JP2009240009A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機の低速回転時及び停止時に、ロータ位相差を検出するセンサを設けることなく、位相差変更部の異常を判定することができる電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】電動機1のロータ位相差を変更して界磁制御を行う制御装置A1に、電動機1の角速度ωが第1判定速度以下であるときに、電動機1に検出用電圧Δvd,Δvqを重畳し、該検出用電圧と該検出用電圧が重畳されているときに電流センサ70,71により検出される電流Iu_s,Iw_sとに基いて、インダクタンス推定値L_eを算出するインダクタンス推定値算出部82と、位相差制御部95によるロータ位相差変更部27の制御が実行されているときに、ロータ位相差指令値θd_cに対応したインダクタンス目標値L_cと、インダクタンス推定値算出部82によるインダクタンス推定値L_eとの偏差ΔLに基いて、ロータ位相差変更部27の異常を判定する第1の異常判定部84とを備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、永久磁石界磁型の回転電動機の制御を、同心状に配置された二つのロータ間の位相差を変更することによって行う電動機の制御装置に関する。
従来より、永久磁石界磁型の回転電動機の回転軸の周囲に同心状に設けた第1ロータ及び第2ロータを備え、回転速度に応じて第1ロータと第2ロータの位相差(ロータ位相差)を変更することで、界磁弱め制御を行うようにした電動機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる従来の電動機においては、第1ロータと第2ロータが、遠心力の作用により径方向に沿って変位する部材を介して接続されている。また、電動機が停止状態にあるときに、第1ロータに配置された永久磁石の磁極と第2ロータに配置された永久磁極の磁極の向きが同一となって界磁の磁束が最大となり、電動機の回転速度が高くなるに従って遠心力によりロータ位相差が拡大して、界磁の磁束が減少するように構成されている。
また、第1ロータと第2ロータを相対的に回転・保持する位相差変更機構を設けて、ロータ位相差を任意に設定する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。そして、ロータ位相差を変更すると、これに応じて電動機の誘起電圧定数が変化する。そこで、例えば、いわゆるdqベクトル制御により電動機を制御するときに、以下の式(1)により電動機の誘起電圧定数を算出し、算出した誘起電圧定数をロータ位相差に変換して、ロータ位相差を推定することができる。
Figure 2009240009
但し、Ke:誘起電圧定数、Vq:q軸電機子の端子間電圧、ω:電動機の角速度、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電機子の通電電流、R:q軸電機子の抵抗。
そして、例えば、位相差変更機構により設定した位相差と、上記式(1)により算出した誘起電圧定数Keから推定したロータ位相差との偏差が大きくなっているときに、位相差変更機構が異常状態にあると判定することができる。この場合、ロータ位相差を検出するセンサを設けることなく、位相差変更機構が異常状態にあることを検知することができる。
特開2002−204541号公報 特開2007−259550号公報
上記式(1)により電動機の誘起電圧定数Keを算出してロータ位相差を推定する場合、電動機の角速度ωが低くなって上記式(1)の分母がゼロに近くなると、誘起電圧定数Keの算出誤差が大きくなる。そのため、上記式(1)により算出した誘起電圧定数Keに基いてロータ位相差を推定することが困難になり、位相差変更機構の異常を判定することができなくなる。
そこで、本発明は、電動機が低速で回転している場合、及び電動機が停止している場合であっても、ロータ位相差を検出するセンサを設けることなく、電動機のロータ位相差を変更する位相差変更機構の異常を判定することができる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、永久磁石による界磁を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に同心状に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差の変更を行って制御する電動機の制御装置に関する。
そして、前記電動機の角速度を検出する角速度検出手段と、前記ロータ位相差を変更するためのロータ位相差変更手段と、前記ロータ位相差が、所定の指令値に対応した目標ロータ位相差となるように、前記ロータ位相差変更手段を作動させるロータ位相差制御を実行するロータ位相差制御手段と、前記電動機の電機子の通電量を検出する電流検出手段と、前記電動機の電機子に所定期間において所定レベル電圧が変化する検出用電圧を重畳し、該検出用電圧と、該検出用電圧が重畳されているときに前記電流検出手段により検出される電流とに基いて、前記電動機のインダクタンスの推定値を求めるインダクタンス推定手段と、前記電動機の角速度が第1判定速度以下であって、前記ロータ位相差制御手段による前記ロータ位相差制御が実行されているときに、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記電動機のインダクタンスの推定値との偏差に基いて、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあるか否かを判定する第1の異常判定処理を実行する第1の異常判定手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、前記電動機の角速度が前記第1判定速度以下である低速回転域であっても、前記インダクタンス推定手段により、前記電動機の電機子に前記検出用電圧を重畳して、前記検出用電圧と前記検出用電圧が印加されているときに前記電流検出手段により検出される電流とに基いて、前記電動機の電機子のインダクタンスを推定することができる。そして、前記電動機のロータ位相差と誘起電圧定数とインダクタンスとの間には相関関係がある。
そのため、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機の電機子のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段により求められた前記電動機の電機子のインダクタンスの推定値との偏差は、前記ロータ位相差変更手段が正常に作動して、前記ロータ位相差が前記目標ロータ位相差に維持されているときは小さくなる。それに対して、前記ロータ位相差変更手段が異常状態となっているときには、前記電動機のロータ位相差を前記目標ロータ位相差に維持することができなくなるため、前記電動機の電機子のインダクタンスの目標値と推定値との偏差が大きくなる。
