JP4184758B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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JP4184758B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関し、特に、耐熱変形性、耐油性、押出成形性及び射出成形性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性及びリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
【0003】
熱可塑性エラストマーの中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
【0004】
しかしながら、オレフィン系熱可塑性エラストマーまたはスチレン系熱可塑性エラストマーは、架橋を行なっても、架橋効率が向上せず、配合されているエチレン系共重合体ゴムのエチレン・プロピレン・共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン・ブテン共重合体ゴム(EBR)やスチレン系ブロック共重合体のスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)自体の耐油性が悪く、耐熱変形性、耐油性に問題があった。これらの問題点を解決する熱可塑性エラストマー樹脂組成物が提案(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)されてきているが、燃料油(Fuel−CやFuel−D)に対する耐油性が未だ十分でなく、自動車のエンジン周辺部材や燃料系周辺部材など、耐油性が必要とされる部位には加硫ゴム以外使用することができないといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−225713号公報
【特許文献2】
特開平9−151295号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、耐熱変形性、耐油性、成形加工性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、オレフィン系共重合体ゴムに、スチレン系ブロック共重合体を配合し、有機過酸化物架橋処理することにより、柔軟性、耐熱変形性、耐油性、成形加工性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、(a)結晶化度が1重量%以下であるオレフィン系共重合体ゴム100重量部、(b)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体25〜400重量部、及び(c)有機過酸化物0.01〜3重量部を含有する組成物を溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物である。
【0009】
また、本発明の第2の発明は、(d)エステル系架橋助剤0.1〜20重量部を更に含有することを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
【0010】
また、本発明の第3の発明は、(a)オレフィン系共重合体ゴムが、DSC測定によるポリオレフィンの結晶化度が20wt%以下、ムーニー粘度(ML1+4、試験温度100℃)が7〜90であることを特徴とする第1又は2の発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
【0011】
また、本発明の第4の発明は、(b)ブロック共重合体の芳香族ビニル化合物がスチレンであり、該スチレンの含有量が20〜45wt%であり、(b)ブロック共重合体の25℃における5wt%トルエン溶液粘度(ASTM D―2196)が5〜500cpsであることを特徴とする第1〜3の発明のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
【0012】
また、本発明の第5の発明は、(e)水添ブロック共重合体1〜30重量部を更に含有することを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
【0013】
また、本発明の第6の発明は、(f)ゴム用軟化剤1〜80重量部を更に含む第1〜5の発明のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
【0015】
また、本発明の第の発明は、(h)無機充填剤1〜150重量部を更に含有することを特徴とする第1〜6の発明のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
【0016】
また、本発明の第の発明は、第1〜7のいずれかの発明に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形加工してなる自動車内外装部材、建築用部材又は家電用部材である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物、製造方法、用途について以下に詳細に説明する。
【0018】
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
(1)オレフィン系共重合体ゴム(a)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いるオレフィン系共重合体ゴム成分(a)は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等のα−オレフィンが共重合してなるエラストマーあるいはこれらと非共役ジエンとが共重合してなるオレフィン系共重合体ゴムが挙げられる。
中でも非共役ジエンを共重合したオレフィン系共重合体ゴムが好ましい。
【0019】
非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
【0020】
このようなオレフィン系共重合体ゴムとしては、具体的には、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0021】
