JP7257805B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP7257805B2
JP7257805B2 JP2019022901A JP2019022901A JP7257805B2 JP 7257805 B2 JP7257805 B2 JP 7257805B2 JP 2019022901 A JP2019022901 A JP 2019022901A JP 2019022901 A JP2019022901 A JP 2019022901A JP 7257805 B2 JP7257805 B2 JP 7257805B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
component
block
resin composition
chloride resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019022901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020132657A (ja
Inventor
七海 堀内
真梨奈 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Riken Technos Corp
Original Assignee
Riken Technos Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Riken Technos Corp filed Critical Riken Technos Corp
Priority to JP2019022901A priority Critical patent/JP7257805B2/ja
Publication of JP2020132657A publication Critical patent/JP2020132657A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7257805B2 publication Critical patent/JP7257805B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、成形性、特に押出加工性、および耐候性に優れ、可塑剤等の溶出が低減された軟質の塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
塩化ビニル系樹脂は、大きく分けて、硬質用、軟質用、電線その他に分類される用途に用いられ、各用途において要求される性能や成形加工性は異なる。特に軟質塩化ビニル系樹脂組成物は、フィルム、シート等に用いられ、成形加工の容易性や経済性等の利点を有することから、多種多様な用途に使用されている。
種々の用途に使用されている軟質塩化ビニル系樹脂には、可塑剤として、フタル酸エステル、脂肪族ポリエステル、エポキシ化合物等の種々の化合物が用いられている。これらのなかでも、可塑化効果が高く、透明性、加工性、コスト等の観点から、フタル酸エステルが最も多く用いられている。しかしながら、フタル酸エステルのような可塑剤を使用したポリ塩化ビニル樹脂等の軟質プラスティック材料では、可塑剤の溶出という問題がある。そのため可塑剤の溶出抑制の手段が検討されており、溶出しても問題ないと考えられる化合物(例えばトリメリット酸等)に可塑剤を代替する方法、塩化ビニル系樹脂に活性エネルギー線を照射して架橋する方法、プラズマ処理等により成形体の表面処理を行う方法等の種々の方法が検討されている。しかしながら、架橋処理や表面処理を行う方法では、処理に特別な装置を使用する必要があり、汎用の軟質塩化ビニル系樹脂に適用するには困難であった。また、チューブやバッグ等の医療用途において人体に影響が少ない可塑剤であっても、溶出性や移行性の問題は依然として解決されていない。
このような問題に対して、可塑剤に代えて溶出性や移行性が殆どないと考えられる高分子材料を樹脂の可塑化に使用することが提案されている。例えば、特許文献1には、ポリ塩化ビニルに対して特殊なポリウレタンを配合することで、可塑剤としてフタル酸エステルを使用しない軟質ポリ塩化ビニル系樹脂が提案されている。また、特許文献2には、塩化ビニル樹脂に、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の高分子材料とアクリル系樹脂等の滑剤とを添加することが提案されている。
特開平3-35078号 特開平9-302185号
特許文献1や2に記載のように、フタル酸エステル等の可塑剤に代えて高分子材料を用いることにより溶出や移行性の問題は解決できるものの、使用用途によっては十分に軟質化できないとう問題があった。すなわち、ポリウレタンやEVAを塩化ビニル系樹脂に添加した成形物は、成形性の観点からデュロメータ硬さ(タイプA)で80程度までしか軟質化できず、成形体の使用用途によっては、柔らかさが不十分である場合があった。また、耐候性が十分ではない場合があった。
そこで、本発明は、成形性、耐候性、溶出性や移行性に優れながら、軟質用途に求められる柔らかさを達成することができる、可塑剤を含まない軟質の塩化ビニル系組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、塩化ビニル系樹脂に、特定のアクリル系ブロック共重合体を配合することで、成形性や耐候性を維持しながら、軟質用途に求められる十分な柔らかさを有する塩化ビニル系組成物が得られることを見出した。本発明は、係る知見に基づくものである。
そして、本発明による塩化ビニル系組成物は、
(A)塩化ビニル系樹脂と、
(B)アクリル系ブロック共重合体と、
を含んでなり、
前記成分(B)が、メチルメタアクリレートブロックからなるハードセグメント、およびアルキルアクリレートブロックからなるソフトセグメントを含むブロック共重合体であることを特徴とするものである。
本発明の実施態様においては、上記ブロック共重合体が、メチルメタアクリレートブロック-アルキルアクリレートブロックからなるジブロック構造、または、メチルメタアクリレートブロック-アルキルアクリレートブロック-メチルメタアクリレートブロックからなるトリブロック構造を有することが好ましい。
