナー、電子デジタイザ、センサー、レシーバー、タッチパッド、トラックボール、カメラ、マイク、キーボード、任意の他のポインティングデバイスまたはこれらの任意の組み合わせを含む、種々のインプットデバイスと連結させ得る。I/Oインタフェースは、コンピューターを、ビデオディスプレイ、スピーカー、プリンター、プロジェクター、触覚フィードバックデバイス、自動化制御、ロボットコンポーネント、アクチュエータ、モーター、ファン、ソレノイド、バルブ、ポンプ、トランスミッター、シグナルエミッター、光などを含む種々のアウトプットデバイスと連結させ得る。
コンピューターは、ネットワーク中の1以上の他のシステムまたはコンピューターとのネットワークインタフェースを介して、論理接続を使用してネットワーク環境で動作し得る。ネットワーは広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、インターネット、無線アクセスネットワーク、有線ネットワーク、モバイルネットワーク、電話ネットワーク、光学ネットワークまたはこれらの組み合わせを含み得る。ネットワークは、あらゆるトポロジーのパケットスイッチ、回路スイッチであり、任意の伝達プロトコールを使用し得る。ネットワーク内を連結する伝達は、光ファイバー・ケーブル、空間伝搬光、導波管、電気伝導体、ワイヤレスリンク、アンテナ、無線周波数伝達などのような種々のデジタルまたはアナログ伝達媒体を含み得る。
プロセッサーは、システムバスを介してコンピューターまたは種々の周辺機器の他の要素に接続され得る。システムバスはプロセッサー内、プロセッサー外または両方であり得ることは認識される。ある実施態様によって、プロセッサー、ここに記載するコンピューターまたは種々の周辺機器の他の要素の何れかを、システム・オン・チップ(“SOC”)、システム・オン・パッケージ(“SOP”)またはASICデバイスのような単一デバイスに統合し得る。
ある実施態様は、ここに記載し、説明する機能を具現化するコンピュータープログラムを含んでよく、ここで、コンピュータープログラムは、マシン読取可能媒体に保存された指示および該指示を実施するプロセッサーを含む、コンピューターシステムで実行される。しかしながら、コンピュータープログラミングの実施態様の実行には多くの種々の方法があり、本実施態様は、コンピュータープログラム指示の何らかの1セットに限定されると解されてはならないことは明らかである。さらに、熟練したプログラマーは、このようなコンピュータープログラムを、ここに記載する開示された実施態様の1以上の実行のために書くことができる。それ故に、特定のセットのプログラムコード指示の記載は、その実施態様をどのように製造し、使用するかの適切な理解をするために必要であるとは解されない。さらに、当業者は、ここに記載の実施態様の1以上の態様を、1以上の計算システムに統合され得るため、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせにより実施し得ることを認識する。さらに、コンピューターにより実際される行為の何らかの引用は、1を超えるコンピューターがその行為を実施し得るため、単一コンピューターによる実施として解してはならない。
ここに記載する例示的実施態様は、先に記載した方法およびプロセシング機能を実施するコンピューターハードウェアおよびソフトウェアと共に使用できる。ここに記載するシステム、方法および手順は、プログラム可能コンピューター、コンピューター−実行可能ソフトウェアまたはデジタル電気回路に統合され得る。ソフトウェアはコンピューター読取可能媒体に保存され得る。例えば、コンピューター読取可能媒体は、フロッピーディスク、RAM、ROM、ハードディスク、取り外し可能媒体、フラッシュメモリ、メモリスティック、光学媒体、光磁気媒体、CD−ROMなどを含み得る。デジタル電気回路は、集積回路、ゲート・アレイ、ビルディングブロック論理、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などを含み得る。
ここに記載する方法を実行するための試薬、ツールおよび/または指示はキットに提供し得る。このようなキットは、生検によるような患者から組織サンプルを採取するための試薬および組織を処理する試薬を含み得る。それ故に、キットは、ホルマリンのような適当な固定液およびパラフィンのような包埋試薬を含み得る。キットはまた患者のサンプルにおけるバイオマーカーの発現レベルを決定するための、RT−PCRおよびqPCRを含む核酸増幅、NGS(RNA−seq)、ノーザンブロット、プロテオミクス解析または免疫組織化学を実施するための試薬のような発現レベル解析を実施するための1以上の試薬も含み得る。例えば、RT−PCRを実施するためのプライマー、ノーザンブロット解析またはbDNAアッセイを実施するためのプローブおよび/またはウェスタンブロット、免疫組織化学およびELISA解析のようなプロテオミクス解析を実施するためのここに記載する抗体またはアプタマーは、このようなキットに含まれ得る。アッセイのための適切な緩衝液も含まれ得る。これらのアッセイの何れかに必要な検出試薬も含まれ得る。キットはまた、例えばアレイまたはPCRベースのキットであり、例えばポリメラーゼおよび/またはdNTPのようなさらなる試薬を含み得る。ここで注目するキットはまた発現レベル測定のためのアッセイをどのように実施するかを記載する指示書も含み得る。
対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断のためであり、増幅のためのおよび/または表1から選択される少なくとも1遺伝子、完全配列または標的配列に特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーおよび/またはプライマー対を含む、キットが提供される。表1から選択される少なくとも1遺伝子、完全配列または標的配列と特異的にハイブリダイズする1以上のプローブを含む、対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのキットも提供される。
キットは、表1から選択される少なくとも1遺伝子に相補的な1以上のプライマー対および/またはプローブを含み得る。ある実施態様において、本発明の全態様によって、キットは、表1に挙げる標的配列または完全配列とハイブリダイズするように設計され、故に、発現レベルの決定を可能とする1以上のプローブまたはプライマー(プライマー対)を含み得る。表1に特定するプローブおよびプローブセットおよび1Aを本発明の全態様によって使用し得る。表1Bに特定するプライマーおよびプライマー対も本発明の全態様によって用いられ得る。
キットは、ここに特定する遺伝子シグネチャーの何れかを形成するためのプライマー/プライマー対/プローブ/プローブセットを含み得る(例えば表1〜24の遺伝子シグネチャー参照)。
キットはまた参照遺伝子に相補的な1以上のプライマー対を含み得る。
このようなキットはまた表1に挙げる遺伝子の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69または70と相補的なプライマー対を含み得る。
それ故に、さらなる態様において、本発明は、表1から選択される少なくとも1遺伝子のRNA生成物に特異的な1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含む、対象における前立腺癌の(インサイチュ)特徴付けおよび/または予後診断のためのキットに関する。各遺伝子についての適当なプローブおよびプローブセットを表1に挙げ、本発明のキットに取り込み得る。プローブおよびプローブセットも、本発明の別の態様を構成する。“プローブセット”は、単一遺伝子を標的(ハイブリダイゼーションによる)とするよう設計されたプローブのコレクションを意味する。グループ分けは表1(および表1A)から明らかである。
キットは、さらに次の
a)遮断プローブ
b)プレアンプリファイヤー
c)アンプリファイヤーおよび/または
d)標識分子
の1以上の要素を含み得る。
キットの要素は、ViewRNAアッセイの実施に適し得る(https://www.panomics.com/products/rna-in-situ-analysis/view-rna-overview)。
キットの要素は核酸ベースの分子、所望によりDNA(またはRNA)であり得る。ブロッキングプローブは、標的特異的プローブ(本発明の少なくとも1遺伝子のRNA生成物に特異的なプローブ)により結合されない標的の部位に結合することにより背景シグナルの減少に作用する分子である。プレアンプリファイヤーは、標的に結合したとき、(1対の)標的特異的プローブに結合することができる分子である。アンプリファイヤーは、プレアンプリファイヤーに結合できる分子である。あるいは、アンプリファイヤーは、標的に結合したとき、(1対の)標的特異的プローブに直接結合できる能力を有し得る。アンプリファイヤーは、複数標識分子(標識プローブであり得る)のための結合部位を有する。
対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのキットは、表1から選択される少なくとも1遺伝子のメチル化状態の決定を可能とする。適当であるならば、過剰メチル化または低メチル化であり得る、決定されたメチル化状態を使用して、前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供する。このようなキットは、1以上の遺伝子のメチル化状態の直接決定のためのプライマーおよび/またはプローブを含み得る。それらは、故に、ハイブリダイゼーションによりDNAのメチル化および非メチル化形態を区別する、メチル化特異的プライマーおよび/またはプローブを含み得る。このようなプライマーおよび/またはプローブは、標的配列におけるシトシン残基の選択的修飾を、メチル化されているかどうかを反映させるために適合化された、ここに記載するプライマーおよびプローブの誘導体を含み得る。それ故に、“メチル化特異的”および“非メチル化特異的”プライマー(プライマー対に含まれるべき)およびプローブのセットを、特定のシトシン含有標的配列を探索するために設計し得る。このようなキットは、一般にまたCpGジヌクレオチドモチーフのメチル化または非メチル化形態の何れかを選択的に修飾する試薬も含む。適当な化学試薬はヒドラジンおよび重亜硫酸イオンを含む。例は、重亜硫酸ナトリウムである。しかしながら、キットは、制限エンドヌクレアーゼのようなメチル化状態を決定するための上記の他の試薬を含み得る。メチル化特異的PCRプライマーは、非メチル化形態(非メチル化特異的)に存在するならば、CpGジヌクレオチド対の重亜硫酸変換またはCpGジヌクレオチドがメチル化されているならば(メチル化特異的)変換の非存在を考慮するために、表1Bおよび配列番号3151〜3154のプライマー対に由来し得る。
本発明はまた1以上の上記抗体またはアプタマーを含み、本発明の方法において有用である、対象における前立腺癌またはER陽性乳癌のような癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのキットにも関する。
キットに含まれる情報資料は、ここに記載する方法に関するおよび/またはここに記載する方法のための試薬の使用に関する、記述的資料、指導的資料、販売的資料または他の資料であり得る。例えば、キットの情報資料は、キット使用者が遺伝子発現解析実施および結果解釈の実質的情報を得ることができる場所である、連絡先情報、例えば、実際の住所、メールアドレス、ウェブサイトまたは電話番号を含んでよい。
キットは、さらに上記コンピューターアプリケーションまたは記憶媒体を含んでよい。
