JP2006131841A - 塩化ビニル系共重合樹脂組成物 - Google Patents

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貴三郎 野口
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Abstract

【課題】 成形体の軟化温度及び熱的安定性を低下させることなく、熱安定剤及び滑剤等の添加量を低減できる、塩化ビニル系共重合樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 塩化ビニル系モノマー85重量%以上99.5重量%以下と、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマー0.5重量%以上15重量%以下を共重合して得られる塩化ビニル系共重合樹脂を必須成分として用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は塩化ビニル系共重合樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、成形体の軟化温度及び熱的安定性を低下させることなく、熱安定剤及び滑剤等の添加量を低減できる、塩化ビニル系共重合樹脂組成物に関する。
塩化ビニル樹脂はその特性を生かして種々の成形品に汎用されているが、熱分解温度が加工温度に近いことや流動性に乏しいことなど、加工に関する種々の問題を有している。その問題を克服するために、通常は熱安定剤及び滑剤を配合して成形加工するが、熱安定性や成形加工性を向上させるためにこれら熱安定剤及び滑剤の添加量を増量すると、成形体の軟化温度が低下して機械的強度が劣るという問題を生じる。そこで、機械的強度物性の一つとしての耐衝撃性向上のために、例えば塩化ビニル系樹脂にメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体又は塩素化ポリエチレンを耐衝撃強化剤として添加する方法(特許文献1)が開示されている。しかしながら塩化ビニル樹脂にこれら強化剤を配合する場合、概して多種多量の添加剤の配合が必要となる上、例えば押出機のモーター負荷が高くなるなど、製造条件面での問題も生じていた。
このように、従来の技術では、各種配合添加剤の種類及び量と成形体の軟化温度、熱的安定性、成形加工性のバランスが得られにくい場合が多かった。
特開平9−278964号公報
本発明は、成形体の軟化温度及び熱的安定性を低下させることなく、熱安定剤及び滑剤等の添加量を低減できる、塩化ビニル系共重合樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、塩化ビニル系モノマーと二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとを共重合してなる塩化ビニル系共重合樹脂を含有する塩化ビニル系共重合樹脂組成物を用いることにより、上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)塩化ビニル系モノマー85重量%以上99.5重量%以下と、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマー0.5重量%以上15重量%以下を共重合して得られる塩化ビニル系共重合樹脂を含有することを特徴とする、塩化ビニル系共重合樹脂組成物(請求項1)、
(2)二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーが重合性反応基を有し、該重合性反応基が、1分子あたり少なくとも1個、下記一般式:
−OC(O)C(R)=CH2
(式中、Rは水素、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。)
を含む構造であることを特徴とする、請求項1に記載の塩化ビニル系共重合樹脂組成物(請求項2)、
に関する。
本発明の塩化ビニル系共重合樹脂組成物によれば、軟化温度及び熱的安定性を低下させることなく、熱安定剤や滑剤等の添加量が低減された塩化ビニル系共重合樹脂成形品が得られる。
本発明の塩化ビニル系共重合樹脂組成物は、塩化ビニル系モノマー85重量%以上99.5重量%以下と二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマー0.5重量%以上15重量%以下とを共重合してなる塩化ビニル系共重合樹脂を含有することを特徴とする塩化ビニル系共重合樹脂組成物である。該組成物を各種成形体に成形加工する方法としては、特に限定はなく、例えばカレンダー成形法、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法等の、通常の塩化ビニル系樹脂の成形加工法が挙げられる。本発明において、これら各種成形加工に用いられる塩化ビニル系共重合樹脂の平均重合度又は平均分子量は、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されず、通常製造及び使用される塩化ビニル系樹脂と同様に、JIS K 7367−2に従って測定したK値が50〜95の範囲である。また、平均粒径としては特に限定されないが、通常50〜300μmの範囲である。
本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を構成する塩化ビニル系モノマーとしては特に限定はなく、例えば塩化ビニルモノマー、塩化ビニリデンモノマー、酢酸ビニルモノマー又はこれらの混合物、又は、この他にこれらと共重合可能で、好ましくは重合後の重合体主鎖に反応性官能基を有しないモノマー、例えばエチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類から選ばれる1種又は2種以上の混合物を使用しても良い。2種以上の混合物を使用する場合は、塩化ビニル系モノマー全体に占める塩化ビニルモノマーの含有率を50重量%以上、特に70重量%以上とすることが好ましい。中でも得られる共重合樹脂の物性等から、塩化ビニルモノマーあるいは塩化ビニリデンモノマーのいずれか1種のみを使用することが好ましく、塩化ビニルモノマーを使用することがさらに好ましい。
一般にマクロモノマーとは、重合体の末端に反応性の官能基を有するオリゴマー分子である。本発明で使用される二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーは、反応性官能基として、アリル基、ビニルシリル基、ビニルエーテル基、ジシクロペンタジエニル基、下記一般式(1)から選ばれる重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも1分子あたり1個、分子末端に有する、ラジカル重合によって製造されたものである。
