JP4879649B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、永久磁石界磁型の回転電動機の界磁弱め制御を、回転軸の周囲に配置された二つのロータ間の位相差を変更することによって行う電動機の制御装置に関する。
従来より、永久磁石界磁型の回転電動機の回転軸の周囲に同心円状に設けた第1ロータ及び第2ロータを備え、回転速度の応じて第1ロータと第2ロータの位相差を変更することで、界磁弱め制御を行うようにした電動機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる従来の電動機においては、第1ロータと第2ロータが、遠心力の作用により径方向に沿って変位する部材を介して接続されている。また、電動機が停止状態にあるときに、第1ロータに配置された永久磁石の磁極と第2ロータに配置された永久磁極の磁極の向きが同一となって界磁の磁束が最大となり、電動機の回転速度が高くなるに従って遠心力により第1ロータと第2ロータの位相差が拡大して、界磁の磁束が減少するように構成されている。
ここで、図12は縦軸を出力トルクTrとし横軸を回転数Nとして、電動機の界磁弱めが必要となる領域を示したものであり、図中uは電動機の直交ライン(界磁弱め制御を行わずに電動機を作動させたときに、回転数と出力トルクの組合わせにより電動機の相電圧が電源電圧と等しくなる点を結んだもの)である。図中Xは界磁弱めが不要な領域であり、Yは界磁弱めが必要な領域である。
図1に示したように、界磁弱めが必要となる領域Yは電動機の回転数Nと出力トルクTrにより決定されるため、従来の回転数のみによる界磁弱め制御では、界磁弱めの制御量が過大又は過小となるという不都合がある。
また、本来、界磁弱め制御は、電動機の回転により電機子に生じる逆起電力を減少させて電機子の端子間電圧が電源電圧よりも大きくなることを抑制し、これにより、電動機をより高回転域で使用できるようにするものである。そして、電動機の回転数や遠心力で第1ロータと第2ロータの位相差を変更する場合には、界磁弱めを変更するパラメータが回転数のみであるため、電動機の出力トルクや回転数の制御範囲を柔軟に変更することができないという不都合がある。
また、発電機としても作動する電動機においては、一般的に駆動時(出力トルクが正)と発電時(出力トルクが負)では同一回転数に対する界磁の制御量を変えた方が運転効率が高くなるが、回転数や遠心力で第1ロータと第2ロータの位相差を変更するときには、このように駆動時と発電時で界磁の制御量を変えることができないという不都合がある。
さらに、遠心力により第1ロータと第2ロータの位相差を変更する場合には、制御側では実際の位相差を検知できないため、電動機の作動状況の変化等により回転数に応じた位相差が変化する場合があり、この場合には想定した界磁弱めの効果が得られない場合がある。
特開2002−204541号公報
本発明は上記背景を鑑みてなされたものであり、電動機の回転数に依らずに、回転軸の周囲に配置された二つのロータ間の位相差をより正確に認識して界磁弱め制御を行うことができる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、永久磁石による界磁を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差を変更することによる界磁制御を行って制御する電動機の制御装置に関する。なお、前記界磁制御には、前記電動機の界磁の磁束を減少させる界磁弱め制御と、前記電動機の界磁の磁束を増大させる界磁強め制御とが含まれる。
そして、前記界磁制御における前記ロータ位相差の指令値に応じて、前記ロータ位相差を変更するロータ位相差変更手段と、前記電動機の電機子に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記第1ロータの位置を検出するロータ位置検出手段と、前記電動機の角速度を検出する角速度検出手段と、前記電動機を2相交流の固定座標系又は前記第1ロータの位置に基づく2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、前記電動機の電機子の端子間電圧及び該電機子に流れる電流の該等価回路における変換値と、前記電動機の角速度とに基づいて、前記電動機の誘起電圧定数を算出する誘起電圧定数算出手段と、該誘起電圧定数に基づいて、前記ロータ位相差を推定するロータ位相差推定手段と、該ロータ位相差推定手段による前記ロータ位相差の推定値に基づいて、前記電動機の通電制御を行う通電制御手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ角度変更手段により、前記電動機の回転数によらずに、前記界磁制御における前記ロータ位相差の指令値に応じて前記ロータ位相差を変更することができる。そのため、前記電動機の出力トルクの指令値に応じて、前記ロータ位相差を変更して界磁制御を行うことができる。また、前記ロータ位相差が変化すると、それに応じて界磁の磁束が変化するため前記電動機の誘起電圧定数が変わる。このように、前記ロータ位相差と前記電動機の誘起電圧定数Keとの間には相間関係があるため、前記ロータ位相差推定手段は、前記誘起電圧定数算出手段により算出された前記電動機の誘起電圧定数に基づいて、前記ロータ位相差を推定することができる。そして、前記通電制御手段は、前記ロータ位相差の推定値に基づいて前記電動機の通電制御を行うことで、前記電動機の動作パラメータである実際の界磁の状態を把握しながら通電制御を行うことができる。そのため、前記電動機の運転状態と通電量の制御値との適合精度を向上させて、前記電動機を効率良く作動させることができる。