本発明の実施態様においては、上記成分(A)の含有量は、上記成分(A)と上記成分(B)との合計100質量部に対して、10~70質量部であり、上記成分(B)の含有量は、上記成分(A)と上記成分(B)との合計100質量部に対して、30~90質量部であることが好ましい。
本発明の実施態様においては、上記ブロック共重合体において、上記ハードセグメントと上記ソフトセグメントとの質量比が、3:97~40:60の範囲であることが好ましい。
本発明の実施形態においては、上記ブロック共重合体において、上記アルキルアクリレートブロックがブチルアクリレート単位および2-エチルヘキシルアクリレート単位からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の実施形態においては、上記成分(B)の重量平均分子量が、20,000~700,000であることが好ましい。
本発明の実施形態においては、上記成分(A)が塩化ビニル-エチレン・酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。
本発明の実施形態においては、上記成分(A)および上記成分(B)の合計100質量部に対し、0.1~10質量部の(C)アクリル系加工助剤をさらに含むことが好ましい。
本発明の実施形態においては、上記(C)アクリル系加工助剤が、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー単位からなる単独重合体またはランダム共重合体であることが好ましい。
本発明の実施形態においては、上記成分(A)および上記成分(B)の合計100質量部に対し、0.1~5質量部の(D)滑剤をさらに含むことが好ましい。
本発明の実施形態においては、上記塩化ビニル系樹脂組成物は、JIS K6253(2012)に準拠したデュロメータ硬さ(タイプA)が30~85であることが好ましい。
本発明によれば、塩化ビニル系樹脂に、特定のアクリル系ブロック共重合体を添加することにより、従来の溶出や移行の問題が懸念されるフタル酸エステル等の可塑剤を使用することなく、成形性や耐候性を維持しながら、軟質用途に求められる十分な柔らかさを有する塩化ビニル系組成物を実現することができる。
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、(A)塩化ビニル系樹脂と(B)アクリル系ブロック共重合体とを必須成分として含む。以下、本発明による塩化ビニル系樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
<(A)塩化ビニル系樹脂>
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物に使用される(A)塩化ビニル系樹脂は、-CH-CHCl-で表される基を有する全ての重合体を指し、塩化ビニルの単独重合体;塩化ビニル-エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル・マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・プロピレン共重合体、塩化ビニル・スチレン共重合体、塩化ビニル・イソブチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・スチレン・無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル・スチレン・アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・イソプレン共重合体、塩化ビニル・塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン・酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル・各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他のモノマーとの共重合体;後塩素化ビニル共重合体等の塩化ビニル単独重合体や塩化ビニル系共重合体を改質したもの;さらには塩素化ポリエチレン等の構造上塩化ビニル樹脂と類似の塩素化ポリオレフィンを包含するが、これらに限定されない。
(A)塩化ビニル系樹脂としては、本発明の効果を発揮し得る限りにおいては特に制限されるものではないが、上記のうち、塩化ビニル-エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
(A)塩化ビニル系樹脂は、他の樹脂と比較して、耐水性、耐薬品性が高く、難燃性、電気絶縁性に優れている。また、安価であることから、家庭用品や工業用の材料として広い範囲で使用されている。
また、本発明における(A)塩化ビニル系樹脂として、市販されているものも利用することができる。例えば、大洋塩ビ株式会社から、EVA・塩ビグラフトコポリマーとして、TG-110、TG-120、TG-130等の商品名で販売されているものや、信越化学工業株式会社から、PVCストレートポリマーとして、TK-500、TK-600、TK-700、TK-800、TK-1000、TK-1300、TK-1400等の商品名で販売されているものを利用することができる。
(A)塩化ビニル系樹脂の配合量は、下記成分(B)との合計100質量部に対して、通常10~70質量部、好ましくは10~65質量部、より好ましくは15~60質量部である。(A)塩化ビニル系樹脂の配合量が上記範囲にあれば、成形性や耐候性を維持しながら、従来のフタル酸エステル系可塑剤を用いた軟質塩化ビニル系樹脂と同等レベルの柔らかさを有する成形体を得ることができる。
<(B)アクリル系ブロック共重合体>