また、オレフィン系共重合体ゴム成分(a)のDSC測定によるポリオレフィンの結晶化度は、20wt%以下が好ましく、より好ましくは15wt%以下であり、さらに好ましくは1wt%以下である。結晶化度が20wt%を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が低下し、エラストマー組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。また、相容性が悪化し、得られる熱可塑性樹脂組成物の剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。
【0022】
ここで、DSC(示差走査熱量測定)によるポリオレフィンの結晶化度は、以下の方法によって測定される。
(i)試料を重量の分かったアルミパンに入れ、封入前に約10Paの圧力下で24時間乾燥する。
(ii)乾燥後、速やかにサンプル容器全体の重さを測定し加圧密封する。
(iii)DSCのサンプルホルダーにサンプル容器をセットし、10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温する。
(iv)230℃で60分維持し、試料を完全に溶融または緩和させる。
(v)昇温速度と同一速度(10℃/分)で30℃まで冷却する。
(vi)等温結晶化過程において生成する結晶の完全度が結晶の生成時期と無関係に一定と仮定して、結晶化熱(ΔHc)から結晶化度を評価する。
(vii)結晶化度は、HDPE(HJ560:日本ポリケム、比重0.964)の結晶化熱(ΔHc)を100としてオレフィン系共重合体ゴム(a)の結晶化熱(ΔHc)を%で標記する。
【0023】
さらに、オレフィン系共重合体ゴム成分(a)のムーニー粘度(ML1+4、試験温度100℃)は、7〜90であることが好ましく、より好ましくは15〜75である。ムーニー粘度(ML1+4、試験温度100℃)が7未満では耐油性・耐熱性に乏しく、また90を超えると成形性が劣る。
【0024】
具体的な成分(a)としては、例えば、Nordel IP 4520(EPDM、Dupont Dow Elastomers社製)が挙げられる。
【0025】
(2)ブロック共重合体(b)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いるブロック共重合体成分(b)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。
【0026】
上記ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは好ましくは、芳香族ビニル化合物のみから成るか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
【0027】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは好ましくは、共役ジエン化合物のみから成るか、または共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
【0028】
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0029】
芳香族ビニル化合物がスチレンである場合は、スチレンの含有量は、20〜45wt%が好ましく、より好ましくは28〜35wt%である。スチレンの含有量が20wt%未満では耐油性や圧縮永久歪みが劣り、45wt%を超えるとゴム弾性に乏しくなる。
【0030】
また、ブロック共重合体の25℃における5wt%トルエン溶液粘度(ASTM D―2196)は、5〜500cpsであることが好ましく、より好ましくは20〜300cpsである。25℃における25wt%トルエン溶液粘度が5cps未満では耐熱性が低下し、また500cpsを超えると加工性が劣る。
【0031】
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0032】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
【0033】
上記ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、等を挙げることができる。
【0034】
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、25〜400重量部が好ましく、より好ましくは75〜150重量部である。配合量が25重量部未満であると耐油性が低下し、400重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械特性・成形加工性が悪化する。
【0035】
(3)有機過酸化物(c)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用いる有機過酸化物成分(c)は、ラジカルを発生せしめ、そのラジカルを連鎖的に反応させて、成分(a)および/または成分(b)を架橋せしめる働きをする。また、必要に応じて配合する成分(d)のグラフト反応および架橋反応速度を向上させる。あるいは、必要に応じて配合する成分(e)を架橋せしめる働きをする。さらに、必要に応じて配合する成分(g)を分解又は架橋して溶融混練時の組成物の流動性をコントロールしてゴム成分の分散を良好にせしめる。
【0036】
成分(c)としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
【0037】
成分(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部である。配合量が0.01重量部未満では、グラフトおよび架橋を十分達成できず、得られる熱可塑性エラストマ−組成物の耐油性、機械特性と成形加工性が悪くなる。一方、3重量部を超えると、得られるエラストマー組成物の成形性が悪化し、さらに引っ張り伸び等機械特性が悪くなる。
【0038】
(4)エステル系架橋助剤成分(d)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、エステル系架橋助剤成分(d)を用いることができる。成分(d)は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の(c)有機過酸化物による架橋処理に際して配合することができ、これにより均一、かつ、効率的な架橋反応を行うことができる。また、多量に配合することにより、非芳香族系ゴム用軟化剤、特に、低分子量パラフィン系オイル等を適度に架橋し、熱可塑性エラストマー組成物からのブリードアウトを抑制することができる。
【0039】