また、前記誘起電圧定数算出手段は、前記電動機の通電量が所定値以下であるときに、異なる時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の符号が異なるように、前記電動機の通電量を制御し、該時点間における前記電動機の電機子の端子間電圧の前記等価回路による変換値の差分と、該時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の差分と、前記電動機の角速度とに基づいて、前記電動機の電機子の抵抗を算出し、該算出した前記電機子の抵抗と、前記異なる時点のいずれかにおける前記電動機の電機子の端子間電圧及び前記電動機に流れる電流の前記等価回路による変換値と、前記電動機の角速度とに基づいて、前記電動機の誘起電圧定数を算出することを特徴とする。
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、前記電動機の通電量が所定値以下となるときに、前記異なる時点間の通電量の差分が大きくなるようにし、該通電量の差分を用いることによって前記電動機の誘起電圧定数の算出誤差を減少させることができる。
また、前記等価回路は、前記電動機の界磁の磁束方向であるd軸と該d軸と直交するq軸からなる2相直流の回転座標系によるものであり、前記電動機の電機子の端子間電圧及び該電機子に流れる電流の前記等価回路における変換値と、前記電動機の角速度とに基づいて、q軸側の電機子のインダクタンスを算出するq軸電機子インダクタンス算出手段を備え、前記ロータ位相差推定手段は、q軸側の電機子のインダクタンスと前記電動機の誘起電圧定数とに基づいて、前記ロータ位相差を推定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ位相差が変化して界磁の磁束が変化すると、それに応じてq軸側の電機子のインダクタンスも変化する。そのため、前記誘起電圧定数算出手段により、q軸側の電機子のインダクタンスと前記電動機の誘起電圧定数とに基づいて、前記ロータ位相差を推定することによって、前記ロータ位相差の推定精度を高めることができる。
また、前記q軸電機子インダクタンス算出手段は、q軸側の電機子に流れる電流が所定値以下であるときに、異なる時点間におけるq軸側の電機子に流れる電流の符号が異なるように、q軸側の電機子に流れる電流を制御し、該時点間における前記電動機の電機子の端子間電圧の前記等価回路による変換値の差分と、該時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の差分と、前記電動機の角速度とに基づいて、q軸側の電機子のインダクタンスを算出することを特徴とする。
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、q軸側の電機子に流れる電流が所定値以下であるときに、前記異なる時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の差分が大きくなるようにし、該差分を用いることによってq軸側の電機子のインダクタンスの算出誤差を減少させることができる。
また、前記q軸電機子インダクタンス算出手段は、異なる時点間における前記電動機の電機子の端子間電圧の前記等価回路による変換値の差分と、該時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の差分と、前記電動機の角速度とに基づいて、q軸側の電機子のインダクタンスを算出することを特徴とする。
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、異なる時点間における前記電動機の電機子の端子間電圧の前記等価回路による変換値の差分と、該時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の差分とを用いることにより、前記電動機の電機子に流れる電流が微小であるときに、前記電動機のq軸側の電機子のインダクタンスの算出誤差が大きくなることを抑制することができる。
また、前記誘起電圧定数算出手段は、前記界磁制御における前記ロータ位相差の指令値に応じてd軸側の電機子のインダクタンスを推定し、該d軸側の電機子のインダクタンスの推定値を用いて前記誘起電圧定数を算出することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ位相差の変化に応じて、d軸側の電機子のインダクタンスLdが変化するため、q軸側の電機子のインダクタンス及び前記電動機の誘起電圧定数に加えて、d軸側の電機子のインダクタンスを用いて前記ロータ位相差を推定することによって、該ロータ位相差の推定精度をさらに高めることができる。
また、前記界磁制御により前記電動機の界磁を弱めるときの前記ロータ位相差の指令値と、前記位相差推定手段による前記ロータ位相差の推定値との偏差に応じて、前記ロータ位相差の変更による界磁弱めの不足分を減少させるように、d軸側の電機子の通電量を制御する界磁弱め電流補正手段を備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ位相差変更手段の応答遅れ等により、前記界磁制御により前記電動機の界磁を弱めるときの前記ロータ位相差の指令値と推定値との偏差が生じたときに、前記界磁弱め電流補正手段により、前記ロータ位相差の変更による界磁弱めの不足分を減少させるように、d軸側の電機子の通電量が制御される。そのため、前記ロータ位相差変更手段の応答遅れ等の影響により、界磁弱めの不足が生じることを抑制することができる。