先に提示した実施態様におけるシステム、方法および行為の例は説明的であり、別の実施態様において、種々の実施態様の範囲および精神から逸脱することなく、ある行為は異なる順番で、互いに並行して、完全に削除されおよび/または異なる例示的実施態様間で組み合わされ実施できおよび/またはある付加的行為を実施してよい。従って、このような別の実施態様は、ここに記載する本発明の範囲に含まれる。
特定の実施態様を上に詳細に記載しているが、その記載は単に説明を目的とする。それ故に、上記の多くの態様は特に断らない限り、必要なまたは必須の要素として意図されていない。
例示的実施態様の開示された態様の修飾およびそれに対応する等価成分または行為は、上記のものに加えて、次の特許請求の範囲に定義する実施態様の精神および範囲から逸脱することなく、本開示を利用して当業者により製造でき、特許請求の範囲に、このような修飾および等価構造を包含させるための最も広い解釈である。
126前立腺FFPE腫瘍サンプル中の1000の最も可変的遺伝子を使用する遺伝子発現データの教師なし階層的クラスタリングを示すヒートマップである。全サンプルにわたる遺伝子発現を水平に示す。各遺伝子クラスターに対応する機能プロセスを、図の右に沿ってラベルする。
シグネチャースコアを分子サブグループ(クラスター1および2対クラスター3および4)の区別と関連付ける交差検証下に計算したAUC。各シグネチャーにおける遺伝子の数をx軸に沿って記載し、AUCをy軸に示す。
シグネチャースコアをTaylor原発腫瘍サンプルにおける転移性再発までの期間と関連付ける交差検証下に計算したC指数。各シグネチャーにおける遺伝子の数をx軸に沿って記載し、C指数をy軸に示す。
シグネチャースコアに対する生物学的製剤不均一性の影響を評価するためにプロファイルした5切片内の交差検証下のシグネチャースコア範囲のパーセンテージとして計算した標準偏差(SD)。各シグネチャーにおける遺伝子の数をx軸に沿って記載し、パーセントSDをy軸に示す。
転移性再発までの期間エンドポイントおよび予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用したTaylor原発腫瘍サンプルにおいて作成したカプラン・マイヤー。一変量ハザード比=0.62[1.98,20.20];p<0.0001
生化学的再発までの期間エンドポイントおよび予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用したTaylor原発腫瘍サンプルにおいて作成したカプラン・マイヤー。一変量ハザード比=3.76[1.70、8.34];p<0.0001
Taylor解析からのキー予測因子の多変数Cox解析のワルド検定。
各患者についての70遺伝子シグネチャースコアおよび対応する生化学的再発転帰を使用するGlinksyデータにおけるROC曲線。AUC=0.69[0.57、0.79];p=0.0032
各患者についての70遺伝子シグネチャースコアおよび対応する転移性再発転帰を使用するErhoデータにおけるROC曲線。AUC=0.61[0.57、0.65];p<0.0001
再発までの期間エンドポイント(時間は月数)および予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用する乳癌データ(GSE2034)ER陽性腫瘍サンプルにおいて作成したカプラン・マイヤー;signature_call_median 1(予後不良)およびsignature_call_median 0(予後良好)。一変量ハザード比=1.24[0.80、1.92]
各患者について70遺伝子シグネチャースコアおよび対応する再発転帰をしようする乳癌データ(GSE2034)ER陽性腫瘍サンプルにおけるROC曲線。AUC=0.62;p=0.002
無再発生存エンドポイント(時間は日数)および予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用する乳癌データ(GSE7390)ER陽性腫瘍サンプルにおいて作成したカプラン・マイヤー;signature_call_median 1(予後不良)およびsignature_call_median 0(予後良好)。一変量ハザード比=1.74[1.04、2.93]
無遠隔転移生存エンドポイント(時間は日数)および予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用する乳癌データ(GSE7390)ER陽性腫瘍サンプルにおいて産生したカプラン・マイヤー;signature_call_median 1(予後不良)およびsignature_call_median 0(予後良好)。一変量ハザード比=2.01[1.02、3.96]
全体的生存エンドポイント(時間は日数)および予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用する乳癌データ(GSE7390)ER陽性腫瘍サンプルにおいて産生したカプラン・マイヤー;signature_call_median 1(予後不良)およびsignature_call_median 0(予後良好)。一変量ハザード比=2.54[1.24、5.18]
無再発生存エンドポイント(時間は年数)および予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用する乳癌データ(GSE2990)ER陽性腫瘍サンプルにおいて産生したカプラン・マイヤー;signature_call_median 1(予後不良)およびsignature_call_median 0(予後良好)。一変量ハザード比=1.91[1.17、3.09]
無遠隔転移生存エンドポイント(時間は年数)および予後良好/不良70遺伝子シグネチャー予測を使用する乳癌データ(GSE2990)ER陽性腫瘍サンプルにおいて作成したカプラン・マイヤー;signature_call_median 1(予後不良)およびsignature_call_median 0(予後良好)。一変量ハザード比=2.37[1.26、4.44]
手術後の摘出検証コホートにおける70遺伝子シグネチャーの、生化学的再発の時間予測との関係を示す10年にわたるカプラン・マイヤー生存解析。生存確率(%)は、‘非Met様’サブグループ(緑色)の241患者と比較したとき、‘Met様’サブグループ(青色)の81患者の無進行生存(PFS)の減少(月)を示した(HR=1.74[1.18−2.56];p=0.0009)。
手術後の摘出検証コホートにおける70遺伝子シグネチャーの、転移性疾患進行の時間予測との関係を示す10年にわたるカプラン・マイヤー生存解析。生存確率(%)は、‘非Met様’サブグループ(緑色)の241患者と比較したとき、‘Met様’サブグループ(青色)の81患者の無進行生存(PFS)の減少(月)を示した(HR=3.60[1.81−7.13];p<0.0001)。
治癒的放射線療法後のFASTMAN Biopsy Validationコホートにおける70遺伝子シグネチャーの、生化学的再発の時間予測との関係を示す10年にわたるカプラン・マイヤー生存解析。生存確率(%)は、‘非Met様’サブグループ(緑色)の194患者と比較したとき、‘Met様’サブグループ(青色)の54患者の無進行生存(PFS)の減少(月)を示した(HR=2.18[1.14−4.17];p=0.0042)。
治癒的意図での放射線療法後のFASTMAN Biopsy Validationコホートにおける、70遺伝子シグネチャーの、転移性疾患進行の時間予測との関係を示す10年にわたるカプラン・マイヤー生存解析。生存確率(%)は、‘非Met様’サブグループ(緑色)の194患者と比較したとき、‘Met様’サブグループ(青色)の54患者の無進行生存(PFS)の減少(月)を示した(HR=3.50[1.28−9.56];p=0.0017)。
FASTMAN生検検証データセットのコアセット解析。
内部摘出検証データセットのコアセット解析。
FASTMAN生検検証データセットのための最小遺伝子セット解析。
内部摘出検証データセットのための最小遺伝子セット解析。
本発明は、次の実験例を参照して、さらに理解される。
実施例1:組織プロセシング、階層的クラスタリングおよびサブタイプ同定
腫瘍材料
同時の転移が判明していない70原発前立腺癌、リンパ節転移が判明している20原発前立腺癌、転移前立腺癌を含む11リンパ節、25正常前立腺サンプル。
FFPEからの遺伝子発現プロファイリング
総RNAを、High Pure RNA Paraffin Kit(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)を使用して大まかに摘出した(macrodissected)FFPE組織から抽出した。RNAを相補的デオキシリボ核酸(cDNA)に変換させ、これを続いて増幅し、FL-OvationTM cDNA Biotin Module V2(NuGEN Technologies Inc.)のSPIA(登録商標)技術を使用して一本鎖形態に変換した。増幅一本鎖cDNAを次いで断片化し、FL-OvationTM cDNA Biotin Module V2(NuGEN Technologies Inc.)を使用してビオチン標識した。断片化し、標識したcDNAを次いでAlmac Prostate Cancer DSATMとハイブリダイズさせた。Almac Prostate Cancer DSATM研究ツールは貴重な保管組織バンクの使用を可能とする、FFPE組織サンプルの解析用に最適化されている。Almac Prostate Cancer DSATM研究ツールは、正常および癌性両方の前立腺組織におけるトランスクリプトームを表す革新的マイクロアレイプラットフォームである。その結果、Prostate Cancer DSATMは、一般的マイクロアレイプラットホームを使用しては入手できない、前立腺疾患および組織設定内のトランスクリプトームの包括的提示を提供する。アレイをAffymentrix Genechip(登録商標)Scanner 7G(Affymetrix Inc., Santa Clara, CA)を使用してスキャンした。
データ作成
プロファイルしたサンプルの品質管理(QC)を、MAS5前処理アルゴリズムを使用して実施した。平均ノイズおよび背景均一性、プレゼント・コールのパーセンテージ(アレイ品質)、シグナル品質、RNA品質およびハイブリダイゼーション品質を含む、種々の技術的態様を評価した。対応するパラメータの分布および中央絶対偏差を分析し、可能性のある外れ値の同定に使用した。
Almac Prostate Cancer DSATMは、3’末端から300ヌクレオチド以内の領域を主に標的とするプローブを含む。それ故に標準Affymetrix RNA品質尺度を適合させた − ハウスキーピング遺伝子について、3’末端プローブセットの強度と、3’末端プローブセット強度対平均背景強度の比を、通常の3’/5’比に加えて使用した。ハイブリダイゼーション対照を、強度およびプレゼント・コールがAffymetrixにより特定される要求に合うことを確実にするために、確認した。
階層的クラスタリングおよび機能解析
サンプル前処理を、Robust Multi-Array解析(RMA)を使用して実施した[1]。データマトリクスを、最初、特に、各Entrez geneについてのプレゼント・コールとの関係が最小であったプローブセットを利用する、Ensembleアノテーションバージョン75を使用してEntrez Gene IDレベルに集約させた。1)Entrez Gene IDにマップされなかったまたは2)複数Entrez Gene IDにマップされたプローブセットを除いた。得られた遺伝子レベルデータマトリクスを、分散および強度の減少によりソートし、データマトリクスの増分サブセットをクラスター安定性について試験した。GAP統計値[2]をサンプルおよび遺伝子クラスターの数の計算に適用し、一方クラスター組成物の安定性を区画比較方法を使用して評価した。最終の最も可変の遺伝子リストを、選択した数のサンプルクラスターの最小および最も安定なデータマトリクスに基づき、決定した。