成分(d)の具体例としては、例えば、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートのような多官能性メタクリレート化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートのような多官能性アクリレート化合物、ビニルブチラート又はビニルステアレートのような多官能性ビニル化合物を挙げることができる。これらは単独あるいは2種類以上を組み合わせても良い。これらの架橋助剤のうち、トリメチロールプロパントリメタクリレートが特に好ましい。
【0040】
成分(d)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。20重量部を超えると、自己重合性により架橋の度合が低下して効果が得られなくなる。
【0041】
(5)水添ブロック共重合体(e)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、柔軟性を調整するために水添ブロック共重合体成分(e)を添加することができる。水添ブロック共重合体成分(e)としては、(e−1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の水素添加物であり、例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水添ブロック共重合体や(e−2)共役ジエン重合体の水添物で非晶質ポリオレフィンブロックと結晶性ポリオレフィンブロックからなるブロック共重合体を挙げることができる。
その中でも、成分(e−1)が好ましい。
【0042】
上記成分(e−1)は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含むブロック共重合体の水添物であるのが好ましく、その構成は、上記(b)成分で用いたブロック共重合体の水素化物である。
【0043】
なお、成分(e−1)における共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。その水添率は任意であるが好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、1,2−結合を選択的に水素添加したものであっても良い。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物で構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。ブロックBがイソプレン単独で構成される場合。ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0044】
成分(e−1)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは90,000〜400,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。成分(e−1)の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0045】
用途により、水素添加したブロック共重合体を使用する場合には、好ましくは上記水添物を用途に合わせて適宜使用することができる。
【0046】
成分(e−1)の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
【0047】
成分(e−2)としては、共役ジエン重合体の水添物で非晶質ポリオレフィンブロックと結晶性ポリオレフィンブロックからなるブロック共重合体等があげられる。このような水添ジエン重合体としては、特開平3―74409号公報に記載の重合体、JSR株式会社製のCEBC6200等があげられる。
【0048】
成分(e)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、より好ましくは5〜25重量部である。30重量部を超えると、得られた熱可塑性エラストマー組成物の架橋効率が悪化し、耐熱変形性、耐油性が低下する。
【0049】
(6)ゴム用軟化剤成分(f)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、ゴム用軟化剤成分(f)を配合することができる。本発明で用いるゴム用軟化剤成分(f)は、非芳香族系成分でも芳香族系成分でもかまわず、また、エステル系可塑剤も使用できるが、特に、非芳香族系の鉱物油、エステル系可塑剤が好ましい。
非芳香族系の鉱物油軟化剤としては、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるパラフィン系の軟化剤が挙げられる。
【0050】
エステル系可塑剤の中で、環状可塑剤としては、例えば、無水フタル酸エステルおよびトリメリット酸エステル、さらにはN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、ジベンジルセバケート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジ−t−オクチルフェニルエーテル、ジプロパンジオールジベンゾエート、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、イソプロピリデンジフェノキシプロパノール、アルキル化ナフタレン、ポリエチレングリコールジベンゾエート、o,p−トルエンスルホンアミド、トリメチルペンタンジオールジベンゾエートおよびトリメチルペンタンジオール・モノイソブチレート・モノベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、無水フタル酸エステル及びトリメリット酸エステルが好ましい。
【0051】