本発明の実施の形態について、図1〜図11を参照して説明する。図1は2重ロータを備えたDCブラシレスモータの構成図、図2は図1に示したDCブラシレスモータの外側ロータと内側ロータの位相差を変更する機構の構成図及び作動説明図、図3及び図4は外側ロータと内側ロータの位相差を変更することによる効果の説明図、図5は電動機の制御装置の制御ブロック図、図6はdq座標系における電圧ベクトル図、図7は誘起電圧定数を決定するためのデータテーブルの説明図、図8は外側ロータと内側ロータの位相差を変更する処理のフローチャート、図9は外側ロータと内側ロータの位相差の指令値に対する推定値の追従遅れを補う処理のフローチャート、図10は誘起電圧定数の算出精度を向上させるための処理の説明図、図11は誘起電圧定数の算出に使用されるデータテーブルの説明図である。
図1を参照して、本実施の形態における電動機1は、永久磁石11a,11bの界磁が周方向に沿って等間隔に配設された内側ロータ11(本発明の第2のロータに相当する)と、永久磁石12a,12bの界磁が周方向に沿って等間隔に配設された外側ロータ12(本発明の第1のロータに相当する)と、内側ロータ11及び外側ロータ12に対する回転磁界を発生させるための電機子10aを有するステータ10とを備えたDCブラシレスモータである。電動機1は、例えばハイブリッド車両や電動車両の駆動源として使用され、ハイブリッド車両に搭載されたときは、電動機及び発電機として動作する。
内側ロータ11と外側ロータ12は、共に回転軸が電動機1の回転軸2と同軸となるように同心円状に配置されている。そして、内側ロータ11においては、N極を回転軸2側とする永久磁石11aとS極を回転軸2側とする永久磁石11bが交互に配設されている。同様に、外側ロータ12においても、N極を回転軸2側とする永久磁石12aとS極を回転軸2側とする永久磁石12bが交互に配設されている。
次に、電動機1は、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差であるロータ位相差を変更するために、図2(a)に示した遊星歯車機構30を備えている。図2(a)を参照して、遊星歯車機構30は、内側ロータ11の内周側の中空部に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、外側ロータ12と同軸且つ一体に形成された第1リングギアR1、内側ロータ11と同軸且つ一体に形成された第2リングギアR2、第1リングギアR1と噛合する第1プラネタリギア31、第2リングギアR2に噛合する第2プラネタリギア32、第1プラネタリギア31及び第2プラネタリギア32と噛合するアイドルギアであるサンギアS、第1プラネタリギア31を回転自在に支持すると共に回転軸2に回転可能に軸支された第1プラネタリキャリアC1、及び第2プラネタリギア32を回転自在に支持すると共にステータ10に固定された第2プラネタリキャリアC2を備えている。
遊星歯車機構30において、第1リングギアR1と第2リングギアR2は略同等のギア形状とされ、第1プラネタリギア31と第2プラネタリギア32も略同等のギア形状とされている。また、サンギアSの回転軸33は電動機1の回転軸2と同軸に配置されると共に、軸受け34により回転可能に軸支されている。そして、これにより、第1プラネタリギア31と第2プラネタリギア32がサンギアSと噛合し、外側ロータ12と内側ロータ11が同期して回転するように構成されている。
さらに、第1プラネタリキャリアC1の回転軸35は、電動機1の回転軸2と同軸に配置されると共にアクチュエータ25に接続されており、第2プラネタリキャリアC2はステータ10に固定されている。
アクチュエータ25は、外部から入力される制御信号に応じて、油圧により第1プラネタリキャリアC1を正転方向又は逆転方向に回転させ、或いは回転軸2回りの第1プラネタリキャリアC1の回転を規制する。そして、アクチュエータ25によって第1プラネタリキャリアC1が回転すると、外側ロータ12と内側ロータ11間の相対的な位置関係(位相差)が変化する。なお、遊星歯車機構30とアクチュエータ25により、本発明のロータ位相差変更手段が構成される。
図2(b)は、遊星歯車機構30における第1リングギアR1と、第1プラネタリキャリアC1と、サンギアSと、第2プラネタリキャリアC2と、第2リングギアR2の回転速度の関係を示した図であり、縦軸が各ギアの回転速度Vrに設定されている。
図2(b)において、ステータ10に固定された第2プラネタリキャリアC2の速度はゼロである。そのため、第2リングギアR2及び内側ロータ11は、例えば逆転方向(Vr<0)に回動するサンギアSに対して、第2リングギアR2に対するサンギアSのギア比g2に応じた速度で正転方向(Vr>0)に回転することになる。
ここで、アクチュエータ25が非作動状態(アクチュエータ25による第1プラネタリキャリアC1の回動がなされていない状態)にあるときは、第1プラネタリキャリアC1の回転速度はゼロである。そのため、第1リングギアR1及び外側ロータ12は、回転するサンギヤSに対して、第1リングギアR1に対するサンギアSのギア比g1に応じた速度で逆方向に回転する。そして、ギヤ比g1とギヤ比g2は略同等(g1≒g2)に設定されているので、内側ロータ11と外側ロータ12は同期して回転し、内側ロータ11と外側ロータ12間の位相差が一定に維持される。
一方、アクチュエータ25が作動状態(アクチュエータ25により第1プラネタリキャリアC1が回動している状態)にあるときは、第1リングギアR1及び外側ロータ12は、回転するサンギアSに対して、第1リングギアR1に対するサンギアSのギア比g1に応じた速度に対して、第1プラネタリキャリアC1の回動分だけ増速又は減速されて、逆方向に回転する。そして、これにより、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差が変化する。
