JP2007262353A - 軟質塩化ビニル系共重合樹脂 - Google Patents

軟質塩化ビニル系共重合樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、各種用途に応じた適当な硬度、柔軟性を付与すると共に、塩化ビニル樹脂と同等の重合安定性を有し、熱安定性に優れた軟質塩化ビニル系樹脂を提供することを課題とする。
【解決手段】 ガラス転移温度が0℃以下である、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の1分子あたり少なくとも1個、下記一般式:
−OC(O)C(R)=CH2
(式中、Rは水素、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。)
からなる構造である、重量平均分子量が1,000〜10,000のマクロモノマーと、塩化ビニル系モノマーとを共重合して、軟質塩化ビニル系共重合樹脂を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塩化ビニル系モノマーと、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマー、とを共重合して得られる塩化ビニル系共重合樹脂に関するものであり、さらに詳しくは、可塑剤を減量するもしくは全く使用しなくとも充分な柔軟性が得られ、ブリードによるべとつき感もなく、透明性、熱安定性に優れた新規な軟質塩化ビニル系樹脂に関する。
塩化ビニル樹脂は、機械的物性、化学的物性に優れ、また可塑剤量の調整により硬質から軟質までの成形体が得られるため種々の用途に使用されている。
特に、軟質用途に用いられる塩化ビニル樹脂は、可塑剤量の調整で硬度、柔軟性を調整することができ、電線被覆等の押出成形用途、合成皮革等のシート・フィルム用途、軟質成形体などのインジェクション用途、その他様々な用途において広く用いられている。
しかし、軟質用途に用いるためには可塑剤を多量に使用する必要があり、経時と共に可塑剤がブリードして、べとつき感の発生や透明性の低下、あるいは柔軟性の低下や脆化、等、品質の劣化を招くようになっており、各種用途に応じた適当な硬度、柔軟性を付与するための新たな技術に対する期待が高まっている。
軟質用樹脂として、塩化ビニルモノマーに酢酸ビニルモノマーを共重合させた、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を用いた場合には、モノマー同士の共重合性比が高く、いわゆるランダムコポリマーを形成することからポリマーのガラス転移温度を下げ、柔軟性を得ることができるものの、ポリマーの耐熱性を著しく低下させ、安定剤を併用しても加工温度幅の狭い問題がある(非特許文献1)。
また、ガラス転移温度の低いアクリル酸エステル系モノマーを、塩化ビニル系重合体にグラフト重合することによって内部可塑化する技術(特許文献1)や多官能性モノマーを含むアクリル酸エステル系モノマーに塩化ビニル系モノマーをグラフト重合させることによって耐衝撃性を改善する技術(特許文献2)も知られているが、パーオキサイド系触媒や多官能性モノマー反応残基等の存在下において、部分的に塩化ビニル系重合体にグラフト化されるだけで、塩化ビニル単独重合体、アクリル酸エステル系単独重合体、少量のグラフト重合体の三相混合状態となるため、この重合混合物単独で透明性と耐熱分解性を具有した軟質樹脂となることは難しいという課題があった。
特開昭55−021424号公報 特開昭60−255813号公報 プログレス・イン・ポリマー・サイエンス(Prog.Polym.Sci.)2002年、27巻、2037頁
本発明は、各種用途に応じた適当な硬度、柔軟性を付与すると共に、塩化ビニル樹脂と同等の重合安定性を有し、熱分解性に優れた軟質塩化ビニル系樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、分子量分布や重合性反応基の制御されたマクロモノマーを使用することにより上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)(A)塩化ビニル系モノマーと、(B)二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有する、重量平均分子量が1,000〜10,000のマクロモノマー、とを共重合させて得られるものであることを特徴とする、軟質塩化ビニル系共重合樹脂(請求項1)、
(2)(B)の二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーが重合性官能基を有し、該重合性反応基が、1分子あたり少なくとも1個、下記一般式:
−OC(O)C(R)=CH2 (1)
(式中、Rは水素、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。)
を含む構造であることを特徴とする、請求項1に記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂(請求項2)、
(3)(A)と(B)の比率(A)/(B)が、90重量%/10重量%〜50重量%/50重量%であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂(請求項3)、
(4)(B)の少なくとも1種のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂(請求項4)、
(5)(B)がリビングラジカル重合により製造されるものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂(請求項5)、
(6) 水性重合によって重合することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂の製造方法(請求項6)、
に関する。
本発明の軟質塩化ビニル系共重合樹脂は、可塑剤を減量する、あるいは可塑剤なしでも柔軟性に優れる。また、本発明の軟質塩化ビニル系共重合樹脂は、熱安定性に優れる。
本発明は、本願発明者らが発明した特願2005−206815号における、塩化ビニル系モノマーと二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとを共重合して得られる軟質塩化ビニル系共重合樹脂を、さらに累積検討することによって得られたものであり、該マクロモノマーの重量平均分子量を1,000〜10,000とすることによって、より柔軟性に優れることを見出した。