特に、塩化ビニル系モノマーとの反応性が良好なことから、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基が、下記一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH2 (1)
で表される基が好ましい。
式中、Rの具体例としては特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CNの中から選ばれる基が好ましく、さらに好ましくは−H、−CH3である。
本発明で使用されるマクロモノマーの主鎖である、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体は、ラジカル重合によって製造される。ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを使用して、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は、特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使用する必要がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く、粘度の低い重合体は得にくい。
「制御ラジカル重合法」は、さらに、特定の官能基を有する連鎖移動剤を使用して重合を行うことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計通りの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対して特定の官能基を有する連鎖移動剤を必要とする。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の低い重合体は得にくい。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、本件出願人自身の発明に係る国際公開WO99/65963号公報に記載されるように、重合速度が大きく、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い、例えば、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)が1.1〜1.5程度の重合体が得られると共に、モノマーと開始剤の仕込比によって、分子量は自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、本発明において、上記の如き特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましい重合法である。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁等が挙げられる。
本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を構成するマクロモノマーの製法として、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、通常、制御ラジカル重合法が利用され、さらに制御の容易さなどからリビングラジカル重合法が好ましく用いられ、特に原子移動ラジカル重合法が最も好ましい。
また本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を構成するマクロモノマーの主鎖が有する、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体としては特に制約はなく、該重合体を構成する二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーとしては、各種のものを使用することができる。例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニルモノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を共重合させても構わない。中でも生成物の物性等から、スチレン系モノマーあるいは(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくはアクリル酸エステルモノマーあるいはメタクリル酸エステルモノマーであり、さらに好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、最も好ましくはアクリル酸ブチルである。本発明においてはこれらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合させたものを用いても良く、その際はこれらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。ここで、例えば「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸あるいはメタクリル酸を意味するものである。
本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を構成するマクロモノマーは、これら二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有し、さらに反応性官能基を、少なくとも1分子あたり1個、分子末端に有することを特徴としている。
さらに、本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を構成する、塩化ビニル系モノマーと共重合可能なマクロモノマーは1種のみを用いてもよく、構成するエチレン性不飽和モノマーが異なるマクロモノマーを2種以上併用してもよい。
本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を構成する、塩化ビニル系モノマーと二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとの比率は、本発明の効果を奏する範囲であれば特に制約はないが、塩化ビニル系モノマー85重量%以上99.5重量%以下及び二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマー0.5重量%以上15重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、塩化ビニル系モノマー90重量%以上99.5重量%以下及び二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマー0.5重量%以上10重量%以下であることである。二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーの比率が0.5重量%以上15重量%以下の範囲であれば、共重合反応が安定である上に、得られる塩化ビニル系共重合樹脂が粉粒体になり、加工方法の自由度を増すという効果が期待できる。さらに、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーの比率が0.5重量%以上15重量%以下の範囲であれば、成形体の軟化温度及び熱的安定性を低下させることなく、熱安定剤及び滑剤等の添加量が低減された塩化ビニル系共重合樹脂成形品を得るために有用な素材を提供することができる。
