JP2005506033A - 前立腺癌の診断法、前立腺癌モジュレータースクリーニングの組成物及び方法 - Google Patents

前立腺癌の診断法、前立腺癌モジュレータースクリーニングの組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本明細書において、その発現が前立腺癌において上方制御又は下方制御される遺伝子が説明されている。更に、その発現が薬物耐性前立腺癌細胞において上方制御又は下方制御される遺伝子が説明されている。前立腺癌の診断及び処置に使用することができる関連のある方法及び組成物が明らかにされている。更に本明細書において、前立腺癌のモジュレーターを同定するために使用することのできる方法が説明されている。

Description

【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、下記出願からの優先権を主張するものである:2000年10月13日に出願された米国特許出願第09/687,576号;2001年3月16日に出願された米国特許出願第60/276,791号;2001年5月4日に出願された米国特許出願第60/288,589号;2000年12月8日に出願された米国特許出願第09/733,742号;2000年12月8日に出願された米国特許出願第09/733,288号;2001年4月30日に出願された米国特許出願第09/847,046号;2001年3月16日に出願された米国特許出願第60/276,888号;2001年4月24日に出願された米国特許出願第60/286,214号;2001年4月6日に出願された米国特許出願第60/281,922号;2001年1月24日に出願された米国特許出願第60/263,957号、これらはその全体が本明細書に参照として組入れられている。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、前立腺癌に関連している核酸及びタンパク質の発現プロフィールの同定並びに核酸、産物及びそれへの抗体の同定;並びに、前立腺癌の診断、予後判定及び治療におけるこのような発現プロフィール及び組成物の使用に関する。本発明は更に、前立腺癌を阻害する物質及び/又は標的を同定及び使用する方法に関する。
【0003】
発明の背景
前立腺癌は、米国において、最も一般的に診断が下される内科的悪性疾患であり、男性の癌死因の第二位であり、結果的に毎年およそ40,000名が死亡し(Landisら、CA Cancer J. Clin.、48:6−29(1998);Greenleeら、CA Cancer J. Clin.、50(1):7−13(2000))、前立腺癌の罹患率は、世界中の多くの地域において過去20年間にわたり急激に上昇しつつある(Nakataら、Int. J. Urol.、7(7):254−257(2000);Majeedら、BJU Int.、85(9):1058−1062(2000))。これは正常な前立腺細胞の病的悪性転換の結果発症する。腫瘍発生に関して、この癌細胞は、イニシエーション、増殖、接触阻止の喪失を受け、周辺組織への浸潤が最高度に達し、究極的には転移する。
【0004】
前立腺癌による死亡は、前立腺腫瘍の転移の結果である。従って前立腺癌発生の早期検出は、本疾患による死亡率の低下において重要である。前立腺特異抗原(PSA)レベルの測定は、早期検出及びスクリーニングにとって非常に一般的な方法であり、近年の前立腺癌死亡率のわずかな低下に寄与しているであろう(Nowrooziら、Cancer Control、5(6):522−531(1998))。しかし多くの症例は、本疾患が進行した病期に進むまで診断されていない。
【0005】
手術(前立腺摘出)、放射線療法、及び化学療法のような治療は、癌が前立腺に限られている場合には治癒できる可能性がある。従って、前立腺癌を早期検出することは、治療のための陽性診断にとって重要である。転移性前立腺癌の全身治療は、ホルモン療法及び化学療法に限られている。化学的又は外科的去勢は、50歳を過ぎた場合の症候性転移性前立腺癌の第一の治療である。この精巣アンドロゲン枯渇療法は、通常本疾患の安定化又は退縮を生じる(患者の80%)が、転移性前立腺癌への進展が最終的にはもたらす(Panvichianら、Cancer Control、3(6):493−500(1996))。転移性疾患は現在不治と考えられ、治療の主要目的は延命と生活の質の改善である(Rago、Cancer Control、5(6):513−521(1998))。
【0006】
従って、特に転移性前立腺癌を含む、前立腺癌の診断及び予後判定並びに前立腺癌の効果的治療に使用することができる方法が望まれている。従って、本明細書において前立腺癌の診断及び予後判定に使用することができる方法が提供される。更に前立腺癌を変調する(modulate)、例えば前立腺癌を治療する能力に関する候補生体活性物質のスクリーニングに使用することができる方法が提供される。加えて、本明細書において前立腺癌及び他の癌の治療的介入の分子標的及び組成物が提供される。
【0007】
発明の概要
従って本発明は、前立腺癌細胞において上方制御及び下方制御される遺伝子のヌクレオチド配列を提供する。このような遺伝子は、診断目的に、更にはホルモン又は抗体のような、前立腺癌を変調する治療用化合物のスクリーニングの標的としても有用である。本発明の別の局面は、以下の本発明の説明により当業者に明らかとなると思われる。
【0008】
ひとつの局面において、本発明は、患者からの細胞において前立腺癌に関連した転写物を検出する方法を提供し、この方法は、患者からの生物学的試料を、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触させる段階を含む。
【0009】
ある態様において、本発明は、患者の細胞において前立腺癌に関連した転写物のレベルを検出する方法を提供する。
【0010】
ある態様において、本発明は、患者の細胞において前立腺癌に関連した転写物を検出する方法を提供し、この方法は、患者からの生物学的試料を、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触させる段階を含む。
【0011】
ある態様において、このポリヌクレオチドは、表1〜16で示す配列と少なくとも95%同一の配列に選択的にハイブリダイズする。別の態様において、このポリヌクレオチドは、表1〜16に示す配列を含む。
【0012】
ある態様において、生物学的試料は組織試料である。別の態様において、生物学的試料は、単離された核酸、例えばmRNAを含む。
【0013】
ある態様において、ポリヌクレオチドは、例えば蛍光標識により標識される。
【0014】
ある態様において、ポリヌクレオチドは、固体表面に固定される。
【0015】
ある態様において、患者は、前立腺癌を治療するために治療的投薬管理を受けている。別の態様において、患者は、転移性前立腺癌を有する疑いがある。
【0016】
ある態様において、患者はヒトである。
【0017】
ある態様において、患者は、タキソール抵抗性癌を有する疑いがある。
【0018】
ある態様において、前立腺癌に関連した転写物はmRNAである。
【0019】
ある態様において、方法は更に、生物学的試料を、ポリヌクレオチドと接触させる段階の前に核酸を増幅する段階を含む。
【0020】
別の局面において、本発明は、前立腺癌の治療的処置の効力をモニタリングする方法を提供し、この方法は、(i)治療的処置を受けている患者から生物学的試料を調達する段階;及び、(ii)生物学的試料を、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触することにより、生物学的試料における前立腺癌に関連した転写物のレベルを決定し、これにより療法の効力をモニタリングする段階を含む。更なる態様において、患者は、転移性前立腺癌を有する。更なる態様において、患者は前立腺癌の薬物耐性(例えば、タキソール抵抗性)型を有する。
【0021】
ある態様において、方法は更に、(iii)前立腺癌に関連した転写物のレベルを、治療的処置の前の患者又は初期の患者からの生物学的試料における前立腺癌に関連した転写物のレベルと比較する段階を含む。
【0022】
加えて、薬物を患者へ投与し及び患者から細胞試料を採取する段階を含む、候補前立腺癌の薬物の作用を評価する方法が提供される。その後細胞の発現プロフィールが決定される。この方法は更に、この発現プロフィールを、健常個体の発現プロフィールと比較する段階を含む。 好ましい態様において、発現プロフィールは、表1〜16の遺伝子を含む。
【0023】
ある局面において、本発明は、表1〜16に示すポリヌクレオチド配列からなる単離された核酸分子を提供する。
【0024】
ある態様において、発現ベクター又は細胞は、単離された核酸を含む。
【0025】
ある局面において、本発明は、表1〜16に示すポリヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる単離されたポリペプチドを提供する。
【0026】
別の局面において、本発明は、表1〜16に示すポリヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる単離されたポリペプチドと特異的に結合する抗体を提供する。
【0027】
ある態様において、抗体は、例えば蛍光標識、放射性同位元素又は細胞傷害性化学物質のような、エフェクター成分と複合されている。
【0028】
ある態様において、抗体は、抗体断片である。別の態様において、抗体はヒト化されている。
【0029】
ひとつの局面において、本発明は、患者からの生物学的試料中の前立腺癌細胞を検出する方法を提供し、この方法は、生物学的試料を本明細書に説明されるように抗体と接触することを含む。
【0030】
別の局面において、本発明は、患者の前立腺癌に特異的な抗体を検出する方法を提供し、この方法は、患者からの生物学的試料を、表1〜16からの配列を含む核酸によりコードされるポリペプチドと接触させる段階を含む。
【0031】
別の局面において、本発明は、前立腺癌に関連したポリペプチドを変調する化合物を同定する方法を提供し、この方法は、(i)化合物を、前立腺癌に関連したポリペプチドと接触させ、ここでこのポリペプチドは、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされている段階;及び、(ii)化合物のポリペプチドに対する機能的作用を決定する段階を含む。
【0032】
ある態様において、機能的作用は、物理的作用、酵素作用又は化学的作用である。
【0033】
ある態様において、このポリペプチドは、真核宿主細胞又は細胞膜において発現される。別の態様において、このポリペプチドは組換え体である。
【0034】
ある態様において、機能的作用は、ポリペプチドに結合するリガンドを測定することにより決定される。
【0035】
別の態様において、本発明は、患者において前立腺癌を治療するために、前立腺癌に関連した細胞の増殖を阻害する方法を提供し、この方法は、本明細書に記されるように同定される化合物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。
【0036】
ある態様において、化合物は抗体である。
【0037】
別の局面において、本発明は、(i)試験化合物を、前立腺癌を有する哺乳類またはそこから単離された細胞試料に投与する段階;(ii)処置した細胞又は哺乳類中の、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドの遺伝子発現レベルを、対照細胞又は哺乳類のポリヌクレオチドの遺伝子発現レベルと比較する段階を含み、ここでポリヌクレオチドの発現レベルを変調する試験化合物は前立腺癌の治療のための候補である、薬物スクリーニングアッセイ法を提供する。
【0038】
ある態様において、対照は、試験化合物で治療されていない前立腺癌を有する哺乳類又はそこからの細胞試料である。別の態様において、対照は正常な細胞又は哺乳類である。
【0039】
ある態様において、試験化合物は、異なる量又は濃度で投与される。別の態様において、試験化合物は、期間を変動させて投与される。別の態様において、この比較は、薬物候補の添加又は除去後に行うことができる。
【0040】
ある態様において、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズする複数のポリヌクレオチドのレベルが、対照細胞試料又は哺乳類中のそれらの各レベルと個別に比較される。好ましい態様において、複数のポリヌクレオチドとは、3〜10種である。
【0041】
別の局面において、本発明は、本明細書に記載のアッセイ法により同定された化合物を投与する段階を含む、前立腺癌を有する哺乳類を治療する方法を提供する。
【0042】
別の局面において、本発明は、前立腺癌を有する哺乳類を治療するための薬学的組成物を提供し、この組成物は、本明細書に記載のアッセイ法により同定される化合物及び生理学的に許容できる賦形剤を含む。
【0043】
ある局面において、本発明は、前立腺癌において上方制御及び下方制御される遺伝子を発現している細胞を提供することによる、薬物候補をスクリーニングする方法を提供する。ある態様において、遺伝子は表1〜16から選択される。この方法は更に、薬物候補を細胞に添加し、発現プロフィール遺伝子の発現に対する薬物候補の作用を決定する段階を含む。
【0044】
ある態様において、薬物候補のスクリーニング法は、薬物候補の非存在下での発現レベルを、この薬物候補の存在下での発現レベルと比較する段階を含み、ここで薬物候補が存在する場合には濃度を変動させ、ここでこの比較は薬物候補の添加後でも除去後でも行うことができる。好ましい態様において、細胞は少なくとも2種の発現プロフィール遺伝子を発現する。これらのプロフィール遺伝子は、増加を示しても減少を示してもよい。
【0045】
更に、前立腺癌モジュレータータンパク質を発現又は過剰発現しているトランスジェニック動物、又は例えば遺伝子ノックアウトの結果として前立腺癌モジュレータータンパク質を欠いている動物へ薬物を投与する段階を含む、候補前立腺癌薬物の作用を評価する方法も提供される。
【0046】
更に、表1〜16の核酸セグメントを1種又は複数種含むバイオチップが提供され、ここでバイオチップは、1000種よりも少ない核酸プローブを含む。好ましくは少なくとも2種の核酸セグメントが含まれる。より好ましくは、少なくとも3種の核酸セグメントが含まれる。
【0047】
更に、前立腺癌に関連した疾患を診断する方法が提供される。この方法は、第一の個体の第一の組織型中の表1〜16の遺伝子発現を決定し、及びこの分布を、第一の個体又は第二の罹患していない個体からの第二の正常な組織型の遺伝子発現と比較する段階を含む。発現の差異は、第一の個体が、前立腺癌に関連した疾患を有することを示している。
【0048】
更なる態様において、バイオチップは更に、前立腺癌において上方制御及び下方制御されない遺伝子のポリヌクレオチド配列も含む。
【0049】
ある態様において、方法は、前立腺癌を変調するタンパク質(前立腺癌モジュレータータンパク質)又はそれらの断片、及び前立腺癌モジュレータータンパク質又はそれらの断片と結合する抗体との結合による妨害が可能である生体活性物質のスクリーニング法である。好ましい態様において、この方法は、前立腺癌モジュレータータンパク質又はそれらの断片を、前立腺癌モジュレータータンパク質又はそれらの断片と結合する候補生体活性物質及び抗体と一緒にする段階を含む。この方法は更に、前立腺癌モジュレータータンパク質又はそれらの断片と抗体との結合を決定する段階を含む。結合に変化がある場合、物質は妨害物質として同定される。妨害物質は、アゴニスト又はアンタゴニストでありうる。好ましくはこの物質は、前立腺癌を阻害する。
【0050】
更に本明細書において、個体における免疫応答を惹起する方法が提供される。ある態様において、本明細書で提供される方法は、前立腺癌変調タンパク質、又はそれらの断片を含有する組成物を個体に投与する段階を含む。別の態様において、このタンパク質は、表1〜16から選択される核酸によりコードされている。
【0051】
更に個人において免疫応答を惹起することが可能である組成物が、本明細書において提供される。ある態様において、本明細書に提供される組成物は、好ましくは表1〜16の核酸によりコードされた、前立腺癌変調タンパク質又はそれらの断片、及び薬学的に許容できる担体を含有している。別の態様において、組成物は、好ましくは表1〜16の核酸から選択された、前立腺癌変調タンパク質をコードしている配列を含む核酸、及び薬学的に許容できる担体を含有している。
【0052】
前立腺癌タンパク質又はそれらの断片の作用を中和する方法であり、タンパク質に特異的な物質を、タンパク質と、中和に作用するのに十分量で接触することを含む方法も提供されている。別の態様において、タンパク質は、表1〜16のものから選択された核酸によりコードされている。
【0053】
本発明の別の局面において、前立腺癌について個体を治療する方法が提供されている。ある態様において、この方法は、前立腺癌変調タンパク質のインヒビターを個体に投与することを含む。別の態様において、この方法は、前立腺癌を有する患者に、治療的部分に複合された前立腺癌変調タンパク質に対する抗体を投与することを含む。このような治療的部分は、細胞傷害性物質又は放射性同位元素であることができる。
【0054】
発明の詳細な説明
先に概説した目的に従い、本発明は、転移性前立腺癌を含む、前立腺癌(PC)の診断及び予後判定評価のための新規方法に加え、前立腺癌を変調する組成物のスクリーニング法を提供する。前立腺癌を治療する方法も提供する。
【0055】
本発明は、その他の核酸及びペプチド配列に加え、前立腺癌患者組織において高度に過剰発現されている遺伝子としてのPAA2の同定にも関連している。PAA2配列は、亜鉛輸送体ZNT4と同じである。本明細書に記された結果から、PAA2/ZNT4は前立腺癌細胞において高度に発現されていることが明らかである。前立腺は、体内の臓器中で最高の亜鉛蓄積能を有する点が独特である。亜鉛の取込みは、プロラクチン及びテストステロンにより調節され、これは亜鉛輸送体のZIPファミリーのメンバーの発現を誘導する(Costelloら、J. Biol. Chem.、274:17499−17504(1999))。前立腺における亜鉛の蓄積は、クエン酸酸化を阻害するように機能し、これは細胞ATP産生の低下を生じる(Costello及びFranklin、Prostate、35:285−296(1998))。癌細胞は、低下したATP産生により感受性があり、亜鉛蓄積の妨害に発展する。理論的裏付けを欲するものではないが、前立腺癌細胞におけるZNT4の上方制御は、細胞から蓄積された亜鉛をポンプ輸送するその能力により、結果として高亜鉛レベルから細胞を保護する。
【0056】
本発明は、PBH1をコードしている核酸配列にも関する。PBH1は、脳において高度に発現された推定カルシウムチャネルである、ヒトTRPC7(一過性受容体電位関連チャネル(transient receptor potential−related channels)、NP_003298)である(Nagamineら、Genomics、54:124−131(1998))。Trpは、転移性黒色腫において下方制御された遺伝子であるメラスタチン(Duncanら、Cancer Res.、58:1515−1520(1998))、及びベクウィス−ビーデマン症候群/ウイルムス腫瘍の罹病領域において局在化されている遺伝子であるMTR1に関連している(Prawittら、Hum. Mol. Genet.、9:203−216(2000))。理論的裏付けを欲するものではないが、PBH1はカルシウムチャネルとして機能すると考えられている。
【0057】
カルシウムチャネルとしてのPBH1は、チャネル機能を破壊する、小分子治療、又は治療的抗体の理想的標的である。非ホジキンリンパ腫におけるRituximabの標的であるCD2O(Maloneyら、Blood、90:2188−2195(1997);Leget及びCzuczman、Curr. Opin. Oncol.、10:548−551(1998))は、B細胞において発現された形質膜カルシウムチャネルである(Tedder及びEngel、Immunol. Today、15:450−454(1994))。同様に、カルシウムシグナルを阻害又は変更する小分子又は抗体は、PBH1により媒介され、前立腺癌細胞の死をもたらすであろう。
【0058】
PEH1及び他の本発明の遺伝子は、細胞傷害性Tリンパ球の標的としても有用である。腫瘍特異的である遺伝子、又は免疫特権臓器において発現される遺伝子は、現在可能性のあるワクチン標的として使用されている(Van den Eynde及びBoon、Int. J. Clin. Lab. Res.、27:81−86(1997))。PBH1の発現パターンは、これが、細胞傷害性T−リンパ球の理想的標的であることを示している。従って、前立腺癌細胞死を誘導するためにPBH1特異的細胞傷害性Tリンパ球を利用する療法も、本発明において提供される。例えば米国特許第6,051,227号及び国際公開公報第00/32231号を参照し、これらの開示は本明細書に参照として組入れられている。
【0059】
本発明は、前立腺癌及び/又は乳癌の変調において重要である遺伝子としてのPAA3の同定にも関連している。
【0060】
表1〜16は、前立腺癌試料において発現の増加又は減少を示す遺伝子の、Unigeneクラスタ同定番号、典型的アクセッション番号、又はゲノムヌクレオチド位置番号を提供する。
【0061】
定義
「前立腺癌タンパク質」又は「前立腺癌ポリヌクレオチド」又は「前立腺癌に関連した転写物」という用語は、(1)表1〜16のunigeneクラスタのヌクレオチド配列又はこれに関連したヌクレオチド配列と、好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000個又はそれ以上のヌクレオチドの領域について、約60%を超えるヌクレオチド配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%又はそれよりも大きいヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を有し;(2)表1〜16のunigeneクラスタのヌクレオチド配列又はそれに関連したヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む免疫原に対して生じた抗体、例えばポリクローナル抗体と結合し、それらの変種を保存的に修飾し;(3)表1〜16の核酸配列、又はそれらの相補体及び保存的に修飾されたそれらの変種に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズし;又は、(4)表1〜16のunigeneクラスタのヌクレオチド配列又はこれに関連したヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸と、好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000個又はそれ以上のアミノ酸領域について、約60%を超えるアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%又はそれよりも多いアミノ配列同一性を有するアミノ酸配列を有するような、核酸及びポリペプチドの多型変種、対立遺伝子、変異体、種間相同体を意味する。ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列は、典型的には、霊長類、例えばヒト;齧歯類、例えばラット、マウス、ハムスター;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、又は他の哺乳類を含むが、これらに限定されるものではない哺乳類に由来する。「前立腺癌ポリペプチド」及び「前立腺癌ポリヌクレオチド」は、天然型又は組換え型の両方を含む。
【0062】
「完全長」前立腺癌タンパク質又は核酸は、1種又は複数種の天然の野生型前立腺癌ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列中に通常含まれたエレメントの全てを含む、前立腺癌ポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列、又はそれらの変種を意味する。例えば、完全長前立腺癌核酸は、典型的には完全長の天然のタンパク質をコードしているエキソンの全てを含むであろう。「完全長」は、選択的スプライシングを含む、翻訳後プロセシング又はスプライシングの様々な段階の前又は後であることができる。
【0063】
本明細書において使用される「生物学的試料」は、例えば前立腺癌タンパク質、ポリヌクレオチド又は転写物のような、核酸又はポリペプチドを含む、生物学的組織又は液体の試料である。このような試料は、霊長類、例えばヒト、又は齧歯類、例えばマウス及びラットから単離された組織を含むが、これらに限定されるものではない。生物学的試料は更に、生検試料及び剖検試料のような組織切片、組織学的目的で採取した凍結切片、血液、血漿、血清、喀痰、糞便、涙液、粘膜、毛髪、皮膚なども含む。生物学的試料は更に、患者組織に由来した外植片及び初代及び/又は形質転換した細胞培養物も含む。生物学的試料は、典型的には、真核生物から、最も好ましくは哺乳類、例えばチンパンジー又はヒトのような霊長類;ウシ;イヌ;ネコ;モルモット、ラット、マウスのような齧歯類;ウサギ;又は鳥類;爬虫類;又は魚類から得られる。
【0064】
「生物学的試料の提供」は、本発明に記載の方法において使用するための生物学的試料を得ることを意味する。最も頻繁には、これは、動物からの細胞試料の採取により行われるが、予め単離された細胞(例えば、別のヒト、別の時点、及び/又は別の目的で単離されたもの)を用いることによって、又はインビボにおける本発明の方法を行うことによって、実現することもできる。治療又は転帰に関する病歴を有する集積された組織は、特に有用であろう。
【0065】
2種以上の核酸又はポリペプチド配列に関連して、「同一の(identical)」又は%「同一性(identity)」という用語は、BLAST又はBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを下記のデフォルトパラメータで用いて測定した場合、もしくは手作業で並置し及び目視検査した場合に、同じであるか、又は同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定の割合(すなわち、比較ウインドウについて又は指定された領域について最大一致するように比較及び並置した場合に、特定の領域について、約60%同一性、好ましくは70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれよりも高い同一性)を有するような、2種以上の配列又は部分配列を意味する(例えば、NCBIウェブサイト、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/などを参照)。その後このような配列は「実質的に同じ」と称される。この同定は、試験配列の相補物(compliment)とも称され、もしくはそれに適用することができる。この定義は更に、欠失及び/又は付加を有する配列に加え、置換を有するもの、更には天然の例えば多型変種又は対立遺伝子変種、並びに人工の変種も含む。以下に説明するように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを説明することができる。好ましくは同一性は、長さが少なくとも約25個のアミノ酸又はヌクレオチドである領域について、もしくはより好ましくは長さが50〜100個のアミノ酸又はヌクレオチドである領域について存在している。
【0066】
配列比較のために、典型的にはひとつの配列が、参照配列として働き、これと試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列がコンピュータに入力され、必要ならば部分配列座標が指定され、及び配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。好ましくは、デフォルトのプログラムパラメータを使用するか、又は別のパラメータを指定することができる。次にこの配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータを基に、試験配列について、参照配列に対する配列同一性の割合を計算する。
【0067】
本明細書において使用される「比較ウインドウ」には、典型的には20〜600個、通常約50〜約200個、より一般的には約100〜約150個からなる群より選択される連続位置の数のひとつのセグメントに対して参照することが含まれ、参照においては、2種の配列を最適に並置した後、配列を連続位置が同数の参照配列と比較する。比較のための配列並置の方法は、当技術分野において周知である。比較のための配列の最適な並置は、例えばスミス(Smith)及びウォーターマン(Waterman)のローカルホモロジーアルゴリズム(Adv. Appl. Math.、2:482(1981))、ニードルマン(Needleman)及びブンシュ(Wunsch)のホモロジーアラインメントアルゴリズム(J. Mol. Biol.、48:443(1970))、ピアソン(Pearson)及びリプマン(Lipman)の類似性検索法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:2444(1988))、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFLT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr., Madison, WI)、又は手作業による並置及び目視検査により行うことができる(例えば、「分子生物学最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」(Ausubelら編、1995年、補遺)参照)。
【0068】
%配列同一性及び配列類似性を決定するのに適しているアルゴリズムの好ましい例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムを含み、これらはAltschulらの論文(Nuc. Acids Res.、25:3389−3402(1977))及びアルツシュル(Altschul)らの論文(J. Mol. Biol.、215:403410(1990))に記されている。BLAST及びBLAST 2.0は、本明細書に記したパラメータと共に使用され、本発明の核酸及びタンパク質に関する%配列同一性が決定される。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公に入手可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列中の同じ長さのワード(word)を並置した場合にいくつかの正値閾値スコアTにマッチするか又は満足するかのいずれかである、問い合わせ配列中の長さWの短いワードを同定することにより、高スコアリングセグメント対(HSP)を同定することに関与する。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschulら、前掲)。これらの初期隣接ワードヒットは、これらを含むより長いHSPを見つけるために検索を開始する際の種として作用する。これらのワードヒットは、累積アラインメントスコアが増大し得る限りは、各配列に沿って両方向へ拡張される。累積スコアは、例えばヌクレオチド配列については、パラメータM(マッチする残基対のリウォード(reward)スコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残基のペナルティー(penalty)スコア;常に<0)を用い算出される。アミノ酸配列について、スコアマトリックスを用い、累積スコアを算出した。各方向のワードヒットの拡張は、以下の場合に停止した:累積アラインメントスコアがその最大達成値からX量下落した場合;1種又は複数の負のスコア化(negative−scoring)残基アラインメントのために、累積スコアがゼロ又はそれ以下になった場合;もしくは、配列のいずれかの端に達した場合。BLASTアルゴリズムパラメータであるW、T及びXは、並置の感度及びスピードを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4及び両鎖の比較を用いた。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長3、及び期待値(E)10を用い、並びにBLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff及びHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:10915(1989)参照)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、及び両鎖の比較を用いた。
【0069】
BLASTアルゴリズムは更に、2つの配列間の類似性について統計解析も行った(例えば、Karlin及びAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:5873−5787(1993)参照)。BLASTアルゴリズムにより提供された類似性のひとつの測定は、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これにより2つのヌクレオチド又はアミノ酸の配列間でマッチが偶然生じる確率の指標が提供される。例えば、試験核酸と参照核酸の比較における最小和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、及び最も好ましくは約0.001未満である場合に、核酸は、参照配列に類似しているとみなされる。対数値は、負数よりも大きく、例えば5、10、20、30、40、40、70、90、110、150、170などである。
【0070】
実質的に同じである2つの核酸配列又はポリペプチドの同定は、以下に説明したように、第一の核酸でコードされたポリペプチドが第二の核酸によりコードされたポリペプチドに対して生じた抗体と免疫学的に交差反応することである。従って、例えばこれらの2個のペプチドは、保存的置換によってのみ異なる場合、ポリペプチドは、典型的には第二のポリペプチドと実質的に同じである。2個の核酸配列が実質的に同じである別の指標は、以下に説明するように、2個の分子又はそれらの相補体がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。更に2個の核酸配列が実質的に同じである別の指標は、同じプライマーをこれらの配列の増幅に使用することができることである。
【0071】
「宿主細胞」は、天然の細胞又は発現ベクターを含む形質転換された細胞であり、発現ベクターの複製又は発現を支援している。宿主細胞は、培養された細胞、外植片、インビボにおける細胞などがありうる。宿主細胞は、大腸菌のような原核細胞、又は酵母、昆虫、両生類もしくは哺乳類の細胞のような真核細胞であってもよく、例としてCHO、HeLaなどがある(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ又はウェブサイト(www.atcc.org)を参照)。
【0072】
「単離された」、「精製された」又は「生物学的に純粋」という用語は、その未変性状態において認められるような通常不随している成分を実質的又は本質的に含まない材料を意味する。純度及び均質性は、典型的にはポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を用いて決定される。調製物中に存在する主要種であるタンパク質又は核酸は、実質的に精製される。特に、単離された核酸は、遺伝子に自然にフランキングしかつその遺伝子によりコードされるタンパク質以外のタンパク質をコードしている一部のオープンリーディングフレームから分離されている。一部の態様において「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1本のバンドで出現することを意味する。好ましくは、これは核酸又はタンパク質が、少なくとも85%の純度、より好ましくは少なくとも95%の純粋、及び最も好ましくは少なくとも99%の純度であることを意味する。別の態様において「精製する」又は「精製」とは、精製されるべき組成物から少なくとも1種の夾雑物を除去することを意味する。この意味において、精製は、精製された化合物が均質、例えば100%の純度であることを必要としない。
【0073】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書においてアミノ酸残基のポリマーを意味するように互換的に使用される。これらの用語は、1個又は複数のアミノ酸残基が、対応する天然のアミノ酸の人工的な化学擬似物(mimetics)であるアミノ酸ポリマーに加え、天然のアミノ酸ポリマーで修飾された残基、及び非天然のアミノ酸ポリマーを含むものに適用される。
【0074】