本発明の「軟質塩化ビニル系共重合樹脂」とは、通常液状の可塑剤を用いることで実現される、樹脂成形体の内部可塑化効果を「軟質塩化ビニル系共重合樹脂」を単独で使用することで置換することができる樹脂である。本発明の「軟質塩化ビニル系共重合樹脂」は、「可塑剤を含む樹脂成形体の場合、塩化ビニル樹脂成形体と同一硬度とするための可塑剤量を減量できる」、「軟質塩化ビニル系共重合樹脂単独成形体の表面硬度、すなわちJIS K 7215に規定のプラスチックのデュロメーター硬さ試験方法に準じ、タイプAデュロメーターを用いて評価した硬度(以下HDAと略す)の値、が95以下である」、という効果の少なくとも1つの効果が確認されるものをいう。
本発明の軟質塩化ビニル系共重合樹脂は、(A)塩化ビニル系モノマーと(B)二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとを共重合して得られるものであって、(B)の重量平均分子量(以下Mwと記す)が1,000〜10,000であることが好ましく、3,000〜6,000であることがさらに好ましい。Mwが1,000〜10,000の範囲であると、充分な柔軟性が得られると共に、塩化ビニル系モノマーと均一混合が可能で、重合終了後も安定な水性共重合体を得ることができる。ここでMwとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)で測定した値であり、さらに詳しくは、Waters社製GPCシステム(製品名510)を用い、クロロホルムを移動相として、昭和電工(株)製Shodex K−802.5及びK−804(ポリスチレンゲルカラム)を使用し、室温環境下で測定した値である。
また本発明の軟質塩化ビニル系共重合樹脂は、(A)と(B)の比率(A)/(B)を、90重量%/10重量%〜50重量%/50重量%の範囲で共重合して得られるものである。(A)/(B)=90重量%/10重量%〜50重量%/50重量%の範囲であれば、重合中及び重合終了後において安定な重合体として存在することができ、このように生産された共重合樹脂は充分な柔軟性を有することができる。
本発明で使用される塩化ビニル系モノマーとしては特に限定はなく、例えば塩化ビニルモノマー、塩化ビニリデンモノマー、酢酸ビニルモノマー又はこれらの混合物、又は、この他にこれらと共重合可能で、好ましくは重合後の重合体主鎖に反応性官能基を有しないモノマー、例えばエチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類から選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いてもよい。2種以上の混合物を使用する場合は、塩化ビニル系モノマー全体に占める塩化ビニルモノマーの含有率を50重量%以上、特に70重量%以上とすることが好ましく、中でも得られる共重合樹脂の柔軟性が得られやすいことから90重量%以上とすることがさらに好ましい。
一般に、マクロモノマーとは、重合体の末端に反応性の官能基を有するオリゴマーである。本発明で使用される、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーは、反応性官能基として、アリル基、ビニルシリル基、ビニルエーテル基、ジシクロペンタジエニル基、下記一般式(1)から選ばれる重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも1分子あたり1個、分子末端に有する、ラジカル重合によって製造されたものである。特に、塩化ビニル系モノマーとの反応性が良好なことから、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が、下記一般式
−OC(O)C(R)=CH2 (1)
で表される基であることが好ましい。
式中、Rの具体例としては特に限定されないが、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CNの中から選ばれる基が好ましく、更に好ましくは−H、−CH3を用いることができる。
また、本発明で使用されるマクロモノマーの主鎖である、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体は、ラジカル重合によって製造される。ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを使用して、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は、特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使用する必要がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く、粘度の低い重合体は得にくい。
「制御ラジカル重合法」は、さらに、特定の官能基を有する連鎖移動剤を使用して重合を行うことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対して特定の官能基を有する連鎖移動剤を必要とする。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の低い重合体は得にくい。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、本件出願人自身の発明に係る国際公開WO99/65963号公報に記載されるように、重合速度が大きく、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い、例えば、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が1.1〜1.5程度の重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、本発明において、上記の如き特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましい重合法である。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁等が挙げられる。
本発明におけるマクロモノマーの製法として、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、通常、制御ラジカル重合法が利用され、さらに制御の容易さなどからリビングラジカル重合法が好ましく用いられ、特に原子移動ラジカル重合法が最も好ましい。