中央遺伝子発現値に対してデータマトリクスを標準化した後、凝集型階層的クラスタリングをユークリッド距離およびWard連結方法を使用して実施した[3]。最適数のサンプルおよび遺伝子クラスターを、クラスター分散での変化と、参照ヌル分布下で予測される変化を比較するGAP統計値[2]を使用して決定した。サンプルクラスターにわたる臨床パラメータ因子レベルの有意性をANOVA(連続的因子)またはカイ二乗解析(個別の因子)を使用して評価し、偽発見率について補正した(p値および実施した試験数の積)。0.05の補正p値閾値を有意性の基準として使用した。
機能エンリッチメント解析を実施して、Gene Ontology生物学的過程分類を使用してクラスター化遺伝子セットと関連することが判明した生物学的実体を同定およびランク付けした[4]。実体を、統計により導かれたエンリッチメントスコアによりランク付けし[5]、複数試験について調節した[6]。0.05の補正p値を有意閾値として使用した。同定された富化過程を各遺伝子クラスターについての全体的群機能に集約させた。
階層的クラスタリング解析から、転移性サンプルと共にクラスタリングした原発腫瘍サンプルを‘不良’とラベルし、正常サンプルと共にクラスタリングした原発腫瘍サンプルを‘良好’とラベルする。
シグネチャー作成
クラス標識同定後、遺伝子シグネチャーを原発腫瘍サンプル内の予後不良群の前向き同定を可能とするように導いた。次の工程は、遺伝子シグネチャーの開発手順を要約する。
1. 相互検証:サンプルをシグネチャー訓練/試験について、5相互検証(CV)フォール度に無作為に分割し、これを、モデルパフォーマンスの不偏推定を可能とするため10回繰り返した。
2. 前処理:プローブ強度レベルでのデータのRMA背景補正、続くプローブ対プローブセットおよびその後のプローブセット対Entrez Gene IDの強度の中央集計。Entrez geneレベル集約データマトリクスをlog2変換し、分位正規化した。CV試験セット中のサンプルを対応するCV訓練事例集合からの分位正規化モデルを使用して正規化し、モデルパフォーマンスの全推定値がサンプル毎に前処理されたシグネチャースコアに基づくことを確認したことに注意すべきである。
3. フィルタリング:遺伝子フィルターをモデル開発前に適用して、低分散および低強度の遺伝子の75パーセントを除去した。
4. マシン学習:部分的最小二乗(PLS)を使用して、“予後良好/不良”エンドポイントに対するアルゴリズムを訓練した。
5. 特性選択:遺伝子(最初のフィルター後に残っているもの)をPLSアルゴリズムにより定義した各荷重を使用してランク付けし、最低絶対荷重の遺伝子の10パーセントを除去する、特性選択のためのラッパーベースの方法が実行された。この方法を、残りが2遺伝子になるまで、最低絶対荷重を有する遺伝子を決定し、各回10パーセントを除去するために遺伝子を再ランク付けする、特性消去(交差検証内)の各ラウンド後に繰り返す。
6. 暫定検証データセット1:公的データセット(Taylor et al)を、このデータセットからの原発腫瘍サンプルが各CV試験セットと並んで予測された(計算シグネチャースコア)暫定評価のために使用した。
7. 暫定検証データセット2:シグネチャースコアに対する生物学的製剤不均一性の影響を評価するために、FFPE腫瘍ブロックにわたる5切片をプロファイルした。これらの切片の各々のシグネチャースコアを、各CV試験セットと並行してCV下計算した。
モデル選択は次の工程を含んだ。
1. 交差検証下の訓練データにおける受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)評価。
2. 交差検証下の暫定検証TaylorデータにおけるC指数の評価。C指数は、スコアを“良好”および“不良”予後群を帰属させるために二分する閾値の非存在下での、時間事象データ予測に関するパフォーマンス(AUCに類する)の指標である。
3. CV下に予測されたFFPEブロックの5切片にわたるシグネチャースコアにおける変動性の評価。変動性を、5サンプルにわたるシグネチャースコアの標準偏差(SD)を計算し、SDをシグネチャースコア範囲の比(すなわちパーセントSD計算)として表すことにより決定した。
訓練事例集合で高AUC、Taylorセットで高C指数および不均一性サンプルにおいて低SDをもたらしたシグネチャー長を選択した。
多変数解析
興味深いのは、Taylorデータセットにおける前立腺癌患者の生化学的再発までの期間である。多変数Cox生存モデリングを使用して、バイオマーカーとの相互作用を試験し、説明し、予後因子を理解し、予後因子の相対的効果をモデル化した。臨床判断に基づき、術前PSA(4ng/ml)、病理段階(“T2 A/B/C”、“T3 A/B/C”、“T4”)、グリーソン(<7、7、8〜9)および二分化シグネチャースコアを独立した予測変数として使用した。術前PSAのlog2変換を適用した。複数インピュテーションを使用して、全ての利用可能な事象が解析に使用されたことを確実にした。サンプルサイズは、46名が生化学的再発事象を有する168患者で、生化学的再発までの中央期間は約15年であった。比例ハザード仮定の公的試験、Pre PSAのlog変換の関数形式の評価およびネルソン・アーラン累積ハザード関数のグラフプロットを使用するモデルフィットは、全て、懸念の原因を提供しなかった。解析からの除去における2以上の標準誤差の回帰係数への変化により定義される12の影響の大きなデータ点を同定した。これらを除かずまたはさらに試験されなかった。
モデル選択後、2つの独立した前立腺癌データセットを最終モデルでさらに評価した。
1. Affymetrix U133Aプラットフォームにプロファイルされた70の公的に利用可能な原発前立腺腫瘍サンプル(Glinsky et al)。
a. 臨床的情報は生化学的再発を含んだ(二成分転帰としてのみ)
2. Affymetrixヒトエクソンアレイプラットフォームにプロファイルされた545の公的に利用可能な原発前立腺腫瘍サンプル(Erho et al 2013)。
a. 臨床的情報は転移性再発を含んだ(二成分転帰としてのみ)
これらのデータセットの各々のパフォーマンスを、シグネチャーが再発する患者と再発しない患者を、スコアが高いほど、転移様疾患(悪い予後)を有し、それ故に再発転帰となる可能性が高い患者を表すとの仮定の下区別できることを確立するために、AUCを使用して評価した。
乳癌データセットにおける最終モデルの評価
さらに興味がもたれているのは、未処置患者における予後予測に関する他のホルモン関連データセットにおける最終シグネチャーの評価である。3ER陽性乳癌データセットを評価した。
1. Gene Expression Omnibusデータベース、受入番号GSE2034から検索したデータセット
a. 209リンパ節転移陰性ER陽性患者
b. エンドポイント:再発までの期間
2. Gene Expression Omnibusデータベース、受入番号GSE7390から検索したデータセット
a. 134リンパ節転移陰性ER陽性患者
b. エンドポイント1:無再発生存(RFS)
c. エンドポイント2:無遠隔転移生存(DMFS)
d. エンドポイント3:全生存(OS)
3. Gene Expression Omnibusデータベース、受入番号GSE2990から検索したデータセット
a. 149ER陽性患者
b. エンドポイント1:無再発生存(RFS)
c. エンドポイント2:無遠隔転移生存(DMFS)
各データセットについて、中央シグネチャースコアカットオフを適応して、中央値を越える得点ならばシグネチャー陽性(転移様)またはその他であればシグネチャー陰性(非転移様)の何れかとして患者を予測した。カプラン・マイヤー曲線を使用して、患者の2サブグループ間の生存差異を観察した。各エンドポイントに対するシグネチャー・コールのCox比例ハザード回帰分析を使用して、各臨床的エンドポイントに対するパフォーマンスの指標としてシグネチャーに対する一変量ハザード比を計算した。
結果
126サンプルがマイクロアレイQCを通過し、続いて1000の最も可変の遺伝子に基づく教師なし階層的クラスタリングを受けた。4サンプルクラスターおよび4遺伝子クラスターを道程した(図1)。サンプルクラスターと腫瘍タイプの間に有意な相関があった。クラスター1および2(青色四角で強調)は主に転移および原発腫瘍からなり、クラスター3(赤色四角で強調)および4(黄色四角で強調)はそれぞれ良性および原発腫瘍からなった(p<0.0001、表1)。機能解析(図1)は、クラスター1および2(転移および原発様転移腫瘍)が細胞接着、細胞分化および細胞発生に関連する遺伝子の下方制御、アンドロゲン関連処理および上皮間葉転換(EMT)の上方制御により特徴付けられることを確認した(クラスター1および2は、以後“予後不良”群と称する)。クラスター3およびクラスター4(良性および原発様良性腫瘍)は、細胞接着、炎症性応答および細胞発生と関連する遺伝子の上方制御と関係した(クラスター3およびクラスター4は、以後“予後良好”と称する)。シグネチャー開発の目的で、クラスター1およびクラスター2の患者を、“予後不良”としてクラス標識し、クラスター3およびクラスター4における患者を“予後良好”としてクラス標識した。
全ての考慮したシグネチャー長でのシグネチャー開発からの結果を図2、図3および図4に示し、これは、それぞれ、エンドポイント予測のための訓練事例集合におけるAUC、転移性再発までの期間に関するTaylorデータにおけるC指数および不均一性サンプルにおけるパーセントSDを示す。70遺伝子のシグネチャー長を、AUCが高いままであるシグネチャー長(図2)、SDが低いままであるシグネチャー長(図4)およびTaylorサンプルにおいてc指数値が高いままである最小シグネチャー長(図3)として選択した。
最終70遺伝子モデルのシグネチャーコンテントおよび重み付けを表1に挙げる。Taylorデータで計算した70遺伝子スコアを、シグネチャースコア>0.4241を有する患者が“予後不良”として分類され、シグネチャースコア≦0.4241を有する患者が“予後良好”として分類された0.4241閾値で二分した。予後良好および不良へのシグネチャー分類を使用して、2つの予測群について生存確率の差異を示すカプラン・マイヤー曲線を作成した。図5は、転移性再発までの期間エンドポイントのカプラン・マイヤーを示し(一変量ハザード比=6.32[1.98、20.20])、図6は生化学的再発までの期間エンドポイントのカプラン・マイヤーを示す(一変量ハザード比=3.76[1.70、8.34])。
図7および付随する表は、多変数解析の結果を示す。プロットは、ワルドのカイ二乗統計値からモデルにおける各変数の部分的効果を評価するその自由度を減じたものを表す。グリーソンは、最も重要な因子であり、バイオマーカー(すなわち遺伝子シグネチャー)および術前PSAが続く。これらの結果は、バイオマーカーが、標準病理学的因子の上に付加的予後情報を提供する。バイオマーカーと術前PSAの相互作用のため、これらの変数(および/または他の予後因子)を纏めて、複合リスクスコアを作成することも一つの可能性である。70遺伝子シグネチャーモデルを2つの独立した前立腺癌データセットに適用した。
