JP2007253331A - プレス成形用クラッド材及びそのクラッド材によってプレス成形されたシームレス缶 - Google Patents

プレス成形用クラッド材及びそのクラッド材によってプレス成形されたシームレス缶 Download PDF

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Abstract

【課題】 深絞り成形やしごき成形により容易に薄肉シームレス缶を製造することができる方法、およびその方法の実施に好適なプレス成形用素材を提供する。
【解決手段】 本発明クラッド材1は、鉄鋼材、好ましくは低Cオーステナイト系ステンレス鋼よって形成された基材層2と、前記基材層2の両側に積層された第1潤滑層3A及び第2潤滑層3Bとを有する。前記第1潤滑層3A及び第2潤滑層3Bは純銅又はNiを60mass%以下、好ましくは20〜40mass%含むCu−Ni合金で形成される。第1潤滑層3Aを純銅で、第2潤滑層3Bを前記Cu−Ni合金で形成することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、深絞り成形やしごき成形などのプレス成形により成形されたシームレス缶、その素材として好適なプレス成形性に優れたクラッド材に関する。
電池用ケース、化粧品用ケース、キャップなどの縦長のケース類のほか、特に複写機やプリンタなどのOA機器に用いられるドラム、ベルトなどの構成部材として、薄肉で細長い有底円筒状のシームレス缶あるいはその端板部を除去して中空筒状としたシームレス管が用いられる。
このようなシームレス缶の製造方法として、特開2001−74173号公報(特許文献1)には、金属板を深絞りしてカップ素缶を形成し、該カップ素缶をしごき加工することが記載されている。さらに、同文献には金属素管を引き抜き加工したり、内部から液圧を加えて拡管処理する製造方法が記載されている。また、特開2001−225134号公報(特許文献2)に記載されているように、金属素管に対して回転塑性加工法であるスピニング加工法を施す方法も提案されている。
特開2001−74173号公報 特開2001−225134号公報
しかし、特許文献1に記載の深絞り成形、しごき成形により、厚さが100μm 程度以下の薄肉長尺のシームレス缶をプレス成形する場合、深絞り成形を複数回行った後、さらにしごき成形を複数回行う必要がある。このため、素材としては展延性に優れた金属材を用いる場合はともかく、ステンレス鋼や冷延鋼板などの鉄鋼材を用いた場合、目標寸法まで成形することができない。また各成形工程ごとに中間焼鈍を施すことで、成形性をある程度改善することができるが、生産性が著しく低下し、効率のよいプレス成形の利点を生かせないという問題がある。
一方、引抜加工法や液圧による拡管処理、スピニング加工による加工方法は、鉄鋼材でも薄肉化が比較的容易であるが、特殊な製造設備が必要で、さらに深絞り成形やしごき成形のようなプレス成形に比して生産性が劣るという問題がある。
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、深絞り成形やしごき成形により容易に薄肉シームレス缶を製造することができる方法、およびその方法の実施に好適なプレス成形用素材を提供することを目的とする。
本発明のプレス成形用クラッド材は、鉄鋼材によって形成された基材層と、前記基材層の両側に積層された第1潤滑層及び第2潤滑層とを有し、前記第1潤滑層及び第2潤滑層は純銅又はNiを60mass%以下含むCu−Ni合金で形成されたものである。
このクラッド材によると、鉄鋼材よって形成された基材層の両側に純銅又はNiを60mass%以下含むCu−Ni合金で形成された第1、第2潤滑層が積層されているので、展延性に優れかつ摩擦係数の低い、潤滑性の良好な第1、第2潤滑層が成形金型の成形面に接触し、展延性に劣る基材層を成形面に直接接触させないため、プレス成形性に優れる。このため、深絞り成形やしごき成形を複数段で行うプレス成形においても、鉄鋼材で形成されたの基材層の破断、断裂を防止することができ、薄肉シームレス缶を容易かつ効率的に製造することができる。