制御ラジカル重合法、詳しくはリビングラジカル重合で製造された二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーは、末端を完全に塩化ビニル系樹脂と共重合させることができるため、得られる共重合体の充分な柔軟性が得られ、透明性、耐熱性等にも優れるため、好ましい。
また本発明で使用されるマクロモノマーの主鎖が有する、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体としては特に制約はなく、該重合体を構成する二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーとしては、各種のものを用いることができる。例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸―2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を共重合させても構わない。中でも生成物の物性等から、酢酸ビニル系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくはアクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、さらに好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、最も好ましくはアクリル酸ブチルである。ここで、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸あるいはアクリル酸を意味するものである。2種以上のモノマーを共重合させる場合は、マクロモノマー全体に占めるこれらの好ましいモノマーが、重量比で40重量%以上含まれることが好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系モノマーと共重合可能なマクロモノマーは1種のみを用いてもよく、構成するエチレン性不飽和モノマーが異なるマクロモノマーを2種以上併用してもよい。
本発明における二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーのガラス転移温度は、単独、あるいは2種以上のマクロモノマーを併用する場合、少なくとも1種は、0℃以下であることが好ましい。より好ましくはガラス転移温度が−20℃以下であり、最も好ましくは−50℃以下である。マクロモノマーを2種以上併用する場合は、−50℃以下のマクロモノマーの重量比が全マクロモノマーの50重量%以上含まれることが好ましい。
本発明の軟質塩化ビニル系共重合樹脂の平均重合度又は平均分子量は、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されず、通常製造又は使用される塩化ビニル系樹脂と同様に、JIS K 7367−2に従って測定した可溶分樹脂のK値が50〜95の範囲である。また、平均粒径としては特に限定されないが、粉体流動性が良好なことから通常30〜500μmの範囲であり、さらに加工時の溶融特性に優れることから、50〜300μmであれば特に好ましい。
本発明の軟質塩化ビニル系共重合樹脂の製造方法については、本発明の効果を奏する範囲であれば特に制約はないが、重合制御の簡便性や、乾燥樹脂が粒子状粉体で得られてハンドリング性が良好であること、等から水性重合が好ましく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法等の製造方法が挙げられる。さらに好ましくは、粒子制御の簡便性、乾燥処理の簡便性より懸濁重合法、微細懸濁重合法で製造され、特に好ましくは、50〜300μmの平均粒径が得られる懸濁重合法で製造されることである。
本発明の塩化ビニル系共重合樹脂を製造する際に用いられる懸濁重合法は、本発明の目的を損なわない範囲の任意の方法で行うことができ、原料の仕込みも本発明の目的を損なわない範囲の技術を任意に用いることができる。例えば最も一般的な方法として、先に水を仕込んだのち塩化ビニル系モノマー及びポリ酢酸ビニルを仕込む方法、重合温度まで昇温する時間を短縮する目的で先に塩化ビニル系モノマー及びポリ酢酸ビニルを仕込んだのち温水を仕込む方法、さらに仕込み及び昇温時間を短縮する目的で塩化ビニル系モノマー及びポリ酢酸ビニルと温水を同時に仕込む方法等を用いることができる。
また本発明の塩化ビニル系共重合樹脂を製造する際に用いられる懸濁重合法においては、分散剤として、本発明の目的を損なわない範囲のものを特に限定されずに使用することができる。そのような分散剤としては、例えば、部分鹸化ポリ酢酸ビニル;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル;ポリエチレンオキサイド;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸;酢酸ビニル−マレイン酸共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;ゼラチン;デンプン、等の有機高分子分散剤が使用可能であり、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに本発明の塩化ビニル系共重合樹脂を製造する際に用いられる懸濁重合法においては、重合開始剤として、特に限定されずに本発明の目的を損なわない範囲の油溶性重合開始剤を添加すれば良いが、これらの開始剤のうち10時間半減期温度が30〜65℃のものを1種又は2種以上使用するのが好ましい。このような重合開始剤としては、例えば、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これら油溶性重合開始剤は特に制約のない状態で添加することができるが、例えば有機溶剤に溶解して使用する場合には、その有機溶剤の例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオクチルフタレート等のエステル類が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに塩化ビニル系樹脂の製造に通常使用される抗酸化剤、重合度調節剤、連鎖移動剤、pH調節剤、ゲル化性改良剤、帯電防止剤、乳化剤、安定剤、スケール防止剤等やこれらの仕込量及び仕込方法も、本発明の目的を損なわない範囲の技術をなんら支障なく任意に用いることができる。
重合温度条件は特に限定しないが、好ましくはJIS K 7367−2に従って測定したK値が50〜95となる塩化ビニル系樹脂を製造する際の条件である30〜70℃で重合を行う。
