JP2007260646A - 反応器ならびにその反応器を用いた重合体の製造方法 - Google Patents

反応器ならびにその反応器を用いた重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、反応器における発泡に伴うトラブルを未然に防止することである。特に、リフラックスコンデンサーを付設した反応器において、リフラックスコンデンサーによる除熱割合を高くした場合にも効果的に発泡を抑制し、安定的な運転を可能にすることである。
【解決手段】 反応器において、反応内容液を攪拌混合するための攪拌翼とは別に、反応内容液の内部を周期的に上下動する攪拌翼を設けることにある。
【選択図】 なし

Description

本発明は反応器ならびにその反応器を用いた重合体の製造方法に関する。詳しくは、内容液の発泡を効果的に抑制することができる反応器、ならびにその反応器を用いた重合体の製造方法に関する。
有機化学反応や重合などの化学反応をおこなう反応器には様々なものが挙げられる。これらの反応器には主副原料が投入された後、所定の温度および圧力等の条件下において所定時間反応がおこなわれ、反応終了後生成物が取り出される。
主副原料が混合、分散され、現に反応が起こっている溶液や分散液(以下、これを内容液という)の均一混合、均一分散や反応熱の均一分散、除熱等の目的で、内容液は攪拌機によって攪拌されるのが一般的である。
一方、これら攪拌機を備えた反応器において反応をおこなう際、主副原料によっては内容液の発泡を伴う場合がある。例えば、乳化剤や界面活性剤、高分子懸濁安定剤等を副原料として使用する反応では特に発泡が生じ易い。このような発泡現象によって生じるトラブルは当業者にとって深刻な問題であり、発泡を抑制することは重要な課題となっている。すなわち、発泡による攪拌混合効率の低下や除熱効率の低下、固液反応系において、発生する泡が固体成分を伴って反応器上部に飛散しスケール発生や配管閉塞等を引き起こす、いわゆる飛沫同伴等のトラブルである。
また、これら反応器には内容液の加熱、冷却や反応熱の除去を目的とした機構が付与されているのが一般的であり、構造が簡単で低コストであるという点から外部ジャケットが最も普及している。他方、当業者においては大型反応器の導入によるスケールメリットの追求がなされる傾向にある。すなわち、大型反応器を用いることによる効率の追求である。大型反応器を用いることによって単位時間あたりの収量は増える反面、発熱反応においては反応熱の増大に伴い、内容液の単位容積あたりの除熱面積低下、すなわち通常の外部ジャケットによる除熱能力低下を解消することが当業者の重要な課題となってきており、外部ジャケットのみで全反応熱を除去することは著しく困難となってきた。
反応器大型化に伴う除熱能力低下を補う方策としては、重合器本体の隔壁の厚みを薄くすることによって高い伝熱効率を持たせることのできる内部ジャケット方式や通水式バッフルの付設、リフラックスコンデンサーの付設、等が挙げられ、著しい除熱能力向上が期待できるという点から、特にリフラックスコンデンサー付設による方法が好んで用いられている。
一方、リフラックスコンデンサーによる除熱が一般化してきたのに伴い、当業者間では内容液の発泡によるトラブルが一層深刻な問題となっている。すなわち、リフラックスコンデンサーによる除熱は、主副原料のうち揮発し易い成分の蒸発を利用することにほかならず、蒸発する成分ガスと反応生成物が泡を形成して反応器上部や極端な場合にはリフラックスコンデンサー内部にまで飛散する飛沫同伴である。この現象により飛散した反応生成物が反応器上部やリフラックスコンデンサー内部に沈積してスケールを形成すると、その除去に多大な労力を要するのみならず、特にリフラックスコンデンサー内部の閉塞を起こすと反応中の除熱が困難となって内温が異常に上昇し、制御不能に陥るなど、工程の運転上著しい危険を伴う。
このような発泡現象を抑制し、発泡によるトラブルを回避するための方策について当業者は様々な検討がなされているが、一般に発泡対策には大きく分けて化学的な方法と機械的な方法がある。化学反応の一例として、代表的な汎用重合体である塩化ビニル系重合体の重合反応について例示してみると、化学的な方法には、懸濁安定剤として高ケン化度の部分ケン化ポリビニルアルコール(以下、これをPVAと略す)を用いることによって重合系内そのものを発泡し難くする方法、消泡剤等を併用して発泡を抑制する方法が挙げられ、機械的な方法には、発生する気泡を機械的に破泡する方法が挙げられる。
例えば、平均ケン化度85モル%以上のPVAを用いる方法が開示されている(特許文献1)が、この方法では、高ケン化度PVAの保護コロイド性が高いことによる粗粒や微粒子の発生、すなわち粒度分布の拡大が避けられず、粗粒によるフィッシュアイ等の品質低下、排水への微粒子混入による水質悪化が深刻な問題であった。
また、消泡剤を併用する方法が開示されている(特許文献2)(特許文献3)が、これらの方法では、消泡剤が最終製品の色調や透明性、電気的特性の悪化をもたらすといった問題があった。