そのため、前記第1の異常判定手段は、前記電動機の角速度が前記第1判定速度以下である低速回転域において、前記目標設定状態に対応した前記電動機の電機子のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段により推定された前記電動機の電機子のインダクタンスの推定値との偏差に基いて、前記ロータ位相差を検出するセンサを設けることなく、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあるか否かを判定することができる。
また、前記第1の異常判定手段は、前記第1の異常判定処理において、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記インダクタンスの推定値との偏差が、第1許容範囲外である状態が第1所定時間以上継続したとき、又は前記指令値の変更に応じて、変更後の前記指令値に対応した前記ロータ位相差制御が開始されてから第2所定時間が経過しても、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記電動機のインダクタンスの推定値との偏差が第2許容範囲内とならなかったときに、前記ロータロータ位相差変更手段が異常状態にあると判定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ位相差変更手段が異常状態であることを、前記電動機の電機子のインダクタンスの目標値と推定値との偏差が、前記第1許容範囲外である状態が前記第1所定時間以上継続したという判定条件、又は、前記位相差設定処理が開始されてから前記第2所定時間が経過しても、該偏差が前記第2許容範囲内とならなかったという判定条件により判定することができる。
また、前記目標ロータ位相差又は前記指令値に対応した前記電動機の誘起電圧定数と、前記電流検出手段により検出される通電量とに基いて、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値を算出するインダクタンス目標値算出手段を備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、前記電動機のロータ位相差及び誘起電圧定数と、前記電動機のインダクタンスと、前記電動機の電機子の通電量との間には、相関関係がある。そのため、前記第1の異常判定手段は、前記目標ロータ位相差又は前記指令値に対応した前記電動機の誘起電圧定数と、前記電動機の電機子の通電量とに基いて、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機の電機子のインダクタンスの目標値を算出することができる。
また、前記角速度検出手段により検出される前記電動機の角速度と、前記電流検出手段により検出される通電量と、前記電動機の電機子に印加される電圧とに基いて、前記電動機の誘起電圧定数の推定値を求める誘起電圧定数推定手段と、前記電動機の角速度が前記第1判定速度よりも高い第2判定速度以上であって、前記ロータ位相差制御手段による前記ロータ位相差制御が実行されているときに、前記指令値に対応した前記電動機の誘起電圧定数の目標値と、前記誘起電圧定数推定手段による前記電動機の誘起電圧定数の推定値との偏差に基いて、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあるか否かを判定する第2の異常判定処理を実行する第2の異常判定手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の角速度が前記第2判定速度以上である高速回転域においては、前記第2の異常判定手段により、前記電動機の誘起電圧定数の目標値と推定値との差に基いて、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあるか否かが判定される。そして、この場合は、前記インダクタンス推定手段により、前記電動機の電機子に前記検出用電圧を重畳して前記電動機の電機子のインダクタンスを推定する処理は不要であるため、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあることを容易に判定することができる。
また、前記第1の異常判定手段は、前記電動機の角速度が前記第1判定速度以下であって前記第1の異常判定処理を実行しているときに、前記電動機の角速度が前記第1判定速度よりも高く前記第2判定速度よりも低い範囲に上昇したときには、前記第1の異常判定処理を継続し、前記第2の異常判定手段は、前記電動機の角速度が前記第2判定速度以上であって前記第2の異常判定処理を実行しているときに、前記電動機の角速度が前記第2判定速度よりも低く前記第1判定速度よりも高い範囲に低下したときには、前記第2の異常判定処理を継続することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記電動機の角速度が、前記第1判定速度以下の低速回転域から前記第2判定速度以上の高速回転域に移行するとき、及び前記第2判定速度以上の高速回転域から前記第1判定速度以下の低速回転域に移行するときに、ヒステリシスをもたせることができる。そして、これにより、前記電動機の角速度が前記第1判定速度付近又は前記第2判定速度付近で変動したときに、これに応じて、前記第1の異常判定手段による前記第1の異常判定処理と、前記第2の異常判定手段による前記第2の異常判定処理とが頻繁に切り換わって、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあることの判定が不安定になることを抑制することができる。
また、前記電動機をロータの磁束方向であるq軸上にあるq軸電機子と、q軸と直交するd軸上にあるd軸電機子とを有する等価回路に変換して扱い、前記インダクタンス推定手段は、前記d軸電機子と前記q軸電機子とのうちの少なくともいずれか一方に、前記検出用電圧による電圧が印加されているときに、前記電流検出手段による検出電流に基いて算出された前記d軸電機子の通電量と前記q軸電流の通電量とのうちの少なくともいずれか一方に基いて、前記電動機のインダクタンスを推定することを特徴とする。
かかる本発明によれば、いわゆるdqベクトル制御により前記電動機の作動を制御するときに、前記d軸電機子及び前記q軸電機子のうちの少なくともいずれか一方に前記検出用電圧による電圧を印加することにより、前記電動機の電機子のインダクタンスを容易に推定することができる。