無水フタル酸エステルの代表的な例としては、例えば、ブチルオクチルフタレート、ブチル・2−エチルヘキシルフタレート、ブチル・n−オクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジ−トリデシルフタレート、n−ヘキシル・n−デシルフタレート、n−オクチル・n−デシルフタレート、アルキル・ベンジルフタレート、ビス(4−メチル−1,2−ペンチル)フタレート、ブチル・ベンジルフタレート、ブチル・シクロヘキシルフタレート、ジ(2−ブトキシエチル)フタレート、シクロヘキシル・イソデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジエチルイソフタレート、ジ−n−ヘプチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ(2−メトキシエチル)フタレート、ジメチルイソフタレート、ジノニルフタレート、ジオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)イソフタレート、混合ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、2−(エチルヘキシル)イソブチルフタレート、ブチル・フタリルブチルグリコレート、エチル(およびメチル)フタリルエチルグリコレート、ポリプロピレングリコール・ビス(アミル)フタレート、ヘキシル・イソデシルフタレート、イソデシル・トリデシルフタレート、イソオクチル・イソデシルフタレート等が挙げられる。
【0052】
トリメリット酸エステルの代表的な例としては、例えば、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−オクチル・n−デシルトリメリテート、トリオクチルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリ−n−ヘキシル・n−デシルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートおよびトリイソノニルトリメリテート等が挙げられる。
【0053】
また、非環状可塑剤としては、リン酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、ミリスチン酸エステル、リシノレイン酸エステル、アセチルリシノレイン酸エステル、セバシン酸エステル、ステアリン酸エステル、エポキシ化エステル、さらには、1,4−ブタンジオール・ジカプリレート、ブトキシエチルペラルゴネート・ジ[(ブトキシエトキシ)エトキシ]メタン、ジブチルタータレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ジイソオクチルジグリコレート、イソデシルノナノエート、テトラエチレングリコール・ジ(2−エチル−ブチレート)、トリエチレングリコール・ジ(2−エチル−ヘキサノエート)、トリエチレングリコールジペラルゴネート及び分岐脂肪族二価アルコールのエステル化合物である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)、アクリル系高分子等が挙げられる。
【0054】
リン酸エステルの代表的な例としては、例えば、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、メチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ(2−ブトキシエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェートおよびトリオクチルホスフェートが挙げられる。
【0055】
アジピン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジ[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]アジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート、ジオクチルアジペート(ジイソオクチルアジペートを含む)、n−ヘキシル・n−デシルアジペート、n−オクチル・n−デシルアジペートおよびジ−n−ヘプチルアジペートが挙げられる。
【0056】
セバシン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブトキシエチルセバケート、ジイソオクチルセバケートおよびジイソプロピルセバケートが挙げられる。
【0057】
アゼライン酸エステルの代表的な例としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)アゼラエート、ジシクロヘキシルアゼラエート、ジイソブチルアゼラエートおよびジイソオクチルアゼラエートが挙げられる。
【0058】
アクリル系高分子可塑剤としては、(i)ラジカル重合性単量体と(ii)改質用化合物との混合物を、重合開始剤の存在下または非存在下に、反応させて得られる反応生成物からなる重合体が挙げられる。この重合体は、(ii)改質用化合物の重合体への結合様式がエステル結合である重合体が好ましく、(i)ラジカル重合性単量体として(メタ)アクリル酸を用い、かつ(ii)改質用化合物として脂肪族または脂環式アルコールを用いる重合体であってもよい。
【0059】
アクリル系高分子可塑剤において、ラジカル重合性単量体(i)としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ及びジアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン等のアルケン;ブタジエン、イソプレン等のジエン;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライドおよびアリルアルコール等が挙げられる。
【0060】
また、改質用化合物(ii)としては、シクロヘキシルアルコール等のシクロアルカノール;イソプロピルアルコール等のアルカノール;フルオロアルキルアルコール等のハロゲン基含有アルコール;エチレングリコール、ブタンジオール等のアルキレンジオール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノール等のシクロアルキレンジオール;末端に水酸基を有するポリエーテル、ポリエステル等のポリマー等の水酸基含有改質剤、シクロヘキシルカルボン酸、シクロヘキシルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フルオロアルキルジカルボン酸、無水マレイン酸およびフマル酸等のカルボキシル基含有化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテートおよびエチルカルビトールアセテート等のエステル基含有改質剤、シクロヘキセン、シクロペンテンおよびイソブテン等のアルケンが挙げられる。
【0061】