さらに、発生する気泡を重合反応器内の気相部に設けた回転羽根によって破泡する方法が開示されている(特許文献4)が、この方法では破泡による発泡抑制効果は大きいものの、生成した重合体粒子を含む泡を機械的に撒き散らすことによって重合反応器上部や回転羽根カバーへのスケール付着が激しく、このスケール除去に多大な労力を要したり、スケールが製品に混入するという問題が避けられなかった。
これらの化学的方法や機械的方法に加えて、重合反応温度到達時および重合反応中、特定時期の重合反応器の槽径に対する重合反応液表面から撹拌翼上端までの垂直距離の比をそれぞれ特定の範囲内に維持することで発泡を抑制しつつ、塩化ビニル系重合体の製造を行う方法が開示されている(特許文献5)。しかしこの方法でも、懸濁安定剤の種類やリフラックスコンデンサーによる除熱の割合によっては発泡抑制効果が不充分であった。
特開昭61−115908号公報 特開平02−180908号公報 特開平03−212409号公報 特開昭58−49710号公報 特開2001−261709号公報
本発明の課題は、上記のような反応器における内容液の発泡に伴うトラブルを未然に防止し、安定的な運転を可能にすることである。
本発明者らは、発泡現象によって常に変動する液面位を効果的に制御する方法に関して鋭意検討を重ねた結果、内容液を攪拌混合するための攪拌翼とは別に、内容液の液面付近で、かつ液相内部を攪拌するための攪拌翼を設けることで、内容液の液面における泡の巻き込み現象を利用して著しい発泡抑制効果が認められることを発見し、本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、(A)内容液を攪拌混合するための攪拌翼と、(B)内容液の液面付近で、かつ内容液の液相内部を攪拌するための攪拌翼とを設けることを特徴とする反応器(請求項1)、(B)内容液の液面付近で、かつ内容液の液相内部を攪拌するための攪拌翼が周期的に上下動することを特徴とする請求項1に記載の反応器(請求項)、周期的に上下動する攪拌翼が、内溶液の液相表面を最上部として位置設定されていることを特徴とする請求項2に記載の反応器(請求項3)、リフラックスコンデンサーを付設したことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の反応器(請求項4)、請求項1〜請求項4に記載の反応器を用いて、重合反応をおこなうことを特徴とする重合体の製造方法(請求項5)、塩化ビニル単量体単独、または塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合物を重合することを特徴とする請求項5に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法(請求項6)、をその内容とする。
本発明によれば、反応内容液の発泡を効果的に抑制することができる。また、発泡に伴うトラブルを未然に防ぐことができる。
本発明の反応器は、(A)反応内容液を攪拌混合するための攪拌翼(以下、これを反応攪拌翼という)と、(B)反応内容液の液面が変動する範囲を少なくともカバーし、内容液の液面付近で、かつ液相内部を攪拌するための攪拌翼(以下、これを副攪拌翼という)を有している。
本発明でいう反応内容液とは、反応器内に投入され、現に反応器内に存在する主副原料からなる混合液や分散液等を意味する。また、反応攪拌翼とは、内容液の混合、分散や反応熱の均一分布、除熱等の目的で利用される翼を意味する。さらに、反応内容液の液面とは反応内容液と気相部の界面のことであり、現に反応内容液の液相部を形成している部分の表面のことを意味する。一般にこの液面は攪拌による流動や、内容液の体積膨張、体積収縮等、反応内容液の体積変化によってその位置、すなわち液面位が常に変動している。特に反応の進行に伴って反応内容液の体積が変化するような反応系においては、副攪拌翼の位置が液面位の変化に追随して上下するような機構を組み込むことが望ましい。また、液面位は反応内容液の体積変化のみならず、攪拌の程度やボルテックスの度合いによって常に変動していることを考慮すると、副攪拌翼が繰り返し往復運動できるような機構を組み込むとさらに効果的である。この繰り返し往復運動は完全に周期的、すなわち一定の範囲を一定の速度で往復運動させてもよいし、特に周期的でなくてもよい。
また、本発明の繰り返し往復運動する攪拌翼を完全に周期的に往復運動させる場合の周期、翼の大きさ、反応器容量、直径、深さ等の諸元値や、液面位が変動する程度に応じて任意に設定すればよいが、発生する泡を充分に反応内容液内部に巻き込むためには1サイクル/秒以下とするのが望ましい。
なお、繰り返し往復運動する攪拌翼の振幅および周期は、液面位の変動に応じて任意に変化させ得るような機構を組み込んでもよい。
副攪拌翼は反応内容液の液面付近で発生する泡を反応内容液の液相内部に巻き込むことができればいかなる形態でも良く、プロペラ型、タービン型、パドル型、傾斜パドル型等を例示することができる。ここでいう反応内容液の液相内部とは、現に液相である部分のことを意味し、液相上部に発生する泡の部分は含まない。