また、前記第1の異常判定手段は、前記第1の異常判定処理において、前記指令値が変更された時から、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差が変更後の前記指令値に対応した目標ロータ位相差に移行するまでの想定時間を経過した後に、該目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記インダクタンスの推定値との偏差が、第1許容範囲外である状態が第1所定時間以上継続したか否かを判断することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記指令値が大きく変更された時に、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差が変更されている途中で、前記第1の異常判定手段により前記第1の異常判定処理が実行されて、実際には異常状態となっていないにも拘わらず、前記電動機1の電機子のインダクタンスの目標値と推定値との偏差が前記第1所定値以上である状態が前記第1所定以上継続したとして、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあると誤って判定されることを防止することができる。
本発明の実施の形態について、図1〜図12を参照して説明する。
先ず、図1及び図2を参照して、本実施の形態における電動機の構成を説明する。図1は、本実施の形態における電動機の要部の断面図、図2は図1に示した電動機の2つのロータ間の位相差を変更することによる効果の説明図である。
図1を参照して、電動機1は、2重ロータ構造のDCブラシレスモータであり、出力軸2、外ロータ12、及び内ロータ11を同軸に備えている。なお、外ロータ12と内ロータ11のいずれか一方が本発明の第1ロータに相当し、他方が本発明の第2ロータに相当する。
内ロータ11においては、N極を回転軸2側とする永久磁石11aとS極を回転軸2側とする永久磁石11bが、周方向に沿って等間隔に交互に配設されている。同様に、外ロータ12においても、N極を回転軸2側とする永久磁石12aとS極を回転軸2側とする永久磁石12bが、周方向に沿って等間隔に交互に配設されている。
また、電動機1は、内ロータ11及び外ロータ12に対する回転磁界を発生するための電機子10aを有するステータ10を備えている。電動機1は、例えばハイブリッド車両や電動車両の駆動源として使用され、ハイブリッド車両に搭載されたときは、電動機及び発電機として動作する。
次に、電動機1は、外ロータ12と内ロータ11の位相差であるロータ位相差を変更するために、外ロータ12と内ロータ11を相対的に回転させる位相可変機構(図示しない。遊星歯車等の差動機構により構成される。)を備えている。
そして、位相可変機構により、外ロータ12と内ロータ11の位相差は、少なくとも電気角で180度の範囲で進角側又は遅角側に変更することができ、電動機1の状態は、外ロータ12の永久磁石12a,12bと内ロータ11の永久磁石11a,11bが同極同士を対向して配置された界磁弱め状態と、外ロータ12の永久磁石12a,12bと内ロータ11の永久磁石11a,11bが異極同士を対向して配置された界磁強め状態との間で、適宜設定可能である。
図2(a)は界磁強め状態を示しており、外ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが同一であるため、合成された磁束Q3が大きくなる。一方、図3(b)は界磁弱め状態を示しており、外ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが逆であるため、合成された磁束Q3が小さくなる。
そして、このように、外ロータ12と内ロータ11の位相差を変更して、界磁の磁束を増減させることにより、電動機1の誘起電圧定数Keを変化させることができる。これにより、誘起電圧定数Keが一定である場合に比べて、電動機1の出力及び回転数に対する運転可能領域を拡大することができる。
[第1の実施形態]次に、図3〜図8を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図3は、第1の実施形態の電動機の制御装置A1(以下、制御装置A1という)の制御ブロック図である。
制御装置A1は、電動機1を界磁方向をd軸としてd軸と直交する方向をq軸とした2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、外部から与えられるトルク指令値Tr_cに応じたトルクが電動機1から出力されるように、電動機1に対する通電量を制御する。
制御装置A1は、CPU、メモリ等により構成された電子ユニットであり、該CPUに所定の制御プログラムを実行させることによって、制御装置A1は、本発明のロータ位相差制御手段、インダクタンス推定手段、インダクタンス目標値算出手段、第1の異常判定手段、誘起電圧定数推定手段、及び第2の異常判定手段として機能する。また、制御装置A1は所定の制御サイクル毎に電動機1の制御処理を繰り返し実行する。
制御装置A1は、トルク指令値Tr_cと電動機1の誘起電圧定数の推定値Ke_e(以下、誘起電圧定数推定値Ke_eという)と電動機1の角速度ωとに基づいて、d軸側の電機子(以下、d軸電機子という)の通電量(以下、d軸電流という)の指令値であるd軸電流指令値Id_cとq軸側の電機子(以下、q軸電機子という)の通電量(以下、q軸電流という)の指令値であるq軸電流指令値Iq_cとを算出する電流指令算出部50、電流センサ70,71(本発明の電流検出手段に相当する)による電動機1の相電流の検出信号Iu_s,Iw_sと、レゾルバ73により検出される外ロータ12のロータ角度θm_sとに基づいて、3相/dq変換によりd軸電流検出値Id_sとq軸電流検出値Iq_sとを算出する3相/dq変換部61とを備えている。
なお、レゾルバ73と、レゾルバ73により検出されるロータ角度θm_sを微分して角速度ωを算出する微分器63とにより、本発明の角速度検出手段が構成されている。
また、制御装置A1は、d軸電流指令値Id_cの補正値ΔIdaを求める界磁制御部51と、q軸電流指令値Iq_cの補正値ΔIqaを求める電力制御部55とを備えている。界磁制御部51で決定される補正値ΔIdaは、d軸電機子の電圧とq軸電機子の電圧との合成ベクトルの大きさが電動機1の電源電圧Vdc(より詳しくは、後述するPMW演算部62のインバータ回路の電源電圧)に応じた電圧円内に納まるようにするためのd軸電流の操作量(フィードバック操作量)を意味する。