また重合反応熱の除去は、本発明の目的を損なわない範囲の方式、例えば外部あるいは内部ジャケットによる除熱、通水バッフル等による除熱、還流凝縮器による方法等を、単独あるいは必要に応じ適宜組み合わせて利用すれば良い。
このような製造方法によれば、該共重合樹脂はスラリー状で得られるが、これを乾燥して粉粒体の共重合樹脂を得る方法としては特に制約はなく、例えば、スラリーを脱水したのち流動乾燥法により乾燥する方法、あるいはスラリーを脱水したのち熱風乾燥機等により静置乾燥する方法、等が挙げられる。
本発明の軟質塩化ビニル系共重合樹脂は、可塑剤を減量する、あるいは可塑剤なしでも柔軟性に優れ、また熱分解性に優れるという特性を有しているため、そのような特性を必要とし本発明の共重合樹脂を使用可能な用途であれば特に限定なく適用することができる。そのような用途として、例えば、農業用フィルム、合成レザー、壁紙、壁紙や化粧板等の保護フィルム、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム、ガスケット、ホース・チューブ、靴底、電線被覆コート、サイディング材、輸液バッグ・血液バッグ・薬液容器・チューブ・カテーテル等の医療用成形体、等が挙げられる。
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。ここで、特に断りのない限り、実施例中の「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。なお、表面硬度及び加熱初期着色時間の測定・評価方法は下記の通りである。
(イ)表面硬度
JIS K6253に準じ、デュロメーター硬度計タイプAでの試験を行った。単独成形体の測定値(HDA)が95以下であれば軟質樹脂と定義した。また、HDAが95以下であっても、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂単独樹脂成形体と同一硬度とするための可塑剤量を減少することができた場合も軟質樹脂であると定義した。
(ロ)加熱初期着色時間
各樹脂に、必要な各種添加剤を所定量配合し、ロール/プレス加工により作製したシートをJIS K7212に準じ、3cm×4cmの大きさに切断し、190℃に設定したギアオーブン(No102−SHF−77:株式会社安田精機製作所製)に投入し、エージングHIGH、ダンパー全閉、ドラム回転ONの条件で加熱し、目視により不透明となり、全体が黒色に達した時間を測定した。加熱時間が長いほど、熱安定性に優れていると判断できる。
(実施例1)
ジャケット及び攪拌機を備えた内容量25リットルのステンレス鋼製重合機に、鹸化度約80モル%、平均重合度約2000の部分鹸化ポリビニルアルコール0.05部、平均分子量が約450万のポリエチレンオキサイド0.005部、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.03部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート0.01部を仕込み、脱気後に塩化ビニルモノマー90部及びMw=1,000の片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸−n−ブチル)マクロモノマー10部を仕込んだのち60℃の温水120部を仕込み、重合温度57℃で約6時間重合した。重合機内の未反応モノマーを回収したのち重合機を冷却し、スラリーを払い出した。得られたスラリーを脱水して熱風乾燥機にて55℃で24時間乾燥し、塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Aを白色粉体として得た。
該塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂A100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度180℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度185℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを得、HDA及び加熱初期着色時間の評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ、Mw=12,000の片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸−n−ブチル)マクロモノマーを約20%含む塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂(比較例7)よりも低いHDAを示す。即ち、マクロモノマー含量が少なくても充分な柔軟性を有する。また加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。さらにブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例2)
実施例1において、塩化ビニルモノマーの仕込量を80部、マクロモノマーの仕込量を20部としたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Bを白色粉体として得た。次いで、該樹脂から実施例1と同様の方法によりテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例3)
実施例1において、Mw=3,000のマクロモノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Cを白色粉体として得た。次いで、該樹脂から実施例1と同様の方法によりテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ、参考例2よりもマクロモノマー含量が少ないにも関わらず参考例2と同程度のHDAを示す。即ち、マクロモノマー含量が少なくても充分な柔軟性を有する。また加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。さらにブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例4)
