JP2007273214A - 固体電解質、その製造方法及び全固体二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1)で表される組成を有し、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において無定形を示す固体電解質。
LixPySzAo・・・(1)
(式中、Aは、P、S以外の周期律表13,14,15,16族のいずれかに属する元素である。
x=9.0〜14.0、y=14.0〜21.0、z=57.0〜71.0、o=0.5〜15.0である(重量%)。)
【選択図】図1
Description
1.下記式(1)で表される組成を有し、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において無定形を示す固体電解質。
LixPySzAo・・・(1)
(式中、Aは、P、S以外の周期律表13,14,15,16族のいずれかに属する元素である。
x=9.0〜14.0、y=14.0〜21.0、z=57.0〜71.0、o=0.5〜15.0である(重量%)。)
2.下記式(1)で表される組成を有し、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する固体電解質。
LixPySzAo・・・(1)
(式中、Aは、P、S以外の周期律表13,14,15,16族のいずれかに属する元素である。
x=9.0〜14.0、y=14.0〜21.0、z=57.0〜71.0、o=0.5〜15.0である(重量%)。)
3.Aが、Si,Ge,B,Al,Oから選択される1種又は2種以上である1又は2記載の固体電解質。
4.以下の成分(a)〜(c)を、以下の配合比で混合する1記載の固体電解質の製造方法。
[成分]
(a)Li2S
(b)P2S5、又は単体リン及び単体硫黄
(c)周期律表13,14,15,16族に属する元素のいずれかを含有する、上記成分(a),(b)以外の1種又は2種以上の第三成分
[配合比]
成分(a):成分(b)(モル比)=65〜75:35〜25
成分(a)と成分(b)の合計を100モル部としたとき、成分(c)が1〜20モル部
5.前記第三成分が、Li4SiO4、Li3PO4、Li4GeO4、LiBO2、LiAlO3から選択される1種又は2種以上である4記載の固体電解質の製造方法。
6.メカニカルミリング法により製造する、4又は5記載の固体電解質の製造方法。
7.4〜6いずれか記載の製造方法で得られる固体電解質を150〜360℃で熱処理する、2記載の固体電解質の製造方法。
8.リチウム二次電池用である1〜3いずれか記載の固体電解質。
9.1〜3及び8いずれか記載の固体電解質を用いて得られる全固体二次電池。
LixPySzAo・・・(1)
組成比が上記からはずれる場合、反応が十分進まずX線回折において無定形の固体電解質とならなかったり、熱処理等により結晶化させても高いイオン伝導度とならない材料となる恐れがある。
さらに、定量的には、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において2θ=27.04±0.1degの回折強度が500cps以下であるものを、X線回折で無定形であるとした。
[成分]
(a)Li2S
(b)P2S5、又は単体リン及び単体硫黄
(c)周期律表13,14,15,16族に属する元素のいずれかを含有する、上記成分(a),(b)以外の1種又は2種以上の第三成分
[配合比]
成分(a):成分(b)(モル比)=65〜75:35〜25
成分(a)と成分(b)の合計を100モル部としたとき、成分(c)が1〜20モル部
具体的には、特開平7−330312号公報に開示された製造方法で、Li2Sを製造することが好ましく、このLi2Sを国際公開WO2005/40039号の記載の方法で精製したものが好ましい。
尚、Li2Sに含まれる硫黄酸化物の総量は、0.15質量%以下であることが好ましく、LMABは、0.1質量%以下であることが好ましい。
また、P2S5に代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。これにより、入手が容易で、かつ安価な材料から本発明の固体電解質を製造することができる。単体リン(P)及び単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
MM処理を用いて第一の固体電解質を製造すると、室温で行えるので、製造工程の簡略化も可能となるため好ましい。さらに、量産性に優れるという利点もある。
MM処理では、ボールミルを使用するのが好ましい。大きな機械的エネルギーが得られるからである。
ボールミルとしては、遊星型ボールミル機を使用するのが好ましい。遊星型ボールミルでは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転するので、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。
LixPySzAo・・・(1)
第二の固体電解質を生成させる熱処理温度は、好ましくは150〜360℃である。特に好ましくは200℃〜350℃である。
150℃未満では、第二の固体電解質のガラス転移点以下の温度であるため結晶化が進行しない。一方、360℃を超えると、イオン伝導性の低い結晶が生じる恐れがある。熱処理時間は、結晶が生成する条件であれば特に限定はなく、瞬時であっても長時間であっても構わない。また、焼成温度までの昇温パターンについても特に限定はない。
全固体二次電池の正極活物質として、硫化物系では、硫化チタン(TiS2)、硫化モリブデン(MoS2)、硫化鉄(FeS、FeS2)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni3S2)等が使用できる。好ましくは、TiS2が使用できる。
また、酸化物系では、酸化ビスマス(Bi2O3)、鉛酸ビスマス(Bi2Pb2O5)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V6O13)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)等が使用できる。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
尚、上記の他にはセレン化ニオブ(NbSe3)が使用できる。
製造例
(1)硫化リチウム(Li2S)の製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
このようにして精製したLi2Sを、以下の実施例及び比較例で使用した。
上記製造例にて精製したLi2S、P2S5(アルドリッチ製)、Li2SiO4(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。Li2S 68モル部、P2S5 32モル部、Li4SiO4 1モル部を添加してなる混合物を約10gと粒径10mmΦのアルミナ製ボール100個を500mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−5)にて、窒素雰囲気下、室温(25℃)にて、回転速度を290rpmとし、5時間メカニカルミリング処理(エネルギーとしては、18.2kWh/kg電解質)することで、白黄色の粉末を得た。
尚、図1では、実施例1−3及び比較例2の各チャートの重なりをなくすため、縦軸方向に平行移動させており、縦軸は強度を示す。
尚、上記元素分析は以下のICP分析及びLC分析より行った。