前記基材層はC:0.08mass%以下の低Cオーステナイト系ステンレス鋼で形成することが好ましい。これにより、基材層に耐食性及び優れた成形加工性を付与することができ、クラッド材のプレス成形性をより向上させることができる。
また、前記第1潤滑層及び第2潤滑層は、それぞれの厚さをクラッド材の全厚の5〜25%とすることが好ましい。20〜100μm 程度の薄肉シームレス缶をプレス成形する場合、成形の安定性を確保するには成形の最終段階においても潤滑層(片側)が5μm 程度、すなわち全厚の5〜25%程度残存していることが好ましい。かかる肉厚を確保するには素材であるクラッド材においても同様の割合で潤滑層が形成されていることが望ましい。
また、前記基材層の表面における、下記式で表される{111}面の極密度αが30%以上であることが好ましい。本発明者は、基材層表面の極密度とプレス成形した缶端開口部における耳の発生について種々の実験を重ねた結果、α≧30%とすることで、深絞り成形やしごき成形したシームレス缶における耳の発生を抑制することができ、また缶の真円度も向上することを知見した。これより、α≧30%とすることにより、缶端部に形成される耳の除去代を削減することができ、また真円度が向上するため、成形歩留、生産性がより向上する。
α=P{111}×100/(P{111}+P{100}+P{110})
但し、P{hkl}はX線回折による{hkl}面のピーク強度を示す。
また、前記基材層の一方の潤滑層、すなわち第1潤滑層を純銅で、他方の第2潤滑層をCu−Ni合金で形成することができる。ここで、「第1」、「第2」というのは、単に潤滑層をその材質により区別するだけの意味である。クラッド材から採取したブランクを用いて筒状体をプレス成形する場合、その側壁部の外面側はダイの成形面すなわちアール部やしごき部に当接するため、パンチ側に当接する内面側に比べて厳しい加工が施される。このため、純銅に比して潤滑性の良好なCu−Ni合金で第2潤滑層を形成しておき、第2潤滑層をダイの成形面側となるようにブランクを配置して成形することで、優れた成形性を確保することができる。また、純銅の第1潤滑層が筒状体の内側に配されることになるため、熱伝導性に優れる純銅層を内側に有するシームレス缶を容易に製造することができる。この場合、シームレス缶の内側の純銅層の厚さが10μm 以上となるようにクラッド材の第1潤滑層の厚さを設定することが望ましい。
本発明のシームレス管の製造方法は、前記クラッド材からブランクを採取し、これを深絞り成形して素缶とし、この素缶をしごき成形して側壁部の板厚が20〜100μm のシームレス缶とするものである。
この製造方法によると、前記クラッド材の第1、第2潤滑層が鉄鋼材で形成された基材層を保護して、そのの成形を円滑化するため、深絞り成形やしごき成形を複数段で実施しても、鉄鋼材で形成されたの基材層を破断、断裂させることなく、薄肉シームレス缶を容易かつ効率的に製造することができる。
また、前記第1潤滑層が純銅で、第2潤滑層がCu−Ni合金で形成されたクラッド材からブランクを採取し、第1潤滑層が内側に、第2潤滑層が外側(ダイの成形面側)になるうように深絞り成形、しごき成形することで、優れたプレス成形性を損なうことなく、内側に熱伝導性に優れる純銅層を有する薄肉シームレス缶を容易に製造することができる。
本発明のプレス成形用クラッド材、このクラッド材を用いるシームレス缶の製造方法によれば、クラッド材には鉄鋼材で形成された基材層の両側に純銅あるいはNiを60mass%以下含有するCu−Ni合金からなる第1、第2潤滑層が形成されているので、基材層に比べて展延性に優れ、摩擦係数の低い潤滑層が基材層を保護し、基材層が成形工具の成形面に直接接触しないため、基材層が円滑に塑性変形する。このため、複数段のプレス成形を連続的に実施することができ、薄肉のシームレス缶を容易かつ効率的に製造することができる。