塩化ビニル系樹脂に添加される(B)アクリル系ブロック共重合体は、メチルメタアクリレートブロックからなるハードセグメント、およびアルキルアクリレートブロックからなるソフトセグメントを含むブロック共重合体である。本発明においては、上記した特定のアクリル系ブロック共重合体を塩化ビニル系樹脂に添加することにより、従来の溶出や移行の問題が懸念されるフタル酸エステル等の可塑剤を使用することなく、成形性や耐候性を維持しながら、軟質用途に求められる十分な柔らかさを有する塩化ビニル系組成物を実現できる。その理由はハードセグメントのメチルメタアクリレートブロックが塩化ビニル系樹脂に相溶するため溶出がなく、ソフトセグメントのアルキルアクリレートブロックが樹脂組成物を軟化させ、成形性に寄与しているためであると考えられる。
(B)アクリル系ブロック共重合体は、ソフトセグメントを構成するブロック1個の両側に、ハードセグメントを構成するブロック2個を備えるトリブロック共重合体であるか、またはソフトセグメントを構成するブロック1個とハードセグメントを構成するブロック1個を備えるジブロック共重合体であることが好ましい。すなわち、本発明によるアクリル系ブロック共重合体は、メチルメタアクリレートブロック-アルキルアクリレートブロック-メチルメタアクリレートブロックからなるトリブロック構造、またはメチルメタアクリレートブロック-アルキルアクリレートブロックからなるジブロック構造を有することが好ましい。
ソフトセグメントを構成するアルキルアクリレートとしては、アクリル酸-n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-tert-ブチル、アクリル酸-n-ペンチル、アクリル酸-n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-n-ヘプチル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸-2-メトキシエチル、アクリル酸-3-メトキシブチル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2-アミノエチル、γ-(アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(アクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2-パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2-パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチル等の1種又は2種以上の組合せを挙げることができ、これらのなかでも、ブチルアクリレートまたはブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
(B)アクリル系ブロック共重合体は、本発明の効果を発揮し得る限りにおいては特に制限されるものではないが、上記のうち、メチルメタアクリレートブロック-ブチルアクリレートブロックもしくはメチルメタアクリレートブロック-ブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートブロックからなるジブロック構造、または、メチルメタアクリレートブロック-ブチルアクリレートブロック-メチルメタアクリレートブロックもしくはメチルメタアクリレートブロック-ブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートブロック-メチルメタアクリレートブロックからなるトリブロック構造を有することが好ましい。
(B)アクリル系ブロック共重合体において、ハードセグメントとソフトセグメントとは、質量基準で3:97~40:60の範囲であることが好ましく、より好ましくは5:95~35:65である。ソフトセグメントの割合が多くなるほど塩化ビニル系樹脂を軟化させることができるが、ハードセグメントの割合が少なすぎると、上記したように塩化ビニル系樹脂との相溶が低下するため、成形性が悪化する。一方、ソフトセグメントの割合が少なくなるほど、塩化ビニル系樹脂を軟化させる効率が低下する。
(B)アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、成形性や可塑性等の観点からは、20,000~700,000の範囲であることが好ましく、50,000~200,000の範囲であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)によって測定することができる。重量平均分子量が小さすぎると溶出や移行性の問題が生じる場合があり、重量平均分子量が大きすぎると成形性が悪化する場合がある。
また、本発明における(B)アクリル系ブロック共重合体として、市販されているものも利用することができる。例えば、ソフトセグメントにブチルアクリレートを用いたアクリル系ブロック共重合体として、株式会社クラレから、クラリティ(登録商標)のLAシリーズである、LA1892、LA4285、LA2270、LA2250、LA2140、LA2330、LA3320等や、アルケマ(ARKEMA)社から、ナノストレングス(Nanostrength、登録商標)シリーズである、M51、M52、M22等として市販されている。また、ソフトセグメントにブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレートを用いたアクリル系共重合体として、株式会社クラレから、クラリティ(登録商標)のLKシリーズである、LK9243、KL-LK9333等として市販されている。
(B)アクリル系ブロック共重合体の配合量は、特に制限されるものではないが、軟質塩化ビニル系組成物の成形性や耐候性の観点からは、上記成分(A)との合計100質量部に対して、通常30~90質量部、好ましくは35~90質量部、より好ましくは40~85質量部である。
<(C)アクリル系加工助剤>
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、加工性、特に押出加工性を考慮して、さらに(C)アクリル系加工助剤を含んでいてもよい。(C)アクリル系加工助剤としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルを主成分としたポリマーが挙げられる。