上記(i)と(ii)の組み合わせにおけるアクリル系重合体の例としては、(i)の(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸またはマレイン酸のモノアルキルエステル等と、(ii)の水酸基を有する化合物を用い、エステル化反応により、重合体に改質用化合物が導入された重合体が得られる。また、(i)のメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート等のエステル基含有単量体と(ii)の水酸基を有する化合物を用いれば、エステル交換反応をさせることにより、機能性重合体が得られる。さらに、(i)の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの水酸基含有単量体と(ii)のカルボキシル基またはエステル基含有化合物との反応によるエステル結合の形成により、機能性基を導入された重合体が得られる。さらにまた、(i)の(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体と(ii)のアルケンを用いることによりカルボキシル基がエチレン性不飽和結合に付加反応してエステル結合が形成され、改質用化合物が導入した重合体が得られる。
【0062】
本発明で用いることのできるアクリル系高分子可塑剤においては、上記(i)としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、メソオキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートが好ましく、中でもエチルアクリレートが主成分であることが最適である。
【0063】
また、該アクリル系高分子可塑剤の重量平均分子量(Mw)は、500〜10000が好ましく、より好ましくは1000〜6000、さらに好ましくは1000〜3000であり、粘度は、100〜9000mPa・sが好ましく、より好ましくは1000〜6000mPa・s、さらに好ましくは3000〜5000mPa・sであり、Acetone−Water Toleranceから求めたSP値は、10.5〜16.5が好ましく、より好ましくは13〜16、さらに好ましくは14〜16である。
【0064】
これらのエステル系化合物である可塑剤の中では、DINP、DINA、TOTMが特に好ましい。
【0065】
成分(f)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、1〜80重量部が好ましく、より好ましくは3〜30重量部である。配合量が1重量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性と成形性が改善されない。80重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物から軟化剤がブリードアウトしやすく、剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。さらに加工持の発生ガスが顕著になる。
【0066】
(7)オレフィン系樹脂(g)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、オレフィン系樹脂成分(g)を配合することができる。成分(g)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。該成分は、パーオキシドの存在下に加熱処理することによって熱分解して分子量を減じ、溶融時の流動性が増大するパーオキシド分解型オレフィン系の重合体又は共重合体が好ましく、例えば、アイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどとの共重合体を挙げることができる。
【0067】
上記オレフィン系共重合体のホモ部分のDSC測定による融点は、好ましくは、Tmが150〜170℃、△Hmが25〜90mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はDSC測定のTm、△Hmから推定することができる。Tm、△Hmが上記の範囲外では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐油性や100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0068】
また、成分(g)のメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜200g/10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、得られるエラストマー組成物の成形性が悪化し、200g/10分を超えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化する。
【0069】
成分(g)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、3〜150重量部が好ましく、より好ましくは5〜60重量部である。3重量部以下では得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が悪化し、150重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。
【0070】
(8)無機充填剤成分(h)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、無機充填剤成分(h)を配合することができる。成分(h)は、熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形品の圧縮永久歪みなど一部の物性を改良する効果のほかに、増量による経済上の利点を有する。成分(h)としては、例えば、緑泥石、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、珪藻土、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、カーボンブラック、ガラス繊維、中空ガラスバルーン、炭素繊維、チタン酸カルシウム繊維、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)等が挙げられる。これらのうち、緑泥石、炭酸カルシウム、タルクが特に好ましい。
【0071】
成分(h)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、1〜150重量部が好ましく、より好ましくは1〜100重量部である。150重量部を超えると、得られるエラストマー組成物の機械的強度の低下が著しく、かつ、硬度が高くなって柔軟性が失われ、ゴム的な感触の製品が得られなくなる。