また、アクチュエータ25は、第1リングギアR1に対するサンギアSのギア比g1と電動機1の極対数Pに対して、少なくとも、機械角度β(度)=(180/P)×g1/(1+g1)だけ、第1プラネタリキャリアC1を正転方向又は逆転方向に回動可能に構成されている。
そのため、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差は、少なくとも電気角で180度の範囲で進角側又は遅角側に変更することができ、電動機1の状態は、外側ロータ12の永久磁石12a,12bと内側ロータ11の永久磁石11a,11bが同極同士を対向して配置された界磁弱め状態と、外側ロータ12の永久磁石12a,12bと内側ロータ11の永久磁石11a,11bが異極同士を対向して配置された界磁強め状態との間で、適宜設定可能である。
図3(a)は界磁強め状態を示しており、外側ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内側ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが同一であるため、合成された磁束Q3が大きくなる。一方、図3(b)は界磁弱め状態を示しており、外側ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内側ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが逆であるため、合成された磁束Q3が小さくなる。
図4は、図3(a)の状態と図3(b)の状態において、電動機1を所定回転数で作動させた場合にステータ10の電機子に生じる誘起電圧を比較したグラフであり、縦軸が誘起電圧(V)に設定され、横軸が電気角(度)に設定されている。図中aが図3(a)の状態(界磁強め状態)であり、bが図3(b)の状態(界磁弱め状態)である。図4から、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差を変更することで、生じる誘起電圧のレベルが大幅に変化していることがわかる。
そして、このように、外側ロータ12と内側ロータ11の位相差を変更して、界磁の磁束を増減させることにより、電動機1の誘起電圧定数Keを変化させることができる。これにより、誘起電圧定数Keが一定である場合に比べて、電動機1の出力及び回転数に対する運転可能領域を拡大することができる。また、電動機の制御として一般的なdq座標変換により、d軸(界磁軸)側の電機子に通電して界磁弱め制御を行う場合に比べて、電動機1の銅損が減少するため、電動機1の運転効率を高めることができる。
次に、図5〜図9を参照して、本発明の電動機の制御装置について説明する。図5に示した電動機の制御装置(以下、単に制御装置という)は、電動機1を界磁方向をd軸としてd軸と直交する方向をq軸とした2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、外部から与えられるトルク指令値Tr_cに応じたトルクが電動機1から出力されるように、電動機1に対する通電量を制御するものである。
制御装置はCPU、メモリ等により構成される電子ユニットであり、トルク指令値Tr_cと電動機1の外側ロータ12と内側ロータ11の位相差(ロータ位相差)の推定値θd_eとに基づいて、d軸側の電機子(以下、d軸電機子という)の通電量(以下、d軸電流という)の指令値Id_cとq軸側の電機子(以下、q軸電機子という)の通電量(以下、q軸電流という)の指令値Iq_cとを決定する電流指令値決定部60、電流センサ70,71(本発明の電流検出手段に相当する)により検出されてバンドパスフィルタ72により不要成分が除去された電流検出信号と、レゾルバ73(本発明のロータ位置検出手段に相当する)により検出される外側ロータ12のロータ角度θrとに基づいて、3相/dq変換によりd軸電流の検出値Id_sとq軸電流の検出値Iq_sとを算出する3相/dq変換部75、d軸電流の指令値Id_cと検出値Id_sの偏差及びq軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sの偏差が減少するように、d軸電機子に印加する電圧(以下、d軸電圧という)の指令値Vd_cとq軸電機子に印加する電圧(以下、q軸電圧という)の指令値Vq_cとを決定する通電制御部50、d軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値Vq_cを大きさV1と角度θの成分に変換するrθ変換部61、及び該大きさV1と角度θの成分をPWM制御により3相(U,V,W)の交流電圧に変換するPWM演算部62を備えている。なお、電流指令値決定部60と通電制御部50により、本発明の通電制御手段が構成される。