なお、本発明においては、軟化温度はJIS K7206に規定のビカット軟化温度試験方法に準じて評価しており、0.5℃以上の差異は有意差である。
本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂の平均重合度又は平均分子量は、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されず、通常製造及び使用される塩化ビニル系樹脂と同様に、JIS K 7367−2に従って測定したK値が50〜95の範囲である。また、平均粒径としては特に限定されないが、通常0.01〜500μmの範囲であり、好ましくは0.1〜300μmの範囲である。
本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂の製造方法については、特に制約はないが、重合制御の簡便性から水性媒体中での共重合が好ましく、そのような重合方法としては、例えば、懸濁重合法、微細懸濁重合法、乳化重合法等の製造方法が挙げられる。特に好ましくは、粒子制御の簡便性、残存モノマーや嵩比重等を考慮した塩化ビニル系共重合樹脂の諸物性の点より、懸濁重合法又は微細懸濁重合法で製造されることである。
本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を製造する際に用いられる懸濁重合法又は微細懸濁重合法は、本発明の目的を損なわない範囲の方法で行うことができ、原料の仕込みも本発明の目的を損なわない範囲の技術を任意に用いることができる。例えば最も一般的な方法として、先に水を仕込んだのち塩化ビニル系モノマー及び二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーを仕込む方法、重合温度まで昇温する時間を短縮する目的で先に塩化ビニル系モノマー及び二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーを仕込んだのち温水を仕込む方法、さらに仕込み及び昇温時間を短縮する目的で塩化ビニル系モノマー及び二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーと温水を同時に仕込む方法等を用いることができる。
また本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を製造する際に用いられる懸濁重合法又は微細懸濁重合法においては、懸濁分散剤として、本発明の目的を損なわない範囲のものを特に限定されずに使用することができる。そのような懸濁分散剤としては、例えば、部分鹸化ポリ酢酸ビニル;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル;ポリエチレンオキサイド;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸;酢酸ビニル−マレイン酸共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;ゼラチン;デンプン、等の有機高分子分散剤が使用可能であり、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに本発明で使用される塩化ビニル系共重合樹脂を製造する際に用いられる懸濁重合法又は微細懸濁重合法においては、重合開始剤として、特に限定されずに本発明の目的を損なわない範囲の油溶性重合開始剤を添加すれば良いが、これらの開始剤のうち10時間半減期温度が30〜65℃のものを1種又は2種以上使用するのが好ましい。このような重合開始剤としては、例えば、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、2,4,4トリメチルペンチル−2−パーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これら油溶性重合開始剤は特に制約のない状態で添加することができるが、例えば有機溶剤に溶解して使用する場合には、その有機溶剤の例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオクチルフタレート等のエステル類が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに塩化ビニル系樹脂の製造に通常使用される抗酸化剤、重合度調節剤、連鎖移動剤、pH調節剤、ゲル化性改良剤、帯電防止剤、乳化剤、安定剤、スケール防止剤等やこれらの仕込量及び仕込方法も、本発明の目的を損なわない範囲の技術をなんら支障なく任意に用いることができる。
重合温度条件は特に限定しないが、好ましくはJIS K 7367−2に従って測定したK値が50〜95となる塩化ビニル系樹脂を製造する際の条件である30〜70℃で重合を行う。
また重合反応熱の除去は、本発明の目的を損なわない範囲の方式、例えば外部あるいは内部ジャケットによる除熱、通水バッフル等による除熱、還流凝縮器による方法等を、単独あるいは必要に応じ適宜組み合わせて利用すれば良い。
このような製造方法によれば、該共重合樹脂はラテックス状あるいはスラリー状で得られるが、これを乾燥して粉粒体の共重合樹脂を得る方法としては特に制約はなく、例えば、ラテックスをスプレー乾燥法により乾燥する方法、スラリーを脱水したのち流動乾燥法により乾燥する方法、等が挙げられる。
本発明の塩化ビニル系共重合樹脂組成物には、塩化ビニル系モノマーと二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーとを共重合してなる塩化ビニル系共重合樹脂を必須成分とし、必要に応じ熱安定剤、滑剤、安定化助剤、加工助剤、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、可塑剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
熱安定剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような熱安定剤としては、例えばジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤;ステアリン酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系安定剤;バリウム−亜鉛系安定剤;カドミウム−バリウム系安定剤等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