ICP分析:所定量の試料を精秤し、白金皿に入れた。これに1Nの硝酸水溶液を加え、ホットプレート上で加熱し完全に溶解した。この溶液のICP分析によりLi及びP、Siを定量した。
LC分析:石英ボードに所定量の試料をいれ、これを空気中にて燃焼した。燃焼ガスを弱アルカリ水溶液に吸収させた後、過酸化水素水を加えて硫黄酸化物を酸化し、硫酸イオンとした。液中に含まれる硫酸イオンを液クロ分析により定量し、硫黄分を定量した。
Li2SiO4の添加量を10モル部とした以外は、実施例1と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折スペクトルチャートを図1に示す。スペクトルチャートより、Li2Sの結晶ピークは、殆ど完全に消失しガラス化している、即ち無定形となっていることが確認できた。また、図2から、2θ=27.04±0.1degの回折強度が500cps以下であることが確認できた。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:10.7、P:17.3、S:63.9、他(Aと記載):8.1であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、2×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SiO4の添加量を18モル部とした以外は、実施例1と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折スペクトルチャートを図1に示す。スペクトルチャートより、Li2Sの結晶ピークは、完全に消失しガラス化している、即ち無定形となっていることが確認できた。また、図3から、2θ=27.04±0.1degの回折強度が500cps以下であることが確認できた。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:11.6、P:16.0、S:59.0、他(Aと記載):13.4であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、1×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
実施例1においてLi4SiO4を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメカニカルミリング処理した。その結果、X線回折スペクトルにおいてLi2Sのピークが認められ、完全に反応しておらず、無定形となっていないことが確認された。また、熱処理後の固体電解質のイオン伝導度も低い結果であった。
Li2SiO4の添加量を25モル部とした以外は、実施例1と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折スペクトルチャートを図1に示す。スペクトルチャートより、Li2Sの結晶ピークは、完全に消失しガラス化している、即ち無定形となっていることが確認できた。また、図4からも確認できた。一方、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:12.4、P:15.0、S:55.2、他(Aと記載):17.4であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には鋭いX線回折ピークが認められたが、イオン伝導度は、3×10−5S/cmと低いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SとP2O5の仕込み比を変えた以外は、実施例1と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行ったところ、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。一方、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:10.0、P:18.6、S:70.5、他(Aと記載):0.9であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められ、イオン伝導度は、3×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SiO4の添加量を10モル部とした以外は、実施例4と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認できた。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:11.2、P:16.8、S:63.6、他(Aと記載):8.3であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、2×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SiO4の添加量を18モル部とした以外は、実施例4と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:12.2、P:15.4、S:58.6、他(Aと記載):13.8であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、1×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
実施例4においてLi4SiO4を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメカニカルミリング処理した。その結果、X線回折スペクトルにおいてLi2Sのピークが認められ、完全に反応しておらず、無定形となっていないことが確認された。また、熱処理後の固体電解質のイオン伝導度も低い結果であった。
Li2SiO4の添加量を25モル部とした以外は、実施例4と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。一方、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:12.9、P:14.4、S:54.8、他(Aと記載):17.8であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には鋭いX線回折ピークが認められたが、イオン伝導度は、8×10−5S/cmと低いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SとP2O5の仕込み比を変えた以外は、実施例1と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行ったところ、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。一方、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:10.0、P:17.7、S:70.4、他(Aと記載):1.0であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められ、イオン伝導度は、2×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SiO4の添加量を10モル部とした以外は、実施例7と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認できた。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:12.2、P:15.8、S:63.2、他(Aと記載):8.7であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、2×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SiO4の添加量を18モル部とした以外は、実施例7と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:13.1、P:14.5、S:57.9、他(Aと記載):14.4であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、1×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