補正値ΔIdaは、前回の制御サイクルにおいて、後述する電流制御部53等により決定されたd軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_c(前回の制御サイクルで決定された値)との合成ベクトルの大きさと、電源電圧Vdcに応じて決定した目標値(電圧円の半径)との偏差に応じて、フィードバック制御により決定される。
電力制御部55で決定される補正値ΔIqaは、電動機1の運転時における永久磁石11a〜12b(11a,11b,12a,12b)の温度変化と電機子10aの温度変化が、電動機1の出力トルクに及ぼす影響を補償するためのものである。永久磁石11a〜12bの温度が変化すると、一般にロータ位相差が一定であっても電動機1の誘起電圧定数が変化し、電機子10aのコイル抵抗(電機子10aを構成する巻線の抵抗)が変化する。このため、q軸電流指令値Iq_cが一定であっても、永久磁石11a〜12bや電機子10aの温度変化の影響により、電動機1の出力トルクが変化する。
そこで、電力制御部55は、この影響をq軸電流補正値ΔIqaにより補償する。q軸電流補正値ΔIqaは、U相電流検出値Iu_s又はW相電流検出値Iw_sのサンプリング値から推定されるコイル抵抗や、後述する誘起電圧定数推定部91で算出される誘起電圧定数推定値Ke_e等に基いて決定される。
加減算部52は、d軸電流指令値Id_cからd軸電流検出値Id_cを減じると共に、d軸電流補正値ΔId_aを加えて、d軸電流偏差ΔIdを算出する。同様に、加減算部56は、q軸電流指令値Iq_cからq軸電流検出値Iq_sを減じると共に、q軸電流補正値ΔIq_qを加えて、q軸電流偏差ΔIqを算出する。
電流制御部53は、加減算部52で算出されたd軸電流偏差ΔIdを0に近づけるように、PI制御則(比例・積分制御則)等のフィードバック制御則により、d軸電機子の指令電圧値であるd軸電圧指令値Vd_cを決定する。同様に、電流制御部53は、加減算部56で算出されたq軸電流偏差ΔIqを0に近づけるように、PI制御則等のフィードバック制御則により、q軸電機子の指令電圧値であるq軸電圧指令値Vq_cを決定する。
なお、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cとを決定するときに、d軸電流偏差ΔIdから求められるd軸電圧指令値と、q軸電流偏差ΔIqから求められるq軸電圧指令値とに、d軸とq軸の間で干渉し合う速度起電力の影響を打ち消すための非干渉成分を付加して、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cを求めることが好ましい。
さらに、制御装置A1は、d軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cと、レゾルバ72により検出される電動機1のロータ角度θm_sとから、dq−3相変換によりU相,V相,W相の各相の相電圧指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cを求めるdq−3相変換部60、及び、相電圧指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cに応じて、電動機1の各相の電機子にPWM制御によりインバータ回路(図示省略)を介して通電するPWM演算部62を備えている。
なお、dq−3相変換は、d軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cの組を、ロータ角度θm_s(電気角での出力軸2の回転角度)に応じた変換行列に座標変換する処理である。
また、制御装置A1は、トルク指令値Tr_cと角速度ωと電源電圧Vdcとに応じて、電動機1のロータ位相差の指令値θd_c(以下、ロータ位相差指令値θd_cという。本発明の指令値、及び指令値に対応した目標ロータ位相差に相当する)を決定するロータ位相差指令算出部90を備えている。
ロータ位相差指令算出部90は、トルク指令値Tr_c,角速度ω,電源電圧Vdcという3つの要素と、ロータ位相差指令値θd_cとの間の相関関係を規定したマップ(Tr_c,ω,Vdc/θd_cマップ)に、Tr_c,ω,Vdcを適用して、ロータ位相差指令値θd_cを求める。
このTr_c,ω,Vdc/Ke_eマップは、実験やコンピュータシミュレーション等に基いて作成されたものであり、そのデータはメモリに保持されている。なお、マップではなく、トルク指令値Tr_c,角速度ω,電源電圧Vdcという3つの要素を入力して、ロータ位相差指令値θd_cを出力する相関式を用いて、ロータ位相差指令値θd_cを算出するようにしてもよい。
また、制御装置A1は、ロータ位相差指令値θd_cと、d軸電流指令値Id_c及びq軸電流指令値Iq_cとに基づいて、ロータ位相差指令値θd_cに対応する電動機1のインダクタンスの目標値L_c(以下、インダクタンス目標値L_cという)を算出するインダクタンス目標値算出部83(本発明のインダクタンス目標値算出手段に相当する)、電流センサ70,71による検出電流Iu_s,Iw_sとロータ角度θm_sとに基いて、電動機1のインダクタンスの推定値L_e(以下、インダクタンス推定値L_eという)を算出するインダクタンス推定値算出部82(本発明のインダクタンス推定手段に相当する)、インダクタンスの目標値と推定値との偏差ΔL(=L_c−L_e)を算出する減算器81、及び偏差ΔLによりロータ位相差変更部27(位相可変機構26及びアクチュエータ25により構成される。本発明のロータ位相差変更手段に相当する。)の異常を判定する第1の異常判定部84(本発明の第1の異常判定手段に相当する)を備えている。
さらに、制御装置A1は、電動機1の角速度ωとd軸電流検出値Id_s及びq軸電流検出値Iq_sとd軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cとに基いて、電動機1の誘起電圧定数推定値Ke_eを算出する誘起電圧定数推定部91(本発明の誘起電圧定数推定手段に相当する)、誘起電圧定数推定値Ke_eに対応するロータ位相差の推定値θd_e(以下、ロータ位相差推定値θd_eという)を算出する位相差推定部92、ロータ位相差目標値θd_cとロータ位相差推定値θd_eとの偏差Δθdを算出する減算器93、この偏差Δθdに基いてロータ位相差変更部27が異常状態にあるか否か判定する第2の異常判定部94(本発明の第2の異常判定手段に相当する)、第1の異常判定部84と第2の異常判定部94の判定結果に応じて、異常対処処理を実行する異常判定切換部85、及び電動機1のロータ位相差がロータ位相差指令値θd_cに応じた目標ロータ位相差となるように、アクチュエータ25を介して位相可変機構26を作動させるロータ位相差制御を実行するロータ位相差制御部95(本発明のロータ位相差制御手段に相当する)を備えている。