また滑剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような滑剤としては、例えばパラフィンワックス系滑剤、ポリオレフィンワックス系滑剤、ステアリン酸系滑剤、アルコール系滑剤、エステル系滑剤等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
さらに安定化助剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような安定化助剤としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、燐酸エステル等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
また加工助剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような加工助剤としては、例えばアクリル酸−n−ブチル/メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル/メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸−n−ブチル共重合体等のアクリル系加工助剤等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
さらに充填剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、カオリングレー、石膏、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、硼砂等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
また酸化防止剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような酸化防止剤としては、例えばフェノール系抗酸化剤等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
さらに光安定剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような光安定剤としては、例えばサリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
また顔料としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような顔料としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
さらに可塑剤としては、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲のものを用いることができる。そのような可塑剤としては、例えばジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;トリクレジルフォスフェート、トリキシリルホスフェート、トリフェニルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の脂肪酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。またその使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
その他、本発明の目的を損なわない範囲の難燃剤、帯電防止剤、強化剤、改質剤等も必要に応じて制限なしに配合することができ、その使用量も特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲であれば良い。
本発明の塩化ビニル系共重合樹脂組成物の製造方法には特に限定はなく、塩化ビニル系共重合樹脂を所定量配合し、要すれば使用される各種添加剤(熱安定剤、滑剤、安定化助剤、加工助剤、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、可塑剤、さらには難燃剤、帯電防止剤、強化剤、改質剤等)を配合したものを、例えばリボンブレンダー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ミキシングロール等の混合機及び/又は混合混練機等を用いて、ホットブレンド又はコールドブレンド等の常法によって均一に混合又は混合混練するなどの方法で製造すれば良い。その際の配合順序等に特に限定はなく、本発明の目的を損なわない範囲の技術を任意に用いることができる。例えば塩化ビニル系共重合樹脂及び各種添加剤を一括して配合する方法、液状の添加剤を均一に配合する目的で先に塩化ビニル系共重合樹脂及び粉粒体の各種添加剤を配合したのち液状添加剤を配合する方法又は先に塩化ビニル系共重合樹脂を配合したのち液状添加剤を配合し、最後に粉粒体の各種添加剤を配合する方法、さらに、まず各種添加剤を配合し、次いで塩化ビニル系共重合樹脂を配合する方法、等を用いることができる。
このようにして製造された本発明の塩化ビニル系共重合樹脂組成物は、そのまま各種成形加工に供しても良いし、さらにコニーダー、押出機、ペレタイザー等の混練機及び/又は混練造粒機等を用いて混練又は混練造粒したのち、各種成形加工に供しても良い。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、ブリスター包装製品、レザー製品、農ビフィルム、シュリンクフィルム、各種シート等のカレンダー製品;塩ビ鋼板等の基材へのラミネートフィルム;積層プレスシート等の積層用原反;パイプ、平板、波板、フィルム、テープ、シート、発泡ボード又はシート、窓枠、その他異形プロファイル等の押出成形品;継手、バルブ等の射出成形品;ボトル、ダクトブーツ、ベローズ等のブロー成形品;玩具、看板、仮面、プレスマット等の真空成形品、等の各種製品に成形加工されて用いられる。
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。ここで、特に断りのない限り、実施例中の「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。なお軟化温度、熱的安定性の評価方法は下記の通りである。
(イ)軟化温度
JIS K7206に規定のビカット軟化温度試験方法に準じ、縦20mm、横20mm、厚み3mmの試験片を、室温23℃及び相対湿度50%の恒温恒湿室中に88時間静置したものを用いて、試験開始温度40℃、昇温速度50℃/h、試験荷重50Nの条件でビカット軟化温度(以下Vicat軟化温度と記す。単位は℃。)を求めて評価する。その際、0.5℃以上の差異は有意差であると判定した。
(ロ)熱的安定性
JIS K7212に規定の熱可塑性プラスチックの熱老化性試験方法に準じ、縦50mm、横30mm、厚み1mmの試験片を、室温23℃及び相対湿度50%の恒温恒湿室中に48時間静置したものを用いて、B形1軸式ギヤオーブン中、試験温度195℃、回転数7回転/分、10分毎に試験片取り出し、の条件で、試験片の黒化時間(以下G.O.黒化時間と記す。単位は分。)を目視で評価する。