さらに、制御装置は、d軸電圧の指令値Vd_c及びq軸電圧の指令値Vq_cとd軸電流の検出値Id_s及びq軸電流の検出値Iq_sと角速度の検出値ω_s(図示しない角速度検出手段により検出される)とに基づいて、電動機1の誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqとを算出する定数算出部63(本発明の誘起電圧定数算出手段とq軸電機子インダクタンス算出手段の機能を含む)、誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqに基づいてロータ位相差の推定値θd_eを求める位相差推定部64(本発明の位相差推定手段に相当する)と、電動機1の電源電圧Vdcから後述する目標電圧円の半径Vp_targetを算出する目標電圧円算出部90、d軸電圧指令Vd_cとq軸電圧指令Vq_cを合成した後述する実電圧円の半径Vpを算出する実電圧円算出部92、目標電圧円の半径Vp_targetと実電圧円の半径Vpとの偏差ΔVpを算出する減算器91、該偏差ΔVpに応じて界磁弱め制御の必要電流ΔId_volを算出する界磁弱め電流算出部93、該必要電流ΔId_volをd軸電機子に流した場合と同等の界磁弱め効果を生じさせるためのロータ位相差の指令値θd_c(本発明の界磁弱め制御におけるロータ位相差の指令値に相当する)を決定するロータ位相差指令値決定部94、及びロータ位相差の指令値θd_cと推定値θd_eとの偏差に応じて、d軸電流の補正値ΔId_vol_2を算出するd軸電流補正部80(本発明の界磁弱め電流補正手段に相当する)を備えている。
また、通電制御部50は、d軸電流の指令値Id_cに補正電流ΔId_vol_2を加算する加算器51、補正電流ΔId_vol_2が加算された指令値Id_caとd軸電流の検出値Id_sとの偏差ΔIdを算出する減算器52、該偏差ΔIdを生じさせるためのd軸偏差電圧ΔVdを算出するd軸電流制御部53、補正後のd軸電流の指令値Id_caとq軸電流の指令値Iq_cとに基づいて、d軸とq軸間で干渉し合う速度起電力の影響を打ち消すための成分(非干渉成分)を算出する非干渉制御部56、d軸偏差電圧ΔVdから非干渉制御部56により算出された非干渉成分を減じる減算器54、q軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sとの偏差ΔIqを算出する減算器55、該偏差ΔIqを生じさせるためのq軸偏差電圧ΔVqを算出するq軸電流制御部57、及びq軸偏差電圧ΔVqに非干渉成分を加える加算器58を備えている。
図6は、dq座標系における電流と電圧の関係を示したものであり、縦軸がq軸(トルク軸)とされ、横軸がd軸(界磁軸)とされている。図中Cは目標電圧円である。そして、制御装置は、d軸電機子の端子間電圧Vdとq軸電機子の端子間電圧Vqの合成ベクトル(実電圧円の半径となる)が、目標電圧円C内に入るように、d軸電流とq軸電流を制御する。なお、図中Eは電動機1の回転によりq軸電機子に生じる逆起電力、ωは電動機1の角速度、Rはd軸電機子及びq軸電機子の抵抗、Lqはq軸電機子のインダクタンス、Ldはd軸電機子のインダクタンス、Vdはd軸電機子の端子間電圧、Vqはq軸電機子の端子間電圧、Idはd軸電流、Iqはq軸電流である。
図6のq軸側の成分について、以下の式(1)の関係が成立するため、以下の式(2)から電動機1の誘起電圧定数Keを算出することができる。
Figure 0004879649
但し、Ke:誘起電圧定数、ω:電動機の角速度、R:q軸電機子及びd軸電機子の抵抗、Iq:q軸電流、Vq:q軸電機子の端子間電圧、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電流。
Figure 0004879649
また、図6のd軸側の成分について、以下の式(3)の関係が成立するため、以下の式(4)からq軸電機子のインダクタンスLqを算出することができる。
Figure 0004879649
Figure 0004879649
そこで、定数算出部63は、q軸指令電圧Vq_c、電動機1の角速度の検出値ω_s、d軸電流の検出値Id_s、及びq軸電流の検出値Iq_sを、上記式(2)のVq、ω、Id、及びIqにそれぞれ代入して、誘起電圧定数Keを算出する。また、定数算出部63は、d軸電流の検出値Id、d軸電圧の指令値Vd_c、電動機1の角速度の検出値ω_s、及びq軸電流の検出値Iqを、上記式(4)のId、Vd、ω、及びIqにそれぞれ代入して、q軸電機子のインダクタンスLqを算出する。
なお、上記式(2),式(4)におけるd軸電機子及びq軸電機子の抵抗Rは、予め設定した固定値である。また、上記式(2)におけるd軸電機子のインダクタンスLdは、予め設定した固定値としてもよいが、ロータ位相差が大きくなるほどd軸電機子のインダクタンスLdが小さくなるので、ロータ位相差の指令値θd_cが大きいほどインダクタンスLdが小さくなるようにした推定値を用いてもよい。
次に、位相差推定部64は、定数算出部63により算出された誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqとに基づいて、ロータ位相差の推定値θd_eを求める。ここで、ロータ位相差が変化すると、それに応じて電動機1の誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqが変化する。
そこで、位相差推定部64は、図7(b)に示したKe,Lq/θdの対応マップに、定数算出部63により算出された誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqとを適用して対応する位相差θdを取得し、該位相差θdを外側ロータ12と内側ロータ11の位相差の推定値θd_eとする。
なお、Ke,Lq/θdの対応マップは、実験データやコンピュータシミュレーションに基づいて作成され、予めメモリ(図示しない)に記憶されている。また、図7(a)に示したKe/θdの対応マップに、定数算出部63により算出された誘起電圧定数Keを適用して、θd_eを求めることもできるが、誘起電圧定数Keに加えてq軸電機子のインダクタンスLqを用いてロータ位相差の推定値θd_eを求めることで、ロータ位相差の推定精度を高めることができる。