実施例3において、塩化ビニルモノマーの仕込量を80部、マクロモノマーの仕込量を20部としたこと以外は、実施例3と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Dを白色粉体として得た。次いで、該樹脂から実施例3と同様の方法によりテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例5)
実施例3において、塩化ビニルモノマーの仕込量を70部、マクロモノマーの仕込量を30部としたこと以外は、実施例3と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Eを白色粉体として得た。次いで、該樹脂E100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度170℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度175℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例6)
実施例3において、塩化ビニルモノマーの仕込量を60部、マクロモノマーの仕込量を40部としたこと以外は、実施例3と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Fを白色粉体として得た。次いで、該樹脂F100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度160℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度165℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例7)
実施例3において、Mw=6,000のマクロモノマーを用いたこと以外は、実施例3と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Gを白色粉体として得た。次いで、該樹脂から実施例3と同様の方法によりテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例8)
実施例7において、塩化ビニルモノマーの仕込量を50部、マクロモノマーの仕込量を50部としたこと以外は、実施例7と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Hを白色粉体として得た。次いで、該樹脂H100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度150℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度155℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。
(実施例9)
実施例1で得られた塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂A100部に対し、可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレート(商品名DOP、株式会社ジェイ・プラス製、以下DOPと記す)5部、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度175℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度180℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。さらに、比較例2と同程度のHDAを示すが、配合する可塑剤量が比較例2の40部に比べ本実施例では5部と少なく、配合する可塑剤を減量することが出来た。
(実施例10)
実施例7で得られた塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂G100部に対し、可塑剤としてDOP(商品名DOP、株式会社ジェイ・プラス製)10部、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度175℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度180℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAが軟質樹脂の定義に入り、且つ加熱初期着色時間が長く熱安定性に優れる。またブリードによるべとつき感や付着物もなかった。さらに、比較例5と同程度のHDAを示すが、配合する可塑剤量が比較例5の30部に比べ本実施例では10部と少なく、配合する可塑剤を減量することが出来た。
(比較例1)
一般用ポリ塩化ビニル樹脂(カネビニールS1003:株式会社カネカ製、K値71.5)100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度200℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度210℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。HDAの値が95より大きく、軟質樹脂の定義には入らない。また、加熱初期着色時間も実施例に比べ短く、好ましくない。
(比較例2)
比較例1に、さらに可塑剤としてDOP(商品名DOP、株式会社ジェイ・プラス製)を40部配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度180℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度185℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。実施例3と同程度のHDAを示すが、可塑剤を40部配合しており、ブリードによるべとつき感や付着物があって好ましくない。また、加熱初期着色時間も実施例に比べ短く、好ましくない。
(比較例3)
比較例1に、さらに可塑剤としてDOP(商品名DOP、株式会社ジェイ・プラス製)を60部配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度170℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度175℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。実施例2と同程度のHDAを示すが、可塑剤を60部配合しており、ブリードによるべとつき感や付着物があって好ましくない。また、加熱初期着色時間も実施例に比べ短く、好ましくない。