<二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーの製造>
二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーの製造は、下記の製造例1に示す手順に従って行った。
(製造例1)
還流管及び攪拌機付きの2Lのセパラブルフラスコに、CuBr(5.54g)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(73.8ml)を加え、オイルバス中70℃で30分間攪拌した。これにアクリル酸−n−ブチル(132g)、2−ブロモプロピオン酸メチル(7.2ml)、ペンタメチルジエチレントリアミン(4.69ml)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸−n−ブチル(528g)を90分かけて連続的に滴下し、さらに80分間加熱攪拌した。
反応混合物をトルエンで希釈し、活性アルミナカラムを通したのち、揮発分を減圧留去することにより、片末端Br基ポリ(アクリル酸−n−ブチル)を得た。
フラスコに、メタノール(800ml)を仕込み、0℃に冷却した。そこへ、t−ブトキシカリウム(130g)を数回に分けて加えた。この反応溶液を0℃に保持して、アクリル酸(100g)のメタノール溶液を滴下した。滴下終了後、反応液の温度を0℃から室温に戻したのち、反応液の揮発分を減圧留去することにより、アクリル酸カリウム(CH2=CHCO2K)を得た。
還流管付き500mLフラスコに、得られた片末端Br基ポリ(アクリル酸−n−ブチル)(150g)、アクリル酸カリウム(7.45g)、ジメチルアセトアミド(150ml)を仕込み、70℃で3時間加熱攪拌した。反応混合物よりジメチルアセトアミドを留去し、トルエンに溶解させ、活性アルミナカラムを通したのち、トルエンを留去することにより片末端アクリロイル基ポリ(アクリル酸−n−ブチル)マクロモノマー(以下BAマクロモノマーと略す)を得た。
なお、得られたBAマクロモノマーの数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)で測定したポリスチレン換算値等で約12,000、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比である分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。このGPC測定の際には、Waters社製GPCシステム(製品名510)を用い、クロロホルムを移動相として、昭和電工(株)製Shodex K−802.5及びK−804(ポリスチレンゲルカラム)を使用し、室温環境下で測定した。
(実施例1)
ジャケット及び攪拌機を備えた内容量25リットルのステンレス鋼製重合反応機を脱気したのち塩化ビニルモノマー99.5部を仕込み、次いで製造例1のBAマクロモノマー0.5部を仕込んだのち、ジャケットに温水を通じて重合反応機内温を30℃まで昇温し、1分間当たり900回転の回転速度で5分間攪拌した。ジャケットに水を通じて重合反応機内温を20℃以下まで冷却したのち、鹸化度約80モル%、平均重合度約2000の部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.1部、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト0.03部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート0.01部を仕込んだのち60℃の温水150部を仕込み、重合温度57℃で約6時間重合した。重合機内の未反応モノマーを回収したのち重合機を冷却し、スラリーを払い出した。得られたスラリーを脱水して熱風乾燥機にて55℃で24時間乾燥し、塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Aを白色粉末として得た。
次いで得られた共重合樹脂A100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成(株)製、ジオクチル錫メルカプト)1.5部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)1.0部を配合して塩化ビニル系共重合樹脂組成物を得、該組成物を日本ロール(株)製H0S−2103型8インチロール(外径約20cm)を用いて180℃、3分間ロールの条件で厚さ約1mmのロールシートを作製した。得られたロールシートを二分し、一方は所定の大きさに切り分けたのち数十枚重ね合わせ、神藤金属工業(株)製シンドー式SF型油圧プレス機を用いて185℃、圧力5MPaで約10分間プレスして厚さ3mmのテストプレートを作製し、次いで切削加工にて軟化温度評価用テストサンプルを作り測定に供した。また他方は縦50mm、横30mmに切り分けて熱的安定性の評価に供した。結果を表1に記す。
(実施例2)
実施例1で得た塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂A100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成(株)製、ジオクチル錫メルカプト)1.0部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)0.5部を配合したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニル系共重合樹脂組成物を得、該組成物を実施例1と同様にロール/プレス加工して、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の重合に用いた塩化ビニルモノマーの量を97部とし、製造例1のBAマクロモノマーの量を3部とした以外は、実施例1と同様の製造方法にて、塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Bを白色粉末として得た。
次いで得られた共重合樹脂B100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成(株)製、ジオクチル錫メルカプト)1.0部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)0.5部を配合して塩化ビニル系共重合樹脂組成物を得、これを実施例1と同様にロール/プレス加工して、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の重合に用いた塩化ビニルモノマーの量を90部とし、製造例1のBAマクロモノマーの量を10部とした以外は、実施例1と同様の製造方法にて、塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Cを白色粉末として得た。