「アミノ酸」という用語は、天然及び合成のアミノ酸に加え、天然のアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸擬似物を意味する。天然のアミノ酸は、遺伝暗号によりコードされたものに加え、後に修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及びO−ホスホセリンなどである。アミノ酸類似体は、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造、例えば、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合したα炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどを意味する。このような類似体は、修飾されたR基(例えばノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造は維持している。アミノ酸擬似物とは、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と同様に機能する化学化合物を意味する。
【0075】
本明細書においてアミノ酸は、それらの通常知られている3文字表記又はIUPAC−IUBの生化学命名に関する委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推奨している1文字表記のいずれかで表記することができる。同様にヌクレオチドは、通常受け入れられている1文字コードで表記することができる。
【0076】
「保存的に修飾された変種」は、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変種は、同じもしくは本質的に同じアミノ酸配列をコードしているような核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしていないような場合は本質的に同じ又は関連した配列、例えば天然のコンティグ配列に言及している。遺伝暗号の縮重のために、ほとんどのタンパク質は、非常に多数の機能的に同じ核酸でコードされている。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードしている。従って、アラニンがコドンにより特定化される位置毎に、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、説明された対応する別のコドンに変更することができる。このような核酸の変異は「サイレント変異」であり、これは保存的に修飾された変異の一種である。本明細書のポリペプチドをコードしているどの核酸配列も、核酸のサイレント変異を説明している。当業者は、ある状況において、核酸の各コドン(通常メチオニンに対してのみのコドンであるAUG、及び通常トリプトファンに対するのみのコドンであるTGGを除く)を修飾し、機能的に同じ分子を得ることができることを認めるであろう。従って、ポリペプチドをコードしている核酸のサイレント変異は、発現産物に関して説明された配列の暗示であるが、実際のプローブ配列についてはそうではないことが多い。
【0077】
アミノ酸配列に関する限りは、当業者は、コードされた配列中の1個のアミノ酸又は小さい割合のアミノ酸を変更、付加又は欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列への個々の置換、欠失又は付加は、この変更がアミノ酸の化学的に類似したアミノ酸との置換を生じる「保存的に修飾された変種」であることを認めるであろう。機能的に類似したアミノ酸を供する保存的置換の表は、当技術分野において周知である。このような保存的に修飾された変種は、本発明の多型変種、種間相同体、及び対立遺伝子に加えられるが、これらを排除するものではなく、典型的には以下の互いの保存的置換である:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);及び8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creightonの「タンパク質(Proteins)」(1984)を参照)。
【0078】
ポリペプチド構造のような巨大分子構造は、組織化(organization)の様々なレベルに関して説明することができる。この組織化に関する一般的考察については、例えば、アルバーツ(Alberts)らの「細胞の分子生物学(Molecular Biology of the Cell」(第3版、1994)及びカンター(Cantor)及びシメール(Schimmel)の「生物物理化学(Biophysical Chemistry)」のパートI:生物学的巨大分子のコンホメーション(1980)を参照のこと。「一次構造」とは、特定のペプチドのアミノ酸配列を意味する。「二次構造」とは、ポリペプチド内で局所的に配列された三次元構造を意味する。これらの構造は、通常ドメインとして知られている。ドメインは、そのポリペプチドのコンパクトな単位を形成することが多いポリペプチドの一部であり、典型的には25〜およそ500個のアミノ酸長である。典型的ドメインは、βシート及びαヘリックスの伸展といった、より少ない組織化の区画で作り上げられる。「三次構造」とは、ポリペプチドモノマーの完全な三次元構造を意味する。「四次構造」とは、通常独立した三次元単位の非共有結合の会合により構成された三次元構造を意味する。異方性の用語は、エネルギー用語としても知られている。
【0079】
本発明において使用される「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」又は文法上の同等物は、互いに共有結合した少なくとも2個のヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチドは、典型的には、約5、6、7、8、9、10、12、15、25、30、40、50個又はそれ以上のヌクレオチド長、最大約100個のヌクレオチド長である。核酸及びポリヌクレオチドは、より長い長さ、例えば200、300、500、1000、2000、3000、5000、7000、10,000個などを含む、いずれかの長さのポリマーである。本発明の核酸は、一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては例えばホスホロアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、又はO−メチルホスホロアミデート連結(Eckstein、「オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的方法(Oligonucleotide and Analogues: A Practical Approach)」、Oxford University Press社を参照);並びに、ペプチド核酸骨格及び連結などを含む代わりの骨格を有することができる核酸類似体が含まれるであろう。他の核酸類似体は、正の骨格(positive backbone);非イオン性骨格、及び非リボース骨格を伴う核酸類似体を含み、これは米国特許第5,235,033号及び第5,034,506号に開示された核酸類似体、並びにASCシンポジウムシリーズ580「アンチセンス検索における糖修飾(Carbohydrate Modifications in Antisense Research)」6及び7章、サンギ(Sanghui)及びクック(Cook)編に記載の核酸類似体を含む。1種又は複数の炭素環式糖を含む核酸も、核酸のひとつの定義中に含まれる。リボース−リン酸骨格の修飾は、例えば、生理的環境におけるこのような分子の安定性及び半減期を増すために、もしくはバイオチップのプローブとしてなど、様々な理由から行いうる。天然の核酸及び類似体の混合物を作成することができ;あるいは、様々な核酸類似体の混合物、及び天然の核酸及び類似体の混合物を作成することができる。
【0080】
このような核酸類似体に関する様々な参考文献が明らかにされており、これらは、例えば、ホスホロアミデート結合(Beaucageら、Tetrahedron、49(10):1925(1993)及びその中の参考文献;Letsinger、J. Org. Chem.、35:3800(1970);Sprinzlら、Eur. J. Biochem.、81:579(1977);Letsingerら、Nucl. Acids Res.、14:3487(1986);Sawaiら、Chem. Lett.、805(1984)、Letsingerら、J. Am. Chem. Soc.、110:4470(1988);及び、Pauwelsら、Chemica Scripta、26:141(1986))、ホスホロチオエート結合(Mag ら、Nucleic Acids Res.、19:1437(1991);及び、米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート結合(Briuら、J. Am. Chem. Soc.、111:2321(1989))、O−メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein、「オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的方法(Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach)」、Oxford University Press社参照)、及びペプチド核酸骨格及び結合(Egholm、J. Am. Chem. Soc.、114:1895(1992);Meierら、 Chem. Int. Ed. Engl.、31:1008(1992);Nielsen、Nature、365:566(1993);Carlssonら、Nature、380:207(1996)参照、全て本明細書に参照として組入れられている)を含む。その他の核酸類似体は、正の骨格(Denpcyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、92:6097(1995));非イオン性骨格(米国特許第5,386,023号、第5,637,684号、第5,602,240号、第5,216,141号及び第4,469,863号;Kiedrowshiら、Angew. Chem. Intl. Ed. English、30:423(1991);Letsingerら、J. Am. Chem. Soc.、110:4470(1988);Letsingerら、Nucleoside & Nucleotide、13:1597(1994);ASCシンポジウムシリーズ580、「アンチセンス検索における糖修飾(Carbohydrate Modifications in Antisense Research)」2及び3章、Y.S. Sanghui及びP. Dan Cook編;Mesmaekerら、Bioorganic & Medicinal Chem. Lett.、4:395(1994);Jeffsら、J. Biomolecular NMR、34:17(1994);Tetrahedron Lett.、37:743(1996))、及び非リボース骨格で、米国特許第5,235,033号及び第5,034,506号、並びに、ASCシンポジウムシリーズ580、「アンチセンス検索における糖修飾(Carbohydrate Modifications in Antisense Research)」6及び7章、サンギ(Y.S. Sanghui)及びクック(P. Dan Cook)編に記されたものを含む。1個又は複数の炭素環式糖含む核酸も、核酸のひとつの定義に含まれる(Jenkinsら、Chem. Soc. Rev.、169−176(1995)参照)。いくつかの核酸類似体が、Rawls, C & E News、1997年6月2日号、35頁に記されている。これらの参考文献は全て本明細書に参照として明確に組入れられている。
【0081】
特に好ましいのは、ペプチド核酸類似体を含むペプチド核酸(PNA)である。天然の核酸の高度に帯電したホスホジエステル骨格とは対照的に、これらの骨格は、中性条件下で実質的に非イオン性である。このことは2つの利点を生じる。第一にPNA骨格は、改善されたハイブリダイゼーション速度論を示す。PNAは、ミスマッチの塩基対を完全にマッチした塩基対と比べ融点(T)に関してより大きい変化を有する。DNA及びRNAは、内部ミスマッチに関して、典型的にはTの2〜4℃の低下を示す。非イオン性PNA骨格によるこの低下は7〜9℃に近い。同様に、それらの非イオン性の性質のために、これらの骨格に結合した塩基のハイブリダイゼーションは、塩濃度に対し比較的感度が悪い。加えて、PNAは、細胞酵素により分解されず、その結果、より安定であることができる。
【0082】
核酸は、特定すると、1本鎖又は2本鎖であることができ、もしくは、1本鎖又は2本鎖の両配列の一部を含むことができる。当業者には理解されるように、1本鎖の描写は、相補鎖の配列も定義し;従って、本明細書に記載の配列は、その配列の相補物も提供する。この核酸は、ゲノム及びcDNAの両方のDNA、RNA又は核酸がデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組合せを含むことができるハイブリッド、並びに、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンなどを含む塩基の組合せであることができる。「転写物」は、典型的には天然のRNA、例えばpre−mRNA、hnRNA、又はmRNAなどを意味する。本明細書において使用されるように、「ヌクレオシド」という用語は、ヌクレオチド並びにヌクレオシド類似体及びヌクレオチド類似体、並びにアミノ修飾されたヌクレオシドのような修飾されたヌクレオシドを含む。加えて、「ヌクレオシド」は、非天然の類似体構造を含む。従って例えば各々塩基を含む、ペプチド核酸の個別の単位は、本明細書においてヌクレオシドと称される。
【0083】
「標識」又は「検出可能部分」は、顕微鏡的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的又は他の物理的手段により検出可能な組成物である。例えば、有用な標識は、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば通常ELISAにおいて使用されるもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテン並びに例えばペプチドへの放射性標識の組込みにより検出可能に作成されたもしくはこのペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために使用されるようなタンパク質もしくは他の実体を含む。放射性同位元素は、例えば3H、14C、32P、35S、又は125Iでありうる。場合によっては、特に本発明のタンパク質に対する抗体を使用し、下に説明するように、これらの放射性同位元素を毒性部分として使用することができる。これらの標識は、前立腺癌の核酸、タンパク質及び抗体にいずれかの位置で組込むことができる。抗体を標識へ複合する当技術分野において公知のいずれかの方法を使用することができ、これらはハンター(Hunter)ら、Nature、144:945(1962);デビッド(David)ら、Biochemistry、13:1014(1974);ペイン(Pain)ら、J. Immunol. Meth.、40:219(1981);及び、ニグレン(Nygren)、J. Histochem. and Cytochem.、30:4O7(1982)に記載の方法を含む。放射標識されたペプチド又は放射標識された抗体組成物の寿命は、放射標識されたペプチド又は抗体を安定化し及びその分解を妨害する物質の添加により延長することができる。米国特許第5,961,955号に開示された物質を含む、放射標識されたペプチド又は抗体を安定化する物質又は物質の組合せのいずれかを使用することができる。
【0084】
「エフェクター」又は「エフェクター部分」又は「エフェクター成分」は、リンカーもしくは化学結合を介して共有的に、又はイオン結合、ファンデルワールス結合、静電結合もしくは水素結合を介して非共有的に、抗体に結合した(又は連結、もしくは複合した)分子である。「エフェクター」は、例えば、放射性化合物、蛍光化合物、酵素又は基質、エピトープタグのようなタグ、毒素を含む検出部分;化学療法剤のような活性化部分;リパーゼ;抗生物質;又は、例えば「硬(hard)」β線を放出する放射性同位元素を含む様々な分子であることができる。
【0085】
「標識した核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド」は、プローブへ結合した標識の存在の検出によりプローブの存在が検出されるように、リンカー又は化学結合を介して共有結合的に、又はイオン結合、ファンデルワールス結合、静電結合又は水素結合を介して非共有結合的に、標識に結合したものである。あるいは、高親和性相互作用を使用する方法は、例えばビオチン、ストレプトアビジンのような、結合パートナー対の一方が他方へ結合するような同じ結果を実現することができる。
【0086】
本明細書において使用される「核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド」は、1種又は複数種の化学結合を介し、通常は相補的塩基対形成を介し、通常は水素結合形成を介し、相補的配列の標的核酸へ結合することが可能な核酸として定義される。本明細書において使用されるように、プローブは、天然の塩基(すなわち、A、G、C、もしくはT)又は修飾された塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を含むことができる。加えて、プローブ中の塩基は、それがハイブリダイゼーションを機能的に妨害しない限りは、ホスホジエステル結合以外の結合により連結される。従って、例えばプローブは、構成的塩基がホスホジエステル結合以外のペプチド結合により連結されているようなペプチド核酸であることができる。当業者には、これらのプローブは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに応じて、プローブ配列との完全な相補性を欠いている標的配列に結合することができることは理解されるであろう。これらのプローブは、同位元素、発色団、発ルミネセンス団、色原体により直接標識されるか、もしくは例えばストレプトアビジン複合体が後に結合するビオチンにより、間接的に標識されることが好ましい。プローブの存在又は非存在をアッセイすることにより、選択された配列又は部分配列の存在又は非存在を検出することができる。診断又は予後判定は、ゲノムレベルでの、又はRNAもしくはタンパク質発現レベルで基礎とされうる。
【0087】
「組換え体」という用語は、細胞、又は核酸、タンパク質、もしくはベクターに関して使用される場合、細胞、核酸、タンパク質又はベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入又は未変性の核酸もしくはタンパク質の変更により修飾されていること、もしくは細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。従って、例えば組換細胞は、未変性(native)の(非組換え)型細胞では認められない遺伝子を発現しているか、もしくはさもなければ異常発現されるか、過小発現されるか又は全く発現されない未変性の遺伝子を発現している。本明細書において「組換え核酸」という用語は、自然には通常認められない形状の、概して、核酸の操作、例えばポリメラーゼ及びエンドヌクレアーゼの使用により、当初インビトロにおいて形成された核酸を意味する。この方法において、異なる配列の操作可能な連結が実現される。従って、線状型で単離された核酸、又は通常は結合されないDNA分子のライゲーションによりインビトロにおいて形成された発現ベクターは、両方とも本発明の目的に関して組換え体と見なされる。一旦組換え核酸が作出され、宿主細胞又は生体に再導入されたならば、これは、非組換え的に、すなわちインビトロ操作ではなくむしろ宿主細胞のインビボ細胞機構を用いて複製する;しかし、このような核酸は、一度組換え的に作出され、その後非組換え的に複製するとしても、依然本発明の目的に関して組換え体と見なされることは理解される。同様に、「組換えタンパク質」は、組換え技術を用いて、すなわち前述の組換核酸の発現により作出されたタンパク質である。
【0088】
「異種」という用語は、核酸の一部に関して使用される場合、この核酸が、通常は天然においては互いに同じ関係では認められない2種以上の部分配列を含むことを示している。例えば核酸は、典型的には組換えにより作出され、例えばひとつの給源からのプロモーター及び別の給源からのコード領域のように、例えば新たな機能性核酸を作成するようにアレンジされた無関係の遺伝子由来の2種以上の配列を有する。同様に、異種タンパク質は、天然においては互いに同じ関係では認められない2種以上の部分配列を意味することが多い(例えば、融合タンパク質)。
【0089】
「プロモーター」は、核酸の転写を指示する核酸制御配列のアレイとして定義される。本明細書において使用されるように、プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合、TATAエレメントのような、転写開始部位近傍の必要な核酸配列を含む。プロモーターは、任意にこれは転写開始部位から数千個も離れた塩基対に位置する遠位エンハンサー又はリプレッサーエレメントも含むことができる。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境的及び発生的条件下で活性があるプロモーターである。「誘導可能な」プロモーターは、環境的又は発生的な調節下で活性があるプロモーターである。「操作可能な連結」という用語は、核酸発現制御配列(プロモーター、又は転写因子結合部位のアレイなど)と第二の核酸配列の間の機能性連結を意味し、ここで発現制御配列は、第二の配列に相当する核酸の転写を指示する。
【0090】
「発現ベクター」は、宿主細胞における特定の核酸の転写を可能にする一連の特定化された核酸エレメントを伴う、組換え的又は合成的に作出された核酸構築物である。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス又は核酸断片の一部であることができる。典型的には、発現ベクターは、プロモーターへ操作可能に連結された転写されるべき核酸を含む。
【0091】
「選択的(又は特異的)にハイブリダイズする」という語句は、核酸及び他の生物学的なもの(biologics)の不均一集団(例えば総細胞又はDNAもしくはRNAのライブラリー)における、ヌクレオチド配列の存在の決定要因である特定のヌクレオチド配列へ、分子が結合、二重化又はハイブリダイズすることを意味する。同様に抗体への「特異的(又は選択的)結合」もしくは「特異的(又は選択的)免疫反応」という語句は、タンパク質又はペプチドに関して述べる場合、タンパク質及び他の生物学的なものの不均一集団における、タンパク質の存在の決定要因である結合反応を意味する。従って、指定されたイムノアッセイ条件下又は核酸ハイブリダイゼーション条件下で、特定化された抗体又は核酸プローブは、特定のタンパク質ヌクレオチド配列に、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10〜100倍で結合する。
【0092】
このような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に関するその特異性について選択される抗体を必要としている。例えば、特定のタンパク質、多型変種、対立遺伝子、オルソログ、及び保存的に修飾された変種、もしくはスプライシング変種、又はそれらの一部に対して生じたポリクローナル抗体を選択し、望ましい前立腺癌タンパク質とは特異的に免疫反応性であるが他のタンパク質とはそうではないようなポリクローナル抗体のみを得ることができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことにより実現することができる。様々なイムノアッセイ様式を用い、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイ法は、タンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために日常的に使用される(特異的免疫反応性を決定するために使用することができるイムノアッセイ様式及び条件の説明については例えば、ハーロウ(Harlow)及びレーン(Lane)、「抗体:実験マニュアル(Antibodies、A Laboratory Manual)」(1988)を参照のこと)。
【0093】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、プローブが、典型的には核酸の複合混合物中のそれの標的部分配列へはハイブリダイズするが、他の配列にはしないような条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列によって決まり、かつ異なる環境においては異なるであろう。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションへの広範な指針は、ティッセン(Tijssen)、「生化学及び分子生物学の技術−核酸ブローブとのハイブリダイゼーション(Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes)」、「ハイブリダイゼーションの原理及び核酸アッセイ戦略の概略(Overview of principles of Hybridization and the strategy of nucleic asid assays)」(1993)を参照のこと。一般に、ストリンジェントな条件は、指定されたイオン強度のpHにおいて、特異的配列の融点(T)よりも約5〜10℃低いように選択される。このTは、標的に相補的なプローブの50%が、平衡化した時点で標的配列へハイブリダイズする温度(指定されたイオン強度、pH及び核酸濃度での温度)である(Tで標的配列は過剰に存在し、プローブの50%は平衡化時点で占拠される)。ストリンジェントな条件とは、塩濃度が、pH7.0〜8.3において、約1.0Mナトリウムイオン未満、典型的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、並びに温度が短プローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について低くとも約30℃、及び長プローブ(例えば50ヌクレオチドより長い)について低くとも約60℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても実現することができる。選択的又は特異的ハイブリダイゼーションに関して、陽性シグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍であり、好ましくはバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。例示的ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下のものである:50%ホルムアミド、5xSSC、及び1%SDS、42℃でのインキュベーション、又は、5xSSC、1%SDS、65℃でのインキュベーション、0.2xSSCによる洗浄、65℃での0.1%SDSである。PCRに関して、約36℃の温度は、典型的には低ストリンジェンシー増幅であるが、アニーリング温度は、プライマー長に応じて約32℃〜48℃で変動することができる。高ストリンジェンシーPCR増幅に関して、約62℃の温度が典型であるが、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマー長及び特異性に応じて、約50℃〜約65℃までの範囲であることができる。典型的には、高及び低の両ストリンジェンシー増幅に関するサイクル条件は、90℃〜95℃の30秒〜2分の変性相、30秒〜2分続くアニーリング相、及び約72℃で1〜2分の伸長相を含む。低及び高ストリンジェンシー増幅反応のプロトコール及び指針は、例えばInnisらの「PCRプロトコール:方法及び適用の指針(PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications)、(1990)、Academic Press社、N.Y.)に提供されている。.
【0094】
ストリンジェントな条件下では互いにハイブリダイズしない核酸は、それがコードしているこれらのポリペプチドが実質的に同じである場合は、依然実質的に同じである。これは、例えば核酸のコピーが遺伝暗号によりもたらされる最大のコドン縮重を用いて作成される場合に生じる。このような場合、核酸は、典型的には、中等度のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。例えば「中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中での、37℃でのハイブリダイゼーション、及び1xSSC中45℃での洗浄を含む。陽性ハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、選択的(alternative)ハイブリダイゼーション及び洗浄条件を利用し、類似したストリンジェンシーの条件を提供することができることを容易に認識すると思われる。ハイブリダイゼーションパラメータの決定に関する追加の指針は、多くの参考文献に提供されており、例えばオースベル(Ausubel)らの 「最新分子生物学プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」に記されている。
【0095】
前立腺癌タンパク質の活性を変調する化合物の試験に関するアッセイ法についての文脈上、「機能的作用」という語句は、前立腺癌を減少する能力のような、例えば機能的、物理的又は化学的作用のような、前立腺癌タンパク質又は核酸の間接的又は直接的影響下にあるパラメータを決定することを含む。これは、リガンド結合活性;軟寒天上での細胞成長;足場依存性;成長の接触阻止及び密度限界;細胞増殖;細胞の悪性転換;成長因子又は血清依存性;腫瘍特異マーカーレベル;マトリゲル(Matrigel)への浸潤性;インビボにおける腫瘍成長及び転移;転移を受けている細胞におけるmRNA及びタンパク質発現、及び前立腺癌細胞の他の特徴を含む。「機能的作用」は、インビトロ、インビボ、及びエクスビボ活性を含む。
【0096】
「機能的作用の決定」とは、例えば機能的、酵素的、物理的又は化学的作用のような、前立腺癌タンパク質配列の間接的又は直接的影響下で、パラメータが増大又は減少する化合物をアッセイすることを意味する。このような機能的作用は、当業者に公知のいずれかの手段、例えば、タンパク質の分光学的特徴(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)、水力学的特徴(例えば、形状)、クロマトグラフィー又は溶解度特性の変化、前立腺癌タンパク質の誘導可能なマーカー又は転写活性化の測定;結合活性の測定又は結合アッセイ法、例えば抗体又は他のリガンドへの結合、並びに細胞増殖の測定により決定することができる。前立腺癌に対する化合物の機能的作用の決定も、当業者に公知のインビトロアッセイ法のような前立腺癌アッセイ法を用いて行うことができ、例えば軟寒天上での細胞成長;足場依存性;成長の接触阻止及び密度限界;細胞増殖;細胞の悪性転換;成長因子又は血清依存性;腫瘍特異マーカーレベル;マトリゲルへの浸潤性;インビボにおける腫瘍成長及び転移;転移を受けている細胞におけるmRNA及びタンパク質発現、及び前立腺癌細胞の他の特徴を含む。この機能的作用は、当業者に公知の多くの手段により評価することができ、例えば形態学的特徴の変化の定量的又は定性的測定のための顕微鏡検査、前立腺癌に関連した配列のRNA又はタンパク質レベルの変化の測定、RNA安定性の測定、例えば化学発光、蛍光、比色反応、抗体結合、誘導可能なマーカー、及びリガンド結合アッセイ法などによる、下流またはレポーター遺伝子発現(CAT、ルシフェラーゼ、β−gal、GFPなど)の同定である。
【0097】
前立腺癌ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の「インヒビター」、「アクチベーター」及び「モジュレーター」は、前立腺癌ポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列のインビトロアッセイ法及びインビボアッセイ法を用いて同定された分子又は化合物の活性化、阻害又は変調に関して使用される。インヒビターは、例えば、前立腺癌タンパク質に結合し、活性を部分的又は全体的にブロックし、活性又は発現を低下、妨害、活性化の遅延、失活、減感又はダウンレギュレートする化合物、例えばアンタゴニストである。アンチセンス核酸は、タンパク質の発現及びその後の機能を阻害するように見える。「アクチベーター」は、前立腺癌タンパク質活性を増大、開放(open)、活性化、促進、活性増強、増感、作動又はアッップレギュレートする化合物である。インヒビター、アクチベーター又はモジュレーターも、前立腺癌タンパク質の遺伝的に修飾された型、例えば変更された活性を伴う型に加え、天然及び合成のリガンド、アンタゴニスト、アゴニスト、抗体、小化学分子などを含む。このようなインヒビター及びアクチベーターのアッセイ法は、例えば、インビトロ、細胞内又は細胞膜において前立腺癌タンパク質を発現すること、推定モジュレーター化合物を適用すること、及び次に活性に対する機能的作用を前述のように決定することを含む。前立腺癌細胞を試験化合物と共にインキュベーションし、表1〜16に記した配列によりコードされた前立腺癌タンパク質のような、1種又は複数の前立腺癌タンパク質、例えば1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50種又はそれ以上の前立腺癌タンパク質の発現の増加又は減少を決定することにより、前立腺癌のアクチベーター及びインヒビターを同定することもできる。
【0098】
可能性のあるアクチベーター、インヒビター、又はモジュレーターで処理することを含む前立腺癌タンパク質を含む試料又はアッセイ法は、阻害の程度を試験するために、インヒビター、アクチベーター、又はモジュレーターを含まない対照試料と比較される。対照試料(インヒビターで未処理)は、相対タンパク質活性値100%に割当てられる。ポリペプチドの阻害は、対照に対する活性値が約80%、好ましくは50%、より好ましくは25〜0%の場合に達成される。前立腺癌ポリペプチドの活性化は、対照(アクチベーターで未処理)に対する活性値が110%、より好ましくは150%、より好ましくは200〜500%(すなわち、対照に対して2〜5倍高い)、より好ましくは1000〜3000%高い場合に達成される。
【0099】
「細胞成長の変化」という語句は、増殖巣の形成)、足場非依存性、半−固形又は軟寒天成長、成長の接触阻止及び密度限界の変化、成長因子又は血清要求の喪失、細胞の形態学的変化、不死化の獲得又は喪失、腫瘍特異マーカーの獲得又は喪失、適当な動物宿主へ注入した場合の腫瘍の形成又は抑制の能力、及び/又は細胞の不死化などの、インビトロ又はインビボにおける細胞成長及び増殖の特性のあらゆる変化を意味する。例えば、フレシュニー(Freshney)、「動物細胞の培養、基本技術マニュアル(Culture of Animal Cells a Manual of Basic Technique)」、231−241頁(第3版、1994年)。
【0100】
「腫瘍細胞」は、腫瘍における前癌性、癌性、及び正常細胞を意味する。
【0101】
「癌細胞」、「悪性転換された」細胞又は組織培養物における「悪性転換」は、新規遺伝物質の取込みに必ずしも関係するものではない自然発生又は誘導された表現型の変化を意味する。悪性転換は、形質転換しているウイルスによる感染及び新規ゲノムDNAの組込み、又は外来DNAの取込みから生じるが、これは自然発生的に生じるか又は発癌性物質への曝露後に生じ、これにより内在性遺伝子が変異し得る。悪性転換は、細胞の不死化、異常な成長の制御、非形態学的変化、及び/又は悪性疾患のような、表現型の変化に関連している(例えば、Freshney、「動物細胞の培養、基本マニュアル(Culture of Animal Cells a Manual of Basic Technique)」、(第3版、1994年)参照)。
【0102】
「抗体」とは、抗原と特異的に結合及び認識する免疫グロブリン遺伝子又はそれらの断片のフレームワーク領域を含むポリペプチドを意味する。認識された免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、及びμ定常領域遺伝子に加え、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κ又はλのいずれかに分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ又はεとして分類され、これは次に各々、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを定義する。典型的には、抗体の抗原結合領域又はその機能的同等物は、結合の特異性及び親和性において最も重要である。ポール(Paul)の「免疫学基礎(Fundamental Immunology)」を参照のこと。