【0072】
(9)その他の成分
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、上記の成分(a)〜(c)、(d)〜(g)の合計100重量部に対して、0〜3.0重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0073】
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(c)、又は必要に応じて成分(d)〜(h)を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練することにより製造することができる。
【0074】
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは160〜220℃である。
【0075】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐熱変形性、耐油性、押出成形性及び射出成形性等に優れるため、自動車の内外装部材、建築用部材、家電用部材等の材料として用いることができ、特に、燃料油に対する耐油性に優れるため、自動車のエンジン周辺部材や燃料系周辺部材などの耐油性が必要とされる部分の材料として使用できる。
【0076】
具体的には、電線・電気部品としては、例えば、コネクター、スイッチカバー、プラグ、ガスケット、グロメット、ケーブルジャケットカールコード、電線絶縁被覆等が挙げられ、工業機械部品としては、例えば、耐圧ホース、ダイヤフラム、ガスケット、パッキング、キャスター、グロメット、ローラーカップリンググリップ、ホース等が挙げられ、医療機器・食品関連部品としては、例えば、シリンジチップ、薬栓、グロメット、採血管キャップ、キャップシール等が挙げられ、自動車部品としては、例えば、CVJブーツ、ラックアンドオピニオンブーツ、ショックアブソーバーダストブーツ、バキュームコネクター、エアーダクト、チューブ、ランチャンネル、グロメット、ハンドルカバー、エアーバッグアウターカバーステアリング、マッドガード等が挙げられ、建材としては、例えば、窓枠シール、エクスパンションジョイント、スポンジシール、手摺被覆、階段滑り止め等が挙げられる。また、その他の用途として、例えば、ペングリップ、自転車グリップ、歯ブラシグリップ等のグリップ材、おもちゃ用部品、マット類、ゴーグル、防塵・防毒マスク、靴底等が挙げられる。
【0077】
【実施例】
本発明を以下の実施例、比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性の測定法及び試料を以下に示す。
【0078】
1、試験方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを用いて測定を行なった。
(2)硬度:JIS K 6253に準拠し、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。
(3)引張強さ:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(4)100%伸び応力:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(5)破断伸び:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(6)圧縮永久歪み(CS%):JIS K 6262に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシート使用し、120℃×72時間、25%変形の条件にて測定した。
(7)耐熱老化性:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に打ち抜いて、150℃、168hrs後の引張強さ残率(TS)と破断伸び残率(EL)を測定した。引張速度は500mm/分とした。
(8)体積膨潤率(%):JIS K 6258に準拠し、試験片は1mm厚プレスシート使用し、120℃×72時間、IRM#903浸漬後と23℃×72時間、燃料油Cの膨潤率を測定した。
(9)押出成形性:50mm×1mmのシートを押出成形し、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
(10)射出成形性:型締め圧120トンの射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度40℃、射出速度55mm/秒、射出圧力600kg/cm、保圧圧力400kg/cm、射出時間6秒、冷却時間45秒で13.5×13.5×2mmのシートを成形した。デラミネーション、表層剥離、変形及び著しく外観を悪化させるようなフローマークの有無を目視により判断し、次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
【0079】
2.実施例及び比較例において用いた試料
(1)オレフィン系共重合体ゴム(a):Nordel IP 4520(EPDM、ポリオレフィンの結晶化度1wt%以下、ムーニー粘度(ML1+4試験温度100℃):35、比重:0.86;Dupont Dow Elastomers社製)
(2)SBSブロック共重合体成分(b):VECTOR2518(商標;DEXCO POLYMERS社製)スチレン量:30%、25℃における5wt%トルエン溶液粘度:75cps、比重:0.95
(3)有機過酸化物成分(c):パーヘキサ25B(2,5−ジメチル2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン)(商標;日本油脂株式会社製)、活性酸素量:9.92%、分子量:290.45、1分間半減期を得るための分解温度:179.8℃
(4)エステル系架橋助剤成分(d):TMPT(Trimethylol Propane Trimethacrylate;新中村化学株式会社製)分子量:338、
(5)水添ブロック共重合体成分(e); セプトン4077(SEPS;クラレ株式会社製)、スチレン含有量:30重量%、数平均分子量:260,000、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
(6)軟化剤成分(f):ダイアナプロセスオイル PW−90(鉱物油;出光興産株式会社製)
(7)オレフィン系樹脂成分(g):PP−BC8(ポリプロピレン(PP);日本ポリケム株式会社製)、結晶化度:Tm166℃、△H82mJ/mg、MFR1.8g/10分