誘起電圧定数推定部91は、以下の式(2)により、誘起電圧定数推定値Ke_eを算出する。
Figure 2009240009
但し、Ke_e:誘起電圧定数推定値、Vq_c:q軸電圧指令値、ω:電動機1の角速度、Ld:d軸電機子のインダクタンス(固定値)、R:q軸電機子の抵抗値(固定値)、Id_s:d軸電流検出値、Iq_s:q軸電流検出値。
次に、図4〜図6(b)を参照して、インダクタンス目標値算出部83によるインダクタンス目標値L_cの算出方法と、インダクタンス推定値算出部82によるインダクタンス推定値L_eの算出方法について説明する。
先ず、図4(a),図4(b)及び図6(b)を参照して、インダクタンス目標値算出部83によるインダクタンス目標値L_cの算出方法について説明する。図4(a)は、縦軸をd軸電機子のインダクタンスLdに設定し、横軸をd軸電流Idに設定して、電動機1のロータ位相差θdを0度,30度,60度、90度、120度、150度、180度に設定したときの、LdとIdの関係を示したものである。図4(a)に示した対応関係から、電動機1の位相差θdとd軸電流Idの組に対して、対応するd軸電機子のインダクタンスLdが定まることが分る。
同様に、図4(b)は、縦軸をq軸電機子のインダクタンスLqに設定し、横軸をq軸電流Iqに設定して、電動機1の位相差θdを0度,30度,60度,90度,120度,150度,180度に設定したときの、LqとIqの関係を示したものである。図4(b)に示した対応関係から、電動機1のロータ位相差θdとq軸電流Iqの組に対して、対応するq軸電機子のインダクタンスLqが定まることが分る。
そこで、インダクタンス目標値算出部83は、図6(b)に示したように、ロータ位相差目標値θd_cとd軸電流指令値Id_c及びq軸電流指令値Iq_cとを、上述した図4(a),図4(b)の対応関係をテーブル化した参照テーブル(Look up Table)110に適用して、対応するd軸インダクタンス目標値Ld_cとq軸インダクタンス目標値Lq_cとを求める。そして、インダクタンス目標値算出部83は、d軸インダクタンス目標値Ld_cとq軸インダクタンス目標値Lq_cの合成値をインダクタンス目標値L_c(=√(Ld_c2+Lq_c2))として算出する。
次に、インダクタンス推定値算出部82によるインダクタンス推定値L_eの算出方法について説明する。図3を参照して、インダクタンス推定値算出部82は、検出用電圧重畳部80により、加算器54においてd軸検出用電圧Δvdを重畳すると共に、加算器57においてq軸検出用電圧Δvqを重畳する。
ここで、d軸検出用電圧Δvdとq軸検出用電圧Δvqの具体的な出力パターンとしては、例えば図5(a)に示したように、周期Tにおける出力電圧Xの総和が0となるように設定される。また、図5(b)に示したように、連続する周期の出力を反転(X,−X)させることによって、周波数f(=1/T)の周波数成分を打ち消して、周波数fに偏ったノイズの発生を抑制することができる。
また、図5(c)に示したように、周波数成分を順次打ち消すように出力電圧を変調させる出力パターンとすることで、特定の周波数に偏ったノイズの発生を抑制する効果をさらに高めることができる。
d軸検出用電圧Δvdとq軸検出用電圧Δvqを、d軸電機子とq軸電機子に重畳したときの電圧方程式は、以下の式(3)で表される。
Figure 2009240009
但し、Vd:d軸検出用電圧Δvdを重畳する前のd軸電圧、Vq:q軸検出用電圧Δvqを重畳する前のq軸電圧、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Lq:q軸電機子のインダクタンス、s:微分演算子、Id:d軸電流、Iq:q軸電流。
上記式(3)を変形すると、以下の式(4)が得られる。
Figure 2009240009
ここで、以下の式(5)〜式(7)のように定義すると、d軸検出用電圧Δvdとq軸検出用電圧Δvqを重畳したときの上記式(4)を、以下の式(8)の形にまとめて表すことができる。
Figure 2009240009
但し、Δvd(i):d軸検出用電圧Δvdのi番目の制御サイクルにおける値、Δvq(i):q軸検出用電圧Δvqのi番目の制御サイクルにおける値。
Figure 2009240009
但し、Vd(i):d軸電圧のi番目の制御サイクルにおける値、Vq(i):q軸電圧のi番目の制御サイクルにおける値。
Figure 2009240009
但し、Id(i):d軸電流のi番目の制御サイクルにおける値、Iq(i):q軸電流のi番目の制御サイクルにおける値。
Figure 2009240009
そして、以下の式(9)を定義して、上記式(8)の両辺に擬似逆行列(CtC)-1Cをかけると、以下の式(10)が得られる。
Figure 2009240009
Figure 2009240009
ここで、d軸検出用電圧Δvdとq軸検出用電圧Δvqは、上述したように電圧の総和が0となるように設定されている。すなわち、ΣΔVdq(i)=0なので、d軸検出用電圧Δvdとq軸検出用電圧Δvqが重畳されている間のVdq(i)が一定であれば、上記式(10)の左辺の第2項において、以下の式(11)が成り立つ。
Figure 2009240009
従って、トルク指令値Tr_cに応じて電流制御部53で決定されるd軸電圧Vd及びq軸電圧VqによるVdq(1),Vdq(2),…は無視することができ、上記式(10)は以下の式(12)の形になる。
Figure 2009240009
この場合、電流制御部53は、トルク指令値Tr_cに応じたd軸電圧Vdとq軸電圧Vqの更新を、検出用電圧Δvdqの平均が0になるタイミングで行なえばよい。
なお、d軸検出用電圧Δvdとq軸検出用電圧Δvqの出力パターンは、予め決定してメモリに保持しておけばよい。また、上記式(12)における左辺の(CtC)-1tの計算値も、d軸検出用電圧Δvdとq軸検出用電圧Δvqの出力パターンにより算出して、予めメモリに保持しておくことができる。
図6(a)は、上記式(12)に従ったブロック図であり、インダクタンス推定値算出部82は、このブロック図に示した処理を行なってインダクタンス推定値L_eを算出する。すなわち、インダクタンス推定値算出部82は、電流センサ70,71による相電流の検出値Iu_sとIw_sの今回と前回の制御サイクルにおける値の差分を、減算器104,105により算出する。
