JP2007261520A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動モータ起動時の異音または振動を抑制でき、また、省エネルギー性にも優れた電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置5は、ロータならびにU相、V相およびW相のステータ巻線を備えた構成の電動モータ3を駆動する。q軸電流指令値生成部12は、トルクセンサ1によって検出される操舵トルクに応じてq軸電流指令値を生成する。操舵トルクが零の近傍の所定のトルク不感帯範囲内の値のときには、q軸電流指令値は零とされる。この状態のとき、ロータ角度推定部25は、誘起電圧検出部35によって検出される誘起電圧に基づいて、ロータ位相角を推定する。誘起電圧検出部35は、ステアリングホイールの操作による電動モータ3の回転に伴って発生する誘起電圧を検出する。
【選択図】図1

Description

この発明は、センサレス駆動されるブラシレスモータを操舵補助力発生源とした電動パワーステアリング装置に関する。
ブラシレスDCモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転位置を検出するための位置センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。しかし、位置センサの耐環境性が問題となるうえ、高価な位置センサおよびこれに関連する配線がコストの削減を阻害し、かつ、小型化を阻害している。そこで、位置センサを用いることなくブラシレスDCモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。
ロータ停止時および極低速回転時には、誘起電圧を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、図2(a)に示すように、ロータ50の回転中心を原点とする固定座標であるαβ座標の原点まわりにロータ50の回転方向に沿って回転する高周波電圧ベクトル(大きさは一定)が形成されるように、高周波探査電圧がU,V,W相のステータ巻線51,52,53に印加される。高周波電圧ベクトルは、ロータ50の回転速度に対して十分に高速に回転する電圧ベクトルである。この高周波電圧ベクトルの印加に伴って、U,V,W相のステータ巻線51,52,53に電流が流れる。この三相の電流の大きさおよび方向をαβ座標上で表した電流ベクトルは、原点まわりに回転することになる。
ロータ50のインダクタンスは、磁束方向に沿う磁極軸であるd軸と、これに直交するq軸(トルク方向に沿う軸)とで異なる値をとる。そのため、電流ベクトルの大きさは、d軸に近い方向の場合に大きく、q軸に近い方向の場合に小さくなる。その結果、図2(b)に示すように、電流ベクトルの終点は、αβ座標上において、ロータ50のd軸方向を長軸とする楕円形の軌跡55を描く。
したがって、電流ベクトルの大きさは、ロータ50のN極方向およびS極方向において極大値を有する。すなわち、図3(a)に示すように、電流ベクトルの1周期において、その大きさは、2つの極大値を有する。この場合、電圧ベクトルの大きさが十分に大きければ、ステータの磁気飽和の影響により、ロータ50のN極側の方がS極側よりもインダクタンスが小さくなり、N極方向の電流ベクトルの大きさが最大値をとることになる(曲線L1参照)。
そこで、十分に大きな高周波電圧ベクトルを印加してN極に対応した電流ベクトルの極大値を特定しておき、その後は、大きさを小さくした高周波電圧ベクトルを印加し、電流ベクトルの極大値に基づいて、ロータ50の位相を推定することができる。より具体的には、大きさが最大値をとるときの電流ベクトルのα軸成分Iαおよびβ軸成分Iβにより、ロータ50の位相角(電気角)θは、θ=Tan-1(Iβ/Iα)として求められる。
特許第3462007号公報 市川真士他、「拡張誘起電圧モデルに基づく突極型永久磁石同期モータのセンサレス制御」、電気学会論文誌 D,122巻12号、平成14年 陳 志謙他、「外乱オブザーバと速度適応同定による円筒型ブラシレスDCモータの位置・速度センサレス制御」、電気学会論文誌 D,118巻7/8号、平成10年
確実にN極判定動作を行うためには、十分に大きな電圧を印加して、ステータ巻線の磁気飽和を生じさせる必要がある。
ところが、N極判定動作に伴う大電力の注入に伴って、電動モータから異音や振動が生じる問題があり、電動パワーステアリング装置が搭載された車両の運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。そのうえ、大電力を必要とするから、省エネルギー性の観点からも改良の余地がある。