また、副攪拌翼を取り付ける攪拌軸は、一般に鉛直方向に取り付けられている反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に設置しても良いし、オフセットして取り付けても良いが、効果的に泡を巻き込むという目的を考慮すると、両攪拌軸の中心線が同一平面状にあり、かつ両攪拌軸の間に形成されるオフセット角を30度以内とするのが望ましい。
副攪拌翼の攪拌回転数は液面付近で発生する泡を重合内容液の内部に巻き込むことができればいかなる回転数でも良く、機械的に可能な範囲で任意に設定することができる。
本発明でいう副攪拌翼の位置は、攪拌軸から攪拌翼を取り外した際、攪拌翼そのものの重心に相当する位置を意味する。
本発明の副攪拌翼を往復運動させる場合には、反応内容液の液相表面を最も上の位置とすることが望ましい。ここでいう反応内容液の液相表面とは、ある時点における流動液面の位置を意味する。なお、反応中に内容液の体積変動に伴って液面位が変動するような反応プロセスにおいては、変動後の液相表面の位置を意味する。
反応器内に仕込まれる主副原料の所定反応温度における体積は一般に計算によって算出できるため、この計算から液面位を推定して副攪拌翼の位置を決めれば良い。ただし、前述のように反応攪拌翼による攪拌混合やボルテックスの程度によって液面位は変動するため、これを正確に推定するのは一般には困難である。したがって、何らかの方法で反応途中の液面位や発生する泡の位置を検出し、副攪拌翼の位置をこれらに連動させる機構を組み込むことが望ましい。反応途中の液面位や泡の位置を検出する方法としては、反応プロセスに適した液面計を透視式、電波式、フロート式、超音波式、静電容量式等、既知の装置から選択すれば良い。
なお、副攪拌翼の往復運動は液相表面より上の部分ではおこなわないように設定する。すなわち、発生している泡の部分で往復運動させることなく、常に液相内部に位置し、発生している泡を液相内部に巻き込むように設定する。泡の部分で上下動させると、泡、および反応生成物を含む泡が飛散し易いが、本発明の往復運動範囲に設定すればこのような生成物の飛散を生じることなく運転が可能となり効果的である。
副攪拌翼の往復運動振幅および往復運動周期は、前記液面計によって検出される液面位、および発泡の程度に応じて振幅や周期を変えられるような機構を組み込むことが望ましい。
本発明の装置、及び製造方法は、このように泡が発生するような反応系において、泡飛散によるスケールなどの発生に対して効果を発揮する。例えば、リフラックスコンデンサーを付設した反応器は、反応内容液から揮発成分が蒸発する際に液面から泡などが飛散し易いため、本発明の好ましい装置態様であるが、泡飛散が発生するような反応器であれば、リフラックスコンデンサーの有無は問わない。
主攪拌翼の大きさ、すなわち回転直径は通常、反応器直胴部の直径に対して20〜40%程度である。これに対して副攪拌翼の回転直径は、発生する泡を効果的に液相内部に巻き込むためにはできるだけ大きい方が好ましいが、主攪拌翼や主攪拌翼の攪拌軸と干渉しないような大きさにする必要がある。特に副攪拌翼を往復運動させる場合、主攪拌翼との干渉に留意する必要がある。副攪拌翼の往復運動経路中に主攪拌翼が存在する場合に両者が干渉するのを避けるため、通常副攪拌翼の回転直径は最大でも反応器直胴部直径に対して15%〜25%の範囲にあることが好ましい。
次に副攪拌翼の反応器直径方向設定位置は、主攪拌翼や主攪拌翼の攪拌軸と干渉しない位置であれば任意に設定できるが、前記したような主副攪拌翼の大きさを考慮すると、通常副攪拌翼の攪拌軸の中心が、主攪拌翼の攪拌軸の中心位置と、反応器内壁との中間に位置するように設定することが望ましい。また、副攪拌翼の深さ方向設定位置は、液相部表面を基準とし、反応器直径に対して液相内部側で50%の深さまでとする。副攪拌翼を往復運動させる場合には、最も下の位置がこの条件になるよう設定する。以下に本発明の反応器および本発明で使用する装置について、図に従って簡単に説明する。
図1は本発明の反応器の一例であり、リフラックスコンデンサーを付設した反応器において、反応内容液を攪拌混合するための攪拌翼とは別に、反応内容液の液面位10を最も上の位置として周期的に往復運動する攪拌翼を設けたことを特徴とする反応器を示すものである。図1の符号において1は反応器本体、2は反応器外部ジャケット、3は反応攪拌翼を取り付けた反応攪拌軸、4は副攪拌翼であり、5はバッフルである。反応器1の上部にはリフラックスコンデンサー6が付設されており、反応内容液7から蒸発した揮発成分ガスがガス流路8を通ってこのリフラックスコンデンサー内に導かれ、冷却されて凝縮し、凝縮成分帰り流路9を通って反応器内に還流する。
本発明でいうリフラックスコンデンサーとは、反応器の外部に取り付けられ、反応中に反応内容液から蒸発する成分ガスを冷却して凝縮させ、液体状態にして反応内容液に戻すためのものであり、反応内容液から揮発成分が蒸発する際にうばう潜熱によって反応熱を除去する役割をもっている。