本発明の効果を発揮し得る限りにおいては特に制限されるものではないが、(C)アクリル系加工助剤は、好ましくは、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー単位からなる単独重合体またはランダム共重合体である。
(C)アクリル系加工助剤の重量平均分子量(GPC法)は、好ましくは50,000~1,000万、より好ましくは500,000~1,000万、さらに好ましくは100万~1,000万である。
上記したような(C)アクリル系加工助剤として、市販されているものも利用することができる。例えば、三菱ケミカル株式会社から、メタブレンP-551A(重量平均分子量 150万)、メタブレンP-530A(重量平均分子量 300万)、メタブレンP-570A(重量平均分子量 30万)等として市販されている。また、株式会社カネカから、カネエースPA-20(重量平均分子量 100万)、カネエースPA-30(重量平均分子量 300万)、カネエースPA-60(重量平均分子量 850万)、カネエースPA-100(重量平均分子量 20万)等として市販されている。
(C)アクリル系加工助剤の配合量は、押出加工性を考慮して適宜調整することができるが、上記成分(A)と上記成分(B)との合計100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
<(D)滑剤>
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、加工性、特に押出加工性を考慮して、さらに(D)滑剤を含んでいてもよい。(D)滑剤としては、内部滑剤ないし外部滑剤が挙げられる。内部滑剤とは、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を低下させ摩擦発熱を防止する目的で使用されるものであり、具体的には例えばブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の併用でもよい。外部滑剤とは、成形加工時の溶融樹脂と金型、バレルなどの金属面との滑り効果を上げる目的で使用されるものであり、具体的には例えばパラフィンワックス、ポリオレフィン系ワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の併用でもよい。
また、本発明による(D)滑剤として、市販されているものも利用することができる。例えば、三井化学株式会社から、ハイワックス220MP等として市販されている。
(D)滑剤の配合量は、押出加工性を考慮して適宜調整することができるが、上記成分(A)と上記成分(B)との合計100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.5~3質量部であることがより好ましい。
<その他の任意成分>
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の目的に反しない限度において、所望により、上記以外の熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤(例えば、ステアリン酸およびシリコンオイル等)、着色剤、無機充填剤、発泡剤、および難燃剤などをさらに含んでいてもよい。
<塩化ビニル系樹脂組成物>
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、リボンブレンダー等の装置を用いてブレンドし、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー等の装置を用いて140~180℃の温度で混練することにより得ることができる。得られた塩化ビニル系樹脂コンパウンドは、適宜ペレット製造装置等を用いてペレット化することが好ましい。また、得られた塩化ビニル系樹脂コンパウンドを定法に従って溶融成形することにより所望の成形体を得ることができる。成形物の使用用途に応じて、射出成形、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、ブロー成形等の成形方法を適宜選択することができる。
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、JIS K6253(2012)に準拠したデュロメータ硬さ(タイプA)が30~85であることが好ましい。また、本発明による塩化ビニル系樹脂組成物の100%引張応力は、好ましくは0.5~14.0MPaであり、より好ましくは0.5~11.0MPaである。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形物は、上記のように、従来の溶出や移行の問題が懸念されるフタル酸エステル等の可塑剤を使用することなく、成形性や耐候性を維持しながら、軟質用途に求められる十分な柔らかさを有するため、移行を嫌うケーブルやチューブ、パッキンなどの電線部品、自動車部品、建材部品、また玩具や雑貨等の様々な用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書において、硬度、引張伸び、非移行性、耐候性、押出加工性およびブリード性は、以下の方法によって決定される値ないし指標である。
<硬度>
硬度は、JIS K6253(2012)に準拠した測定により、デュロメータ硬さ(タイプA、15秒値)により評価した。試験片は、6mm厚にプレスしたシートを用いた。
<引張強度>
引張強度(100%モジュラス(伸び100%時の引張応力を示す);MPa)は、JIS K6723に準拠して測定した。試験片は厚さ1mmのプレスシートを室温に12時間以上放置した後に、長さ115mm、幅25mmの2号形ダンベル試験片を採取した。試験はチャック間80±5mm、標線間25±1mmとし、23±2℃の室内で行い、試験速度は200mm/minとした。
<非移行性>
非移行性は、恒温槽を使用し、温度70℃、時間72hr、荷重1kgfの条件下にて、移行板としてPS板およびABS板を用いて、試験片から移行版への非移行性を評価した。試験片は35mm×35mm×1mm厚のプレスシートを用い、ガラス板、移行板、試験片、移行板、ガラス板の順に重ね、最後に荷重を乗せ、以下の基準で評価した。