そこで、この発明の目的は、電動モータ起動時の異音または振動を抑制でき、また、省エネルギー性にも優れた電動パワーステアリング装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、電動モータ(3。ブラシレスモータ。とくに三相ブラシレスモータ)が発生する駆動力を舵取り機構(2)に操舵補助力として伝達する電動パワーステアリング装置であって、操舵状態を検出するための操舵状態検出手段(1)と、この操舵状態検出手段によって検出される操舵状態に応じて前記電動モータの目標駆動値を定める目標駆動値設定手段(14)と、前記操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が所定範囲内にあるときには、目標駆動値を零とする不感帯設定手段(12)と、前記操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が前記所定範囲内にあるときに、前記電動モータが発生する起電力(逆起電力。とくに誘起電圧)に基づいて、当該電動モータの回転角を推定する回転角推定手段(25,35)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
所定範囲内の操舵状態は、電動モータの目標駆動値が零となる不感帯である。電動パワーステアリング装置では、たとえば、車両の操向のための操舵部材(ステアリングホイールなど)が中立位置付近で停止しているとき(たとえば、操舵トルクが零付近の所定範囲内の値のときや、操舵角が零付近の所定範囲内の値のとき)に目標駆動値を零として、操舵補助力の発生を停止する。これにより、操舵フィーリングが向上される。具体的には、電動モータの正転/逆転間のつながりの滑らかさの実現、電動モータ起動時の違和感防止、およびセンサ類による検出ばらつきの吸収が可能になる。
不感帯範囲内では目標駆動値が零であるので、操舵部材による操作を受けて電動モータのロータが回されたとき、この電動モータの端子間に現れる電圧は、ロータの回転のみに対応した誘起電圧(逆起電力に対応した電圧)である。この誘起電圧は、ロータの回転位置に対応した位相を有する。そこで、当該誘起電圧に基づいて、ロータの回転角を推定することができる。
従来からの電動パワーステアリング装置では、ブラシレスモータの位置センサレス駆動を行うための一般的な技術が電動モータの制御に適用されており、不感帯範囲内で電動モータのロータが外力(運転者の操舵力)によって回されるという、電動パワーステアリング装置に特有の状況が考慮されてこなかった。
この発明では、電動パワーステアリング装置に特有の前記の事実に着目することにより、電動モータの起動時において、ステータの磁気飽和を起こすための大電力注入を要することなく、ロータの角度位置の推定を可能としたものである。これにより、大電力の注入に伴う異音や振動の問題を抑制でき、また、省エネルギー性も向上できる。
不感帯範囲外では、高周波回転電圧ベクトルの印加によってロータ角度位置を推定してもよいし、誘起電圧の推定によってロータ角度位置を推定してもよいし、電動モータの数学モデルと電動モータの実際の応答とを比較することによりロータ角度位置を推定してもよい(非特許文献1参照)。
前記電動パワーステアリング装置は、前記回転角推定手段によって推定される回転角に応じて前記電動モータを駆動制御する駆動制御手段(10,13,14,15,16,17,18,20)をさらに含むことが好ましい。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出する操舵状態検出手段としてのトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に操舵補助力を与える電動モータ3と、この電動モータ3を駆動制御するモータ制御装置5とを備えている。電動モータ3は、たとえば、ステアリングホイールに結合されたステアリングシャフトに対して、減速ギヤを介して、回転力を伝達するようになっている。減速ギヤは、たとえば、ウォームおよびウォームホイールを噛合させて構成され、電動モータ3の回転を減速してステアリングシャフトに伝達する回転伝達機構である。
モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクに応じて電動モータ3を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。電動モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスDCモータであり、図2(a)に示すように、界磁としてのロータ50と、U相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。電動モータ3は、ロータの外部にステータを配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを配置したアウターロータ型のものであってもよい。
モータ制御装置5は、d軸電流指令値生成部11と、q軸電流指令値生成部12と、d軸PI(比例積分)制御部13と、q軸PI制御部14と、d軸指示電圧生成部15と、q軸指示電圧生成部16と、d軸指示電圧およびq軸指示電圧を座標変換する座標変換部17と、PWM制御部10と、駆動回路(インバータ回路)18と、電流検出手段としての電流検出回路19と、電流検出回路19の出力を座標変換する座標変換部20とを備えている。