そして、インダクタンス推定値算出部82は、この差分を3相−dq変換部101によりdq座標値に変換し、変換値(dId,dIq)を除算器102で1制御サイクルの時間(dt)で除する。さらに、インダクタンス推定値算出部82は、乗算器103により、この変換値(dId,dIq)に擬似逆行列(CtC)-1tを乗じて、d軸電機子のインダクタンス推定値の逆数1/Ld_eとq軸電機子のインダクタンス推定値の逆数1/Lq_eとを算出する。そして、インダクタンス推定値算出部82は、Ld_eとLq_eの合成値をインダクタンス推定値L_e(=√(Ld_e2+Lq_e2))として算出する。
次に、図7を参照して、異常判定切替部85による第1の異常判定部84と第2の異常判定部94の異常判定の切替条件について説明する。異常判定切替部85は、電動機1の角速度ωがωK以上であるときに、第2の異常判定部94に演算許可信号Cokを出力して、第2の異常判定部94による誘起電圧定数推定値Ke_eに基く第2の異常判定処理を実行させる。
また、異常判定切替部85は、電動機1の角速度ωがωL以下であるときに、第1の異常判定部84に演算許可信号Cokを出力して、第1の異常判定部84によるインダクタンス推定値L_eに基く第1の異常判定処理を実行させる。
そして、異常判定切替部85は、電動機1の角速度ωがωj1(本発明の第1判定速度に相当する)以下であるときは、第1の異常判定部84による異常判定結果により異常対処処理を行い、電動機1の角速度ωがωj2(本発明の第2判定速度に相当する)以上であるときには、第2の異常判定部94による異常判定結果により異常対処処理を行う。
そして、電動機1の角速度ωがωj1以下であって、第1の異常判定部84による異常判定処理が行われているときは、角速度がωがωj2以上となるまで、第1の異常判定部84による異常判定結果を継続して採用する。一方、電動機1の角速度ωがωj2以上であって、第2の異常判定部94による異常判定結果を採用しているときには、角速度ωがωj1以下となるまで、第2の異常判定部94による異常判定結果を継続して採用する。
このように、第1の異常判定部84による第1の異常判定処理の結果と第2の異常判定部94による第2の異常判定処理の結果の採用の切替条件に、図7の斜線部分のヒステリシスをもたせることによって、第1の異常判定部84による第1の異常判定処理の結果と第2の異常判定部94による第2の異常判定処理の結果の切替が頻繁に行なわれて、異常判定が不安定になることを防止することができる。
次に、図8に示したフローチャートに従って、第1の異常判定部84によるロータ位相差変更部27の異常判定処理について説明する。図8のSTEP1で、第1の異常判定部84は、異常判定切替部85から演算許可信号Cokが出力されているか否かを判断する。そして、演算許可信号Cokが出力されているときはSTEP2に進み、演算許可信号Cokが出力されていないときにはSTEP6に分岐して処理を終了する。
STEP2で、第1の異常判定部84は、ロータ位相差指令値θd_cの変化があったか否かを判断し、変化があったときにはSTEP10に分岐してT1タイマ(T1をタイムアップまでの計時時間とするタイマ)をスタートさせてSTEP6進む。ここで、T1は、ロータ位相差指令値θd_cが変更された時から、ロータ位相差制御部95によるロータ位相差制御によって、ロータ位相差変更部27の作動により電動機1が変更後のロータ位相差指令値θd_cに対応する状態に移行するなるまでに要する想定時間よりも若干長く設定される。
一方、ロータ位相差指令値θd_cの変化がなかったときにはSTEP3に進み、第1の異常判定部84は、T1タイマがタイムアップしたか否かを判断する。そして、T1タイマがタイムアップしていなかったときは、STEP6に分岐して処理を終了する。また、T1タイマがタイムアップしていたとき、すなわち、ロータ位相差変更部27が正常に動作しているならば、電動機1がロータ位相差指令値θd_cに対応する状態となっていると想定されるときには、STEP4に進む。
STEP4で、第1の異常判定部84は、インダクタンス目標値算出部83により算出されたインダクタンス目標値L_cと、インダクタンス推定値算出部82により算出されたインダクタンス推定値L_eとの偏差ΔLが、予め設定された第1許容範囲内(La≦ΔL≦Lb)にあるか否かを判断する。
そして、偏差ΔLが第1許容範囲内にないときはSTEP20に分岐し、第1の異常判定部84は、T2タイマ(T2をタイムアップまでの計時時間とするタイマ)をスタートさせる。なお、過去の制御サイクルにおいて既にT2タイマをスタートさせていたときには、T2タイマを継続して作動させる。
ここで、T2は、偏差ΔLが第1許容範囲内(La≦ΔL≦Lb)にない状態がT2以上継続したときに、ロータ位相差変更部27が異常状態にあると判定するためのものであり、本発明の第1所定時間に相当する。
次のSTEP21で、第1の異常判定部84は、T2タイマがタイムアップしているか否かを判断する。そして、T2がタイムアップしていたときはSTEP22に進んで、異常切替部85に対して異常報知を行なった後、STEP6に進んで処理を終了する。一方、STEP21でT2タイマがタイムアップしていなかったときには、STEP6に分岐して処理を終了する。第1の異常判定部84から異常報知を受けた異常判定切替部85は、異常対処処理として、車両の走行停止、電動機1の運転範囲の制限等を行なう。
なお、本実施形態では、インダクタンスの目標値と推定値との偏差ΔLが第1許容範囲から外れた状態がT2以上継続したことを条件として、ロータ位相差変更部27が異常状態にあると判断したが、他の条件を用いてもよい。例えば、ロータ位相差指令値θd_cが変更された時(この変更に応じて、ロータ位相差制御部95により、ロータ位相差変更部27を変更後のロータ位相差指令値θd_cに対応する位置に作動させるロータ位相差制御が開始される)から、所定時間(本発明の第2所定時間に相当する)が経過しても、インダクタンス目標値L_cとインダクタンス推定値L_eとの偏差ΔLが第2許容範囲内とならなかったときに、ロータ位相差変更部27が異常状態にあると判断するようにしてもよい。
また、第2の異常判定部94によるロータ位相差変更部27の第2の異常判定処理は、図8のSTEP4におけるインダクタンスの目標値と推定値との偏差ΔLを、ロータ位相差指令値θd_cとロータ位相差推定値θd_eとの偏差Δθdに置き換え、Δθdの許容範囲とタイマの計時時間T1,T2を設定したものとなり、処理手順は同様となる。そのため、第2の異常判定部94による処理については、説明を省略する。