図8Aおよび図8Bは、それぞれGlinksyおよびErhoデータセットの再発転帰に対するシグネチャースコア評価からのROC曲線を示す。生化学的再発予測に関するGlinksyデータにおけるAUCは0.69[0.57、0.79]であり、転移性再発予測に関するErhoデータにおけるAUCは0.61[0.57、0.65]であった。
乳癌データセットにおける最終モデルの評価
3乳癌データセットにおける70遺伝子シグネチャーの評価の結果を以下に記載する。
1. Gene Expression Omnibusデータベース、受入番号GSE2034から検索したデータセット
a. 209リンパ節転移陰性ER陽性患者
b. エンドポイント:再発までの期間
i. ハザード比=1.24[0.80、1.92](カプラン・マイヤーを図9に示す)
ii. 再発予測に関するAUC=0.62;p=0.002(ROC曲線は図10に示す)
2. Gene Expression Omnibusデータベース、受入番号GSE7390から検索したデータセット
a. 134リンパ節転移陰性ER陽性患者
b. エンドポイント1:無再発生存(RFS)
i. ハザード比=1.74[1.04、2.93](カプラン・マイヤーを図11に示す)
c. エンドポイント2:無遠隔転移生存(DMFS)
i. ハザード比=2.01[1.02、3.96](カプラン・マイヤーを図12に示す)
d. エンドポイント3:全生存(OS)
i. ハザード比=2.54[1.24、5.18](カプラン・マイヤーを図13に示す)
3. Gene Expression Omnibusデータベース、受入番号GSE2990から検索したデータセット
a. 149ER陽性患者
b. エンドポイント1:無再発生存(RFS)
i. ハザード比=1.91[1.17、3.09](カプラン・マイヤーを図14に示す)
c. エンドポイント2:無遠隔転移生存(DMFS)
i. ハザード比=2.37[1.26、4.44](カプラン・マイヤーを図15に示す)
参考文献
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実施例2 − 全プローブセットの有効性確認
目的:
この解析の目的は遺伝子あたりの無作為プローブセットを選択したときの70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスの評価である。これは、シグネチャー遺伝子と関連するあるプローブセットの有意性の証拠を提供する。
データ:
表26は、シグネチャー遺伝子あたり利用可能なプローブセット数を概説する。表は、遺伝子あたりに選択可能なプローブセットの数が、遺伝子あたり1から最大21プローブセットで変わることを示す。
解析:
次の解析工程を実施した。
・訓練データマトリクス前処理(n=126サンプル)
○RMA背景補正
○分位正規化
○RMA集計
・各シグネチャー遺伝子にアノテートされた無作為プローブセットを使用する訓練サンプルのためのシグネチャースコアの作成、1000回
・サブタイプ標識に関するシグネチャースコアを使用するAUCパフォーマンスの計算
・Min(AUC)=0.9964およびMax(AUC)=1.00
・これは、全プローブセットがサブタイプ同定についてのシグネチャーとして有効であることを示す
完全性のために、シグネチャー遺伝子あたりのプローブセットの無作為選択は、>1プローブセットのシグネチャー遺伝子についてのみ適用可能である、すなわちシグネチャー遺伝子の30は遺伝子あたり1プローブセットしか有さず、従って、これらの遺伝子について、同じプローブセットが各回選択される。
実施例3 − 70遺伝子シグネチャーについての検証研究
序論
先の実施例で概説したとおり、前立腺癌サンプルの探索コホートの転写プロファイルおよび階層的クラスタリングを使用して、我々は、転移性疾患および同時の転移を有することが知られる前立腺癌とクラスター化される、原発前立腺癌の異なる分子サブグループを同定した。転移性サンプルとクラスター化される原発腫瘍サンプルのこのサブグループは、予後不良集団を表し、一方良性様原発腫瘍は、予後良好サブグループを定義する。サブグループの機能解析は、上皮間葉転換(EMT)および細胞遊走のような転移に関与することが知られる生物学的過程を同定した。このクラスターは、それ故に、‘転移様’サブグループとして同定され、この明細書の目的上‘Met様’と称される。
我々は、患者の‘Met様’サブグループを前向きに同定するための70遺伝子シグネチャーを開発した。この70遺伝子アッセイを使用して、原発腫瘍からの疾患進行の前向き評価、疾患再発および/または転移進行の可能性の決定ができる。我々は、また、先に、70遺伝子シグネチャーがまた不均一性試験において、サブグループ検出およびシグネチャースコア安定性を維持し、良好なパフォーマンスを示すことも示した。
我々はまた異なる臨床的エンドポイントを有する3つの独立したインシリコデータセットにおける70遺伝子シグネチャーを使用したこの分子サブグループの予後予測因子としての有意性も示している。Glinksyデータセット(79前立腺癌例)において、シグネチャーは、統計学的に有意なAUC=0.69[0.57−0.79]、p=0.0032で生化学的再発エンドポイントの良好な識別を示した(Glinsky et al 2004)。またErhoデータセット(545前立腺癌例)において、患者転移性再発エンドポイントを分類するシグネチャーを用いて、統計学的に有意な中程度の識別が観察された(AUC 0.612[0.569−0.653]、p<0.0001)(Erho et al 2013)。最後に、Taylorデータセットにおいて、シグネチャーは、患者の転移性再発までの期間(HR=6.32[1.98−20.20]、p<0.0001)およびHR 3.76[1.70−8.34]、p<0.0001で生化学的再発までの期間と統計学的に有意に相関した(Taylor et al 2010)。重要なことに、転移性生物学サブグループはまたグリーソンスコアのような既知予後因子と無関係に前立腺摘出手術後の疾患再発により同定される悪い転帰の予測も示している。
治癒的手術または照射後の再発が高リスクである前立腺癌患者の同定は、さらなる処置を必要としない男性への不必要な介入および副作用を避けながら、アジュバント化学療法または照射処置を受けるべき男性を同定するための重要な臨床的要求である。これに基づき、患者のこの高リスク集団の同定における我々の70遺伝子アッセイの能力およびパフォーマンスは、治癒的手術後の摘出物または治癒的放射線療法後の生検検体の臨床的前立腺サンプルの独立したコホートにおける包括的臨床的検証を必要とした。
目的
原発前立腺摘出物における前立腺予後70遺伝子アッセイのパフォーマンスをさらに評価すること。
原発局在化前立腺癌摘出の独立したコホートにおける前立腺予後70遺伝子アッセイを、治癒を意図する手術後生化学的再発および/または転移性疾患進行を発症するリスクが高い前立腺癌患者のサブグループを同定する能力について臨床的に検証すること。
摘出検体と比較した前立腺生検における前立腺予後70遺伝子アッセイのパフォーマンスを評価すること。
原発局在化前立腺癌摘出の独立したコホートにおける前立腺予後70遺伝子アッセイを照射処置後生化学的再発および/または転移性疾患進行を発症するリスクが高い前立腺癌患者のサブグループを同定する能力について臨床的に検証すること。
材料および方法
70遺伝子予後アッセイの処理および臨床的検証を、データ品質、整合性および検証目標を損なう恐れのある発現データにおける技術的または生物学的製剤交絡を避けるために、盲検式および無作為化方法で実施した。
前立腺癌腫瘍材料
この研究は、前立腺癌検体の2つの別個のコホートの遺伝子発現解析を実施した。第一検証コホートはAlmac Diagnosticsにより内部で集められ、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(62サンプル)、ウェールズ癌バンク(100サンプル)、サリー大学(41サンプル)およびオスロ大学病院(146サンプル)の4医療施設から得た349前立腺摘出FFPE組織サンプルを含んだ。このコホートは3つの重要な臨床群である非再発患者(189サンプル)、生化学的再発(PSA再発とも称する)患者(112サンプル)および転移進行患者(48サンプル)にわたるサンプルからなった。摘出データセット組み込みサンプルを、次の包含基準に基づき採取した。
臨床的TステージT1a〜T3c(診断時NXM0)
治癒を意図する根治的前立腺摘出手術を受けた
ネオアジュバントホルモンまたは治療処置を受けていない
非再発群内の患者はアジュバント処置を受けていてはならない
3〜5年の臨床フォローアップデータが入手可能
前立腺摘出コホートのデータ解析に利用した人口統計的、臨床的および病理学的変数を表27に要約する。
第二の検証コホートは、FASTMAN Research Groupの一部としてのQUBと協同して採取し、312前立腺生検FFPE組織サンプルを含んだ。このコホートは、58生化学的再発、24転移進行および18去勢耐性前立腺癌(CRPC)が組み込まれた60の処置失敗患者からなった。生検データセット組み込みサンプルを、次の包含基準に基づき採取した。
臨床的TステージT1a〜T3c(診断時NXM0)
治癒を意図した放射線療法を受けた
3〜5年の臨床フォローアップデータが入手可能
前立腺生検コホートのデータ解析に利用した人口統計的、臨床的および病理学的変数を表28に要約する。
前立腺予後アッセイの検証としてのサンプル取得およびデータセット解析のための倫理審査による承認は、East of England Research Ethics Committeeから得た(Ref:14/EE/1066)。
前立腺癌サンプルの遺伝子発現プロファイリング
サンプルプロファイリング前に、臨床的サンプルを、予め決定した因子の一覧、すなわち臨床的Tステージ、PSA、グリーソン、年齢および応答を使用して、RNA抽出バッチについて無作為化し、cDNA増幅処理バッチについて再無作為化した。医療施設因子も検証1に含んだ。試薬、設備および操作者のさらなる無作為化もサンプル処理前に実施した。
全サンプルは、中央病理判定され(E. Kay RCSI教授)、最も優勢なグリーソングレードを有する腫瘍領域に基づく巨視的解剖のために印をつけた。摘出サンプルについて、2×10μm切片を処理し、一方生検サンプルでは4×5μm切片をプロファイリングに使用した。総RNAを、Roche High Pure RNA Paraffin Kit(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)を使用して巨視的解剖したFFPE組織から抽出した。RNAを相補的デオキシリボ核酸(cDNA)に変換させ、これを続いて増幅し、WT-OvationTM FFPE RNA Amplification System V3(NuGEN Technologies Inc., San Carlos, CA, USA)のSPIA(登録商標)技術を使用して一本鎖に返還した。次いで増幅一本鎖cDNAを断片化し、FL-OvationTM cDNA Biotin Module V3(NuGEN Technologies Inc.)を使用してビオチン標識した。断片化し、標識したcDNAを次いでAlmac Prostate Cancer DSATMとハイブリダイズさせた。Almac Prostate Cancer DSATM研究ツールは貴重な保管組織バンクの使用を可能とする、FFPE組織サンプルの解析用に最適化されている。Almac Prostate Cancer DSATM研究ツールは、正常および癌性両方の前立腺組織におけるトランスクリプトームを表す革新的マイクロアレイプラットフォームである。その結果、Prostate Cancer DSATMは、一般的マイクロアレイプラットホームを使用しては入手できない、前立腺疾患および組織設定内のトランスクリプトームの包括的提示を提供する。アレイをAffymentrix Genechip(登録商標)Scanner 7G(Affymetrix Inc., Santa Clara, CA)を使用してスキャンした。