○:PS板およびABS板の何れにも痕跡が残らない。
△:PS板またはABS板の何れかに痕跡が残る。
×:PS板およびABS板の何れも若干浸食される。
××:PS板およびABS板の何れも著しく浸食される。
<耐候性>
耐候性は、JIS B7753に準拠してサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、型式:S80HBBR)を用いて評価試験を行った。試験条件はブラックパネル温度63±3℃、照射条件120分中18分降雨、照射時間1000hrの条件下にて行った。試験片は30mm×60mm×1mm厚のプレスシートを用い、照射時間1000hr後のサンプルの外観から、以下の基準で評価した。
○:色調およびグロス共に変化なし。
△:色調およびグロス共に差が確認できる。
×:色調およびグロス共に差が確認でき、クラックが発生している。
<押出加工性>
単軸押出機(L/D=28)と平板型のダイスを使用し、ダイ出口樹脂温度180℃の条件で、一時混錬した熱可塑性樹脂組成物を、幅20mm、厚み1.0mmのテープの押出成形を行い、得られたテープの外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:得られたテープ表面には荒れやブツがなく、外観は良好である。
△:テープ表面に荒れを認める。またブツ不良を少数(長さ10cmのテープ中にブツが5個未満)認める。
×:テープ表面に荒れを認める。またブツ不良を多数(長さ10cmのテープ中にブツが5個以上)認める。
<ブリード性>
13mm×16mm×1mm厚のプレスシートを、恒温恒湿槽を使用し、温度50℃、湿度90%RHの条件下で10日間放置した後、表面を目視観察および触覚で、以下の基準で評価した。
○:目視および触覚でブリードが確認できない。
△:目視においてブリードは確認できないが、触覚においてブリードが確認できる。
×:目視および触覚でブリードが確認できる。
××:目視において顕著なブリードが確認できる。
使用した材料は以下の通りである。
成分(A)
(A-1)EVA・塩化ビニルグラフトコポリマー:TG-130(大洋塩ビ株式会社)
(A-2)PVCストレートポリマー:TK-1000(信越化学工業株式会社)
成分(B)
(B-1)MAM:LA-3320(クラリティ(登録商標)シリーズ、株式会社クラレ、PMMA比:15%、分子量(Mw):124,000)
(B-2)MAM:LA-2250(クラリティ(登録商標)シリーズ、株式会社クラレ、PMMA比:32%、分子量(Mw):68,000)
(B-3)MAM:LA-2270(クラリティ(登録商標)シリーズ、株式会社クラレ、PMMA比:40%、分子量(Mw):68,000)
(B-4)MAM:LK-9243(クラリティ(登録商標)シリーズ、株式会社クラレ、PMMA比:15%、分子量(Mw):10,000)
成分(C)
(C)アクリル系加工助剤:P-530A(メタブレン(登録商標)シリーズ、三菱ケミカル株式会社)
成分(D)
(D)滑剤:220MP(ハイワックスシリーズ、三井化学株式会社)
比較例用成分(E)
(E-1)熱可塑性エラストマー(TEEE):ハイトレルSB654(東レ株式会社)
(E-2)熱可塑性エラストマー(TPU):パンデックスT-5275(DIC株式会社)
(E-3)汎用可塑剤(DINP):フタル酸ジイソノニル(三菱ケミカル株式会社)
(E-4)耐久性可塑剤(TOTM):トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)(三菱ケミカル株式会社)
実施例1
上記(A-1)5質量部、上記(B-1)95質量部、および安定剤(Ca/Zn系粉末安定剤)3質量部からなる配合物を用い、容量20Lの加圧ニーダーを使用し、排出時樹脂温度185℃の条件で溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
上記で得た熱可塑性樹脂組成物を用い、サイズ8インチの2本ロールを使用して、分出しシートを作製した。次いで、得られた分出しシートを用い、熱プレス装置を使用して、温度180℃で2分間予熱し、続いて温度180℃、圧力100kg/cmの条件で2分間加圧した後、冷却プレス装置を使用して、温度25℃、圧力20kg/cmの条件で2分間冷却プレスし、所定厚み(1mm、2mm、または6mm)のプレスシートを作製した。
このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物および各プレスシートについて、上記の物性試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2~18
用いる塩化ビニル系樹脂組成物の各成分の配合を、表1~表3に示すように変更したこと以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表1~表3に示す。
比較例1~10
用いる塩化ビニル系樹脂組成物の各成分の配合を、表4および表5に示すように変更したこと以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表4および表5に示す。
Figure 0007257805000001
Figure 0007257805000002
Figure 0007257805000003
Figure 0007257805000004
Figure 0007257805000005
上記表1~表5の評価結果からも明らかなように、成分B(即ち、メチルメタアクリレートブロックからなるハードセグメント、およびアルキルアクリレートブロックからなるソフトセグメントを含むブロック共重合体)を含む塩化ビニル系樹脂組成物(実施例1~18)は、他の高分子材料であるE-1成分またはE-2成分を含む塩化ビニル系樹脂組成物(比較例1、2)よりも、成形性、耐候性、溶出性が良好であることがわかる。また、成分Bを含む塩化ビニル系樹脂組成物(実施例1~18)は、従来の可塑剤であるE-3またはE-4成分を含む塩化ビニル系樹脂組成物(比較例3~10)よりも、成形性、対候性、溶出性が良好であることがわかる。