以下、図面を参照して実施形態にかかるクラッド材について説明する。
図1は実施形態にかかるクラッド材1を示しており、基材層2の両面に第1、第2潤滑層3A,3Bが圧接および拡散接合されて積層形成されている。潤滑層の「第1」、「第2」は基材層2の両面にそれぞれ積層された潤滑層を区別するために付したものである。
前記基材層2は、深絞り成形用冷延鋼板やステンレス鋼などのプレス成形性の良好な鉄鋼材により形成されている。ステンレス鋼は総じて耐食性に優れるが、加工性の点ではフェライト系ステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。特に、プレス成形性の観点からはC:0.08mass%以下の低Cオーステナイト系ステンレス鋼が好適である。さらに低Cオーステナイト系ステンレス鋼の中でも、比較的Ni量が多く、Cr量が少ないものが好ましい。例えば、SUS304のようにNi:8〜10.5mass%、Cr:18〜20mass%のステンレス鋼より、SUS316のようにNi:10〜14mass%、Cr:16〜18mass%のステンレス鋼が好ましい。さらに、Ni:13〜15%、Cr:15〜17%のものがより好ましい。なお、C、Ni、Cr以外の成分は、組織がオーステナイト単相となる限り特に限定されないが、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.04%以下、S:0.03%以下に止め、残部Feおよび不純物とすることが好ましい。
前記第1潤滑層3A、第2潤滑層3Bは、それぞれ純銅あるいはNi:60mass%以下のCu−Ni合金で形成することができる。潤滑層として必要な主特性は展延性の指標である硬さと、摩擦係数μであり、図2に示すように、Ni:0〜70%のCu−Ni合金(Ni=0%は純銅、全て焼鈍材)において、Ni:0〜60%では硬度が120Hv以下で、μが0.5以下となり、SUS316に比して硬度が90%以下、摩擦係数が85%以下に押さえられる。好ましくは、Ni:20〜40mass%であり、この範囲では硬度が100Hv以下、摩擦係数が0.4以下に止まる。
前記第1潤滑層3A、第2潤滑層3Bは、同じ材質で形成してもよいが、同材質とする必要はなく、一方の第1潤滑層3Aを純銅で形成し、他方の第2潤滑層3BをCu−Ni合金で形成することができる。このようなクラッド材のブランクを用いて、有底円筒体を成形する場合、純銅はCu−Ni合金に比して潤滑性に劣るが、前記純銅の第1潤滑層3Aを有底筒状体の内側となるように成形金型に配置して成形することで、プレス成形性の低下は生じない。深絞り成形、しごき成形の場合、外側の第2潤滑層3Bは、ダイのコーナー部、しごき部の成形面(図3の「14」、図4の「24」参照)に接触して厳しい曲げ延伸、しごき加工を受けるが、ポンチ側に接する内側の第1潤滑層3Aの加工度は小さいからである。
また、純銅の第1潤滑層3Aが有底筒状体の内側にくるようにして成形することで、熱伝導性に優れた純銅層を内側に備えた有底筒状体を容易に成形することができる。因みに、純銅は、熱伝導率が400W/(m・K)とCu−Ni合金に比して非常に優れており、Niが10%含有するだけで熱伝導率は49.2W/(m・K)と急激に低下する。このように内側に純銅層が形成されたシームレス缶から製作したプリンタの定着用ヒータードラムやヒーターベルトは、その内側にヒータを設けることで速やかにドラム、ベルトの全体を温めることができ、起動時間を短縮することができる。特に、ヒータとして誘導加熱ヒータを用いるものでは、誘導加熱の際の渦電流によって純銅層が急速に加熱される利点がある。