本発明の反応器を使用することのできる化学反応プロセスとしては、ハロゲン化、スルホン化、ニトロ化等の置換反応、エステル化、アミド化等の付加脱離反応、不飽和結合のハロゲン化等の付加反応、アルコールの脱水等の脱離反応等が挙げられる。さらに本発明の反応器は、重合体の製造プロセスにも好適に使用することができる。特に水性媒体中で水溶性もしくは水分散性の高分子懸濁分散安定剤および油溶性重合開始剤の存在下で懸濁重合をおこなう塩化ビニル系重合体の製造に好適である。とりわけ、リフラックスコンデンサーによって反応熱の除去をおこなうことで、重合反応内容液が発泡し易い製造プロセスに好適である。
以下、用いる副原料、特に懸濁分散安定剤や乳化剤、界面活性剤の種類によって発泡し易く、特にリフラックスコンデンサーを使用することで著しく内容液の発泡が見られる、塩化ビニル系重合体の製造をとりあげて本発明を詳細に説明する。
本発明における塩化ビニル系重合体としては、例えば塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル共重合体が挙げられる。塩化ビニル共重合体を製造するための塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル等のアルキルビニルエステル類、セチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、塩化ビニリデン等のビニリデン化合物等が挙げられる。
次に、本発明に用いる水溶性もしくは水分散性の高分子懸濁分散安定剤は、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、酢酸ビニルーマレイン酸共重合体、スチレンーマレイン酸共重合体、ゼラチン、デンプン、ポリエチレンオキサイド、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明における油溶性重合開始剤は本発明の目的が達成できるものであれば特に制限はないが、これらの開始剤のうち10時間半減期温度が30〜65℃のものを1種又は2種以上使用するのが好ましい。重合開始剤の例としては、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、2,4,4トリメチルペンチル−2−パーオキシネオデカノエート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4,−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
さらに従来塩化ビニル系単量体の重合又は共重合に使用される重合度調節剤、連鎖移動剤、pH調節剤、ゲル化性改良剤、帯電防止剤、乳化剤、安定剤、スケール防止剤等やこれらの仕込み方法も本発明の目的が達成できるものや方法であれば特に制限はない。
なお本発明においては、全除熱量のうちリフラックスコンデンサーによる除熱の占める割合を、単にリフラックスコンデンサーによる除熱割合という。
重合反応中におけるリフラックスコンデンサーによる除熱割合は任意に設定すれば良く、究極的な例としては重合器外部ジャケットに冷却水を通水せず、リフラックスコンデンサーのみによって全除熱を行なっても良い。
以下に、本発明の具体的実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例では特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は重量%を表す。また本実施例の水は全てイオン交換水を用いた。
さらに以下の実施例で用いた反応器には、反応中に反応内容液の液面位をモニターするための液面計を付設した。該液面計は、全ての主副原料を仕込んだ後、反応攪拌翼により反応内容液を攪拌しつつ内温を所定反応温度まで昇温した時点での液面位が40%を示すよう設定しており、発泡によって液面位が高くなるにつれて値が大きくなる。また、前述したような飛沫同伴により反応に支障が発生し始める液面位の目安は45%以上である。さらに該液面計での液面位の測定限界は60%である。
また、以下の実施例では、重合反応に伴う体積収縮、すなわち液面位の低下を、水を追加することで補い、重合反応中常に液面計の指示値が40%となるよう調整した。
なお、以下の実施例では、副攪拌翼の設定位置、もしくは往復運動させる場合にあっては可動範囲の最上部位置を次のように定義した。すなわち、設定位置、もしくは最上部位置がその時点での液面位に等しい場合を基準である0とし、液面位より上、すなわち泡部分もしくは気相部にある場合を負の数値、液面位より下、すなわち液相内部にある場合を正の数値とした。この数値を副攪拌翼最上部位置と表した。
また、反応終了後、反応器内部および反応器上部に付着したスケールを肉眼により観察し、観察結果を次のように表した。
○:スケール付着が全く、あるいはほとんど認められない
△:スケール付着が認められる
×:スケール付着が著しい