そして、電流指令値決定部60は、Tr,θd/Id,Iqマップに、トルク指令値Tr_cと、ロータ位相差の推定値θd_eを適用して、対応するId,Iqを取得し、該取得したId,Iqをそれぞれd軸電流指令値Id_c及びq軸電流指令値Iq_cとして決定する。このように、ロータ位相差の推定値θd_eを用いることで、実際の電動機1の界磁の磁束の変化を反映したd軸電流指令値Id_c及びq軸電流指令値Iq_cを決定することができる。そのため、トルク指令値Tr_cに対して電動機1の出力トルクを精度良く制御することができる。
次に、目標電圧円算出部90は、直流電源(図示しない)の出力電圧Vdc内で目標電圧Vp_targetを算出し、実電圧円算出部92は、d軸電流の指令値Id_cとq軸電流の指令値Iq_c合成ベクトルの大きさを算出する。そして、減算器91により、目標電圧Vp_targetと実電圧Vpの偏差ΔVpが算出され、界磁弱め制御部93は、ΔVp>0となるように、d軸電流の変更値ΔId_volを決定する。
Id/θd置換部94は、ΔId_volに相当する界磁の変化を生じさせるロータ位相差の指令値θd_cを決定する。そして、Id/θd置換部94は、ロータ位相差の指令値θd_cをアクチュエータ25に出力し、アクチュエータ25は、図8に示した処理を実行してロータ位相差を変更する。
すなわち、アクチュエータ25は、図8のSTEP1でロータ位相差の指令値θd_cを受信すると、STEP2でθd_cを機械角度βに変換する。そして、続くSTEP3で、アクチュエータ25は機械角度βを第1プラネタリキャリアC1の動作角度γに変換し、STEP4で該動作角度γ分だけ、第1プラネタリキャリアを回動させる。
また、ロータ位相差追従判定部80は、図9に示した処理を実行して、アクチュエータ25によるロータ位相差の変更処理の応答遅れを補うための処理を実行する。すなわち、位相差追従判定部80は、図9のSTEP10でロータ位相差の指令値θd_cと推定値θd_eを読み込み、次のSTEP11で指令値θd_cよりも推定値θd_eの方が小さいか否かを判断する。
そして、指令値θd_cよりも推定値θd_eの方が小さいとき(追従遅れが生じているとき)はSTEP12に進み、d軸電流補正値ΔId_vol_2にd軸電流変更値ΔId_volをセットしてSTEP13に進む。一方、指令値θd_cが推定値θd_e以下であるとき(追従遅れが生じていないとき)には、STEP11からSTEP20に分岐して、d軸電流補正値ΔId_vol_2にゼロをセットし、STEP13に進む。そして、STEP13で、ロータ位相差追従判定部80は、d軸電流補正値ΔId_vol_2を加算器51に出力する。
これにより、ロータ位相差の変更処理の応答遅れが生じているときは、加算器51において、d軸電流の指令値Id_cにd軸電流変更値ΔId_vol分のd軸電流補正値ΔId_vol_2が加算される。そして、d軸電流の増加により界磁弱めの効果が増すため、ロータ位相差の変更処理の応答遅れによって、ロータ位相差の変更による界磁弱めの不足分を補うことができる。
次に、図10及び図11を参照して、電動機の電機子の抵抗Rを考慮して誘起電圧定数Keを算出するときに、誘起電圧定数Keの算出精度を向上させるための処理について説明する。
図10において、(Id1,Iq1,Vd1,Vq1)は、制御装置の今回の制御サイクルCy1におけるd軸電流及びq軸電流のサンプリング時点t1の(d軸電流の検出値Id_s、q軸電流の検出値Iq_s,d軸電圧の指令値d_c,q軸電圧の指令値q_c)を示しており、(Id2,Iq2,Vd2,Vq2)は、前回の制御サイクルCy2におけるd軸電流及びq軸電流のサンプリング時点t2の(d軸電流の検出値Id_s、q軸電流の検出値Iq_s,d軸電圧の指令値d_c,q軸電圧の指令値q_c)である。なお、t2における(Id2,Iq2,Vd2,Vq2)のデータはメモリに記憶されている。
ここで、制御装置の制御サイクルは短時間であるため、t1からt2の間においては、電動機1の電機子のコイルの温度変化や内側ロータ11及び外側ロータ12の温度変化の影響は無視することができる程度であり、内側ロータ11と外側ロータ12の位相差は変化しないと想定することができる。
そこで、定数算出部63は、上記式(3)にt1における(Id1,Iq1,Vd1)を代入した以下の式(5)と、上記式(3)にt2における(Id2,Iq2,Vd2)を代入した以下の式(6)との差をとって得られる以下の式(7)に、図11(b)に示したq軸電機子のインダクタンスLqと電動機1の出力トルクTrの対応マップ(Lq/Trマップ)により得られるLqを代入して、電機子の抵抗Rを算出する。なお、図11(b)のLq/Trマップは、q軸電機子のインダクタンスLqが電動機1の出力トルクに応じて変化するという特性に基づいて、実験データやコンピュータシミュレーションにより決定されたものである。
Figure 0004879649
但し、Vd1:t1におけるd軸電機子の端子間電圧、R:q軸電機子及びd軸電機子の抵抗、Id1:t1におけるd軸電流、ω:電動機の角速度、Lq:q軸電機子のインダクタンス、Iq1:t1におけるq軸電流。
Figure 0004879649
但し、Vd2:t2におけるd軸電機子の端子間電圧、R:q軸電機子及びd軸電機子の抵抗、Id2:t2におけるd軸電流、ω:電動機の角速度、Lq:q軸電機子のインダクタンス、Iq2:t2におけるq軸電流。
Figure 0004879649
ここで、上記式(5)を変形した以下の式(8)により抵抗Rを算出した場合、Id1がゼロ近傍に設定された所定値以下であるときにはRの算出誤差が大きくなってしまう。