【0103】
例示的免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各四量体は、2個のポリペプチド鎖の同一対で構成され、各対はひとつの「軽」鎖(約25kD)及びひとつの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に寄与する約100〜110個又はそれよりも多いアミノ酸の可変領域を定義する。これらの用語可変軽鎖(V)及び可変重鎖(V)は、各々、これらの軽鎖及び重鎖を意味する。
【0104】
抗体は、例えば無傷の免疫グロブリンとして又は様々なペプチダーゼによる消化により産生される多数のよく特徴付けられた断片として存在する。従って例えばペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下側で抗体を消化し、F(ab)’である、Fab二量体を形成し、これはそれ自身がジスルフィド結合によりV−C1に連結した軽鎖である。このF(ab)’は、中等度の条件下で還元され、ヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊し、これによりF(ab)’二量体をFab’単量体へ転化する。Fab’単量体は、本質的にヒンジ領域の一部を伴うFabである(「基礎免疫学」参照(Paul編、第3版、1993年))。様々な抗体断片は、完全な抗体の消化に関して定義されるが、当業者は、このような断片は化学的又は組換えDNA技法を用いるかのいずれかで新規(de novo)に合成され得ることを理解するであろう。従って、本明細書において使用される抗体という用語は、全抗体の修飾により作成されたか又は組換えDNA技法を用い新規に合成された抗体断片(例えば、単鎖Fv)もしくはファージディスプレイライブラリーを用い同定された抗体断片のいずれかをも含む(例えば、McCaffertyら、Nature、348:552−554(1990)参照)。
【0105】
例えば組換え体、モノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体などの抗体の調製に関して、当技術分野において公知の多くの技術を使用することができる(例えば、Kohler及びMilstein、Nature、256:495−497(1975);Kozborら、Immunology Today、4:72(1983);Coleら、77−96頁、Monoclonal Antibody and Cancer Therapy(1985);Coligan、Current Protocols in Immunology(1991);Harlow及びLane、Antibodies, A Laboratory Manual(1988);及び、Goding、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice(第2版、1986)参照)。単鎖抗体の作成技術(米国特許第4,946,778号)は、本発明のポリペプチドに対する抗体を作出するために適用することができる。更に、トランスジェニックマウス又は他の哺乳類のようなその他の生物は、ヒト化された抗体を発現するために使用することができる。あるいは、ファージディスプレイ技術を、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーFab断片を同定するために使用することができる(例えば、McCaffertyら、Nature、348:552−554(1990);Marksら、Biotechnology、10:779−783(1992)参照)。
【0106】
「キメラ抗体」は、(a)定常領域、又はそれらの一部が変更、置換又は交換され、抗原結合部位(可変領域)が異なる又は変更されたクラス、エフェクター機能及び/もしくは種の定常領域、又はキメラ抗体に、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などの新たな特性を付与する全体が異なる分子に連結され;又は、(b)可変領域、又はそれらの一部が、異なる又は変更された抗原特異性を有する可変領域により変更、置換又は交換されるような、抗体分子である。
【0107】
前立腺癌に関連した配列の同定
ある局面において、遺伝子の発現レベルは、診断情報が望ましい様々な患者試料において発現プロフィールを提供するために決定される。特定の試料の発現プロフィールは、本質的に試料の状態の「フィンガープリント」であり;2つの状態は、同様に発現されたいずれか特定の遺伝子を有するが、多くの遺伝子の評価は、細胞の状態を特徴付けている遺伝子発現プロフィールの同時作成を可能にする。すなわち、正常組織(例えば、正常前立腺又は他の組織)は、前立腺の癌性又は転移性癌性組織から識別することができ、もしくは前立腺癌組織又は転移性前立腺癌性組織は、生存している癌患者からの前立腺の組織試料及び他の組織と比較することができる。わかっている様々な前立腺癌状態における組織の発現プロフィールを比較することにより、これらの状態の各々においてどの遺伝子が重要であるか(遺伝子の上方制御及び下方制御の両方を含む)に関する情報が得られる。
【0108】
非前立腺癌組織に対する前立腺癌において示差的に発現された配列の同定は、多くの方法でのこの情報の使用を可能にする。例えば、特定の治療方式を、評価することができ:化学療法薬は、特定の患者における前立腺癌を、従って腫瘍成長又は再発をダウン−レギュレートするように作用する。同様に、診断及び治療の転帰は、患者試料のわかっている発現プロフィールとの比較により行う又は確認することができる。転移性組織を分析し、組織の前立腺癌病期を決定することもできる。更に、これらの遺伝子発現プロフィール(又は個別の遺伝子)は、特定の発現プロフィールの模倣又は変更を視野に入れつつ、薬物候補のスクリーニングを可能にし;例えば、スクリーニングは、前立腺癌発現プロフィールを抑制する薬物について行うことができる。これは、重要な前立腺癌遺伝子のセットを含むバイオチップを作成することにより行うことができ、次にこれらのスクリーニングにおいて使用することができる。これらの方法は更に、タンパク質を基本に行うこともでき;すなわち、前立腺癌タンパク質のタンパク質発現レベルは、診断目的又は候補物質をスクリーニングするために評価することができる。加えて、前立腺癌核酸配列は、遺伝子療法目的に投与することができ、これは治療薬として投与されるアンチセンス核酸、又は前立腺癌タンパク質(抗体及び他のモジュレーターを含む)の投与を含む。
【0109】
従って本発明は、ここでは「前立腺癌配列」と称される、前立腺癌において示差的に発現された核酸及びタンパク質配列を提供する。以下に概説するように、前立腺癌配列は、前立腺癌において上方制御される(すなわち、より高いレベルで発現される)配列に加え、下方制御される(すなわち、より低いレベルで発現される)配列を含む。好ましい態様において、前立腺癌配列は、ヒトに由来するが;しかし、当業者には、他の生体の前立腺癌配列も、疾患及び薬物評価の動物モデルにおいて有用であることは理解されるであろう;従って、他の前立腺癌配列が、齧歯類(ラット、マウス、ハムスター、モルモットなど)、霊長類、家畜(ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマなど)及びペットなど(イヌ、ネコなど)の哺乳類を含む脊椎動物から提供される。他の生体由来の前立腺癌配列は、以下に概説した技術を用いて得ることができる。
【0110】
前立腺癌配列は、核酸及びアミノ酸の両配列を含む。当業者に理解され、より詳細に以下に概説されるように、前立腺癌核酸配列は、様々な用途に有用であり、これは天然の核酸を検出する診断用途に加え、スクリーニング用途を含み;例えば、核酸プローブ又は選択された前立腺癌配列に対するプローブを伴うPCRマイクロタイタープレートを含むバイオチップを作成することができる。
【0111】
前立腺癌配列は、本明細書に概説した前立腺癌配列に対する実質的核酸及び/又はアミノ酸配列の相同性により、最初に同定することができる。このような相同性は、核酸又はアミノ酸配列全体を基にすることができ、及び一般的にはホモロジープログラム又はハイブリダイゼーション条件のいずれかを用い、以下に概説するように決定される。
【0112】
前立腺癌に関連した配列を同定するためには、前立腺癌スクリーニングは、典型的には、例えば、正常組織及び癌性組織、又は転移性疾患を有する患者由来の腫瘍組織試料、対、非転移性組織のような、異なる組織において同定された遺伝子の比較を含む。別の適当な組織比較は、前立腺癌試料の、例えば肺癌、乳癌、消化器癌、卵巣などの他の癌の転移性癌試料との比較を含む。異なる病期の前立腺癌、例えば生存組織、薬物耐性状態、及び転移している組織などが、核酸プローブを含むバイオチップに適用される。これらの試料は、適用可能であるならば、最初に顕微解剖(microdissect)され、かつmRNAの調製について当技術分野において公知のように処理される。適当なバイオチップが、例えばAffymetrix社から市販されている。本明細書に記載のような遺伝子発現プロフィールが作成され、そのデータが解析される。
【0113】
ある態様において、正常及び疾患状態の間に発現の変化を示す遺伝子は、他の正常組織において、好ましくは正常前立腺であるが、肺、心臓、脳、肝臓、乳房、腎臓、筋肉、結腸、小腸、大腸、脾臓、骨及び胎盤も含み、これらに限定されるものではないものにおいて発現された遺伝子と比較される。好ましい態様において、他の組織において顕著な量で発現する前立腺癌スクリーニング中に同定される遺伝子は、このプロフィールから取り除かれるが、一部の態様においては、これは不要である。すなわち、薬物がスクリーニングされる場合、通常可能性のある副作用を最小化するために、標的は疾患特異的であることが好ましい。
【0114】
好ましい態様において、前立腺癌配列は、前立腺癌において上方制御され;すなわち、これらの遺伝子の発現は、非癌性組織に比べ前立腺癌組織においてより高い。本明細書において使用される「上方制御」は、少なくとも約2倍の変化、好ましくは少なくとも約3倍の変化を意味することが多く、少なくとも約5倍又はそれよりも多いことが好ましい。本明細書における全てのunigeneクラスタ同定番号及びアクセッション番号は、GenBank配列データベースに関し、及びアクセッション番号の配列は、本明細書に参照として明確に組入れられている。GenBankは、当技術分野において公知であり、例えば、ベンソン(Benson, DA)ら、Nucleic Acids Research、26:1−7(1998)及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を参照のこと。配列は更に、他のデータベースにおいても利用可能であり、例としてヨーロッパ分子生物学研究所(European Molecular Biology Laboratory、EMBL)及び日本のDNAデータベース(DDBJ)がある。
【0115】
別の好ましい態様において、前立腺癌配列は、前立腺癌において下方制御されるものであり;すなわち、これらの遺伝子の発現は、非癌性組織と比べ前立腺癌組織においてより低い(例えば、表8、12及び14参照)。本明細書において使用される「下方制御」は、少なくとも約1.5倍の変化、より好ましくは2倍の変化、好ましくは少なくとも約3倍の変化であることを意味することが多く、及び少なくとも約5倍又はそれを越える変化が最も好ましい。
【0116】
インフォマティクス
前立腺癌において過剰又は過小発現される遺伝子を同定する能力は、診断、治療、薬物開発、薬理遺伝学、タンパク質構造、バイオセンサーの開発の分野、及び他の関連する分野において使用することができる高解像度、高感度のデータベースを追加的に提供することができる。例えば、発現プロフィールは、前立腺癌患者の診断又は予後評価に使用することができる。さもなければ別の例として、細胞レベル以下の毒性情報は、薬物構造と活性の相関のより良く指示するよに作成することができる(Anderson、「薬学的プロテオミクス:標的、機構、及び機能(Pharmacological Proteomics: Targets, Mechanism, and Function)」、IBC Proteomics会議、コロナド、CA(1998年6月11〜12日)参照)。細胞下レベルの毒性情報は、恐らく化学曝露の毒性作用及び可能性のある忍容可能な曝露閾値を推定するために、生物学的センサー装置において利用することもできる(米国特許第5,811,231号参照)。同様の利点が、他の生体分子及び生物活性物質(例えば、核酸、糖、脂質、薬物など)に関するデータベースから生み出される。
【0117】
従って別の態様において、本発明は、アッセイデータの少なくともひとつのセットを含むデータベースを提供する。このデータベースに含まれるデータは、例えば、単独で又はライブラリーフォーマットのいずれかのアレイ解析を用いて獲得される。このデータベースは、データが維持されかつ伝達される実質的ないずれかの形であることができるが、好ましくは電子データベースである。本発明の電子データベースは、例えばパーソナルコンピュータのようなデータベースへの保存及びアクセスを可能にする電子装置に維持することができるが、 ワールドワイドウェブ(WWW)のような広域ネットワークに配布されることが好ましい。
【0118】
ペプチド配列データを含むデータベースに関する本項目は、説明を明確にすることのみに焦点を当てている。当業者には、同様のデータベースが、本発明のアッセイ法を用いて獲得されたアッセイデータについて集成することができることも理解されると思われる。
【0119】
前立腺癌である生物学的試料由来の相対的及び/又は絶対的に豊富な多種多様な分子種及び巨大分子種を同定及び/又は定量、すなわち本明細書に記された前立腺癌に関連した配列を同定するための組成物及び方法は、豊富な情報を提供し、これは病態、疾病素因、薬物試験、治療モニタリング、遺伝病と因果関係のある連鎖、免疫及び生理的状態との相関の確定などと関連づけることができる。本発明のアッセイから作成されたデータは哺乳類の検証及び分析に適しているが、好ましい態様において、高速コンピュータを用いて処理している先行データが利用される。
【0120】
生体分子情報を指標化しかつ検索する一連の方法は、当技術分野において公知である。例えば、米国特許第6,023,659号及び第5,966,712号は、配列が1種又は複数のタンパク質機能の階層に従いカタログ化及び検索されることを可能にする方法で生体分子配列情報を保存するリレーショナルデータベースシステムを開示している。米国特許第5,953,727号は、部分長配列の収集から完全長配列を得るために、1種又は複数の配列決定プロジェクトとの関係に従いカタログ化及び検索される部分長のDNA配列の収集を可能にするフォーマットに、情報を含む配列記録を有するリレーショナルデータベースを開示している。米国特許第5,706,498号は、キー(key)配列と標的配列の間の類似性の程度を基にした遺伝子データベース中の配列データ項目に、類似した遺伝子配列の検索を行うための遺伝子データベース検索システムを開示している。米国特許第5,538,897号は、closeness−of−fit測定を使用する、推定された質量スペクトルの経験的に誘導された質量スペクトルとの比較により、コンピュータデータベースにおいてアミノ酸配列を同定するために、ペプチドの質量分析フラグメンテーションパターンを用いる方法を開示している。米国特許第5,926,818号は、ひとつより多い統合パス(consolidation path)又は寸法に従い見積られた実際のデータの統合を必然的に伴う、オンライン解析処理(OLAP)として説明される多次元データ解析の相関関係(functionality)を含む多次元データベースを開示している。米国特許第5,295,261号は、各データベース記録のフィールドが2つのクラス、すなわちナビゲーションデータ及びインフォメーショナルデータに分割されたハイブリッドデータベース構造を開示しており、このナビゲーションフィールドは、樹状構造としてもしくは2個以上のこのような樹状構造の合体として見ることができる階層性位相幾何学的マップの形で保存されている。
【0121】
同じくマウント(Mount)ら、Bioinformatics(2001);「生物学的配列解析:タンパク質及び核酸の確率論的モデル(Biological Sequence Analysis: Probabilistic Models of Proteins and Nucleic Acids)」(Durbinら編、1999);「バイオインフォマティクス:遺伝子及びタンパク質解析の実践ガイド(Bioinformatics: A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins)」(Baxevanis及びOeullette編、1998));Rashidi及びBuehler、「バイオインフォマティクス:生物科学及び医薬における基本的応用(Bioinformatics: Basic Applications in Biological Science and Medicine)」(1999);「コンピュータ分子生物学への道(Introduction to Computational Molecular Biology)」(Setubalら編、1997);「バイオインフォマティクス:方法及びプロトコール(Bioinformatics: Methods and Protocols)」(Misener及びKrawetz編、2000);「バイオンフォマティクス:配列、構造及びデータバンク:実践法(Bioinformatics: Sequence, Structure, and Databanks: A Practical Approach)(Higgins及びTaylor編、2000);Brown、「バイオインフォマティクス:バイオコンピューティングとインターネットに関する生物学者への指針(Bioinfomatics: A Biologist’s Guide to Biocomputing and the Internet)」(2001);Han及びKamber、「データ探索:概念と技術(Data Mining: Concepts and Techniques)」(2000);及び、Waterman、「コンピュータ生物学の導入:マップ、配列及びゲノム(Introduction to Computational Biology: Maps, Sequences, and Genomes)」(1995)も参照のこと。
【0122】
本発明は例えば、そこから各配列の特異性記録が得られた標的含有試料の給源を特定化するデータにより、クロス集計されたコンピュータで検索可能な形のアッセイデータ記録を保存してるコンピュータ及びソフトウェアを含むコンピュータデータベースを提供する。
【0123】
例示的態様において、少なくとも1種の標的含有試料の給源は、病理学的疾患とは無関係であることがわかっている対照組織試料に由来している。変型において、少なくとも1種の給源は、公知の病理学的組織標本であり、例えば新生物形成性病巣又は前立腺癌について分析されるべき別の組織標本である。別の変型において、アッセイ記録は、試料中の各標的標本について1種又は複数の下記のパラメータをクロス集計する:(1)例えば標的分子構造座標及び/又は特徴的分離座標(例えば、電気泳動座標)を含むことができる、独自の同定コード;(2)試料給源;並びに、(3)試料中に存在する標的種の絶対量及び/又は相対量。
【0124】
本発明は更に、コンピュータデータ保存装置中での標的データの収集の保存及び検索のためにも供され、これは磁気ディスク、光学ディスク、光磁気ディスク、DRAM、SRAM、SGRAM、SDRAM、RDRAM、DDRRAM、磁気バブルメモリー装置、並びにCPUレジスター及びon−CPUデータ保存アレイを含むその他のデータ保存装置である。典型的には、標的データ記録は、磁化可能媒体上の磁気ドメインのアレイ中にビットパターンとして又は電荷状態もしくはトランジスタゲート状態のアレイとして、例えばDRAM装置のセルのアレイ(例えば、各セルはトランジスタ、及びトランジスタ上に位置することができる蓄電領域で構成される)として保存される。ある態様において、本発明は、このような記憶装置、及びそれらの間に構築されたコンピュータシステムを提供し、これは標的給源とクロス集計された少なくとも10個の標的データ記録に関する独自の識別子を含むタンパク質発現フィンガープリント記録をコードしているビットパターンを含む。
【0125】
標的がペプチド又は核酸である場合、本発明は、好ましくは関連したペプチド又は核酸の配列を同定する方法を提供し、これは、コンピュータ記憶装置又はデータベースに保存されたもしくはそれから検索されたペプチド又は核酸配列アッセイ記録と、少なくとも1個の他の配列の間のコンピュータによる比較を実行する段階を含む。この比較は、配列解析又は比較アルゴリズム又はそれらの態様としてのコンピュータプログラム(例えば、FASTA、TFASTA、GAP、BESTFIT)を含むことができ、及び/又はこの比較は、標本のポリペプチド又は核酸試料から決定された配列のプールにおけるペプチド又は核酸配列の相対量であることができる。
【0126】
本発明は、コンピュータ入力した配列の解析、比較、又は相対定量法における検索及び処理に適したファイルフォーマットで本発明のアッセイのデータをコードしているビットパターンを含む、IBM互換性(DOS、Windows、Windows95/98/2000、Windows NT、OS/2)又は他のフォーマット(例えば、Linux、SunOS、Solaris、AIX、SCO Unix、VMS、MV、Macintoshなど)フロッピーディスケット又はハード(内蔵型、Winchester)ディスクドライブのような、磁気ディスクを提供することも好ましい。
【0127】
本発明は更に、イーサーネットケーブル(同軸又は10BaseT)、電話線、ISDN線、無線ネットワーク、光ケーブル、又は他の適当なシグナル送信媒体などのデータリンクを介して連結された複数のコンピュータ装置を備えた、ネットワークも提供し、これにより少なくとも1種のネットワーク装置(例えば、コンピュータ、ディスクアレイなど)は、本発明のアッセイから獲得されたデータをコードしているビットパターンを構成している、磁気ドメイン(例えば、磁気ディスク)及び/又は電荷ドメイン(例えば、DRAMセルのアレイ)を含む。
【0128】
本発明は、モデム、ISDNターミナルアダプター、DSL、ケーブルモデム、ATMスイッチなどの電子通信装置上に電子シグナルを作成することを含むアッセイデータを送信するための方法も提供し、ここでシグナルは、(ネイティブ又は暗号化されたフォーマットで)アッセイからのデータ又は本発明の方法により得られた複数のアッセイ結果を含むデータベースをコードしているビットパターンを含む。
【0129】
好ましい態様において、本発明は、問い合せ標的を、本発明の方法により得られたアッセイ結果のような、データ構造のアレイを含むデータベースと比較し、かつ標的データの同一性及びギャップ重みの程度を基にデータベース標的をランキング化するためのコンピュータシステムを提供する。中央演算装置が初期化され、アッセイ結果の並置及び/又は比較のためのコンピュータプログラムが読込み及び実行される。問い合せ標的のデータは、I/O装置を介して中央演算装置に入力される。コンピュータプログラムの実行は、中央演算装置にデータファイルからアッセイデータを検索させることを生じ、これはアッセイ結果のバイナリー既述を含む。
【0130】
標的データ又は記録及びコンピュータプログラムは、二次メモリーへ転送することができ、これは典型的にはランダムアクセスメモリー(例えば、DRAM、SRAM、SGRAM、又はSDRAM)である。標的は、選択されたアッセイ特性(例えば、選択された親和性部分への結合)及び問い合せ標的との同じ特性の一致の程度に従いランク化され、結果はI/O装置を介して出力される。例えば、中央演算装置は、通常のコンピュータ(例えば、Intel Pentium、PowerPC、Alpha、PA−8000、SPARC、MIPS 4400、MIPS 10000、VAXなど)であることができ;プログラムは、市販又は公開のドメインの分子生物学ソフトウェアパッケージ(例えば、UWGCG Sequence Analysis Software、Darwin)であることができ;データファイルは、光学又は磁気ディスク、データサーバー、メモリー装置(例えば、DRAM、SRAM、SGRAM、SDRAM、EPROM、バブルメモリー、フラッシュメモリーなど)であることができ;I/O装置は、ビデオディスプレイ及びキーボード、モデム、ISDNターミナルアダプター、イーサーネットポート、パンチカードリーダー、磁気ストリップリーダー、又は他の適当なI/O装置を備えるターミナルであることができる。
【0131】
本発明は更に、前述のようなコンピュータシステムの使用を提供することも好ましく、これは以下を含む:(1)コンピュータ;(2)コンピュータ内に保存することができる、本発明の方法により得られたペプチド配列特異性記録の収集をコードしている保存されたビットパターン;(3)問い合せ標的のような、比較標的;及び、(4)典型的にはコンピュータ処理した類似性値を基にした比較結果の順位検定(rank−ordering)による、並置及び比較のためのプログラムである。
【0132】
前立腺癌に関連したタンパク質の特徴
本発明の前立腺癌タンパク質は、分泌タンパク質、膜貫通タンパク質又は細胞内タンパク質として分類することができる。ある態様において、前立腺癌タンパク質は、細胞内タンパク質である。細胞内タンパク質は、細胞質及び/又は核において認めることができる。細胞内タンパク質は、細胞機能及び複製(例えばシグナル伝達経路を含む)の全ての局面に関与し;このようなタンパク質の異常な発現は、未調節又は非調節の細胞プロセスを生じることも多い(例えば、「細胞の分子生物学(Molecular Biology of the Cell)」(Alberts編、第3版、1994)参照)。多くの細胞内タンパク質は、例えばプロテインキナーゼ活性、タンパク質リン酸化活性、プロテアーゼ活性、ヌクレオチドシクラーゼ活性、ポリメラーゼ活性などの酵素活性を有する。細胞内タンパク質は、タンパク質の複合体の組織化、又は様々な細胞下局在へのタンパク質の標的化に関連し、かつオルガネラの構造完全性の維持に関連しているドッキングタンパク質としても利用することができる。
【0133】
タンパク質の特徴決定における次第に理解されつつある概念は、定義された機能が貢献している1種又は複数のモチーフのタンパク質の存在である。タンパク質の酵素ドメインにおいて認められた高度に保存された配列に加え、タンパク質−タンパク質相互作用に関連したタンパク質において、高度に保存された配列が同定される。例えば、Src−ホモロジー2(SH2)ドメインは、配列に依存型の様式でチロシンリン酸化標的に結合する。SH2ドメインとは区別されるPTBドメインも、チロシンリン酸化標的に結合する。SH3ドメインは、プロリンリッチ標的へ結合する。加えてほんのわずかが命名されたPHドメイン、テトラトリコペプチド(tetratricopeptide)反復配列及びWDドメインは、タンパク質−タンパク質相互作用を媒介することが示されている。これらの一部は、リン脂質又は他のセカンドメッセンジャーへの結合にも関連している。当業者には理解されるように、これらのモチーフは、一次配列を基に同定することができ;従って、タンパク質配列の分析は、分子及び/又はタンパク質と会合し得る分子の両方の酵素的可能性に関する洞察を提供することができる。ひとつの有用なデータベースは、Pfam(タンパク質ファミリー)であり、これは複数の配列アラインメント及び多くの共通タンパク質ドメインを対象とする隠れたマルコフモデルの大きな収集である。バージョンは、ワシントン大学(Washington University)(セントルイス)、サンガー研究所(the Sanger Center)(英国)、及びキャロラインスカ研究所(Karolinska Institute)(スウェーデン)からインターネットで入手可能である(例えば、Batemanら、Nuc. Acids Res.、28:263−266(2000);Sonnhammerら、Proteins、28:405−420(1997);Batemanら、Nuc. Acids Res.、27:260−262(1999);及び、Sonnhammerら、Nuc. Acids Res.、26:320−322(1998)を参照)。
【0134】
別の態様において、前立腺癌配列は、膜貫通タンパク質である。膜貫通タンパク質は、細胞のリン脂質二重層にまたがる分子である。これらは、細胞内ドメイン、細胞外ドメイン、又は両方を有する。このようなタンパク質の細胞内ドメインは、細胞内タンパク質について既に説明されたものを含む多くの機能を有することができる。例えば、細胞内ドメインは、酵素活性を有し、及び/又は追加タンパク質の結合部位として利用することができる。膜貫通タンパク質の細胞内ドメインは、両方の役割を果たすことが多い。例えばある受容体チロシンキナーゼは、プロテインキナーゼ活性及びSH2の両ドメインを有する。加えて、チロシンの受容体分子それ自身に対する自己リン酸化は、追加のSH2ドメインを含むタンパク質の結合部位を形成する。
【0135】
膜貫通タンパク質は、ひとつから多数の膜貫通ドメインを含み得る。例えば、受容体チロシンキナーゼ、ある種のサイトカイン受容体、受容体グアニリルシクラーゼ及び受容体セリン/トレオニンプロテインキナーゼは、1個の膜貫通ドメインを含む。しかし、チャネル及びアデニリルシクラーゼを含む様々な他のタンパク質は、複数の膜貫通ドメインを含む。Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のような多くの重要な細胞表面受容体は、7個の膜を貫通する領域を含むので、これらは「7回膜貫通ドメイン」タンパク質として分類される。膜貫通ドメインの特徴は、およそ20個の連続的疎水性アミノ酸を含み、それに帯電したアミノ酸が続く。従って特定のタンパク質のアミノ酸配列の分析時には、タンパク質内の膜貫通ドメインの局在化及び数を推定することができる(例えば、PSORTウェブサイト参照、http://psort.nibb.ac.jp/)。重要な膜貫通タンパク質受容体は、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体、ヒト成長ホルモン受容体、グルコース輸送体、トランスフェリン受容体、上皮増殖因子受容体、低密度リポタンパク質受容体、上皮増殖因子受容体、レプチン受容体、インターロイキン受容体、例えばIL−1受容体、IL−2受容体などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0136】
膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは多様であるが;しかし、保存されたモチーフは、様々な細胞外ドメイン間で繰り返し認められる。保存された構造及び/又は機能は、異なる細胞外モチーフによるものである。多くの細胞外ドメインは、他の分子への結合に関連している。ある局面において、細胞外ドメインは、受容体上に認められる。受容体ドメインに結合した因子は、循環(circulating)リガンドを含み、これはペプチド、タンパク質又はアデノシンなどのような小分子であることができる。例えば、EGF、FGF及びPDGFのような増殖因子は、それらのコグネイト受容体に結合し、様々な細胞反応を開始する循環増殖因子である。他の因子は、サイトカイン、分裂促進因子、神経栄養因子などを含む。細胞外ドメインも、細胞に会合した分子に結合する。この点において、これらは細胞−細胞相互作用を媒介する。細胞に会合したリガンドは、例えばグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーにより、細胞に束縛されるか、もしくはそれら自身膜貫通タンパク質であることができる。細胞外ドメインは、細胞外マトリックスにも関連し、細胞構造の維持に貢献している。
【0137】
膜貫通している前立腺癌タンパク質は、本明細書に記載のように、免疫療法に関して容易に接近可能な標的であるので、これらは本発明において特に好ましい。加えて以下に概説するように、膜貫通タンパク質は、画像形成のモダリティにおいても有用である。抗体を用い、このようなインサイチュで容易に接近可能なタンパク質を標識することができる。あるいは、抗体は、細胞内タンパク質を標識することもでき、この場合試料は典型的には細胞内タンパク質へ接近させるために透過性を上昇させる。
【0138】
膜貫通タンパク質は、例えば組換え法により、膜貫通配列を除去することにより可溶性とすることができることも当業者には理解されるであろう。更に、可溶性とされた膜貫通タンパク質は、適当なシグナル配列を加えることにより、組換え手段を通じ分泌することができる。
【0139】
別の態様において、前立腺癌タンパク質は、分泌タンパク質であり;その分泌は、構成的であるか又は調節されるかのいずれかであることができる。これらのタンパク質は、この分子を分泌経路へと標的化するシグナルペプチド又はシグナル配列を含む。分泌されたタンパク質は、多くの生理的事象に関連し;それらの循環の性質によって、これらは、様々な他の細胞型へのシグナル伝達に利用される。この分泌タンパク質は、オートクリン方式(その因子を分泌した細胞に作用する)、パラクリン方式(その因子を分泌した細胞に非常に近傍にある細胞に作用する)又はエンドクリン方式(遠い細胞に作用する)で機能することができる。従って、分泌された分子は、多くの生理的局面を変調又は変更することでの使用が認められる。分泌タンパク質である前立腺癌タンパク質は、例えば血液、血漿、血清又は糞便試験のような、診断マーカーの良好な標的として利用されるので、本発明において特に好ましい。
【0140】
前立腺癌核酸の使用
前述のように、前立腺癌配列は、ここで概説された前立腺癌配列との実質的核酸及び/又はアミノ酸配列の相同性又は連結により、最初に同定される。このような相同性は、全般的核酸又はアミノ酸配列を基にすることができ、及び一般には以下に概説したように、相同性プログラム又はハイブリダイゼーション条件のいずれかを用い決定される。典型的には、mRNA上に連結された配列は、同じ分子上で認められる。
【0141】
例えば表1〜16の配列のような、本発明の前立腺癌核酸配列は、比較的大きい遺伝子の断片であることができ、すなわち、これらは核酸セグメントである。この状況における「遺伝子」は、コード領域、非コード領域、並びにコード及び非コード領域の混合物を含む。従って、当業者に理解されるように、本明細書に提供された配列を用い、前立腺癌遺伝子のいずれかの方向へ拡張された配列を、比較的長い配列又は完全長配列のいずれかをクローニングするための当技術分野において周知の技術を用いて得ることができる。これはオースベル(Ausubel)らの論文(前掲)を参照のこと。多くは、インフォマティクスにより行うことができ、多くの配列は、例えばUniGeneのようなシステムのように、単独の遺伝子に対応する複数の配列を含むようにクラスタ化される(http//www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/参照)。
【0142】
一旦前立腺癌核酸が同定されたならば、これはクローニングすることができ、必要ならば、その構成的部分は組換えられ、前立腺癌核酸コード領域全体又はmRNA配列全体を形成する。一旦その天然の給源から単離され、例えばプラスミド又は他のベクター内に含まれるか、又は線状核酸セグメントとしてそれらから切り出されると、この組換え前立腺癌核酸は、プローブとして、例えば拡張されたコード領域のように、他の前立腺癌核酸を同定及び単離するために更に使用することができる。これは、「前駆体」核酸として、修飾された又は変種前立腺癌核酸及びタンパク質を作成するためにも使用することができる。
【0143】
本発明の前立腺癌核酸は、いくつかの方法で使用される。第一の態様において、以下に概説されるように、前立腺癌核酸に対する核酸プローブを作成し、スクリーニング及び診断法において使用されるバイオチップに付着されるか、もしくは例えば遺伝子療法、ワクチン及び/又はアンチセンス用途のために投与される。あるいは、前立腺癌タンパク質のコード領域を含む前立腺癌核酸は、前立腺癌タンパク質の発現のため、更にはスクリーニング目的のため又は患者への投与のために、発現ベクターに組込むことができる。
【0144】
好ましい態様において、前立腺癌核酸に対する核酸プローブ(図に概説した核酸配列及び/又はそれらの相補体の両方)が作成される。バイオチップに結合された核酸プローブは、前立腺癌核酸と実質的に相補的、すなわち、標的配列(例えばサンドイッチアッセイ法において、試料の標的配列又は他のプローブ配列のいずれか)であるように設計され、その結果標的配列と本発明のプローブとのハイブリダイゼーションが生じる。以下に概説したように、この相補性の必要性は完全ではなく;標的配列と本発明の1本鎖核酸の間のハイブリダイゼーションを妨害するであろういくつかの塩基対ミスマッチが存在してもよい。しかし、変異の数があまりにも多いと、ハイブリダイゼーション条件が最低のストリンジェントであっても、ハイブリダイゼーションは生じず、この配列は相補的標的配列ではない。従って本明細書における「実質的相補性」は、以下に概説するように、正常な反応条件下で、特に高ストリンジェント条件下で、プローブが標的配列に対してハイブリダイズするのに十分に相補性であることを意味する。