工程管理
Stratagene Universal Human Reference(UHR)サンプルおよびES−2細胞株材料を、臨床コホートのプロファイリング中の標準指標として、各処理バッチ内の工程管理として使用した。UHR対照は、マイクロアレイプロファイリング実験のための普遍的参照RNAとして使用されるよう設計される。これらの対照は、対照RNAプールを作るための等量のDNase処理細胞株RNAのプールから産生されている。ES−2細胞株は、卵巣癌を表すヒト明細胞癌細胞株であり、卵巣外科的腫瘍から確立された。ES−2細胞株は線維芽細胞形態学により特徴付けられ、接着性細胞株として培養される。細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)で修飾したマッコイ5a培地に、約24時間の倍加時間で維持された。接着性性質および速い倍加時間のため、これらの細胞は、標準細胞株対照として大きくするのに適する。約1×10 ES−2細胞をペレット化し、一夜固定し、その後ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックとして処理した。調製したES−2細胞株FFPEブロックの一つの10μm切片を、RNA抽出に使用し、その後前立腺転移アッセイ特異的処理対照として下流プロファイリングした。
データ作成およびQC
サンプル処理中のサンプルの継続的QC評価を実施した。RNAおよびcDNA濃度、すなわちRNA濃度について最小12.5ng/μlおよびcDNA濃度について最小140ng/μlのサンプルをマイクロアレイプロファイリングに進めた。
マイクロアレイデータ品質をこれらのコホートのプロファイリングを通してバッチ毎に連続的およびプロファイリングの完了後累積的に評価して、解析前に低品質サンプルを除外した。サンプルを、Robust Multi-Array(RMA)平均方法を使用して前処理した(Irizarry et al. 2003)。QC評価は、次の品質測定基準の組み合わせを含んだ。
アレイ画像解析:アレイデータを何らかの画像アーチファクトの同定のために試験した
GeneChip QC:パーセント存在(%P)、平均シグナル非存在、スケール因子、平均背景および生Q。%P<15%のサンプルは、QC不合格と判定した
主成分解析:ホテリングT2および残差Q方法を、発現レベルでのサンプル外れ値同定に使用した
強度分布解析:コルモゴロフ・スミルノフ統計値(Massey. 1951)を使用して、サンプル強度分布を試験し、外れ値を同定した
前立腺アッセイ特異的細胞株ES−2について予め決定した合格限界を、統計的方法対照(SPC)チャートを使用してモニターした。
シグネチャースコアの作成
サンプルを、70遺伝子アッセイ開発中に作成したrefRMA(Irizarry et al. 2003)前処理モデルを使用して、サンプル毎に前処理した。Ensembleバージョン75を使用して、プローブセットを対応するEntrez Gene IDにアノテートした。プローブセット発現を、中央値を使用してEntrez Gene IDレベルに集約させた(およびアンチセンスプローブセットを除外)。アッセイスコアを、部分的最小二乗モデルからの次の式を使用して計算した。
式中、wは各Entrez geneの荷重であり、xは遺伝子発現であり、bはEntrez Gene特異的バイアスであり、k=0.4365である(表29)。アッセイ・コールを、全サンプルについて所定のカットオフに基づき帰属させた。連続的シグネチャー結果>カットオフのサンプルをアッセイ陽性’、他を‘アッセイ陰性’と標識した。
一変量および多変数解析
生化学的再発(BCR)までの期間および転移性疾患までの期間を使用する時間事象(生存)解析を使用して、70遺伝子予後アッセイの予後効果を評価した。アッセイ状態(陽性または陰性)により定義した患者群の生存分布をカプラン・マイヤー(KM)生存曲線を使用して可視化する。
Cox比例ハザード回帰モデルを使用して、70遺伝子アッセイ状態および生存(BCRおよび転移性疾患)を評価した。ハザード比(HR)を使用して、アッセイ状態と生存エンドポイントの効果(関係)を定量化した。一変量(未調整)解析に加えて、多変数(調整)Coxモデルを使用して、BCRおよび転移性疾患に対するアッセイ状態(陽性または陰性)の効果を評価し、生存転帰について診断時PSA、患者年齢およびグリーソンスコアで調整した。全ての推定効果を、有意性と無関係に、アッセイおよびこれらの標準予後因子を含んだ、解析からの95%信頼区間と共に報告する。Cox比例ハザード試験および有意のレベルからの推定パラメータ解釈、適合モデルの適合度を比例ハザード仮定の履行の確認を含み、調べた(Gramsbsch & Therneau, 1994)。
多変数(調整)Coxモデルも使用して、BCRおよび転移性疾患に対するアッセイ状態(陽性または陰性)の影響を評価し、CAPRAスコアについて調整した(Cooperberg et al. 2006)。各サンプルのCAPRAスコアを、PSA、生検グリーソンスコア、臨床的Tステージ、陽性生検コアのパーセンテージおよび年齢を使用して決定した。
統計的有意性の全試験は、有意の5%レベルで2側であった。統計的解析をMedCalc version 13を使用して実施した。
結果
70遺伝子シグネチャーは、摘出検証コホートにおける‘Met様’サブグループの生化学的再発までの期間を予測する
5〜10年臨床フォローアップデータを使用して、一変量生存解析を、マイクロアレイデータQCを通過した322サンプルで実施し、手術後の摘出データセットにおける
生化学的再発までの期間の予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを評価した。カプラン・マイヤー生存曲線は、非Met様サンプル(緑色)と比較して、‘Met様’サブグループ(青色)の早い再発までの期間(月)の予測における70遺伝子シグネチャーの有意な相関を示す。これは、‘Met様’サブグループ内のサンプルが、治癒を意図する根治的前立腺摘出手術後、生化学的疾患再発を発症するリスクが高いことを示唆する(HR=1.74[1.18−2.56];p=0.0009)(図16)。データセットの多変数解析を実施して、手術時の年齢、診断時のPSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む既知臨床的予後因子と独立して、生化学的再発の予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを評価した。これらの予後因子を考慮して、前立腺予後的70遺伝子シグネチャーは、年齢、PSAおよびグリーソングレード(<7および>7の両方)と独立して、生化学的再発の予測と有意に相関した(HR 1.65[1.16−2.34];p=0.0055)(表30a)。
70遺伝子シグネチャーは摘出検証コホートにおける‘Met様’サブグループの転移性疾患進行までの期間を予測する
次に、5〜10年臨床フォローアップデータを使用して、一変量生存解析を、マイクロアレイデータQCを通過した322サンプルでも行い、手術後の摘出データセットにおける局所または遠隔部位への転移進行までの期間の予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを評価した。生化学的再発と同様に、カプラン・マイヤー生存曲線は、非Met様サンプル(緑色)と比較して‘Met様’サブグループ(青色)の転移進行予測における70遺伝子シグネチャーの有意な相関を示す。これは、‘Met様’サブグループ内の患者が、治癒を意図する根治的前立腺摘出手術後転移性疾患進行を発症するリスクが高いことを示唆する(HR=3.60[1.81−7.13];p<0.0001)(図17)。摘出データセットの多変数解析を調べ、手術時の年齢、診断時のPSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む既知臨床的予後因子と独立して、転移進行予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを評価した。‘Met様’サブグループの前立腺予後的70遺伝子シグネチャースコアは、年齢、PSAおよびグリーソングレード(<7および>7の両方)とは無関係に、転移性疾患進行との有意な相関を示し(HR 3.50[1.95−6.27];p<0.0001)、したがって、この群内の患者の進行が‘高リスク’であることが支持される(表30b)。興味深いことに、70遺伝子シグネチャーは、転移性疾患の予測について、年齢、PSAおよびグリーソン<7とは対照的に予後因子として良好なパフォーマンスを示すことが明らかである(表30b)。
70遺伝子シグネチャーは、生検検証コホートにおける‘Met様’サブグループの生化学的再発までの期間を予測する
一変量生存解析を、322サンプルの集めた5〜10年フォローアップ臨床的データを使用して実施し、治癒を意図する放射線療法後の生検データセットにおける生化学的再発までの期間の予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを評価した。カプラン・マイヤー生存曲線は、非Met様サンプル(緑色)と比較して、‘Met様’サブグループ(青色)の早い再発までの期間(月)の予測における70遺伝子シグネチャーの有意な相関を示す。摘出データセットと同様、これは、‘Met様’サブグループ内の患者が、治癒を意図する根治的放射線療法後、生化学的疾患再発を発症するリスクが高いことを示唆する(HR=2.18[1.14−4.17];p=0.0042)(図18)。次いで、データセットの多変数解析を実施して、診断時の年齢、診断時のPSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む他の一般的に使用される予後因子と独立して、生化学的再発予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを評価した。‘Met様’群の前立腺予後的70遺伝子シグネチャーは、年齢、PSAおよびグリーソングレード(<7および>7の両方)と独立して、生化学的再発の予測と有意に相関し(HR 1.96[1.11−3.48];p=0.0220)、このサブグループ内の患者が生化学的再発を発症するリスクが高いことを示唆する(表31a)。注目すべきは、このデータは、共変数解析内の他の変数が‘Met様’サブグループにおける高い疾患再発のリスクの同定と有意に相関しないことを示唆する(表31a)。
70遺伝子シグネチャーは、生検検証コホートにおける‘Met様’サブグループの転移性疾患進行までの期間を予測する