(比較例1)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、水100部(塩化ビニル単量体100部に対して、以下同じ)、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合反応をおこなった。重合反応転化率が約5%になったところで、リフラックスコンデンサーの稼働を開始し、リフラックスコンデンサーによる除熱割合を徐々に高めて、転化率約20%の時点でリフラックスコンデンサーによる除熱割合が全除熱量の70%となるよう調節、以後転化率75%で重合反応を終了するまでリフラックスコンデンサーによる除熱割合を70%で一定とした。残りの必要除熱量は重合反応器外部ジャケットを使用して除去した。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、転化率約60%時点で液面位が上昇し始め、その後最も高い値を示した時点での液面位は53%であった。また、重合反応後の反応器内を観察した結果、反応器上部および気液界面部に著しくスケールが付着していた。なお、本実施例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は79%であった。
(実施例1)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、副攪拌翼をその攪拌軸が反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に取り付けた。本重合反応器に水100部(塩化ビニル単量体100部に対して、以下同じ)、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合反応をおこなった。重合反応転化率が約5%になったところで、リフラックスコンデンサーの稼働を開始し、リフラックスコンデンサーによる除熱割合を徐々に高めて、転化率約20%の時点でリフラックスコンデンサーによる除熱割合が全除熱量の70%となるよう調節、以後転化率75%で重合反応を終了するまでリフラックスコンデンサーによる除熱割合を70%で一定とした。残りの必要除熱量は重合反応器外部ジャケットを使用して除去した。リフラックスコンデンサーの稼動開始と同時に、副攪拌機による攪拌も開始した。本実施例における反応攪拌翼および副攪拌翼の翼先端周速は、それぞれ8m/秒および1m/秒とした。また、副攪拌翼は往復運動させず固定し、副攪拌翼最上部位置は5cmとした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、転化率約60%時点で液面位が上昇し始めた。ただし、その後最も高い値を示した時点でも液面位は43%であり、反応に支障が発生するほどの発泡は生じていないことが確認された。また、重合反応後の反応器内を観察した結果、反応器上部および気液界面部にスケールは付着していなかった。なお、本実施例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は79%であった。
(実施例2)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、副攪拌翼をその攪拌軸が反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に取り付けた。本重合反応器に水100部(塩化ビニル単量体100部に対して、以下同じ)、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合反応をおこなった。重合反応転化率が約5%になったところで、リフラックスコンデンサーの稼働を開始し、リフラックスコンデンサーによる除熱割合を徐々に高めて、転化率約20%の時点でリフラックスコンデンサーによる除熱割合が全除熱量の70%となるよう調節、以後転化率75%で重合反応を終了するまでリフラックスコンデンサーによる除熱割合を70%で一定とした。残りの必要除熱量は重合反応器外部ジャケットを使用して除去した。リフラックスコンデンサーの稼動開始と同時に、副攪拌機による攪拌も開始した。本実施例における反応攪拌翼および副攪拌翼の翼先端周速は、それぞれ8m/秒および1m/秒とした。また副攪拌翼を往復運動させ、その振幅および周期を、それぞれ20cmおよび0.2サイクル/秒とした。副攪拌翼最上部位置は5cmとした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、転化率約60%時点で液面位が上昇し始めた。ただし、その後最も高い値を示した時点でも液面位は40%であり、反応に支障が発生するほどの発泡は生じていないことが確認された。また、重合反応後の反応器内を観察した結果、反応器上部および気液界面部にスケールは付着していなかった。なお、本実施例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は79%であった。