Claims (9)

  1. (A)塩化ビニル系樹脂と、
    (B)アクリル系ブロック共重合体と、
    を含んでなり、
    前記成分(A)が、塩化ビニル-エチレン・酢酸ビニル共重合体であり、
    前記成分(B)が、メチルメタアクリレートブロックからなるハードセグメント、およびアルキルアクリレートブロックからなるソフトセグメントを含むブロック共重合体であり、
    前記成分(A)の含有量は、前記成分(A)と前記成分(B)との合計100質量部に対して、10~40質量部であり、
    前記成分(B)の含有量は、前記成分(A)と前記成分(B)との合計100質量部に対して、60~90質量部である、塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 前記ブロック共重合体が、メチルメタアクリレートブロック-アルキルアクリレートブロックからなるジブロック構造、または、メチルメタアクリレートブロック-アルキルアクリレートブロック-メチルメタアクリレートブロックからなるトリブロック構造を有する、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 前記ブロック共重合体において、前記ハードセグメントと前記ソフトセグメントとの質量比が、3:97~40:60の範囲である、請求項1または2に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 前記ブロック共重合体において、前記アルキルアクリレートブロックがブチルアクリレート単位および2-エチルヘキシルアクリレート単位からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. 前記成分(B)の重量平均分子量が、20,000~700,000である、請求項1~4のいずれか一項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 前記成分(A)および前記成分(B)の合計100質量部に対し、0.1~10質量部の(C)アクリル系加工助剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  7. 前記(C)アクリル系加工助剤が、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のモノマー単位からなる単独重合体またはランダム共重合体である、請求項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  8. 前記成分(A)および前記成分(B)の合計100質量部に対し、0.1~5質量部の(D)滑剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  9. JIS K6253(2012)に準拠したデュロメータ硬さ(タイプA)が30~85である、請求項1~のいずれか一項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
JP2019022901A 2019-02-12 2019-02-12 塩化ビニル系樹脂組成物 Active JP7257805B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019022901A JP7257805B2 (ja) 2019-02-12 2019-02-12 塩化ビニル系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019022901A JP7257805B2 (ja) 2019-02-12 2019-02-12 塩化ビニル系樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020132657A JP2020132657A (ja) 2020-08-31
JP7257805B2 true JP7257805B2 (ja) 2023-04-14