【0145】
核酸プローブは、一般に1本鎖であるが、一部1本鎖及び一部2本鎖であることもできる。このプローブの鎖形成は、標的配列の構造、組成、及び特性により指定される。一般に、核酸プローブは約8〜約100塩基長の範囲であり、約10〜約80塩基が好ましく、約30〜約50塩基が特に好ましい。すなわち、一般に全遺伝子は使用されない。一部の態様において、非常に長い核酸を使用することができ、最大数百塩基に及ぶ。
【0146】
好ましい態様において、重複するプローブ又は使用される標的の異なる区画へのプローブのいずれかである、1配列につき1個よりも多いプローブが使用される。すなわち、2、3、4個又はそれよりも多いプローブであり、好ましくは3個を使用し、特定の標的の重複性を構築する。これらのプローブは、重複する(すなわち、共通するいくつかの配列を有する)、又は分離することができる。場合によっては、PCRプライマーを、より高い感度のシグナルを増幅するために使用することができる。
【0147】
当業者に理解されるように、核酸は、多種多様な方法で固相支持体に結合又は固定することができる。本明細書において「固定された」及び文法上の同等物は、核酸プローブと固相支持体の間の会合又は結合を意味し、及び固相支持体は、以下に概説するように、結合、洗浄、分析及び除去の条件下で安定であるのに十分である。この結合は、典型的には共有的又は非共有的であることができる。本明細書における「非共有結合」及び文法上の同等物は、1種又は複数の静電気的、親水性及び疎水性相互作用を意味する。非共有結合に含まれるのは、例えばストレプトアビジンの支持体へのような分子の共有付着(covalent attachment)、及びビオチン化されたプローブのストレプトアビジンへの非共有的結合である。本明細書における「共有結合」及び文法上の同等物は、固相支持体及びプローブの2個の部分が少なくとも1個の結合により付着されることを意味し、これはσ結合、π結合及び配位結合を含む。共有結合は、プローブと固相支持体の間に直接形成することができるか、あるいは固相支持体上もしくはプローブ上のいずれか又は両分子上において特異的反応基の架橋又は包接(inclusion)により形成することができる。固定は更に、共有的及び非共有的相互作用の組合せに関与することもできる。
【0148】
一般に、これらのプローブは、当業者に理解されるように、多種多様な方法でバイオチップに付着することができる。本明細書に記されているように、核酸は、最初に合成され、その後バイオチップへ付着されるか、もしくは直接バイオチップ上に合成されるかのいずれであってもよい。
【0149】
バイオチップは、適当な固相基体を含む。本明細書における「基体」又は「固相支持体」又は他の文法上の同等物は、核酸プローブの付着又は会合に適した個別の個々の部位を含むように修飾することができ、少なくとも1種の検出法に基づいて吟味可能である材料を意味する。当業者に理解されるように、可能性のある基体の数は、非常に大きく、並びにガラス、及び改質又は機能化されたガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、並びにスチレン及び他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、TeflonJなど)、多糖類、ナイロン又はニトロセルロース、樹脂、シリカ又はシリコーン及び改質されたシリコーン、炭素、金属、無機ガラス、プラスチックを含むシリカ−ベースの材料などを含むが、これらに限定されるものではない。一般に、これらの基体は、光学的検出が可能であり、認知できるようには発蛍光しない。好ましい基体は、1999年3月15日に出願された継続出願である米国特許出願第09/270,214号、名称「再利用可能な低蛍光プラスチック製バイオチップ(Reusable Low Fluorescent Plastic Biotip)」に開示されており、これは本明細書に参照として組入れられている。
【0150】
一般に、基体は平板であるが、当業者に理解されるように、更に他の基体の形状も使用することができる。例えば、これらのプローブは、試料容量を最小化するための試料解析のフロースルーに関して、チューブの内面に配置することができる。同様にこれらの基体は、特定のプラスチックで製造された独立気泡を含む、軟質フォームのように柔軟性であることができる。
【0151】
好ましい態様において、バイオチップ及びプローブの表面は、これら2種の引き続きの付着のための化学官能基により誘導体化することができる。従って、例えば、バイオチップは、アミノ基、カルボキシル基、オキソ基及びチオール基を含むが、これらに限定されるものではないような化学官能基により誘導体化することができ、アミノ基が特に好ましい。これらの官能基の使用により、プローブは、プローブ上の官能基を用いて付着される。例えば、アミノ基を含む核酸は、例えば当技術分野において公知のリンカーを用い、アミノ基を含む表面に付着することができ;例えば、ホモ二官能性又はヘテロ二官能性のリンカーも周知である(1994年、Pierce Chemical社カタログ、クロス−リンカーの技術編、155−200頁参照)。加えて、場合によっては、追加のリンカー、例えばアルキル基(置換された及びヘテロアルキル基を含む)を使用することができる。
【0152】
この態様において、オリゴヌクレオチドは、当技術分野において公知のように合成され、その後固相支持体の表面に付着される。当業者に理解されるように、5’又は3’末端のいずれかを固相支持体に付着させても、または付着は内部ヌクレオシドを介していてもよい。
【0153】
別の態様において、固相支持体への固定は、非常に強力であるが、依然非共有的である。例えば、ビオチン化されたオリゴヌクレオチドを作成することができ、これはストレプトアビジンで共有的に被覆された表面に結合し、付着を生じる。
【0154】
あるいは、オリゴヌクレオチドは、当技術分野において公知であるように、表面で合成することができる。例えば、光重合化合物及び技術を使用する光活性化技術が使用される。好ましい態様において、これらの核酸は、国際公開公報第95/25116号;国際公開公報第95/35505号;米国特許第5,700,637号及び第5,445,934号のような、周知の写真平板技法を用い、インサイチュで合成することができ;並びにそこに引用された参考文献は全て明確に本明細書に参照として組入れられており;これらの付着形成法は、Affimetrix GeneChip(商標)技術の基礎を形成している。
【0155】
しばしば、前立腺癌に関連した配列の発現レベルを測定するために、増幅−ベースのアッセイ法が行われる。これらのアッセイ法は、典型的には逆転写と組合せて行われる。このようなアッセイ法において、前立腺癌に関連した核酸配列は、増幅反応において鋳型として作用する(例えばポリメラーゼ連鎖反応、又はPCR)。定量的増幅において、増幅産物の量は、当初の試料中の鋳型の量に比例すると思われる。適当な対照との比較は、前立腺癌に関連したRNAの量の測定を提供する。定量的増幅の方法は、当業者には周知である。定量的PCRに関する詳細なプロトコールは、例えば、Innisら、「PCRプロトコール、方法及び適用の指針(PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications)」(1990年)を参照のこと。
【0156】
一部の態様において、TaqManベースのアッセイ法が、発現の測定に使用される。TaqManベースのアッセイ法は、5’側に蛍光色素及び3’側に消光剤を含む蛍光オリゴヌクレオチドプローブを使用する。このプローブは、PCR産物にハイブリダイズするが、3’末端のブロック剤のために、それ自身は伸長できない。PCR産物が連続サイクルにおいて増幅される場合、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性、例えばAmpliTaqは、TaqManプローブの切断を生じる。この切断は、5’側蛍光色素と3’側消光剤とを分離し、これにより増幅の関数としての蛍光の増加を生じる(例えば、Perkin−Elmer社により提供された文献、www2.perkin−elmer.comを参照のこと)。
【0157】
他の適当な増幅方法は、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu及びWallace、Genomics、4:560(1989)、Landegrenら、Science、241:1077(1988)、及びBarringerら、Gene、89:117(1990))、転写増幅(Kwohら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86:1173(1989))、自己維持配列複製(Guatelliら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:1874(1990))、ドットPCR、及びリンカーアダプターPCRなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0158】
核酸からの前立腺癌タンパク質の発現
好ましい態様において、例えば前立腺癌タンパク質をコードしている前立腺癌核酸を用い、以下に説明するような、前立腺癌タンパク質を発現しその後スクリーニングアッセイ法に使用するための様々な発現ベクターが作出される。発現ベクター及び組換えDNA技術は、当業者に周知であり(例えば、Ausubel、前掲、及び「遺伝子発現システム(Gene Expression Systems)」(Fernandez及びHoeffler編、1999年)参照)、及びタンパク質を発現するために使用することができる。発現ベクターは、自己複製する染色体外ベクターであるか、又は宿主ゲノムへ組込まれるベクターのいずれかであることができる。一般に、これらの発現ベクターは、前立腺癌タンパク質をコードしている核酸に操作可能に連結された転写及び翻訳調節核酸を含む。「制御配列」という用語は、特定の宿主生物内で操作可能に連結されたコード配列の発現に使用されるDNA配列を意味する。原核細胞に適している制御配列は、例えばプロモーターを、任意にオペレーター配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することがわかっている。
【0159】
核酸は、別の核酸配列と機能性の関係に置かれた場合に、「操作可能に連結される」。例えばプレ配列又は分泌リーダーのためのDNAは、これがこのポリペプチドの分泌に参加するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに操作可能に連結され;プロモーター又はエンハンサーは、これがその配列の転写に影響を及ぼす場合は、コード配列に操作可能に連結されるか;又は、リボソーム結合部位は、これが翻訳を促進するように位置した場合には、コード配列に操作可能に連結される。一般に、「操作可能に連結される」とは、連結されたDNA配列が、隣接であり、並びに分泌リーダーの場合隣接しリーディング相にあることを意味する。しかし、エンハンサーは隣接している必要はない。連結は、典型的には都合の良い制限部位のライゲーションにより達成される。このような部位が存在しない場合は、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが、通常の実践に従い使用される。転写及び翻訳調節核酸は、一般に前立腺癌タンパク質を発現するために使用される宿主細胞に適している。多くの種類の適当な発現ベクター、及び適当な調節配列が、様々な宿主細胞について当技術分野において公知である。
【0160】
一般に、転写及び翻訳調節配列は、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列、並びにエンハンサー又はアクチベーター配列を含むことができるが、これらに限定されるものではない。好ましい態様において、調節配列は、プロモーター及び転写開始及び停止配列を含む。
【0161】
プロモーター配列は、構成的又は誘導的プロモーターのいずれかをコードしている。これらのプロモーターは、天然のプロモーター又はハイブリッドプロモーターのいずれかである。ハイブリッドプロモーターは、1種よりも多いプロモーターのエレメントを組合わせているが、これも当技術分野において公知であり、本発明において有用である。
【0162】
加えて、発現ベクターは、追加のエレメントを含むことができる。例えば発現ベクターは、2種の複製システムを有することがあり、従って例えば発現のためには哺乳類又は昆虫細胞において並びにクローニング及び増幅のためには原核宿主においてのように、2種の生体において維持されることができる。更に、発現ベクターを組込むために、この発現ベクターは、宿主細胞ゲノムに対する少なくとも1種の配列相同性を有し、好ましくは発現構築物にフランキングしている2種の相同配列を有する。組込みベクターは、ベクター内の封入のための適当な相同配列の選択により、宿主細胞の特異的座に指示することができる。ベクター組込みのための構築物は、当技術分野において周知である(例えば、Fernandez及びHoeffler、前掲)。
【0163】
加えて、好ましい態様において、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択マーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は、当技術分野において周知であり、かつ使用される宿主細胞によって異なるであろう。
【0164】
本発明の前立腺癌タンパク質は、前立腺癌タンパク質の発現を誘導又は惹起するのに適した条件下での、前立腺癌タンパク質をコードしている核酸を含む発現ベクターにより形質転換された宿主細胞の培養により作出される。前立腺癌タンパク質発現に適した条件は、発現ベクター及び宿主細胞の選択により変動し、当業者はこれを日常的な実験又は最適化を通じて容易に確かめるであろう。例えば、発現ベクターにおける構成的プロモーターの使用は、宿主細胞の成長及び増殖を最適化するために必要である一方で、誘導可能なプロモーターの使用は、誘導のための適当な成長条件を必要とする。加えて、一部の態様において、回収の時期が重要である。例えば、昆虫細胞発現に使用されるバキュロウイルスシステムは、溶解性ウイルスであり、その結果回収時期の選択は、産物収量にとって決定的である。
【0165】
適当な宿主細胞は、酵母、細菌、古細菌、真菌、並びに昆虫及び動物の細胞であり、哺乳類細胞を含む。特に興味深いのは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及び他の酵母、大腸菌、バシラスサブチリス(Bacillus subtilis)、Sf9細胞、C129細胞、293細胞、アカパンカビ(Neurospora)、BHK、CHO、COS、HeLa細胞、HUVEC(ヒト臍帯静脈上皮細胞)、THP1細胞(マクロファージ細胞株)及び様々なその他のヒト細胞及び細胞株である。
【0166】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質は、哺乳類細胞において発現される。哺乳類発現システムも、当技術分野において公知であり、レトロウイルス及びアデノウイルスシステムを含む。ひとつの発現ベクターシステムは、一般にPCT/US97/01019号及びPCT/US97/01048号に開示されるような、レトロウイルスベクターシステムであり、両方とも本明細書に明確に参照として組入れられている。特に哺乳類プロモーターとして利用されるのは、哺乳類ウイルス遺伝子由来のプロモーターであり、その理由はこのウイルス遺伝子は高度に発現されることが多く及び広い宿主領域を有するからである。例は、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、及びCMVプロモーターがある(例えば、Fernandez及びHoeffler、前掲参照)。典型的には、哺乳類細胞により認識された転写終結配列及びポリアデニル化配列は、停止コドンを翻訳するために3’側に位置した調節領域であり、従って、プロモーターエレメントと共に、コード配列にフランキングしている。転写ターミネーターシグナル及びポリアデニル化シグナルの例は、SV40由来のものを含む。
【0167】
外来性核酸を哺乳類宿主に加えその他の宿主へ導入する方法は、当技術分野において周知であり、使用される宿主細胞により変動するであろう。技術は、デキストラン媒介型トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、ポリブレン−媒介型トランスフェクション、プロトプラスト融合法、電気穿孔、ウイルス感染、リポソーム内へのポリヌクレオチドの封入、及びDNAの核への直接の微量注入を含む。
【0168】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質は、細菌システムにおいて発現される。細菌発現システムは、当技術分野において周知である。バクテリオファージ由来のプロモーターも使用され、当技術分野において公知である。加えて合成プロモーター及びハイブリッドプロモーターも有用であり;例えば、tacプロモーターは、trpプロモーター配列とlacプロモーター配列のハイブリッドである。更に、細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼへ結合しかつ転写を開始する能力を有する細菌起源でない天然のプロモーターを含むことができる。機能性プロモーター配列に加え、効率的リボソーム結合部位が望ましい。この発現ベクターも、細菌における前立腺癌タンパク質の分泌を提供するシグナルペプチド配列を含む。このタンパク質は、増殖培地へ分泌されるか(グラム陽性菌)又は細胞の内膜と外膜の間に位置した細胞周辺腔へ分泌される(グラム陰性菌)。細菌の発現ベクターは更に、形質転換された細菌種の選択を可能にする選択マーカー遺伝子を含むことができる。適当な選択遺伝子は、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン及びテトラサイクリンのような薬剤に対する細菌抵抗性を付与する遺伝子を含む。選択マーカーは更に、ヒスチジン、トリプトファン及びロイシンの生合成経路におけるもののような、生合成遺伝子も含む。これらの成分は、発現ベクターへ集成される。細菌の発現ベクターは当技術分野において周知であり、及びバシラス・サブチリス、大腸菌、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、及びストレプトコッカス・リビダンス(Streptococcus lividans)などを含む(例えば、Fernandez及びHoeffler、前掲参照)。細菌発現ベクターは、塩化カルシウム処理、電気穿孔などの当技術分野において周知の技術を用い、細菌宿主細胞に形質転換される。
【0169】
ある態様において、前立腺癌タンパク質は、昆虫細胞において作出される。昆虫細胞の形質転換のための発現ベクター、特にバキュロウイルス−ベースの発現ベクターは、当技術分野において周知である。
【0170】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質は、酵母細胞において作出される。酵母発現システムは当技術分野において周知であり、サッカロミセス・セレビシエ、カンジダ・アルビカンス及びC.マルトーサ(C. maltosa)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クリーベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)及びK.ラクチス(K. lactis)、ピキア・グレリモンディ(Pichia guillerimondii)及びP.パストリス(P. pastoris)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、及びヤロウイア・リポライチカ(Yarrowia lipolytica)の発現ベクターを含む。
【0171】
前立腺癌タンパク質は、当技術分野において周知の技術を用い、融合タンパク質として作出することもできる。従って例えば、モノクローナル抗体の産生について、所望のエピトープが小さい場合は、免疫原を形成するために、この前立腺癌タンパク質は、担体タンパク質に融合される。あるいは、前立腺癌タンパク質は、発現を増大するか又は他の理由のために、融合タンパク質として作成される。例えば、前立腺癌タンパク質が前立腺癌ペプチドである場合、このペプチドをコードしている核酸は、発現目的の他の核酸に連結することができる。
【0172】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質は、発現後に精製又は単離される。前立腺癌タンパク質は、試料中に存在する他の成分に応じて、当業者に公知の様々な方法で単離又は精製される。標準精製法は、電気泳動的、分子的、免疫学的及びクロマトグラフィー的技術を含み、これはイオン交換、疎水性、アフィニティー、及び逆相HPLCクロマトグラフィー、並びに等電点電気泳動を含む。例えば前立腺癌タンパク質は、標準の抗前立腺癌タンパク質抗体カラムを用い精製することができる。タンパク質濃度と関連して、限外濾過及びダイアフィルトレーション技術も有用である。適当な精製技術の一般的指針については、スコープス(Scopes)の「タンパク質精製(Protein Purification)」(1982)を参照のこと。必要な精製の程度は、前立腺癌タンパク質の用途によって変動するであろう。場合によっては、精製が不要なこともあるであろう。
【0173】
必要に応じ一旦発現され精製されたならば、この前立腺癌タンパク質及び核酸は、多くの用途において有用である。これらは、免疫選択試薬、ワクチン試薬、スクリーニング剤などとして有用である。
【0174】
前立腺癌タンパク質変種
ある態様において、前立腺癌タンパク質は、野生型配列と比べ、誘導体又は変種前立腺癌タンパク質である。すなわち、以下に詳述するように、誘導体前立腺癌ペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸の置換、欠失又は挿入を含むことが多く、アミノ酸置換が特に好ましい。アミノ酸の置換、挿入又は欠失は、前立腺癌ペプチド内のいずれかの残基において生じ得る。
【0175】
更に本発明の前立腺癌タンパク質のひとつの態様に含まれるのは、アミノ酸配列変種である。これらの変種は、典型的には3種類のクラスの1種又は複数種に収まる:置換変種、挿入変種又は欠失変種。これらの変種は、通常、カセットもしくはPCR突然変異誘発又は当技術分野において周知の他の技術を使用する、前立腺癌タンパク質をコードしているDNAのヌクレオチドの位置指定突然変異誘発により調製され、この変種をコードしているDNAを作出し、その後前述のように組換え細胞培養物においてこのDNAを発現させる。しかし、最大約100〜150個の残基を有する変種前立腺癌タンパク質断片は、確立された技術を使用するインビトロ合成により調製することができる。アミノ酸配列変種は、異形の予め決定された性質、これらを天然の対立遺伝子から離れてセットする性質、又は前立腺癌タンパク質アミノ酸配列の種間変動により特徴付けることができる。これらの変種は、典型的には天然の類似体と同じ性質の生物学的活性を示すが、以下により詳細に概説するような修飾された特徴を有する変種が選択されることもできる。
【0176】
アミノ酸配列変異を導入する位置又は領域は予め決定されているが、突然変異それ自身は予め決定される必要はない。例えば、所定の位置での突然変異の実行を最適化するために、ランダム突然変異誘発を、標的コドン又は領域において行い、発現された前立腺癌変種を所望の活性の最適な組合せについてスクリーニングすることができる。配列がわかっているDNAにおいて予め定められた位置に置換突然変異を作成する技術は周知であり、例としてM13プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発がある。これらの変異体のスクリーニングは、前立腺癌タンパク質活性のアッセイ法を用い行われる。
【0177】
アミノ酸置換は、典型的には1個の残基についてであり;挿入は通常、約1〜20個の桁のアミノ酸で行われるが、かなり大きい挿入にも耐えられる。欠失は約1〜約20個の残基の範囲であるが、場合によっては、より大きい欠失であることがある。
【0178】
置換、欠失、挿入又はそれらのいずれかの組合せを使用し、最終誘導体に到達することができる。一般にこれらの変化は、分子の変更を最小化するために2、3個のアミノ酸において行われる。しかし比較的大きい変化が、ある特定の状況においては忍容できる。前立腺癌タンパク質の特徴の小さい変更が望ましい場合、定義の項に記したようなアミノ酸置換の関係に従い行われる。
【0179】
これらの変種は、典型的には天然の類似体と同じ性質の生物学的活性を示し、同じ免疫応答を惹起するが、変種は必要とされる前立腺癌タンパク質の特徴を修飾するようにも選択される。あるいは、この変種は、前立腺癌タンパク質の生物学的活性が変更されるように設計してもよい。例えば、グリコシル化部位は、変更し除去することができる。
【0180】
機能的又は免疫学的同一性の実質的変化は、前述のものよりも保存が少ないような置換を選択することにより行うことができる。例えば、下記のものにより顕著に影響を及ぼす置換を行うことができる:例えばαヘリックス又はβシート構造のような、変更部分のポリペプチド骨格の構造;標的部位での分子の電荷又は疎水性;又は、側鎖の嵩(bulk)。一般にポリペプチドの特性に最大の変化をもたらすことが期待される置換は、(a)親水性残基、例えばセリル又はトレオニルが、疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、又はアラニルに対して(によって)置換されること;(b)システイン又はプロリンが、いずれか他の残基に対して(によって)置換されること;(c)正帯電側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニル又はヒスチジルが、負帯電側鎖を有する残基、例えばグルタミル又はアスパルチルに対して(によって)置換されること;もしくは、(d)嵩のある側鎖有する残基、例えばフェニルアラニンが、側鎖を有さないもの、例えばグリシンに対して(によって)置換されることである。
【0181】
前立腺癌ポリペプチドの共有結合性修飾は、本発明の範囲内に含まれる。共有結合性修飾のひとつの型は、前立腺癌ポリペプチドの標的化されたアミノ酸残基が、前立腺癌ポリペプチドの選択された側鎖又はN末端もしくはC末端残基との反応が可能である有機誘導体化剤と反応することを含む。二官能性試薬による誘導体化は、以下により詳述するように、例えば抗前立腺癌ポリペプチド抗体の精製法又はスクリーニングアッセイ法で使用するための、前立腺癌ポリペプチドの水溶性支持体マトリックス又は表面への架橋について有用である。通常使用される架橋剤は、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、例えば3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)のようなジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような二官能性マレイミド、及びメチル−3−((p−アジドフェニル)ジチオ)プロピオイミデートのような試薬を含む。
【0182】
他の修飾は、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリシンの水酸化、セリル、トレオニル又はチロシル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のアミノ基のメチル化(Creighton、「タンパク質:構造及び分子特性(Proteins: Structure and Molecular Properties)」79−86頁(1983))、N末端アミンのアセチル化、並びにC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
【0183】
本発明の範囲に含まれる前立腺癌ポリペプチドの別の種類の共有結合性修飾は、ポリペプチドの自然のグリコシル化パターンの変更を含む。「自然のグリコシル化パターンの変更」は、本明細書の目的では、未変性の配列の前立腺癌ポリペプチドにおいて認められる1個又は複数の糖部分の欠失、及び/又は未変性の配列の前立腺癌ポリペプチドには存在しない1個又は複数のグリコシル化部位の付加を意味することが意図されている。グリコシル化パターンは、多くの方法で変更することができる。例えば前立腺癌に関連した配列を発現するための異なる細胞型の使用は、異なるグリコシル化パターンを生じることができる。
【0184】
前立腺癌ポリペプチドのグリコシル化部位の付加は、それらのアミノ酸配列の変更によっても実現することができる。この変更は、例えば1個又は複数のセリン又はトレオニン残基による未変性の配列の前立腺癌ポリペプチドの付加又は置換によって行うことができる(O−連結型グリコシル化部位)。この前立腺癌アミノ酸配列は、DNAレベルの変更により、特に予め選択された塩基での前立腺癌ポリペプチドをコードしているDNAの変異により任意に変更することができ、その結果所望のアミノ酸へと翻訳されるコドンが作成される。
【0185】
前立腺癌ポリペプチド上の糖部分の数を増大する別の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的又は酵素的カップリングによる。このような方法は当技術分野において説明されており、例えば国際公開公報第87/05330号、並びにアプリン(Aplin)及びリストン(Wriston)の論文(CRC Crit. Rev. Biochem.、259−306(1981))に記されている。
【0186】
前立腺癌ポリペプチドに存在する糖部分の除去は、グリコシル化の標的として役立つアミノ酸残基をコードしているコドンの化学的又は酵素的又は変異的置換により実現することができる。化学的脱グリコシル化技術は、当技術分野において公知であり、例えばハキムディン(Hakimuddin)ら、Arch. Biochem. Biophys.、259:52(1987)及びエッジ(Edge)ら、Anal. Biochem.、118:131(1981)に記載されている。ポリペプチド上の糖部分の酵素切断は、トタクラ(Thotakura)ら、Meth. Enzymol.、138:350(1987)に記されたような、様々なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用により実現することができる。
【0187】
別の種類の前立腺癌の共有結合性修飾は、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号又は第4,179,337号に開示されたような方法で、前立腺癌ポリペプチドを、様々な非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリオキシアルキレンなどのひとつに連結することを含む。
【0188】
本発明の前立腺癌ポリペプチドは、別の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合された前立腺癌ポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾することもできる。ある態様において、このようなキメラ分子は、前立腺癌ポリペプチドの、抗タグ抗体が選択的に結合することができるようなエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合を含む。このエピトープタグは一般に、前立腺癌ポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシル末端に配置される。このような前立腺癌ポリペプチドのエピトープタグ付けした形の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。更に、エピトープタグの供給は、前立腺癌ポリペプチドを、抗タグ抗体を使用するアフィニティー精製又は別の型のエピトープタグに結合するアフィニティーマトリックスにより容易に精製され得るようにすることができる。別の態様において、このキメラ分子は、前立腺癌ポリペプチドの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合も含み得る。キメラ分子の二価の形について、このような融合は、IgG分子のFc領域である。
【0189】
様々なタグポリペプチド及びそれらの各抗体は当技術分野において周知である。例として、ポリヒスチジン(poly−his)タグ又はポリヒスチジングリシン(poly−his−gly)タグ;HIS6及び金属キレートタグ、flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5(Fieldら、Mol. Cell Biol.、8:2159−2165(1988));c−mycタグ及びそれらの8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体(Evanら、Molecular and Cellular Biology、5:3610−3616(1985));並びに、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体(Paborskyら、Protein Engineering、3(6):547−553(1990))。別のタグポリペプチドは、Flagペプチド(Hoppら、BioTechnology、6:1204−1210(1988));KT3エピトープペプチド(Martinら、Science、255:192−194(1992));チューブリンエピトープペプチド(Skinnerら、J. Biol. Chem.、266:15163−15166(1991));並びに、T7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz−Freyermuthら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:6393−6397(1990))がある。
【0190】
他に含まれるのは、前立腺癌ファミリーの他の前立腺癌タンパク質、及び他の生体由来の前立腺癌タンパク質であり、これらは以下に概説されるようにクローニングされ発現される。従って、プローブ又は縮重(degenerate)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列を用い、ヒト又は別の生体から他の関連前立腺癌タンパク質を見つけることができる。当業者により理解されるように、特に有用なプローブ及び/又はPCRプライマー配列は、前立腺癌核酸配列の独自の領域を含む。当技術分野において一般に公知であるように、好ましいPCRプライマーは、長さ約15〜約35個のヌクレオチドであり、約20〜約30個が好ましく、必要に応じイノシンを含み得る。PCR反応の条件は当技術分野において周知である(例えば、Innis、PCRプロトコール、前掲)。
【0191】
前立腺癌タンパク質に対する抗体
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質が、例えば免疫療法又は免疫診断などのための抗体産生に使用される場合、前立腺癌タンパク質は、少なくとも1個のエピトープ又は決定基を完全長タンパク質と共有しなければならない。本明細書における「エピトープ」又は「決定基」は、典型的にはMHCに関連して抗体又はT細胞受容体を産生及び/又は結合するであろうタンパク質の一部を意味する。従ってほとんどの場合に、比較的小さい前立腺癌タンパク質に対して形成された抗体は、完全長タンパク質、特に線状エピトープに結合することができるであろう。好ましい態様において、エピトープは独自であり;すなわち、独自のエピトープに対して作成された抗体は、ほどんど又は全く交差反応性を示さない。
【0192】
ポリクローナル抗体の調製法は、当業者に公知である(例えば、Coligan、前掲;並びに、Harlow及びLane、前掲)。ポリクローナル抗体は、例えば免疫感作物質及び望ましいならばアジュバントの1回又は複数回の注射により、哺乳類において生じうる。典型的には、免疫感作物質及び/又はアジュバントは、複数回の皮下注射又は腹腔内注射により哺乳類に注射されると思われる。免疫感作物質は、図の核酸もしくはそれらの断片又はそれらの融合タンパク質によりコードされたタンパク質を含むことができる。これは、免疫感作された哺乳類において免疫原性であることがわかっているタンパク質への免疫感作物質の複合化において有用である。このような免疫原性タンパク質の例は、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシのチログロブリン、及びダイズトリプシンインヒビターを含むが、これらに限定されるものではない。使用することができるアジュバントの例は、フロイントの完全アジュバント及びMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコレート)を含む。免疫感作プロトコールは、当業者により必要以上の実験を行うことなく選択される。
【0193】