(比較例2)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合器に水100部、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合反応をおこなった。本比較例では、リフラックスコンデンサーおよび副攪拌翼は使用しなかった。従って全除熱を重合器外部ジャケットによっておこなった。なお、本比較例においても反応攪拌翼の周速は8m/秒とした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、先に述べた実施例および比較例と同様に転化率約60%時点で液面位が上昇し始めたが、その後最も高い値を示した時点でも液面位は40%であった。ただしこの時点から重合反応器外部ジャケットの冷却水温が急激に低下し、重合反応内容液の温度を一定に保つことが困難となったため、転化率約65%の時点で重合反応を終了した。このことは重合反応器外部ジャケットのみによる除熱能力では不足していることを示しており、先に述べた実施例および比較例と同量の油溶性重合開始剤を使用した場合には重合反応制御が不可能であることを示している。なお、重合後の重合反応器内を観察した結果、重合反応器上部および気液界面部のスケールは全く付着していなかった。本比較例の結果は、リフラックスコンデンサーを使用しない場合には発泡が非常に少なく、敢えて本発明の反応器を用いる必要はないものの、リフラックスコンデンサーを使用する場合に比べて除熱能力が不足し、これに伴って重合反応時間を延長せざるを得ない、あるいは、単量体の仕込み量を減らさざるを得ない等、生産性を低下させなければならないことを示している。なお、本比較例における重合時間は230分、最終重合反応転化率は66%であった。
(比較例3)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に水100部、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.06部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.012部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.015部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合反応をおこなった。本比較例では、リフラックスコンデンサーおよび副攪拌翼は使用しなかった。従って全除熱を重合器外部ジャケットによっておこなった。なお、本比較例においても反応攪拌翼の周速は8m/秒とした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、先に述べた実施例および比較例と同様に転化率約60%時点で液面位が上昇し始めたが、その後最も高い値を示した時点でも液面位は41%であった。重合後の重合反応器内を観察した結果、重合反応器上部および気液界面部のスケールは全く付着していなかった。本比較例の結果は、リフラックスコンデンサーを使用しなくても済む程度まで開始剤を減量すれば、発泡の問題は発生せず、敢えて本発明の反応器を用いる必要はないものの、開始剤減量に伴って重合反応時間を延長せざるを得ず、すなわち高い生産性を維持することが不可能であることを示している。なお、本比較例における重合時間は340分、最終重合反応転化率は79%であった。
(比較例4)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に水100部、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合反応をおこなった。なお、本比較例においても反応攪拌翼の周速は8m/秒とした。ただし本比較例では、全除熱をリフラックスコンデンサーによっておこない、副攪拌翼は使用しなかった。リフラックスコンデンサー負荷率の調節方法は以下の通りとした。全ての主副原料の仕込みを終了した後、外部ジャケットを利用して反応内容液を昇温し、内温が63℃に達した時点でリフラックスコンデンサーによる除熱割合が100%となるよう調節、以後転化率75%で重合反応を終了するまでリフラックスコンデンサーによる除熱割合を100%で一定とした。この間、外部ジャケットには水を流さなかった。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、先に述べた実施例および比較例と同様に転化率約60%時点で液面位が上昇し始め、その後液面位は60%を超えて、測定不可能となった。さらに、重合反応後の重合反応器内を観察した結果、気液界面部のみならず重合反応器上部にもスケールが著しく付着しており、スケール除去に多大な労力を要した。なお、本比較例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は78%であった。