次いで得られた共重合樹脂C100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成(株)製、ジオクチル錫メルカプト)0.5部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)0.1部を配合して塩化ビニル系共重合樹脂組成物を得、これを実施例1と同様にロール/プレス加工して、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1〜4のいずれかで用いたものと同様のステンレス鋼製重合機を脱気したのち塩化ビニルモノマー90部を仕込み、次いで製造例1のBAマクロモノマー10部を仕込んだのち、ジャケットに温水を通じて重合反応機内温を30℃まで昇温し、1分間当たり900回転の回転速度で5分間攪拌した。ジャケットに水を通じて重合反応機内温を20℃以下まで冷却したのち、鹸化度約88モル%、平均重合度約3500の部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.3部、鹸化度約78モル%、平均重合度約900の部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.15部、メトキシル基含量約20モル%、ヒドロキシプロポキシル基含量約8モル%、2%水溶液の20℃における粘度が約30000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース0.02部、ステアリン酸−n−ブチル0.6部、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト0.03部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート0.01部を仕込んだのち60℃の温水400部を仕込み、重合温度57℃で約6時間重合した。重合機内の未反応モノマーを回収したのち重合機を冷却し、ラテックスを払い出した。得られたラテックスを脱水して熱風乾燥機にて55℃で24時間乾燥し、塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Dを白色の粉末として得た。
これを実施例4と同様に配合してロール/プレス加工し、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の重合に用いた塩化ビニルモノマーの量を100部とし、製造例1のBAマクロモノマーを未使用としたこと以外は、実施例1と同様の製造方法にて、塩化ビニル単独重合樹脂を白色粉末として得た。
これを実施例1と同様に配合してロール/プレス加工し、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
Vicat軟化温度が低く、好ましくない。
(比較例2)
比較例1で得た塩化ビニル単独重合樹脂100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成(株)製、ジオクチル錫メルカプト)1.0部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)0.5部を配合したこと以外は比較例1と同様にして塩化ビニル系樹脂組成物を得、該組成物を比較例1と同様にロール/プレス加工して、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
比較例1に比べVicat軟化温度は向上するが、G.O.黒化時間は比較例1より低く、好ましくない。
(比較例3)
比較例1で得た塩化ビニル単独重合樹脂100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成(株)製、ジオクチル錫メルカプト)0.5部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)0.1部を配合したこと以外は比較例1と同様にして塩化ビニル系樹脂組成物を得、該組成物を比較例1と同様にロール/プレス加工を試みたが、組成物としての滑性が低くロール面への粘着が起こり加工できなかった。
(比較例4)
実施例1の重合に用いた塩化ビニルモノマーの量を99.9部とし、製造例1のBAマクロモノマーの量を0.1部とした以外は、実施例1と同様の製造方法にて、塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Eを白色粉末として得た。
これを実施例1と同様に配合して塩化ビニル系共重合樹脂組成物を得、該組成物を実施例1と同様にロール/プレス加工して、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
Vicat軟化温度が低く、好ましくない。
(比較例5)
比較例4で得た塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂E100部に対し、有機錫系熱安定剤(TVS#8831:日東化成(株)製、ジオクチル錫メルカプト)0.5部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)0.1部を配合したこと以外は比較例4と同様にして塩化ビニル系共重合樹脂組成物を得、該組成物を比較例4と同様にロール/プレス加工を試みたが、組成物としての滑性が低くロール面への粘着が起こり加工できなかった。
(比較例6)
実施例1の重合に用いた塩化ビニルモノマーの量を80部とし、製造例1のBAマクロモノマーの量を20部とした以外は、実施例1と同様の製造方法にて、塩化ビニル/ポリ(アクリル酸−n−ブチル)グラフト共重合樹脂Fを白色粉末として得た。
これを、熱安定剤や滑剤等の各種配合剤を一切添加せずに単独で用い、実施例1と同様にロール/プレス加工して、軟化温度及び熱的安定性を評価した。結果を表1に示す。
ロール加工の際、組成物の滑性が高く巻き付きに時間を要した。また成形体のVicat軟化温度が低く、好ましくない。
Figure 2006131841

Claims (2)

  1. 塩化ビニル系モノマー85重量%以上99.5重量%以下と、二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマー0.5重量%以上15重量%以下を共重合して得られる塩化ビニル系共重合樹脂を含有することを特徴とする、塩化ビニル系共重合樹脂組成物。
  2. 二重結合を含有するエチレン性不飽和モノマーからなる重合体を主鎖に有するマクロモノマーが重合性反応基を有し、該重合性反応基が、1分子あたり少なくとも1個、下記一般式:
    −OC(O)C(R)=CH2
    (式中、Rは水素、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。)
    を含む構造であることを特徴とする、請求項1に記載の塩化ビニル系共重合樹脂組成物。
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