これに続いて、一変量生存解析をまた248のQC通過サンプルでも実施し、手術後の生検データセットにおける、局所または遠隔部位何れかの転移進行までの期間の予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを決定した。生化学的再発と同様、カプラン・マイヤー生存曲線は、非Met様サンプル(緑色)と比較して、‘Met様’サブグループ(青色)の転移進行の予測における70遺伝子シグネチャーの有意性を示す。これは、‘Met様’サブグループ内の患者が治癒を意図する根治的放射線療法処置後、転移性疾患進行を発症するリスクが高いことを示唆する(HR=3.50[1.28−9.56];p=0.0017)(図19)。生検データセットの多変数解析を実施して、さらに診断時の年齢、診断時のPSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む他の既知臨床的予後因子と独立して、転移進行の予測における70遺伝子シグネチャーのパフォーマンスを評価した。前立腺予後的70遺伝子シグネチャーは、年齢、PSAおよびグリーソングレード(<7および>7の両方)と独立して、転移性疾患進行の予測と有意に相関することを示した(HR 2.66[1.10−6.40];p<0.0304)(表31b)。生検コホートにおける生化学的再発の評価と同様に、このデータは、共変数解析内の他の変数が、‘Met様’サブグループにおける高い疾患再発のリスクの同定と有意に相関しないことを示唆する(表31b)。
纏めると、摘出および生検コホート両方のデータは、最初の処置から3〜5年以内により高悪性度高リスクの疾患を発症するリスクが高い可能性がある前立腺癌患者を早期検出から同定するための患者層別因子として実行され得る前立腺癌分野における予後アッセイとして70遺伝子シグネチャーを支持する。
CAPRAスコアリングシステムと比較した生化学的および転移性再発における予後ツールとしての70遺伝子シグネチャーのパフォーマンス
前立腺癌用のCAPRAおよびCAPRA−Sスコアリングシステムは、術前生検材料(CAPRA)および術後摘出材料(CAPRA−S)を使用する、疾患再発リスク予測のために開発されている多変数予後ツールである。スコアリングシステムは、リスクレベルの範囲に基づき転帰を提供でき、PSAレベル、患者年齢、グリーソングレードおよび臨床的Tステージを考慮した得点システムにより計算され、それにより累積得点が高いほど、疾患再発のリスクが高い(Cooperberg et al 2005)。術後にリスクの評価および予測に使用されるCAPRA−Sも、精嚢侵襲(SVI)、節外拡大(ECE)、リンパ節侵襲(LNI)および切除縁を含む付加的臨床的因子の採点を含む。生検材料についてCAPRAスコアリングシステムに利用される唯一の付加的因子は、陽性スコア%>または<34%である。まず、我々は、CAPRA−Sスコアリングシステムと比較した新規70遺伝子シグネチャーの予後パフォーマンスを検討した。多変数解析において、CAPRA−S採点のみが生化学的再発と有意に相関したが(HR=1.36[1.28−1.45]、p<0.0001)、転移アッセイおよびCAPRA−S採点両方が転移性疾患の発症と有意に相関した(HR 2.53[1.40−4.60];p=0.0024およびHR=1.43[1.28−1.61]、p<0.0001(表32aおよび32b)。これらのデータは、転移シグネチャーがCAPRA−Sスコアリングシステムにさらなる情報を提供することを示す。
最後に、我々は、CAPRAスコアリングシステムと比較した我々の70遺伝子シグネチャーの予後パフォーマンスも調べた。70遺伝子シグネチャーのみが、予後転帰と有意に相関し、生検データセットにおける生化学的再発発症の機会が高いとして高リスク‘Met様’サブグループを同定し(HR 2.05[1.18−3.59];p=0.0119)、一方CAPRAスコアは、予後アッセイと独立して有意性を示さなかった(表33a)。同様に、生検検証コホートにおいて、70遺伝子シグネチャーのみが予後転帰と有意に相関し、高リスク‘Met様’サブグループを転移性疾患進行の発症の機会が高いと同定した(HR 3.39[1.44−7.97];p=0.0054)(表33b)。合わせて、70遺伝子シグネチャーとCAPRAスコアリングシステムの比較は、生検材料における良好なパフォーマンスを示し、前立腺癌の分野内での予後アッセイとしての70遺伝子シグネチャーの使用のさらなる証拠を提供する。
考察
原発局在化前立腺癌の約35%が、手術または外照射療法のような根治的処置にも関わらずより高悪性度および再発性疾患状態に進行するが、一方、原発癌の大多数は、臨床的に著しい疾患に進行しない。このことを念頭において、この分野内での大きな臨床的問題は、最終的にどの患者がさらなるおよびより強い処置レジメンを必要とする可能性があり、どの患者が、必要でないならば、毒性であり、耐容性が低い治療を避けることができるかを決定できるであろう、患者層別化を可能にするために、これらの患者サブグループを容易に識別するにはどうするかよいかである。層別化のための可能性のある取り組みは、単一予後因子の組み合わせとそれらの相関の両方あるいはDNA−マイクロアレイプロファイリングからの遺伝子発現プロファイルに基づく、複合予後因子の開発であると考えられている(Buhmeida et al 2006)。
この取り組みを利用して、Almac Diagnosticsは、生化学的または転移性再発のより高悪性度の疾患を発症するリスクが高い高リスク前立腺癌集団の同定を促進する有望な予後アッセイとして、70遺伝子シグネチャーを開発し、検証した。本明細書内のデータは、摘出および生検両方の材料における前立腺予後アッセイのパフォーマンスを強く支持する。原発前立腺摘出および生検の2つの独立した臨床的検証コホートにおいて、70遺伝子シグネチャーは、‘Met様’生物学内にあり、生化学的疾患再発または3〜5年のフォローアップ内の転移性疾患のリスクが高い患者サブグループを正確に同定できる。‘Met様’生物学を有する患者のサブグループは、術後にアジュバントホルモン療法、放射線療法またはタキサン類での処置のようなさらなる処置を受けるべき集団であると考えられる。これとは反対に、非Met様サブグループ内と同定された患者は、さらなる処置を免れ、標準臨床的フォローアップを介してモニターすべきである。この予後アッセイは、二つの明らかな臨床的有用性を有することが示される。
摘出材料からの、治癒を意図する根治的前立腺摘出手術後、高リスク疾患(生化学的再発または転移進行)に進行し得る定義した前立腺癌コホートのサブセットの予測。
生検材料からの、治癒を意図する根治的前立腺摘出手術後、高リスク疾患(生化学的再発または転移進行)に進行し得る定義した前立腺癌コホートのサブセットの予測。
表の解説
表28 − 内部摘出コホートの解析について考慮した人口統計的、臨床的および病理学的変数の要約。表は、患者総数、手術時の年齢の中央値および範囲(歳)、再発までの期間(月)、術前PSAレベル(ng/ml)および4医療施設の各々からの、各再発サブグループ内で、代表的グリーソングレードの各々と相関する、各病理学的Tステージサブグループ内で、リンパ節侵襲(LNI)、精嚢侵襲(SVI)、節外拡大(ECE)および陰性、汎発性または限局性切除縁を有する患者と相関する患者数(%)を概説する。
表29 − FASTMAN生検コホートの解析について考慮した人口統計的、臨床的および病理学的変数の要約。表は、患者総数、診断時の年齢の中央値および範囲(歳)、再発までの期間(月)、診断時のPSAレベル(ng/ml)および、各再発サブグループ内でおよび各病理学的Tステージサブグループ内で、代表的グリーソングレードの各々と相関する患者数(%)を概説する。
表30 − 70遺伝子シグネチャーの遺伝子、重み付けおよびバイアス。
表31 − A)手術時の年齢、PSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む他の予後臨床的因子と独立したアッセイパフォーマンスを証明する、生化学的再発についての内部摘出コホートにおける70遺伝子シグネチャーの多変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。B)手術時の年齢、PSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む他の予後臨床的因子と独立したアッセイパフォーマンスを証明する、転移性疾患進行についての内部摘出コホートにおける70遺伝子シグネチャーの多変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。
表32 − A)診断時の年齢、PSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む他の予後臨床的因子と独立したアッセイパフォーマンスを証明する生化学的再発についてのFASTMAN生検コホートにおける70遺伝子シグネチャーの多変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。B)診断時の年齢、PSAレベルおよび複合グリーソンスコアを含む他の予後臨床的因子と独立したアッセイパフォーマンスを証明する、転移性疾患進行についてのFASTMAN生検コホートにおける70遺伝子シグネチャーの多変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。
表33 − A)別の予後採点アッセイに対するアッセイパフォーマンスを証明する、生化学的再発についての内部摘出コホート内のCAPRA−Sスコアリングシステムと比較した70遺伝子シグネチャーの共変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を、各比較について表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。B)別の予後採点アッセイに対するアッセイパフォーマンスを証明する、転移性疾患進行についての内部摘出コホート内のCAPRA−Sスコアリングシステムと比較した70遺伝子シグネチャーの共変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を、各比較について表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。
表34 − A)別の予後採点アッセイに対するアッセイパフォーマンスを証明する、生化学的再発についてのFASTMAN生検コホート内のCAPRAスコアリングシステムと比較した70遺伝子シグネチャーの共変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を、各比較について表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。B)別の予後採点アッセイに対するアッセイパフォーマンスを証明する、転移性疾患進行についてのFASTMAN生検コホート内のCAPRAスコアリングシステムと比較した70遺伝子シグネチャーの共変数解析。P値、ハザード比(HR)およびHRの95%信頼区間(CI)を、各比較について表内に概説する。赤色で強調しているP値は統計的有意を示す。
表31:a)生化学的再発およびb)転移進行についての内部摘出コホートにおける70遺伝子シグネチャーの多変数解析
a)生化学的再発
b)転移性疾患
表32:a)生化学的再発およびb)転移進行についてのFASTMAN生検コホートにおける70遺伝子シグネチャーの多変数解析。
a)生化学的再発
b)転移性疾患
表33:a)生化学的再発およびb)転移進行についての内部摘出コホートにおけるCAPRAスコアリングシステムに対する70遺伝子シグネチャーの解析および比較。
a)生化学的再発
b)転移性疾患
表34:a)生化学的再発およびb)転移進行についてFASTMAN生検コホートにおけるCAPRAスコアリングシステムに対する70遺伝子シグネチャーの解析および比較。
a)生化学的再発
b)転移性疾患
実施例4 − コアおよび最小遺伝子解析
サンプル:
・内部訓練サンプル(探索コホート):このサンプルセットは、Almac Prostate DSATMマイクロアレイにプロファイルした126のFFPE前立腺摘出FFPE組織サンプルからなった。
・FASTMAN Biopsy Validationコホート:このサンプルセットは、Movember Programme下FASTMAN Research Groupと協同して採取した248前立腺生検FFPE組織サンプルからなった。
・Internal Resection Validationコホート:このサンプルセットは、Almac Diagnosticsにより内部的に採取した322前立腺摘出FFPE組織サンプルからなった。サンプルは、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(61サンプル)、ウェールズ癌バンク(85サンプル)、サリー大学(34サンプル)およびオスロ大学病院(142サンプル)の4医療施設から得た。
方法:
コア遺伝子解析
シグネチャーのコア遺伝子セットを評価する目的は、シグネチャーから除いたときのパフォーマンスに対する影響に基づき、Entrez Geneのランキングを決定することである。
この解析は、元の70シグネチャーEntrez Geneセットからの10シグネチャーEntrez Geneの10,000無作為サンプリングを含んだ。各相互作用として、10の無作為に選択したシグネチャーEntrez Geneを除き、残った65遺伝子のパフォーマンスを、これら10個のEntrez Geneを次の2データセットにおいて除いたときのHR(ハザード比)パフォーマンスに対する影響を決定するためのエンドポイントを使用して評価した。
・FASTMAN Biopsy Validationコホート − 248サンプル
・Internal Resection Validationコホート − 322サンプル
FASTMAN生検検証を生化学的再発(BCR)エンドポイントを使用して評価し、内部摘出検証を転移性再発(MET)エンドポイントを使用して評価した。2データセットの各々の中で、シグネチャーEntrez Geneの包含または除外に基づくHRパフォーマンス(デルタHR)における変化に基づき荷重した。Entrez Geneランク付け‘1’は、除去したときパフォーマンスに最大の負の影響を有し、ランク付け‘70’は、除去したときパフォーマンスに最小の影響を有する。
最小遺伝子解析
Entrez Geneの最小数評価の目的は、有意なパフォーマンスが、元のシグネチャーの小さなサブセット内で達成できるかどうかの決定である。
この解析は、1個のEntrez gene/特性から開始して、最大30個のEntrez Gene/特性で70シグネチャーEntrez Geneの10,000無作為サンプリングを含んだ。各無作為に選択した特性長について、シグネチャーを導かれるCVおよびモデルパラメータ下のPLSマシン学習方法を使用して再開発した。各特性長で、全ての無作為に選択したシグネチャーを適用して、次の2データセットについてシグネチャースコアを計算した。
・FASTMAN Biopsy Validationコホート − 248サンプル
・Internal Resection Validationコホート − 322サンプル
連続的シグネチャースコアを、HR効果を決定するための転帰で評価し、FASTMAN生検検証をBCRで評価し、内部摘出検証をMETで評価した。各特性長での全無作為シグネチャーのHRを要約および作図し、CVにわたるパフォーマンスを可視化した。
結果
コア遺伝子解析
2データセットの70遺伝子シグネチャーにおけるコア遺伝子解析の結果をこのセクションに提供する。
・FASTMAN生検検証:70シグネチャーEntrez Geneについてこのデータセットで測定したデルタHRパフォーマンスを図20に示す。この図は、このデータセット内で良好なHRパフォーマンスの維持において最も重要である、シグネチャーにおける上位10位にランク付けされたEntrez Geneを強調する。このランキングはまた下記表35に見ることができる。
・内部摘出検証:70シグネチャーEntrez Geneについてこのデータセットで測定したデルタHRパフォーマンスを図2に示す。この図は、このデータセット内で良好なHRパフォーマンスの維持において最も重要である、シグネチャーにおける上位10位にランク付けされたEntrez Geneを強調する。このランキングはまた下記表36に見ることができる。
・これら2データセットにわたるデルタHRを評価して、シグネチャーEntrez Geneの各々について複合Entrez Geneランキングを得た。これを下記表37に要約する。
複合コアセット解析に基づきシグネチャーEntrez Geneに帰属されたランクを下記表38に要約する。
最小遺伝子解析
2データセットにおける70遺伝子シグネチャーの最小遺伝子解析の結果をこのセクションに提供する。
・FASTMAN生検検証:このデータセットにおいて、特性長1〜30のシグネチャーEntrez Geneの無作為サンプリングを使用して測定した平均HRパフォーマンスを図22に示す。この図は、有意なHRパフォーマンス(すなわちHR>1の低いCI)を維持するために、最小12のシグネチャーEntrez Geneを選択しなければならないことを示す。
・内部摘出検証:このデータセットにおいて、特性長1〜30のシグネチャーEntrez Geneの無作為サンプリングを使用して測定した平均HRパフォーマンスを図23に示す。この図は、有意なHRパフォーマンス(すなわちHR>1の低いCI)を維持するために、最小7のシグネチャーEntrez Geneを選択しなければならないことを示す。
本発明は、ここに記載する特定の実施態様により範囲が限定されるものではない。事実、ここに記載するものに加えて、本発明の種々の修飾が上の記載および添付する図面から当業者には明らかとなる。このような修飾は、添付する特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。さらに、ここに記載する全ての実施態様は、適当であるならば、より広く適用でき、任意かつ全ての他の矛盾のない実施態様と組み合わせ可能であると考えられる。
種々の刊行物がここに引用されており、その開示は、その全体を引用により本明細書に包含させる。

Claims (53)

  1. 対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断の方法であって、
    対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用する
    ことを含む、方法。
  2. 対象における転移能が高い癌を診断する方法であって、
    対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを、対象が転移能が高い癌を有するか否かを同定するために使用する
    ことを含む、方法。
  3. 対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断の方法であって、
    対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルを再発および/または転移の可能性が高い細胞の存在または非存在を同定するために決定し、ここで、該細胞の存在または非存在を、癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用する
    ことを含む、方法。
  4. 対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断の方法であって、
    a)対象からのサンプルにおいて
    b)表1から選択した少なくとも1、好ましくは12遺伝子または完全配列または標的配列のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸プローブを対象からのサンプルに適用し、
    c)核酸プローブ−遺伝子複合体を検出する検出剤を適用し、
    d)検出剤を少なくとも1、好ましくは12遺伝子のレベルの決定に使用し、
    e)ここで、少なくとも1、好ましくは12遺伝子の該決定されたレベルを、癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用する
    ことを含む、方法。
  5. 対象における癌を特徴付けおよび/または予後診断する方法であって、
    a)対象からのサンプルにおいて
    b)表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子または全配列または標的配列のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸プローブを対象からのサンプルに適用し、
    c)核酸プライマーのセットを使用してヌクレオチド配列を増幅し
    d)少なくとも1、好ましくは12遺伝子のレベルを決定するために特異的検出剤を使用して増幅生成物を検出し、
    d)ここで、少なくとも1、好ましくは12遺伝子の該決定されたレベルを、癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用する
    ことを含む、方法。
  6. 対象における癌の処置を選択する方法であって、
    (a)対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを癌の特徴付けおよび/または予後診断の提供のために使用し、そして
    (b)癌の特徴付けおよび/または予後診断に対して適する処置を選択する
    ことを含む、方法。
  7. 対象における癌の処置を選択する方法であって、
    (a)対象からのサンプルにおける表1からの少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルを決定し、ここで、該決定された発現レベルを癌の特徴付けおよび/または予後診断を提供するために使用し、
    (b)癌の特徴付けおよび/または予後診断に適する処置を選択し、そして
    (c)対象を選択した処置法で処置する
    ことを含む、方法。
  8. 癌の特徴付けおよび/または予後診断が高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性であるならば、選択される処置が
    a)抗ホルモン処置、好ましくはビカルタミドおよび/またはアビラテロン
    b)細胞毒性剤
    c)生物学的製剤、好ましくは抗体および/またはワクチン、より好ましくはシプロイセルT
    d)放射線療法、所望により拡大放射線療法、好ましくは広範囲放射線療法
    e)標的療法
    f)手術
    の1以上である、請求項6または7に記載の方法。
  9. 癌の特徴付けおよび/または予後診断が高くない再発および/または転移および/または予後不良の可能性であれば、処置またはさらなる処置を選択/適用しない、請求項6〜8の何れかに記載の方法。
  10. 癌を、その後の処置またはさらなる処置が必要であるか否かについてモニターする、請求項9に記載の方法。
  11. 表1から選択される少なくとも2以上の遺伝子から最大全70遺伝子の発現レベルを決定することを含み、所望によりここで、少なくとも2遺伝子がMT1AおよびPCP4を含むかまたは表2〜24の何れか一つに挙げられている遺伝子の発現レベルが決定される、請求項1〜10の何れかに記載の方法。