(実施例3)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、副攪拌翼をその攪拌軸が反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に取り付けた。本重合反応器に水100部、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合反応をおこなった。なお、本実施例においても反応攪拌翼の周速は8m/秒とした。ただし本実施例では、全除熱をリフラックスコンデンサーによっておこなった。リフラックスコンデンサーの負荷率の調節方法は比較例4と同じ方法とした。また、リフラックスコンデンサーの稼動開始と同時に副攪拌機の稼動も開始した。本実施例における副攪拌翼の翼先端周速は1m/秒、副攪拌翼の往復運動振幅および周期は、それぞれ20cmおよび0.2サイクル/秒とした。副攪拌翼最上部位置は5cmとした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、先に述べた比較例および実施例と同様に転化率約60%時点で液面位が上昇し始めたが、その後最も高い値を示した時点でも液面位は42%、つまり重合反応開始時点と同等の液面位であった。また、重合反応後の重合反応器内を観察した結果、重合反応器上部および気液界面部にスケールは付着していなかった。なお、本実施例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は78%であった。
(比較例5)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、上下動攪拌翼を反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に取り付けた。本重合反応器に水100部(塩化ビニル単量体100部に対して、以下同じ)、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合をおこなった。重合反応転化率が約5%になったところで、リフラックスコンデンサーの稼働を開始し、リフラックスコンデンサーによる除熱割合を徐々に高めて、転化率約20%の時点でリフラックスコンデンサーによる除熱割合が全除熱量の70%となるよう調節、以後転化率75%で重合反応を終了するまでリフラックスコンデンサーによる除熱割合を70%で一定とした。残りの必要除熱量は重合反応器外部ジャケットを使用して除去した。リフラックスコンデンサーの稼動開始と同時に、上下動攪拌機による攪拌も開始した。本実施例における反応攪拌翼および上下動攪拌翼の翼先端周速は、それぞれ8m/秒および1m/秒とし、また上下動攪拌翼の上下動振幅および周期は、それぞれ20cmおよび0.2サイクル/秒とした。上下動攪拌翼最上部位置は−5cm、すなわち液面より上の気相部とした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、重合反応進行による重合反応内容液の体積収縮に伴って液面位は徐々に低下したが、転化率約60%時点で液面位が上昇し始めた。その後最も高い値を示した時点で液面位は48%であった。また、重合反応後の重合反応器内壁を観察した結果、重合反応器内の気液界面部には帯状にスケールが、また重合反応器上部にもスケールが若干付着していた。なお、本比較例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は79%であった。
(比較例6)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、上下動攪拌翼を反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に取り付けた。本重合反応器に水100部(塩化ビニル単量体100部に対して、以下同じ)、分散安定剤として平均重合度が800でケン化度72%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合を開始し、引き続き63℃一定で重合をおこなった。本比較例では、リフラックスコンデンサーおよび上下動攪拌翼は使用しなかった。従って全除熱を重合器外部ジャケットによっておこなった。なお、本比較例においても反応攪拌翼の周速は8m/秒とした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、重合反応進行による重合反応内容液の体積収縮に伴って液面位は徐々に低下したが、転化率約60%時点で液面位が上昇し始めた。その後最も高い値を示した時点で液面位は55%であった。また、重合反応後の重合反応器内を観察した結果、重合反応器上部および気液界面部にスケールが著しく付着していた。なお、本比較例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は78%であった。本比較例のように、塩化ビニル重合体の製造にケン化度の比較的低い部分ケン化ポリ酢酸ビニルを使用すると重合反応中の発泡が激しいことがわかる。