[第2の実施形態]次に、図9を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の電動機の制御装置A2(以下、制御装置A2という)は、上述した第1の実施形態の制御装置A1のロータ位相差指令算出部90に変えて誘起電圧定数指令算出部96を備え、また、誘起電圧定数の指令値Ke_c(以下、誘起電圧定数指令値Ke_cという。本発明の指令値に相当する)と誘起電圧定数推定値Ke_eとの偏差ΔKeに基いてロータ位相差変更部27が異常状態にあるか否かを判定する第2の異常判定処理を実行する第2の異常判定部97(本発明の第2の異常判定手段に相当する)を備えたものである。
また、ロータ位相差制御部95は、ロータ位相差指令値θd_cに代えて、誘起電圧定数指令値Ke_cに基いてアクチュエータ指令値LS_cを出力する。この場合、誘起電圧定数指令値Ke_cに対応するロータ位相差が、本発明の目標ロータ位相差となる。なお、第1の実施形態の制御装置A1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
電動機1のロータ位相差と誘起電圧定数との間には、ロータ位相差が大きくなるに従って誘起電圧定数が小さくなる相関関係があるので、誘起電圧定数指令算出部96は、ロータ位相差指令算出部90と同様にして、トルク指令値Tr_c、電動機1の角速度ω、及び電源電圧Vdcに応じた誘起電圧定数指令値Ke_cを算出する。
そして、減算器93により、誘起電圧定数指令値Ke_cと誘起電圧定数推定部91で算出された誘起電圧定数推定値Ke_eとの偏差ΔKeが算出され、第2の異常判定部97は、偏差ΔKeが許容範囲(本発明の第1許容範囲に相当する)から外れた状態がT1以上継続したとき、又は誘起電圧定数指令値Ke_cが変更された時から所定時間(本発明の第2所定時間に相当する)が経過しても偏差ΔKeが許容範囲(本発明の第2許容範囲に相当する)内に入らなかったときに、ロータ位相差変更部27が異常状態にあると判定する。
[第3の実施形態]次に、図10を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の電動機の制御装置A3(以下、制御装置A3という)は、上述した第2の実施形態の制御装置A2のインダクタンス推定値算出部82に変えて、インダクタンス推定値算出部86を備えたものである。なお、第2の実施形態の制御装置A2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
インダクタンス推定値算出部86は、電流センサ70,70による相電流検出値Iu_s,Iw_sに代えて、3相−dq変換されたd軸電流検出値Id_s,q軸電流検出値Iq_sを用いてインダクタンス推定値L_eを算出する。図11は、この場合の上記式(12)に従ったブロック図であり、インダクタンス推定値算出部86は、このブロック図に示した処理を行なってインダクタンス推定値L_eを算出する。
すなわち、インダクタンス推定値算出部86は、3相−dq変換部61から出力されるd軸電流検出値Id_s及びq軸電流検出値Iq_sの今回と前回の制御サイクルにおける値の差分を、減算器120,121により算出する。
そして、インダクタンス推定値算出部86は、この差分(dId,dIq)を除算器122で1制御サイクルの時間(dt)で除する。さらに、インダクタンス推定値算出部86は、乗算器123により、擬似逆行列(CtC)-1tを乗じて、d軸電機子のインダクタンス推定値の逆数1/Ld_eとq軸電機子のインダクタンスの推定値の逆数1/Lq_eとを算出する。そして、Ld_eとLq_eの合成値をインダクタンス推定値L_e(=√(Ld_e2+Lq_e2))として算出する。
[第4の実施形態]次に、図12を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の電動機の制御装置A4は、上述した第2の実施形態の制御装置A2のインダクタンス目標値算出部83に代えて、インダクタンス目標値算出部87を備えたものである。なお、第2の実施形態の制御装置A2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
インダクタンス目標値算出部87は、d軸電流指令値Id_cとq軸電流指令値Iq_cに代えて、d軸電流検出値Id_sとq軸電流検出値Iq_sを用いてインダクタンス目標値L_cを算出する。ここで、電流制御部53により、d軸電流指令値Id_cと補正値ΔIdaの和と、d軸電流検出値Id_sとの偏差ΔIdが0に近付くようにd軸電流が制御されると共に、q軸電流指令値Iq_cと補正値ΔIqaの和と、q軸電流検出値Iq_sとの偏差ΔIqが0に近付くようにq軸電流が制御される。
そして、補正値ΔIdaはd軸電流指令値Id_cに対して微小であり、補正値ΔIqaはq軸電流指令値Iq_cに対して微小である。そのため、d軸電流指令値Id_c≒d軸電流検出値Id_s、q軸電流指令値Iq_c≒q軸電流検出値Iq_cとなり、インダクタンス目標値算出部87は、d軸電流検出値Id_sとq軸電流検出値Iq_sとを用いて、インダクタンス目標値L_cを算出することができる。
なお、上述した第1〜第4の実施形態の制御装置A1〜A4においては、電動機1のインダクタンスとして、d軸電機子のインダクタンスLdとq軸電機子のインダクタンスLqを合成したインダクタンス目標値L_c及びインダクタンス推定値L_eを用いて、ロータ位相差変更部27が異常状態にあるか否かを判定した。しかし、他の形態として、d軸電機子のインダクタンスLdやその逆数、或いはq軸電機子やその逆数のインダクタンスを用いてもよい。また、合成値の逆数(1/L_c,1/L_e)を用いて、ロータ位相差変更部27が異常状態にあるか否かを判定してもよい。
また、上述した第1〜第4の実施形態では、本発明の電動機の制御装置として、電動機1を2相直流の回転座標であるdq座標系による等価回路に変換して扱う制御装置A1〜A4を示したが、2相交流の固定座標系であるαβ座標系による等価回路に変換して扱う場合等、他の制御形態においても本発明の適用が可能である。
2重ロータを備えたDCブラシレスモータの構成図。 外ロータと内ロータの位相差を変更することによる効果の説明図。 第1の実施形態の電動機の制御装置の制御ブロック。 ロータ位相差θdとd軸電機子のインダクタンスLd及びd軸電流Idとの相関関係、及びロータ位相差θdとq軸電機子のインダクタンスLq及びq軸電流Iqとの相関関係を示した説明図。 検出用電圧の出力パターンの説明図。 インダクタンス推定値算出部、及びインダクタンス目標値算出部の演算ブロック図。 誘起電圧定数による判定処理とインダクタンスによる判定処理の切り換え条件の説明図。 第1の異常判定部によるロータ位相差変更部の異常判定処理のフローチャート。 第2の実施形態の電動機の制御装置の制御ブロック図。 第3の実施形態の電動機の制御装置の制御ブロック図。 第3の実施形態におけるインダクタンス推定値算出部の演算ブロック図。 第4の実施形態の電動機の制御装置の制御ブロック図。