あるいは抗体は、モノクローナル抗体であることができる。モノクローナル抗体は、ケーラー(Kohler)及びミルスタイン(Milstein)、Nature、256:495(1975)に記されたような、ハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法において、マウス、ハムスター又は他の適当な宿主動物は、典型的には、免疫感作物質により免疫感作され、この免疫感作物質に特異的に結合する抗体を産生する又は産生することが可能であるリンパ球を誘起する。あるいは、これらのリンパ球は、インビトロにおいて免疫感作される。この免疫感作物質は、典型的には表1〜16の核酸とそれらの断片によりコードされたポリペプチド、又はそれらの融合タンパク質を含むであろう。一般に、ヒト起源の細胞が望ましい場合は末梢血リンパ球(「PBL」)のいずれかが使用され、又は非ヒト哺乳類起源が望ましい場合は、脾細胞もしくはリンパ節細胞が使用される。その後リンパ球は、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用い、不死化された細胞株に融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding、「モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice)」、59−103頁(1986))。不死化された細胞株は、通常形質転換された哺乳類細胞、特に齧歯類、ウシ及びヒト起源の骨髄腫細胞である。通常ラット又はマウスの骨髄腫細胞株が使用される。このハイブリドーマ細胞は、好ましくは融合されない不死化された細胞の増殖又は生存を阻害する物質を1種又は複数種含む適当な培養培地において培養することができる。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠損している場合、このハイブリドーマのための培養培地は、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を妨害するであろう。
【0194】
ある態様において、この抗体は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なる抗原に対する結合特異性を有するか、又は同じ抗原上の2種のエピトープに対する結合特異性を有するモノクローナル性の、好ましくはヒト又はヒト化された抗体である。ある態様において、結合特異性のひとつは、表1〜16の核酸又はそれらの断片によりコードされたタンパク質に関するものであり、別のものは、いずれか他の抗原、及び好ましくは細胞−表面タンパク質又は受容体もしくは受容体サブユニットに対するものであり、好ましくは腫瘍特異性のものである。あるいは、四量体型の技術は多価試薬を作成することができる。
【0195】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質に対する抗体は、以下に説明するように、前立腺癌タンパク質の生物機能を低下又は排除することが可能である。すなわち、抗前立腺癌タンパク質抗体(ポリクローナル又は好ましくはモノクローナルのいずれか)の前立腺癌組織(又は前立腺癌を含む細胞)への添加は、前立腺癌を低下又は排除することができる。一般に、活性、増殖、サイズなどの、少なくとも25%の低下が好ましく、少なくとも約50%が特に好ましく、及び約95〜100%の低下が特別に好ましい。
【0196】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質に対する抗体は、ヒト化抗体(例えば、Xenerex Biosciences社、Mederex社、Abgenix社、Protein Design Labs社)である。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化型は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそれらの断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は他の抗体の抗原結合部分配列)のキメラ分子である。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、望ましい特異性、親和性及び能力(capacity)を有するマウス、ラット又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で交換されているような、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられる。ヒト化抗体も、レシピエント抗体においても、外来性(imported)CDR又はフレームワーク配列においても認められない残基を含むことができる。一般にヒト化抗体は、少なくとも1個、及び典型的には2個の可変ドメインの全てを実質的に含み、ここでCDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応しており、並びに全て又は実質的に全てのフレームワーク(FR)領域は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含むことが最も適しているであろう(Jones ら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、332:323−329(1988);及び、Presta、Curr. Op. Struct. Biol.、2:593−596(1992))。ヒト化は、齧歯類CDR又はCDR配列を対応するヒト抗体の配列と置換することにより、本質的にWinterとその同僚の方法に従い行うことができる(Jonesら、Nature、321:522−525(1986);Riechmannら、Nature、332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science、239:1534−1536(1988))。従って、このようなヒト化抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、ここでは実質的に完全よりも少ないヒト可変ドメインが、対応する非ヒト種の配列で置換される。
【0197】
ヒト抗体も、当技術分野において公知である様々な技術を用いて産生することができ、これはファージディスプレイライブラリーを含む(Hoogenboom及びWinter、J. Mol. Biol.、227:381(1991);Marksら、J. Mol. Biol.、222:581(1991))。Coleら及びBoernerらの技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Coleら、「モノクローナル抗体及び癌療法(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)」77頁及びBoernerら、J. Immunol.、147(1):86−95(1991))。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の、トランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されているようなマウスへの導入により作出することができる。チャレンジ時に、ヒト抗体産生が認められ、これは、遺伝子再構成、集成及び抗体レパートリを含む全ての点においてヒトにおいて認められるものによく似ている。この方法は、例えば米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号、及び以下の科学刊行物:マークス(Marks)ら、Bio/Technology、10:779−783(1992);ロンバーグ(Lonberg)ら、Nature、368:856−859(1994);モリソン(Morrison)、Nature、368:812−13(1994);フィッシュワイルド(Fishwild)ら、Nature Biotechnology、14:845−51(1996);ニューバーガー(Neuberger)、Nature、Biotechnology、14:826(1996);ロンバーグ(Lonberg)及びフーザー(Huszar)、Intern. Rev. Immunol.、13:65−93(1995)に記されている。
【0198】
免疫療法は、前立腺癌タンパク質に対して生じた抗体による、前立腺癌の治療を意味する。本明細書において使用される免疫療法は、受動的又は能動的であることができる。本明細書において定義されるように、受動免疫療法は、抗体をレシピエント(患者)へ受動的に移す。能動免疫感作は、レシピエント(患者)に抗体及び/又はT細胞応答を誘導することである。免疫応答の誘導は、それに対し抗体が生じた抗原を伴うレシピエントを提供した結果である。当業者には理解されるように、この抗原は、それに対する抗体がレシピエントに生じることが望ましいようなポリペプチドの注射、又はレシピエントと抗原を発現することが可能である核酸の、抗原発現のための条件下での接触により、提供することができ、これは免疫応答につながる。
【0199】
好ましい態様において、それに対して抗体が生じる前立腺癌タンパク質は、前述のような分泌タンパク質である。理論的裏付けはないが、治療に使用される抗体は、分泌タンパク質に結合し、それが受容体へ結合することを妨害し、これにより分泌前立腺癌タンパク質を失活させる。
【0200】
別の好ましい態様において、それに対して抗体が生じる前立腺癌タンパク質は、膜貫通タンパク質である。理論的裏付けはないが、治療に使用される抗体は、前立腺癌タンパク質の細胞外ドメインに結合し、それが循環リガンド又は細胞に関連した分子のような他のタンパク質と結合することを妨害する。この抗体は、膜貫通前立腺癌タンパク質の下方制御を引き起し得る。当業者には理解されるように、この抗体は、前立腺癌タンパク質の細胞外ドメインに結合するタンパク質の競合的、非競合的又は未競合的インヒビターである。この抗体は、前立腺癌タンパク質のアンタゴニストでもある。更にこの抗体は、膜貫通前立腺癌タンパク質の活性化を妨害する。ある局面において、抗体が前立腺癌タンパク質への他の分子の結合を妨害する場合、この抗体は、細胞の成長を妨害する。この抗体は、TNF−α、TNF−β、IL−1、INF−γ及びIL−2を含むが、これらに限定されるものではない細胞傷害性物質、又は5FU、ビンブラスチン、アクチノマイシンD、シスプラチン、メトトレキセートなどの化学療法剤に対する、細胞の標的化又は増感にも使用することができる。場合によっては、この抗体は、膜貫通タンパク質と複合化された場合に血清補体を活性化する亜型に属し、これにより細胞傷害性又は抗原−依存型細胞傷害性(ADCC)を媒介する。従って、前立腺癌は、患者への膜貫通型前立腺癌タンパク質に対する抗体の投与により治療される。抗体の標識化により、共通毒素(co−toxin)を活性化し、毒素の最大積載(payload)を局在化し、さもなければ局所的に細胞を除去する手段が提供される。
【0201】
別の好ましい態様において、この抗体は、エフェクター部分に複合される。エフェクター部分は、放射標識又は蛍光標識のような標識化部位を含む、多くの分子であってもよく、治療的部分であってもよい。ある局面において、治療的部分は、前立腺癌タンパク質の活性を変調する小分子である。別の局面において、治療的部分は、前立腺癌タンパク質に関連した又は密に近接した分子の活性を変調する。この治療的部分は、前立腺癌に関連したプロテアーゼ又はコラゲナーゼ又はプロテインキナーゼ活性のような酵素活性を阻害することができる。
【0202】
好ましい態様において、治療的部分は、細胞傷害性物質であることもできる。この方法において、細胞傷害性物質の前立腺癌組織又は細胞への標的化は、罹患した細胞数を減少させ、これにより前立腺癌に関連した症状を軽減する。細胞傷害性物質は、多数であり、変動し、及び細胞傷害性薬物又は毒素もしくはこのような毒素の活性断片を含むが、これらに限定されるものではない。適当な毒素及びそれらの対応する断片は、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン(curcin)、クロチン、フェノマイシン、エノマイシンなどを含む。細胞傷害性物質は、放射性同位元素の前立腺癌タンパク質に対して生じた抗体への複合化、又は放射性核種の抗体に共有結合しているキレート剤との結合により作成された放射化学物質も含む。膜貫通型前立腺癌タンパク質への治療的部分の標的化は、前立腺癌に罹患した部分における治療的部分の局所濃度を増加するためだけではなく、治療的部分に関連し得る有害な副作用の低下にも役立つ。
【0203】
別の好ましい態様において、それに対し抗体が生じる前立腺癌タンパク質は、細胞内タンパク質である。この場合、抗体は、細胞への侵入を促進するタンパク質と複合し得る。ある場合は、この抗体は、エンドサイトーシスにより、細胞へ侵入する。別の態様において、この抗体をコードしている核酸が、個体又は細胞へ投与される。更に前立腺癌タンパク質が細胞内、すなわち核内で標的化される場合、抗体はその上、標的局在化のシグナル、すなわち核局在化シグナルを含む。
【0204】
本発明の前立腺癌抗体は、前立腺癌タンパク質に特異的に結合する。本明細書において「特異的結合」とは、Kが少なくとも約0.1mM、より一般的には少なくとも約1μM、好ましくは少なくとも約0.1μM又はそれ以上、もしくは最も好ましくは0.01μM又はそれ以上で、抗体がタンパク質に結合することを意味する。結合の選択性も重要である。
【0205】
診断及び治療用途のための前立腺癌配列の検出
ある局面において、遺伝子のRNA発現レベルは、前立腺癌表現型の異なる細胞状態について決定される。正常組織(すなわち、前立腺癌ではない)及び前立腺癌組織(及び場合によっては、以下に概説するように予後判定に関連した前立腺癌の変動する重症度について)における遺伝子の発現レベルが評価され、発現プロフィールを提供する。特定の細胞状態又は出現点(point of development)の発現プロフィールは、本質的にその状態の「フィンガープリント」である。2つの状態は同様に発現された特定の遺伝子を有する一方で、多くの遺伝子の評価は、同時に細胞の状態を反映している遺伝子発現プロフィールの作成を可能にする。異なる状態の細胞の発現プロフィールを比較することにより、これらの状態の各々においてどの遺伝子が重要であるかに関する情報(遺伝子の上方制御及び下方制御の両方を含む)が得られる。次に、診断が下されるか、もしくは組織試料が正常又は癌性組織の遺伝子発現プロフィールを有するかどうかの決定が確認される。これは、関連する状態の分子診断を提供するであろう。
【0206】
本明細書で使用される「示差的発現」又は文法上の同等物は、細胞及び組織の内側及び間での一時的な及び/又は細胞の遺伝子発現パターンにおける定性的又は定量的差異を意味する。従って、示差的に発現された遺伝子は、定性的に変更されたその発現を有することができ、これは例えば正常対前立腺癌組織における、活性化又は失活を含む。遺伝子は、別の状態に比べ、特定の状態で作動又は停止されるような、従って、2種以上の状態の比較を可能にする。定性的に調節された遺伝子は、標準技法により検出可能な状態又は細胞型において、発現パターンを示すであろう。一部の遺伝子は、ひとつの状態又は細胞型において発現されるが、両方においては発現されない。あるいは、発現の差異は、例えば発現は増加又は減少する点で定量的であり;すなわち、遺伝子発現は、上方制御され、増加量の転写物を生じるか、もしくは下方制御され、減少量の転写物を生じる。発現が異なる程度は、Affymetrix GeneChip(商標)発現アレイ(Lockhart、Nature Biotechnology、14:1675−1680(1996)、これは明確に参照として組入れられている)のような、以下に詳述する、標準の特徴決定技法により定量するのに十分な大きさであることのみが必要とされる。他の技法は、定量的逆転写酵素PCR、ノーザン分析、及びRNアーゼプロテクションを含むが、これらに限定されるものではない。先に概説したように、好ましい発現の変化(すなわち、上方制御又は下方制御)は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約150%、より好ましくは少なくとも約200%であり、300〜少なくとも1000%が特に好ましい。
【0207】
評価は、遺伝子転写物、又はタンパク質レベルについて行うことができる。遺伝子発現の量は、遺伝子転写物のDNA又はRNA同等物への核酸プローブ、もしくは遺伝子発現レベルの定量を用いモニタリングすることができるか、あるいは、最終の遺伝子産物それ自身(タンパク質)を、例えば前立腺癌タンパク質に対する抗体及び標準イムノアッセイ法(ELISAなど)、もしくは質量分析アッセイ法、2Dゲル電気泳動アッセイ法などを含む他の技術により、モニタリングすることができる。前立腺癌遺伝子に相当しているタンパク質、すなわち前立腺癌表現型において重要であると同定されたものを、前立腺癌診断試験において評価することができる。
【0208】
好ましい態様において、遺伝子発現モニタリングは、多くの遺伝子において同時に行われる。加えて複数のタンパク質発現のモニタリングも行うことができる。同様に、これらのアッセイ法は、個体ベースでも行うことができる。
【0209】
この態様において、前立腺癌核酸プローブは、特定の細胞中の前立腺癌配列の検出及び定量のために本明細書において概説されたバイオチップに付着される。このアッセイ法は更に、下記実施例において説明されている。PCR技法を用い、より良い感度を提供することができる。
【0210】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質をコードしている核酸が検出される。前立腺癌タンパク質をコードしているDNA又はRNAを検出することはできるが、特に興味深いのは、前立腺癌タンパク質をコードしているmRNAが検出される方法である。mRNAを検出するプローブは、mRNAに相補的でありかつハイブリダイズするヌクレオチド/デオキシヌクレオチドプローブであり、並びにオリゴヌクレオチド、cDNA又はRNAを含むが、これらに限定されるものではない。同じくプローブは、本明細書に定義されたように、検出可能な標識を含むのがよい。ある方法において、mRNAは、被験核酸が、ナイロン膜のような固相支持体上に固定され、及びプローブが試料とハイブリダイズした後に検出される。非特異的に結合したプローブを洗浄除去後、この標識が検出される。別法において、mRNAの検出はインサイチュで行われる。この方法において、透過性上昇した細胞又は組織試料は、検出可能な標識された核酸プローブと、プローブが標的mRNAとハイブリダイズするのに十分な時間接触される。非特異的に結合したプローブを洗浄除去した後、標識が検出される。例えば、前立腺癌タンパク質をコードしているmRNAに相補的であるジゴキシゲニンで標識したリボプローブ(RNAプローブ)は、ジゴキシゲニンの抗ジゴキシゲニン二次抗体との結合、並びにニトロブルーテトラゾリウム及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル(indoyl)リン酸による呈色により検出される。
【0211】
好ましい態様において、本明細書に記されたタンパク質の3クラス(分泌、膜貫通又は細胞内タンパク質)由来の様々なタンパク質を診断アッセイ法に使用することができる。前立腺癌のタンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質及び前立腺癌配列を含む細胞が、診断アッセイ法において使用される。これは個々の遺伝子又は対応するポリペプチドレベルで行うことができる。好ましい態様において、発現プロフィールが使用され、好ましくは発現プロフィール遺伝子及び/又は対応するポリペプチドのモニタリングを可能にするハイスループットスクリーニング技術と組合わせて使用される。
【0212】
本明細書に説明されかつ定義されたように、細胞内、膜貫通又は分泌タンパク質を含む前立腺癌タンパク質は、前立腺癌のマーカーとしての用途が見いだされた。前立腺癌と予想される組織におけるこれらのタンパク質の検出は、前立腺癌の検出又は診断を可能にする。ある態様において、抗体を使用し、前立腺癌タンパク質を検出する。好ましい方法は、ゲル上の電気泳動(典型的には変性及び還元タンパク質ゲルであるが、等電点ゲルなどを含む別のゲル型であることもできる。)により、試料からタンパク質を分離する。タンパク質の分離後、例えば前立腺癌タンパク質に対する抗体によるイムノブロッティングにより、前立腺癌タンパク質が検出される。イムノブロッティング法は、当業者には周知である。
【0213】
別の好ましい方法において、前立腺癌タンパク質に対する抗体は、例えば組織学でのインサイチュ画像形成技術における用途を見いだす(例えば「細胞生物学における方法:細胞生物学における抗体(Methods in Cell Biology: Antibodies in Cell Biology)」第37巻(Asai編、1993))。この方法において、細胞は、前立腺癌タンパク質に対する1種〜数種の抗体と接触される。非特異的抗体結合の洗浄除去後、1種又は複数の抗体の存在が検出される。ある態様において、抗体は、検出可能な標識を含む二次抗体とインキュベーションすることにより検出される。別法において、前立腺癌タンパク質に対する一次抗体は、検出可能な標識、例えば基質に作用することができる酵素マーカーを含む。別の好ましい態様において、複数の一次抗体の各々は、識別されかつ検出可能な標識を含む。この方法は、複数の前立腺癌タンパク質の同時スクリーニングにおける用途を見いだす。当業者に理解されるように、多くの他の組織学的画像形成技術も、本発明により提供される。
【0214】
好ましい態様において、標識は、様々な波長の発光を検出及び識別する能力を有する蛍光光度計により検出される。加えて、蛍光活性化細胞選別機(FACS)を本方法において使用することができる。
【0215】
別の好ましい態様において、抗体は、血液、血清、血漿、糞便、及び他の試料からの前立腺癌の診断における用途を見いだす。従ってこのような試料は、前立腺癌タンパク質の存在についてプロービング又は試験される試料として有用である。抗体は、ELISA、イムノブロッティング(ウェスタンブロッティング)、免疫沈降、BIACORE技法などを含む先に説明されたイムノアッセイ技術により、前立腺癌タンパク質の検出に使用することができる。対照的に、抗体の存在は、内因性前立腺癌タンパク質に対する免疫応答を示し得る。
【0216】
好ましい態様において、標識化された前立腺癌核酸プローブの組織アレイに対するインサイチュハイブリダイゼーションが行われる。例えば、前立腺癌組織及び/又は正常組織を含む組織試料アレイが作成される。インサイチュハイブリダイゼーション(例えば、Ausubel、前掲参照)が次に行われる。個体と標準の間のフィンガープリントを比較する際に、当業者は、所見を基に診断、予後判定、又は予測することができる。更にこの診断を示している遺伝子は、予後判定を示すものとは異なることがあること、及び細胞状態の分子プロファイリングは治療反応性又は治療抵抗性の状態の間を識別するか、もしくは転帰を予測できることも理解される。
【0217】
好ましい態様において、前立腺癌のタンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質及び前立腺癌配列を含む細胞は、予後判定アッセイ法において使用される。前述のように、長期の予後判定に関し、前立腺癌に相関している遺伝子発現プロフィールを作成することができる。再度これも、タンパク質又は遺伝子レベルのいずれかで行うことができ、遺伝子の使用が好ましい。前述のように、前立腺癌プローブは、組織又は患者中の前立腺癌配列の検出及び定量のために、バイオチップに付着することができる。このアッセイ法は、診断について先に概説したように進められる。PCR法はより感度が良く正確な定量を提供することができる。
【0218】
治療的化合物のアッセイ法
好ましい態様において、本明細書に説明したタンパク質、核酸及び抗体の一員が、薬物スクリーニングアッセイ法において使用される。前立腺癌タンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質及び前立腺癌配列を含む細胞が、薬物スクリーニングアッセイ法において、又は「遺伝子発現プロフィール」もしくはポリペプチドの発現プロフィールに対する薬物候補の作用の評価により、使用される。好ましい態様において、発現プロフィールが使用され、好ましくは候補物質による処理後の発現プロフィール遺伝子のモニタリングを可能にするハイスループットスクリーニング技術と組合わせて使用される(例えば、Zlokarnikら、Science、279:84−8(1998);Heid、Genome Res.、6:986−94(1996))。
【0219】
好ましい態様において、前立腺癌のタンパク質、抗体、核酸、修飾されたタンパク質及び未変性の又は修飾された前立腺癌タンパク質を含む細胞が、スクリーニングアッセイにおいて使用される。すなわち本発明は、前立腺癌表現型を変調する組成物又は同定された前立腺癌タンパク質の生理的機能の新規スクリーニング法を提供する。前述のように、これは、個々の遺伝子レベルで、又は「遺伝子発現プロフィール」に対する薬物候補の作用の評価により、行うことができる。好ましい態様においては、発現プロフィールが使用され、好ましくは候補物質による処理後の発現プロフィール遺伝子のモニタリングを可能にするハイスループットスクリーニング技術と組合わせて使用され、これはツロカニク(Zlokarnik)らの論文(前掲)を参照のこと。
【0220】
本明細書において示差的に発現された遺伝子を同定し、様々なアッセイ法を実行することができる。好ましい態様において、アッセイ法は、個々の遺伝子又はタンパク質レベルで試行することができる。すなわち、前立腺癌における上方制御として特定の遺伝子が同定されると、試験化合物を、遺伝子発現を変調する又は前立腺癌タンパク質に結合する能力についてスクリーニングすることができる。従って「変調」は、遺伝子発現の増加及び減少の両方を含む。好ましい変調量は、正常対前立腺癌組織における遺伝子発現の当初の変化に応じて決まり、この変化は少なくとも10%、好ましくは50%、より好ましくは100〜300%、及び一部の態様においては300〜1000%又はそれよりも多いと思われる。従って、遺伝子が前立腺癌組織において正常組織と比べ4倍の増加を示すならば、およそ4倍の減少が望ましいことが多く;同様に、前立腺癌組織において正常組織と比べ10倍の減少は、その試験化合物により誘導されるべき発現における10倍増加の目標値を提供することが多い。
【0221】
遺伝子発現の量は、核酸プローブを用いてモニタリングされ、及び遺伝子発現レベル、あるいは遺伝子産物それ自身の定量は、例えば、前立腺癌タンパク質に対する抗体の使用及び標準のイムノアッセイによりモニタリングされる。プロテオミクス及び分離技術も、発現の定量を可能にする。
【0222】
好ましい態様において、多くの実体の遺伝子発現又はタンパク質モニタリング、すなわち発現プロフィールは、同時にモニタリングされる。このようなプロフィールは、典型的には、本明細書において説明した複数のそれらの実体に関連していると思われる。
【0223】
この態様において、前立腺癌核酸プローブは、特定の細胞中の前立腺癌配列の検出及び定量のために、以下に概説したようにバイオチップに付着される。あるいは、PCRを利用することができる。従って例えば、一連のマイクロタイタープレートを、望ましいウェル中に分配されたプライマーと共に使用することができる。次にPCR反応が、各ウェルについて行われ分析される。
【0224】
発現モニタリングを行い、1種又は複数の前立腺癌に関連した配列、例えば表1〜16に示されたポリヌクレオチド配列の発現を修飾する化合物を同定することができる。一般に、好ましい態様において、分析前に試験モジュレーターが細胞に添加される。更に前立腺癌を変調する物質、前立腺癌タンパク質を変調する物質、前立腺癌タンパク質に結合する物質、もしくは前立腺癌タンパク質及び抗体又は他の結合のパートナーとの結合を妨害する物質を同定するための、スクリーニングも提供される。
【0225】
本明細書において使用される「試験化合物」又は「薬物候補」又は「モジュレーター」という用語又は文法上の同等物は、前立腺癌表現型又は前立腺癌配列の発現、例えば核酸もしくはタンパク質配列の発現を直接的又は間接的に変更する能力について試験されるいずれかの分子、例えばタンパク質、オリゴペプチド、小有機分子、多糖類、ポリヌクレオチド等を説明する。好ましい態様において、モジュレーターは、発現プロフィール、又は本明細書において提供される発現プロフィールの核酸もしくはタンパク質を変更する。ある態様において、モジュレーターは、例えば正常組織フィンガープリントに対し、前立腺癌表現型を抑制する。別の態様において、モジュレーターは、前立腺癌表現型を誘導する。一般に、複数のアッセイ混合物が、様々な濃度に対する示差的反応を得るために、異なる物質濃度で、平行して試行される。典型的には、これらの濃度のひとつを、陰性対照、すなわちゼロ濃度又は検出レベル以下として利用する。
【0226】
薬物候補は、多くの化学クラスを包含しているが、典型的にはこれらは有機分子、好ましくは分子量100ダルトンより多く及び約2,500ダルトン未満である小有機化合物である。好ましい小分子は、2000D未満、又は1500D未満、もしくは1000D未満又は500D未満である。候補物質は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含み、典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル又はカルボキシル基を含み、好ましくは少なくとも2個の官能化学基を含む。この候補物質は、1個又は複数の前記官能基で置換された環状炭素又はヘテロ環式構造及び/又は芳香族もしくはポリ芳香族構造を含むことが多い。候補物質は、ペプチド、糖質、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体又はそれらの組合せを含む、生体分子においても見つけられる。特に好ましいのはペプチドである。
【0227】
ある局面において、モジュレーターは、前立腺癌タンパク質の作用を中和すると思われる。「中和」とは、タンパク質の活性が阻害又はブロックされ、結果として細胞に対する作用が生じることを意味する。
【0228】
ある態様において、可能性のあるモジュレーターのコンビナトリアルライブラリーが、前立腺癌ポリペプチドに結合する能力又は活性を変調する能力についてスクリーニングされる。通常、有用な特性を伴う新規化学実体は、化学化合物(「リード化合物」と称される)を、いくつかの望ましい特性又は活性、例えば阻害活性について同定し、リード化合物の変種を生成し、及びこれらの変種化合物の特性及び活性を評価することにより、作出される。しばしば、このような分析のために、ハイスループットスクリーニング(HTS)法が利用される。
【0229】
ある好ましい態様において、ハイスループットスクリーニング法は、非常に多数の可能性のある治療的化合物(候補化合物)を含むライブラリーを提供する。このような「コンビナトリアルケミカルライブラリー」は、その後、望ましい特徴的活性を示すライブラリーメンバー(特定の化学種又はサブクラス)を同定する1種又は複数のアッセイ法によりスクリーニングされる。こうして同定された化合物は、通常の「リード化合物」として利用することができるか、又はそれら自身見込みのある又は実際の治療において使用され得る。
【0230】
コンビナトリアルケミカルライブラリーは、試薬のような多くのケミカル「ビルディングブロック」の組合せにより、化学合成又は生物学的合成のいずれかにより作成された多様な化学化合物の集合である。例えば、ポリペプチド(例えば突然変異タンパク質)ライブラリーのような、線形(linear)コンビナトリアルケミカルライブラリーが、所定の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)に関する可能性のある各方法で、アミノ酸と称されるケミカルビルディングブロックのセットの組合せにより作成される。数百万にも及ぶ化学化合物が、ケミカルビルディングブロックのこのようなコンビナトリアル混合を通じて合成され得る(Gallopら、J. Med Chem.、37(9):1233−1251(1994))。
【0231】
コンビナトリアルケミカルライブラリーの調製及びスクリーニングは、当業者に周知である。このようなコンビナトリアルケミカルライブラリーは、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka、Pept. Prot. Res.、37:487−493(1991)、Houghtonら、Nature、354:84−88(1991))、ペプトイド(PCT国際公開公報第91/19735号)、コードされたペプチド(PCT国際公開公報第93/20242号)、ランダムバイオオリゴマー(PCT国際公開公報第92/00091号)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン及びジペプチドのようなダイバーソマー(diversomer)(Hobbsら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、90:6909−6913(1993))、ビニル系ポリペプチド(Hagiharaら、J. Amer. Chem. Soc.、114:6568(1992))、β−D−グルコース足場を伴う非ペプチド系ペプチド擬似物(Hirschmannら、J. Amer. Chem. Soc.、114:9217−9218(1992))、小化合物ライブラリーの類似体有機合成(Chenら、J. Amer. Chem. Soc.、116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Choら、Science、261:1303(1993))、及び/又はペプチジルリン酸(Campbellら、J. Org. Chem.、59:658(1994))を含むが、これらに限定されるものではない。一般に、ゴードン(Gordon)らの論文(J. Med. Chem.、37:1385(1994))、核酸ライブラリー(例えばStrategene社参照)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば米国特許第5,539,083号参照)、抗体ライブラリー(例えばVaughnら、Nature Biotechnology、14(3):309−314(1996)、及びPCT/US96/10287号参照)、糖質ライブラリー(例えばLiangら、Science、274:1520−1522(1996)、及び米国特許第5,593,853号参照)、並びに小有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum, C&EN、1月18日、33頁(1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノン及びメタチアゾノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号及び第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベアゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号;など)を参照のこと。
【0232】
コンビナトリアルライブラリー調製のための装置は、市販されている(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech社、ルイスビル(KY)、Symphony、Rainin社、ウォーバーン(MA)、433A、Applied Biosystems社、フォスターシティー(CA)、9050 Plus、Millipore社、ベッドフォード(MA)参照のこと)。
【0233】
多くの周知のロボット型システムも、液相化学のために開発されている。これらのシステムは、武田化学工業(大阪、日本)により開発された自動合成装置のような、自動化されたワークステーションを備え、並びに多くのロボット型システムは、ロボットアームを使用し(Zymate II、Zymark社、ホプキントン、MA;Orca、Hewlett−Packard社、パロアルト、CA)、これは化学者により行われる手動合成操作を模倣している。前記装置のいずれかが、本発明での使用に適している。本明細書に記載のように操作することができるためのこれらの装置の改良の性質及び実行(存在するならば)は、関連技術分野の業者には明らかであろう。加えて多くのコンビナトリアルライブラリーが、それら自身市販されている(例えば、ComGenex社、プリンストン(NJ)、Asinex社、モスクワ(ロシア)、Tripos社、セントルイス(MO)、ChemStar社、モスクワ(ロシア)、3D Pharmaceuticals社、エクストン(PA)、Martek Biosciences社、コロンビア(MD)など)
【0234】
モジュレーターを同定するアッセイ法は、ハイスループットスクリーニングに順応し易い。従って好ましいアッセイ法は、前立腺癌遺伝子転写の増強又は阻害、ポリペプチド発現の阻害又は増強、及びポリペプチド活性の阻害又は増強を検出する。
【0235】