前記クラッド材における第1潤滑層3A、第2潤滑層3Bの厚さは、それぞれ全体厚さの5〜25%程度とするのがよい。目標シームレス缶の側壁部の厚さを20〜100μm とする場合、側壁部に破断や断裂が生じないようにプレス成形するには、最終成形段階で潤滑層の厚さを少なくとも5μm 程度確保することが好ましい。一方、缶の強度を確保するには少なくとも側壁部の50%を基材層で構成することが好ましい。従って、この場合、潤滑層(片側)の厚さは、目標シームレス缶の側壁部における厚さの5〜25%程度になる。クラッド材における各層の厚さ比は、深絞り成形やしごき成形などのプレス成形後もほぼ同率で維持されるので、クラッド材においてもかかる厚さ比を確保することで、側壁部の厚さが20〜100μm のシームレス缶を安定的かつ円滑にプレス成形することができるようになる。なお、シームレス缶に熱伝導性を向上させるために純銅層を積層する場合、純銅層は少なくとも10μm 程度あることが好ましいので、クラッド材の全厚を30〜100μm として、前記純銅層に対応するの純銅潤滑層(第1潤滑層)の厚さ比を10〜33%程度とすることが好ましい。
また、前記基材層2の圧延面が{111}面が優勢となるように圧延集合組織を調整することで、厳しい減厚加工を施しても缶端に耳が形成され難くなり、また真円度が向上し、製造歩留がより向上する。すなわち、前記基材層2の表面(圧延面)における、下記式で表される{111}面の極密度αを30%以上とすることで、耳の発生を抑制し、真円度を向上させることができる。前記極密度は、クラッド材から潤滑層をエッチングや研磨などの機械的方法によって除去し、X線回折により基材層表面の{111}面、{100}面、{110}面のピーク強度を測定し、そのピーク強度を下記式に代入することにより算出される。
α=P{111}×100/(P{111}+P{100}+P{110})
但し、P{hkl}はX線回折による{hkl}面のピーク強度を示す。
上記クラッド材1は、基材層2の元になる鉄鋼板の両面に、潤滑層3A,3Bの元になる純銅板あるいはCu−Ni合金板を重ね合わせ、重ね合わされた積層材を一対のロールに通してお互いを冷間あるいは温間で圧接し、さらに基材層が十分に再結晶するように900〜1100℃程度の温度で0.5〜5min 程度保持する焼鈍(軟化焼鈍)を施すことにより製造される。この焼鈍は、各層の拡散焼鈍を兼ねるものである。その後、必要に応じて厚さ調整のため、仕上圧延を行い、焼鈍を施してもよい。
これらの圧延、焼鈍に際し、基材層2表面の{111}面の極密度を30%以下にするには、発明者等の実験の結果、最終焼鈍前の最終圧延における圧下率を30〜50%とすることが重要であること判明した。このため、プレス成形品の耳の抑制、真円度を向上させるには上記範囲で最終圧延を施すことが好ましい。
次に、上記クラッド材を用いた薄肉シームレス缶の製造実施形態について説明する。
まず、上記クラッド材1から深絞り成形用のブランクBを採取し、このブランクBを深絞り成形し、有底円筒体(素缶)を製作する。図3は、深絞り成形の説明図であり、ダイ11のキャビティの上に載置されたブランク(素板)Bは、ダイ11の上面と板押さえ13との間に押圧状態で挟持される。そして、パンチ12をダイ11のキャビティーに降下することで、ブランクBは板押さえ3の押圧力に抗しながら、キャビティーの開口周縁部に形成されたアール部14で曲げ延伸されながら有底円筒状の素缶に成形される。目標とするシームレス缶の長さに応じて、通常、深絞り成形は複数段で実施される。深絞り成形において、ブランクの直径(2段目以降の成形の場合、成形前の素缶の内径)をdb、パンチの直径をdpとしたときdb/dpを絞り比という。絞り比は、通常、初段では1.5程度、2段目以降では1.3程度とされる。
クラッド材1の基材層2の一方に純銅の第1潤滑層3Aを、他方にCu−Ni合金の第2潤滑層3Bを形成した場合、第1潤滑層3Aが上側になるようにダイ11の上面に載置する。これにより、潤滑性に優れたCu−Ni合金の第2潤滑層3Bが素缶の外側になり、アール部14やしごき部24で強加工を受けても十分に成形性を確保することができる。