d軸電流指令値生成部11は、電動モータ3のロータ磁極方向に沿うd軸電流成分の指示値を生成する。同様に、q軸電流指令値生成部12は、d軸に直交するq軸(ただし、dq座標平面はロータ50の回転方向に沿う平面である。)電流成分の指示値を生成する。電動モータ3のU相、V相およびW相に与えるべき電流(正弦波電流)の振幅を表す電流指令値I*を用いると、d軸電流指令値Id *およびq軸電流指令値Iq *は、次式(1)(2)のように表される。
Figure 2007261520
したがって、d軸電流指令値生成部11は定数「0」を生成し、q軸電流指令値生成部12は操舵トルクに応じたq軸電流指令値Iq *を生成するように構成されている。より具体的には、q軸電流指令値生成部12は、操舵トルクに対応したq軸電流指令値Iq *を記憶したマップ(テーブル)によって構成されてもよい。
たとえば、q軸電流指令値生成部12は、図4に示されたアシスト特性(操舵トルク−目標電流値特性)に従って、q軸電流指令値Iq *(目標電流値)を生成する。操舵トルクは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、q軸電流指令値Iq *は、電動モータ3から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータ3から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。q軸電流指令値Iq *は、操舵トルクの正の値に対しては正の値をとり、操舵トルクの負の値に対しては負の値をとる。操舵トルクが−T1〜T1(たとえば、T1=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、q軸電流指令値Iq *は零とされる。
電流検出回路19は、たとえば、電動モータ3のU相電流IUおよびV相電流IVを検出する。その検出値は、座標変換部20に与えられる。座標変換部20は、次式(3)(4)に従って、U相電流IUおよびV相電流IVを、dq座標上での電流成分、すなわち、d軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する。
Figure 2007261520
モータ制御装置5は、d軸電流指令値Id *に対するd軸電流Idの偏差を演算するd軸電流偏差演算部21と、q軸電流指令値Iq *に対するq軸電流Iqの偏差を演算するq軸電流偏差演算部22とを備えている。これらが出力する偏差がそれぞれd軸PI制御部13およびq軸PI制御部14に与えられてPI演算処理を受ける。そして、これらの演算結果に応じて、d軸指示電圧生成部15およびq軸指示電圧生成部16によって、d軸指示電圧Vd *およびq軸指示電圧Vq *が生成されて、座標変換部17に与えられる。座標変換部17は、次式(5)(6)(7)に従って、d軸指示電圧Vd *およびq軸指示電圧Vq *をU相、V相およびW相の電圧指令値VU *,VV *,VW *に変換する。
Figure 2007261520
PWM制御部10は、三相の電圧指令値VU *,VV *,VW *に応じて制御されたデューティ比の駆動信号を生成して駆動回路18に与える。これにより、電動モータ3の各相には、電圧指令値VU *,VV *,VW *に応じたデューティ比で電圧が印加されることになる。
前記式(3)〜(7)の座標変換のためには、ロータ50の位相角(電気角)θが必要である。そこで、モータ制御装置5は、ロータ位相角θを、位置センサを用いることなく推定するロータ角度推定部25を備えている。このロータ角度推定部25には、電流検出回路19の出力が、高周波応答抽出部24を介して与えられている。高周波応答抽出部24は、たとえば、ハイパスフィルタである。
ロータ50の停止時および極低速回転時(250rpm以下)においてロータ50の位相角θを推定するために、モータ制御装置5には、さらに、探査電圧印加手段としての高周波電圧発生部30が備えられている。この高周波電圧発生部30は、電動モータ3の定格周波数に比較して十分に高い周波数(たとえば、200Hz)の高周波正弦電圧を、探査電圧として、電動モータ3のU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53に印加するための電圧指令値を生成し、PWM制御部10に与える。より具体的には、ロータ50の回転を引き起こすことのない程度のデューティ比の高周波電圧の印加によって、V−W相通電、W−U相通電およびU−V相通電を順次繰り返させることにより、ロータ50の回転中心まわりで空間的に回転する高周波電圧ベクトルを印加する。この高周波電圧ベクトルは、ロータ50の回転中心を原点とする固定座標であるαβ座標の原点まわりに定速回転する一定の大きさの回転定電圧ベクトルである(図2(a)参照)。
高周波電圧発生部30は、ロータ50の停止時および極低速回転時において、前述のような高周波電圧(探査電圧)の印加のための指令値を生成してPWM制御部10に与える。ロータ50の回転が十分に速くなると(たとえば、250rpmを超えると)、高周波電圧発生部30は、高周波電圧指令の発生を停止する。