(比較例4)
一般用ポリ塩化ビニル樹脂(カネビニールS1007:株式会社カネカ製、K値58)100部に対し、可塑剤としてDOP(商品名DOP、株式会社ジェイ・プラス製)を20部、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度160℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度165℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。実施例7と同程度のHDAを示すが、可塑剤を20部配合しており、ブリードによるべとつき感や付着物があって好ましくない。また、加熱初期着色時間も実施例に比べ短く、好ましくない。
(比較例5)
比較例4において、可塑剤DOPを30部配合したこと以外は、比較例4と同様にしてテストシートを作製し、各種評価に供した。結果を表1に示す。参考例2と同程度のHDAを示すが、可塑剤を30部配合しており、ブリードによるべとつき感や付着物があって好ましくない。また、加熱初期着色時間も参考例及び実施例に比べ短く、好ましくない。
(比較例6)
実施例1のMw=1,000の片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸−n−ブチル)マクロモノマー10部をMw=12,000の片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸−n−ブチル)マクロモノマー10部に変更した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂(以下TS10と記す)を白色粉体として得た。
TS10を100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度180℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度185℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを得、HDA及び加熱初期着色時間の評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例7)
比較例6において、塩化ビニルモノマーの仕込量を80部、マクロモノマーの仕込量を20部としたこと以外は、比較例6と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂(以下TS20と記す)を白色粉体として得た。
TS20を100部に対し有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度180℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度185℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを得、HDA及び加熱初期着色時間の評価に供した。結果を表1に示す。
(比較例8)
比較例6において、塩化ビニルモノマーの仕込量を60部、マクロモノマーの仕込量を40部としたこと以外は、比較例6と同様にして塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂(以下TS40と記す)を白色粉体として得た。次いで、TS40を100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成株式会社製、ジオクチル錫メルカプト)2部、モンタン酸部分ケン化エステルワックス(Wax−OP:クラリアントジャパン株式会社製)0.3部、二塩基酸エステル系滑剤(Loxiol G−60:コグニスジャパン株式会社製)0.3部を配合したのち、日本ロール製造株式会社製H0S−2103型8インチロールに投入し、ロール温度160℃、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数18rpmの条件で5分間混練し、0.5mm厚みのシートを作製した。さらにこれを所定の大きさに切り分けて数枚重ね合わせ、株式会社神藤金属工業所製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて、プレス温度165℃、プレス圧力5MPaの条件で10分間プレスし、1mm厚みのテストシートを得、各種評価に供した。結果を表1に示す。
Figure 2007262353

Claims (6)

  1. (A)塩化ビニル系モノマーと、(B)二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有する、重量平均分子量が1,000〜10,000のマクロモノマー、とを共重合して得られるものであることを特徴とする、軟質塩化ビニル系共重合樹脂。
  2. (B)二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーが、重合性官能基を有し、該重合性反応基が、1分子あたり少なくとも1個、下記一般式:
    −OC(O)C(R)=CH2 (1)
    (式中、Rは水素、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。)
    を含む構造であることを特徴とする、請求項1に記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂。
  3. (A)と(B)の比率(A)/(B)が、90重量%/10重量%〜50重量%/50重量%であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂。
  4. (B)の少なくとも1種のガラス転移温度が0℃以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂。
  5. (B)がリビングラジカル重合により製造されるものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂。
  6. 水性重合によって重合することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の軟質塩化ビニル系共重合樹脂の製造方法。
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