(8)無機充填剤成分(h):緑泥石(CR―330)(商標;三共精粉株式会社製);MgO:41%、SiO:25%、Al:20%、平均粒径:10.6μm
(9)ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤成分(i):HP2215(チバスペシャリティケミカルズ製)
【0080】
実施例1〜3、比較例1〜4
表1及び2に示す量の各成分を用い、20リットルの加圧ニーダーに配合物を投入して、蒸気圧はゲージ圧で3.0kg/cm、180℃になるまで、10分間混練を行った。その後、先端部に回転式カッターを有するL/D=20、混練温度140℃、スクリュー回転数80rpmで単軸押出機にてペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1及び2に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0004184758
【0082】
【表2】
Figure 0004184758
【0083】
表1より明らかなように、実施例1〜3の本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、任意成分である成分(d)〜(h)の有無にかかわらず、いずれの熱可塑性エラストマー組成物も良好な性状を示した。
【0084】
また、実施例1において、成分(e)の一部又は全部をタフテックP JT−90C(旭化成社製 スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体;SBBS、スチレン含有量30重量%、重量平均分子量(Mw):110,000、数平均分子量(Mn):99,000、分子量分布:1.11、ブタジエンブロックの水素添加率:75.1%、(1,2−ブタジエンの水素添加率92.7%、1,4−ブタジエンの水素添加率61.0%))に置換しても同様に良好な結果が得られた。
なお、上記水素添加率は後述するH−NMR測定により測定した。
【0085】
共役ジエンブロック部分の水素添加率測定方法は、試料をNMRサンプル管(5mmφ)に採取し、重水素化クロロホルムを添加後、充分に溶解し、核磁気共鳴装置(NMR)日本電子製GSX−400型を用い常温、400MHz、3029回の積算にてH−NMR測定を行った。
【0086】
一方、表2より明らかなように、比較例1及び2は、成分(b)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(b)が少な過ぎると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性、耐油性が悪化する。成分(b)が多過ぎると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着性が激しくなり、剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。また、機械特性の低下も顕著となる。比較例3及び4は、成分(c)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(c)が少な過ぎると、成分(b)と成分(a)や他の化合物との相溶性が充分でなく、得られる熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品に表層剥離やフローマークが生じ成形性が悪化する。また、架橋が起こりにくいため、著しく耐油性も低下する。成分(c)が多過ぎても得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が悪くなる。また、機械特性が低下する。
【0087】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐熱変形性、耐油性、押出成形性及び射出成形性等に優れるため、自動車の内外装部材、建築用部材、家電用部材等の材料として用いることができ、特に、燃料油に対する耐油性に優れるため、自動車のエンジン周辺部材や燃料系周辺部材などの耐油性が必要とされる部分の材料として使用できる。

Claims (10)

  1. (a)結晶化度が1重量%以下であるオレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して(b)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体25〜400重量部、及び(c)有機過酸化物0.01〜3重量部を含有する組成物を溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. (d)エステル系架橋助剤0.1〜20重量部を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. (a)オレフィン系共重合体ゴムが、DSC測定によるポリオレフィンの結晶化度が20wt%以下、ムーニー粘度(ML1+4、試験温度100℃)が7〜90である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. (b)ブロック共重合体の芳香族ビニル化合物がスチレンであり、該スチレンの含有量が20〜45wt%であり、(b)ブロック共重合体の25℃における5wt%トルエン溶液粘度(ASTM D―2196)が5〜500cpsであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. (e)水添ブロック共重合体1〜30重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. (f)ゴム用軟化剤1〜80重量部を更に含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. (h)無機充填剤1〜150重量部を更に含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形加工してなる自動車内外装部
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形加工してなる建築用部材。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形加工してなる家電用部材。
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