符号の説明
1…電動機、2…電動機の回転軸、10…ステータ、11…内ロータ、11a,11b…永久磁石、12…外ロータ、12a,12b…永久磁石、25…アクチュエータ、26…遊星歯車機構、27…ロータ位相差変更部、50…電流指令算出部、53…電流制御部、80…検出用電圧重畳部、83…インダクタンス目標値算出部、82…インダクタンス推定値算出部、84…第1の異常判定部、85…異常判定切替部、91…誘起電圧定数推定部、92…位相差推定部、94…第2の異常判定部、95…ロータ位相差制御部。

Claims (7)

  1. 永久磁石による界磁を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に同心状に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差の変更を行って制御する電動機の制御装置であって、
    前記電動機の角速度を検出する角速度検出手段と、
    前記ロータ位相差を変更するためのロータ位相差変更手段と、
    前記ロータ位相差が、所定の指令値に対応した目標ロータ位相差となるように、前記ロータ位相差変更手段を作動させるロータ位相差制御を実行するロータ位相差制御手段と、
    前記電動機の電機子の通電量を検出する電流検出手段と、
    前記電動機の電機子に所定期間において所定レベル電圧が変化する検出用電圧を重畳し、該検出用電圧と、該検出用電圧が重畳されているときに前記電流検出手段により検出される電流とに基いて、前記電動機のインダクタンスの推定値を求めるインダクタンス推定手段と、
    前記電動機の角速度が第1判定速度以下であって、前記ロータ位相差制御手段による前記ロータ位相差制御が実行されているときに、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記電動機のインダクタンスの推定値との偏差に基いて、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあるか否かを判定する第1の異常判定処理を実行する第1の異常判定手段とを備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 請求項1記載の電動機の制御装置において、
    前記第1の異常判定手段は、前記第1の異常判定処理において、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記インダクタンスの推定値との偏差が、第1許容範囲外である状態が第1所定時間以上継続したとき、又は前記指令値の変更に応じて、変更後の前記指令値に対応した前記ロータ位相差制御が開始されてから第2所定時間が経過しても、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記電動機のインダクタンスの推定値との偏差が第2許容範囲内とならなかったときに、前記ロータロータ位相差変更手段が異常状態にあると判定することを特徴とする電動機の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の電動機の制御装置において、
    前記目標ロータ位相差又は前記指令値に対応した前記電動機の誘起電圧定数と、前記電流検出手段により検出される通電量とに基いて、前記目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値を算出するインダクタンス目標値算出手段を備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の電動機の制御装置において、
    前記角速度検出手段により検出される前記電動機の角速度と、前記電流検出手段により検出される通電量と、前記電動機の電機子に印加される電圧とに基いて、前記電動機の誘起電圧定数の推定値を求める誘起電圧定数推定手段と、
    前記電動機の角速度が前記第1判定速度よりも高い第2判定速度以上であって、前記ロータ位相差制御手段による前記ロータ位相差制御が実行されているときに、前記指令値に対応した前記電動機の誘起電圧定数の目標値と、前記誘起電圧定数推定手段による前記電動機の誘起電圧定数の推定値との偏差に基いて、前記ロータ位相差変更手段が異常状態にあるか否かを判定する第2の異常判定処理を実行する第2の異常判定手段とを備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  5. 請求項4記載の電動機の制御装置において、
    前記第1の異常判定手段は、前記電動機の角速度が前記第1判定速度以下であって前記第1の異常判定処理を実行しているときに、前記電動機の角速度が前記第1判定速度よりも高く前記第2判定速度よりも低い範囲に上昇したときには、前記第1の異常判定処理を継続し、
    前記第2の異常判定手段は、前記電動機の角速度が前記第2判定速度以上であって前記第2の異常判定処理を実行しているときに、前記電動機の角速度が前記第2判定速度よりも低く前記第1判定速度よりも高い範囲に低下したときには、前記第2の異常判定処理を継続することを特徴とする電動機の制御装置。
  6. 請求項1から請求項5のうちいずれか1項記載の電動機の制御装置において、
    前記電動機をロータの磁束方向であるq軸上にあるq軸電機子と、q軸と直交するd軸上にあるd軸電機子とを有する等価回路に変換して扱い、
    前記インダクタンス推定手段は、前記d軸電機子と前記q軸電機子とのうちの少なくともいずれか一方に、前記検出用電圧による電圧が印加されているときに、前記電流検出手段による検出電流に基いて算出された前記d軸電機子の通電量と前記q軸電流の通電量とのうちの少なくともいずれか一方に基いて、前記電動機のインダクタンスを推定することを特徴とする電動機の制御装置。
  7. 請求項2記載の電動機の制御装置において、
    前記第1の異常判定手段は、前記第1の異常判定処理において、前記指令値が変更された時から、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差が変更後の前記指令値に対応した目標ロータ位相差に移行するまでの想定時間を経過した後に、該目標ロータ位相差に対応した前記電動機のインダクタンスの目標値と、前記インダクタンス推定手段による前記インダクタンスの推定値との偏差が、第1許容範囲外である状態が第1所定時間以上継続したか否かを判断することを特徴とする電動機の制御装置。
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