特定の核酸又はタンパク質産物の存在、非存在、定量、又は他の特性に関するハイスループットアッセイ法は、当業者には周知である。同様に結合アッセイ法及びレポーター遺伝子アッセイ法が同様に周知である。従って例えば、米国特許第5,559,410号は、タンパク質のハイスループットスクリーニング法を開示し、米国特許第5,585,639号は、核酸結合(すなわちアレイ内)に関するハイスループットスクリーニング法を開示している一方で、米国特許第5,576,220号及び第5,541,061号は、リガンド/抗体結合のスクリーニングのためのハイスループット法を開示している。
【0236】
加えて、ハイスループットスクリーニングシステムが市販されている(例えば, Zymark社、ホプキントン、MA;Air Technical Industries社、メントール、OH; Beckman Instruments社、フレルトン、CA;Precision Systems社、ナチック、MAなど参照)。これらのシステムは、典型的には、試料及び試薬の全てのピペッティング、液体分配、一定時間のインキュベーション、及びアッセイ法に適した検出器におけるマイクロプレートの最終読み取りを含む、全段階が自動化されている。これらの構築可能なシステムは、ハイスループット及び迅速な始動、更には高度の柔軟性及び特注生産を提供する。このようなシステムの製造業者は、様々なハイスループットシステムのための詳細なプロトコールを提供している。従って例えば、Zymark社は、遺伝子転写、リガンド結合などの変調を検出するスクリーニングシステムを説明している技術報を提供している。
【0237】
ある態様において、モジュレーターはタンパク質であり、多くは天然のタンパク質又は天然のタンパク質の断片である。従って、例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、又はタンパク質性細胞抽出物のランダムもしくは指定された消化物を使用することができる。この方法において、本発明の方法でのスクリーニングのためのタンパク質ライブラリーが、作成される。この態様において特に好ましいのは、細菌、真菌、ウイルス、及び哺乳類タンパク質のライブラリーであり、後者が好ましく、かつヒトタンパク質が特に好ましい。特に有用な試験化合物は、標的が属するタンパク質の種類、例えば酵素又はリガンドの基質及び受容体に関するであろう。
【0238】
好ましい態様において、モジュレーターは、約5〜約30個のアミノ酸のペプチドであり、約5〜約20個のアミノ酸が好ましく、約7〜約15個が特に好ましい。これらのペプチドは、前述のような天然のタンパク質の消化物、ランダムペプチド、又は「バイアスがかかった(biased)」ランダムペプチドであってもよい。本明細書における「ランダム化された」又は文法上の同等物は、各核酸及びペプチドが、本質的に、各々、ランダムヌクレオチド及びアミノ酸からなることを意味している。一般にこれらのランダムペプチド(又は以下に論ずる核酸)は化学的に合成されるので、これらは、いずれかの位置でいずれかのヌクレオチド又はアミノ酸に取込まれる。この合成プロセスは、配列の長さを超える全て又はほとんどの可能な組合せの形成を可能にするために、ランダム化されたタンパク質又は核酸を作成するように設計することができ、その結果ランダム化された候補生物活性タンパク質性物質のライブラリーが形成される。
【0239】
ある態様において、ライブラリーは、完全にランダム化され、いずれの位置においても配列の優先傾向(preference)又は不変のもの(constant)はない。好ましい態様において、ライブラリーはバイアスがかかっている。つまり、配列内のいくつかの位置は、一定に維持されるか又は現定数の可能性から選択されるかのいずれかである。例えば好ましい態様において、ヌクレオチド又はアミノ酸残基は、例えば疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的にバイアスがかかった(小又は大いずれかの)残基、ある種の核酸結合ドメインに向けて、システインの形成、架橋、SH−3ドメインのためのプロリン、リン酸化部位のためのセリン、トレオニン、チロシンもしくはヒスチジンなど、又はプリンなどのような、限定された種類にランダム化されている。
【0240】
前立腺癌のモジュレーターは、以下に定義するように核酸であってもよい。概してタンパク質に関して先に示したように、核酸変調物質は、天然の核酸、ランダム核酸、又は「バイアスがかかった」ランダム核酸であることができる。例えば、原核ゲノム又は真核ゲノムの消化を、先にタンパク質について概説したように使用することができる。
【0241】
ある態様において、前立腺癌に関連したタンパク質の活性は、アンチセンスポリヌクレオチド、すなわち、前立腺癌タンパク質mRNAのような、コードしているmRNA核酸配列又はそれらの部分配列に相補的な核酸、及びこれらに優先的に特異的にハイブリダイズする核酸の使用により、下方制御されるか、又は全く阻害される。アンチセンスポリヌクレオチドのmRNAへの結合は、mRNAの翻訳及び/又は安定性を低下する。
【0242】
本発明の状況において、アンチセンスポリヌクレオチドは、天然のヌクレオチド、又は天然のサブユニットもしくはそれらの密接な相同体から形成された合成種を含み得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、変更された糖部分又は内部糖連結も有し得る。これらの中の好例は、当技術分野における使用が公知である、ホスホロチオエート及び他のイオウ含有種である。類似体は、前立腺癌タンパク質mRNAにハイブリダイズするよう効果的に機能する限りは、本発明に包含される。例えば、Isis Pharmaceutics社、カールスパッド、CA;Sequitor社、ナチック、MA参照のこと。
【0243】
このようなアンチセンスポリヌクレオチドは、組換え手段を用い容易に合成するか、もしくはインビトロ合成することができる。このような合成装置は、Applied Biosystems社を含むいくつかの専門業者から販売されている。ホスホロチオエート及びアルキル化された誘導体のような他のオリゴヌクレオチドの調製も、当業者には周知である。
【0244】
本明細書において使用されるアンチセンス分子は、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを含む。センスオリゴヌクレオチドは、例えば、アンチセンス鎖への結合による転写をブロックするために使用することができる。アンチセンス及びセンスオリゴヌクレオチドは、前立腺癌分子の標的mRNA(センス)又はDNA(アンチセンス)配列に結合することが可能である1本鎖核酸配列(RNA又はDNAのいずれか)を含む。本発明に従い、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドは、断片、一般には少なくとも約14個のヌクレオチド、好ましくは約14〜30個のヌクレオチドを含む。所定のタンパク質をコードしているcDNA配列を基に、アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドを誘導する能力は、例えばステイン(Stein)及びコーエン(Cohen)の論文(Cancer Res.、48:2659(1988))及びファンデルクロール(van der Krol)らの論文(BioTechniques、6:958(1988))に記されている。
【0245】
アンチセンスポリヌクレオチドに加え、リボザイムを、前立腺癌に関連したヌクレオチド配列の標的化及び転写の阻害に使用することができる。リボザイムは、他のRNA分子を触媒的に切断するRNA分子である。様々な種類のリボザイムが説明されており、これはグループIリボザイム、ハンマーヘッド型リボザイム、ヘアピン型リボザイム、RNアーゼ P、及び斧頭型リボザイムを含む(様々なリボザイムの特性の全般的検証については、例えば、Castanottoら、Adv.、Pharmacology、25:289−317(1994)参照)。
【0246】
ヘアピン型リボザイムの一般的特徴は、例えば、ハンペル(Hampel)らの論文(Nucl. Acids Res.、18:299−304(1990));欧州特許公開第0 360 257号;米国特許第5,254,678号に開示されている。調製法は、当業者に周知である(例えば、国際公開公報第94/26877号;Ojwangら、Proc. Natl. Acad Sci. USA、90:6340−6344(1993);Yamadaら、Human Gene Therapy、1:39−45(1994);Leavittら、Proc. Natl Acad Sci. USA、92:699−703(1995);Leavittら、Human Gene Therapy、5:1151−120(1994);及び、Yamadaら、Virology、205:121−126(1994)参照)。
【0247】
前立腺癌のポリヌクレオチドモジュレーターは、国際公開公報第91/04753号に開示されたような、リガンド結合分子との複合体の形成により、標的ヌクレオチド配列を含む細胞へ導入することができる。適当なリガンド結合分子は、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、又は細胞表面受容体に結合する他のリガンドを含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、このリガンド結合分子の複合体は、リガンド結合分子のその対応する分子又は受容体に結合する能力を実質的に妨害せず、又はセンスもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその複合体化されたものの細胞への侵入をブロックしない。あるいは、前立腺癌のポリヌクレオチドモジュレーターは、例えば、国際公開公報第90/10448号に開示されたように、ポリヌクレオチド−脂質複合体の形成により、標的核酸配列を含む細胞へ導入することができる。アンチセンス分子又はノックアウト及びノックインモデルの使用も、治療法に加え、前述のようなスクリーニングアッセイ法において使用することができることが理解される。
【0248】
前記のように、遺伝子発現モニタリングは、候補モジュレーター(例えば、タンパク質、核酸又は小分子)の試験に都合良く使用される。候補物質が添加され及び細胞がある期間インキュベーションされた後、分析される標的配列を含む試料が、バイオチップに添加される。必要に応じて、この標的配列は、公知の技術を用いて調製される。例えばこの試料は、適宜行われるPCRのような精製及び/又は増幅により、公知の溶解緩衝液、電気穿孔などを用い、細胞を溶解するように処理することができる。例えば、ヌクレオチドに共有結合した標識によるインビトロ転写が実行される。一般に、核酸は、ビオチンFITCもしくはPE、又はcy3もしくはcy5により標識される。
【0249】
好ましい態様において、標的配列は、例えば、蛍光、化学発光、化学的、又は放射性シグナルにより標識され、プローブへの標的配列の特異的結合を検出する手段を提供する。この標識は、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼのような、酵素であることもでき、これが適当な基質と共に提供された場合には、検出することができる生成物を生成する。あるいは、標識は、酵素に結合するが、これを触媒も変更もしないような、酵素インヒビターのような標識された化合物又は小分子であることができる。標識は同じく、エピトープタグ又はストレプトアビジンに特異的に結合するビオチンのような部分又は化合物であることもできる。ビオチンの例に関し、ストレプトアビジンが前述のように標識され、これにより結合した標的配列についての検出可能なシグナルが提供される。未結合の標識されたストレプトアビジンは、典型的には分析前に除去される。
【0250】
当業者に理解されるように、これらのアッセイ法は、直接ハイブリダイゼーションアッセイ法であるか、又は複数のプローブの使用を含む「サンドイッチアッセイ法」を含むことができ、これらは概して米国特許第5,681,702号、第5,597,909号、第5,545,730号、第5,594,117号、第5,591,584号、第5,571,670号、第5,580,731号、第5,571,670号、第5,591,584号、第5,624,802号、第5,635,352号、第5,594,118号、第5,359,100号、第5,124,246号及び第5,681,697号に開示されており、これらは全て本明細書に参照として組入れられている。この態様において、一般に、標的核酸が前述のように調製され、次に複数の核酸プローブを含むバイオチップへ、ハイブリダイゼーション複合体を形成することができるような条件下で、添加される。
【0251】
様々なハイブリダイゼーション条件を、本発明において使用することができ、これは、先に概説したような、高、中及び低ストリンジェンシー条件を含む。これらのアッセイ法は、一般に標的が存在する場合にのみ標識プローブのハイブリダイゼーション複合体を形成するようなストリンジェンシー条件下で行われる。ストリンジェンシーは、温度、ホルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピック塩濃度、pH、有機溶媒濃度などを含むが、これらに限定されるものではないような、熱力学的変数である段階パラメータを変更することにより制御することができる。
【0252】
これらのパラメータは、更に一般に米国特許第5,681,697号に開示されたような、非特異的結合の制御のためにも使用することができる。従って、非特異的結合を低下するような比較的高ストリンジェンシー条件で、段階を実行することが望ましい。
【0253】
本明細書に概説した反応は、様々な方法で実現することができる。この反応の成分は、以下に概説した好ましい態様により、同時に、又は逐次、異なる順で添加することができる。加えて、この反応は様々な他の試薬を含むことができる。これらは、塩、緩衝液、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤などを含み、これは最適なハイブリダイゼーション及び検出を促進し、並び/又は非特異的もしくはバックグランド相互作用を低下させるために使用される。さもなければアッセイ効率を向上する試薬、例えばプロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗微生物剤なども、試料調製法及び標的の純度に応じて、適宜利用することができる。
【0254】
このアッセイデータは、個々の遺伝子の、発現レベル、状態間の発現レベルの変化を決定し、遺伝子発現プロフィールを形成するために解析される。
【0255】
スクリーニングは、前立腺癌表現型のモジュレーターを同定するために行われる。ひとつの態様において、スクリーニングは、特定の発現プロフィールを誘導又は抑制することができるモジュレーターを同定する、従って好ましくは関連した表現型を作成するために行われる。例えば診断用途のような別の態様において、特定の状態において重要である示差的に発現された遺伝子が同定され、個々の遺伝子の発現を変更するモジュレーターを同定するために、スクリーニングを行うことができる。別の態様において、スクリーニングは、示差的に発現された遺伝子の発現産物の生物学的機能を変更するモジュレーターを同定するために実行される。更に、特定の状態における遺伝子の重要性が同定され、遺伝産物に結合する及び/又は生物学的活性を変調する物質を同定するために、スクリーニングが実行される。
【0256】
加えて、候補物質に対する反応が誘導される遺伝子についてスクリーニングを行うことができる。モジュレーターを、正常発現パターンにつながる前立腺癌発現パターンを抑制する能力、又は正常組織由来の遺伝子の発現を模倣するために単独の前立腺癌遺伝子発現プロフィールを変調する能力を基に同定した後、前述のスクリーニングを、この物質に反応して特異的に変調された遺伝子を同定するために実行することができる。正常組織と物質で処理した前立腺癌組織の間の発現プロフィールの比較は、正常組織又は前立腺癌組織においては発現されないが、物質で処理された組織においては発現される遺伝子を明らかにしている。これらの物質特異的配列は、前立腺癌遺伝子又はタンパク質について、本明細書に記載の方法により、同定されかつ使用される。特にこれらの配列及びこれがコードしているタンパク質は、物質で処理された細胞の印付け又は同定における用途が見いだされている。加えて、抗体を、この物質が誘導したタンパク質に対し生じ、かつ処置した前立腺癌組織試料に対する新規治療の標的化に使用することができる。
【0257】
従ってある態様において、試験化合物は、関連した前立腺癌発現プロフィールを有する、前立腺癌細胞の集団に投与される。本明細書における「投与」又は「接触」とは、候補物質が、取込み及び細胞内作用によるか、もしくは細胞表面での作用のいずれかにより、細胞に作用することを可能にする方法で、物質が細胞へ添加されることを意味する。一部の態様において、例えばPCT/US97/01019号に記されたように、タンパク質性候補物質(すなわちペプチド)をコードしている核酸が、アデノウイルス又はレトロウイルス構築物のようなウイルス構築物に入れられ、かつ細胞に追加され、その結果このペプチド物質の発現が実現される。調節可能な遺伝子療法システムも使用することができる。
【0258】
一旦試験化合物が細胞に投与されたならば、これらの細胞は、望ましいならば洗浄され、かつ好ましくは生理的条件下である期間インキュベーションすることができる。次にこれらの細胞は収集され、及び本明細書に概説したように、新規遺伝子発現プロフィールが作成される。
【0259】
従って例えば、前立腺癌組織は、前立腺癌表現型を変調、例えば誘導又は抑制する物質についてスクリーニングされる。発現プロフィールの少なくとも1種、好ましくは多くの遺伝子の変化は、この物質が前立腺癌活性に作用を有することを示している。このような前立腺癌表現型の痕跡(signature)を定義することにより、表現型を変更する新規薬物のスクリーニングを考案することができる。この方法では、この薬物標的は、公知である必要はなく、当初の発現スクリーニングプラットフォームにおいて提示される必要はないばかりか、標的タンパク質の転写物レベルが変化する必要もない。
【0260】
好ましい態様において、先に概説したように、スクリーニングは、個々の遺伝子及び遺伝子産物(タンパク質)について行うことができる。すなわち、特定の示差的に発現された遺伝子が特定の状態において重要であると同定され、遺伝子又は遺伝子産物のいずれかのそれ自身の発現のモジュレーターのスクリーニングを行うことができる。示差的に発現された遺伝子の遺伝子産物は、本明細書において時には、「前立腺癌タンパク質」又は「前立腺癌変調タンパク質」と称される。この前立腺癌変調タンパク質は、表1〜16の核酸によりコードされた断片であるか、あるいは断片に対する完全長タンパク質であることができる。好ましくは、前立腺癌変調タンパク質は断片である。好ましい態様において、配列同一性又は類似性を決定するために使用される前立腺癌アミノ酸配列は、表1〜16の核酸によりコードされている。別の態様において、これらの配列は、表1〜16の核酸によりコードされたタンパク質の天然の対立遺伝子変種である。別の態様において、これらの配列は、本明細書において更に説明される配列変種である。
【0261】
好ましくは、前立腺癌変調タンパク質は、長さがおよそ14〜24個のアミノ酸の断片である。より好ましくは、この断片は可溶性断片である。好ましくは、この断片は、非膜貫通領域を含む。好ましい態様において、この断片は、溶解度を補助するためのN末端Cysを有する。ある態様において、この断片のC末端は遊離酸として維持され、N末端はカップリングを補助するための遊離アミン、すなわちシステインである。
【0262】
ある態様において、前立腺癌タンパク質は、本明細書において考察したように、免疫原性物質に複合される。ある態様において、前立腺癌タンパク質はBSAに複合される。
【0263】
前立腺癌ポリペプチド活性、又は前立腺癌もしくは前立腺癌表現型の測定は、様々なアッセイ法を用いて行うことができる。例えば、前立腺癌ポリペプチドの機能に対する試験化合物の作用は、前記のようなパラメータを試験することにより測定することができる。活性に影響を及ぼす適当な生理的変化を用い、試験化合物の本発明のポリペプチドに対する影響を評価することができる。機能性の結果が無傷の細胞又は動物を用いて決定された場合、腫瘍、腫瘍成長、腫瘍転移、血管新生、ホルモン放出、既知だが特徴決定されていない遺伝的マーカーへの転写変化(例えばノーザンブロット)、細胞の成長又はpHの変化のような細胞代謝の変化、並びにcGMPのような細胞内二次メッセンジャーの変化に関連した前立腺癌症例における、様々な作用も測定することができる。本発明のアッセイ法において、例えばマウス、好ましくはヒトである、哺乳類前立腺癌ポリペプチドが典型的には使用される。
【0264】
活性を変調している化合物を同定するアッセイ法は、インビトロにおいて行うことができる。例えば、前立腺癌ポリペプチドは最初に、可能性のあるモジュレーターと接触され、適当な時間、例えば0.5〜48時間インキュベーションされる。ある態様において、前立腺癌ポリペプチドレベルは、タンパク質又はmRNAのレベルの測定により、インビトロで決定される。タンパク質のレベルは、前立腺癌ポリペプチド又はそれらの断片と選択的に結合する抗体との、ウェスタンブロッティング、ELISAなどのイムノアッセイ法を用いて測定される。mRNAの測定のためには、例えばPCR、LCRを用いる増幅、又はハイブリダイゼーションアッセイ法、例えばノーザンハイブリダイゼーション、RNアーゼプロテクション、ドットブロッティングが好ましい。タンパク質又はmRNAのレベルは、直接的又は間接的に標識された検出物質を用いて検出され、例えば、蛍光的又は放射性に標識された核酸、放射性又は酵素的に標識された抗体などが本明細書において説明されている。
【0265】
あるいは、レポーター遺伝子システムを、ルシフェラーゼ、グリーン蛍光タンパク質、CAT、又はβ−galのようなレポーター遺伝子に操作可能に連結された前立腺癌タンパク質プロモーターを用い考案することができる。このレポーター構築物は、典型的には細胞にトランスフェクションされる。可能性のあるモジュレーターによる処理後、レポーター遺伝子の転写、翻訳又は活性の量が、当業者に公知の標準技術に従い測定される。
【0266】
好ましい態様において、先に概説したように、スクリーニングを、個々の遺伝子及び遺伝子産物(タンパク質)について行うことができる。すなわち、特定の示差的に発現された遺伝子は特定の状態において重要であることが同定され、遺伝子又は遺伝子産物それ自身の発現のモジュレーターのスクリーニングを行うことができる。示差的に発現された遺伝子の遺伝子産物は、本明細書においては時には「前立腺癌タンパク質」と称される。前立腺癌タンパク質は、断片であるか、あるいは本明細書に示された断片に対する完全長タンパク質であることができる。
【0267】
ある態様において、特異的遺伝子の発現のモジュレーターに関するスクリーニングが実行される。典型的には、わずかにひとつ又は数種の遺伝子の発現が評価される。別の態様において、スクリーニングは、最初に示差的に発現されたタンパク質に結合する化合物を発見するように設計されている。これらの化合物は、次に示差的に発現された活性を変調する能力について評価される。更に、一旦最初の候補化合物が同定されたならば、構造活性相関をより良く評価するために、変種が更にスクリーニングされる。
【0268】
好ましい態様において、結合アッセイ法が行われる。一般に、精製又は単離された遺伝子産物が使用され、すなわち、1種又は複数の示差的に発現された核酸の遺伝子産物が作成される。例えば、抗体がタンパク質遺伝子産物に対して作成され、かつ標準イムノアッセイ法が、存在するタンパク質量を決定するために試行される。あるいは、前立腺癌タンパク質を含む細胞を、これらのアッセイ法において使用することができる。
【0269】
従って好ましい態様において、これらの方法は、前立腺癌タンパク質と候補化合物を組合わせる段階、及びこの化合物の前立腺癌タンパク質への結合を決定する段階を含む。好ましい態様は、ヒト前立腺癌タンパク質を利用するが、例えばヒト疾患の動物モデルの開発において他の哺乳類タンパク質も使用することができる。一部の態様において、本明細書に概説したように、変種又は誘導体前立腺癌タンパク質を使用することができる。
【0270】
一般に、本明細書の方法の好ましい態様において、前立腺癌タンパク質又は候補物質は、独立した試料受取り領域(例えば、マイクロタイタープレート、アレイなど)を有する不溶性支持体へ、非拡散性に(non−diffusably)結合される。この不溶性支持体は、組成物が結合し、可溶性物質から容易に分離され、さもなければスクリーニングの方法全般と適合性のあるようないずれかの組成物から製造することができる。このような支持体の表面は、固形又は多孔質であり及び都合の良い形状であることができる。適当な不溶性支持体の例は、マイクロタイタープレート、アレイ、膜及びビーズである。これらは典型的には、ガラス、プラスチック(例えばポリスチレン)、多糖類、ナイロン、又はニトロセルロース、テフロン(登録商標)などで製造されている。マイクロタイタープレート及びアレイは、特に都合が良く、その理由は少量の試薬及び試料を用い、非常に多数のアッセイ法を同時に行うことができるからである。具体的な組成物の結合法は、これが本発明の試薬及び方法全般と適合性があり、組成物の活性を維持し、かつ非拡散性である限りは、重要ではない。結合の好ましい方法は、抗体の使用(タンパク質が支持体に結合した場合に、リガンド結合部位も活性化配列のいずれも立体的に妨害しない)、「粘着性」又はイオン性支持体への直接結合、化学架橋結合、その表面上でのタンパク質又は物質の合成などを含む。タンパク質又は物質の結合後、過剰な未結合の材料が洗浄除去される。次に試料受取り領域は、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン又は他の無害のタンパク質もしくは他の部分とのインキュベーションによりブロックすることができる。
【0271】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質は、支持体へ結合され、及び試験化合物はこのアッセイへ添加される。あるいは、この候補物質は、支持体へ結合され、かつ前立腺癌タンパク質が添加される。新規結合物質は、特異的抗体、化学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定された非天然の結合物質、ペプチド類似体などである。特に興味深いのは、ヒト細胞にとって低い毒性を有する物質のスクリーニングアッセイ法である。標識されたインビトロタンパク質−タンパク質結合アッセイ法、電気泳動移動度シフトアッセイ法、タンパク質結合のイムノアッセイ法、機能アッセイ法(リン酸化アッセイ法など)などを含む、多種多様なアッセイ法を、この目的のために使用することができる。
【0272】
試験変調する化合物の前立腺癌タンパク質への結合の決定は、多くの方法で行うことができる。好ましい態様において、この化合物は標識化され、例えば、前立腺癌タンパク質の全て又は一部の固相支持体への付着、標識された候補物質(例えば蛍光標識)の添加、過剰な試薬の洗浄除去、及び標識が固相支持体上に存在するかどうかの決定により、結合が直接決定される。様々なブロック段階及び洗浄段階を、適宜利用することができる。
【0273】
一部の態様において、わずかにひとつの成分が標識され、例えばタンパク質(又はタンパク質性候補化合物)が標識され得る。あるいは、1種よりも多い成分が、例えばタンパク質については125I、及び化合物については発蛍光団体のように、異なる標識により標識されることもできる。近接試薬(proximity reagent)、例えば消光剤又はエネルギー転移剤も有用である。
【0274】
ある態様において、試験化合物の結合は、競合的結合アッセイ法により決定される。競合対象(competitor)は、標的分子(すなわち前立腺癌タンパク質)に結合することがわかっている結合部分であり、例えば抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンドなどである。ある環境下において、化合物と結合部分の間で競合的に結合し、この結合部分は化合物と置き換わる。ある態様において、この試験化合物は標識されている。この化合物、競合対象のいずれか、又は両方を、最初にタンパク質に、これが存在する場合に結合を可能にするのに十分な時間添加する。最適活性を促進する温度、典型的には4〜40℃で、インキュベーションが行われる。インキュベーション時間は、典型的には、例えば迅速ハイスループットスクリーニングを促進するために最適化される。典型的には0.1〜1時間で十分であると考えられる。過剰な試薬は、一般に除去又は洗浄される。次に第二の成分が添加され、標識化された成分の存在又は非存在に従い結合が示される。
【0275】
好ましい態様において、競合対象が最初に添加され、それに試験化合物が続く。競合対象の置き換えは、試験化合物が前立腺癌タンパク質に結合し、その結果前立腺癌タンパク質活性への結合、及び可能性のある変調が可能であることの指標である。この態様において、いずれかの成分が標識され得る。従って、例えば競合対象が標識されている場合、洗浄液中の標識の存在は、この物質と置き換わったことの指標である。あるいは、試験化合物が標識されている場合、支持体上の標識の存在は、置き換えの指標である。
【0276】
代替の態様において、試験化合物が最初に添加され、それに競合対象が続き、インキュベーション及び洗浄される。競合対象による結合が存在しないということは、試験化合物が前立腺癌タンパク質へ高親和性で結合したことを示し得る。従って試験化合物が標識された場合、競合対象の結合を欠いた支持体上の標識の存在は、この試験化合物は前立腺癌タンパク質への結合が可能であることを示し得る。
【0277】
好ましい態様において、これらの方法は、前立腺癌タンパク質の活性を変調することが可能である物質を同定するための示差的スクリーニングを含む。この態様において、これらの方法は、第一の試料中での前立腺癌タンパク質及び競合対象の組合せを含む。第二の試料は、試験化合物、前立腺癌タンパク質、及び競合対象を含む。競合対象の結合は、両試料について決定され、及び2つの試料間の結合の変化、又は差異は、前立腺癌タンパク質に結合することが可能でありかつその活性を変調する可能性のある物質の存在を示している。すなわち、競合対象の結合が第一の試料と比べ第二の試料において異なる場合、この物質は前立腺癌タンパク質に結合することが可能である。
【0278】
あるいは、示差的スクリーニングを用い、未変性の前立腺癌タンパク質に結合するが、修飾された前立腺癌タンパク質には結合しない薬物候補を同定する。前立腺癌タンパク質の構造はモデル化され、その部位と相互作用する物質を合成するための、理論的薬物設計において使用されている。前立腺癌タンパク質の活性に影響を及ぼす薬物候補も、このタンパク質の活性を増強又は低減するいずれかの能力に関する薬物のスクリーニングにより同定される。
【0279】
陽性対照及び陰性対照を、これらのアッセイ法において使用することができる。好ましくは、統計学的に有意な結果を得るために、対照試料及び試験試料が、少なくとも3つ組で実行される。全ての試料のインキュベーションは、物質がタンパク質に結合するのに十分な時間行う。インキュベーション後、試料は非特異的に結合した材料を含まぬよう洗浄され、結合した量、一般には標識された物質の量が決定される。例えば、放射性標識が使用される場合、試料はシンチレーションカウンターで計数され、結合した化合物量が決定される。
【0280】
様々な他の試薬を、スクリーニングアッセイ法において含むことができる。これらは、塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤などの試薬を含み、これらは、最適なタンパク質−タンパク質結合を促進し、及び/又は、非特異的もしくはバックグラウンド相互作用を低下させるために使用される。他方でプロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗微生物剤などのようなアッセイ効率を向上させる試薬も使用することができる。成分の混合物を、必要な結合を提供する順番で添加することができる。
【0281】
好ましい態様において、本発明は、前立腺癌タンパク質の活性を変調することが可能である化合物をスクリーニング方法を提供する。これらの方法は、前述のような、試験化合物を、前立腺癌タンパク質を含む細胞へ添加することを含む。好ましい細胞型は、ほとんどあらゆる細胞を含む。これらの細胞は、前立腺癌タンパク質をコードしている組換え核酸を含む。好ましい態様において、候補物質のライブラリーが、複数の細胞について試験される。
【0282】
ある局面において、これらのアッセイ法は、例えばホルモン、抗体、ペプチド、抗原、サイトカイン、増殖因子、活動電位、化学療法剤を含む薬理学的物質、放射線、発癌物質、又は他の細胞(すなわち、細胞−細胞接触)などの、生理的シグナルの存在もしくは非存在又は以前のもしくは引き続きの曝露を評価する。別の例において、これらの決定は、細胞周期進行の異なる期において決定される。
【0283】
この方法において、前立腺癌物質を変調する化合物が同定される。薬理学的活性を伴う化合物は、前立腺癌タンパク質の活性を増強又は妨害することができる。一旦同定されると、化合物の重要な構造的特徴を確定するために、同様の構造が評価される。
【0284】
ある態様において、前立腺癌細胞の分裂を阻害する方法が提供される。この方法は、前立腺癌インヒビターの投与を含む。別の態様において、前立腺癌を阻害する方法が提供される。この方法は、前立腺癌インヒビターの投与を含む。更なる態様において、前立腺癌を伴う細胞又は個体の治療法が提供される。この方法は、前立腺癌インヒビターの投与を含む。
【0285】
ある態様において、前立腺癌インヒビターは、前述の抗体である。別の態様において、前立腺癌インヒビターは、アンチセンス分子である。
【0286】
以下に説明するように、様々な細胞の成長、増殖及び転移アッセイが、当業者に公知である。
【0287】
軟寒天増殖又は懸濁液中のコロニー形成
正常細胞は、接着及び増殖するために固形基体を必要とする。細胞が形質転換された場合、これらはこの表現型を失い、基体から離れて増殖する。例えば、形質転換された細胞は、攪拌している懸濁培養液中で増殖させるか、又は半固形もしくは軟寒天のような半固形培地において懸濁される。形質転換された細胞が、腫瘍抑制遺伝子によりトランスフェクションされた場合は、これは正常表現型を再生し、接着及び増殖するために固形基体を必要とする。軟寒天増殖又は懸濁アッセイ法におけるコロニー形成を用い、前立腺癌配列のモジュレーターを同定することができ、これは宿主細胞において発現された場合に、異常細胞の増殖及び形質転換を阻害する。治療的化合物は、攪拌している懸濁培養液において増殖する又は半固形又は軟質のような半固形培地において懸濁される宿主細胞の能力を低下又は排除するであろう。
【0288】
軟寒天増殖又は懸濁アッセイ法におけるコロニー形成の技術は、フレシュニーの「動物細胞の培養、基本技術マニュアル(Culture of Animal Cells a Manual of Basic Technique)」(第3版、1994年)を参照し、これは本明細書に参照として組入れられている。同じく、本明細書に参照として組入れられているガーカブツセブ(Garkavtsev)らの論文(1996、前掲)の「方法」の項目も参照のこと。
【0289】
増殖の接触阻止及び密度限界
正常細胞は、典型的には、他の細胞に接触するようになるまで、ペトリ皿内で平板かつ方向性のあるパターンで増殖する。細胞が別の細胞に接触するようになると、これらは接触阻止され、増殖を停止する。しかし細胞が悪性転換された場合、これらの細胞は、接触阻止されず、無方向性の増殖巣で高密度になるまで増殖し続ける。従って悪性転換された細胞は、正常細胞よりも高い飽和濃度まで増殖する。これは、正常な周辺細胞の規則的パターン内の増殖巣内に細胞又は円形細胞の方向性のない単層を形成することにより、形態学的に検出することができる。あるいは、飽和密度での(H)−チミジンによる標識指標を用い、増殖の密度限界を測定することができる。フレシュニーの論文(1994)前掲を参照のこと。悪性転換された細胞は、腫瘍抑制遺伝子でトランスフェクションされた場合には、正常表現型を再生し、接触阻止され始め、及びより低い密度まで増殖すると思われる。
【0290】
このアッセイ法において、飽和密度での(H)−チミジンによる標識指標は、増殖の密度限界測定の好ましい方法である。形質転換された宿主細胞は、前立腺癌に関連した配列でトランスフェクションされ、非限定培地条件において飽和密度で24時間増殖される。(H)−チミジンによる細胞標識の割合(%)は、オートラジオグラフィーにより決定される。フレシュニーの論文(1994)前掲を参照のこと。
【0291】
増殖因子又は血清依存
悪性転換された細胞は、それらの正常な対応物よりも低い血清依存性を有する(例えば、Temin、J. Natl. Cancer Insti、37:167−175(1966);Eagleら、J. Exp. Med.、131:836−879(1970));Freshney、前掲参照)。これは、一部、悪性転換された細胞による様々な増殖因子の放出に起因している。悪性転換された宿主細胞の増殖因子又は血清依存は、対照のそれと比較することができる。
【0292】
腫瘍特異マーカーレベル