Figure 0004879649
そこで、定数算出部63は、t1におけるd軸電流Id1とt2におけるd軸電流Id2が、符号が異なる微小電流となるように、d軸電流の指令値Id_cを設定する。これにより、上記式(8)の分母におけるId1よりも、上記式(7)の分母におけるId1−Id2の方が絶対値が大きくなり、抵抗Rの算出誤差を減少させることができる。例えば、電流指令値決定部60によりId_c≒0が出力されているときに、制御サイクルCy1のd軸電流の指令値Id_c=0.1とし、制御サイクルCy2のd軸電流の指令値をId_c=-0.1に設定することで、上記式(7)の分母をId1−Id2=0.1−(-0.1)=0.2と大きくすることができる。この場合、制御サイクルCy1とCy2のd軸電流の平均はゼロとなるので、電動機1の通電制御に与える影響は小さい。
そして、定数算出部63は、上記式(2)に、サンプリング時点t 1 でのq軸電圧の指令値Vq 1 ,d軸電流の検出値Id 1 ,q軸電流の検出値Iq 1 ,電動機1の角速度の検出値ωを代入するか、あるいは、サンプリング時点t 2 でのq軸電圧の指令値Vq 2 ,d軸電流の検出値Id 2 ,q軸電流の検出値Iq 2 ,電動機1の角速度の検出値ωを代入した以下の式(9)に、上記式(8)で算出された抵抗Rと、図11(a)に示したd軸電機子のインダクタンスLdと電動機1の出力トルクTrの対応マップ(Ld/Trマップ)により得られるLdを代入して、誘起電圧定数Keを算出する。
Figure 0004879649

但し、Vq 1 :t 1 におけるq軸電圧の指令値、Id 1 :t 1 におけるd軸電流の検出値、Iq 1 :t 1 におけるq軸電流の検出値、Vq 2 :t 2 におけるq軸電圧の指令値、Id 2 :t 2 におけるd軸電流の検出値、Iq 2 :t 2 におけるq軸電流の検出値、ω:電動機の角速度、R:q軸電機子及びd軸電機子の抵抗、Ld:d軸電機子のインダクタンス。
なお、図11(a)のLd/Trマップは、d軸電機子のインダクタンスLdが電動機1の出力トルクに応じて変化するという特性に基づいて、実験データやコンピュータシミュレーションにより決定されたものである。
そして、定数算出部63は、上記式(9)により算出した誘起電圧定数Keを、図7(a)に示したKe/θdの対応マップに適用して、電動機1の外側ロータ12と内側ロータ11の位相差の推定値θd_eを求める。
次に、上述した図7(b)のKe,Lq/θdの対応マップより、ロータ位相差θdを求める場合にも、同様にして誘起電圧定数Keとq軸電機子のインダクタンスLqの算出精度を減少させることができる。
上記式(4)にt1における(Id1,Iq1,Vd1)を代入した以下の式(10)により、q軸電機子のインダクタンスLqを算出した場合、Iq1が微小(≒0)であるときにLqの算出誤差が大きくなる。
Figure 0004879649
そこで、定数算出部63は、t1におけるq軸電流Iq1とt2におけるq軸電流Iq2が、符号が異なる微小電流となるようにq軸電流の指令値Iq_cを設定し、以下の式(11)により、q軸電機子のインダクタンスLqを算出する。
Figure 0004879649
これにより、上記式(10)の分母におけるIq1よりも上記式(11)の分母の(Iq1−Iq2)の方が絶対値が大きくなり、q軸電機子のインダクタンスLqの算出誤差を減少させることができる。
なお、上記式(11)における抵抗Rは、例えば電動機についての以下の式(12)〜式(17)により算出することができる。
電動機に通電されているときのq軸電流Iqは、以下の式(12)で与えられる。
Figure 0004879649
そして、d軸電機子及びq軸電機子の端子間を短絡して、Vd=0、Vq=0とすると、上記式(12)は以下の式(13)となる。
Figure 0004879649
また、d軸電機子及びq軸電機子の短絡時に電動機の出力トルクがほぼ一定となり、通電電流も一定となる領域に限定すると、上記式(13)の分母において、R2<<ω2・Ld・Lqが成立するため、以下の式(14)の形になる。
Figure 0004879649
ここで、電機子コイルの基準温度T0と現在温度Tcとの差及び温度係数Ktを考慮して以下の式(15)とし、式(15)をTcについて変形して式(16)を得る。そして、式(16)に上記式(14)を代入して、以下の式(17)が得られる。
Figure 0004879649
但し、R0:基準温度T0における電機子の抵抗値、Kt:電機子の抵抗の温度係数、Tc:現在温度。
Figure 0004879649
Figure 0004879649
そして、上記式(11)により算出されるq軸電機子のインダクタンスLqと、上記式(9)により算出される誘起電圧定数Keとを、図7(b)のKe,Lq/θdの対応マップに適用することで、d軸電流Idとq軸電流Iqが微小であるときのロータ位相差θdの算出誤差を減少させることができる。
なお、本実施の形態では、本発明の電動機の制御装置として、電動機1を2相直流の回転座標であるdq座標系による等価回路に変換して扱うものを示したが、2相交流の固定座標系であるαβ座標系による等価回路に変換して扱う場合においても、本発明の適用が可能である。