高周波応答抽出部24は、ロータ50の停止時および極低速回転時において、高周波電圧発生部30が発生する高周波電圧の周波数に対応した周波数成分を電流検出回路19の出力信号から抽出するフィルタ処理を実行する。また、高周波応答抽出部24は、ロータ50の回転が十分に速くなると(たとえば、250rpmを超えると)、前記フィルタ処理を行わず、電流検出回路19の出力信号をロータ角度推定部25へとスルーさせる。
したがって、ロータ角度推定部25は、ロータ50の停止時および極低速回転時には、高周波応答抽出部24によって抽出される高周波成分に基づいてロータ位相角θを推定する。また、ロータ角度推定部25は、ロータ50の回転が十分に速くなると、高周波応答抽出部24によるフィルタ処理を受けていない電流検出回路19の出力を用いることにより、ロータ50の回転に伴ってU,V,W相のステータ巻線51,52,53に現れる誘起電圧を推定し、これに基づいて、ロータ50の位相角θを推定する。
一方、電動モータ3には、その端子間電圧を検出する誘起電圧検出部35が接続されている。ロータ角度推定部25は、電動モータ3の停止時において、誘起電圧検出部35の出力を参照することによって、ロータ50の回転角(N極位置)を推定する。
ロータ角度推定部25は、ロータ50の停止時および極低速回転時において、ロータ50の回転角を求めるために使用される計数手段としてのカウンタ26を備えている。このカウンタ26は、高周波電圧発生部30の働きによって印加される高周波電圧ベクトルがα軸(U相方向に一致)に沿うとき(すなわち、高周波電圧ベクトルの位相が零のとき)に初期化されて計数動作を開始するように繰り返し動作する。カウンタ26は、たとえば、高周波電圧の周期(高周波電圧ベクトルがロータ50の電気角で360度回転するのに要する時間)Tをn等分(nは1周期当たりのサンプリング数。たとえばn=360)した周期T/n毎にカウントアップするもので、その出力は、高周波電圧ベクトルの位相を表す。そこで、図3に示すように、高周波応答抽出部24の出力(電流)の極大値が検出された時点でカウンタ26の計数値を参照すれば、この計数値はロータ50の磁極位置(電流ベクトルの大きさが最大のときの高周波電圧ベクトルの位相角)を表す。なお、図3(a)は電流ベクトルの大きさの時間変化を表し、図3(b)は高周波電圧ベクトルのβ軸成分の時間変化を表し、図3(c)はカウンタ26の計数値の時間変化を表している。
ロータ角度推定部25は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクが不感帯範囲内の値であり、したがって、q軸電流指令値Iq *が零とされ、電動モータ3が停止しているときには、誘起電圧検出部35によって検出される誘起電圧に基づいて、ロータ位相角θを推定する動作を行う。これは、ロータ50のN極の位置を粗く推定するためのN極判定動作であり、たとえば、電気角で45度程度の精度でロータ50の位相角θが推定される。
このN極判定動作に続いて、ロータ角度推定部25は、高周波電圧ベクトルの印加時における電流応答を利用した極位置推定動作を行う。この極位置推定動作は、高周波電圧ベクトルの一周期中に2度現れる電流の極大値のうち、N極判定動作によって特定された位相角に近似した電流の極大値に相当する高周波電圧ベクトルの位相角をロータ位相角θとして推定する動作である。これにより、ロータ位相角θが高精度に求まる。こうして、ロータ位相角θを用いて適切な駆動電圧をステータ巻線51,52,53に与えることができる状態となり、電動モータ3を起動することができる。
電動モータ3が起動されて、ロータ50の回転速度が所定の閾値(たとえば、250rpm)を超えると、ロータ角度推定部25は、電流検出回路19から高周波応答抽出部24をスルーして与えられるモータ電流値に基づいて、U相、V相およびW相の誘起電圧を求め(たとえば、非特許文献2参照)、これに基づいて、ロータ位相角θを推定する高速回転角推定動作を実行する。むろん、同様な高速回転角推定動作は、誘起電圧検出部35の出力を利用して行うこともできる。また、高速回転角推定動作には、電動モータ3の数学モデルに基づいて求められる電流値と、電流検出回路19を介して検出される電動モータ3の実際の応答とを比較する非特許文献1の手法を採用してもよい。
図5は、前記N極判定動作時に電動モータ3のU相、V相およびW相に現れる電圧を示す図である。ステアリングホイールからの入力によってロータ50が回転すると、U相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53は、逆起電力を生じ、ロータ50の電気角で120度ずつ位相のずれた誘起電圧を生成することになる。そこで、U相電圧、V相電圧およびW相電圧を誘起電圧検出部35によって検出し、それらの比をとれば、ロータ50の電気角θ、すなわち、N極位置を特定することができる。
ロータ角度推定部25は、U相電圧、V相電圧およびW相電圧の比とロータ位相角θとを対応付けた相電圧比−角度位置テーブル27を参照することにより、ロータ位相角θを推定するようになっている。
図6は、前記N極判定動作を説明するためのフローチャートである。ロータ角度推定部25は、誘起電圧検出部35によって検出されるU相電圧、V相電圧およびW相電圧を取得し(ステップR1)、これらの比(相電圧比)を演算する(ステップR2)。そして、この相電圧比に基づいて、相電圧比−角度位置テーブル27を参照し、当該相電圧比に対応するロータ位相角θを読み出す(ステップR3)。この読み出された位相角θが、ロータ初期位置(N極判定結果)として設定される(ステップR4)。