次に、深絞り成形された素缶を用いてしごき成形を行う。図4は、しごき成形の説明図であり、ダイ21のキャビティ開口部に素缶Cを同心状の載置し、素缶Cの内側に装着したパンチ22を下降することにより素缶Cの側壁部の肉厚t1が、しごき部24でしごき加工されてt2の肉厚に減厚される。しごき成形において、(t1−t2)×100/t1をしごき率という。
前記しごき成形において、通常、目標シームレス缶の側壁部の板厚になるように、複数段のしごき成形が施される。1段当たりのしごき率は、通常、30〜50%とされる。これは、30%未満では成形は容易であるが、減厚量が少なく、目標板厚に至るまで成形段数が増え、一方50%超では、成形段数を減らすことができるが、加工条件が厳しいため、破断し易くなり、いずれの場合も生産性が低下するようになるからである。目標板厚が100μm 以下の場合、通常、しごき成形は3段以上行われる。
以上のようにして、シームレス缶が深絞り成形としごき成形とによって成形される。中空円筒状のシームレス管を得るには、前記有底円筒体であるシームレス缶の端板部を機械的切断、レーザービーム切断、水ジェット切断などにより切断除去すればよい。
上記実施形態におけるシームレス缶の製造例では、深絞り成形としごき成形とを別工程として実施したが、例えば特許2790072号公報、特許3582319号公報に開示されているように、これらを1工程で行う、薄肉化再絞り−しごき加工法を適宜回数行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定的に解釈されるものではない。
mass%でC:0.02%、Ni:12.8%、Cr:16.9%の低Cオーステナイト系ステンレス鋼(SUS1)又はC:0.003%、Ni:13.9%、Cr:16.1%の低Cオーステナイト系ステンレス鋼(SUS2)の薄板(板厚1.0〜2.0mm)を準備した。なお、SUS1、SUS2とも、C、Ni、Cr以外の成分は、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.04%以下、S:0.03%以下であった。前記ステンレス鋼の薄板の両面に、純銅(Cu)あるいはCu−30mass%Ni合金の薄板(第1潤滑層側:板厚0.4mm、第2潤滑層側:板厚0.27mm)を重ね合わせて圧下率30〜70%にて冷間圧接し、得られた圧接材を種々の圧下率(50〜75%)で冷間圧延して板厚0.32〜0.65mmの圧延材を製作し、1000℃で1min 保持する中間焼鈍を施した後、表1に示す圧下率にて最終圧延、最終焼鈍(1000℃、1min 保持)を施して厚さ0.27mmのクラッド材を得た。クラッド材の構成(第1潤滑層/基材層/第2潤滑層)、最終圧延における圧下率、潤滑層の全厚に対する厚さ比(第1潤滑層,第2潤滑層)を表1に併せて示す。
また、得られたクラッド材から観察片を採取し、潤滑層をエッチングにより除去した後、X線回折により各回折面のピーク強度を測定し、{111}面の極密度αを求めた。使用したX線回折装置はリガク社製、型番RINT2200であり、測定条件は以下のとおりである。
測定条件
走査軸2θ/θ、測角範囲10°〜90°、発散スリット0.1mm、散乱スリット1/2 deg、受光スリット0.15mm
また、作製したクラッド材から圧延方向に対して0°、45°、90°の方向に沿って引張試験片を採取し、引張試験を行い、r0 、r45、r90を求め、下記式から面内異方性Δrを求めた。Δrは円筒深絞り容器に発生する耳に関係する指標であり、正値は0°あるいは90°方向の耳の発生、負値は45°方向の耳の発生を示し、数値がゼロに近いほど耳の大きさは小さく、ゼロでは耳の発生がないことを示す。求めたΔrを表1に併せて示す。
Δr=(r0 +r90−2r45)/2