実施例7においてLi4SiO4を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメカニカルミリング処理した。その結果、X線回折スペクトルにおいてLi2Sのピークが認められ、完全に反応しておらず、無定形となっていないことが確認された。また、熱処理後の固体電解質のイオン伝導度も低い結果であった。
Li2SiO4の添加量を25モル部とした以外は、実施例7と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。一方、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:13.8、P:13.5、S:54.0、他(Aと記載):18.6であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には鋭いX線回折ピークが認められたが、イオン伝導度は、3×10−5S/cmと低いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li2SiO3変えてLi3PO4を使用した以外は、実施例4と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行ったところ、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。一方、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:9.9、P:18.9、S:70.5、他(Aと記載):0.6であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められ、イオン伝導度は、1×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li3PO4の添加量を10モル部とした以外は、実施例10と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認できた。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:10.7、P:19.6、S:63.9、他(Aと記載):5.8であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、2×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li3PO4の添加量を18モル部とした以外は、実施例10と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。また、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:11.3、P:20.2、S:58.9、他(Aと記載):9.6であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には実施例1の場合と同様の位置に鋭いX線回折ピークが認められた。また、イオン伝導度は、1×10−3S/cmと高いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
Li3PO4の添加量を25モル部とした以外は、実施例10と同様にメカニカルミリング処理した。得られた粉末について、実施例1と同様に粉末X線回折測定を行った。このX線回折の結果、Li2Sのピークは認められず、無定形となっていることが確認された。一方、元素分析の結果から求めた重量百分率は、Li:11.7、P:20.6、S:55.2、他(Aと記載):12.5であった。この粉末を実施例1と同様に熱処理して得られた固体電解質には鋭いX線回折ピークが認められたが、イオン伝導度は、5×10−5S/cmと低いものであった。ここで、熱処理中に気体の発生が認められなかったことから、熱処理物の元素分析結果は、熱処理前のものと同一であると判断した。
また、本発明の製造方法は、焼成温度が150℃〜360℃と低温領域であり、短時間で原料を製造できることから量産性に優れかつ、経済性にも優れている。
さらに、上記の特性を有する本発明の固体電解質を使用した全固体二次電池は、エネルギー密度が高く、安全性及び充放電サイクル特性が優れている。
Claims (9)
- 下記式(1)で表される組成を有し、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において無定形を示す固体電解質。
LixPySzAo・・・(1)
(式中、Aは、P、S以外の周期律表13,14,15,16族のいずれかに属する元素である。
x=9.0〜14.0、y=14.0〜21.0、z=57.0〜71.0、o=0.5〜15.0である(重量%)。) - 下記式(1)で表される組成を有し、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する固体電解質。
LixPySzAo・・・(1)
(式中、Aは、P、S以外の周期律表13,14,15,16族のいずれかに属する元素である。
x=9.0〜14.0、y=14.0〜21.0、z=57.0〜71.0、o=0.5.0〜15.0である(重量%)。) - Aが、Si,Ge,B,Al,Oから選択される1種又は2種以上である請求項1又は2記載の固体電解質。
- 以下の成分(a)〜(c)を、以下の配合比で混合する請求項1記載の固体電解質の製造方法。
[成分]
(a)Li2S
(b)P2S5、又は単体リン及び単体硫黄
(c)周期律表13,14,15,16族に属する元素のいずれかを含有する、上記成分(a),(b)以外の1種又は2種以上の第三成分
[配合比]
成分(a):成分(b)(モル比)=65〜75:35〜25
成分(a)と成分(b)の合計を100モル部としたとき、成分(c)が1〜20モル部 - 前記第三成分が、Li4SiO4、Li3PO4、Li4GeO4、LiBO2、LiAlO3から選択される1種又は2種以上である請求項4記載の固体電解質の製造方法。
- メカニカルミリング法により製造する、請求項4又は5記載の固体電解質の製造方法。
- 請求項4〜6いずれか一項記載の製造方法で得られる固体電解質を150〜360℃で熱処理する、請求項2記載の固体電解質の製造方法。
- リチウム二次電池用である請求項1〜3いずれか一項記載の固体電解質。
- 請求項1〜3及び請求項8いずれか一項記載の固体電解質を用いて得られる全固体二次電池。
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