図7は、N極判定動作に引き続いて行われる極位置推定動作を説明するためのフローチャートであり、高周波電圧発生部30の働きによって印加される高周波電圧ベクトルの1周期(1回転)に対応している。高周波電圧ベクトルの印加開始(位相角零)と同期してカウンタ26が初期化されて計数が開始される(ステップS1,S2,S3)。一方、ロータ角度推定部25は、高周波応答抽出部24の出力の極大値を検出し(ステップS4)、極大値が検出されたときのカウンタ26の計数値をロータ位相角推定値として出力する(ステップS5)。
前述のとおり、高周波電圧ベクトルの1周期中には、電流値の極大が2度現れるが、いずれの極大値がN極に対応した極大値であるかは、前述のN極判定動作の結果に基づいて判断される。すなわち、ロータ角度推定部25は、N極判定動作によって特定された極大値に対応する極大値の位置でカウンタ26の計数値を参照し、その計数値をロータ角度位置として出力する(図3(a)の曲線L2参照)。
以上のように、この実施形態によれば、ステータの磁気飽和を生じさせるほどの大電力を電動モータ3に供給することなく、電動モータ3の起動時におけるN極判定動作を行うことができる。これにより、電動モータ3の起動時の異音および振動を低減することができる。それとともに、省エネルギー性も向上することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、極位置推定動作において、高周波電圧ベクトルの印加と同期して計数を行うカウンタ26を用いてロータ位相角θを求めているが、カウンタ26を用いずにロータ位相角θを求めてもよい。たとえば、電流の極大値が検出されたときの高周波電圧ベクトルのα軸成分Vαおよびβ軸成分Vβから、θ=Tan-1(Vβ/Vα)によって、位相角θを求めてもよい。また、αβ座標における電流ベクトル(電流値が極大値のときの電流ベクトル)の成分Iα,Iβを求め、θ=Tan-1(Iβ/Iα)によって、位相角θを求めてもよい。
また、前述の実施形態では、極位置推定動作において、ロータ角度推定部25は、高周波応答抽出部24の出力を参照しているが、座標変換部20で変換した後の電流成分Id,Iqのノルム{Id 2+Iq 21/2を電流ベクトルの大きさとして用い、これが極大値をとるときの高周波電圧ベクトルの位相をカウンタ26の計数値によって求めるようにしてもよい。
さらに、前述の実施形態では、操舵状態検出手段としてトルクセンサ1を適用した例について説明したが、たとえば、操舵角を検出する操舵角センサを、トルクセンサ1に代えて、またはトルクセンサ1とともに、操舵状態検出手段として用いてもよい。
また、前述の実施形態では、目標駆動値として、目標電流値(q軸電流指令値Iq *)を用いる例について説明したが、目標電圧値や目標アシストトルクを目標駆動値として電動モータ3を制御するようにしてもよい。
さらに、前述の実施形態では、q軸電流指令値生成部12が、トルク不感帯内の操舵トルクに対してq軸電流指令値Iq *を零に設定することにより、目標駆動値設定手段および不感帯設定手段の両機能を行っているが、所定の操舵状態のときに目標駆動値を強制的に零とする不感帯設定手段を目標駆動値設定手段とは別に設けるようにしてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 高周波電圧ベクトルおよび電流ベクトルの回転を説明するための図である。 高周波電圧ベクトルの印加によるロータ位相角推定動作を説明するための図である。 アシスト特性を説明するための図である。 N極判定動作時に電動モータのU相、V相およびW相に現れる電圧を示す図である。 N極判定動作を説明するためのフローチャートである。 極位置推定動作を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
5…モータ制御装置、50…ロータ、51〜53…ステータ巻線

Claims (1)

  1. 電動モータが発生する駆動力を舵取り機構に操舵補助力として伝達する電動パワーステアリング装置であって、
    操舵状態を検出するための操舵状態検出手段と、
    この操舵状態検出手段によって検出される操舵状態に応じて前記電動モータの目標駆動値を定める目標駆動値設定手段と、
    前記操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が所定範囲内にあるときには、目標駆動値を零とする不感帯設定手段と、
    前記操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が前記所定範囲内にあるときに、前記電動モータが発生する起電力に基づいて、当該電動モータの回転角を推定する回転角推定手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。

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