2重ロータを備えたDCブラシレスモータの構成図。 図1に示したDCブラシレスモータの外側ロータと内側ロータの位相差を変更する機構の構成図及び作動説明図。 外側ロータと内側ロータの位相差を変更することによる効果の説明図。 外側ロータと内側ロータの位相差を変更することによる効果の説明図。 電動機の制御装置の制御ブロック図。 dq座標系における電圧ベクトル図。 誘起電圧定数を決定するためのデータテーブルの説明図。 外側ロータと内側ロータの位相差を変更する処理のフローチャート。 外側ロータと内側ロータの位相差の指令値と推定値との偏差を補う処理のフローチャート。 誘起電圧定数及びq軸電機子のインダクタンスの算出精度を向上させるための処理の説明図。 誘起電圧定数及びq軸電機子のインダクタンスの算出に使用されるデータテーブルの説明図である。 駆動側と回生側における界磁弱め制御の必要性の説明図。
符号の説明
1…電動機、2…電動機の回転軸、10…ステータ、11…内側ロータ、11a,11b…永久磁石、12…外側ロータ、12a,12b…永久磁石、25…アクチュエータ、30…遊星歯車機構、C1…第1プラネタリキャリア、C2…第2プラネタリキャリア、R1…第1リングギア、R2…第2リングギア、S…サンギア、31…第1プラネタリギア、32…第2プラネタリギア、33…サンギアの回転軸、34…軸受け、35…第1プラネタリキャリアの回転軸、50…通電制御部、60…電流指令値決定部、63…定数算出部、64…ロータ位相差推定部

Claims (6)

  1. 永久磁石による界磁を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差を変更することによる界磁制御を行って制御する電動機の制御装置であって、
    前記界磁制御における前記ロータ位相差の指令値に応じて、前記ロータ位相差を変更するロータ位相差変更手段と、
    前記電動機の電機子に流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記第1ロータの位置を検出するロータ位置検出手段と、
    前記電動機の角速度を検出する角速度検出手段と、
    前記電動機を2相交流の固定座標系又は前記第1ロータの位置に基づく2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、前記電動機の電機子の端子間電圧及び該電機子に流れる電流の該等価回路における変換値と、前記電動機の角速度とに基づいて、前記電動機の誘起電圧定数を算出する誘起電圧定数算出手段と、
    該誘起電圧定数に基づいて、前記ロータ位相差を推定するロータ位相差推定手段と、
    該ロータ位相差推定手段による前記ロータ位相差の推定値に基づいて、前記電動機の通電制御を行う通電制御手段とを備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記誘起電圧定数算出手段は、
    前記電動機の通電量が所定値以下であるときに、異なる時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の符号が異なるように、前記電動機の通電量を制御し、
    該時点間における前記電動機の電機子の端子間電圧の前記等価回路による変換値の差分と、該時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の差分と、前記電動機の角速度とに基づいて、前記電動機の電機子の抵抗を算出し、
    該算出した前記電機子の抵抗と、前記異なる時点のいずれかにおける前記電動機の電機子の端子間電圧及び前記電動機に流れる電流の前記等価回路による変換値と、前記電動機の角速度とに基づいて、前記電動機の誘起電圧定数を算出することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  3. 前記等価回路は、前記電動機の界磁の磁束方向であるd軸と該d軸と直交するq軸からなる2相直流の回転座標系によるものであり、
    前記電動機の電機子の端子間電圧及び該電機子に流れる電流の前記等価回路における変換値と、前記電動機の角速度とに基づいて、q軸側の電機子のインダクタンスを算出するq軸電機子インダクタンス算出手段を備え、
    前記ロータ位相差推定手段は、q軸側の電機子のインダクタンスと前記電動機の誘起電圧定数とに基づいて、前記ロータ位相差を推定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動機の制御装置。
  4. 前記q軸電機子インダクタンス算出手段は、q軸側の電機子に流れる電流が所定値以下であるときに、異なる時点間におけるq軸側の電機子に流れる電流の符号が異なるように、q軸側の電機子に流れる電流を制御し、該時点間における前記電動機の電機子の端子間電圧の前記等価回路による変換値の差分と、該時点間における前記電動機の電機子に流れる電流の前記等価回路による変換値の差分と、前記電動機の角速度とに基づいて、q軸側の電機子のインダクタンスを算出することを特徴とする請求項3記載の電動機の制御装置。
  5. 前記誘起電圧定数算出手段は、前記界磁制御における前記ロータ位相差の指令値に応じて、d軸側の電機子のインダクタンスを推定し、該d軸側の電機子のインダクタンスの推定値を用いて前記誘起電圧定数を算出することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電動機の制御装置。
  6. 前記界磁制御により前記電動機の界磁を弱めるときの前記ロータ位相差の指令値と、前記位相差推定手段による前記ロータ位相差の推定値との偏差に応じて、前記ロータ位相差の変更による界磁弱めの不足分を減少させるように、d軸側の電機子の通電量を制御する界磁弱め電流補正手段を備えたことを特徴とする請求項3から請求項5のうちいずれか1項記載の電動機の制御装置。
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