また、作製したクラッド材からブランク材(直径125mm)を採取し、3段階の深絞り成形(内径80mmφ→60mmφ→45mmφ)を経て内径45mmφ、側壁部板厚0.27mm、高さ64mmの素缶を製作した。なお、第1潤滑層を純銅で形成したものでは、第1潤滑層が素缶の内側(パンチ側)になるようにブランクを配置して深絞り成形した。
次に、この素缶を用いて、内径を45mmφに維持したまま、各段のしごき率を34〜35%として4段階のしごき成形(側壁部板厚0.179mm→0.117mm→0.077mm→0.050mm)を経て内径45mmφ、側壁部板厚0.050mm、高さ325mmの薄肉シームレス缶を製作した。シームレス缶の製造に際し、100個当たり良品率を調べた。シームレス缶の缶胴に破断や断裂が生じることなく成形できたものを良品とした。調査結果を表1に併せて示す。表1中、良品率が90%以上を「○○○」、75%以上90%未満を「○○」、60%以上75%未満を「○」、60%未満45%以上を「△」、成形不能を「×」で示した。
表1より、第1、第2潤滑層をともに純銅で形成した試料No. 1(発明例)では、プレス成形性はやや劣るものの、第2潤滑層をCu−Ni合金で形成したクラッド材(試料No. 5〜8)では、第2潤滑層がダイの成形部側になるようにブランクを配置する限り、プレス成形性は良好であった。特に、基材層表面の{111}面の極密度が30%以上の試料No. 6、7では、面内異方性を示すΔrが0.1未満であり、耳発生の抑制や真円度の向上が期待できることが確認された。
Figure 2007253331
実施形態にかかるクラッド材の部分断面図である。 Cu−Ni合金のNi量と硬さ及び摩擦係数との関係を示すグラフである。 深絞り成形の実施要領を示す説明図である。 しごき成形の実施要領を示す説明図である。
符号の説明
1 クラッド材
2 基材層
3A 第1潤滑層
3B 第2潤滑層
11,21 ダイ
14 アール部
24 しごき部

Claims (7)

  1. 鉄鋼材よって形成された基材層と、前記基材層の両側に積層された第1潤滑層及び第2潤滑層とを有し、前記第1潤滑層及び第2潤滑層は純銅又はNiを60mass%以下含むCu−Ni合金で形成された、プレス成形用クラッド材。
  2. 前記基材層がC:0.08mass%以下の低Cオーステナイト系ステンレス鋼で形成された、請求項1に記載されたプレス成形用クラッド材。
  3. 前記第1潤滑層及び第2潤滑層は、それぞれの厚さがクラッド材の全厚の5〜25%である、請求項1又は2に記載したプレス成形用クラッド材。
  4. 前記基材層の表面における、下記式で表される{111}面の極密度αが30%以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載したプレス成形用クラッド材。
    α=P{111}×100/(P{111}+P{100}+P{110})
    但し、P{hkl}はX線回折による{hkl}面のピーク強度を示す。
  5. 前記第1潤滑層が純銅で、第2潤滑層がCu−Ni合金で形成された、請求項1から4のいずれか1項に記載したプレス成形用クラッド材。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載されたプレス加工用クラッド材からブランクを採取し、これを深絞り成形して素缶とし、この素缶をしごき成形して側壁部の板厚が20〜100μm のシームレス缶とする、シームレス缶の製造方法。
  7. 請求項5に記載されたプレス加工用クラッド材のブランクからブランクを採取し、これを深絞り成形して内側に第1潤滑層を備えた素缶とし、この素缶をしごき成形して側壁部の板厚が20〜100μm のシームレス缶とする、シームレス缶の製造方法。
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