腫瘍細胞は、それらの正常な対応物よりも増加量のある種の因子(以後「腫瘍特異マーカー」)を放出する。例えばプラスミノーゲン活性化因子(PA)は、ヒト神経膠腫から正常脳細胞よりも高いレベルで放出される(例えば、Gullino、「血管新生、腫瘍性血管形成、及び可能性のある腫瘍増殖妨害(Angiogenesis, tumor vascularization, and potential interference with tumor growth)」、Biological Responses in Cancer、178−184頁、(Mihich編、1985)参照)。同様に、腫瘍性血管形成因子(TAF)が、腫瘍細胞において正常な対応物よりもより高いレベルで放出される。例えば、フォルクマン(Folkman)、「血管新生及び癌(Angiogenesis and Cancer)」、Sem Cancer Biol.、(1992)参照)。
【0293】
これらの因子の放出を測定する様々な技術は、フレシュニー(1994)、前掲に記載されている。更に、アンクレス(Unkless)ら、J. Biol. Chem.、249:4295−4305(1974);ストリックランド(Strickland)及びビアーズ(Beers)、J. Biol. Chem.、251:5694−5702(1976);フー(Whur)ら、Br. J. Cancer、42:305−312(1980);グリノ(Gullino)、「血管新生、腫瘍性血管形成、及び可能性のある腫瘍増殖妨害(Angiogenesis, tumor vascularization, and potential interference with tumor growth)」、Biological Responses in Cancer、178−184頁、(Mihich編、1985)参照);フレシュニー、Anticancer Res.、5:111−130(1985)参照のこと。
【0294】
マトリゲルへの浸潤
マトリゲル又はいくつかの他の細胞外マトリックス構成要素への浸潤の程度は、前立腺癌に関連した配列を変調する化合物を同定するアッセイ法として用いることができる。腫瘍細胞は、悪性度とマトリゲル又はいくつかの他の細胞外マトリックス構成要素への細胞浸潤の間に良好な相関関係を示す。このアッセイ法において、腫瘍形成性細胞は、典型的には宿主細胞として使用される。これらの宿主細胞における腫瘍抑制遺伝子の発現は、宿主細胞の浸潤を減少するであろう。
【0295】
フレシュニーの論文(1994、前掲)に記された技術を用いることができる。簡単に述べると、宿主細胞の浸潤レベルは、マトリゲル又はいくつかの細胞外マトリックス構成要素により被覆されたフィルターを用いて測定することができる。ゲルへの、又はフィルターの遠位側への浸透は、浸潤度として等級化され、細胞の数及び移動距離により、もしくは125Iによる細胞の予備標識及びフィルターの遠位側又は皿の底での放射能の計測により、組織学的に等級化される。例えば、フレシュニーの論文(1984、前掲)参照。
【0296】
インビボにおける腫瘍増殖
前立腺癌に関連した配列の細胞成長に対する影響を、トランスジェニック又は免疫抑制したマウスにおいて試験することができる。前立腺癌遺伝子が破壊されたか、又は前立腺癌遺伝子が挿入されたノックアウトトランスジェニックマウスを作出することができる。ノックアウトトランスジェニックマウスは、相同的組換えによる、マウスゲノムの内因性前立腺癌遺伝子部位への、マーカー遺伝子又は他の異種遺伝子の挿入により作出することができる。このようなマウスは、内因性前立腺癌遺伝子の前立腺癌遺伝子の変異した型との置換により、又は内因性前立腺癌遺伝子の、例えば発癌物質への曝露による変異によっても作出することができる。
【0297】
DNA構築物は、胚性幹細胞の核に導入される。新たに遺伝子操作した遺伝的病巣を含む細胞が宿主マウス胚に注入され、これがレシピエントの雌に再移植される。これらの胚の一部は、この変異体細胞株に一部由来した生殖細胞を有するキメラマウスを発生する。こうしてキメラマウスを繁殖させることにより、導入された遺伝的病巣を含むマウスの新規株を得ることが可能である(例えば、Capecchiら、Science、244:1288(1989)参照)。キメラ標的化されたマウスは、ホーガン(Hogan)らの論文(「マウス胚操作:実験マニュアル(Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory社(1988))、及び「奇形癌腫及び胚性幹細胞:実践的方法(Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach)」、ロバートソン(Robertson)編、IRL Press社、ワシントンD.C.、(1987)に従い、誘導することができる。
【0298】
あるいは様々な、免疫抑制された又は免疫欠損した宿主動物を使用することができる。例えば、遺伝的胸腺欠損「ヌード」マウス(例えばGiovanellaら、J. Natl. Cancer Inst.、52:921(1974)参照)、SCIDマウス、胸腺摘出マウス、又は放射線照射マウス(例えば、Bradleyら、Br. J. Cancer、38:263(1978);Selbyら、Br. J. Cancer、41:52(1980))を、宿主として使用することができる。同質遺伝子系宿主へ注入された移植可能な腫瘍細胞(典型的には約10個細胞)は、症例の高い比率で浸潤性腫瘍を形成する一方で、同様の起源の正常細胞は生じないであろう。浸潤性腫瘍を発生した宿主において、前立腺癌に関連した配列を発現している細胞が、皮下注射される。適当な期間、好ましくは4〜8週間の後、腫瘍の成長が測定され(例えば、容量又は二方向最大寸法により)、及び対照と比較された。統計学的に有意な減少(例えばスチューデントT検定を使用)を示す腫瘍は、成長が阻害されたと称される。
【0299】
変種前立腺癌に関連した配列の同定法
理論的裏付けはないが、様々な前立腺癌配列の発現は、前立腺癌に相関している。従って、変異体又は変種の前立腺癌遺伝子を基にした障害を決定することができる。ある態様において、本発明は、例えば細胞内の少なくとも1種の内因性前立腺癌遺伝子の配列を全て又は一部決定する、変種前立腺癌遺伝子を含む細胞を同定する方法を提供する。これは、かなり多くの配列決定技術を使用し実現される。好ましい態様において、本発明は、例えば、個体の少なくとも1種の前立腺癌遺伝子の配列を全て又は一部決定する、個体の前立腺癌遺伝子型の同定法を提供する。これは一般に、個体の少なくとも1種の組織において実行され、多くの組織又は同じ組織の異なる試料の評価を含むことができる。この方法は、配列決定された前立腺癌遺伝子の配列を、公知の前立腺癌遺伝子、すなわち野生型遺伝子と比較することを含む。
【0300】
次に前立腺癌遺伝子の全て又は一部の配列は、何らかの差異が存在するかどうかを決定するために、公知の前立腺癌遺伝子配列と比較することができる。これは、Bestfitのような、かなり多数の公知の相同性プログラムを用いて行うことができる。好ましい態様において、患者の前立腺癌遺伝子と公知の前立腺癌遺伝子の間の配列の差異の存在は、本明細書に概説するように、病態又は病態の傾向に相関している。
【0301】
好ましい態様において、前立腺癌遺伝子は、ゲノム内の前立腺癌遺伝子のコピー数を決定するためのプローブとして使用される。
【0302】
別の好ましい態様において、前立腺癌遺伝子は、前立腺癌遺伝子の染色体局在化を決定するためのプローブとして使用される。染色体局在化のような情報は、特に転座などの染色体異常が前立腺癌遺伝子座において同定された場合に、診断又は予後判定を提供する際の用途が見いだされる。
【0303】
薬学的組成物及びワクチン組成物の投与
ひとつの態様において、治療的有効量の前立腺癌タンパク質又はそれらのモジュレーターが、患者に投与される。本明細書において「治療的有効量」は、投与されるものに対する作用を生じる用量を意味する。正確な用量は、治療目的によって決まり、かつ公知の技術を用い当業者は確かめることができるであろう(例えば、Anselら、「医薬剤形及び薬物送達;(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery)」; Lieberman、「医薬剤形(Pharmacoceutical Dosage Forms)(1−3巻、1992)、Dekker、ISBN0824770846、082476918X、0824712692、0824716981;Lloyd、「医薬配合の技術、科学及び技法(The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding)」(1999);並びに、Pickar、「用量決定(Dosage Calculations)、(1999))。当技術分野において公知であるように、前立腺癌縮退、全身的対局所的送達、及び新規プロテアーゼ合成速度の調節に加え、年齢、体重、全身の状態、性別、食事、投与時間、薬物相互作用及び状態の重症度が、必要であり、及び当業者は通常の実験により確認することができるであろう。米国特許出願第09/687,576号は、更に、前立腺癌における診断及び処置の組成物の使用及び方法を開示しており、これは本明細書に参照として組入れられている。
【0304】
本発明の目的に関する「患者」は、ヒト及び他の動物の両方を含み、特に哺乳類である。従って、これらの方法は、臨床治療及び獣医学用途の両方に適用可能である。好ましい態様において、患者は哺乳類、好ましくは霊長類であり、及び最も好ましい態様において患者はヒトである。
【0305】
本発明の前立腺癌タンパク質及びそれらのモジュレーターの投与は、前述のように、経口、皮下、静脈内、点鼻、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、経膣、経直腸、又は眼内投与を含むが、これらに限定されるものではない様々な方法で行うことができる。例えば創傷及び炎症の治療のように、場合によっては、前立腺癌タンパク質及びモジュレーターを、溶液又はスプレイとして直接塗布することができる。
【0306】
本発明の薬学的組成物は、患者への投与に適した形状内に前立腺癌タンパク質を含有している。好ましい態様において、薬学的組成物は、水溶性の形であり、例えば薬学的に許容できる塩として存在し、これは酸及び塩基付加塩の両方を含むことを意味している。「薬学的に許容できる酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性を維持している塩、並びに塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及び酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などのような有機酸により形成された生物学的でない又はさもなければ望ましくない塩を意味する。「薬学的に許容できる塩基付加塩」には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などのような無機塩基由来の塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩である。薬学的に許容できる有機非毒性塩基由来の塩には、1級、2級及び3級アミン、天然の置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンの塩が含まれる。
【0307】
この薬学的組成物は、以下のものを1種又は複数含むこともできる:血清アルブミンのような担体タンパク質;緩衝液;微晶質セルロース、乳糖、コーンスターチ及び他のスターチのような充填剤;結合剤;甘味剤及び他の矯味矯臭剤;着色剤;及び、ポリエチレングリコール。
【0308】
薬学的組成物は、投与法に応じ様々な単位剤形で投与することができる。例えば、経口投与に適した単位剤形は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤及びトローチ剤を含むが、これらに限定されるものではない。前立腺癌タンパク質モジュレーター(例えば、抗体、アンチセンス構築物、リボザイム、小有機分子など)は、経口投与された場合に、消化から保護されなければならないことは認められる。これは典型的には、これらの分子の酸及び酵素による加水分解に対する抵抗性を付与するための組成物との複合体化によるか、又はリポソームもしくはタンパク質障壁のような適切な抵抗性の担体中のこれらの分子のパッケージングのいずれかにより達成される。消化から物質を保護する手段は、当技術分野において周知である。
【0309】
投与組成物は、通常、薬学的に許容できる担体、好ましくは水性担体中に溶解された前立腺癌タンパク質モジュレーターを含むであろう。様々な水性担体を使用することができ、例えば緩衝化された生理食塩水などである。これらの溶液は無菌であり、及び一般には望ましくない物質(matter)を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術により滅菌することができる。これらの組成物は、pH調節剤及び緩衝剤、毒性調節剤などのような、生理的条件に近づけるのに必要である薬学的に許容できる補助物質を含有することができ、これは例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどである。これらの処方中の有効成分濃度は、広く変動することができ、主に液体容積、粘度、体重などを基に、選択された投与の具体的様式及び患者の必要性に従い選択される(例えば、「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Science)」(第15版、1980)、並びにGoodman及びGiliman、「治療の薬理学的基礎(The Pharmacologial Basis of Therapeutics)」(Hardmanら編、1996)参照)。
【0310】
従って、静脈内投与のための典型的薬学的組成物は、1日に患者1人当り約0.1〜10mgである。特にこの薬物が、隔離された部位に投与され、体腔又は臓器管腔などの血流には投与されない場合には、1日に患者1人当り0.1から最大約100mgの用量を使用することができる。実質的により高い用量が、局所投与において可能である。非経口投与可能な組成物を調製する実際の方法は、前掲の「レミントン薬科学」並びにグッドマン(Goodman)及びギルマン(Giliman)「治療の薬理学的基礎(The Pharmacologial Basis of Therapeutics)」などで、当業者には公知であるか、又は明らかであろう。
【0311】
前立腺癌タンパク質のモジュレーターを含むこれらの組成物は、治療的又は予防的処置のために投与することができる。治療的用途において、組成物は、疾患(例えば癌)に罹った患者へ、疾患及びその合併症を治癒又は少なくとも部分的に抵抗するのに十分量で投与される。これを達成するのに適当な量は、「治療的有用量」として定義される。この使用のための有効量は、疾患の重症度及び患者の全般的健康状態に応じて変動するであろう。組成物の単回又は反復投与が、必要な用量及び頻度並びに患者の忍容性に応じて投与される。あらゆる事象において、この組成物は、患者を効果的に治療するために、本発明の物質を十分量を提供しなければならない。哺乳類における癌発症の妨害又は遅延を可能にするモジュレーター量は、「予防的有効量」と称されている。予防的処置に必要な具体的投与量は、哺乳類の医学的状態及び病歴、妨害される具体的癌に加え、他の要因、例えば年齢、体重、性別、投与経路、効能などによって決まるであろう。このような予防的処置を、例えば癌の再発を防止するために癌の既応のある哺乳類において、又は有意な尤度で癌発症の疑いがある哺乳類において使用することができる。
【0312】
本発明の前立腺癌タンパク質変調化合物は、単独で、又は追加的前立腺癌変調化合物又は他の治療剤、例えば他の抗癌剤又は処置と併用して投与することができることは理解されるであろう。
【0313】
多くの態様において、1種又は複数種の核酸、例えばアンチセンスポリヌクレオチド又はリボザイムのような、表1〜16に示す核酸配列を含むポリヌクレオチドは、インビトロ又はインビボにおいて細胞へ導入されるであろう。本発明は、インビトロ(細胞非含有)、エクスビボ又はインビボ(細胞又は生体ベース)の組換え体発現システムを用い、前立腺癌に関連したポリペプチド及び核酸の発現に有用な方法、試薬、ベクター、及び細胞を提供する。
【0314】
タンパク質又は核酸の発現のための核酸の宿主細胞への導入のために使用される具体的手法は、用途によって固有である。外来ヌクレオチド配列の宿主細胞への導入には多くの手法が使用される。これらは、クローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNA又は他の外来遺伝子材料の宿主細胞への導入のための、リン酸カルシウムトランスフェクション、スフェロプラスト、電気穿孔、リポソーム、微量注入、プラズマベクター(plasma vector)、ウイルスベクター及び他の周知の方法のいずれかの使用を含む(例えば、Berger及びKimmel、「分子クローニング法指針;酵素的方法(Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology)」、第152巻(Berger)、Ausubelら編、「最新プロトコール(Current Protocols)」(1999年の補遺)、並びにSambrookら、「分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning − A Laboratory Manual)」(第2版、1−3巻、1989年))。
【0315】
好ましい態様において、前立腺癌タンパク質及びモジュレーターは、治療薬として投与され、先に概説したように処方され得る。同様に、前立腺癌遺伝子(前立腺癌コード領域の完全長配列、部分配列、又は調節配列を含む)は、遺伝子治療用途において投与することができる。これらの前立腺癌遺伝子は、当業者により理解されるように、遺伝子療法(すなわち、ゲノムへの組込み)として、又はアンチセンス組成物としてのいずれかのアンチセンス用途を含む。
【0316】
前立腺癌ポリペプチド及びポリヌクレオチドも、HTL、CTL及び抗体反応を刺激するために、ワクチン組成物として投与することができる。このようなワクチン組成物は、例えば、リピド化された(lipidated)ペプチド(例えば、Vitiello, A.ら、J. Clin. Invest.、95:341(1995)参照)、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」)ミクロスフェア中に封入されたペプチド組成物(例えば、Eldridgeら、Molec. Immunol.、28:287−294(1991);Alonsoら、Vaccine、12:299−306(1994);Jonesら、Vaccine、13:675−681(1995)参照)、免疫刺激複合体(ISCOMS)中に含まれたペプチド組成物(例えば、Takahashiら、Nature、344:873−875(1990);Huら、Clin Exp Immunol.、113:235−243(1998)参照)、マルチ抗原ペプチドシステム(MAP)(例えば、Tam、Proc. Natl. Acad Sci. USA、85:5409−5413(1988);Tam、J. Immunol. Methods、196:17−32(1996)参照)、多価ペプチドとして処方されたペプチド;遺伝子銃(ballistic)による送達システムで使用するペプチド、典型的には結晶化したペプチド、ウイルス送達ベクター(Perkusら、「ワクチン開発の概念(Concepts in vaccine development)」(Kaufmann編、379頁、1996);Chakrabartiら、Nature、320:535(1986);Huら、Nature、320:537(1986);Kienyら、AIDS Bio/Technology、4:790(1986);Topら、J. Infect. Dis.、124:148(1971);Chandaら、Virology、175:535(1990))、ウイルス又は合成起源の粒子(例えばKoflerら、J. Immunol. Methods、192:25(1996);Eldridgeら、Sem. Hematol、30:16(1993);Faloら、Nature Med.、7:649(1995))、アジュバント(Warrenら、Annu. Rev. Immunol.、4:369(1986);Guptaら、Vaccine、11:293(1993))、リポソーム(Reddyら、J. Immunol.、148:1585(1992);Rock、Immunol. Today、17:131(1996))、又は裸のもしくは粒子吸収したcDNA(Ulmerら、Science、259:1745(1993);Robinsonら、Vaccine、11:957(1993);Shiverら、「ワクチン開発の概念(Concepts in vaccine development)」(Kaufmann編、423頁、1996);Cease及びBerzofsky、Annu. Rev. Immunol.、12:923(1994)、並びにEldridgeら、Sem. Hematol.、30:16(1993))を含むことができる。毒素を標的化した送達技術も、受容体媒介型標的化として公知であり、Avant Immunotherapeutics社(ニードハム、MA)のものも使用することができる。
【0317】
ワクチン組成物は、アジュバントを含むことが多い。多くのアジュバントが、水酸化アルミニウム又は鉱油のような、抗原を迅速な代謝から保護するために、及びリピドA、百日咳菌(Bordetella pertussis)又は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来のタンパク質のような、免疫応答の刺激剤のように設計された物質を含む。ある種のアジュバントは市販されており、例えばフロイント不完全アジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories社、デトロイト、MI);メルク(Merck)アジュバント65(Merck社、ラーウェイ、NJ);AS−2(SmithKline Beecham社、フィラデルフィア、PA);水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)又はリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩;カルシウム、鉄又は亜鉛の塩;アシル化されたチロシンの不溶性懸濁液;アシル化された糖質;カチオン性又はアニオン性に誘導された多糖;ポリホスファゼン;生分解性ミクロスフェア;モノホスホリルリピドA及びクイル(quil)Aがある。サイトカイン、例えばGM−CSF、インターロイキン−2、インターロイキン−7、インターロイキン−12、及び他の増殖因子なども、アジュバントとして使用することができる。
【0318】
ワクチンは、1種又は複数のポリペプチド、又はその断片をコードしているDNA又はRNAが患者に投与されるような核酸組成物として投与することができる。この方法は、例えばウォルフ(Wolff)ら、Science、247:1465(1990)に加え、米国特許第5,580,859号;第5,589,466号;第5,804,566号;第5,739,118号;第5,736,524号;第5,679,647号;国際公開公報第98/04720号に開示され;及び以下により詳細に説明されている。DNAベースの送達技術の例は、「裸のDNA」、促進型(ブピビカイン(bupivicaine)、ポリマー、ペプチド媒介型)送達、カチオン性脂質複合体、及び粒子媒介型(「遺伝子銃」)又は圧力媒介型送達(例えば、米国特許第5,922,687号参照)がある。
【0319】
治療的又は予防的免疫感作を目的として、本発明のペプチドは、ウイルスベクター又は細菌ベクターにより発現することができる。発現ベクターの例は、ワクシニア又は鶏痘などの弱毒化されたウイルス宿主を含む。この方法は、ワクシニアウイルスの、例えば前立腺癌ポリペプチド又はポリペプチド断片をコードしているヌクレオチド配列を発現するベクターとしての使用に関連している。宿主への導入時、この組換えワクシニアウイルスは、免疫原性ペプチドを発現し、これにより免疫応答を惹起する。免疫感作プロトコールにおいて有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば米国特許第4,722,848号に開示されている。別のベクターは、BCG(バシル・カルメット・ゲラン)である。BCGベクターは、シュテーバー(Stover)ら、Nature、351:456−460(1991)に説明されている。治療的投与又は免疫処置に有用な多種多様なその他のベクター、例えばアデノ随伴ウイルスベクター及びアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、腸チフス菌(Salmonella typhi)ベクター、解毒した炭疽菌毒素ベクターなどが、ここでの説明から当業者には明らかであろう(例えば、Shataら、Mol Med Today、6:66−71(2000);Shedlockら、J Leukoc Biol、68:793−806(2000);Hippら、In Vivo、14:571−85(2000)参照)。
【0320】
遺伝子のDNAワクチンとしての使用法は周知であり、これは前立腺癌遺伝子又は前立腺癌遺伝子の一部を、前立腺癌患者における発現のために調節可能なプロモーター又は組織特異的プロモーターの制御下に配置することを含む。DNAワクチンに使用される前立腺癌遺伝子は、完全長前立腺癌タンパク質をコードすることができるが、より好ましくは前立腺癌タンパク質由来のペプチドを含む前立腺癌タンパク質の一部をコードしている。ある態様において、患者は、前立腺癌遺伝子由来の複数のヌクレオチド配列を含むDNAワクチンで免疫感作される。例えば、前立腺癌に関連した遺伝子又は前立腺癌タンパク質の小断片をコードしている配列が、発現ベクターに導入され、MHCクラスIに関連したそれらの免疫原性及び細胞傷害性T細胞応答を生じる能力について試験される。この手法は、細胞内エピトープを含む、抗原を提示している細胞に対する細胞傷害性T細胞応答の作出を提供する。
【0321】
好ましい態様において、DNAワクチンは、DNAワクチンを伴うアジュバント分子をコードしている遺伝子を含む。このようなアジュバント分子は、DNAワクチンによりコードされた前立腺癌ポリペプチドに対する免疫原性応答を増強するサイトカイン類を含む。追加の又は代替のアジュバントが利用可能である。
【0322】
別の好ましい態様において、前立腺癌遺伝子は、前立腺癌の動物モデルの作出における用途が見いだされている。同定された前立腺癌遺伝子が、癌組織において抑制又は減退される場合、例えばアンチセンスRNAが前立腺癌遺伝子に対するような遺伝子療法技術も、この遺伝子の発現を減退又は抑制するであろう。前立腺癌の動物モデルは、前立腺癌に関連した配列のモジュレーター又は前立腺癌のモジュレーターのスクリーニングにおける用途が見いだされている。同様に、遺伝子ノックアウト技術を含むトランスジェニック動物技術は、例えば適当な遺伝子標的化ベクターによる相同的組換えの結果として、前立腺癌タンパク質の非存在又は増大した発現を生じるであろう。望ましいならば、前立腺癌タンパク質の組織特異的発現又はノックアウトが必要であることがある。
【0323】
前立腺癌においては前立腺癌タンパク質が過剰発現されることも可能性がある。従って、前立腺癌タンパク質を過剰発現しているトランスジェニック動物を作出することができる。望ましい発現レベルに応じて、様々な強度のプロモーターを用い、この導入遺伝子を発現することができる。更に、組込まれた導入遺伝子のコピー数を決定し、導入遺伝子の発現レベルの決定と比較することができる。このような方法で作出された動物は、前立腺癌の動物モデルとしての用途が見いだされており、更に前立腺癌治療のためのモジュレーターのスクリーニングにおいて有用である。
【0324】
診断及び/又は予後判定用途における使用のためのキット
先に示唆した診断、研究及び治療の用途における使用のために、本発明によりキットも提供される。診断及び研究の用途において、このようなキットは、以下のいずれか又は全てを含み得る:アッセイ試薬、緩衝液、前立腺癌に特異的な核酸又は抗体、ハイブリダイゼーションプローブ及び/又はプライマー、アンチセンスポリヌクレオチド、リボザイム、ドミナントネガティブ前立腺癌ポリペプチド又はポリヌクレオチド、前立腺癌に関連した配列の小分子インヒビターなど。治療的製品は、滅菌生理食塩水又は他の薬学的に許容できる乳剤及び懸濁剤の基剤を含み得る。
【0325】
加えて、これらのキットは、本発明の方法の実践に関する指示書(すなわちプロトコール)を含む産業用資料を備えている。指示用資料は典型的には書面による又は印刷された資料を含むが、これらはこのようなものに限定されない。このような指示の保存及び末端の使用者へのそれらの伝達が可能なあらゆる媒体が、本発明に包含されている。このような媒体は、電子保存媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)、などを含むが、これらに限定されるものではない。このような媒体は、指示用資料を提供するインターネット上のアドレスを含み得る。
【0326】
本発明は、前立腺癌に関連した配列のモジュレーターのスクリーニングのためのキットも提供する。このようなキットは、容易に入手できる材料及び試薬から調製することができる。例えばこのようなキットは、下記の材料を1種又は複数種含み得る:前立腺癌に関連したポリペプチド又はポリヌクレオチド、反応チューブ、及び前立腺癌に関連した活性の試験のための指示書。任意に、このキットは、生物学的に活性のある前立腺癌タンパク質を含む。多種多様なキット及び成分は、意図されたキットの使用者及び使用者の具体的な必要性に応じ、本発明に従い調製することができる。診断は、典型的には複数の遺伝子又は産物の評価に関連している。これらの遺伝子は、既往歴又は転帰に関するデータで確認することができる疾患の重要なパラメータとの相関を基に選択されると思われる。
【0327】
実施例
実施例1:組織調製、標識チップ、及びフィンガープリント
TRIzol 試薬を使用する組織試料からの総 RNA の精製
試料重量を最初に測定した。この組織試料を、組織50mg当りTRIzol 1ml中で、ホモジナイザー(例えば、Polytron3100)を用いてホモジナイズした。使用したジェネレーター/プローブのサイズは、試料の量によって決まった。ホモジナイズされる組織量にとって余りにも大きいジェネレーターは、試料の損失及びより低いRNA収量をもたらす。比較的大きいジェネレーター(例えば、20mm)は、0.6gより多いと秤量された組織試料に適している。充填用チューブ(fill tube)は、溢れないようにしなければならない。作業容量は2mlより多く、10mlを超えない、15mlのポリプロピレン製チューブ(Falcon 2059)がホモジナイゼーションに適している。
【0328】
組織は、ホモジナイズする時まで凍結保存した。TRIzolは、ホモジナイズする前に凍結組織へ直接添加した。ホモジナイズした後、不溶性材料を、ソーバル(Sorvall)スーパースピードにおける7500xgで15分間又はエッペンドルフ(Eppendorf)遠心機における12,000xgで10分間の4℃での遠心により、ホモジネートから除去した。次に透明になったホモジネートを、新たなチューブに移した。試料は凍結し、−60〜−7O℃で、少なくとも1ヶ月間保存するか、もしくは精製を続けた。
【0329】
次の段階は、相分離である。ホモジナイズした試料を、室温で5分間インキュベーションした。その後、ホモジネーション混合液へ、TRIzol試薬1mlにつきクロロホルム0.2mlを添加した。これらのチューブを、キャップで密閉し、15秒間手で激しく振盪した(ボルテックスしない)。これらの試料は、次に、室温で2〜3分間インキュベーションし、次にソーバル(Sorvall)スーパースピードにて、6500rpmで30分間4℃で遠心した。
【0330】
次の段階は、RNA沈殿である。水相を、新たなチューブに移した。DNA又はタンパク質の単離が望ましい場合は、有機相を確保しておくことができる。その後当初のホモジナイゼーションにおいて使用したTRIzol試薬1mlにつきイソプロピルアルコール0.5mlを添加した。次にこれらのチューブを、キャップで密閉し、倒置し混合した。これらの試料を次に室温で10分間インキュベーションし、ソーバル(Sorvall)において6500rpmで20分間4℃で遠心した。
【0331】
次にRNAを洗浄した。上清を、注ぎ捨て、ペレットを、冷75%エタノールで洗浄した。最初のホモジナイゼーションにおいて使用したTRIzol試薬1mlにつき75%エタノール1mlを使用した。これらのチューブを、キャップで密閉し、数回倒置し、ボルテックスすることなくペレットをゆるめた。次にこれらを、<8000rpm(<7500xg)で5分間4℃で遠心した。
【0332】
RNA洗浄液をデカントした。このペレットを慎重にエッペンドルフチューブに移した(このチューブを、必要ならばそれに道筋をつけ補助するためにピペットチップを用い、新たなチューブへと滑り落とした)。RNA沈殿用のチューブサイズは、作業容量に応じて決定した。より大きいチューブは乾燥により長い時間がかかる。ペレットを乾燥した。その後RNAを、DEPC HOの適量(例えば2〜5μg/μl)中に再懸濁した。その後吸光度を測定した。
【0333】
次に、Qiagen社RNeasyキットなどの他の方法により、総RNAから、ポリA+mRNAを精製した。ポリA+mRNAは、37℃で加熱したオリゴテックス(Oligotex)懸濁液の添加、及びRNAへの添加前に混合により、総RNAから精製した。溶離緩衝液を、70℃でインキュベーションした。緩衝液中に沈殿が存在する場合は、2x結合緩衝液を65℃に温めた。総RNAを、DEPC処理水、2x結合緩衝液、及びオリゴテックスハンドブックの16頁表2記載のオリゴテックスと混合し、次に65℃で3分間及び室温で10分間インキュベーションした。
【0334】
調製物を、14,000〜18,000gで2分間、好ましくは「ソフト設定」で遠心した。上清を、オリゴテックスペレットを乱さないように取り除いた。オリゴテックスの喪失を少なくするために、わずかな溶液は残した。この上清は、ポリA+mRNAの満足のいく結合及び溶離が認められるまでとっておいた。
【0335】
次に、この調製物を、洗浄緩衝液0W2中に穏やかに再懸濁し、スピンカラム上にピペティングし、最高速で1分間遠心した(可能であるならばソフト設定)。
【0336】
次に、スピンカラムを、新たな収集管に移し、洗浄緩衝液0W2中で穏やかに再懸濁し、ここに記したように遠心した。
【0337】
次にスピンカラムを、新たなチューブに移し、予め加熱した(70℃)溶離緩衝液20〜100μlで溶離した。オリゴテックス樹脂は、ピペッティングにより上下することで穏やかに再懸濁した。前述の遠心を繰り返し、新鮮な溶離緩衝液で溶離を繰り返すか、もしくは最初の溶離液を溶離容量を少なくするようにした。
【0338】
次に希釈した溶離緩衝液をブランクとして用い、吸光度を読み、収量を決定した。
【0339】
cDNA合成に進む前に、残りの成分又はオリゴテックス精製手法からの溶離緩衝液中の成分は、mRNAの下流の酵素反応を阻害するので、このmRNAを沈殿し、その後cDNA合成に進んだ。0.4容量の7.5M NHOAc+2.5容量の冷100%エタノールを添加し、調製物を、−20℃で1時間〜一晩(又は−70℃で20〜30分間)沈殿させ、14,000〜16,000xgにて30分間4℃で遠心した。次にこのペレットを、80%エタノール(−20℃)0.5mlで洗浄し、その後14,000〜16,000xgで5分間室温で遠心した。次に80%エタノールによる洗浄を繰り返した。ペレットからの最後の少量のエタノールは、高速減圧(speed vacuum)を使用せずに乾燥し、ペレットをその後DEPC HO中に濃度1μg/μlで再懸濁した。
【0340】
代替の別法 例えば Qiagen RNeasy キット を用いる RNA の精製
RNeasyカラムに、100μgを超えないよう添加した。この試料容量は、RNアーゼ非含有水で100μlに調節した。試料に、350μl緩衝液RLT、次に250μlエタノール(100%)を添加した。次にこの調製物を、ピペッティングにより混合し、遠心(>10,000rpmで15秒)のためにRNeasyミニスピンカラムに載せた。収量が低いならば、カラムにフロースルーを再度載せ、再遠心した。
【0341】
その後カラムを新たな2ml収集管に移し、500μl緩衝液RPEを添加し、>10,000rpmで15秒間遠心した。フロースルーは廃棄した。その後500μl緩衝液RPEを添加し、この調製物を>10,000rpmで15秒間遠心した。フロースルーは廃棄し、カラム膜を、最高速で2分間の遠心により乾燥した。このカラムを、新たな1.5ml収集管に移した。30〜50μlのRNアーゼ非含有水を、直接カラム膜に載せた。このカラムを次に、>10,000rpmで1分間遠心し、溶離段階を繰り返した。
【0342】
その後吸光度を読み取り、収量を決定した。必要であるならば、これらの材料は、酢酸アンモニウム及び2.5X容量の100%エタノールで、エタノール沈殿することができる。
【0343】
第一鎖 cDNA の合成