  12. さらに対象におけるPSAレベルおよび/またはグリーソンスコアの決定を含み、決定したPSAレベルおよび/またはグリーソンスコアを決定した発現レベルと組み合わせて使用して、癌の特徴付けおよび/または予後診断(癌が転移の可能性を増大させたかどうかの診断を含む)を提供する、請求項1〜11の何れかに記載の方法。
  13. 癌が前立腺癌またはER陽性乳癌であるか、またはそれを含む、請求項1〜12の何れかに記載の方法。
  14. 発現レベルの決定が
    (a)表1から選択される完全配列または標的配列の少なくとも一つとハイブリダイズするプライマー(プライマー対)および/またはプローブ;および/または
    (b)表1/1Aからの少なくとも1プローブおよび/またはプローブセット;および/または
    (c)表1Bからのおよび/または配列番号3151〜3154の少なくとも1プライマーおよび/またはプライマー対
    を用いる、請求項1〜13の何れかに記載の方法。
  15. 癌の特徴付けおよび/または予後診断または癌の診断が、高い再発の可能性の予測および/または高い転移の可能性の予測を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる、請求項1〜14の何れかに記載の方法。
  16. 癌の特徴付けおよび/または予後診断または癌の診断が、癌が予後不良であるか否かの決定を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる、請求項1〜15の何れかに記載の方法。
  17. 発現レベルと参照値または1以上の対照サンプルにおける発現レベルとの比較を含む、請求項1〜16の何れかに記載の方法。
  18. 発現レベルと1以上の対照サンプルにおける同じ遺伝子の発現レベルとを比較する、請求項1〜17の何れかに記載の方法。
  19. 発現レベルをマイクロアレイ、ノーザンブロッティング、RNA−seq(RNA配列決定)、インサイチュRNA検出または核酸増幅により決定する、請求項1〜18の何れかに記載の方法。
  20. さらに総RNAをサンプルから抽出することを含むおよび/またはさらに対象からのサンプルを得ることを含む、請求項1〜19の何れかに記載の方法。
  21. シグネチャースコアを、測定された発現レベルから、所望により式
    〔ここで、wは各遺伝子の荷重であり、bは遺伝子特異的バイアスであり、geは前処理後の遺伝子発現であり、そしてkは一定のオフセットである〕
    に従って誘導する、請求項1〜20の何れかに記載の方法。
  22. サンプルが前立腺細胞および/または組織または乳房細胞および/または組織を含む、本質的にそれらからなるまたはそれらからなる、請求項1〜21の何れかに記載の方法。
  23. サンプルがホルマリン固定パラフィン包埋生検サンプルまたは摘出サンプルを含む、本質的にそれらからなるまたはそれらからなる、請求項1〜22の何れかに記載の方法。
  24. 正の荷重を有する表1から選択した少なくとも1遺伝子の高い発現レベルが高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性を示す、請求項1〜23の何れかに記載の方法。
  25. 負の荷重を有する表1から選択した少なくとも1遺伝子の低い発現レベルが高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性を示す、請求項1〜24の何れかに記載の方法。
  26. シグネチャー閾値を越えるスコアが高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性を示す、請求項21またはその従属項の何れかに記載の方法。
  27. 閾値以上のシグネチャースコアが高い再発および/または転移および/または予後不良の可能性を示す、請求項21またはその従属項の何れかに記載の方法。
  28. シグネチャースコアを、表1〜24のシグネチャーから選択したシグネチャーにおける測定した遺伝子の発現レベルについて計算する、請求項21またはその従属項の何れかに記載の方法。
  29. 対象に化学療法剤または放射線療法、所望により拡大放射線療法、好ましくは広範囲放射線療法を適用するかまたは対象に手術を実施することを含む、癌を処置する方法であって、対象が請求項6〜8またはその従属項の何れかに記載の方法に基づき処置について選択される、方法。
  30. 対象における癌の処置に使用するための化学療法剤であって、
    ここで、対象が請求項6〜8またはその従属項の何れかに記載の方法に基づく処置について選択される、化学療法剤。
  31. 請求項29に記載の方法または請求項30の使用のための化学療法剤であって、
    ここで、化学療法剤が
    a)抗ホルモン処置、好ましくはビカルタミドおよび/またはアビラテロン
    b)細胞毒性剤
    c)生物学的製剤、好ましくは抗体および/またはワクチン、より好ましくはシプロイセルTおよび/または
    d)標的化治療剤
    を含む、本質的にそれらからなるまたはそれらからなる、方法または化学療法剤。
  32. 細胞毒性剤が白金ベースの薬剤および/またはタキサンである、請求項8または29またはその従属項の何れかまたは31に記載の方法。
  33. 白金ベースの薬剤がシスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される、請求項32に記載の方法。
  34. タキサンがパクリタキセルまたはドセタキセルである、請求項32に記載の方法。
  35. 請求項1〜34の何れかに記載の方法を実施するための、システム、デバイスまたは試験キット。
  36. 対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのシステム、デバイスまたは試験キットであって、
    a)対象からのサンプルにおいて表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルを決定するための1以上の試験デバイス、
    b)プロセッサー;および
    c)コンピューターアプリケーションを含む記憶媒体であって、プロセッサーにより実行されたとき、
    (i)1以上の試験デバイスにおけるサンプル中の表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子の決定された発現レベルにアクセスするおよび/またはそれを計算する
    (ii)サンプル中の表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子のレベルに上昇または減少があるか計算する;および
    (iii)プロセッサーから癌の特徴付けをアウトプットする
    ように設定されているもの
    を含む、システム、デバイスまたは試験キット。
  37. 癌が前立腺癌またはER陽性乳癌であるかまたはそれらを含むかまたはそのいずれかである、請求項36に記載のシステム、デバイスまたは試験キット。
  38. 請求項1〜34の何れかに記載の方法の実施に適応される、請求項36または37に記載のシステム、デバイスまたは試験キット。
  39. さらにプロセッサーからのアウトプットのためのディスプレイを含む、請求項36〜38の何れかに記載のシステム、デバイスまたは試験キット。
  40. 請求項36〜39の何れかに定義した、コンピューターアプリケーションまたはコンピューターアプリケーションを含む記憶媒体。
  41. 対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのコンピュータープログラム製品であって、コンピューターに
    (i)1以上の試験デバイス上のサンプルにおける表1から選択された少なくとも1、好ましくは12遺伝子の決定された発現レベルにアクセスするおよび/またはそれを計算する;
    (ii)サンプルにおける表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子のレベルに上昇または減少があるか計算する;および
    (iii)癌の特徴付けおよび/または予後診断に関するアウトプットを提供する
    ことをさせる、組み込まれたコンピューター読取可能プログラム指示を有する、非一過性コンピューター読取可能記憶デバイス。
  42. 癌が前立腺癌またはER陽性乳癌であるかまたはそれを含む、請求項41に記載のコンピュータープログラム製品。
  43. 表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子のRNA生成物と特異的にハイブリダイズするまたは表1からの完全配列または標的配列と特異的にハイブリダイズする1または好ましくは12以上のオリゴヌクレオチドプローブを含み、さらに次の成分a)遮断プローブ
    b)プレアンプリファイヤー
    c)アンプリファイヤーおよび/または
    d)標識分子
    の1以上を含む、対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのキット。
  44. 癌が前立腺癌またはER陽性乳癌であるかまたはそれを含む、請求項43に記載のキット。
  45. 表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子の発現レベルに定義するヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるプローブおよび/またはプローブセットを含む、請求項43または44に記載のキット。
  46. 表1から選択される少なくとも1遺伝子、完全配列または標的配列と特異的にハイブリダイズする1、好ましくは12以上のプローブおよび/またはプローブセットを含む、対象における癌の特徴付けおよび/または予後診断のためのキット。
  47. 表1から選択されるヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるプローブおよび/またはプローブセットを含む、請求項46に記載のキット。
  48. 表1から選択されるヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる、プローブおよび/またはプローブセット。
  49. 表1〜24におけるシグネチャーから選択されるシグネチャーからの各遺伝子とハイブリダイズする少なくとも1プローブおよび/またはプローブセットを含む、請求項46または47に記載のキットまたは請求項48に記載のプローブおよび/またはプローブセット。
  50. 表1から選択される少なくとも1、好ましくは12遺伝子、完全配列または標的配列を増幅するための1または好ましくは12以上のプライマーおよび/またはプライマー対を含む、対象における特徴付けおよび/または予後診断癌のためのキット。
  51. 表1Bに定義するおよび/または配列番号3151〜3154のヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるプライマーおよび/またはプライマー対を含む、請求項50に記載のキット。
  52. 表1Bに定義するヌクレオチド配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる、プライマーおよび/またはプライマー対。
  53. 表1〜24におけるシグネチャーから選択されるシグネチャーからの各遺伝子とハイブリダイズする少なくとも1プライマーおよび/またはプライマー対を含む、請求項50または51に記載のキットまたは請求項52に記載のプライマーおよび/またはプライマー対。
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