Family

ID=72262387

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019022901A Active JP7257805B2 (ja) 2019-02-12 2019-02-12 塩化ビニル系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7257805B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2021132119A1 (ja) * 2019-12-26 2021-07-01

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000154329A (ja) 1998-09-16 2000-06-06 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2015209504A (ja) 2014-04-28 2015-11-24 株式会社クラレ 透明塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形品
JP2017078137A (ja) 2015-10-21 2017-04-27 株式会社クラレ 塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形品
WO2018003805A1 (ja) 2016-06-29 2018-01-04 リケンテクノス株式会社 電線被覆用熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた電線

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000154329A (ja) 1998-09-16 2000-06-06 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2015209504A (ja) 2014-04-28 2015-11-24 株式会社クラレ 透明塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形品
JP2017078137A (ja) 2015-10-21 2017-04-27 株式会社クラレ 塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形品
WO2018003805A1 (ja) 2016-06-29 2018-01-04 リケンテクノス株式会社 電線被覆用熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた電線

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
KURARITY技術資料,株式会社クラレ,2018年,表紙,1-26頁,裏表紙

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020132657A (ja) 2020-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003277574A5 (ja)
WO2007018201A1 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP7257805B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
US20080242802A1 (en) Vinyl Chloride Resin Composition
KR20160089610A (ko) 아크릴계 탄성수지 조성물 및 이를 이용하여 제조된 필름
JP2003277575A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
US20220033633A1 (en) Thermoplastic resin composition, method of preparing the same, and molded article manufactured using the same
JPH0543753A (ja) 極性重合体とのポリプロピレンブレンド
JP4652349B2 (ja) 複合成形体
JP2003268193A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
US3642948A (en) High impact strength molding mixtures based on chlorinated polyvinylchloride
JP2008174760A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005281569A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH05255557A (ja) 樹脂組成物
AU2006320634B2 (en) Weatherable, high modulus polymer compositions and method
US6063870A (en) Rigid vinyl chloride resin composition
JPH09292063A (ja) 可撓性・耐衝撃性に優れたパイプ及び継手
JP3487916B2 (ja) エチレン共重合体組成物
JP2016060757A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP6498953B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JP2010180393A (ja) アクリル系樹脂組成物
JP2001072808A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4184758B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2007262353A (ja) 軟質塩化ビニル系共重合樹脂
JP2023012834A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物及び塩化ビニル系樹脂成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220610

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220712

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230404

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7257805

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150