第一鎖を、Gibco社の「cDNA合成のためのスーパースクリプトチョイスシステム(SuperScript Choice System for cDNA Synthesis)」キットを用いて作成することができる。出発材料は、総RNAの5μg又はポリA+mRNAの1μgである。総RNAについて、スーパースクリプト(SuperScript)RTの2μlを使用し;ポリA+mRNAについては、スーパースクリプトRTの1μlを使用した。第一鎖合成混合物の最終容量は、20μlであった。RNA容量は、10μlを超えてはならない。RNAを、100pmolのT7−T24オリゴ1μlと共に、70℃で10分間インキュベーションした後、氷上で以下の7μlを添加した:4μlの5x第一鎖緩衝液、2μlの0.1M DTT、及び1μlの10mM dNTP混合物。次にこの調製物を、37℃で2分間インキュベーションし、その後スーパースクリプトRTに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。
【0344】
第二鎖の合成
第二鎖合成のために、氷上に第一鎖反応液を置き、以下を添加した:91μl DEPC HO;30μl 5X第二鎖緩衝液;3μl 10mM dNTP混合物;1μl 10U/μl大腸菌DNAリガーゼ;4μl 10U/μl大腸菌DNAポリメラーゼ;並びに、1μl 2U/μl RNアーゼ H。混合及びインキュベーションは、16℃で2時間で行った。2μlのT4 DNAポリメラーゼを添加した。16℃で5分間インキュベーションした。10μlの0.5M EDTAを添加した。
【0345】
cDNA の精製
cDNAを、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)及びPhase−Lockゲルチューブを用いて精製した。これらのPLGチューブを、最高速で30秒間遠心した。cDNA混合物を次に、PLGチューブに移した。等容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールを添加し、この調製物を激しく振盪し(ボルテックスはしない)、最高速で5分間遠心した。一番上の水溶液を、新たなチューブに移し、7.5x 5M NHOAc及び2.5x容量の100%エタノールの添加により、エタノール沈殿した。直ぐ次に、最高速で、室温で20分間遠心した。上清を除去し、ペレットを、2x冷80%エタノールで洗浄した。できる限り多くのエタノール洗浄液を、ペレットの風乾前に除去し;3μl RNアーゼ非含有水で再懸濁した。
【0346】
インビトロ転写 (IVT) 及びビオチン標識
インビトロ転写(IVT)及びビオチン標識を、以下のように行った:cDNAの1.5μlの、薄壁PCR管へのピペッティング。NTP標識混合物の作成は、2μl T7 10xATP(75mM)(Ambion);2μl T7 10xGTP(75mM)(Ambion);1.5μl T7 10xCTP(75mM)(Ambion);1.5μl T7 10xUTP(75mM)(Ambion);3.75μl 10mM Bio−11−UTP(Boehringer−Mannheim/Roche又はEnzo);3.75μl 10mM Bio−16−CTP(Enzo);2μl 10x T7転写緩衝液(Ambion);及び、2μl 10xT7酵素混合液(Ambion)の組合せによる。最終容量は20μlであった。PCR装置において、37℃で6時間インキュベーションした。RNAは、更に精製した。精製は、RNeasカラムに関する先の指示又はQiagen社RNeasyプロトコールハンドブックに従った。cRNAは、断片化段階に適合性のある容量中での再懸濁による、エタノール沈殿が必要であることが多い。
【0347】
断片化は、以下のように行った。標識されたRNA 15μgを通常に断片化した。断片化反応容量を最小化するよう試みるには10μl容量を推奨するが、20μlでも構わない。断片化緩衝液中に存在するマグネシウムは、ハイブリダイゼーション緩衝液の沈殿に寄与するので、20μlを超えてはならない。RNAの断片化は、1x断片化緩衝液(5x断片化緩衝液は、200mM Tris酢酸、pH8.1;500mM KOAc;150mM MgOAc)中での94℃で35分間のインキュベーションによる。標識したRNA転写物は、断片化の前後に分析することができる。試料を、65℃で15分間加熱し、1%アガロース/TBEゲル上で電気泳動し、転写物サイズ範囲のおおよその見当を得た。
【0348】
ハイブリダイゼーションのために、ハイブリダイゼーション混合液200μl(10μg cRNA)をチップ上に置いた。複数回のハイブリダイゼーションを行うならば(例えば5チップセットでのサイクリング)、最初のハイブリダイゼーション混合液は300μl又はそれよりも多くを作成することが推奨される。ハイブリダイゼーション混合液を以下に示す:標識されたRNA断片(50ng/μl最終濃縮液);50pM 948−b対照オリゴ;1.5pM BioB;5pM BioC;25pM BioD;100pM CRE;0.1mg/mlニシン精子DNA;0.5mg/mlアセチル化されたBSA;及び、300μlの1xMES hyb緩衝液。
【0349】
ハイブリダイゼーション反応は、ビオチン化されていないIVT(RNeasyカラムにより精製)で行った(組織からのIVT段階については実施例1参照):下記の混合液を調製した:
Figure 2005506033
前記14μl混合液を70℃で10分間インキュベーションし、その後氷上に置いた。
【0350】
逆転写法には、下記の混合液を用いた:
Figure 2005506033
前記溶液を、ハイブリダイゼーション反応液に加え、42℃で30分間インキュベーションした。その後、SSII 1μlを添加し、更に1時間インキュベーションし、その後氷上に置いた。
【0351】
50xdNTP混合液は、25mMの冷dATP、dCTP、及びdGTP、10mM dTTPを含有し、及び100mM dATP、dCTP、及びdGTPを各々25μl;100mM dTTP 10μlを、HO 15μlに添加することにより作成した。
【0352】
RNA分解を以下のように行った。86μlのHOに、1.5μl 1M NaOH/2mM EDTAを添加し、65℃で10分間インキュベーションした。U−Con 30については、500μl TE/試料を、7000gで10分間回転し、精製のためにフロースルーを使用した。キアゲン精製については、u−con回収した材料を、500μlの緩衝液PB中に懸濁し、Qiagenプロトコールを用いて進めた。DNAse消化については、DNAse/30μl Rxの1/100希釈物を1μl添加し、37℃で15分間インキュベーションした。95℃で5分間インキュベーションし、DNAseを変性した。
【0353】
試料調製
試料調製のために、Cot−1 DNA、10μl;50x dNTP、1μl;20x SSC、2.3μl;ピロリン酸ナトリウム、7.5μl;10mg/mlニシン精子DNA;1/10希釈物1μlを添加し、最終容量21.8とした。高速減圧下で乾燥した。HO 15μl中に再懸濁した。10%SDS 0.38μlを添加した。95℃で2分間加熱し、20分間かけて緩徐に室温まで冷却した。スライド上に置き、64℃で一晩ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後洗浄した:3xSSC/0.03%SDS:2分間、HO 250ml中20xSSC 37.5ml+10%SDS 0.75ml;1xSSC:5分間、HO 250ml中20xSSC 12.5ml;0.2xSSC:5分間、HO 250ml中20xSSC 2.5ml。スライドを乾燥し、適当なPMT及びチャネルで走査した。
【0354】
実施例2:ヒト前立腺癌のタキソール抵抗性異種移植片モデル
パクリタキセル(タキソール;Bristol−Myers Squibb社、プリンストン、NJ)を含む治療投薬管理は、ホルモン治療抵抗性前立腺癌の臨床試験第II相の治療において特に成功している(Smithら、Semin. Oncol.、26(1 Suppl 2):109−11(1999))。しかし、多くの患者が、最初に又は後にタキソール抵抗性となる腫瘍を発生している。タキソールに対する抵抗性に関連した遺伝子、又はタキソール抵抗性に対する反応を調節し、その結果治療に使用することができる遺伝子、又は患者におけるタキソール抵抗性を同定するために、下記の実験を行った。
【0355】
アンドロゲン非依存型ヒト細胞株CWR22Rを、ヌードマウスにおいて異種移植片として増殖した(Nagabhushanら、Cancer Res.、56(13):3042−3046(1996);Agusら、J. Natl. Cancer Inst.、91(21):1869−1876(1999);Bubendorfら、J. Natl. Cancer Inst.、91(20):1758−1764(1999))。最初に、これらの異種移植片腫瘍は、治療用量のタキソールに対し感受性であった。このマウスを、治療用量を下回る量で連続処置し、その腫瘍を3〜4週間成長させ、その後外科的に腫瘍を摘出した。その後個々のマウスからの腫瘍を細断し、小さい部分を健常なヌードマウスに注射し、腫瘍の第二継代を確立した。次にこのマウスを同じ治療用量を下回る量のタキソールで連続処置した。この過程を14回反復し、異種移植片腫瘍の各世代の一部を収集した。各世代で、治療用量のタキソールに対する抵抗性は増加した。この過程の最後までに、腫瘍は治療用量のタキソールに対し完全に抵抗性となった。次に各世代の腫瘍から得たRNAを単離し、個々のmRNA種を、およそ35,000種の独自のmRNA転写物を問い合わせるためにプローブで、特注のAffymetrix GeneChip(登録商標)オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いて定量した。漸増するタキソール−抵抗性腫瘍の引き続きの継代期間において、統計学的に有意な上方制御、又は下方制御を示した遺伝子を、選択した。ただひとつの遺伝子が、有意に上方制御されたのに対し、24種の遺伝子が下方制御された。これらを、表10に示す。
【0356】
前立腺癌において過剰発現されていることが同定された遺伝子配列を使用し、公開のDNAデータベースからコード領域を同定した。これらの配列は、公知のタンパク質をコードしている遺伝子の同定に使用するか、又はこれらは、FGENESH(Salamov及びSolovyev、Genome Res.、10:516−522(2000))のようなエキソン推定アルゴリズムを用い、ゲノムDNAからのコード領域の推定に使用するかのいずれかであった。加えて、当業者には、表1〜16に提供された典型的アクセッション番号に従い、いかにしてunigeneクラスタの同定及び配列情報を得るかが理解されると思われる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)。
【0357】
【表1】発現配列タグを含み、Affymetrix/Eos Hu01 GeneChipアレイを用いて分析した時、前立腺腫瘍組織において正常組織と比べ示差的に発現された遺伝子を示す。遺伝子の最高発現を示している前立腺腫瘍試料及び様々な正常組織試料において発現された各遺伝子の相対量を示す。
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【0358】
【表1A】表1のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
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【0359】
【表2】前立腺腫瘍組織において正常前立腺組織と比べ示差的に発現された表1に示した遺伝子の寄託番号の好ましいサブセットを示す。
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【0360】
【表2A】表2のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
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【0361】
【表3】発現配列タグを含み、Affymetrix/Eos Hu02 GeneChipアレイを用いて分析した時、前立腺腫瘍組織において正常組織と比べ示差的に発現された遺伝子を示す。遺伝子の最高発現を示している前立腺腫瘍試料及び様々な正常組織試料において発現された各遺伝子の相対量を示す。
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【0362】
【表3A】表3のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
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【0363】
【表3B】unigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び表3の寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列の給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0364】
【表4】前立腺腫瘍組織において正常前立腺組織と比べ示差的に発現されている、表3において認められた遺伝子の寄託番号の好ましいサブセットを示す。
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【0365】
【表4A】表4のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
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【0366】
【表4B】表4のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列の給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0367】
【表5】前立腺癌において正常成人組織と比べアップレギュレーションされた1170種の遺伝子
表5は、前立腺癌において正常成人組織と比べアップレギュレーションされた1170種の遺伝子を示している。これらは、Affymetrix/Eos Hu03 GeneChipアレイ上の59680のプローブセットから選択し、「平均」前立腺癌対「平均」正常成人組織の比は、3.44より大きいか又は等しかった。「平均」前立腺癌レベルは、73種の前立腺癌中の85thパーセンタイル値に設定した。「平均」正常成人組織レベルは、162種の非悪性組織の中の85thパーセンタイル値に設定した。非特異的ハイブリダイゼーションの遺伝子特異的バックグラウンドレベルを取除くために、162種の非悪性組織の中の7.5thパーセンタイル値を、分子及び分母の両方から減じ、その後この比について評価した。
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【0368】
【表5A】表5、6及び7のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
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【0369】
【表5B】表5、6及び7のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列の給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0370】
【表6】前立腺癌において正常成人組織と比べアップレギュレーションされた細胞外又は細胞表面タンパク質をコードしている286種の遺伝子
表6は、恐らく細胞外又は細胞表面タンパク質である、前立腺癌において正常成人組織と比べアップレギュレーションされた286種の遺伝子を示している。これらは、表5についてのように選択され、及び推定されたタンパク質は、細胞外局在の指標である構造ドメイン(例えば、egf、7tmドメイン)を含んだ。
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【0371】
【表7】前立腺癌において正常成人組織と比べアップレギュレーションされた小分子標的をコードしている42種の遺伝子
表7は、恐らく小分子標的である、前立腺癌において正常成人組織と比べアップレギュレーションされた42種の遺伝子を示している。これらは、表5についてのように選択され、及び推定されたタンパク質には、薬物となりうる(drugable)構造の指標である構造ドメイン(例えば、プロテアーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ受容体)が含まれた。機能ドメインは各遺伝子について示されている。
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【0372】
【表8】前立腺癌において正常成人組織と比べ有意にダウンレギュレーションされた136種の遺伝子
表8は、前立腺癌において正常成人組織と比べ有意にダウンレギュレーションされた136種の遺伝子を示している。これらは、Affymetrix/Eos Hu03 GeneChipアレイ上の59680のプローブセットから選択し、「平均」正常前立腺対「平均」前立腺癌組織の比は、2より大きいか又は等しかった。「平均」正常前立腺レベルは、4種の正常前立腺組織の平均に設定した。「平均」前立腺癌レベルは、73種の前立腺癌中の85thパーセンタイル値に設定した。非特異的ハイブリダイゼーションの遺伝子特異的バックグラウンドレベルを取除くために、全ての組織の中の10thパーセンタイル値を、分子及び分母の両方から減じ、その後この比について評価した。
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【0373】
【表8A】表8のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
【0374】
【表8B】表8のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列の給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0375】
【表9】正常前立腺において前立腺癌と比べ有意にアップレギュレーションされた1001種の遺伝子
表9は、前立腺癌において正常前立腺と比べ有意にアップレギュレーションされた1001種の遺伝子を示している。これらは、Affymetrix/Eos Hu03 GeneChipアレイ上の59680のプローブセットから選択し、「平均」正常前立腺対「平均」前立腺癌組織の比は、8.14より大きいか又は等しかった。「平均」正常前立腺レベルは、4種の正常前立腺組織の平均に設定した。「平均」前立腺癌レベルは、73種の腫瘍試料中の85thパーセンタイル値に設定した。非特異的ハイブリダイゼーションの遺伝子特異的バックグラウンドレベルを取除くために、全ての組織の中の10thパーセンタイル値を、分子及び分母の両方から減じ、その後この比について評価した。
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【0376】
【表9A】表9のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
Figure 2005506033
【0377】
【表9B】表9のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列の給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0378】
【表10】タキソール抵抗性前立腺腫瘍異種移植片においてタキソール感受性前立腺腫瘍異種移植片と比べ示差的に発現された発現配列タグを含む遺伝子を示す。これらの遺伝子は、移植片の逐次継代中にタキソール抵抗性が誘導される間に、アップレギュレーション又はダウンレギュレーションのいずれかであることが示されている。
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【0379】
【表11】Affymetrix/Eos Hu01 GeneChipアレイを用いて分析した時、前立腺腫瘍組織において正常前立腺組織と比べアップレギュレーションされた発現配列タグを含む遺伝子を示す。「平均」正常前立腺の「平均」前立腺癌組織に対する比を示した。
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【0380】
【表11A】表11のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
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【0381】
【表12】Affymetrix/Eos Hu01 GeneChipアレイを用いて分析した時、前立腺腫瘍組織において正常前立腺組織と比べダウンレギュレーションされた発現配列タグを含む遺伝子を示す。「平均」正常前立腺の「平均」前立腺癌組織に対する比を示した。
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【0382】
【表12A】表12のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
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【0383】
【表13】Affymetrix/Eos Hu02 GeneChipアレイを用いて分析した時、前立腺腫瘍組織において正常前立腺組織と比べアップレギュレーションされた発現配列タグを含む遺伝子を示す。「平均」正常前立腺の「平均」前立腺癌組織に対する比を示した。
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【0384】
【表13A】表13のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
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【0385】
【表13B】表13のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列の給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0386】
【表14】Affymetrix/Eos Hu02 GeneChipアレイを用いて分析した時、前立腺腫瘍組織において正常前立腺組織と比べダウンレギュレーションされた発現配列タグを含む遺伝子を示す。「平均」正常前立腺の「平均」前立腺癌組織に対する比を示した。
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【0387】
【表14A】表14のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
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【0388】
【表14B】表14のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0389】
【表15】表16に示された配列情報を伴う169種の遺伝子
表15は、表16の配列全てに関する、unigeneID、unigeneタイトル、プライムキー、推定された細胞局在、及び典型的寄託番号を示している。表15の情報は、表16のEosCodeにリンクしている。
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【0390】
【表15A】表15のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーの寄託番号を示す。本発明者らは、各プローブセットについて、そこからオリゴヌクレオチドをデザインした遺伝子クラスタ番号を列記した。遺伝子クラスタは、Genbank EST及びmRNA由来の配列を用いて集計した。これらの配列は、クラスタリングアンドアライメントツール(Clustering and Alignment Tools、DoubleTwist社、オークランド、CA)を用い、配列類似性を基にクラスタ化した。各クラスタを含む配列のGenbank寄託番号は、「Accession」欄に列記した。
Figure 2005506033
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【0391】
【表15B】表15のunigeneIDを欠いているこれらのプライムキーのゲノム位置及び寄託番号を示す。各々推定されたエキソンについて、本発明者らは、推定に使用したゲノム配列給源を列記した。各推定されたエキソンのヌクレオチド位置も列記した。
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【0392】
表11及び配列表
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【0393】
先に説明した実施例は、いかなる様式においても、本発明の真の範囲を限定するためには利用されず、むしろ例示を目的として示されていることが理解される。各々の刊行物又は特許出願が参照として組入れられることを具体的かつ個別に示されているように、本明細書に引用される全ての刊行物、配列寄託番号、及び特許明細書は、本明細書に参照として組入れられる。

Claims (70)

  1. 患者の細胞において前立腺癌に関連した転写物を検出する方法であり、患者からの生物学的試料を、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触させる段階を含む、方法。
  2. ポリヌクレオチドが、表1〜16で示す配列と少なくとも95%同一の配列に選択的にハイブリダイズする、請求項1記載の方法。
  3. 生物学的試料が組織試料である、請求項1記載の方法。
  4. 生物学的試料が単離された核酸を含む、請求項1記載の方法。
  5. 核酸がmRNAである、請求項4記載の方法。
  6. 生物学的試料をポリヌクレオチドと接触させる段階の前に、核酸を増幅する段階を更に含む、請求項4記載の方法。
  7. ポリヌクレオチドが表1〜16に示す配列を含む、請求項1記載の方法。
  8. ポリヌクレオチドが標識されている、請求項1記載の方法。
  9. 標識が蛍光標識である、請求項8記載の方法。
  10. ポリヌクレオチドが固体表面に固定されている、請求項1記載の方法。
  11. 患者が、前立腺癌を治療するために治療的投薬管理を受けている、請求項1記載の方法。
  12. 患者が前立腺癌を有する疑いがある、請求項1記載の方法。
  13. 前立腺癌の治療的処置の効力をモニタリングする方法であり、
    (i)治療的処置を受けている患者から生物学的試料を調達する段階;及び
    (ii)生物学的試料を、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触させ、生物学的試料における前立腺癌に関連した転写物のレベルを決定し、これによりこの療法の効力をモニタリングする段階を含む、方法。
  14. (iii)前立腺癌に関連した転写物のレベルを、治療的処置の前の患者又は初期の患者からの生物学的試料における前立腺癌に関連した転写物のレベルと比較する段階を更に含む、請求項13記載の方法。
  15. 患者がヒトである、請求項13記載の方法。
  16. 前立腺癌の治療的処置の効力をモニタリングする方法であり、
    (i)治療的処置を受けている患者から生物学的試料を調達する段階;及び
    (ii)生物学的試料を、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと接触させ、ここで該ポリペプチドは前立腺癌に関連した抗体と特異的に結合する、生物学的試料における前立腺癌関連抗体のレベルを決定し、これによりこの療法の効力をモニタリングする段階を含む方法。
  17. (iii)前立腺癌に関連した抗体のレベルを、治療的処置の前の患者又は初期の患者からの生物学的試料における前立腺癌に関連した抗体のレベルと比較する段階を更に含む、請求項16記載の方法。
  18. 患者がヒトである、請求項16記載の方法。
  19. 前立腺癌の治療的処置の効力をモニタリングする方法であり、
    (i)治療的処置を受けている患者から生物学的試料を調達する段階;及び
    (ii)生物学的試料を、抗体と接触させ、ここで抗体が、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと特異的に結合する、生物学的試料における前立腺癌に関連したポリペプチドのレベルを決定し、これによりこの療法の効力をモニタリングする段階を含む方法。
  20. (iii)前立腺癌に関連したポリペプチドのレベルを、治療的処置の前の患者又は初期の患者の生物学的試料における前立腺癌に関連したポリペプチドのレベルと比較する段階を更に含む、請求項19記載の方法。
  21. 患者がヒトである、請求項19記載の方法。
  22. 表1〜16に示すポリヌクレオチド配列からなる単離された核酸分子。
  23. 標識されている、請求項22記載の核酸分子。
  24. 標識が蛍光標識である、請求項23記載の核酸。
  25. 請求項22記載の核酸を含む発現ベクター。
  26. 請求項25記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  27. 表1〜16に示すポリヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる単離されたポリペプチド。
  28. 請求項27記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  29. エフェクター成分に更に複合された、請求項28記載の抗体。
  30. エフェクター成分が蛍光標識である、請求項29記載の抗体。
  31. エフェクター成分が、放射性同位元素又は細胞傷害性化学物質である、請求項29記載の抗体。
  32. 抗体断片である、請求項29記載の抗体。
  33. ヒト化された抗体である、請求項29記載の抗体。
  34. 患者からの生物学的試料中の前立腺癌細胞を検出する方法であり、生物学的試料を、請求項28記載の抗体と接触させる段階を含む、方法。
  35. 抗体がエフェクター成分に更に複合されている、請求項34記載の方法。
  36. エフェクター成分が蛍光標識である、請求項35記載の方法。
  37. 患者において前立腺癌に特異的な抗体を検出する方法であり、患者からの生物学的試料を、表1〜16からの配列を含む核酸によりコードされるポリペプチドと接触させる段階を含む、方法。
  38. 前立腺癌に関連したポリペプチドを変調する化合物を同定する方法であり、
    (i)化合物を、前立腺癌に関連したポリペプチドと接触させ、ここでポリペプチドは、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされている段階;及び
    (ii)化合物のポリペプチドに対する機能的作用を決定する段階を含む方法。
  39. 機能的作用が物理的作用である、請求項38記載の方法。
  40. 機能的作用が化学的作用である、請求項38記載の方法。
  41. ポリペプチドが、真核宿主細胞又は細胞膜において発現される、請求項38記載の方法。
  42. 機能的作用が、ポリペプチドに結合するリガンドを測定することにより決定される、請求項38記載の方法。
  43. ポリペプチドが組換え体である、請求項38記載の方法。
  44. 患者において前立腺癌を治療するために、前立腺癌に関連した細胞の増殖を阻害する方法であり、請求項38記載の方法を用いて同定された化合物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む方法。
  45. 化合物が抗体である、請求項44記載の方法。
  46. 患者がヒトである、請求項45記載の方法。
  47. (i)試験化合物を、前立腺癌を有する哺乳類またはそこから単離された細胞に投与する段階;
    (ii)処置した細胞又は哺乳類における表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドの遺伝子発現のレベルを、対照細胞又は哺乳類のポリヌクレオチドの遺伝子発現レベルと比較する段階であり、ここでポリヌクレオチドの発現のレベルを変調する試験化合物は前立腺癌治療の候補である段階を含む、薬物スクリーニングアッセイ法。
  48. 対照が試験化合物で処理されていない前立腺癌を有する哺乳類又はそこからの細胞である、請求項47記載のアッセイ法。
  49. 対照が正常細胞又は哺乳類である、請求項47記載のアッセイ法。
  50. 請求項47記載のアッセイ法により同定された化合物を投与することを含む、前立腺癌を有する哺乳類を治療する方法。
  51. 前立腺癌を有する哺乳類を治療するための薬学的組成物であり、請求項47記載のアッセイ法により同定された化合物及び生理学的に許容できる賦形剤を含む、組成物。
  52. 生物学的試料が、表1〜16で示す第一の配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズする第一のポリヌクレオチド;及び、表1〜16で示す第二の配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドを含む複数のポリヌクレオチドと接触する、請求項1記載の方法。
  53. 複数のポリヌクレオチドが、表1〜16で示す第三の配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズする第三のポリヌクレオチドを含む、請求項52記載の方法。
  54. 前立腺癌に関連した転写物を検出する方法であり、患者からの生物学的試料を複数のポリヌクレオチドと接触させ、ここで少なくとも2種の該ポリヌクレオチドは、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の異なる配列に選択的にハイブリダイズする段階を含む方法。
  55. 前立腺癌を検出する方法であり、
    (i)患者から生物学的試料を調達する段階;
    (ii)生物学的試料における前立腺癌に関連した転写物のレベルを決定するために、生物学的試料を、表1〜16で示す第一の配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズする第一のポリヌクレオチドと接触させ;かつ、生物学的試料における対照転写物の発現レベルを決定するために、表1〜16に示していない配列と少なくとも80%同一の第二の配列に選択的にハイブリダイズする第二のポリヌクレオチドを接触させる段階であり;ここで該第二の配列の発現は、前立腺癌において実質的に変化しない段階;及び
    (iii)前立腺癌に関連した転写物のレベルを、生物学的試料中の正常組織に関連した転写物のレベルと比較する段階を含む方法。
  56. 患者の細胞において前立腺癌に関連した転写物を定量する方法であり、患者からの生物学的試料を、表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドと接触させる段階を含む、方法。
  57. ポリヌクレオチドが、表1〜16で示す配列と少なくとも95%同一の配列に選択的にハイブリダイズする、請求項56記載の方法。
  58. 生物学的試料が組織試料である、請求項56記載の方法。
  59. 生物学的試料が、単離された核酸を含む、請求項56記載の方法。
  60. 核酸がmRNAである、請求項56記載の方法。
  61. 生物学的試料をポリヌクレオチドと接触させる段階の前に、核酸を増幅する段階を更に含む、請求項59記載の方法。
  62. ポリヌクレオチドが、表1〜16に示す配列を含む、請求項56記載の方法。
  63. ポリヌクレオチドが標識される、請求項56記載の方法。
  64. 標識が蛍光標識である、請求項63記載の方法。
  65. ポリヌクレオチドが固体表面上に固定される、請求項56記載の方法。
  66. 患者が、転移性前立腺癌の治療のための治療的投薬管理を受けている、請求項56記載の方法。
  67. 患者が、転移性前立腺癌を有する疑いがある、請求項56記載の方法。
  68. 表1〜16で示す配列と少なくとも80%同一の配列に選択的にハイブリダイズする複数のポリヌクレオチドを含むバイオチップ。
  69. i)表1〜16に示す発現プロフィール遺伝子又はそれらの断片からなる群より選択された発現プロフィール遺伝子を発現している細胞を提供する段階;
    ii)薬物候補を該細胞へ添加する段階;及び
    iii)該発現プロフィール遺伝子の発現に対する該薬物候補の作用を決定する段階を含む、薬物候補をスクリーニングする方法。
  70. 決定が、薬物候補の非存在下での発現レベルを、該薬物候補の存在下での発現のレベルと比較する段階を含む、請求項59記載の方法。
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