(実施例4)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、上下動攪拌翼を反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に取り付けた。本重合反応器に水100部(塩化ビニル単量体100部に対して、以下同じ)、分散安定剤として平均重合度が800でケン化度72%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合を開始し、引き続き63℃一定で重合をおこなった。なお、本実施例ではリフラックスコンデンサーは使用しなかった。重合反応内容液の温度が63℃に達した時点で上下動攪拌機による攪拌を開始した。本実施例における反応攪拌翼および上下動攪拌翼の翼先端周速は、それぞれ8m/秒および1m/秒とし、また上下動攪拌翼の上下動振幅および周期は、それぞれ20cmおよび0.2サイクル/秒とした。上下動攪拌翼最上部位置は5cmとした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、重合反応進行による重合反応内容液の体積収縮に伴って液面位は徐々に低下したが、転化率約60%時点で液面位が上昇し始めた。その後最も高い値を示した時点で液面位は40%であった。また、重合反応後の重合反応器内壁を観察した結果、重合反応器上部および気液界面部にスケールは付着していなかった。なお、本実施例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は79%であった。
(比較例7)
反応攪拌翼、外部ジャケットおよびリフラックスコンデンサーを備えた内容積1500リットルのステンレス製重合反応器に、上下動攪拌翼を反応攪拌翼の攪拌軸と完全に平行に取り付けた。本重合反応器に水100部(塩化ビニル単量体100部に対して、以下同じ)、分散安定剤として平均重合度が900でケン化度78%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを0.08部、油溶性開始剤としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.015部および3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシドを0.02部仕込み、真空ポンプで減圧し酸素を除去した。続いて反応攪拌翼による攪拌を開始した後塩化ビニル単量体100部を仕込み、重合反応器外部ジャケットを利用し反応内容液を63℃まで昇温して重合反応を開始し、引き続き63℃一定で重合をおこなった。重合反応転化率が約5%になったところで、リフラックスコンデンサーの稼働を開始し、リフラックスコンデンサーによる除熱割合を徐々に高めて、転化率約20%の時点でリフラックスコンデンサーによる除熱割合が全除熱量の70%となるよう調節、以後転化率75%で重合反応を終了するまでリフラックスコンデンサーによる除熱割合を70%で一定とした。残りの必要除熱量は重合反応器外部ジャケットを使用して除去した。リフラックスコンデンサーの稼動開始と同時に、上下動攪拌機による攪拌も開始した。本実施例における反応攪拌翼および上下動攪拌翼の翼先端周速は、それぞれ8m/秒および1m/秒とし、また上下動攪拌翼の上下動振幅および周期は、それぞれ20cmおよび2.0サイクル/秒とした。上下動攪拌翼最上部位置は5cm、すなわち液面より上の気相部とした。液面計により重合反応中の液面位を調べたところ、重合反応進行による重合反応内容液の体積収縮に伴って液面位は徐々に低下したが、転化率約60%時点で液面位が上昇し始めた。その後最も高い値を示した時点で液面位は46%であった。また、重合反応後の重合反応器内壁を観察した結果、重合反応器内の気液界面部には帯状にスケールが、また重合反応器上部にもスケールが若干付着していた。なお、本比較例における重合時間は260分、最終重合反応転化率は79%であった。
Figure 2007260646
Figure 2007260646
実施例1で使用した反応器の概略図である。
符号の説明
1 反応器本体
2 反応器外部ジャケット
3 反応攪拌軸
4 副攪拌翼
5 バッフル
6 リフラックスコンデンサー
7 反応内容液
8 成分ガス流路
9 凝縮成分帰り流路
10 液面位

Claims (6)

  1. (A)内容液を攪拌混合するための攪拌翼と、(B)内容液の液面付近で、かつ内容液の液相内部を攪拌するための攪拌翼、とを設けることを特徴とする反応器。
  2. (B)内容液の液面付近で、かつ内容液の液相内部を攪拌するための攪拌翼が周期的に上下動することを特徴とする請求項1に記載の反応器。
  3. 周期的に上下動する攪拌翼が、内溶液の液相表面を最上部として位置設定されていることを特徴とする請求項2に記載の反応器。
  4. リフラックスコンデンサーを付設したことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の反応器。
  5. 請求項1〜請求項4に記載の反応器を用いて、重合反応をおこなうことを特徴とする重合体の製造方法。
  6. 塩化ビニル単量体単独、または塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合物を重合することを特徴とする請求項5に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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